説明

車両用灯具

【課題】従来の車両用灯具ではランプからの光をベース部で反射させて有効利用するにおいて限界がある。
【解決手段】バルブ5の先端側がバルブ5の基端側に対してメイン反射面7、サブ反射面8の反射方向側に位置するように、バルブ軸ZB−zbzが光軸Z−Zに対して傾斜している。この結果、メイン反射面7のうち、バルブ5のフィラメント13からの距離が最も近くてバルブ5からの光を最も効率良く反射利用することができる箇所において、バルブ5のフィラメント13から入射する光の立体角θ1が従来の車両用灯具の立体角θよりも大きい。しかも、前記の箇所において、バルブ5のフィラメント13からの光が入射する範囲W1が従来の車両用灯具の入射範囲Wよりも広い。これにより、バルブ5からの光をメイン反射面7で反射させてさらに有効に利用することができ、近赤外光投光器や走行ビーム用ランプなどにおいて、理想の配光パターンが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バルブを光軸に対して交差する方向に挿入セットする、いわゆるバルブ横差しタイプの車両用灯具に関するものである。特に、この発明は、近赤外光投光器や走行ビーム用ランプなどにおいて、理想の配光パターンが得られる車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バルブを光軸に平行に挿入セットすることにより、バルブ軸と光軸とが平行である、いわゆるバルブ縦差しタイプの車両用灯具は、従来からある。しかしながら、このバルブ縦差しタイプの車両用灯具は、反射面のうち、バルブのフィラメントからの距離が最も近くてバルブからの光を最も効率良く反射利用することができる箇所にバルブ挿入孔が設けられているので、反射面の有効利用(有効活用)の点において問題がある。
【0003】
そこで、バルブ横差しタイプの車両用灯具(たとえば、特許文献1)が提案されている。以下、このバルブ横差しタイプの車両用灯具について説明する。なお、括弧つきの符号は、特許文献1にそれぞれ対応する。このバルブ横差しタイプの車両用灯具は、バルブすなわちランプ(10)と、ランプ(10)の電球(12)が挿入されるランプ取付孔(204)とランプ(10)の取付けカラー(13)が着脱可能に取り付けられるランプホルダ(200)とがそれぞれ設けられている反射板(20)と、反射板(20)に設けられており、ランプ(10)からの光を光軸(x−x)に対してほぼ平行にかつ所定の方向に反射させる反射面すなわちベース部(21)と、を備えるものである。このバルブ横差しタイプの車両用灯具は、ランプ(10)を光軸(x−x)に対して直交する方向に挿入セットすることにより、ランプ(10)の軸と光軸(x−x)とが直交する。
【0004】
以下、このバルブ横差しタイプの車両用灯具の作用について説明する。ランプ(10)を点灯すると、ランプ(10)からの光がベース部(21)で光軸(x−x)に対してほぼ平行にかつ所定の方向に反射され、その反射光が外部に所定の配光パターンで照射され、路面などが照明される。このバルブ横差しタイプの車両用灯具は、ベース部(21)のうち、ランプ(10)のフィラメントからの距離が最も近くてランプ(10)からの光を最も効率良く反射利用することができる箇所を反射光(ビーム)形成に利用することができるので、バルブ縦差しタイプの車両用灯具と比較して、反射面すなわちベース部(21)を有効に利用している。また、このバルブ横差しタイプの車両用灯具は、バルブ縦差しタイプの車両用灯具と比較して灯具全体を小型化することができる。
【0005】
ところが、前記の従来の車両用灯具では、ランプ(10)からの光をベース部(21)で反射させて有効利用(有効活用)するにおいて限界がある。
【0006】
【特許文献1】特開2000−82305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする問題点は、前記の従来の車両用灯具では、ランプ(10)からの光をベース部(21)で反射させて有効利用(有効活用)するにおいて限界があると言う点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、バルブの先端側がバルブの基端側に対して反射面の反射方向側に位置するように、バルブ軸が光軸に対して傾斜している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の車両用灯具は、上記の課題を解決するための手段により、図5に示すように、メイン反射面7のうち、バルブ5のフィラメント13からの距離が最も近くてバルブ5からの光を最も効率良く反射利用することができる箇所において、バルブ5のフィラメント13から入射する光の立体角θ1(図5(A)参照)が前記の従来の車両用灯具100の立体角θ(図5(B)参照)よりも大きい。しかも、前記の箇所において、バルブ5のフィラメント13からの光が入射する範囲W1(図5(A)参照)が前記の従来の車両用灯具100の入射範囲W(図5(B)参照)よりも広い。この結果、この発明の車両用灯具は、バルブからの光をメイン反射面で反射させてさらに有効に利用することができ、これにより、近赤外光投光器や走行ビーム用ランプなどにおいて、理想の配光パターンが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施例のうちの5例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例1によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1〜図5は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用灯具の構成について説明する。