説明

車両用ドアロック装置および車両用ドアロック装置のラッチ製造方法

【課題】ドアの開閉が容易で耐久性のある車両用ドアロック装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両用ドアロック装置のラッチ10は、金属製のラッチプレート1と、ラッチプレート1の表面に形成された防錆メッキ層と、少なくともポールと係合する係合表面部分を除きラッチプレート1を覆う被覆樹脂層3と、少なくともラッチプレート1の係合表面部分をショットブラスト処理で凹凸化された凹凸表面と、凹凸表面に一体的に固定された固体潤滑層5と、を有することを特徴とする。このラッチでは、その固体潤滑層を、防錆メッキ層をもつラッチプレート表面部をショットブラストにより凹凸表面とした凹凸表面に一体的に形成している。このため固体潤滑層の一体性が高く、固体潤滑層による摺動抵抗の軽減効果が長期に渡り維持され、耐久性の高いラッチとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアの開閉を行う車両用ドアロック装置、その装置に使用するラッチの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車用ドアは、スライドドア形態のものが多くなってきている。スライドドアはスイングドアに比べて、1)ドアが大きく重い、2)車体への固定(位置合わせ)が難しい、という特性を持っている。
【0003】
1)の特性のドアが大きいという特徴により、スライドドア形態のドアをもつ自動車が市場に受けているともいえる。このためカーメーカではより開口部を大きくし、必然的にドアを重くしていく傾向が強くなっている。
【0004】
2)の特性について説明すると、スイングドアは、ドアヒンジ部をピボットとして車体にリジッドな関係で固定される。これに対して、スライドドアは、重量があるにも関わらず、上下・中央のスライドレールに駆動ローラなどを介して係合した形になっており、駆動ローララとスライドレールとの間に車両組付性や作動性のためのクリアランスをある程度確保しながら、車体に対してスライドレールに沿って平行移動するようになっている。このクリアランスが車体との間に存在するため、スライドドアはスイングドアに比べて車体との相対位置関係を確定付けにくくなっている。つまり、スライドドアは、車体開口部を閉じるドアの閉鎖位置合わせが極めて難しいものとなっている。
【0005】
ドアの閉鎖位置合わせのために、車体に対してスライドドアを出来る限り動きの少ない状態でドア閉鎖が行われるように、車体とスライドドアとの間にクッションゴムやウエザーストリップを介在させると共に、スイングドアに比べてドアの固定力をより高めるようにしている。
【0006】
こうした状況により、スライドドアは、スイングドアに比べて、ドアの閉鎖時に、車体側に設けられたストライカーをドアに内蔵されたドアロック装置のラッチで強く噛み込むようになっている。ラッチでストライカーを強く噛み込んだ状態は、ラッチを施錠位置に保持するポールとも強力に噛み合っていることになり、スライドドアを開く時に、ドアハンドルによってポールを動かそうとしても摺動抵抗が高く、非力な子供や女性にとって操作しづらいものとなっている。
【0007】
また、スライドドアは、通常、前方端辺と後方端辺に少なくとも一つずつ二つのドアロックを解除する必要があり、操作系統の多さもドアハンドルの操作力の高さの原因となっている。
【0008】
車両用スライドドアのドアロック装置の一例を特許文献1に、ドアロック装置を構成するラッチとして、ラッチプレートとこのラッチプレートを覆うように型成形された被覆樹脂層とをもつラッチの一例を特許文献2に示す。
【特許文献1】特開2005−188046号公報
【特許文献2】特開2005−273368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はドアの開閉が容易で耐久性のある車両用ドアロック装置のラッチ及びそのラッチ製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明者はポールが摺動して係合する部分に耐久性のある潤滑剤を介在させることをめざし、試行錯誤の結果耐久性のある潤滑剤を介在させる技術を完成させたものである。
