説明

車両用冷却収納装置

【課題】高熱負荷時から低熱負荷時に渡って効率よく圧縮機を駆動すること。
【解決手段】車両に搭載された電動モータ32と、車両に搭載されたコンテナの内部を冷却する冷却ユニット27と、冷却ユニット27において冷媒を圧縮する圧縮機24に接続し、動力の入力先を選択可能な入力選択機構30と、エンジンEGの動力を入力選択機構30に伝達するエンジン動力伝達部39と、電動モータ32の動力を入力選択機構30に伝達するモータ動力伝達部31と、入力選択機構30を動作させることにより、エンジンEGが運転されている場合に圧縮機24に対する動力の入力先をエンジンEG及び電動モータ32から選択する駆動制御部100とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用冷却収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍食品等の商品を運搬する場合には、冷却収納装置を備えた車両が多く用いられている。この種の車両用冷却収納装置では、冷却ユニットを駆動することによって断熱収納庫の内部に冷却空気を供給し、断熱収納庫に収納した商品を所望の冷却温度に維持するようにしている。冷却ユニットは、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を備え、圧縮機において圧縮した高温高圧の冷媒を循環させることにようにしたものである。
【0003】
圧縮機の駆動源としては、車両に搭載された走行用のエンジンを用いるもの(例えば、特許文献1参照)や車両に搭載された電動モータを用いるもの(例えば、特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−290116号公報
【特許文献2】特開2000−283622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走行用のエンジンによって圧縮機を駆動するように構成したものは、動力の伝達効率の点で有利であり、プルダウン運転時のように、圧縮機を常時高速で回転させて断熱収納庫の内部温度を短時間のうちに冷却するような高熱負荷状況下に好適である。しかしながら、走行用のエンジンは、冷却ユニットの熱負荷とは無関係に運転されるものである。このため、例えば断熱収納庫の内部温度と目標温度との偏差が小さくなった低熱負荷状況下では、圧縮機に要求される回転数とエンジンの回転数とが大きくかけ離れることとなり、圧縮機を適正に動作させるための制御がきわめて煩雑となる。
【0006】
一方、電動モータによって圧縮機を駆動するように構成したものは、車両の走行状態にかかわらず電動モータの回転数を容易に、かつ任意に制御することが可能である。従って、断熱収納庫の内部温度と目標温度との偏差が小さい低熱負荷状況下においても、煩雑な制御を伴うことなく圧縮機をきめ細かく運転することが可能となる。しかしながら、電動モータによって圧縮機を駆動するには、エンジンの運転による運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、さらに電動モータの駆動により電気エネルギーを再び運動エネルギーに変換することになるため、エネルギー変換の際の損失を考慮した場合、必ずしも好ましいとはいえない。例えば、プルダウン運転を行う場合には、エンジンによって圧縮機を駆動するものに比べて消費エネルギーが増大する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、高熱負荷時から低熱負荷時に渡って効率よく圧縮機を駆動することのできる車両用冷却収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用冷却収納装置は、車両に搭載された電動モータと、車両に搭載された断熱収納庫の内部を冷却する冷却ユニットと、前記冷却ユニットにおいて冷媒を圧縮する圧縮機に接続し、動力の入力先を選択可能な入力選択機構と、エンジンの動力を前記入力選択機構に伝達するエンジン動力伝達部と、前記電動モータの動力を前記入力選択機構に伝達するモータ動力伝達部と、前記入力選択機構を動作させることにより、前記エンジンが運転されている場合に前記圧縮機に対する動力の入力先を前記エンジン及び前記電動モータから選択する駆動制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述した車両用冷却収納装置において、前記電動モータに電力を供給する発電機と、前記エンジン動力伝達部に介在し、前記エンジンからの動力の出力先を前記発電機及び前記入力選択機構から選択可能な出力選択機構とをさらに備え、前記駆動制御手段は、前記入力選択機構によって前記電動モータを選択した場合に前記エンジンの動力を前記発電機に出力し、かつ前記入力選択機構によって前記エンジン動力伝