車両用電子制御装置およびその製造方法
【課題】コネクタ整列板下に配置された電気回路素子を固定するはんだ部のクラックの発生を抑制することができる車両用電子制御装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】整列板30は、プリント基板20に対向する表面32のうち電気回路素子21に対応する部分が凹んだ凹部33と、整列板30の凹部33に設けられると共に電気回路素子21およびはんだ部24をコーティングする熱硬化樹脂40と、を有している。このように、熱硬化樹脂40が整列板30の下部に配置された電気回路素子21およびはんだ部24を覆っているので、電気回路素子21を固定するはんだ部24に応力が掛かりにくくなり、はんだ部24にクラックが入りにくくなるので、電気回路素子21を固定するはんだ部24のクラックの発生を抑制することができる。
【解決手段】整列板30は、プリント基板20に対向する表面32のうち電気回路素子21に対応する部分が凹んだ凹部33と、整列板30の凹部33に設けられると共に電気回路素子21およびはんだ部24をコーティングする熱硬化樹脂40と、を有している。このように、熱硬化樹脂40が整列板30の下部に配置された電気回路素子21およびはんだ部24を覆っているので、電気回路素子21を固定するはんだ部24に応力が掛かりにくくなり、はんだ部24にクラックが入りにくくなるので、電気回路素子21を固定するはんだ部24のクラックの発生を抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタとプリント基板とが組み付けられた車両用電子制御装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Electromagnetic Compatibility(EMC)性能の向上とプリント基板の面積縮小とを同時に実現する方法として、コネクタピン間の間隔を一定に保つために用いられるコネクタ整列板とプリント基板との隙間にノイズ除去を目的としたノイズ除去用素子を配置する技術が知られている。
【0003】
これは、例えば車両用電子制御装置と外部コンポーネントとを接続するコネクタに隣接した箇所にノイズ除去用素子を配置することで、車両用電子制御装置の外部から伝搬するノイズが車両用電子制御装置に侵入しないようにすることが可能となる。また、従来はコネクタ周辺に配置していたノイズ除去用素子をコネクタ整列板下に移動させることでノイズ除去用素子が占有していた領域を省くことが可能となる。
【0004】
しかし、上記技術はコネクタをプリント基板に実装し、コネクタとプリント基板とを接合するフロー工程においてはんだによる接合を実施した後、プリント基板−コネクタピン間のはんだ部に残留応力が発生してしまう。車両環境温度の変化により発生する冷熱ストレス下で車両用電子制御装置を使用し続けると、コネクタ整列板下のノイズ除去用素子−実プリント基板間のはんだ部、および、コネクタピン−コネクタ整列板間のはんだ部にクラックが発生する恐れがある。クラックが発生することでピン接合部の破損およびノイズ除去用素子によるノイズ除去が行われずにEMC性能が劣化する問題が生じる。また、今後高密度実装化が進むことで同一面積のプリント基板に実装されるコネクタピン数が増加し、コネクタピンの間隔が狭くなることが考えられる。コネクタピンが密集するためにプリント基板の一点にかかる上記応力は増大するため、上記クラックが発生する可能性が増大する。
【0005】
そこで、コネクタピン−コネクタ整列板間のはんだ部の応力を緩和することにより、コネクタピンを固定するはんだ部のクラック発生を防止する解決案が特許文献1、2で提案されている。特許文献1では、整列部材を用いて二列に並べられたピンを整列させた後、ピンの配列方向を基準に整列部材を回転させて整列部材をピンから離脱する方法が提案されている。また、特許文献2では、複数の端子の脚部が挿入されると共に各端子の脚部の位置を規制する複数の規制孔を有する整列板を用いて、各端子適正位置に整列させる構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−294997号公報
【特許文献2】特開平6−45037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2の技術では、コネクタピンを固定するはんだ部のクラック発生を防止しているものの、プリント基板−コネクタピン間応力は引き続き発生する。このため、コネクタ整列板下のノイズ除去用素子を固定するはんだ部に応力が掛かり、クラックが発生する恐れがある。
【0008】
なお、プリント基板20に実装される素子としてノイズ除去用素子を例に説明したが、整列板の下部に配置される素子は他の電気回路素子の場合もある。このため、はんだ部にクラックが発生する問題は、ノイズ除去用素子に限ったことではなく、整列板の下部に配置された電気回路素子に生じる問題である。
【0009】
本発明は上記点に鑑み、コネクタ整列板下に配置された電気回路素子を固定するはんだ部のクラックの発生を抑制することができる車両用電子制御装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数のコネクタピン(11)を有するコネクタ(10)と、コネクタ(10)に一体化され、複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第1貫通孔(31)を有する整列板(30)と、整列板(30)に対向配置されると共に複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第2貫通孔(25)を有するプリント基板(20)と、プリント基板(20)のうち整列板(30)に対向する一面(22)にはんだ部(24)を介して固定されることで整列板(30)の下部に位置する電気回路素子(21)と、を備えている。
【0011】
そして、整列板(30)は、プリント基板(20)に対向する表面(32)のうち電気回路素子(21)に対応する部分が凹んだ凹部(33)と、整列板(30)の凹部(33)に設けられると共に電気回路素子(21)およびはんだ部(24)をコーティングする熱硬化樹脂(40)と、を有していることを特徴とする。
【0012】