図面において、符号「F」は、車両の前方側(車両の前進方向側)を示す。符号「B」は、車両の後方側を示す。符号「U」は、ドライバー側から前方側を見た上側を示す。符号「D」は、ドライバー側から前方側を見た下側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前方側を見た場合の左側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前方側を見た場合の右側を示す。符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。なお、図5(A)は、この実施例1における車両用灯具によるバルブからの光の反射状態を示す水平横断面の説明図であり、図5(B)は、前記の従来の車両用灯具によるバルブからの光の反射状態を示す水平横断面の説明図である。
【0012】
図1〜図5において、符号1は、この実施例1における車両用灯具である。この実施例1における車両用灯具1は、車両用近赤外光投光器(車両用近赤外線ランプ、車両用近赤外線前照灯)である。前記車両用近赤外光投光器1は、図3に示すように、灯室2を区画するランプハウジング3およびランプレンズ(アウターレンズ)4と、前記灯室2内に配置された光源としてのバルブ5および前記バルブ5を取り付けるリフレクタ6と、前記リフレクタ6に設けられた反射面7、8と、赤外光透過特性を有するフィルタ17と、を備える。
【0013】
前記バルブ5は、C−8タイプのハロゲンバルブである。前記バルブ5は、先端側のガラスバルブ9と、基端側の取付フランジ10および口金11およびコネクタ12と、前記ガラスバルブ9中に配置されたフィラメント13とから構成されている。前記バルブ5において、前記ガラスバルブ9の軸方向と前記フィラメント13の軸方向とは、バルブ軸ZB−ZB方向に合致する。また、前記バルブ5において、前記ガラスバルブ9の先端部には、ブラックトップ部14が形成されている。前記ブラックトップ部14は、前記フィラメント13の端面からの光が迷光となる虞があるので、前記フィラメント13の端面からの光を前記ガラスバルブ9から外部に出射しないように遮蔽するものである。なお、前記フィラメント13の端面から放射される光量は、前記フィラメント13の側面から放射される光量と比較して非常に少ないので、前記フィラメント13の端面からの光を遮蔽しても、この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)として、特に問題はない。
【0014】
前記リフレクタ6は、前記ランプハウジング3に光軸調整機構など(図示せず)を介して取り付けられている。前記リフレクタ6には、前記バルブ5の先端側の前記ガラスバルブ9が挿入される挿入孔15が設けられている。前記リフレクタ6の前記挿入孔15の縁には、前記バルブ5の基端側の前記取付フランジ10が着脱可能に取り付けられる取付部(バルブマウント部)16および取付機構など(図示せず)が設けられている。
【0015】
前記反射面7、8は、回転放物面もしくはNURBS曲面(特開2001−35215号公報を参照)F1からなるメイン反射面7と、同じく、回転放物面もしくはNURBS曲面F2からなるサブ反射面8と、から構成されている。前記メイン反射面7の光軸Z−Zと、前記サブ反射面8の光軸Z−Zとは、合致する。また、前記メイン反射面7の焦点F0と、前記サブ反射面8の焦点F0とは、合致する。前記メイン反射面7および前記サブ反射面8は、前記バルブ5の前記フィラメント13からの光を前記光軸Z−Zに対してほぼ平行にかつ所定の方向に反射させるものである。前記サブ反射面8は、前記リフレクタ6の前記取付部16の周辺部に設けられている。前記サブ反射面8の焦点距離は、前記メイン反射面7の焦点距離も短い。なお、前記のNURBS曲面F1、F2は、「Mathematical Elemennts for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。
【0016】
前記フィルタ17は、光透過性の基板と、前記基板に設けられた赤外光透過膜からなり、前記リフレクタ6の開口部に配置されている。前記フィルタ17は、ハロゲンランプの前記バルブ5のフィラメント13からの光の成分のうち可視光成分を反射して赤外光成分を透過させる特性(赤外光透過特性)を有する。すなわち、前記フィルタ17は、赤外光透過フィルタ、もしくは、可視光カットフィルタである。
【0017】
そして、この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、前記バルブ5の先端側の前記ガラスバルブ9が前記バルブ5の基端側の前記取付フランジ10および前記口金11および前記コネクタ12に対して前記メイン反射面7および前記サブ反射面8の反射方向側(前方側F)に位置するように、バルブ軸ZB−ZBが光軸Z−Zに対して傾斜している。また、前記バルブ5の前記フィラメント13は、前記メイン反射面7および前記サブ反射面8の焦点F0の近傍に位置する。さらに、前記バルブ5が光軸Z−Zに対して交差する方向に挿入セットされることにより、バルブ軸ZB−ZBと光軸Z−Zとがほぼ水平断面上において交差する。
【0018】
前記のように構成されたこの実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、車両用暗視装置の投光装置であって、車両(図示せず)の前部に車両用暗視装置の撮像装置としてのたとえばCCDカメラ(図示せず)とともに搭載される。前記車両用近赤外光投光器1と前記CCDカメラとは、車両用暗視装置(前方視界用近赤外線暗視システム)を構成し、車両の夜間の走行を支援するものである。
