説明

車両用照明装置

【課題】従来の装置では、車両の周囲の環境に対応した点灯パターンでランプの点灯を制御することができないという点が課題である。
【解決手段】車両に装備されたランプ1L、1R、1と、車両の周囲環境を検知して検知信号を出力する周囲環境検知手段2と、周囲環境検知手段2からの検知信号に基づいて車両の周囲環境を判断し、かつ、車両の周囲環境に対応した点灯パターンでランプ1L、1R、1の点灯を制御する制御装置3と、を備える。この結果、車両の周囲の環境に対応した点灯パターンでランプ1L、1R、1の点灯を制御することができるので、交通安全の向上に貢献することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の周囲の環境に対応した点灯パターンでランプの点灯を制御することができる車両用照明装置(車両用照明システム)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の周囲の環境に対応してランプを点灯させる装置(自動車における追突防止装置)は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、この装置について説明する。なお、括弧つきの符号は、特許文献1にそれぞれ対応する。この装置は、車両に装備された発光体(3)と、他の車両のヘッドライトの光を感知する光センサ(1)と、前記光センサ(1)が他の車両の光を感知したときに前記発光体(3)を一定時間発光させる追突防止回路(4)とを備えるものである。
【0003】
ところが、前記の従来の装置は、光センサ(1)が他の車両の光を感知したときに追突防止回路(4)が発光体(3)を一定時間発光させるものである。このために、前記の従来の装置は、車両の周囲の環境に対応した点灯パターンでランプの点灯を制御することができない。
【0004】
【特許文献1】特開平9−226491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする問題点は、従来の装置では、車両の周囲の環境に対応した点灯パターンでランプの点灯を制御することができないという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、車両に装備されたランプと、車両の周囲環境を検知して検知信号を出力する周囲環境検知手段と、周囲環境検知手段からの検知信号に基づいて車両の周囲環境を判断し、かつ、車両の周囲環境に対応した点灯パターンでランプの点灯を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の車両用照明装置は、前記の課題を解決するための手段により、周囲環境検知手段が車両の周囲環境を検知して検知信号を制御装置に出力すると、その制御装置が周囲環境検知手段からの検知信号に基づいて車両の周囲環境を判断し、かつ、車両の周囲環境に対応した点灯パターンでランプの点灯を制御する。このために、この発明の車両用照明装置は、車両の周囲の環境に対応した点灯パターンでランプの点灯を制御することができるので、交通安全の向上に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、この発明にかかる車両用照明装置の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0009】
(実施例の構成の説明)
添付図面は、この発明にかかる車両用照明装置の実施例を示す。以下、この実施例における車両用照明装置の構成について説明する。この実施例における車両用照明装置は、ランプ1L、1R、1と、周囲環境検知手段2と、制御装置3とから構成されている。
【0010】
前記ランプ1L、1R、1は、車両(図示せず)の後部に装備された左側のリヤコンビネーションランプ、右側のリヤコンビネーションランプ、中央のハイマウントストップランプである。前記左右のリヤコンビネーションランプ1L、1Rは、図1および図2に示すように、テールランプ10L、10R、ストップランプ11L、11R、テール・ストップ追加ランプ12L、12R、ターンランプ13L、13R、バックランプ14L、14R、リヤフォグランプ15L、15Rとからなる。前記テールランプ10L、10Rと前記ストップランプ11L、11Rとは、兼用タイプである。
【0011】
前記ランプ1L、1R、1は、LEDを光源とする。前記LEDは、光度を変化させることができる。また、前記LED発光個数を変化させることにより発光面積を変化させることができる。なお、この発明は、光源として前記LED以外にハロゲンランプ、白熱ランプであっても良い。