【0011】
即ち、本発明の車両用ドアロック装置は、ストライカと、該ストライカと係合して車両ドアを閉状態に保持するラッチと、該ラッチと係合する係合位置又は係合しない非係合位置に配置されるポールとを有する車両用ドアロック装置であって、前記ラッチは、金属製のラッチプレートと、該ラッチプレートの表面に形成された防錆メッキ層と、少なくとも前記ポールと係合する係合表面部分を除き該防錆メッキ層をもつ該ラッチプレートを覆う被覆樹脂層と、少なくとも該ラッチプレートの該係合表面部分をショットブラスト処理で防錆メッキ層を剥がすとともに凹凸化された凹凸表面と、該凹凸表面に一体的に固定された固体潤滑層と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の車両用ドアロック装置ではそのラッチの構成部分である固体潤滑層を、防錆メッキ層をもつラッチプレート表面部をショットブラストにより防錆メッキ層を剥がすと共に凹凸表面とした凹凸表面に一体的に形成している。このため固体潤滑層の一体性が高く、固体潤滑層による摺動抵抗の軽減効果が長期に渡り維持され、耐久性の高いラッチとなっている。なお、被覆樹脂層は、係合表面部分を除く防錆メッキ層をショットブラストによって除去されることを防止している。 なお、凹凸表面の凹部は防錆メッキ層を貫通しその下方のラッチプレート表面部に達しているとともに固体潤滑層はラッチプレートと直接接触一体化されているものとするのがより好ましい。固体潤滑層がラッチプレートと直接接触固定されることにより固体潤滑層とラッチプレートとの一体性がより一層高くなる。さらに凹凸表面の凹凸が深くなるため、固体潤滑層が摩耗により薄くなってもより深い凹部より固体潤滑剤が供給されより一層長く摺動抵抗の低下効果が持続できる。
【0013】
なお、ショットブラスト処理により形成される凹凸表面はポールが係合するラッチプレートの係合表面部分の周囲の被覆樹脂層の部分にも形成されており、固体潤滑層は被覆樹脂層の凹凸面の少なくとも一部にも一体的に形成されているものとするのが好ましい。このようにすることにより固体潤滑層と被覆樹脂層の一体化が高くなり、固体潤滑層と被覆樹脂層の境界からの分離を抑制でき、耐久性が高くなる。又、ポールは、通常、常に付勢手段によりラッチに押しつけられ、ポールが係合表面部分に係合する前後に係合表面部分の被覆樹脂層の表面を当接摺動する。かかるポールの摺動に対しても好ましい。
【0014】
ラッチプレートを形成する金属は鋼鉄であり、防錆メッキ層は亜鉛メッキ層であり、被覆樹脂層は熱可塑性ポリエステルエラストマー製(熱可塑性エラストマー製)であり、固体潤滑層は二硫化モリブデン含有層であるのが好ましい。なお、使用する環境によりラッチプレートを鋼鉄以外の金属で、防錆メッキについても他の防錆メッキに代えることもできる。固体潤滑剤としては二硫化モリブデン以外の公知の固体潤滑剤を使用しても良い。
【0015】
本発明の車両用ドアロック装置に使用されるラッチの製造方法は、ストライカが挿着されるU字溝とポールと係合する係合表面部分とをもつ金属製のラッチプレートを得るラッチプレート準備工程と、前記ラッチプレートの表面に防錆メッキ層を形成する防錆メッキ工程と、少なくとも前記係合表面部分を除き前記防錆メッキ層をもつ前記ラッチプレートを覆う被覆樹脂層を形成する被覆樹脂層形成工程と、少なくとも前記ラッチプレートの前記係合表面部分をショットブラスト処理で防錆メッキ層を剥がすとともに凹凸化された凹凸表面とするショットブラスト工程と、前記凹凸表面上に一体的に固定された固体潤滑層を形成する固体潤滑層形成工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