これによると、熱硬化樹脂(40)が整列板(30)の下部に配置された電気回路素子(21)およびはんだ部(24)を覆う状態となるので、電気回路素子(21)を固定するはんだ部(24)に応力が掛かりにくくなり、はんだ部(24)にクラックが入りにくくなる。したがって、電気回路素子(21)を固定するはんだ部(24)のクラックの発生を抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、整列板(30)は、凹部(33)の底部(35)に、熱硬化樹脂(40)より熱伝導率が高い金属板(50)を有している。そして、熱硬化樹脂(40)は、金属板(50)の上に設けられていることを特徴とする。
【0014】
これによると、金属板(50)を介して熱硬化樹脂(40)に熱が伝達しやすくなるので、熱硬化樹脂(40)の硬化がより容易になる構造とすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、凹部(33)は、整列板(30)の側面(36)に繋がるように形成されている。そして、金属板(50)は、凹部(33)の底部(35)に配置されていると共に整列板(30)の側面(36)からはみ出ていることを特徴とする。
【0016】
このように、金属板(50)が整列板(30)からはみ出て外気に露出する構造となっているので、外気によって金属板(50)の温度が上昇しやすくなる。このため、金属板(50)を介して多くの熱が熱硬化樹脂(40)に伝わると共に、熱硬化樹脂(40)の硬化がより容易になる構造とすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3に記載の発明において、プリント基板(20)は、熱硬化樹脂(40)に対向する位置に当該プリント基板(20)を貫通するノンスルーホール(26)を有していることを特徴とする。
【0018】
これによると、プリント基板(20)のうち一面(22)とは反対側の他面(23)から一面(22)側にノンスルーホール(26)を介して熱が誘導される構造となるので、プリント基板(20)の他面(23)側の熱が熱硬化樹脂(40)に伝わりやすくなると共に、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にする構造とすることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、請求項2ないし4に記載の発明において、プリント基板(20)は、当該プリント基板(20)を貫通すると共にめっき処理が施されたスルーホール(27)を有している。そして、金属板(50)は、当該金属板(50)の一部(51)がスルーホール(27)に差し込まれて接合されていると共にプリント基板(20)のうち一面(22)とは反対側の他面(23)から突出していることを特徴とする。
【0020】
これによると、金属板(50)がプリント基板(20)の他面(23)側から熱を受けて熱硬化樹脂(40)に熱が伝わりやすくなるので、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にする構造とすることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明では、請求項1に記載の車両用電子制御装置の製造方法であって、整列板(30)としてプリント基板(20)に対向する表面(32)のうち電気回路素子(21)に対応する部分が凹んだ凹部(33)を有するものを用意すると共にコネクタ(10)を用意し、コネクタ(10)の複数のコネクタピン(11)を整列板(30)の複数の第1貫通孔(31)にそれぞれ差し込んで整列板(30)をコネクタ(10)に組み付ける組み付け工程を含んでいる。
【0022】
また、整列板(30)の凹部(33)に熱硬化樹脂(40)を塗布し、複数のコネクタピン(11)をプリント基板(20)の複数の第2貫通孔(25)にそれぞれ差し込むと共に熱硬化樹脂(40)で電気回路素子(21)およびはんだ部(24)をコーティングし、複数のコネクタピン(11)とプリント基板(20)とを接合し、さらに当該接合の熱で熱硬化樹脂(40)を硬化させるフロー工程を含んでいることを特徴とする。
【0023】
これによると、熱硬化樹脂(40)によって整列板(30)の下部に配置した電気回路素子(21)およびはんだ部(24)をコーティングするので、電気回路素子(21)を固定するはんだ部(24)に応力が掛かりにくくなり、はんだ部(24)にクラックが入りにくくなる。したがって、電気回路素子(21)を固定するはんだ部(24)のクラックの発生を抑制することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の発明において、フロー工程では、凹部(33)に塗布する熱硬化樹脂(40)の高さが整列板(30)の表面(32)よりも低くなるように、凹部(33)に熱硬化樹脂(40)を塗布することを特徴とする。
【0025】
これにより、熱硬化樹脂(40)が電気回路素子(21)およびはんだ部(24)によって押しつぶされたときに、押しつぶされた熱硬化樹脂(40)がコネクタピン(11)に付着することを防止することができる。
【0026】
請求項8に記載の発明では、請求項6または7に記載の発明において、組み付け工程では、整列板(30)として、凹部(33)の底部(35)に、熱硬化樹脂(40)より熱伝導率が高い金属板(50)を設けたものを用意する。そして、フロー工程では、金属板(50)の上に熱硬化樹脂(40)を塗布することを特徴とする。
【0027】
これによると、金属板(50)を介して熱硬化樹脂(40)に熱を伝わりやすくすることができるので、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にすることができる。
【0028】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の発明において、組み付け工程では、整列板(30)として凹部(33)が整列板(30)の側面(36)に繋がるように形成されているものを用意すると共に、金属板(50)が整列板(30)の側面(36)からはみ出るように金属板(50)を凹部(33)の底部(35)に配置したものを用意することを特徴とする。
【0029】
これにより、外気によって金属板(50)の温度が上昇しやすくなるので、金属板(50)を介して多くの熱を熱硬化樹脂(40)に伝えることができると共に、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にすることができる。
【0030】
請求項10に記載の発明では、請求項6ないし9に記載の発明において、プリント基板(20)として、熱硬化樹脂(40)に対向する位置に当該プリント基板(20)を貫通するノンスルーホール(26)を有するものを用いることを特徴とする。