【0012】
前記テールランプ10L、10Rは、テールランプスイッチ(図示せず)がONのときに点灯してOFFのときに消灯するランプである。前記ストップランプ11L、11Rは、ブレーキペダル(図示せず)などのブレーキスイッチ(図示せず)がONのときに点灯してOFFのときに消灯するランプである。前記テール・ストップ追加ランプ12L、12Rは、テールランプスイッチあるいはブレーキスイッチがONのときに点灯してOFFのときに消灯するランプである。前記ターンランプ13L、13Rは、ウインカースイッチ(図示せず)がONのときに点灯してOFFのときに消灯するランプである。前記バックランプ14L、14Rは、リバーススイッチ(図示せず)がONのとき(たとえば、シフトレバーのシフト位置がリバース位置のとき)に点灯してOFFのとき(たとえば、シフトレバーのシフト位置がリバース位置以外の位置のとき)に消灯するランプである。前記リヤフォグランプ15L、15Rは、後記フォグランプスイッチ22がONのときに点灯してOFFのときに消灯するランプである。前記ハイマウントストップランプ1は、ブレーキペダルなどのブレーキスイッチがONのときに点灯してOFFのときに消灯するランプである。
【0013】
前記周囲環境検知手段2は、たとえば、図1に示すように、光センサ20、ヘッドランプスイッチ21、フォグランプスイッチ22、ワイパースイッチ23、雨滴センサ24、シフト状態検知手段25、撮像装置26からなる。
【0014】
前記光センサ20は、車両の周囲環境が、たとえば、晴天か非常に明るいかなどを検知する手段である。前記光センサ20は、前記リヤコンビネーションランプ1L、1Rの付近もしくは内部に配置されている。前記ヘッドランプスイッチ21は、ヘッドランプ(図示せず)が点灯しているか消灯しているかにより車両の周囲環境が、たとえば、夜間かトンネル内かなどを検知する手段である。前記フォグランプスイッチ22は、フロントフォグランプ(図示せず)および前記リヤフォグランプ15L、15Rが点灯しているか消灯しているかにより車両の周囲環境が、たとえば、霧などで視界不良かなどを検知する手段である。前記ワイパースイッチ23は、ワイパーが作動しているか否かにより車両の周囲環境が、たとえば、雨などで視界不良かなどを検知する手段である。前記雨滴センサ24は、前記ワイパースイッチ23と同様に、車両の周囲環境が、たとえば、雨などで視界不良かなどを検知する手段である。前記シフト状態検知手段25は、AT車のシフトレバーのシフト位置がスノーモードの位置や2Dモードの位置に位置しているか否かにより車両の周囲環境が、たとえば、雪などで視界不良かなどを検知する手段である。前記撮像装置26は、CCDカメラで車両の周囲の情報を撮像することにより車両の周囲環境が、たとえば、雨や雪などで視界不良かなどを検知する手段である。
【0015】
前記制御装置3は、図1に示すように、インターフェイス回路30と、周囲環境判断部31と、ランプドライバー回路32とからなる。前記制御装置3は、車両に搭載されているコンピュータ、たとえば、カーナビゲーション(ナビゲーションシステム)のコンピュータや制御回路部や専用のECU(電子制御ユニット)を使用する。
【0016】
前記インターフェイス回路30は、前記周囲環境検知手段2と前記周囲環境判断部31とにそれぞれ接続されており、前記周囲環境検知手段2からの検知信号をコンピュータで扱える電気信号に変換するものである。
【0017】
前記周囲環境判断部31は、前記インターフェイス回路30を介して前記周囲環境検知手段2からの検知信号に基づいて車両の周囲環境を判断し、かつ、前記ランプドライバー回路32を介して車両の周囲環境に対応した点灯パターンで前記ランプ1L、1R、1の点灯を制御するものである。すなわち、前記周囲環境判断部31は、前記周囲環境検知手段2からの検知信号に基づいて車両の周囲環境を、1−非常に明るく眩しい周囲環境、2−雨や霧や雪などで視界不良の周囲環境、3−夜間やトンネル内などの暗い周囲環境、4−通常の周囲環境、と判断する。また、前記周囲環境判断部31は、前記の周囲環境の判断により、前記ランプドライバー回路32を介して前記ランプ1L、1R、1の点灯を、1−光度を上げる点灯パターン、2−発光面積を広げる点灯パターン、3−光度を上げかつ発光面積を広げる点灯パターン、4−通常の点灯パターン、で制御する。
【0018】
