車両用メータ装置
【課題】速度センサが装着されたセンサ支持ブロックをメータ装置のフレームカバー部材に固定する締結部材(止めネジ)の抜け落ち構造を提供する。
【解決手段】磁石98を有するとともに車輪WFの回転に同期して回転するロータ85と、磁石98の磁気回路中に配置され、磁気回路の磁界変化に基づいてロータ85の回転を検知する速度センサ86とを有する。速度センサ86はセンサ基板87に装着され、センサ基板87は止めネジ92、93によってロータ支持フレーム76に固定される。フレームカバー部材59はロータ支持フレーム76の周囲を覆い、ロータ85および速度センサ86、並びにセンサ基板87およびセンサ支持ブロック88を収容する。フレームカバー部材59には、センサ基板87とセンサ支持ブロック88を収容した状態で止めネジ92、93の抜け止めを防止する壁部130としてリブ83、84が設けられる。
【解決手段】磁石98を有するとともに車輪WFの回転に同期して回転するロータ85と、磁石98の磁気回路中に配置され、磁気回路の磁界変化に基づいてロータ85の回転を検知する速度センサ86とを有する。速度センサ86はセンサ基板87に装着され、センサ基板87は止めネジ92、93によってロータ支持フレーム76に固定される。フレームカバー部材59はロータ支持フレーム76の周囲を覆い、ロータ85および速度センサ86、並びにセンサ基板87およびセンサ支持ブロック88を収容する。フレームカバー部材59には、センサ基板87とセンサ支持ブロック88を収容した状態で止めネジ92、93の抜け止めを防止する壁部130としてリブ83、84が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用メータ装置に関し、特に、車速が所定値以上になったことを検知する速度センサを支持するセンサ基板をメータ装置のフレーム部材に取り付けるための取り付け構造を有する車両用メータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルケーブルを介して車輪の回転が伝達される回転軸に設けられる磁石と、該磁石の磁気回路中に配置されて渦巻きバネでゼロ点に付勢される誘導板とを備え、前記磁石の回転によって発生する渦電流作用によって回転変位する前記誘電板に結合した指針で速度表示する渦電流型の速度計が知られる(例えば、特許文献1に記載されているもの)。この速度計では、前記磁石の回転による磁界変化を磁電変換素子(ホール素子)で検出して、車両の速度が所定値以上になったときに警報器を作動させる速度検出装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−88752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている従来の渦電流型の速度計に設けられる車速検出装置は、ホール素子が取り付けられている基板をフレーム部材にボルト止めするものであるが、ボルトが緩んでホール素子の位置がずれてしまうと、磁界の変化によるホール素子の出力電圧が変化するため、磁界の変化によって車速を検出している装置では、本来検出したい速度の値がずれて速度検出精度が低下してしまうということが考えられる。
【0005】
そこで、ボルトの抜け落ちや緩みを防止する一般的な対策として、メータ装置のフレーム部材側に鉄片を取り付け、この鉄片を、ボルト締結後にボルトの頭の側面に沿って折り曲げるという手法が考えられるが、この場合、ボルトの他に鉄片を必要とするので部品点数の増大につながる上に、ボルトの頭部形状が四角や六角形等に限定され、さらには、ボルトの取り付け取り外し毎に鉄片を新しいものと交換する必要があるので、交換の手間が増えるし、作業性も悪いという課題が残る。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、ホールIC等の磁電変換素子を速度センサとして所定の車速値を検出する速度検出装置を有する車両用メータ装置において、速度センサの取り付けに特殊なボルトを使ったりボルト止めとして鉄片等の別部品を使ったりすることなく、速度センサの位置ずれを抑制して所定の検出精度を確保することができる車両用メータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明は、磁気発生手段(98)を有し、かつ車輪(WF)の回転に同期して回転するロータ(85)と、前記磁気発生手段(98)の磁気回路中に配置され、前記磁気回路の磁界変化に基づいて前記ロータ(85)の回転を検知する速度センサ(86)と、前記速度センサ(86)が取り付けられるセンサ支持体(110)と、前記ロータ(85)を回転可能に軸支するとともに、前記センサ支持体(110)が締結部材(120)によって固定されるロータ支持フレーム(76)と、前記ロータ支持フレーム(76)の周囲を覆い、前記ロータ(85)、前記速度センサ(86)、およびセンサ支持体(110)を収容するフレームカバー部材(59)とを備える車両用メータ装置において、前記フレームカバー部材(59)には、該フレームカバー部材(59)内に前記センサ支持体(110)が固定された前記ロータ支持フレーム(76)を収容した状態で前記締結部材(120)の脱着方向に対向して該締結部材(120)の抜け止めとなる抜け止め壁部(130)が設けられている点に第1の特徴がある。
【0008】
また、本発明は、前記ロータ(85)が、その下方に、前記車輪(WF)と同期する回転を前記ロータ(85)に伝達する回転軸(73)が連結されるものであり、前記フレームカバー部材(59)は、前記回転軸(73)を挿通する挿通孔(75)を有する底壁部(595)を備え、前記締結部材(120)が、前記底壁部(595)と平行に取り付けられるボルトであり、前記抜け止め壁部(130)は前記底壁部(595)から上方に延在して該底壁部(595)と一体に形成されている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記フレームカバー部材(59)が、前記底壁部(595)の外縁部から上方に立ち上がる側壁部(596)を備えており、前記抜け止め壁部(130)は、前記側壁部(596)から離間して配置される点に第3の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、前記速度センサ(86)が、前記締結部材(120)であるボルトの軸線の延長線近傍に配置される点に第4の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、前記速度センサ(86)が、前記ロータ(85)より下方に配置される点に第5の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、前記ボルトが前記ロータ支持フレーム(76)に対向する向きとなるように少なくとも2本取り付けられ、
【0013】
前記少なくとも2本のボルト(92、93)は、互いの軸線(92c、93c)をずらして配置される点に第6の特徴がある。
【0014】
また、本発明は、前記センサ支持体(110)が、前記速度センサ(86)を装着したセンサ基板(87)と、該センサ基板(87)が取り付けられるセンサ支持ブロック(88)とからなり、前記締結部材(120)によって、センサ支持ブロック(88)が前記ロータ支持フレーム(76)に締結されており、前記速度センサ(86)が、前記ロータ(85)の軸方向視において該ロータ(85)と重なる位置に配置され、前記センサ基板(87)は、前記ロータ(85)の軸方向に直交する向きに配置される点に第7の特徴がある。
【0015】
また、本発明は、前記車両が、車幅方向に延びるクランクシャフト(32a)を備える内燃機関(3)を備えた車両であり、前記ボルトはクランクシャフト(32a)に平行に配置される点に第8の特徴がある。
【発明の効果】
【0016】
第1の特徴を有する本発明によれば、ロータ支持フレームをフレームカバー部材から取り出さない限り、センサ支持体をロータ支持フレームに取り付けている締結部材が抜けることがなく、センサ支持体がロータ支持フレームから外れることがないので、ボルト止めを有するボルト等、特殊な構造の締結部材を用いることなく、速度検出誤差を最小限に抑えて所定の検出精度を確保することができる。特に、磁気を検知する速度センサを自動二輪車のような小型の速度計等の中に配置するものにあっては、小径のロータと速度センサと近接配置させることが必要で、速度センサを支持する基板等のセンサ支持体のわずかなずれが大きな誤差につながることも考えられるので、そのような場合には極めて有効な構造となる。
【0017】