達部を選択した場合、前記エンジンの動力を前記入力選択機構に出力するように前記出力選択機構を動作させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述した車両用冷却収納装置において、前記駆動制御手段は、前記エンジンの動力を前記発電機及び前記入力選択機構に択一的に出力するように前記出力選択機構を動作させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述した車両用冷却収納装置において、前記電動モータに対して電力を供給することが可能なバッテリをさらに備え、前記駆動制御手段は、前記入力選択機構によって前記電動モータを選択した場合、前記エンジンの運転状態及び前記バッテリの蓄電状態に応じて前記電動モータへの電力の供給元を前記発電機及び前記バッテリから選択することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述した車両用冷却収納装置において、前記駆動制御手段は、前記冷却ユニットの熱負荷を監視し、冷却ユニットの熱負荷が閾値を超えて大きい場合に前記エンジンによって前記圧縮機を駆動する一方、冷却ユニットの熱負荷が閾値未満の場合には前記電動モータによって前記圧縮機を駆動することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上述した車両用冷却収納装置において、前記駆動制御手段は、前記断熱収納庫の内部温度と予め設定した目標温度との偏差を冷却ユニットの熱負荷として前記圧縮機の駆動源を前記エンジン及び前記電動モータから選択することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上述した車両用冷却収納装置において、前記駆動制御手段は、入力切換スイッチの選択信号に応じて前記圧縮機の駆動源を前記エンジン及び前記電動モータから選択することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上述した車両用冷却収納装置において、前記発電機から供給された電力が前記バッテリに蓄積可能となるように前記発電機及び前記バッテリの間を接続し、前記駆動制御手段は、前記バッテリの蓄電状態を監視し、蓄電可能である場合には前記出力選択機構によって前記エンジンの動力を前記発電機に出力している間の余剰電力を前記バッテリに蓄積することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上述した車両用冷却収納装置において、外部電源に接続可能な外部接続端子をさらに備え、前記駆動制御手段は、前記外部接続端子を介して外部電源が接続された場合、外部電源から供給される電力を前記バッテリに蓄積することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上述した車両用冷却収納装置において、前記エンジンの運転をON/OFFするエンジンキースイッチがOFFされた場合にも、前記バッテリから前記電動モータに対して電力が供給可能となるように前記バッテリ及び前記電動モータの間を接続したことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上述した車両用冷却収納装置において、前記電動モータに対して電力を供給することが可能なバッテリをさらに備え、前記駆動制御手段は、前記入力選択機構によって前記電動モータを選択した場合、出力切換スイッチの選択信号に応じて前記電動モータへの電力の供給元を前記発電機及び前記バッテリから選択することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上述した車両用冷却収納装置において、前記出力切換スイッチを前記断熱収納庫に配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、エンジンが運転されている場合にも圧縮機に対する動力の入力先をエンジン及び電動モータから選択することが可能である。従って、冷却ユニットの熱負荷に応じて最適となる圧縮機の駆動源を選択することができ、高熱負荷時から低熱負荷時に渡って効率よく圧縮機を駆動することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である車両用冷却収納装置の要部構成を示した図である。
【図2−1】図2−1は、図1に示した冷却収納装置を適用する車両を概念的に示す側面図である。