【0019】
この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0020】
まず、バルブ5のフィラメント13を点灯する。すると、バルブ5のフィラメント13からの光は、バルブ5のガラスバルブ9のうち、ブラックトップ部14および基端部を除いた部分からメイン反射面7およびサブ反射面8に放射される。この光は、メイン反射面7およびサブ反射面8で光軸Z−Zに対してほぼ平行にかつ所定の方向に反射される。この反射光は、フィルタ17を透過し、透過光としてランプレンズ4を透過して外部に図4に示す所定の配光パターンIPで照射される。この透過光は、フィルタ17の機能により可視光成分が除去されて、主として赤外光成分により構成されている。これにより、CCDカメラとともに車両用暗視装置(前方視界用近赤外線暗視システム)を構成し、車両の夜間の走行を支援することができる。
【0021】
ここで、メイン反射面7で反射された反射光により、車両用暗視装置(前方視界用近赤外線暗視システム)に必要な遠方を広範囲に強く照射するワイドな高光度帯の配光が得られる。また、サブ反射面8で反射された反射光により、高速走行でさらに必要となる車両中心遠方(図4の上下の垂直線VU−VD上のVU側)を強く照射する超高光度の配光が得られる。メイン反射面7で反射された反射光により得られるワイドな高光度帯の配光と、サブ反射面8で反射された反射光により得られる超高光度の配光とを合成すると、図4中の横長のほぼ長方形形状をなす配光パターンIPであって、一般道から高速道路まで、車両用暗視装置(前方視界用近赤外線暗視システム)に必要とされる理想の配光パターンIPが得られる。
【0022】
この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0023】
この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、図5に示すように、メイン反射面7のうち、バルブ5のフィラメント13からの距離が最も近くてバルブ5からの光を最も効率良く反射利用することができる箇所において、バルブ5のフィラメント13から入射する光の立体角θ1(図5(A)参照)が従来の車両用灯具100の立体角θ(図5(B)参照)よりも大きい。しかも、前記のメイン反射面7の箇所において、バルブ5のフィラメント13からの光が入射する範囲W1(図5(A)参照)が従来の車両用灯具100の入射範囲W(図5(B)参照)よりも広い。すなわち、バルブ5のブラックトップ部14により無効化されているメイン反射面7の箇所(図5(A)中の格子箇所A)の一部を有効化することができる。この結果、この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、バルブ5からの光をメイン反射面7で反射させてさらに有効に利用することができる。
【0024】
特に、この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、バルブ5の先端側のガラスバルブ9がバルブ5の基端側の取付フランジ10および口金11およびコネクタ12に対してメイン反射面7およびサブ反射面8の反射方向側(前方側F)に位置するようにバルブ軸ZB−ZBを光軸Z−Zに対して傾斜させることにより、リフレクタ6の取付部16付近にサブ反射面8を構成することができる。この結果、この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、従来の車両用灯具100では取付部16により無効となるリフレクタ6の取付部16付近の箇所(図5(B)中の格子箇所B)に、有効なサブ反射面8を構成することができるので、バルブ5からの光をさらに有効利用することができる。
【0025】
このように、この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、メイン反射面7で得られる配光とサブ反射面8で得られる配光とを合成することにより、図4に示す理想の配光パターンIPが得られる。この配光パターンIPは、図4に示すように、すれ違い用の配光パターンLPでは視認不可能なゾーン、すなわち、すれ違い用の配光パターンPLのカットラインCL付近から上側(すなわち、遠方もしくは前方)を照射するので、すれ違い用の配光パターンPLを補助する配光パターンとして理想の配光パターンである。
【0026】
また、この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、ほぼ円筒形状をなすガラスバルブ9の軸方向と同じくほぼ円筒形状をなすフィラメント13の軸方向とがバルブ軸ZB−ZB方向に合致するC−8タイプのハロゲンバルブのバルブ5をリフレクタ6に横差しで挿入セットするものである。このために、この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、ほぼ円筒形状をなすフィラメント13の軸(バルブ軸ZB−ZB)とメイン反射面7およびサブ反射面8の光軸Z−Zとがほぼ水平断面上においてほぼ直交する。この結果、この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、正面から見て横長のほぼ長方形形状をなすフィラメント13の像をほぼそのまま拡大した像の理想の配光パターンIPが簡単な構造で簡単に得られる。
【0027】