【0031】
これにより、プリント基板(20)のうち一面(22)とは反対側の他面(23)から一面(22)側にノンスルーホール(26)を介して熱を誘導できるので、プリント基板(20)の他面(23)側の熱を熱硬化樹脂(40)に伝わりやすくすることができると共に、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にすることができる。
【0032】
請求項11に記載の発明では、請求項8ないし10に記載の発明において、プリント基板(20)として、当該プリント基板(20)を貫通すると共にめっき処理が施されたスルーホール(27)を有するものを用いる。そして、組み付け工程では、金属板(50)の一部(51)をスルーホール(27)に差し込んで接合すると共にプリント基板(20)のうち一面(22)とは反対側の他面(23)から突出させることを特徴とする。
【0033】
これにより、金属板(50)がプリント基板(20)の他面(23)側で受けた熱を熱硬化樹脂(40)に伝えやすくすることができるので、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にすることができる。
【0034】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用電子制御装置の分解図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】(a)はプリント基板の一面の平面図であり、(b)は整列板がプリント基板に組み付けられたときの整列板の下部に位置する電気回路素子を含む断面図である。
【図4】(a)は整列板の表面側を見た平面図であり、(b)は整列板がプリント基板に組み付けられた断面図である。
【図5】図1に示される車両用電子制御装置の製造工程の一部を示した図である。
【図6】第2実施形態に係る金属板の平面図および断面図である。
【図7】第3実施形態に係る整列板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0037】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る車両用電子制御装置の全体図であり、図2は図1のA矢視図である。これら図1および図2は、上ケース1、電子部品部2、および下ケース3を分解した分解図である。また、図3は電子部品部2の一部の平面図および断面図を示し、図4は電子部品部2の一部の平面図および断面図を示している。なお、図1および図2では電子部品部2の一部を透視図または断面図で示している。また、図3および図4では上ケース1や下ケース3等は省略している。これら図1〜図4に基づいて、車両用電子制御装置の全体構成について説明する。
【0038】
車両用電子制御装置は、電子部品部2が金属製の上ケース1および下ケース3に挟まれて上ケース1および下ケース3が基板固定ネジ4により固定されることで一体化された装置である。
【0039】
電子部品部2は、コネクタ10と、プリント基板20と、整列板30と、を備えている。コネクタ10は外部との電気的接続を行うための樹脂部品である。このため、コネクタ10は複数のコネクタピン11を有している。各コネクタピン11の一端側はコネクタ10の開口部側に位置し、中間部は適宜折り曲げられており、他端側はプリント基板20の電気回路に電気的に接続されている。
【0040】
プリント基板20は、図示しない電気回路が形成され、複数の電気回路素子21が実装された基板である。図1や図3(a)に示されるように、プリント基板20は一面22およびこの一面22の反対側の他面23にそれぞれ電気回路素子21がはんだ部24を介して複数実装されている。なお、図3(a)でははんだ部24を省略している。
【0041】
そして、図3(b)に示されるように、プリント基板20の一面22が整列板30の表面32に対向するように配置されている。このように、各電気回路素子21のうち、整列板30の下部(整列板30とプリント基板20との間のスペース)に配置された電気回路素子21は、例えばEMC対策として設けられたチップコンデンサ等のノイズ除去用の素子である。もちろん、整列板30の下部に配置される電気回路素子21はノイズ除去用に限られない。これら整列板30の下部に配置された電気回路素子21は、一方向に沿って配列されている。この「一方向」とは、例えば複数のコネクタピン11が配列された配列方向に一致している。
【0042】
また、図3(a)に示されるように、プリント基板20には複数のコネクタピン11がそれぞれ差し込まれる複数の貫通孔25が上記の一方向に沿って設けられている。この複数の貫通孔25は、電気回路素子21が配置されたラインとは異なるラインに設けられている。
【0043】
さらに、プリント基板20にはノンスルーホール26およびスルーホール27が複数設けられている。ノンスルーホール26は、後述する熱硬化樹脂40に対向する位置に設けられていると共に、めっきによる導体形成がされていない貫通ホールである。各ノンスルーホール26は、プリント基板20のうち整列板30の下部に位置すると共に、電気回路素子21が配置されたラインと同じラインに設けられている。このノンスルーホール26は、プリント基板20の他面23側から一面22側に熱を誘導して熱硬化樹脂40に熱を伝達するために設けられている。一方、スルーホール27は、プリント基板20のうち整列板30が対向しない外縁部に設けられていると共に、めっき処理が施されて導体形成がされている貫通ホールである。
【0044】
整列板30は、複数のコネクタピン11の位置を規制するための部品である。このため、図4(a)に示されるように、整列板30は複数のコネクタピン11がそれぞれ差し込まれる複数の貫通孔31を有している。そして、整列板30は、図1に示されるようにコネクタ10に一体化されている。
【0045】
また、整列板30は、図4(a)に示されるように、プリント基板20に対向する表面32が凹んだ凹部33を備えている。具体的に、凹部33は、少なくとも、ノイズ除去用素子である電気回路素子21に対応する部分に設けられている。言い換えると、整列板30の表面32側に設けられた整列板壁34によって整列板30の表面32側のうち少なくとも電気回路素子21に対応する部分にスペースが形成されている。このスペースが凹部33に対応する。すなわち、凹部33は、図3(b)に示されるように整列板30とプリント基板20とが組み付けられたときに、整列板30の下部に位置する電気回路素子21を収納するスペースである。上述のように、整列板30の下部の各電気回路素子21は一方向に沿って配置されているため、凹部33も上記の一方向に沿って形成されている。そして、本実施形態では、凹部33は整列板30の側面に繋がるように形成されている。
