車両用経路誘導装置
【目的】 右折または左折すべき交差点が接近したことを案内する地点を、現在走行している道路の車線数に応じて変更することのできる経路誘導装置を提供する。
【構成】 地図情報を記録する地図情報記録部10に各道路の車線数を記録する車線数記憶部10aを設ける。経路案内制御部26は車線情報を地図情報と同時に読み出し、常に現在走行中の道路の車線数を把握する。そして、案内位置変更部26aはこの車線情報を基に経路案内を行う地点、すなわち該当する交差点までの距離の変更を行い、この距離になったときに音声制御部30に音声案内を行うように指示する。音声制御部30はこの指示に基づき音声による経路案内を行い運転者に交差点に接近したことを報知する。
【構成】 地図情報を記録する地図情報記録部10に各道路の車線数を記録する車線数記憶部10aを設ける。経路案内制御部26は車線情報を地図情報と同時に読み出し、常に現在走行中の道路の車線数を把握する。そして、案内位置変更部26aはこの車線情報を基に経路案内を行う地点、すなわち該当する交差点までの距離の変更を行い、この距離になったときに音声制御部30に音声案内を行うように指示する。音声制御部30はこの指示に基づき音声による経路案内を行い運転者に交差点に接近したことを報知する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音声で経路誘導を行う車両用経路誘導装置に関する。
【0002】
【従来の技術】運転者の負担の軽減をするための各種の装置が検討され、車両に搭載されるようになってきているが、この中に目的地までの経路に沿って誘導を行う経路誘導装置がある。そして、この経路誘導装置においては交差点などの分岐点を通過する際に、選択すべき経路を運転者に知らせる機能を有しており、現在実用に供されているものとして車両のインストルメンツパネルにディスプレイによる画像表示装置を設けこれにより運転者に経路を報知する経路誘導装置がある。
【0003】また、このような画像表示による報知に加えて、音声による経路報知を行う装置も知られている。例えば、特開昭62−267900号公報には経路を知らせるべき交差点の手前の所定位置(30m)に至った時に音声による指示を行う装置が示されている。このような音声による経路誘導によれば、運転者はディスプレイをなどを見る必要がなく、前方の監視に集中することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の経路誘導装置によれば案内音声の発生地点が該当する交差点手前の所定距離に固定されている。このため、車線の多い道路を走行中など交差点に達する以前に車線変更を完了することができず、右折もしくは左折などができなくなってしまうという問題があった。
【0005】たとえば、最も左の車線走行中に「次の交差点を右へ」と知らされた場合、周りの車両の流れに合わせ、車線変更を行い最も右の車線による必要が生じ、この車線変更に時間を要するという場合がある。また、このように多数の車線がある場合、右折専用レーンが設定されている場合が多く、このレーンに並んでいる他車の最後尾につく必要がある。この場合にも交差点のかなり手前で車線変更を行っておく必要が生じる。このような場合に交差点での経路変更を早めに知りたいという欲求がある。
【0006】本発明は前述の問題点を解決するためになされたものであり、現在走行中の道路の車線数に応じて音声による経路誘導を行う地点を変更することのできる車両用経路誘導装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するために、本発明にかかる車両用経路誘導装置は現在走行中の道路の車線数を検出する車線数検出手段と、前記車線数検出手段によって検出された車線数が多いほど手前の地点で音声案内を行う音声案内手段とを有している。
【0008】
【作用】本発明は以上のような構成を有しており、現在走行中の道路の車線数を検知することにより、右折・左折などの経路変更をするための車線変更に要するであろう時間に応じて、案内音声を行う地点を変更する。すなわち、車線数の多い道路を走行中と判断された場合は、車線変更を行うのに時間を要するので早めの案内を行う。
【0009】
【実施例】以下、本発明にかかる好適な実施例を図面にしたがって説明をする。図1には本装置の構成を示すブロック図が示されている。道路、地名、建造物名、河川名などの情報を記憶する地図情報記憶部10が設けられており、必要に応じて記憶されている地図情報を読みだすことができるようになっている。また、現在の自車両の位置を測定するための衛星航法システム(以下GPSと記す)を利用したGPSレシーバ14と、地磁気に基づき自車両の進行方位を検出する方位センサ16と、車輪の回転数により走行距離を検出する距離センサ18が設けられており、これらのセンサの検出結果に基づき現在位置測定部12は自車両の現在位置を確定する。