さらに、この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、バルブ5として、バルブ寿命と前記の配光性能(配光パターンIPの特性)とのバランスが取れるC−8タイプのハロゲンバルブを使用するので、すれ違い用の配光パターンLPの補助的で前照灯点灯時には常時作動する、車両用暗視装置(前方視界用近赤外線暗視システム)の投光装置として最適である。
【0028】
さらにまた、この実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)は、バルブ5を光軸Z−Zに対して交差する方向に挿入セットする、いわゆるバルブ横差しタイプであるから、光軸Z−Z方向の灯具全体が小型化することができ、車両用近赤外光投光器として最適である。
【実施例2】
【0029】
図6は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す。図中、図1〜図5と同符号は、同一のものを示す。
【0030】
この実施例2における車両用灯具1Aは、走行用の前照灯であって、前記の実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)に対して、フィルタ17を取り除いたものである。
【0031】
この実施例2における車両用灯具1Aは、以上のごとき構成からなるので、バルブ5のフィラメント13を点灯すると、前記の実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)とほぼ同様に、メイン反射面7で反射された反射光により、走行用の前照灯に必要な遠方を広範囲に強く照射するワイドな高光度帯の配光が得られる。また、サブ反射面8で反射された反射光により、高速走行でさらに必要となる車両中心遠方(図4の上下の垂直線VU−VD上のVU側)を強く照射する超高光度の配光が得られる。メイン反射面7で反射された反射光により得られるワイドな高光度帯の配光と、サブ反射面8で反射された反射光により得られる超高光度の配光とを合成すると、図4中の横長のほぼ長円形状もしくは楕円形状をなす走行用の配光パターンHPであって、走行用の前照灯に必要とされる理想の配光パターンHPが得られる。
【0032】
この実施例2における車両用灯具1Aは、以上のごとき構成および作用からなるので、前記の実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)とほぼ同様の効果を達成することができる。
【0033】
この実施例2における車両用灯具1A(走行用の前照灯)と、前記の実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)とを、車両にそれぞれ搭載しても良い。
【実施例3】
【0034】
図7は、この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す。図中、図1〜図6と同符号は、同一のものを示す。
【0035】
この実施例3における車両用灯具1Bは、前記の実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)に対して、フィルタ17を、シリンダもしくはソレノイド18により回転式の開閉可能に構成したものである。
【0036】
この実施例3における車両用灯具1Bは、以上のごとき構成からなるので、実線に示すように、シリンダもしくはソレノイド18を伸ばしてフィルタ17をリフレクタ6の開口部に対して閉じる。そして、バルブ5のフィラメント13を点灯すると、前記の実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)とほぼ同様に近赤外光の理想の配光パターンIPが得られる。また、二点鎖線に示すように、シリンダもしくはソレノイド18を縮めてフィルタ17をリフレクタ6の開口部に対して開く。そして、バルブ5のフィラメント13を点灯すると、前記の実施例2における車両用灯具1A(走行用の前照灯)とほぼ同様に理想の走行用の配光パターンHPが得られる。
【0037】
この実施例3における車両用灯具1Bは、以上のごとき構成および作用からなるので、前記の実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)および前記の実施例2における車両用灯具1A(走行用の前照灯)とほぼ同様の効果を達成することができる。
【実施例4】
【0038】
図8は、この発明にかかる車両用灯具の実施例4を示す。図中、図1〜図7と同符号は、同一のものを示す。
【0039】
この実施例4における車両用灯具1Cは、前記の実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)に対して、フィルタ17を、モータ19およびラックアンドピニオン機構20によりスライド式の開閉可能に構成したものである。
【0040】
この実施例4における車両用灯具1Cは、以上のごとき構成からなるので、実線に示すように、モータ19を駆動させてラックアンドピニオン機構20を介してフィルタ17をリフレクタ6の開口部に対して閉じる。そして、バルブ5のフィラメント13を点灯すると、前記の実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)とほぼ同様に近赤外光の理想の配光パターンIPが得られる。また、二点鎖線に示すように、モータ19を逆に駆動させてラックアンドピニオン機構20を介してフィルタ17をリフレクタ6の開口部に対して開く。そして、バルブ5のフィラメント13を点灯すると、前記の実施例2における車両用灯具1A(走行用の前照灯)とほぼ同様に理想の走行用の配光パターンHPが得られる。