【0046】
また、整列板30は、凹部33の底部35に配置された金属板50を有している。金属板50として、例えば銅板が用いられる。また、整列板30の凹部33が整列板30の側面36に繋がるように形成されている。このため、これを利用して金属板50は図4(a)に示されるように整列板30の側面36からはみ出ている。これにより、金属板50が外気に露出する構造となっているので、外気によって金属板50の温度が上昇しやすくなる。
【0047】
さらに、金属板50は整列板30からはみ出た外縁部に端子部51を備えている。端子部51は、図4(b)に示されるように、プリント基板20に設けられたスルーホール27に差し込まれて接合されていると共に、金属板50の端子部51はプリント基板20の他面23から突出している。これにより、金属板50がプリント基板20の他面23側から熱を受けやすくなっている。
【0048】
そして、金属板50の上には熱硬化樹脂40が設けられている。ここで、金属板50は熱硬化樹脂40より熱伝導率が高いものであり、金属板50を介して熱硬化樹脂40に熱が伝達しやすくなっている。なお、図4(a)では熱硬化樹脂40を省略している。
【0049】
熱硬化樹脂40は、プリント基板20と整列板30との間に位置し、整列板30の下部に位置する電気回路素子21およびはんだ部24の全体をコーティングする役割を果たす。この熱硬化樹脂40は、整列板30とプリント基板20とが組み付けられたときに整列板30の下部に位置する電気回路素子21およびはんだ部24の全体を覆い、そのまま熱硬化したものである。
【0050】
ここで、熱硬化樹脂40の粘度が低いと、プリント基板20およびコネクタ10を傾けた際に熱硬化樹脂40が容易に移動し、コネクタピン11といった整列板30の下部の電気回路素子21以外に熱硬化樹脂40が付着する可能性がある。これを防止するため、熱硬化樹脂40は例えばエポキシ樹脂のように常温で粘度の高いゲル状となる物を選択し、熱硬化樹脂40が容易に移動しない構造とする。
【0051】
以上が、本実施形態に係る車両用電子制御装置の全体構成である。次に、車両用電子制御装置の製造方法について説明する。
【0052】
まず、上ケース1や下ケース3等の各部品を用意する。コネクタ10については、複数のコネクタピン11がインサート成型されたものを用意する。また、プリント基板20については、熱硬化樹脂40に対向する位置にノンスルーホール26が形成されており、めっき処理が施されたスルーホール27が形成されたものに電気回路素子21がはんだ部24で固定されたものを用意する。この場合、ノイズ除去用素子である電気回路素子21が整列板30の下部に配置されるようにプリント基板20の一面22に電気回路素子21を実装する。
【0053】
そして、整列板30については、複数の貫通孔31や上述の凹部33が形成されたものを用意し、凹部33の底部35に金属板50を設ける。この場合、凹部33が整列板30の側面に繋がるように形成されている整列板30を用意し、金属板50が整列板30の側面からはみ出るように金属板50を凹部33の底部35に配置する。金属板50を整列板30に確実に固定するため、金属板50を整列板30にインサート成型しても良い。このような整列板30に対し、コネクタ10の複数のコネクタピン11を整列板30の各貫通孔31にそれぞれ差し込んで整列板30をコネクタ10に組み付ける組み付け工程を行う。
【0054】
続いて、整列板30の凹部33に熱硬化樹脂40を設ける。すなわち、凹部33の底部35に配置された金属板50の上に熱硬化樹脂40を塗布する。この様子を図5に示す。図5に示されるように、凹部33に設けた熱硬化樹脂40に高さが整列板30の表面32を超えないように、整列板30の表面32よりも低くなるように熱硬化樹脂40の塗布量を調整する。これは、熱硬化樹脂40が電気回路素子21およびはんだ部24によって押しつぶされたときに、押しつぶされた熱硬化樹脂40が整列板30とプリント基板20との隙間を移動してコネクタピン11に付着することを防止するためである。このような熱硬化樹脂40の移動は、整列板壁34によっても規制される。
【0055】
この後、コネクタ10とプリント基板20との接合を行う。このためには、まず金属に熱を与えるプリヒート工程で各部品をはんだが溶融しやすくなる温度に加熱した後、高温短時間(例えば265℃、5sec)のフロー工程を実施する。
【0056】
すなわち、図5に示されるように、コネクタ10の複数のコネクタピン11をプリント基板20の各貫通孔25にそれぞれ差し込む。このとき、熱硬化樹脂40が整列板30の下部に位置する電気回路素子21およびはんだ部24の全体をコーティングする。この状態で、プリント基板20の他面23側をはんだ槽に浸すことではんだ付けを実施する。これにより、各コネクタピン11をプリント基板20に接合する。
【0057】
そして、この接合の熱で熱硬化樹脂40を硬化させる。このとき、上述のように、プリント基板20にノンスルーホール26が設けられているので、はんだ槽の熱がプリント基板20の他面23側からノンスルーホール26を介してプリント基板20の一面22側に誘導される。このため、熱硬化樹脂40の硬化がより容易になる。
【0058】
また、金属板50が整列板30からはみ出ているため、金属板50がはんだ槽の熱を受けやすく、熱硬化樹脂40の硬化がより容易になる。さらに、金属板50の端子部51がスルーホール27を介してプリント基板20の他面23側に突出しているので、端子部51によってはんだ槽の熱を吸い上げることが可能である。これによっても、熱硬化樹脂40の硬化をより容易にすることができる。
【0059】
なお、はんだ槽にコネクタピン11を浸すフロー工程で熱を用いるが、フロー工程の前のプリヒート工程でも熱を用いる。したがって、このプリヒート工程で熱硬化樹脂40の熱硬化を行っても良い。
【0060】
上記のようにして、電子部品部2を構成した後、電子部品部2を上ケース1と下ケース3とで挟んで基板固定ネジ4で固定することで車両用電子制御装置が完成する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態では、整列板30の下部に位置する電気回路素子21について、整列板30の凹部33に熱硬化樹脂40を塗布する。そして、コネクタ10をプリント基板20に組み付けた状態で熱硬化樹脂40が整列板30の下部の電気回路素子21を覆う状態にし、コネクタ10とプリント基板20をはんだにより接合するフロー工程の熱で熱硬化樹脂40を硬化させて、熱硬化樹脂40を電気回路素子21およびはんだ部24にコーティングすることが特徴となっている。