【0010】目的地までの経路誘導を行う場合には、まず目的地を入力部19により、後述する表示部の画面上で指示したり、地名などにより入力する。そして、現在位置測定部12により算出された現在位置から目的地に至る経路を演算部20に含まれる経路算出部22により算出し、この算出された経路を経路記憶部24に記憶する。
【0011】目的地を入力し、経路を決定した後、実際の経路誘導が行われる。前述の演算部20に含まれる経路案内制御部26は自車両周辺の地図情報を地図情報記憶部10より読み出し、これを現在の自車両位置・進行方向と経路記憶部24に記憶された経路と共に重畳して表示部28に表示する。
【0012】表示部28は運転席近傍のインストルメンツパネル内に設けられており、運転者はこの表示部28を見ることにより自車両の位置を確認し、また今後の経路についての情報を得る。この表示の一例を図2に示す。図2において選択された経路は太い実線100で示されており、その他の道路は細い実線102で示されている。自車両の位置は丸印104で、進行方向はくさび型矢印106で示されている。道路の表示については、線の太さによる区別に限らず色を変えることにより区別することもできる。
【0013】自車両の位置が進路変更すべき交差点108に近付くと表示画面が図3のように変わり、交差点名110とその交差点までの距離112を表示する。また、この表示切り換えと同時に交差点での経路誘導に対応する音声を発生するように経路案内制御部26は音声制御部30に指示を行う。音声制御部30は音声記憶部にデジタルデータとして記憶されている情報を読み出し、これをアナログ信号に変換しスピーカ34を駆動する。そして、スピーカ34より「次の交差点を左折です。」などと経路指示を運転者に行い経路誘導する。この音声指示は交差点を通過するまで所定距離ごとに行われる。
【0014】このとき、走行中の道路の車線が多く、さらに自車両が最も右の車線を走行している場合、まず車線変更を行い最も左の車線に移る必要が生じる。この車線変更を行うのに必要とする時間を作るために経路誘導の指示は早めに出す必要がある。本装置においては、地図情報記録部10に記憶されている道路に関する情報の中に車線の数を記憶するための車線数記憶部10aを含んでいる。経路案内制御部26は地図情報を読み出す際に、この車線に関する情報も同時に読み出し、自車両が走行している道路の車線数を常に把握している。前述の経路案内制御部26に含まれる案内位置変更部26aは前述の車線数に応じて経路案内を行う地点、すなわち該当する交差点までの距離を変更する指示を行う。たとえば、片側1車線の道路走行時には350m手前で音声案内を行い、1車線増えるごとにさらに100mずつ手前で音声案内を行うようにする。つまり、2車線ならば450m、3車線なら550m手前などとする。また、該当する交差点の拡大図の表示も早めに行うようにする。本実施例の場合は、前述の音声案内を最初に行うと同時に画面表示を拡大図の表示にするように構成されている。
【0015】このようにして、本実施例によれば左折もしくは右折するために車線変更を行う必要がある複数車線の道路を走行中にも、早めに車線変更を行うことができ、右折・左折タイミングを逸することを防ぐことができる。
【0016】さらに、道路情報の中に交差点の右折専用レーンの有無の情報を含ませることによって早めの経路案内を行い、右折レーンに車両が並んでいるところへ途中から割り込まざるを得なくなるという状況を防止することも可能となる。
【0017】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明によれば車線の多い道路を走行中においても右折・左折をするために車線変更を行う時間を作ることができ、車線変更ができないために右折・左折の機会を逸することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる好適な実施例の構成ブロック図である。
【図2】本実施例の装置の表示例を示す図である。
【図3】本実施例の装置の表示例を示す図であり、特に右折または左折する交差点に接近した時の拡大表示の例を示す図である。
【符号の説明】
10 地図情報記憶部
10a 車線数記憶部
26 経路案内制御部
26a 案内位置変更部
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音声で経路誘導を行う車両用経路誘導装置に関する。
【0002】
【従来の技術】運転者の負担の軽減をするための各種の装置が検討され、車両に搭載されるようになってきているが、この中に目的地までの経路に沿って誘導を行う経路誘導装置がある。そして、この経路誘導装置においては交差点などの分岐点を通過する際に、選択すべき経路を運転者に知らせる機能を有しており、現在実用に供されているものとして車両のインストルメンツパネルにディスプレイによる画像表示装置を設けこれにより運転者に経路を報知する経路誘導装置がある。