前記ランプドライバー回路32は、前記ランプ1L、1R、1と前記周囲環境判断部31とにそれぞれ接続されており、前記周囲環境判断部31の制御に基づいて、前記ランプ1L、1R、1の光度を変えたり、発光面積を変えたり、光度および発光面積を変えたりするものである。
【0019】
(実施例の作用の説明)
この実施例における車両用照明装置は、以上のごとき構成からなり、以下、この実施例における車両用照明装置の作用について説明する。
【0020】
まず、ヘッドランプスイッチ21がOFF、フォグランプスイッチ22がOFF、ワイパースイッチ23がOFF、光センサ20が明るいと検知する。すると、周囲環境判断部31は、1−非常に明るく眩しい周囲環境と判断して、1−光度を上げる点灯パターンで、ストップランプ11L、11R、ターンランプ13L、13R、バックランプ14L、14R、ハイマウントストップランプ1の点灯を制御する。これにより、太陽光の影響による視認性の低下を防止することができ、交通安全に貢献することができる。
【0021】
また、ヘッドランプスイッチ21がON、フォグランプスイッチ22がON、ワイパースイッチ23がON、光センサ20が暗いと検知する。すると、周囲環境判断部31は、2−雨や霧や雪などで視界不良の周囲環境と判断して、1−光度を上げる点灯パターンで、テールランプ10L、10R、ストップランプ11L、11R、ターンランプ13L、13R、バックランプ14L、14R、ハイマウントストップランプ1の点灯を制御し、および、図4に示すように、2−発光面積を広げる点灯パターンで、テール・ストップ追加ランプ12L、12Rの点灯を制御する。または、1−光度を上げる点灯パターンで、ターンランプ13L、13R、バックランプ14L、14Rの点灯を制御し、かつ、3−光度を上げかつ発光面積を広げる点灯パターンで、テールランプ10L、10R、ストップランプ11L、11R、テール・ストップ追加ランプ12L、12R、リヤフォグランプ15L、15R、ハイマウントストップランプ1の点灯を制御する。これにより、後続車のドライバーに自車の位置や制動状態を確実に認識させることができ、交通安全に貢献することができる。しかも、リヤフォグランプ15L、15Rを装備していない車両であっても、後続車のドライバーに確実に認識させることができ、ランプコストを安価にすることができる。
【0022】
さらに、ヘッドランプスイッチ21がON、光センサ20が暗いと検知する。すると、周囲環境判断部31は、3−夜間やトンネル内などの暗い周囲環境と判断して、1−光度を上げる点灯パターンで、バックランプ14L、14Rの点灯を制御する。これにより、夜間の後進時の視認性が向上され、交通安全に貢献することができる。
【0023】
さらにまた、周囲環境判断部31が4−通常の周囲環境と判断すると、周囲環境判断部31は、4−通常の点灯パターンで、ランプ1L、1R、1の点灯、たとえば、図3に示すように、テールランプ10L、10R、ストップランプ11L、11Rの点灯を制御する。これにより、消費電力を節約することができる。
【0024】
(実施例の効果の説明)
この実施例における車両用照明装置は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、この実施例における車両用照明装置の効果について説明する。
【0025】
この実施例における車両用照明装置は、以上のごとき構成および作用から明らかなように、下記の効果を達成することができる。すなわち、周囲環境検知手段2が車両の周囲環境を検知して検知信号を制御装置3に出力すると、その制御装置3が周囲環境検知手段2からの検知信号に基づいて車両の周囲環境を判断し、かつ、車両の周囲環境に対応した点灯パターンでランプ1L、1R、1の点灯を制御する。このために、この実施例における車両用照明装置は、車両の周囲の環境に対応した点灯パターンでランプ1L、1R、1の点灯を制御することができるので、交通安全の向上に貢献することができる。
【0026】
特に、この実施例における車両用照明装置は、車両の周囲環境が雨や霧や雪などで視界不良の場合には、ランプ1L、1R、1の光度を上がるとともに、発光面積を広げるので、後続車のドライバーに自車の位置や制動状態を確実に認識させることができ、交通安全に貢献することができる。
【0027】
また、光センサ20は、後続車のドライバーの視線が注がれるリヤコンビネーションランプ1L、1Rの付近もしくは内部に配置されているので、後続車のドライバーの視点から車両の周囲環境の明るさを検知することができ、ランプの点灯制御の信頼性が向上される。
【0028】
(実施例以外の例の説明)