【0062】
このように、熱硬化樹脂40が電気回路素子21およびはんだ部24を覆うので、電気回路素子21を固定するはんだ部24に応力が掛かりにくくなり、はんだ部24にクラックが入りにくくなる。すなわち、フロー工程のはんだ槽の熱によってコネクタ10やプリント基板20等、熱膨張係数がそれぞれ異なる部品が一体化されているため、熱膨張係数の差に応じた応力がはんだ部24に印加されるが、熱硬化した熱硬化樹脂40がはんだ部24の全体を完全に覆ってはんだ部24を押さえつけているため、応力を受けたはんだ部24の変形をしにくくすることができる。したがって、電気回路素子21を固定するはんだ部24のクラックの発生を抑制することができる。整列板30の下部に配置される電気回路素子21としてノイズ除去用の素子を用いている場合は、車両用電子制御装置において経年劣化によるEMC特性の劣化を防止することができる。
【0063】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、貫通孔31が特許請求の範囲の「第1貫通孔」に対応し、貫通孔25が特許請求の範囲の「第2貫通孔」に対応する。また、端子部51が特許請求の範囲の「金属板の一部」に対応する。
【0064】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図6(a)は本実施形態に係る整列板30の表面32側を見た平面図であり、図6(b)は整列板30がプリント基板20に組み付けられた断面図である。
【0065】
図6(a)に示されるように、本実施形態では金属板50に端子部51は設けられていない。しかし、金属板50の外縁部が整列板30の側面36からはみ出ており、金属板50が外気に露出する構造となっているので、外気によって金属板50の温度が上昇しやすくなる。したがって、金属板50を介して多くの熱を熱硬化樹脂40に伝えることができると共に、熱硬化樹脂40の硬化をより容易にすることができる。
【0066】
もちろん、金属板50が整列板30の側面36からはみ出ないように凹部33の底部35に設けられていても良い。
【0067】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。図7は、本実施形態に係る整列板30およびプリント基板20の断面図である。この図に示されるように、整列板30の凹部33の底部35に金属板50が設けられていない。この場合は、凹部33の底部35に熱硬化樹脂40が直接塗布されている。
【0068】
このように、金属板50を用いない構造でも良い。上述のように、プリント基板20にノンスルーホール26が設けられていれば、このノンスルーホール26を介して熱硬化樹脂40に熱を伝えることができる。以上のように、熱の伝達手段として金属板50を用いない構造としても良い。
【0069】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された車両用電子制御装置の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明の熱硬化樹脂40によって整列板30の下部に配置された電気回路素子21およびはんだ部24をコーティングできる他の構成とすることもできる。
【0070】
例えば、金属板50を備えていない整列板30およびノンスルーホール26が設けられていないプリント基板20を採用しても良い。また、整列板30の下部に位置する電気回路素子21の数や配置場所は適宜設定できる。同様に、ノンスルーホール26の数や配置も適宜設定できる。金属板50の端子部51の位置も、金属板50の外縁部に限らず、他の場所でも良い。さらに、金属板50のうちプリント基板20に接合される部分は端子部51に限らず、金属板50の一部であれば良い。
【0071】
また、上記各実施形態では、整列板30には、この整列板30の下部に配置された複数の電気回路素子21をまとめて収納する1つの大きな凹部33が設けられていたが、各電気回路素子21それぞれに対応した凹部33が設けられていても良い。この場合、1つの凹部33に1つの電気回路素子21が配置されても良いし、1つの凹部33に2つ以上の電気回路素子21が配置されていても良い。また、凹部33は複数設けられていても良い。すなわち、熱硬化樹脂40を塗布できるスペースとして凹部33が設けられていれば良く、そのような構造は凹部33を形成するための整列板壁34をどのように設けるかによって実現できる。
【0072】
また、上記各実施形態では、整列板30の凹部33に予め熱硬化樹脂40を塗布していたが、整列板30の凹部33に熱硬化樹脂40を塗布する前にコネクタ10の各コネクタピン11をプリント基板20の貫通孔25に差し込み、この後に凹部33に溶かした熱硬化樹脂40を流し込んでも良い(アンダーフィル工程)。例えば、整列板30の側面36に繋がるように凹部33を設けておけば、整列板30の側面36から凹部33に熱硬化樹脂40を注入できる。また、プリント基板20に設けられたノンスルーホール26を介して凹部33に熱硬化樹脂40を注入しても良い。
【0073】
上記各実施形態では、熱硬化樹脂40としてエポキシ樹脂を用いるとしたが、これも一例であり、他の材料でも良い。もちろん、凹部33に塗布したときに流れないようにするべく、ある程度粘度があるものが好ましい。
【符号の説明】
【0074】
10 コネクタ
20 プリント基板
21 電気回路素子
22 プリント基板の一面
23 他面
24 はんだ部
30 整列板
32 整列板の表面
33 凹部
35 凹部の底部
36 整列板の側面
40 熱硬化樹脂
50 金属板
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタとプリント基板とが組み付けられた車両用電子制御装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Electromagnetic Compatibility(EMC)性能の向上とプリント基板の面積縮小とを同時に実現する方法として、コネクタピン間の間隔を一定に保つために用いられるコネクタ整列板とプリント基板との隙間にノイズ除去を目的としたノイズ除去用素子を配置する技術が知られている。
【0003】