【0003】また、このような画像表示による報知に加えて、音声による経路報知を行う装置も知られている。例えば、特開昭62−267900号公報には経路を知らせるべき交差点の手前の所定位置(30m)に至った時に音声による指示を行う装置が示されている。このような音声による経路誘導によれば、運転者はディスプレイをなどを見る必要がなく、前方の監視に集中することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の経路誘導装置によれば案内音声の発生地点が該当する交差点手前の所定距離に固定されている。このため、車線の多い道路を走行中など交差点に達する以前に車線変更を完了することができず、右折もしくは左折などができなくなってしまうという問題があった。
【0005】たとえば、最も左の車線走行中に「次の交差点を右へ」と知らされた場合、周りの車両の流れに合わせ、車線変更を行い最も右の車線による必要が生じ、この車線変更に時間を要するという場合がある。また、このように多数の車線がある場合、右折専用レーンが設定されている場合が多く、このレーンに並んでいる他車の最後尾につく必要がある。この場合にも交差点のかなり手前で車線変更を行っておく必要が生じる。このような場合に交差点での経路変更を早めに知りたいという欲求がある。
【0006】本発明は前述の問題点を解決するためになされたものであり、現在走行中の道路の車線数に応じて音声による経路誘導を行う地点を変更することのできる車両用経路誘導装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するために、本発明にかかる車両用経路誘導装置は現在走行中の道路の車線数を検出する車線数検出手段と、前記車線数検出手段によって検出された車線数が多いほど手前の地点で音声案内を行う音声案内手段とを有している。
【0008】
【作用】本発明は以上のような構成を有しており、現在走行中の道路の車線数を検知することにより、右折・左折などの経路変更をするための車線変更に要するであろう時間に応じて、案内音声を行う地点を変更する。すなわち、車線数の多い道路を走行中と判断された場合は、車線変更を行うのに時間を要するので早めの案内を行う。
【0009】
【実施例】以下、本発明にかかる好適な実施例を図面にしたがって説明をする。図1には本装置の構成を示すブロック図が示されている。道路、地名、建造物名、河川名などの情報を記憶する地図情報記憶部10が設けられており、必要に応じて記憶されている地図情報を読みだすことができるようになっている。また、現在の自車両の位置を測定するための衛星航法システム(以下GPSと記す)を利用したGPSレシーバ14と、地磁気に基づき自車両の進行方位を検出する方位センサ16と、車輪の回転数により走行距離を検出する距離センサ18が設けられており、これらのセンサの検出結果に基づき現在位置測定部12は自車両の現在位置を確定する。
【0010】目的地までの経路誘導を行う場合には、まず目的地を入力部19により、後述する表示部の画面上で指示したり、地名などにより入力する。そして、現在位置測定部12により算出された現在位置から目的地に至る経路を演算部20に含まれる経路算出部22により算出し、この算出された経路を経路記憶部24に記憶する。
【0011】目的地を入力し、経路を決定した後、実際の経路誘導が行われる。前述の演算部20に含まれる経路案内制御部26は自車両周辺の地図情報を地図情報記憶部10より読み出し、これを現在の自車両位置・進行方向と経路記憶部24に記憶された経路と共に重畳して表示部28に表示する。
【0012】表示部28は運転席近傍のインストルメンツパネル内に設けられており、運転者はこの表示部28を見ることにより自車両の位置を確認し、また今後の経路についての情報を得る。この表示の一例を図2に示す。図2において選択された経路は太い実線100で示されており、その他の道路は細い実線102で示されている。自車両の位置は丸印104で、進行方向はくさび型矢印106で示されている。道路の表示については、線の太さによる区別に限らず色を変えることにより区別することもできる。
【0013】自車両の位置が進路変更すべき交差点108に近付くと表示画面が図3のように変わり、交差点名110とその交差点までの距離112を表示する。また、この表示切り換えと同時に交差点での経路誘導に対応する音声を発生するように経路案内制御部26は音声制御部30に指示を行う。音声制御部30は音声記憶部にデジタルデータとして記憶されている情報を読み出し、これをアナログ信号に変換しスピーカ34を駆動する。そして、スピーカ34より「次の交差点を左折です。」などと経路指示を運転者に行い経路誘導する。この音声指示は交差点を通過するまで所定距離ごとに行われる。