【0041】
この実施例4における車両用灯具1Cは、以上のごとき構成および作用からなるので、実施例3における車両用灯具1Bとほぼ同様に、前記の実施例1における車両用灯具1(車両用近赤外光投光器1)および前記の実施例2における車両用灯具1A(走行用の前照灯)とほぼ同様の効果を達成することができる。
【実施例5】
【0042】
図9は、この発明にかかる車両用灯具の実施例5を示す。図中、図1〜図8と同符号は、同一のものを示す。
【0043】
この実施例5における車両用灯具1Dは、前記の実施例1〜4における車両用灯具1、1A、1B、1Cに対して、バルブ5を光軸Z−Zに対して下側に配置したものである。
【0044】
この実施例5における車両用灯具1Dは、以上のごとき構成からなるので、メイン反射面7のうち、バルブ5のフィラメント13からの距離が最も近くてバルブ5からの光を最も効率良く反射利用することができる箇所(光軸Z−Zが交差する箇所)において反射された反射光がバルブ5により遮蔽されることがない。これにより、この実施例5における車両用灯具1Dは、バルブ5からの光をさらに一段と有効利用することができる。
【0045】
以下、前記の実施例1〜5以外の例について説明する。前記の実施例1〜5において、光源のバルブ5としてC−8タイプのハロゲンバルブを使用した例である。ところが、この発明においては、光源のバルブとしてC−8タイプのハロゲンバルブ以外でも良い。たとえば、HIDなどの放電灯でも良い。
【0046】
また、前記の実施例1〜5において、光源のバルブ5をリフレクタ6に対して左側Lからの横差しである。ところが、この発明においては、光源のバルブ5やその他の光源をリフレクタ6に対して右側Rからの横差しであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す水平横断面図であって、図2におけるI−I線断面図である。
【図2】同じく、ランプハウジングおよびランプレンズを除いた状態の正面図である。
【図3】ランプハウジングおよびランプレンズを含んだ状態の図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】同じく、すれ違い用の配光パターンと近赤外光の配光パターンと走行用の配光パターンとを示す説明図である。
【図5】同じく、バルブからの光の反射状態を示す水平横断面の説明図である。
【図6】この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す水平横断面図である。
【図7】この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す水平横断面図である。
【図8】この発明にかかる車両用灯具の実施例4を示す水平横断面図である。
【図9】この発明にかかる車両用灯具の実施例5を示す水平横断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1、1A、1B、1C、1D 車両用灯具(車両用近赤外光投光器、走行用の前照灯)
2 灯室
3 ランプハウジング
4 ランプレンズ(アウターレンズ)
5 バルブ
6 リフレクタ
7 メイン反射面
8 サブ反射面
9 ガラスバルブ
10 取付フランジ
11 口金
12 コネクタ
13 フィラメント
14 ブラックトップ部
15 挿入孔
16 取付部(バルブマウント部)
17 フィルタ
18 シリンダもしくはソレノイド
19 モータ
20 ラックアンドピニオン機構
F 前方側
B 後方側
U 上側
D 下側
L 左側
R 右側
HL−HR 左右の水平線
VU−VD 上下の垂直線
LP すれ違い用の配光パターン
CL カットライン
IP 近赤外光の配光パターン
HP 走行用の配光パターン
Z−Z 光軸
ZB−ZB バルブ軸
θ1、θ 立体角
W1、W 入射範囲
F0 焦点
F1、F2 NURBS曲面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブを光軸に対して交差する方向に挿入セットすることにより、バルブ軸と光軸とがほぼ水平断面上において交差する車両用灯具において、
前記バルブと、
前記バルブの先端側が挿入される挿入孔と、前記バルブの基端側が着脱可能に取り付けられる取付部とがそれぞれ設けられているリフレクタと、
前記リフレクタに設けられており、前記バルブからの光を所定の方向に反射させる反射面と、
を備え、
前記バルブ軸は、前記バルブの先端側が前記バルブの基端側に対して前記反射面の光反射方向側に位置するように、傾斜している、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記反射面は、回転放物面もしくはNURBS曲面からなるメイン反射面と、前記リフレクタの前記取付部の周辺部に設けられており、焦点距離が前記メイン反射面の焦点距離も短い回転放物面もしくはNURBS曲面からなるサブ反射面と、から構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記バルブは、ガラスバルブの先端部にブラックトップ部を有するC−8タイプのハロゲンバルブである、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−19049(P2006−19049A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193058(P2004−193058)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】