【図2−2】図2−2は、図2−1に示した車両を後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る車両用冷却収納装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態である車両用冷却収納装置の要部構成を示したもので、図2−1及び図2−2に示す車両に搭載される冷却収納装置を例示している。冷却収納装置の適用対象となる車両FTは、車体フレームFMの前方部に走行用のエンジンEGが搭載され、エンジンEGの上方部にキャビンCBが設けられたキャブオーバーと称されるタイプのトラックである。図には明示していないが、キャビンCBの内部には、運転者が着座する運転席や車両FTを操作するための操作部が設けられている。
【0024】
この車両FTには、車体フレームFMにおいてキャビンCBよりも後方となる部位に断熱材によって構成したコンテナ(断熱収納庫)10が搭載されている。コンテナ10は、直方体状を成すもので、その内部に冷凍食品等の商品を収納するための商品収納域11を構成している。コンテナ10の後壁には、商品収納域11に対して商品を出し入れするための扉12が設けてある。コンテナ10の前壁には、キャビンCBよりも上方となる位置にユニット筐体20が設けてある。ユニット筐体20は、吹出口21及び吸込口22を通じてコンテナ10の内部に連通した箱体であり、内部に蒸発器23を収容している。蒸発器23は、図1に示すように、圧縮機24、凝縮器25及び膨張弁26と間に冷媒が循環供給される冷却ユニット27を構成するものである。この蒸発器23は、図2−1に示すように、吸込口22を介してユニット筐体20に吸い込まれた空気が吹出口21を介してコンテナ10の内部に供給されるまでの空気の通過領域に配設してあり、通過する空気を所望の冷却温度まで冷却する機能を有している。尚、図には明示していないが、冷却ユニット27の圧縮機24、凝縮器25及び膨張弁26も車両FTに搭載されているのは言うまでもない。
【0025】
図1に示すように、冷却ユニット27の圧縮機24には、入力選択機構30が接続してある。入力選択機構30は、後述する駆動制御部(駆動制御手段)100からの制御信号に応じて動作し、圧縮機24に対して動力の入力先を択一的に選択するための機械部品であり、例えばクラッチ装置を適用して構成してある。この入力選択機構30の一方の入力端には、モータ動力伝達部31を介して電動モータ32の出力端が接続してある。
【0026】
電動モータ32は、モータ駆動部33から供給される電力に応じて回転するもので、車両FTに搭載してある。モータ駆動部33は、図には明示していないが、コンバータ回路及びインバータ回路を内蔵するとともに、トランジスタによるスイッチング回路を内蔵するもので、後述する駆動制御部100からの制御信号に応じて動作し、電動モータ32に対する電源の供給元を発電機34、バッテリ35、外部接続端子36を通じた商用電源(外部電源)の中から選択するものである。またこのモータ駆動部33は、発電機34からの供給電源あるいは外部接続端子36を介して供給される商用電源をバッテリ35に蓄積する機能も有している。
【0027】
発電機34には、その入力端に出力選択機構37が接続してある。出力選択機構37は、後述する駆動制御部100からの制御信号に応じて動作し、エンジンEGからの動力の出力先を択一的に選択するための機械部品であり、例えばクラッチ装置を適用して構成してある。この出力選択機構37の一方の出力端に発電機34が接続してある。
【0028】
出力選択機構37の他方の出力端には、変速機構38を備えたエンジン動力伝達部39を介して入力選択機構30の他方の入力端が接続してある。変速機構38は、後述する駆動制御部100からの制御信号に応じて切り換わり、エンジンEGによってエンジン動力伝達部39が回転された場合に、回転数を適宜変更して入力選択機構30の他方の入力端に出力するものである。
【0029】
また、車両用冷却収納装置は、駆動制御部100を備えている。駆動制御部100は、扉スイッチ101、内部温度センサ102、入力切換スイッチ103、出力切換スイッチ104、エンジンキースイッチ105、モータ駆動部33からの出力信号及び予めメモリ106に格納されたデータに基づいて入力選択機構30、モータ駆動部33、変速機構38、出力選択機構37の動作を制御するものである。扉スイッチ101は、図2−1及び図2−2に示すように、コンテナ10と扉12との間に設けられ、扉12が開いているか否かを検出するものである。内部温度センサ102は、コンテナ10の内部に配置され、商品収納域11の温度を検出するものである。入力切換スイッチ103は、入力選択機構30を動作させるための指令信号を出力するためのスイッチであり、出力切換スイッチ104は、出力選択機構37を動作させるための指令信号を出力するためのスイッチである。これら入力切換スイッチ103及び出力切換スイッチ104は、キャビンCBにおいて運転者が操作できる位置に設けてある他、コンテナ10の商品収納域11にも設けてある。エンジンキースイッチ105は、エンジンEGを起動させるためのスイッチである。このエンジンキースイッチ105は、キャビンCBの内部において運転者が操作できる位置に配設したもので、運転者がキーを挿入した場合にのみ操作可能となる。