第2の特徴を有する本発明によれば、抜け止め壁部を底壁部と一体に形成したので、型成型等により抜け止め壁部を容易に設けることができる。
【0018】
第3の特徴を有する本発明によれば、抜け止め壁部の位置に自由度が生じ、結果として、ロータ支持フレームの配置に関して大きい自由度が得られる。
【0019】
第4の特徴を有する本発明によれば、速度センサが、ボルトの軸線の延長線近傍に配置されるので、仮にボルトが緩んでセンサ支持体がボルトの軸線周りに回動したとしても、速度センサの変位を最小限に抑えることができ、結果として速度検知誤差を抑えることができる。
【0020】
第5の特徴を有する本発明によれば、速度センサがフレームカバー部材の底壁部寄りに配置され、締結部材は、速度センサと上下方向で近傍に配置されるので、締結部材の抜け止め壁部の高さを低く抑えることができる。
【0021】
第6の特徴を有する本発明によれば、締結部材としてのボルトが緩んだとしても、センサ支持体は、ロータ支持フレームに対して回りにくい。
【0022】
第7の特徴を有する本発明によれば、センサ基板の形状やセンサ基板上における速度センサの配置を変えるだけで、速度センサのロータの半径方向における位置を比較的容易に変えることができるので、ロータの径を変更しやすい。
【0023】
第8の特徴を有する本発明によれば、クランクシャフトとボルトの軸方向が一致しているので、クランクシャフトが発生する振動につられてボルトが回りやすい配置となるものの、万が一ボルトが緩んでしまったとしても抜け止め壁によってボルトが抜けることがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るメータ装置を備えた自動二輪車の左側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る自動二輪車のメータ装置の指針軸方向視図である。
【図3】メータ装置の左側面図である。
【図4】メータ装置の裏面図である。
【図5】図3の5−5断面図である。
【図6】上部カバーを外したメータ装置の斜視図である。
【図7】図3の7−7断面図である。
【図8】図2の8−8断面図である。
【図9】車速検出器アセンブリの前方左から見た斜視図である。
【図10】車速検出器アセンブリの正面図である。
【図11】車速検出器アセンブリの左側面図である。
【図12】車速検出器アセンブリの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。以下に参照する図1、図3においては自動二輪車1の前方を符号Frで、左右はそれぞれ符号L、Rで、上方は符号Upで示す。また、図2、図4〜図12は自動二輪車1に対して後傾斜しているメータ装置10を示す図であり、図2、図4〜図12においては、メータ装置10の車速計の指針軸100の軸方向における上方は符号MUpで示し、メータ装置10の方向MUpに直交する方向における前方を符号MFrで示す。
【0026】
図1は本発明の一実施形態に係る車速検出装置を含むメータ装置を備えた自動二輪車の左側面図である。図1ならびに以下に参照する図3において、また、自動二輪車1は車体フレーム2に懸架される単気筒4サイクルエンジン(内燃機関)3を駆動源とする。車体フレーム2は、ヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21に先端が接合されて後端が下方に延びているメインフレーム22と、メインフレーム22から車体幅方向左右にそれぞれ分岐して車体後方寄りに延びている一対のリヤフレーム23と、メインフレーム22の後端部に接合される左右一対のハンガブラケット24とからなる。
【0027】
ヘッドパイプ21には、下端部に車軸4で前輪WFを支持するフロントフォーク5が操舵自在に支持される。フロントフォーク5から上部に延長されてヘッドパイプ21で支持されるステアリング軸6の上部には、ステアリングハンドル7が連結される。ステアリングハンドル7には、左右端にグリップ8が取り付けられるとともに、グリップ8に隣接して一対のミラー19が取り付けられる。ステアリングハンドル7は、ハンドルカバー9で覆われ、ハンドルカバー9の中央上部にメータ装置10が、中央前部にはヘッドライト11が、左右にはウィンカランプ12がそれぞれ設けられる。
【0028】
フロントフォーク5の下端部には、車軸4の回転が伝達されるフレキシブルケーブル(図示しない)とフレキシブルケーブルを収容するチューブとからなるスピードメータケーブル13の一端が連結される。スピードメータケーブル13の他端(上端)はメータ装置10内に設けられる速度計の指針81を駆動する回転軸73(指針81と回転軸73は後述する)に連結される。
【0029】
エンジン3はシリンダ31とクランク室32とを備え、シリンダ31には吸気管33を介してエアクリーナ34が連結され、吸気管33にはスロットルボディ35が設けられる。クランク室32には、車幅方向に延びるクランクシャフト32aが支持される。シリンダ31の下方には排気管36が連結され、排気管36は後方のマフラ37に連結される。エンジン3の出力回転は図示しない減速機を介して駆動側スプロケット14に伝達される。
【0030】
ハンガブラケット24には、車体幅方向に延在している枢軸15が設けられ、この枢軸15によって、後輪WRを支持するスイングアーム16が上下揺動自在に支持される。後輪WRの車軸17には従動側スプロケット18が連結され、駆動側スプロケット14および従動側スプロケット18間には駆動チェーン20が掛け渡され、エンジン3の動力が後輪WRに伝達される。スイングアーム16の後部は、リヤフレーム23に上端部が枢支されるリヤクッション40の下端部に連結されて車体フレーム2に懸架される。駆動チェーン20はチェーンケース38によって覆われる。
【0031】
ハンガブラケット24の下端にはメインスタンド39が取り付けられる。運転者が足を乗せるためのステップ40は車体幅方向に延びるパイプ41の両端に取り付けられ、このパイプ41にサイドスタンド42が取り付けられる。
【0032】
リヤフレーム23には、燃料タンク43が支持され、燃料タンク43の前下方にはバッテリ44およびエンジン3を制御するためのECU45が設けられる。外装部品として、フロントフェンダ46、レッグシールド47、センタカバー48、サイドカバー49、およびリヤフェンダ50が設けられる。燃料タンク43の上方には乗員シート51が設けられる。乗員シート51は、燃料タンク43に上部から燃料を補給可能なように、開閉自在に設けられる。リヤフレーム23の後部には荷台52が取り付けられ、リヤフェンダ50には、テールライトや後部ウィンカランプ等を含むリヤライトユニット53が設けられる。
【0033】
図2はメータ装置10の指針軸100の軸方向視図、図3はメータ装置10の左側面図、図4はメータ装置10の裏面図、図5は図3の5−5断面図、図6は上部カバーを外したメータ装置10の斜視図である。図2〜6において、メータ装置10は、車速計駆動部(ムーブメント)55と、車速計駆動部55を収容するフレームカバー56と、透明なレンズ57と、フレームカバー56の前方に取り付けられる緩衝部材としてのゴムプレート58とを備える。樹脂材料からなるフレームカバー56は、下部カバー59と、下部カバー59に被せられる上部カバー60とからなり、レンズ57は上部カバー60と接着または成形により一体で形成される。下部カバー59には、メータ装置10をハンドルカバー9に取り付けるため、車体前側と車体左右側とにそれぞれ突出して形成されるステー61、62、63が設けられる。
【0034】
上部カバー60の下部縁601は上部カバー60の外周に沿って外方に張り出しており、下部カバー59にはこの下部縁601に外側から係合できるように先端が鉤部になっている係合部591、592、593、および594が形成される。ゴムプレート58には、下部カバー59から張り出している係合部591、592の基部が貫通可能な下部矩形窓581、582と、係合部591、592の先端鉤部が貫通可能な上部矩形窓583(係合部592が貫通可能な右側の上部矩形窓は、ステー61に対して左側の上部矩形窓583と対称位置に設けられる)とが形成される。
【0035】
メータ装置10は、車速表示部64と、走行距離計65とウィンカ(方向指示灯)インジケータ66、67と、ニュートラルインジケータ68と、ヘッドライトインジケータ69と、速度警告表示灯70と、エンジン制御インジケータ71と、残燃料計72とを備える。
【0036】