各工程は時系列的に上記の系列に限られる。このようにすることにより前記した耐久性のあるラッチが製造でき、耐久性のある車両用ドアロック装置を得ることができる。なお、被覆樹脂層は、係合表面部分を除く防錆メッキ層のショットブラストによる除去を防止しており、こうした点からも各工程は時系列的に上記の系列に限られる。
【0017】
なお、かかる凹凸を得るためにショットの材質、大きさ、ショットの速度及びショット時間等を公知の方法により最適なものにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固体潤滑層を設けたためにポールとラッチとの摺動抵抗を低減できる。さらに、固体潤滑層を防錆メッキ層をもつラッチプレートにショットブラストにより凹凸表面としその上に一体的に形成したため、耐久性の高いものとすることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例を説明する。
【0020】
本発明の車両用ドアロック装置のラッチ10の斜視図を図1に、又、要部断面模式図を図4に示す。このラッチ10は、ラッチプレート1と、このラッチプレート1の全面に形成された亜鉛メッキ層からなる防錆メッキ層2と、この防錆メッキ層2をもつラッチプレート1の一部表面に型成形により形成された被覆樹脂層3と、防錆メッキ層2をもつラッチプレート1のポール(図示せず)と係合する係合表面部分にショットブラスト処理により形成された凹凸表面4(図4に示す)と、この凹凸表面4上に一体的に形成された固体潤滑層5とからなる。
【0021】
ラッチプレート1は、図2にその斜視図を示す鋼鉄製の鋼板を機械加工等で図2に示す形状とし、そこにピン11を固定したものである。このラッチプレート1は、揺動軸孔12と、ストライカ(図示せず)が入り込むU字溝13と、クローザ(図示せず)と当接して押圧される係合突部14とをもつ。このラッチプレート1はその全面に亜鉛メッキによる防錆メッキ層2が形成されている。
【0022】
被覆樹脂層3の斜視図を図3に示す。この被覆樹脂層3は防錆メッキ層2をもつラッチプレート1を金型内に配置し、そこに、例えば、熱可塑性エラストマーを射出成形して形成したものである。ラッチプレート1の固体潤滑層5が形成される表面部分、係合突部14等の表面部分には被覆樹脂層3は形成されていない。被覆樹脂層3は、ストライカ(図示せず)が入り込むU字溝13の入口部分で固体樹脂層5をもつ突部と対をなす他方の突部にある部分131及びその奥側の部分132には厚い樹脂層31、32が形成されている。特に奥側の部分32は奥側に延びる突条に形成されている。又、揺動軸孔12を区画するシリンダ状内面にも樹脂層33が形成されている。
【0023】
固体潤滑層5が形成される前の状態の部分は、ショットブラスト処理がなされた図4に模式的に断面図で示す凹凸面4となっている。この凹凸面4は、ラッチプレート1の表面部分を一体的に凹凸化し、凹部にはラッチプレート1の表面が露出した状態となっている。なお、凹凸面4は周縁部分の被覆樹脂層3の表面にも延び、その部分が図4に示すように浅い凹凸面となっている。また、防錆メッキ層4は完全に除去されなければいけないわけでなく、概ね除去され、多少ラッチプレート1に残留していても良い。
【0024】
固体樹脂層5は二硫化モリブデン粒子を含む熱硬化性樹脂を塗布し熱硬化したものである。硬化前は液状であるため凹凸面4の凹部にも浸透し、熱硬化により凹凸面4を区画する防錆メッキ層2の部分、ラッチプレート1の部分及び被覆樹脂層3の部分と一体的に強固に固定されている。又、固体潤滑層5は、凹凸面4の凹部に浸透固着しているため、経年変化によって固体潤滑層5が摩耗により薄くなっても、より深い凹分より固体潤滑剤が供給され、より一層長く摺動抵抗の低下効果を持続できる。
【0025】
なお、この実施例のラッチ10は次の方法で製造した。まず、従来と同じ方法でラッチプレート1を調整し、従来と同じ方法で亜鉛メッキを行ってラッチプレートの全面に防錆メッキ層2を形成した。そして、従来と同じ方法で、防錆メッキ層2をもつラッチプレート1を金型内に配置し、そこに熱可塑性エラストマーを射出成形し、冷却固化して被覆樹脂層3を形成した。
【0026】