なお、前記の実施例においては、ランプ1L、1R、1として、テールランプ10L、10R、ストップランプ11L、11R、テール・ストップ追加ランプ12L、12R、ターンランプ13L、13R、バックランプ14L、14R、リヤフォグランプ15L、15R、ハイマウントストップランプ1を使用するものである。ところが、この発明においては、上記のランプのうち、少なくとも1つ、または、他のランプや他のランプとの組み合わせであっても良い。
【0029】
また、前記の実施例においては、周囲環境検知手段2として、光センサ20、ヘッドランプスイッチ21、フォグランプスイッチ22、ワイパースイッチ23、雨滴センサ24、シフト状態検知手段25、撮像装置26を使用するものである。ところが、この発明においては、上記の周囲環境検知手段2のうち、少なくとも1つ、または、他の周囲環境検知手段や他の周囲環境検知手段との組み合わせであっても良い。
【0030】
さらに、前記の実施例においては、制御装置3のランプ1L、1R、1の点灯制御のパターンとして、1−光度を上げる点灯パターン、2−発光面積を広げる点灯パターン、3−光度を上げかつ発光面積を広げる点灯パターン、4−通常の点灯パターンである。ところが、この発明においては、上記の点灯制御パターンのうち、少なくとも1つ、または、他の点灯制御パターンや他の点灯制御パターンとの組み合わせであっても良い。
【0031】
さらにまた、前記の実施例においては、光センサ20をリヤコンビネーションランプ1L、1Rの付近もしくは内部に配置したものである。ところが、この発明においては、ヘッドランプなど照明機能のランプを自動的に点灯消灯するオートライトシステムなどに使用されている既存の光センサを使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明にかかる車両用照明装置の実施例を示す構成ブロック図である。
【図2】同じく、左右のリヤコンビネーションランプおよびハイパンとストップランプおよび周囲環境検知手段および制御装置を示す説明図である。
【図3】同じく、テールランプおよびストップランプが通常の点灯パターンで点灯している状態を示す説明図である。
【図4】同じく、テールランプおよびストップランプとテール・ストップ追加ランプとが発光面積を広げる点灯パターンで点灯している状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1L 左側のリヤコンビネーションランプ
1R 右側のリヤコンビネーションランプ
1 ハイマウントストップランプ
10L、10R テールランプ
11L、11R ストップランプ
12L、12R テール・ストップ追加ランプ
13L、13R ターンランプ
14L、14R バックランプ
15L、15R リヤフォグランプ
2 周囲環境検知手段
20 光センサ
21 ヘッドランプスイッチ
22 フォグランプスイッチ
23 ワイパースイッチ
24 雨滴センサ
25 シフト状態検知手段
26 撮像装置
3 制御装置
30 インターフェイス回路
31 周囲環境判断部
32 ランプドライバー回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装備されたランプと、
車両の周囲環境を検知して検知信号を出力する周囲環境検知手段と、
前記周囲環境検知手段からの検知信号に基づいて車両の周囲環境を判断し、かつ、車両の周囲環境に対応した点灯パターンで前記ランプの点灯を制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記ランプは、テールランプ、ストップランプ、テール・ストップ追加ランプ、ターンランプ、バックランプ、リヤフォグランプ、ハイマウントストップランプのうち、少なくとも1のランプからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記周囲環境検知手段は、光センサ、ヘッドランプスイッチ、フォグランプスイッチ、ワイパースイッチ、雨滴センサ、シフト状態検知手段、撮像装置のうち、少なくとも1つの周囲環境検知手段からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記制御装置は、光度を変える点灯パターン、発光面積を変える点灯パターン、光度および発光面積を変える点灯パターンのうち、少なくとも1つの点灯パターンで前記ランプの点灯を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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