下部カバー59は底壁部595および底壁部595の外縁部から上方に立ち上がる側壁部596を有しており、底壁部595には、回転中心73cを有する車速計駆動部55の回転軸(ロータ軸)73と回転軸73の軸受け部74とが貫通できる孔(挿通孔)75が設けられる。挿通孔75に軸受け部74等が貫通されている車速計駆動部55は、下部カバー59を下方から貫通させて車速計駆動部55の支持フレーム(ロータ支持フレーム)76に螺着される止めネジ77、77を使って下部カバー59に取り付けられる。ロータ支持フレーム76は鋼の板材で形成される。下部カバー59には、挿通孔75の他、メータ装置10内に設けられるバルブ等の部品を前記バッテリ44やECU45に接続するためのコネクタを取り付けるための複数の円形取付孔80や略矩形の取付孔81が形成される。
【0037】
車速計駆動部55は、車速計の指針81を駆動させる渦電流型であり、この車速計駆動部55を支持するロータ支持フレーム76は、車速計駆動部55の他、走行距離計65を共通に支持する。
【0038】
さらに、図4、図5、図6に示すように、下部カバー59の底壁部595の上面、つまりロータ支持フレーム76を据え付けている面には、ロータ支持フレーム76の側面に沿ってリブ83、84が抜け止め壁部130として立設されている。図5から理解されるように、リブ83、84は、下部カバー59の側壁部596から離間して配置されているので、リブ83、84の位置に自由度が生じ、結果として、ロータ支持フレーム76の配置に関して大きい自由度が得られる。
【0039】
車速計駆動部55のロータ85の回転を検知して車速を検出するための磁電変換素子(例えば、ホール素子)が速度センサ86として設けられる。速度センサ86はセンサ基板87上に接合された上で、センサ基板87をボルト89やピン90、91等でセンサ支持ブロック88に取り付ける。なお、速度センサ86を支持する部材としてのセンサ基板87およびセンサ支持ブロック88を、統合してセンサ支持体110と呼ぶ。さらにセンサ支持ブロック88は締結部材120である止めネジ(またはボルト)92、93によってロータ支持フレーム76に取り付けられる。リブ83、84は止めネジ92、93がロータ支持フレーム76から脱落しないように、止めネジ92、93の頭が対向する位置であって軸線92cおよび93cの延長線上に配置される。速度センサ86はロータ85より下方、つまり下部カバー59の底壁部595寄りに配置され、この速度センサ86と上下方向で近傍に配置される止めネジ93の抜け止めとしてのリブ84の高さを低く抑えることができる。
【0040】
磁石98の磁気を検知する速度センサ86を自動二輪車1のような小型の車速計などの中に配置する車両にあっては、ロータ85は比較的小径であるため、速度センサ86はロータ85に近接して配置することが必要であり、速度センサ86を装着したセンサ基板のずれが大きな誤差につながることがあるので、止めネジ92、93の抜け止めとしてのリブ83、84を設けた構造は極めて有効である。
【0041】
図5において、速度センサ86は、車体の前後方向において、止めネジ92のほぼ軸線92c上に配置されている。これによって、仮に止めネジ92が緩んでセンサ基板87を取り付けたセンサ支持ブロック88が止めネジ92の軸線周りに回動したとしても、速度センサ86の変位を最小限に抑えることができ、結果として速度検知誤差を抑えることができる。
【0042】
図7は図3の7−7断面図であり、図8は図2の8−8断面図である。なお、走行距離計65についてはその内部は本発明の要部ではないので、簡単のため外観のみを示す。
【0043】
図7、図8において、ロータ支持フレーム76は、下部カバー59の底壁部595に据え付けられ、下部カバー59の下面から挿入される止めネジ77、77によって下部カバー59に固定される。ロータ支持フレーム76は、下方に延出された筒状部分761を有し、この筒状部分761は、下部カバー59の底部に形成される挿通孔75を貫通して下部カバー59から外側に突出される。ロータ支持フレーム76の筒状部分761には、回転軸73を支持する軸受け部74が嵌装される。軸受け部74は、内周に嵌装されるスリーブ741を有しており、このスリーブ741の内周面に対して回転自在に回転軸73が支持される。
【0044】
回転軸73は下部カバー59の底壁部595よりも上方に延在しており、延在部分にヘリカルギヤ96が結合される。ヘリカルギヤ96よりもさらに上方、つまり回転軸73の先端には、椀状の導磁体97と円板状の磁石98とが結合される。円板状の磁石98の側面および上面にそれぞれ対向する面を有する椀状の誘導板99が設けられ、誘導板99の中心部には車速形の指針が取り付けられる指針軸100が結合される。誘導板99は、アルミニューム等の非磁性体からなる。
【0045】
ロータ支持フレーム76は、車体幅方向左右にそれぞれ設けられる側板101、102(側板101は図7に関して図示)の上部で車体幅方向に掛け渡される上板103を備えており、回転軸73の上端にはピボット軸受け104が形成されている。指針軸100は上部が上板103によって回転自在に支持され、下端部がピボット軸受け104で支持される。指針軸100には誘導板99の上方に隣接して付勢手段140として渦巻きバネ105が配置される。渦巻きバネ105の内端は指針軸100に固定され、渦巻きバネ105の外端は、ロータ支持フレーム76の、例えば側板102に固定される。渦巻きバネ105は、車速計の指針81を車速表示部64における車速ゼロ側に所定のトルクで付勢するように調整される。なお、付勢手段140は渦巻きバネ105に限らず、ぜんまいバネや板バネ等、指針81を車速ゼロ側に所定のトルクで付勢するように構成した部材であればよい。
【0046】
ヘリカルギヤ96に噛み合う従動側のヘリカルギヤ106が設けられる。ヘリカルギヤ106の軸は走行距離計65の軸方向に沿って延在し、このヘリカルギヤ106の回転は図示しない中間のギヤを介して走行距離計65に伝達され、走行距離計65に包含される複数段のギヤを通じて走行距離計65が駆動される。
【0047】
回転軸73の下端部には、スピードメータケーブル13によって案内されるフレキシブルケーブルの端部が結合され、前輪WFの回転がフレキシブルケーブルを通じて回転軸73に伝達される。回転軸73が回転されると、導磁体97および磁石98が回転して誘導板99内に渦電流が発生し、渦電流と磁石98の磁力との作用で、磁石98に対向する誘導板99は磁石98と同方向に回転する。磁石98は回転方向に複数の磁極が交番するように多極着磁されたパルサリングとする。
【0048】
ここで、誘導板99は指針軸100を介して渦巻きバネ105で磁石98の回転方向とは逆方向に付勢されているので、渦電流の大きさによるトルクと渦巻きバネ105のばね力とが平衡する位置で指針軸100の回転位置が決定され、指針軸100に結合される前記指針81は車速表示部64に車速を表示する。
【0049】
導磁体97を間に挟んで、磁石98の下面に対向する位置に速度センサ86が配置される。速度センサ86は磁石98の回転によって発生する磁界を検知し、磁界の変化周期に応じた波形信号が検知信号として得られる。速度センサ86の検知信号はECU45に入力され、ECU45は速度センサ86の検知信号の周期、前輪WFの径等に基づいて車速を演算し、演算された車速を所定の速度閾値と比較し、速度センサ86の検知信号が速度閾値を超えた時点で速度超過検出信号を出力する。例えば、速度閾値は車種毎の法定速度であって2段階設けられ、低い速度閾値は前記速度警告表示灯70に警報指示を出力するための第1基準値として設定され、高い閾値は燃料噴射を停止させたり点火を停止したりする等のエンジン停止信号を出力するための第2基準値として設定される。
【0050】
図7において、止めネジ93は、その軸線93cが上下方向において速度センサ86の近傍を通るように位置設定される。これによって、仮に止めネジ93が緩んでセンサ基板87を有するセンサ支持ブロック88が止めネジ93の軸線周りに回動したとしても、速度センサ86の変位を最小限に抑えることができ、結果として速度検知誤差を抑えることができる。
【0051】
ロータ支持フレーム76およびセンサ支持ブロック88に関してさらに説明する。本明細書ではロータ支持フレーム76にセンサ支持ブロック88を取り付けた組立体を、「車速検出器アセンブリ」200と呼ぶ。図9は車速検出器アセンブリ200の前方左から見た斜視図であり、図10は同正面図、図11は同左側面図、図12は同下面図である。
【0052】