これは、例えば車両用電子制御装置と外部コンポーネントとを接続するコネクタに隣接した箇所にノイズ除去用素子を配置することで、車両用電子制御装置の外部から伝搬するノイズが車両用電子制御装置に侵入しないようにすることが可能となる。また、従来はコネクタ周辺に配置していたノイズ除去用素子をコネクタ整列板下に移動させることでノイズ除去用素子が占有していた領域を省くことが可能となる。
【0004】
しかし、上記技術はコネクタをプリント基板に実装し、コネクタとプリント基板とを接合するフロー工程においてはんだによる接合を実施した後、プリント基板−コネクタピン間のはんだ部に残留応力が発生してしまう。車両環境温度の変化により発生する冷熱ストレス下で車両用電子制御装置を使用し続けると、コネクタ整列板下のノイズ除去用素子−実プリント基板間のはんだ部、および、コネクタピン−コネクタ整列板間のはんだ部にクラックが発生する恐れがある。クラックが発生することでピン接合部の破損およびノイズ除去用素子によるノイズ除去が行われずにEMC性能が劣化する問題が生じる。また、今後高密度実装化が進むことで同一面積のプリント基板に実装されるコネクタピン数が増加し、コネクタピンの間隔が狭くなることが考えられる。コネクタピンが密集するためにプリント基板の一点にかかる上記応力は増大するため、上記クラックが発生する可能性が増大する。
【0005】
そこで、コネクタピン−コネクタ整列板間のはんだ部の応力を緩和することにより、コネクタピンを固定するはんだ部のクラック発生を防止する解決案が特許文献1、2で提案されている。特許文献1では、整列部材を用いて二列に並べられたピンを整列させた後、ピンの配列方向を基準に整列部材を回転させて整列部材をピンから離脱する方法が提案されている。また、特許文献2では、複数の端子の脚部が挿入されると共に各端子の脚部の位置を規制する複数の規制孔を有する整列板を用いて、各端子適正位置に整列させる構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−294997号公報
【特許文献2】特開平6−45037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2の技術では、コネクタピンを固定するはんだ部のクラック発生を防止しているものの、プリント基板−コネクタピン間応力は引き続き発生する。このため、コネクタ整列板下のノイズ除去用素子を固定するはんだ部に応力が掛かり、クラックが発生する恐れがある。
【0008】
なお、プリント基板20に実装される素子としてノイズ除去用素子を例に説明したが、整列板の下部に配置される素子は他の電気回路素子の場合もある。このため、はんだ部にクラックが発生する問題は、ノイズ除去用素子に限ったことではなく、整列板の下部に配置された電気回路素子に生じる問題である。
【0009】
本発明は上記点に鑑み、コネクタ整列板下に配置された電気回路素子を固定するはんだ部のクラックの発生を抑制することができる車両用電子制御装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数のコネクタピン(11)を有するコネクタ(10)と、コネクタ(10)に一体化され、複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第1貫通孔(31)を有する整列板(30)と、整列板(30)に対向配置されると共に複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第2貫通孔(25)を有するプリント基板(20)と、プリント基板(20)のうち整列板(30)に対向する一面(22)にはんだ部(24)を介して固定されることで整列板(30)の下部に位置する電気回路素子(21)と、を備えている。
【0011】
そして、整列板(30)は、プリント基板(20)に対向する表面(32)のうち電気回路素子(21)に対応する部分が凹んだ凹部(33)と、整列板(30)の凹部(33)に設けられると共に電気回路素子(21)およびはんだ部(24)をコーティングする熱硬化樹脂(40)と、を有していることを特徴とする。
【0012】
これによると、熱硬化樹脂(40)が整列板(30)の下部に配置された電気回路素子(21)およびはんだ部(24)を覆う状態となるので、電気回路素子(21)を固定するはんだ部(24)に応力が掛かりにくくなり、はんだ部(24)にクラックが入りにくくなる。したがって、電気回路素子(21)を固定するはんだ部(24)のクラックの発生を抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、整列板(30)は、凹部(33)の底部(35)に、熱硬化樹脂(40)より熱伝導率が高い金属板(50)を有している。そして、熱硬化樹脂(40)は、金属板(50)の上に設けられていることを特徴とする。
【0014】
これによると、金属板(50)を介して熱硬化樹脂(40)に熱が伝達しやすくなるので、熱硬化樹脂(40)の硬化がより容易になる構造とすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、凹部(33)は、整列板(30)の側面(36)に繋がるように形成されている。そして、金属板(50)は、凹部(33)の底部(35)に配置されていると共に整列板(30)の側面(36)からはみ出ていることを特徴とする。
【0016】
このように、金属板(50)が整列板(30)からはみ出て外気に露出する構造となっているので、外気によって金属板(50)の温度が上昇しやすくなる。このため、金属板(50)を介して多くの熱が熱硬化樹脂(40)に伝わると共に、熱硬化樹脂(40)の硬化がより容易になる構造とすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3に記載の発明において、プリント基板(20)は、熱硬化樹脂(40)に対向する位置に当該プリント基板(20)を貫通するノンスルーホール(26)を有していることを特徴とする。
【0018】
これによると、プリント基板(20)のうち一面(22)とは反対側の他面(23)から一面(22)側にノンスルーホール(26)を介して熱が誘導される構造となるので、プリント基板(20)の他面(23)側の熱が熱硬化樹脂(40)に伝わりやすくなると共に、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にする構造とすることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、請求項2ないし4に記載の発明において、プリント基板(20)は、当該プリント基板(20)を貫通すると共にめっき処理が施されたスルーホール(27)を有している。そして、金属板(50)は、当該金属板(50)の一部(51)がスルーホール(27)に差し込まれて接合されていると共にプリント基板(20)のうち一面(22)とは反対側の他面(23)から突出していることを特徴とする。