【0014】このとき、走行中の道路の車線が多く、さらに自車両が最も右の車線を走行している場合、まず車線変更を行い最も左の車線に移る必要が生じる。この車線変更を行うのに必要とする時間を作るために経路誘導の指示は早めに出す必要がある。本装置においては、地図情報記録部10に記憶されている道路に関する情報の中に車線の数を記憶するための車線数記憶部10aを含んでいる。経路案内制御部26は地図情報を読み出す際に、この車線に関する情報も同時に読み出し、自車両が走行している道路の車線数を常に把握している。前述の経路案内制御部26に含まれる案内位置変更部26aは前述の車線数に応じて経路案内を行う地点、すなわち該当する交差点までの距離を変更する指示を行う。たとえば、片側1車線の道路走行時には350m手前で音声案内を行い、1車線増えるごとにさらに100mずつ手前で音声案内を行うようにする。つまり、2車線ならば450m、3車線なら550m手前などとする。また、該当する交差点の拡大図の表示も早めに行うようにする。本実施例の場合は、前述の音声案内を最初に行うと同時に画面表示を拡大図の表示にするように構成されている。
【0015】このようにして、本実施例によれば左折もしくは右折するために車線変更を行う必要がある複数車線の道路を走行中にも、早めに車線変更を行うことができ、右折・左折タイミングを逸することを防ぐことができる。
【0016】さらに、道路情報の中に交差点の右折専用レーンの有無の情報を含ませることによって早めの経路案内を行い、右折レーンに車両が並んでいるところへ途中から割り込まざるを得なくなるという状況を防止することも可能となる。
【0017】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明によれば車線の多い道路を走行中においても右折・左折をするために車線変更を行う時間を作ることができ、車線変更ができないために右折・左折の機会を逸することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる好適な実施例の構成ブロック図である。
【図2】本実施例の装置の表示例を示す図である。
【図3】本実施例の装置の表示例を示す図であり、特に右折または左折する交差点に接近した時の拡大表示の例を示す図である。
【符号の説明】
10 地図情報記憶部
10a 車線数記憶部
26 経路案内制御部
26a 案内位置変更部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行経路の所定地点において音声による案内を行い、目的地に至る経路に沿って誘導を行う車両用経路誘導装置であって、現在走行中の道路の車線数を検出する車線数検出手段と、前記車線数検出手段によって検出された車線数が多いほど手前の地点で経路案内を行う経路案内手段と、を有していることを特徴とする車両用経路誘導装置。
【請求項1】 走行経路の所定地点において音声による案内を行い、目的地に至る経路に沿って誘導を行う車両用経路誘導装置であって、現在走行中の道路の車線数を検出する車線数検出手段と、前記車線数検出手段によって検出された車線数が多いほど手前の地点で経路案内を行う経路案内手段と、を有していることを特徴とする車両用経路誘導装置。
【図2】
【図3】
【図1】
【図3】
【図1】
【公開番号】特開平6−295399
【公開日】平成6年(1994)10月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−192527
【出願日】平成4年(1992)7月20日
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【上記1名の代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【上記1名の代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 敏彦 (外2名)
【公開日】平成6年(1994)10月21日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)7月20日
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【上記1名の代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【上記1名の代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 敏彦 (外2名)
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