次に固体潤滑層5が形成される、防錆メッキ層2をもつラッチプレート1の表面及びその周辺の被覆樹脂層3の表面及びその周辺の被覆樹脂層3の表面(ラッチ10がフルラッチの状態でポール30と係合している係合表面1aを中心とした面)に粒径20〜100μmのショット粉でショットブラスト処理を行った。これにより防錆メッキ層2を概ね除去するとともに凹凸の頂部から底までの深さが最大15μmの凹凸表面4を得た。この後、この凹凸表面4上に二硫化モリブデン粒子を含む熱硬化性樹脂を塗布し、被覆樹脂層3の融点より低い温度で熱硬化させて固体潤滑層5を形成した。
【0027】
本実施例のラッチ10を用いた本実施例の車両用ドアロック装置の要部を図5〜図7に示す。図5は、ラッチ10が開いた状態、図6はハーフラッチの状態、図7は完全に閉じたフルラッチの状態を示す。
【0028】
この車両用ドアロック装置は、ドア側に固定されたラッチハウジング20と、このラッチハウジング20内に揺動自在に保持され図6上時計回転方向(開く方向)に付勢されているラッチ10と、ラッチハウジング20に揺動自在に保持され反時計回転方向(ラッチ10に当接する方向)に付勢されているポール30と及びラッチハウジング10に揺動自在に保持されているクローザ40と、車体側に固定されているストライカ50とを有する。
【0029】
次にこの車両用ドアロック装置の機能を説明する。図5に示す、ラッチ10が開いた状態では、ラッチ10は図示しない付勢手段により最も開いた(時計回転方向に回転した)位置に付勢されている。なお、ドアは車体に対してまさに閉じられる直前(直後でも同じ)で車体側に固定されているストライカ50がラッチ10と当接に近い状態となっている。
【0030】
この状態でドアが閉じられる方向に駆動されると、ラッチ10はストライカ50に近づく方向に駆動される。そしてストライカ50の先端がラッチ10のU字溝13に入り込み、U字溝を区画する被覆樹脂層3の肉厚の部分31に当接する。ストライカ50とラッチ10とが当接してもラッチ10の被覆樹脂層3の肉厚の部分31で当接するため打撃音が低くなる。さらにドアが閉じられラッチ10がストライカ50に近かずくと、ストライカ50によりラッチ10が付勢力に抗して反時計回転方向に揺動させられ、ストライカ50の先端はラッチ10のU字溝13の被覆樹脂層3の突条の部分32に摺接しつつ静かにU字溝13の奥側に入る。この動きの際、ポール30は、反時計方向に付勢されているためラッチ10の周端面の被覆樹脂層3に当接した状態で周端面上を滑り、図5の状態から図6の状態になる。そしてポール30の先端がラッチ10のハーフラッチ位置に到る。この状態を図6に示す。
【0031】
ハーフラッチの状態では、時計回転方向に付勢されているラッチ10がポール30をその先端からポール30の軸芯方向に押す状態となっている。ポール30を軸芯方向に押しているためラッチ10はそれ以上時計回転方向に揺動できず、ドアが開かない状態となっている。
【0032】
このハーフラッチの状態から、ドアがさらに車体に押し込まれるか、あるいはクローザ40がラッチ10の係合突部14を押すと、ラッチ10はその付勢力に抗して反時計回転方向に揺動させられる。この揺動によりポール30はラッチ10の周端面上を滑り、図7に示す固体潤滑層5の表面にポール30の先端が到る。この状態がラッチ10が完全に閉じたフルラッチの状態となる。
【0033】
このフルラッチの状態でドアの閉める動きは無くなり、クローザ40の押圧も無くなる。ドアを車体に閉じる際にドアと車体の間にウエザーストリップゴムとか弾性部材を押圧挟持し、ドアと車体の隙間を埋めている。即ち、ドアは常にウエザーストリップゴムとか弾性部材の弾性反力により車体より開く方向に押圧されることになる。この押圧力をポール30が固体潤滑層5を介して支え、ラッチ10が時計回転方向に回らないように規制している。このようにポール30にはドアが完全に閉まっている間、常に大きなドアを開く力に抗していることになる。
【0034】