【0020】
これによると、金属板(50)がプリント基板(20)の他面(23)側から熱を受けて熱硬化樹脂(40)に熱が伝わりやすくなるので、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にする構造とすることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明では、請求項1に記載の車両用電子制御装置の製造方法であって、整列板(30)としてプリント基板(20)に対向する表面(32)のうち電気回路素子(21)に対応する部分が凹んだ凹部(33)を有するものを用意すると共にコネクタ(10)を用意し、コネクタ(10)の複数のコネクタピン(11)を整列板(30)の複数の第1貫通孔(31)にそれぞれ差し込んで整列板(30)をコネクタ(10)に組み付ける組み付け工程を含んでいる。
【0022】
また、整列板(30)の凹部(33)に熱硬化樹脂(40)を塗布し、複数のコネクタピン(11)をプリント基板(20)の複数の第2貫通孔(25)にそれぞれ差し込むと共に熱硬化樹脂(40)で電気回路素子(21)およびはんだ部(24)をコーティングし、複数のコネクタピン(11)とプリント基板(20)とを接合し、さらに当該接合の熱で熱硬化樹脂(40)を硬化させるフロー工程を含んでいることを特徴とする。
【0023】
これによると、熱硬化樹脂(40)によって整列板(30)の下部に配置した電気回路素子(21)およびはんだ部(24)をコーティングするので、電気回路素子(21)を固定するはんだ部(24)に応力が掛かりにくくなり、はんだ部(24)にクラックが入りにくくなる。したがって、電気回路素子(21)を固定するはんだ部(24)のクラックの発生を抑制することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の発明において、フロー工程では、凹部(33)に塗布する熱硬化樹脂(40)の高さが整列板(30)の表面(32)よりも低くなるように、凹部(33)に熱硬化樹脂(40)を塗布することを特徴とする。
【0025】
これにより、熱硬化樹脂(40)が電気回路素子(21)およびはんだ部(24)によって押しつぶされたときに、押しつぶされた熱硬化樹脂(40)がコネクタピン(11)に付着することを防止することができる。
【0026】
請求項8に記載の発明では、請求項6または7に記載の発明において、組み付け工程では、整列板(30)として、凹部(33)の底部(35)に、熱硬化樹脂(40)より熱伝導率が高い金属板(50)を設けたものを用意する。そして、フロー工程では、金属板(50)の上に熱硬化樹脂(40)を塗布することを特徴とする。
【0027】
これによると、金属板(50)を介して熱硬化樹脂(40)に熱を伝わりやすくすることができるので、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にすることができる。
【0028】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の発明において、組み付け工程では、整列板(30)として凹部(33)が整列板(30)の側面(36)に繋がるように形成されているものを用意すると共に、金属板(50)が整列板(30)の側面(36)からはみ出るように金属板(50)を凹部(33)の底部(35)に配置したものを用意することを特徴とする。
【0029】
これにより、外気によって金属板(50)の温度が上昇しやすくなるので、金属板(50)を介して多くの熱を熱硬化樹脂(40)に伝えることができると共に、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にすることができる。
【0030】
請求項10に記載の発明では、請求項6ないし9に記載の発明において、プリント基板(20)として、熱硬化樹脂(40)に対向する位置に当該プリント基板(20)を貫通するノンスルーホール(26)を有するものを用いることを特徴とする。
【0031】
これにより、プリント基板(20)のうち一面(22)とは反対側の他面(23)から一面(22)側にノンスルーホール(26)を介して熱を誘導できるので、プリント基板(20)の他面(23)側の熱を熱硬化樹脂(40)に伝わりやすくすることができると共に、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にすることができる。
【0032】
請求項11に記載の発明では、請求項8ないし10に記載の発明において、プリント基板(20)として、当該プリント基板(20)を貫通すると共にめっき処理が施されたスルーホール(27)を有するものを用いる。そして、組み付け工程では、金属板(50)の一部(51)をスルーホール(27)に差し込んで接合すると共にプリント基板(20)のうち一面(22)とは反対側の他面(23)から突出させることを特徴とする。
【0033】
これにより、金属板(50)がプリント基板(20)の他面(23)側で受けた熱を熱硬化樹脂(40)に伝えやすくすることができるので、熱硬化樹脂(40)の硬化をより容易にすることができる。
【0034】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用電子制御装置の分解図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】(a)はプリント基板の一面の平面図であり、(b)は整列板がプリント基板に組み付けられたときの整列板の下部に位置する電気回路素子を含む断面図である。
【図4】(a)は整列板の表面側を見た平面図であり、(b)は整列板がプリント基板に組み付けられた断面図である。
【図5】図1に示される車両用電子制御装置の製造工程の一部を示した図である。
【図6】第2実施形態に係る金属板の平面図および断面図である。