【0030】
図1に示すように、駆動制御部100は、熱負荷算出部110、モード選択部111、バッテリ監視部112、切換スイッチ監視部113を有している。熱負荷算出部110は、内部温度センサ102の出力結果と、予め設定された目標温度(例えば、冷凍食品の場合には−20℃)との偏差を演算するとともに、この偏差が予め設定された閾値を超えているか否かを比較するものである。偏差が閾値を超えている場合に高熱負荷状態である旨の信号を出力し、偏差が閾値以下である場合に低熱負荷状態である旨の信号を出力する。モード選択部111は、熱負荷算出部110の出力信号、扉スイッチ101及びエンジンキースイッチ105からの出力信号に基づいて圧縮機24の運転モードを選択するものである。
【0031】
本実施の形態では、急速運転モード、定常運転モード、エンジン停止運転モードの3つの運転モードが予め設定されており、これらの運転モードがモード選択部111によって択一的に選択されることになる。
【0032】
急速運転モードでは、出力選択機構37によってエンジンEGからの動力がエンジン動力伝達部39に出力されると共に、入力選択機構30によって圧縮機24に対する動力の入力先としてエンジン動力伝達部39が選択される。
【0033】
これに対して定常運転モードでは、出力選択機構37によってエンジンEGからの動力が発電機34に出力されると共に、入力選択機構30によって圧縮機24に対する動力の入力先として電動モータ32が選択される。
【0034】
さらに、エンジン停止運転モードでは、定常運転モードにおいてエンジンEGが停止された場合に、バッテリ35もしくは外部接続端子36に接続された商用電源によって電動モータ32を駆動することができるようにモータ駆動部33のスイッチング回路が切り換えられる。エンジンEGが停止しているか否かの判断は、エンジンキースイッチ105からの出力信号によるものの他、扉スイッチ101により、予め設定された時間を超えてコンテナ10の扉12が開放されていた場合にもエンジンEGが停止していると判断することができる。これは、扉スイッチ101が長時間開放されている状況は、コンテナ10の商品収納域11に対して商品を出し入れしていることが多く、車両FTが停止状態、つまりエンジンEGが停止されている状態と見なすことができるためである。モータ駆動部33のスイッチング回路がバッテリ35によって電動モータ32を駆動することが可能となるように切り換えられた場合には、エンジンキースイッチ105がOFFされた場合にも、バッテリ35から電動モータ32に電力が供給できるように両者の間が接続される。但し、後述するバッテリ監視部112によってバッテリ35の蓄電電圧が閾値を下回っていると判断された場合には、外部接続端子36に接続された商用電源によってのみ電動モータ32を駆動することができるようにモータ駆動部33のスイッチング回路が切り換えられる。
【0035】
バッテリ監視部112は、バッテリ35の蓄電電圧を監視し、蓄電電圧が閾値を下回った場合、電動モータ32を駆動しつつバッテリ35を充電できるようにモータ駆動部33のスイッチング回路を切り換えるものである。バッテリ35を充電する電源としては、発電機34が駆動している場合には発電機34から供給される電力であり、商用電源が接続されている場合には外部接続端子36を介して供給される電力である。いずれの場合にも、電動モータ32が駆動している間は、電動モータ32の駆動を優先し、供給される電力に余剰分がある場合にのみバッテリ35に蓄えるように動作する。
【0036】
切換スイッチ監視部113は、入力切換スイッチ103もしくは出力切換スイッチ104からの指令信号を監視し、指令信号が出力された場合、それぞれの指令信号に従って入力選択機構30及び出力選択機構37を切り換えるように動作させる。但し、圧縮機24を駆動することができないように入力選択機構30及び出力選択機構37が選択された場合にはこれに限らない。すなわち、出力選択機構37によってエンジン動力伝達部39が選択された状態でも、バッテリ35や商用電源によって電動モータ32が駆動可能であるため、入力選択機構30によって電動モータ32を選択することができるが、出力選択機構37によって発電機34が選択された状態では、入力選択機構30によってエンジン動力伝達部39を選択することはできない。同様に、入力選択機構30によって電動モータ32が選択された状態でも、出力選択機構37によってエンジン動力伝達部39を選択することができるが、入力選択機構30によってエンジン動力伝達部39が選択された状態では、出力選択機構37によって発電機34を選択することはできない。
【0037】