車速検出器アセンブリ200のロータ支持フレーム76は、車速計駆動部55と走行距離計65とを支持するための枠組みであって、前記側板101、102と、側板101、102を下部で連結する底板107と、側板101、102を上部で連結する上板103と、側板101、102を後方側連結する横板108とからなる。なお、底板107と側板101および102は、複数部材を接合して一体としてもよいし、単一の板材を折り曲げて正面視でU字型となる部品として一体成形してもよい。上板103および横板108はそれぞれの両端に形成される溝を側板101、102の上部および後部にそれぞれ形成される溝に係合させて組み立てられる。側板101、102には走行距離計65の左右両端から突出される軸125、121を支持するため前方から切りか欠かれた横長の溝122、123を備える。
【0053】
車速検出器アセンブリ200のセンサ支持ブロック88は、二つの部材881、882からなる。部材881は左側の側板101および底板107の前端面に配置され、止めネジ92によってロータ支持フレーム76に固定される。一方、部材882は右側の側板102および底板107の前端面に配置され、止めネジ93によってロータ支持フレーム76に固定される。
【0054】
左側の部材881と右側の部材882との間にセンサ基板87が掛け渡されて配置される。右側部材881の上には車体の前後方向に沿って延在する右端案内壁885と、右端案内壁885と平行で、右側案内壁885よりも後方に配置される二つの後方案内壁886、887とを有する。右側部材882の上には、後方案内壁886、887よりも前方にピン90、91が立設される。一方、左側部材881の右側端部上には車体の右側に折れ曲がっている鉤部888が形成される。
【0055】
センサ基板87は、センサ支持ブロック88に固定される横長部分87aと速度センサ86を装着するため後方側つまり磁石98側に張り出したセンサ装着部分87bとからなり、横長部分87aの右端は右側部材882の上に設けられる右側案内壁885に突き当てられて位置規制され、横長部分87aの左端は左側部材881の鉤部888に係止されて上側および左右の位置が規制されている。さらに横長部分87aの後端は後方案内壁886、887の前端に当接しており、センサ装着部分88bの左右端は後方案内壁886、887で挟まれて位置規制されている。
【0056】
また、センサ基板には、前記ピン90、91が嵌るように位置決め孔90a、91aが形成されている。孔90aはピン90の左右位置に自由度を持たせるために左右方向に長い長孔としている。
【0057】
センサ支持ブロック88をロータ支持フレーム76に組み付ける際には、まず、センサ支持ブロック88の右側部材882にセンサ基板87を連結する。すなわち、右側案内壁885、後方案内壁886、887、並びにピン90、91に沿わせて右側部材882の上方からセンサ基板87を右側部材882の上部に乗せる。そして、ボルト89を使用してセンサ基板87を右側部材882に締結固定する。
【0058】
次いで、速度センサ86を実装されたセンサ基板87を組み付けた右側部材882を、側板102と底板107の前端面に沿わせ、止めネジ93を使用して側板102に締結固定する。次に、左側部材881を、側板101と底板107の前端面に沿わせ、止めネジ92を使用して側板101に締結固定する。
【0059】
このようにしてロータ支持フレーム76にセンサ支持ブロック88を固定した状態では、センサ基板87は、右側部材882の案内壁885、886、887ならびにピン90、91やボルト89によって位置規制されるとともに、左側部材881の鉤部888で左端と上方とが位置規制される。なお、ボルト89は、当初は仮止めとしておき、最終的に速度センサ86と磁石98の磁路との位置関係を適切に調整した後、さらに増し締めするのがよい。
【0060】
車速検出器アセンブリ200をフレームカバー56の下部カバー59に装着した状態では、締結部材120としての止めネジ92、93の頭が、抜け止め壁部130であるリブ83、84に対向する位置にあって、止めネジ92、93が抜け落ちることが防止される。
【0061】
本発明を、好適な実施形態に従って説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で変形することができる。
【0062】
例えば、本実施形態ではセンサ基板87をセンサ支持ブロック88に取り付けたうえで、その組立体をロータ支持フレーム76に取り付けたが、センサ支持ブロック88を樹脂等の非導電体で形成して、そのセンサ支持ブロック88に速度センサ86を直接装着してもよい。つまりセンサ基板を兼ねるセンサ支持ブロック88自体をセンサ支持体とする構成であってもよい。また、センサ支持ブロック88は二つの部材881、882に分割するものに限らず、単一の部材から構成してもよい。
【0063】
ボルト92、93の抜け止め壁部130は下部カバー59と一体に形成するものに限らず、下部カバー59と別体のアングル材を抜け止め壁部として下部カバー59に接合してあってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…自動二輪車、 2…車体フレーム、 3…エンジン、 10…メータ装置、 13…スピードメータケーブル、 16…スイングアーム、 56…フレームカバー、 57…レンズ、 59…下部カバー、 60…上部カバー、 64…車速表示部、 73…回転軸、 76…ロータ支持フレーム、 83、84…リブ、 85…ロータ、 86…速度センサ、 87…センサ基板、 88…センサ支持ブロック、 92、93…止めネジ、 98…磁石(磁気発生手段)、 110…センサ支持体、 120…締結部材、 130…抜け止め壁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用メータ装置に関し、特に、車速が所定値以上になったことを検知する速度センサを支持するセンサ基板をメータ装置のフレーム部材に取り付けるための取り付け構造を有する車両用メータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルケーブルを介して車輪の回転が伝達される回転軸に設けられる磁石と、該磁石の磁気回路中に配置されて渦巻きバネでゼロ点に付勢される誘導板とを備え、前記磁石の回転によって発生する渦電流作用によって回転変位する前記誘電板に結合した指針で速度表示する渦電流型の速度計が知られる(例えば、特許文献1に記載されているもの)。この速度計では、前記磁石の回転による磁界変化を磁電変換素子(ホール素子)で検出して、車両の速度が所定値以上になったときに警報器を作動させる速度検出装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−88752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている従来の渦電流型の速度計に設けられる車速検出装置は、ホール素子が取り付けられている基板をフレーム部材にボルト止めするものであるが、ボルトが緩んでホール素子の位置がずれてしまうと、磁界の変化によるホール素子の出力電圧が変化するため、磁界の変化によって車速を検出している装置では、本来検出したい速度の値がずれて速度検出精度が低下してしまうということが考えられる。
【0005】
そこで、ボルトの抜け落ちや緩みを防止する一般的な対策として、メータ装置のフレーム部材側に鉄片を取り付け、この鉄片を、ボルト締結後にボルトの頭の側面に沿って折り曲げるという手法が考えられるが、この場合、ボルトの他に鉄片を必要とするので部品点数の増大につながる上に、ボルトの頭部形状が四角や六角形等に限定され、さらには、ボルトの取り付け取り外し毎に鉄片を新しいものと交換する必要があるので、交換の手間が増えるし、作業性も悪いという課題が残る。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、ホールIC等の磁電変換素子を速度センサとして所定の車速値を検出する速度検出装置を有する車両用メータ装置において、速度センサの取り付けに特殊なボルトを使ったりボルト止めとして鉄片等の別部品を使ったりすることなく、速度センサの位置ずれを抑制して所定の検出精度を確保することができる車両用メータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明は、磁気発生手段(98)を有し、かつ車輪(WF)の回転に同期して回転するロータ(85)と、前記磁気発生手段(98)の磁気回路中に配置され、前記磁気回路の磁界変化に基づいて前記ロータ(85)の回転を検知する速度センサ(86)と、前記速度センサ(86)が取り付けられるセンサ支持体(110)と、前記ロータ(85)を回転可能に軸支するとともに、前記センサ支持体(110)が締結部材(120)によって固定されるロータ支持フレーム(76)と、前記ロータ支持フレーム(76)の周囲を覆い、前記ロータ(85)、前記速度センサ(86)、およびセンサ支持体(110)を収容するフレームカバー部材(59)とを備える車両用メータ装置において、前記フレームカバー部材(59)には、該フレームカバー部材(59)内に前記センサ支持体(110)が固定された前記ロータ支持フレーム(76)を収容した状態で前記締結部材(120)の脱着方向に対向して該締結部材(120)の抜け止めとなる抜け止め壁部(130)が設けられている点に第1の特徴がある。