ドアを開くときには、図7に示すフルラッチの状態で、ドアの開レバー(図示せず)を操作し、ポール30を付勢力に抗して時計回転方向に回転させる。このとき、ポール30とラッチ10の間には大きな押圧力が作用している。ドアの開操作はこの大きな押圧力の作用した大きな摺動抵抗に抗してポール30をラッチ10の固体潤滑層5の表面を滑らせ、ラッチ10より離脱させる。ポール30がラッチ10より離脱すると、ラッチ10を時計回転方向に抗していた力が無くなり、ラッチ10はドアを開く力、ラッチ10を開く方向に付勢している付勢力により時計方向に回動し、図6に示すハーフラッチ状態からさらに図5に示す、ラッチ10が開いた状態となる。
【0035】
本実施例のラッチ及び車両用ドアロック装置では、フルラッチ状態で大きな押圧力が作用するポール30の先端が当接するラッチの周端面の部分は固体潤滑層5が形成されている。この固体潤滑層5による低い摩擦係数により大きい押圧力にも関わらず、比較的小さな力でポール30をラッチより離脱させることができる。このためドア開操作が容易となる。又、ポール30ストライカ50が当接するラッチ10の表面は被覆樹脂層3で形成されているため、当接及び摺動に伴う音を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例のラッチの斜視図である。
【図2】実施例のラッチに使用したラッチプレートの斜視図である。
【図3】実施例のラッチを覆う被覆樹脂層の斜視図である。
【図4】実施例のラッチの要部拡大断面の模式図である。
【図5】実施例のラッチを用いた車両用ドアロック装置のラッチが開いた状態を示す要部模式図である。
【図6】実施例のラッチを用いた車両用ドアロック装置のハーフラッチの状態を示す要部模式図である。
【図7】実施例のラッチを用いた車両用ドアロック装置のラッチが閉じたフルラッチの状態を示す要部模式図である。
【符号の説明】
【0037】
1…ラッチプレート、2…防錆メッキ層、3…被覆樹脂層、4…凹凸表面、5…固体潤滑層
10…ラッチ、12…揺動軸孔、13…U字溝、14…係合突部、20…ラッチハウジング
30…ポール、40…クローザ、50…ストライカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカと、該ストライカと係合して車両ドアを閉状態に保持するラッチと、該ラッチと係合する係合位置又は係合しない非係合位置に配置されるポールとを有する車両用ドアロック装置であって、
前記ラッチは、金属製のラッチプレートと、該ラッチプレートの表面に形成された防錆メッキ層と、少なくとも前記ポールと係合する係合表面部分を除き該防錆メッキ層をもつ該ラッチプレートを覆う被覆樹脂層と、少なくとも該ラッチプレートの該係合表面部分をショットブラスト処理で該防錆メッキ層を剥がすとともに凹凸化された凹凸表面と、該凹凸表面に一体的に固定された固体潤滑層と、を有することを特徴とする車両用ドアロック装置。
【請求項2】
前記ラッチプレートを形成する金属は鋼鉄であり、前記防錆メッキ層は亜鉛メッキ層であり、被覆樹脂層は熱可塑性ポリエステルエラストマー製であり、前記固体潤滑層は二硫化モリブデン含有層である請求項1または2に記載の車両用ドアロック装置。
【請求項3】
ストライカが挿着されるU字溝とポールと係合する係合表面部分とをもつ金属製のラッチプレートを得るラッチプレート準備工程と、
前記ラッチプレートの表面に防錆メッキ層を形成する防錆メッキ工程と、
少なくとも前記係合表面部分を除き前記防錆メッキ層をもつ前記ラッチプレートを覆う被覆樹脂層を形成する被覆樹脂層形成工程と、
少なくとも前記ラッチプレートの前記係合表面部分をショットブラスト処理で前記防錆メッキ層を剥がすとともに凹凸化された凹凸表面とするショットブラスト工程と、
前記凹凸表面上に一体的に固定された固体潤滑層を形成する固体潤滑層形成工程と、を有することを特徴とする車両用ドアロック装置のラッチ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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