以下、駆動制御部100の処理内容を説明し、併せて車両用冷却収納装置の特徴部分について詳述する。まず、駆動制御部100は、切換スイッチ監視部113を介して入力切換スイッチ103及び出力切換スイッチ104からの指令信号を常時監視する。いずれの切換スイッチ103,104からも指令信号が出力されていない場合には、熱負荷算出部110を通じて現在の熱負荷が高熱負荷状態であるか低熱負荷状態であるかを演算し、モード選択部111を通じて運転モードの選択を行う。
【0038】
例えば、車両FTが長時間使用されていなかった場合には、コンテナ10の商品収納域11が室温とほぼ同じ状態になっていることが多く、熱負荷算出部110によって高熱負荷状態であると判断され、モード選択部111によって急速運転モードが選択される。この結果、冷却ユニット27の圧縮機24がエンジンEGの動力によって直接的に駆動されることになり、圧縮機24を効率良く高速で継続的に回転させ、短時間のうちにコンテナ10の商品収納域11を所望の温度まで冷却することが可能となる。
【0039】
コンテナ10の商品収納域11が所望の温度まで冷却された後にあっては、コンテナ10の扉12を長時間開放しない限り、商品収納域11が低熱負荷状態となる。熱負荷算出部110を通じて低熱負荷状態であると演算されると、モード選択部111を通じて定常運転モードが選択される。この結果、この結果、エンジンEGの回転によって発電機34が駆動されると共に、発電機34から供給される電力によって電動モータ32が駆動され、この電動モータ32の動力によって冷却ユニット27の圧縮機24が駆動されることになる。
【0040】
この定常運転モードにおいては、モータ駆動部33のインバータ回路を介して発電機34から供給される電力の電圧や周波数を変更して電動モータ32の速度を細かく変更することができ、煩雑な制御を伴うことなく圧縮機24をきめ細かく運転することが可能となる。しかも、定常運転モードにおいては、バッテリ監視部112によってバッテリ35の蓄電電圧が閾値を下回ったことが検出されると、バッテリ35を充電できるようにモータ駆動部33のスイッチング回路が切り換えられるため、後述するエンジン停止運転モードにおいてバッテリ35による電動モータ32の駆動時間を十分に確保できるようになる。
【0041】
一方、エンジンEGが停止された状態においては、急速運転モード及び定常運転モードを実施することができない。このため、エンジンEGが停止されたことを検出した駆動制御部100は、エンジン停止運転モードを選択し、バッテリ35もしくは外部接続端子36に接続された商用電源によって電動モータ32を駆動することができるようにモータ駆動部33のスイッチング回路を切り換える。すなわち、入力選択機構30により圧縮機24に対する動力の入力先として電動モータ32が選択され、バッテリ35もしくは外部接続端子36に接続された商用電源によって電動モータ32を駆動することができるようにモータ駆動部33のスイッチング回路が切り換えられる。このエンジン停止運転モードにおいても、モータ駆動部33のインバータ回路を介して発電機34から供給される電力の電圧や周波数を変更して電動モータ32の速度を細かく変更することができるため、煩雑な制御を伴うことなく圧縮機24をきめ細かく運転することが可能となる。
【0042】
尚、入力切換スイッチ103及び出力切換スイッチ104からの指令信号が検出された場合には、切換スイッチ監視部113を介して入力選択機構30及び出力選択機構37がそれぞれの指令信号に従って切り換えられ、運転者によって上述した運転モードのいずれかが強制的に選択されることになる。
【0043】
以上説明したように、車両用冷却収納装置によれば、エンジンEGが運転されている場合にも圧縮機24に対する動力の入力先をエンジンEG及び電動モータ32から選択することが可能である。従って、冷却ユニット27の熱負荷に応じて最適となる圧縮機24の駆動源を選択することができ、高熱負荷時から低熱負荷時に渡って効率よく圧縮機24を駆動することができるようになる。
【符号の説明】
【0044】
10 コンテナ
11 商品収納域
12 扉
20 ユニット筐体
21 吹出口
22 吸込口
23 蒸発器
24 圧縮機
25 凝縮器
26 膨張弁
27 冷却ユニット
30 入力選択機構
31 モータ動力伝達部
32 電動モータ
33 モータ駆動部
34 発電機
35 バッテリ
36 外部接続端子
37 出力選択機構
39 エンジン動力伝達部
100 駆動制御部
101 扉スイッチ
102 内部温度センサ
103 入力切換スイッチ
104 出力切換スイッチ
105 エンジンキースイッチ
106 メモリ
110 熱負荷算出部
111 モード選択部
112 バッテリ監視部
113 切換スイッチ監視部
CB キャビン
EG エンジン
FT 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電動モータと、
車両に搭載された断熱収納庫の内部を冷却する冷却ユニットと、