【0008】
また、本発明は、前記ロータ(85)が、その下方に、前記車輪(WF)と同期する回転を前記ロータ(85)に伝達する回転軸(73)が連結されるものであり、前記フレームカバー部材(59)は、前記回転軸(73)を挿通する挿通孔(75)を有する底壁部(595)を備え、前記締結部材(120)が、前記底壁部(595)と平行に取り付けられるボルトであり、前記抜け止め壁部(130)は前記底壁部(595)から上方に延在して該底壁部(595)と一体に形成されている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記フレームカバー部材(59)が、前記底壁部(595)の外縁部から上方に立ち上がる側壁部(596)を備えており、前記抜け止め壁部(130)は、前記側壁部(596)から離間して配置される点に第3の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、前記速度センサ(86)が、前記締結部材(120)であるボルトの軸線の延長線近傍に配置される点に第4の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、前記速度センサ(86)が、前記ロータ(85)より下方に配置される点に第5の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、前記ボルトが前記ロータ支持フレーム(76)に対向する向きとなるように少なくとも2本取り付けられ、
【0013】
前記少なくとも2本のボルト(92、93)は、互いの軸線(92c、93c)をずらして配置される点に第6の特徴がある。
【0014】
また、本発明は、前記センサ支持体(110)が、前記速度センサ(86)を装着したセンサ基板(87)と、該センサ基板(87)が取り付けられるセンサ支持ブロック(88)とからなり、前記締結部材(120)によって、センサ支持ブロック(88)が前記ロータ支持フレーム(76)に締結されており、前記速度センサ(86)が、前記ロータ(85)の軸方向視において該ロータ(85)と重なる位置に配置され、前記センサ基板(87)は、前記ロータ(85)の軸方向に直交する向きに配置される点に第7の特徴がある。
【0015】
また、本発明は、前記車両が、車幅方向に延びるクランクシャフト(32a)を備える内燃機関(3)を備えた車両であり、前記ボルトはクランクシャフト(32a)に平行に配置される点に第8の特徴がある。
【発明の効果】
【0016】
第1の特徴を有する本発明によれば、ロータ支持フレームをフレームカバー部材から取り出さない限り、センサ支持体をロータ支持フレームに取り付けている締結部材が抜けることがなく、センサ支持体がロータ支持フレームから外れることがないので、ボルト止めを有するボルト等、特殊な構造の締結部材を用いることなく、速度検出誤差を最小限に抑えて所定の検出精度を確保することができる。特に、磁気を検知する速度センサを自動二輪車のような小型の速度計等の中に配置するものにあっては、小径のロータと速度センサと近接配置させることが必要で、速度センサを支持する基板等のセンサ支持体のわずかなずれが大きな誤差につながることも考えられるので、そのような場合には極めて有効な構造となる。
【0017】
第2の特徴を有する本発明によれば、抜け止め壁部を底壁部と一体に形成したので、型成型等により抜け止め壁部を容易に設けることができる。
【0018】
第3の特徴を有する本発明によれば、抜け止め壁部の位置に自由度が生じ、結果として、ロータ支持フレームの配置に関して大きい自由度が得られる。
【0019】
第4の特徴を有する本発明によれば、速度センサが、ボルトの軸線の延長線近傍に配置されるので、仮にボルトが緩んでセンサ支持体がボルトの軸線周りに回動したとしても、速度センサの変位を最小限に抑えることができ、結果として速度検知誤差を抑えることができる。
【0020】
第5の特徴を有する本発明によれば、速度センサがフレームカバー部材の底壁部寄りに配置され、締結部材は、速度センサと上下方向で近傍に配置されるので、締結部材の抜け止め壁部の高さを低く抑えることができる。
【0021】
第6の特徴を有する本発明によれば、締結部材としてのボルトが緩んだとしても、センサ支持体は、ロータ支持フレームに対して回りにくい。
【0022】
第7の特徴を有する本発明によれば、センサ基板の形状やセンサ基板上における速度センサの配置を変えるだけで、速度センサのロータの半径方向における位置を比較的容易に変えることができるので、ロータの径を変更しやすい。
【0023】
第8の特徴を有する本発明によれば、クランクシャフトとボルトの軸方向が一致しているので、クランクシャフトが発生する振動につられてボルトが回りやすい配置となるものの、万が一ボルトが緩んでしまったとしても抜け止め壁によってボルトが抜けることがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るメータ装置を備えた自動二輪車の左側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る自動二輪車のメータ装置の指針軸方向視図である。
【図3】メータ装置の左側面図である。
【図4】メータ装置の裏面図である。
【図5】図3の5−5断面図である。
【図6】上部カバーを外したメータ装置の斜視図である。
【図7】図3の7−7断面図である。
【図8】図2の8−8断面図である。
【図9】車速検出器アセンブリの前方左から見た斜視図である。
【図10】車速検出器アセンブリの正面図である。
【図11】車速検出器アセンブリの左側面図である。
【図12】車速検出器アセンブリの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。以下に参照する図1、図3においては自動二輪車1の前方を符号Frで、左右はそれぞれ符号L、Rで、上方は符号Upで示す。また、図2、図4〜図12は自動二輪車1に対して後傾斜しているメータ装置10を示す図であり、図2、図4〜図12においては、メータ装置10の車速計の指針軸100の軸方向における上方は符号MUpで示し、メータ装置10の方向MUpに直交する方向における前方を符号MFrで示す。
【0026】
図1は本発明の一実施形態に係る車速検出装置を含むメータ装置を備えた自動二輪車の左側面図である。図1ならびに以下に参照する図3において、また、自動二輪車1は車体フレーム2に懸架される単気筒4サイクルエンジン(内燃機関)3を駆動源とする。車体フレーム2は、ヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21に先端が接合されて後端が下方に延びているメインフレーム22と、メインフレーム22から車体幅方向左右にそれぞれ分岐して車体後方寄りに延びている一対のリヤフレーム23と、メインフレーム22の後端部に接合される左右一対のハンガブラケット24とからなる。
【0027】
ヘッドパイプ21には、下端部に車軸4で前輪WFを支持するフロントフォーク5が操舵自在に支持される。フロントフォーク5から上部に延長されてヘッドパイプ21で支持されるステアリング軸6の上部には、ステアリングハンドル7が連結される。ステアリングハンドル7には、左右端にグリップ8が取り付けられるとともに、グリップ8に隣接して一対のミラー19が取り付けられる。ステアリングハンドル7は、ハンドルカバー9で覆われ、ハンドルカバー9の中央上部にメータ装置10が、中央前部にはヘッドライト11が、左右にはウィンカランプ12がそれぞれ設けられる。
【0028】
フロントフォーク5の下端部には、車軸4の回転が伝達されるフレキシブルケーブル(図示しない)とフレキシブルケーブルを収容するチューブとからなるスピードメータケーブル13の一端が連結される。スピードメータケーブル13の他端(上端)はメータ装置10内に設けられる速度計の指針81を駆動する回転軸73(指針81と回転軸73は後述する)に連結される。
【0029】
エンジン3はシリンダ31とクランク室32とを備え、シリンダ31には吸気管33を介してエアクリーナ34が連結され、吸気管33にはスロットルボディ35が設けられる。クランク室32には、車幅方向に延びるクランクシャフト32aが支持される。シリンダ31の下方には排気管36が連結され、排気管36は後方のマフラ37に連結される。エンジン3の出力回転は図示しない減速機を介して駆動側スプロケット14に伝達される。
【0030】
ハンガブラケット24には、車体幅方向に延在している枢軸15が設けられ、この枢軸15によって、後輪WRを支持するスイングアーム16が上下揺動自在に支持される。後輪WRの車軸17には従動側スプロケット18が連結され、駆動側スプロケット14および従動側スプロケット18間には駆動チェーン20が掛け渡され、エンジン3の動力が後輪WRに伝達される。スイングアーム16の後部は、リヤフレーム23に上端部が枢支されるリヤクッション40の下端部に連結されて車体フレーム2に懸架される。駆動チェーン20はチェーンケース38によって覆われる。
【0031】
ハンガブラケット24の下端にはメインスタンド39が取り付けられる。運転者が足を乗せるためのステップ40は車体幅方向に延びるパイプ41の両端に取り付けられ、このパイプ41にサイドスタンド42が取り付けられる。
【0032】
リヤフレーム23には、燃料タンク43が支持され、燃料タンク43の前下方にはバッテリ44およびエンジン3を制御するためのECU45が設けられる。外装部品として、フロントフェンダ46、レッグシールド47、センタカバー48、サイドカバー49、およびリヤフェンダ50が設けられる。燃料タンク43の上方には乗員シート51が設けられる。乗員シート51は、燃料タンク43に上部から燃料を補給可能なように、開閉自在に設けられる。リヤフレーム23の後部には荷台52が取り付けられ、リヤフェンダ50には、テールライトや後部ウィンカランプ等を含むリヤライトユニット53が設けられる。
【0033】
図2はメータ装置10の指針軸100の軸方向視図、図3はメータ装置10の左側面図、図4はメータ装置10の裏面図、図5は図3の5−5断面図、図6は上部カバーを外したメータ装置10の斜視図である。図2〜6において、メータ装置10は、車速計駆動部(ムーブメント)55と、車速計駆動部55を収容するフレームカバー56と、透明なレンズ57と、フレームカバー56の前方に取り付けられる緩衝部材としてのゴムプレート58とを備える。樹脂材料からなるフレームカバー56は、下部カバー59と、下部カバー59に被せられる上部カバー60とからなり、レンズ57は上部カバー60と接着または成形により一体で形成される。下部カバー59には、メータ装置10をハンドルカバー9に取り付けるため、車体前側と車体左右側とにそれぞれ突出して形成されるステー61、62、63が設けられる。
【0034】
上部カバー60の下部縁601は上部カバー60の外周に沿って外方に張り出しており、下部カバー59にはこの下部縁601に外側から係合できるように先端が鉤部になっている係合部591、592、593、および594が形成される。ゴムプレート58には、下部カバー59から張り出している係合部591、592の基部が貫通可能な下部矩形窓581、582と、係合部591、592の先端鉤部が貫通可能な上部矩形窓583(係合部592が貫通可能な右側の上部矩形窓は、ステー61に対して左側の上部矩形窓583と対称位置に設けられる)とが形成される。
【0035】
メータ装置10は、車速表示部64と、走行距離計65とウィンカ(方向指示灯)インジケータ66、67と、ニュートラルインジケータ68と、ヘッドライトインジケータ69と、速度警告表示灯70と、エンジン制御インジケータ71と、残燃料計72とを備える。
【0036】
下部カバー59は底壁部595および底壁部595の外縁部から上方に立ち上がる側壁部596を有しており、底壁部595には、回転中心73cを有する車速計駆動部55の回転軸(ロータ軸)73と回転軸73の軸受け部74とが貫通できる孔(挿通孔)75が設けられる。挿通孔75に軸受け部74等が貫通されている車速計駆動部55は、下部カバー59を下方から貫通させて車速計駆動部55の支持フレーム(ロータ支持フレーム)76に螺着される止めネジ77、77を使って下部カバー59に取り付けられる。ロータ支持フレーム76は鋼の板材で形成される。下部カバー59には、挿通孔75の他、メータ装置10内に設けられるバルブ等の部品を前記バッテリ44やECU45に接続するためのコネクタを取り付けるための複数の円形取付孔80や略矩形の取付孔81が形成される。
【0037】
車速計駆動部55は、車速計の指針81を駆動させる渦電流型であり、この車速計駆動部55を支持するロータ支持フレーム76は、車速計駆動部55の他、走行距離計65を共通に支持する。
【0038】
さらに、図4、図5、図6に示すように、下部カバー59の底壁部595の上面、つまりロータ支持フレーム76を据え付けている面には、ロータ支持フレーム76の側面に沿ってリブ83、84が抜け止め壁部130として立設されている。図5から理解されるように、リブ83、84は、下部カバー59の側壁部596から離間して配置されているので、リブ83、84の位置に自由度が生じ、結果として、ロータ支持フレーム76の配置に関して大きい自由度が得られる。
【0039】
車速計駆動部55のロータ85の回転を検知して車速を検出するための磁電変換素子(例えば、ホール素子)が速度センサ86として設けられる。速度センサ86はセンサ基板87上に接合された上で、センサ基板87をボルト89やピン90、91等でセンサ支持ブロック88に取り付ける。なお、速度センサ86を支持する部材としてのセンサ基板87およびセンサ支持ブロック88を、統合してセンサ支持体110と呼ぶ。さらにセンサ支持ブロック88は締結部材120である止めネジ(またはボルト)92、93によってロータ支持フレーム76に取り付けられる。リブ83、84は止めネジ92、93がロータ支持フレーム76から脱落しないように、止めネジ92、93の頭が対向する位置であって軸線92cおよび93cの延長線上に配置される。速度センサ86はロータ85より下方、つまり下部カバー59の底壁部595寄りに配置され、この速度センサ86と上下方向で近傍に配置される止めネジ93の抜け止めとしてのリブ84の高さを低く抑えることができる。
【0040】
磁石98の磁気を検知する速度センサ86を自動二輪車1のような小型の車速計などの中に配置する車両にあっては、ロータ85は比較的小径であるため、速度センサ86はロータ85に近接して配置することが必要であり、速度センサ86を装着したセンサ基板のずれが大きな誤差につながることがあるので、止めネジ92、93の抜け止めとしてのリブ83、84を設けた構造は極めて有効である。
【0041】
図5において、速度センサ86は、車体の前後方向において、止めネジ92のほぼ軸線92c上に配置されている。これによって、仮に止めネジ92が緩んでセンサ基板87を取り付けたセンサ支持ブロック88が止めネジ92の軸線周りに回動したとしても、速度センサ86の変位を最小限に抑えることができ、結果として速度検知誤差を抑えることができる。
【0042】
図7は図3の7−7断面図であり、図8は図2の8−8断面図である。なお、走行距離計65についてはその内部は本発明の要部ではないので、簡単のため外観のみを示す。
【0043】
図7、図8において、ロータ支持フレーム76は、下部カバー59の底壁部595に据え付けられ、下部カバー59の下面から挿入される止めネジ77、77によって下部カバー59に固定される。ロータ支持フレーム76は、下方に延出された筒状部分761を有し、この筒状部分761は、下部カバー59の底部に形成される挿通孔75を貫通して下部カバー59から外側に突出される。ロータ支持フレーム76の筒状部分761には、回転軸73を支持する軸受け部74が嵌装される。軸受け部74は、内周に嵌装されるスリーブ741を有しており、このスリーブ741の内周面に対して回転自在に回転軸73が支持される。
【0044】
回転軸73は下部カバー59の底壁部595よりも上方に延在しており、延在部分にヘリカルギヤ96が結合される。ヘリカルギヤ96よりもさらに上方、つまり回転軸73の先端には、椀状の導磁体97と円板状の磁石98とが結合される。円板状の磁石98の側面および上面にそれぞれ対向する面を有する椀状の誘導板99が設けられ、誘導板99の中心部には車速形の指針が取り付けられる指針軸100が結合される。誘導板99は、アルミニューム等の非磁性体からなる。
【0045】