前記冷却ユニットにおいて冷媒を圧縮する圧縮機に接続し、動力の入力先を選択可能な入力選択機構と、
エンジンの動力を前記入力選択機構に伝達するエンジン動力伝達部と、
前記電動モータの動力を前記入力選択機構に伝達するモータ動力伝達部と、
前記入力選択機構を動作させることにより、前記エンジンが運転されている場合に前記圧縮機に対する動力の入力先を前記エンジン及び前記電動モータから選択する駆動制御手段と
を備えたことを特徴とする車両用冷却収納装置。
【請求項2】
前記電動モータに電力を供給する発電機と、
前記エンジン動力伝達部に介在し、前記エンジンからの動力の出力先を前記発電機及び前記入力選択機構から選択可能な出力選択機構と
をさらに備え、
前記駆動制御手段は、前記入力選択機構によって前記電動モータを選択した場合に前記エンジンの動力を前記発電機に出力し、かつ前記入力選択機構によって前記エンジン動力伝達部を選択した場合、前記エンジンの動力を前記入力選択機構に出力するように前記出力選択機構を動作させることを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却収納装置。
【請求項3】
前記駆動制御手段は、前記エンジンの動力を前記発電機及び前記入力選択機構に択一的に出力するように前記出力選択機構を動作させることを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却収納装置。
【請求項4】
前記電動モータに対して電力を供給することが可能なバッテリをさらに備え、
前記駆動制御手段は、前記入力選択機構によって前記電動モータを選択した場合、前記エンジンの運転状態及び前記バッテリの蓄電状態に応じて前記電動モータへの電力の供給元を前記発電機及び前記バッテリから選択することを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却収納装置。
【請求項5】
前記駆動制御手段は、前記冷却ユニットの熱負荷を監視し、冷却ユニットの熱負荷が閾値を超えて大きい場合に前記エンジンによって前記圧縮機を駆動する一方、冷却ユニットの熱負荷が閾値未満の場合には前記電動モータによって前記圧縮機を駆動することを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却収納装置。
【請求項6】
前記駆動制御手段は、前記断熱収納庫の内部温度と予め設定した目標温度との偏差を冷却ユニットの熱負荷として前記圧縮機の駆動源を前記エンジン及び前記電動モータから選択することを特徴とする請求項5に記載の車両用冷却収納装置。
【請求項7】
前記駆動制御手段は、入力切換スイッチの選択信号に応じて前記圧縮機の駆動源を前記エンジン及び前記電動モータから選択することを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却収納装置。
【請求項8】
前記発電機から供給された電力が前記バッテリに蓄積可能となるように前記発電機及び前記バッテリの間を接続し、
前記駆動制御手段は、前記バッテリの蓄電状態を監視し、蓄電可能である場合には前記出力選択機構によって前記エンジンの動力を前記発電機に出力している間の余剰電力を前記バッテリに蓄積することを特徴とする請求項4に記載の車両用冷却収納装置。
【請求項9】
外部電源に接続可能な外部接続端子をさらに備え、
前記駆動制御手段は、前記外部接続端子を介して外部電源が接続された場合、外部電源から供給される電力を前記バッテリに蓄積することを特徴とする請求項4に記載の車両用冷却収納装置。
【請求項10】
前記エンジンの運転をON/OFFするエンジンキースイッチがOFFされた場合にも、前記バッテリから前記電動モータに対して電力が供給可能となるように前記バッテリ及び前記電動モータの間を接続したことを特徴とする請求項4に記載の車両用冷却収納装置。
【請求項11】
前記電動モータに対して電力を供給することが可能なバッテリをさらに備え、
前記駆動制御手段は、前記入力選択機構によって前記電動モータを選択した場合、出力切換スイッチの選択信号に応じて前記電動モータへの電力の供給元を前記発電機及び前記バッテリから選択することを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却収納装置。
【請求項12】
前記出力切換スイッチを前記断熱収納庫に配設したことを特徴とする請求項11に記載の車両用冷却収納装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【公開番号】特開2013−113548(P2013−113548A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262292(P2011−262292)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】