ロータ支持フレーム76は、車体幅方向左右にそれぞれ設けられる側板101、102(側板101は図7に関して図示)の上部で車体幅方向に掛け渡される上板103を備えており、回転軸73の上端にはピボット軸受け104が形成されている。指針軸100は上部が上板103によって回転自在に支持され、下端部がピボット軸受け104で支持される。指針軸100には誘導板99の上方に隣接して付勢手段140として渦巻きバネ105が配置される。渦巻きバネ105の内端は指針軸100に固定され、渦巻きバネ105の外端は、ロータ支持フレーム76の、例えば側板102に固定される。渦巻きバネ105は、車速計の指針81を車速表示部64における車速ゼロ側に所定のトルクで付勢するように調整される。なお、付勢手段140は渦巻きバネ105に限らず、ぜんまいバネや板バネ等、指針81を車速ゼロ側に所定のトルクで付勢するように構成した部材であればよい。
【0046】
ヘリカルギヤ96に噛み合う従動側のヘリカルギヤ106が設けられる。ヘリカルギヤ106の軸は走行距離計65の軸方向に沿って延在し、このヘリカルギヤ106の回転は図示しない中間のギヤを介して走行距離計65に伝達され、走行距離計65に包含される複数段のギヤを通じて走行距離計65が駆動される。
【0047】
回転軸73の下端部には、スピードメータケーブル13によって案内されるフレキシブルケーブルの端部が結合され、前輪WFの回転がフレキシブルケーブルを通じて回転軸73に伝達される。回転軸73が回転されると、導磁体97および磁石98が回転して誘導板99内に渦電流が発生し、渦電流と磁石98の磁力との作用で、磁石98に対向する誘導板99は磁石98と同方向に回転する。磁石98は回転方向に複数の磁極が交番するように多極着磁されたパルサリングとする。
【0048】
ここで、誘導板99は指針軸100を介して渦巻きバネ105で磁石98の回転方向とは逆方向に付勢されているので、渦電流の大きさによるトルクと渦巻きバネ105のばね力とが平衡する位置で指針軸100の回転位置が決定され、指針軸100に結合される前記指針81は車速表示部64に車速を表示する。
【0049】
導磁体97を間に挟んで、磁石98の下面に対向する位置に速度センサ86が配置される。速度センサ86は磁石98の回転によって発生する磁界を検知し、磁界の変化周期に応じた波形信号が検知信号として得られる。速度センサ86の検知信号はECU45に入力され、ECU45は速度センサ86の検知信号の周期、前輪WFの径等に基づいて車速を演算し、演算された車速を所定の速度閾値と比較し、速度センサ86の検知信号が速度閾値を超えた時点で速度超過検出信号を出力する。例えば、速度閾値は車種毎の法定速度であって2段階設けられ、低い速度閾値は前記速度警告表示灯70に警報指示を出力するための第1基準値として設定され、高い閾値は燃料噴射を停止させたり点火を停止したりする等のエンジン停止信号を出力するための第2基準値として設定される。
【0050】
図7において、止めネジ93は、その軸線93cが上下方向において速度センサ86の近傍を通るように位置設定される。これによって、仮に止めネジ93が緩んでセンサ基板87を有するセンサ支持ブロック88が止めネジ93の軸線周りに回動したとしても、速度センサ86の変位を最小限に抑えることができ、結果として速度検知誤差を抑えることができる。
【0051】
ロータ支持フレーム76およびセンサ支持ブロック88に関してさらに説明する。本明細書ではロータ支持フレーム76にセンサ支持ブロック88を取り付けた組立体を、「車速検出器アセンブリ」200と呼ぶ。図9は車速検出器アセンブリ200の前方左から見た斜視図であり、図10は同正面図、図11は同左側面図、図12は同下面図である。
【0052】
車速検出器アセンブリ200のロータ支持フレーム76は、車速計駆動部55と走行距離計65とを支持するための枠組みであって、前記側板101、102と、側板101、102を下部で連結する底板107と、側板101、102を上部で連結する上板103と、側板101、102を後方側連結する横板108とからなる。なお、底板107と側板101および102は、複数部材を接合して一体としてもよいし、単一の板材を折り曲げて正面視でU字型となる部品として一体成形してもよい。上板103および横板108はそれぞれの両端に形成される溝を側板101、102の上部および後部にそれぞれ形成される溝に係合させて組み立てられる。側板101、102には走行距離計65の左右両端から突出される軸125、121を支持するため前方から切りか欠かれた横長の溝122、123を備える。
【0053】
車速検出器アセンブリ200のセンサ支持ブロック88は、二つの部材881、882からなる。部材881は左側の側板101および底板107の前端面に配置され、止めネジ92によってロータ支持フレーム76に固定される。一方、部材882は右側の側板102および底板107の前端面に配置され、止めネジ93によってロータ支持フレーム76に固定される。
【0054】
左側の部材881と右側の部材882との間にセンサ基板87が掛け渡されて配置される。右側部材881の上には車体の前後方向に沿って延在する右端案内壁885と、右端案内壁885と平行で、右側案内壁885よりも後方に配置される二つの後方案内壁886、887とを有する。右側部材882の上には、後方案内壁886、887よりも前方にピン90、91が立設される。一方、左側部材881の右側端部上には車体の右側に折れ曲がっている鉤部888が形成される。
【0055】
センサ基板87は、センサ支持ブロック88に固定される横長部分87aと速度センサ86を装着するため後方側つまり磁石98側に張り出したセンサ装着部分87bとからなり、横長部分87aの右端は右側部材882の上に設けられる右側案内壁885に突き当てられて位置規制され、横長部分87aの左端は左側部材881の鉤部888に係止されて上側および左右の位置が規制されている。さらに横長部分87aの後端は後方案内壁886、887の前端に当接しており、センサ装着部分88bの左右端は後方案内壁886、887で挟まれて位置規制されている。
【0056】
また、センサ基板には、前記ピン90、91が嵌るように位置決め孔90a、91aが形成されている。孔90aはピン90の左右位置に自由度を持たせるために左右方向に長い長孔としている。
【0057】
センサ支持ブロック88をロータ支持フレーム76に組み付ける際には、まず、センサ支持ブロック88の右側部材882にセンサ基板87を連結する。すなわち、右側案内壁885、後方案内壁886、887、並びにピン90、91に沿わせて右側部材882の上方からセンサ基板87を右側部材882の上部に乗せる。そして、ボルト89を使用してセンサ基板87を右側部材882に締結固定する。
【0058】
次いで、速度センサ86を実装されたセンサ基板87を組み付けた右側部材882を、側板102と底板107の前端面に沿わせ、止めネジ93を使用して側板102に締結固定する。次に、左側部材881を、側板101と底板107の前端面に沿わせ、止めネジ92を使用して側板101に締結固定する。
【0059】
このようにしてロータ支持フレーム76にセンサ支持ブロック88を固定した状態では、センサ基板87は、右側部材882の案内壁885、886、887ならびにピン90、91やボルト89によって位置規制されるとともに、左側部材881の鉤部888で左端と上方とが位置規制される。なお、ボルト89は、当初は仮止めとしておき、最終的に速度センサ86と磁石98の磁路との位置関係を適切に調整した後、さらに増し締めするのがよい。
【0060】
車速検出器アセンブリ200をフレームカバー56の下部カバー59に装着した状態では、締結部材120としての止めネジ92、93の頭が、抜け止め壁部130であるリブ83、84に対向する位置にあって、止めネジ92、93が抜け落ちることが防止される。
【0061】
本発明を、好適な実施形態に従って説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で変形することができる。
【0062】
例えば、本実施形態ではセンサ基板87をセンサ支持ブロック88に取り付けたうえで、その組立体をロータ支持フレーム76に取り付けたが、センサ支持ブロック88を樹脂等の非導電体で形成して、そのセンサ支持ブロック88に速度センサ86を直接装着してもよい。つまりセンサ基板を兼ねるセンサ支持ブロック88自体をセンサ支持体とする構成であってもよい。また、センサ支持ブロック88は二つの部材881、882に分割するものに限らず、単一の部材から構成してもよい。
【0063】
ボルト92、93の抜け止め壁部130は下部カバー59と一体に形成するものに限らず、下部カバー59と別体のアングル材を抜け止め壁部として下部カバー59に接合してあってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…自動二輪車、 2…車体フレーム、 3…エンジン、 10…メータ装置、 13…スピードメータケーブル、 16…スイングアーム、 56…フレームカバー、 57…レンズ、 59…下部カバー、 60…上部カバー、 64…車速表示部、 73…回転軸、 76…ロータ支持フレーム、 83、84…リブ、 85…ロータ、 86…速度センサ、 87…センサ基板、 88…センサ支持ブロック、 92、93…止めネジ、 98…磁石(磁気発生手段)、 110…センサ支持体、 120…締結部材、 130…抜け止め壁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気発生手段(98)を有し、かつ車輪(WF)の回転に同期して回転するロータ(85)と、前記磁気発生手段(98)の磁気回路中に配置され、前記磁気回路の磁界変化に基づいて前記ロータ(85)の回転を検知する速度センサ(86)と、前記速度センサ(86)が取り付けられるセンサ支持体(110)と、前記ロータ(85)を回転可能に軸支するとともに、前記センサ支持体(110)が締結部材(120)によって固定されるロータ支持フレーム(76)と、前記ロータ支持フレーム(76)の周囲を覆い、前記ロータ(85)、前記速度センサ(86)、およびセンサ支持体(110)を収容するフレームカバー部材(59)とを備える車両用メータ装置において、
前記フレームカバー部材(59)には、該フレームカバー部材(59)内に前記センサ支持体(110)が固定された前記ロータ支持フレーム(76)を収容した状態で前記締結部材(120)の脱着方向に対向して該締結部材(120)の抜け止めとなる抜け止め壁部(130)が設けられていることを特徴とする車両用メータ装置。
【請求項2】
前記ロータ(85)は、その下方に、前記車輪(WF)と同期する回転を前記ロータ(85)に伝達する回転軸(73)が連結されるものであり、
前記フレームカバー部材(59)は、前記回転軸(73)を挿通する挿通孔(75)を有する底壁部(595)を備え、前記締結部材(120)は、前記底壁部(595)と平行に取り付けられるボルトであり、前記抜け止め壁部(130)は前記底壁部(595)から上方に延在して該底壁部(595)と一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用メータ装置。
【請求項3】
前記フレームカバー部材(59)が、前記底壁部(595)の外縁部から上方に立ち上がる側壁部(596)を備えており、前記抜け止め壁部(130)は、前記側壁部(596)から離間して配置されることを特徴とする請求項2記載の車両用メータ装置。
【請求項4】
前記速度センサ(86)が、前記締結部材(120)であるボルトの軸線の延長線近傍に配置されていることを特徴とする請求項2または3記載の車両用メータ装置。
【請求項5】
前記速度センサ(86)が、前記ロータ(85)より下方に配置されることを特徴とする請求項4記載の車両用メータ装置。
【請求項6】
前記ボルトが前記ロータ支持フレーム(76)に対向する向きとなるように少なくとも2本取り付けられ、
前記少なくとも2本のボルト(92、93)は、互いの軸線(92c、93c)をずらして配置されていることを特徴とする請求項4または5記載の車両用メータ装置。
【請求項7】
前記センサ支持体(110)が、前記速度センサ(86)を装着したセンサ基板(87)と、該センサ基板(87)が取り付けられるセンサ支持ブロック(88)とからなり、
前記締結部材(120)によって、センサ支持ブロック(88)が前記ロータ支持フレーム(76)に締結され、
前記速度センサ(86)が、前記ロータ(85)の軸方向視において該ロータ(85)と重なる位置に配置され、
前記センサ基板(87)は、前記ロータ(85)の軸方向に直交する向きに配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車両用メータ装置。
【請求項8】
前記車両が、車幅方向に延びるクランクシャフト(32a)を備える内燃機関(3)を備えた車両であり、
前記ボルトはクランクシャフト(32a)に平行に配置されることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の車両用メータ装置。
【請求項1】
磁気発生手段(98)を有し、かつ車輪(WF)の回転に同期して回転するロータ(85)と、前記磁気発生手段(98)の磁気回路中に配置され、前記磁気回路の磁界変化に基づいて前記ロータ(85)の回転を検知する速度センサ(86)と、前記速度センサ(86)が取り付けられるセンサ支持体(110)と、前記ロータ(85)を回転可能に軸支するとともに、前記センサ支持体(110)が締結部材(120)によって固定されるロータ支持フレーム(76)と、前記ロータ支持フレーム(76)の周囲を覆い、前記ロータ(85)、前記速度センサ(86)、およびセンサ支持体(110)を収容するフレームカバー部材(59)とを備える車両用メータ装置において、
前記フレームカバー部材(59)には、該フレームカバー部材(59)内に前記センサ支持体(110)が固定された前記ロータ支持フレーム(76)を収容した状態で前記締結部材(120)の脱着方向に対向して該締結部材(120)の抜け止めとなる抜け止め壁部(130)が設けられていることを特徴とする車両用メータ装置。
【請求項2】
前記ロータ(85)は、その下方に、前記車輪(WF)と同期する回転を前記ロータ(85)に伝達する回転軸(73)が連結されるものであり、
前記フレームカバー部材(59)は、前記回転軸(73)を挿通する挿通孔(75)を有する底壁部(595)を備え、前記締結部材(120)は、前記底壁部(595)と平行に取り付けられるボルトであり、前記抜け止め壁部(130)は前記底壁部(595)から上方に延在して該底壁部(595)と一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用メータ装置。
【請求項3】
前記フレームカバー部材(59)が、前記底壁部(595)の外縁部から上方に立ち上がる側壁部(596)を備えており、前記抜け止め壁部(130)は、前記側壁部(596)から離間して配置されることを特徴とする請求項2記載の車両用メータ装置。
【請求項4】
前記速度センサ(86)が、前記締結部材(120)であるボルトの軸線の延長線近傍に配置されていることを特徴とする請求項2または3記載の車両用メータ装置。
【請求項5】
前記速度センサ(86)が、前記ロータ(85)より下方に配置されることを特徴とする請求項4記載の車両用メータ装置。
【請求項6】
前記ボルトが前記ロータ支持フレーム(76)に対向する向きとなるように少なくとも2本取り付けられ、
前記少なくとも2本のボルト(92、93)は、互いの軸線(92c、93c)をずらして配置されていることを特徴とする請求項4または5記載の車両用メータ装置。
【請求項7】
前記センサ支持体(110)が、前記速度センサ(86)を装着したセンサ基板(87)と、該センサ基板(87)が取り付けられるセンサ支持ブロック(88)とからなり、
前記締結部材(120)によって、センサ支持ブロック(88)が前記ロータ支持フレーム(76)に締結され、
前記速度センサ(86)が、前記ロータ(85)の軸方向視において該ロータ(85)と重なる位置に配置され、
前記センサ基板(87)は、前記ロータ(85)の軸方向に直交する向きに配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車両用メータ装置。
【請求項8】
前記車両が、車幅方向に延びるクランクシャフト(32a)を備える内燃機関(3)を備えた車両であり、
前記ボルトはクランクシャフト(32a)に平行に配置されることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の車両用メータ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−112259(P2013−112259A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261857(P2011−261857)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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