【図7】第3実施形態に係る整列板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0037】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る車両用電子制御装置の全体図であり、図2は図1のA矢視図である。これら図1および図2は、上ケース1、電子部品部2、および下ケース3を分解した分解図である。また、図3は電子部品部2の一部の平面図および断面図を示し、図4は電子部品部2の一部の平面図および断面図を示している。なお、図1および図2では電子部品部2の一部を透視図または断面図で示している。また、図3および図4では上ケース1や下ケース3等は省略している。これら図1〜図4に基づいて、車両用電子制御装置の全体構成について説明する。
【0038】
車両用電子制御装置は、電子部品部2が金属製の上ケース1および下ケース3に挟まれて上ケース1および下ケース3が基板固定ネジ4により固定されることで一体化された装置である。
【0039】
電子部品部2は、コネクタ10と、プリント基板20と、整列板30と、を備えている。コネクタ10は外部との電気的接続を行うための樹脂部品である。このため、コネクタ10は複数のコネクタピン11を有している。各コネクタピン11の一端側はコネクタ10の開口部側に位置し、中間部は適宜折り曲げられており、他端側はプリント基板20の電気回路に電気的に接続されている。
【0040】
プリント基板20は、図示しない電気回路が形成され、複数の電気回路素子21が実装された基板である。図1や図3(a)に示されるように、プリント基板20は一面22およびこの一面22の反対側の他面23にそれぞれ電気回路素子21がはんだ部24を介して複数実装されている。なお、図3(a)でははんだ部24を省略している。
【0041】
そして、図3(b)に示されるように、プリント基板20の一面22が整列板30の表面32に対向するように配置されている。このように、各電気回路素子21のうち、整列板30の下部(整列板30とプリント基板20との間のスペース)に配置された電気回路素子21は、例えばEMC対策として設けられたチップコンデンサ等のノイズ除去用の素子である。もちろん、整列板30の下部に配置される電気回路素子21はノイズ除去用に限られない。これら整列板30の下部に配置された電気回路素子21は、一方向に沿って配列されている。この「一方向」とは、例えば複数のコネクタピン11が配列された配列方向に一致している。
【0042】
また、図3(a)に示されるように、プリント基板20には複数のコネクタピン11がそれぞれ差し込まれる複数の貫通孔25が上記の一方向に沿って設けられている。この複数の貫通孔25は、電気回路素子21が配置されたラインとは異なるラインに設けられている。
【0043】
さらに、プリント基板20にはノンスルーホール26およびスルーホール27が複数設けられている。ノンスルーホール26は、後述する熱硬化樹脂40に対向する位置に設けられていると共に、めっきによる導体形成がされていない貫通ホールである。各ノンスルーホール26は、プリント基板20のうち整列板30の下部に位置すると共に、電気回路素子21が配置されたラインと同じラインに設けられている。このノンスルーホール26は、プリント基板20の他面23側から一面22側に熱を誘導して熱硬化樹脂40に熱を伝達するために設けられている。一方、スルーホール27は、プリント基板20のうち整列板30が対向しない外縁部に設けられていると共に、めっき処理が施されて導体形成がされている貫通ホールである。
【0044】
整列板30は、複数のコネクタピン11の位置を規制するための部品である。このため、図4(a)に示されるように、整列板30は複数のコネクタピン11がそれぞれ差し込まれる複数の貫通孔31を有している。そして、整列板30は、図1に示されるようにコネクタ10に一体化されている。
【0045】
また、整列板30は、図4(a)に示されるように、プリント基板20に対向する表面32が凹んだ凹部33を備えている。具体的に、凹部33は、少なくとも、ノイズ除去用素子である電気回路素子21に対応する部分に設けられている。言い換えると、整列板30の表面32側に設けられた整列板壁34によって整列板30の表面32側のうち少なくとも電気回路素子21に対応する部分にスペースが形成されている。このスペースが凹部33に対応する。すなわち、凹部33は、図3(b)に示されるように整列板30とプリント基板20とが組み付けられたときに、整列板30の下部に位置する電気回路素子21を収納するスペースである。上述のように、整列板30の下部の各電気回路素子21は一方向に沿って配置されているため、凹部33も上記の一方向に沿って形成されている。そして、本実施形態では、凹部33は整列板30の側面に繋がるように形成されている。
【0046】
また、整列板30は、凹部33の底部35に配置された金属板50を有している。金属板50として、例えば銅板が用いられる。また、整列板30の凹部33が整列板30の側面36に繋がるように形成されている。このため、これを利用して金属板50は図4(a)に示されるように整列板30の側面36からはみ出ている。これにより、金属板50が外気に露出する構造となっているので、外気によって金属板50の温度が上昇しやすくなる。
【0047】
さらに、金属板50は整列板30からはみ出た外縁部に端子部51を備えている。端子部51は、図4(b)に示されるように、プリント基板20に設けられたスルーホール27に差し込まれて接合されていると共に、金属板50の端子部51はプリント基板20の他面23から突出している。これにより、金属板50がプリント基板20の他面23側から熱を受けやすくなっている。
【0048】
そして、金属板50の上には熱硬化樹脂40が設けられている。ここで、金属板50は熱硬化樹脂40より熱伝導率が高いものであり、金属板50を介して熱硬化樹脂40に熱が伝達しやすくなっている。なお、図4(a)では熱硬化樹脂40を省略している。
【0049】
熱硬化樹脂40は、プリント基板20と整列板30との間に位置し、整列板30の下部に位置する電気回路素子21およびはんだ部24の全体をコーティングする役割を果たす。この熱硬化樹脂40は、整列板30とプリント基板20とが組み付けられたときに整列板30の下部に位置する電気回路素子21およびはんだ部24の全体を覆い、そのまま熱硬化したものである。
【0050】
ここで、熱硬化樹脂40の粘度が低いと、プリント基板20およびコネクタ10を傾けた際に熱硬化樹脂40が容易に移動し、コネクタピン11といった整列板30の下部の電気回路素子21以外に熱硬化樹脂40が付着する可能性がある。これを防止するため、熱硬化樹脂40は例えばエポキシ樹脂のように常温で粘度の高いゲル状となる物を選択し、熱硬化樹脂40が容易に移動しない構造とする。
【0051】
以上が、本実施形態に係る車両用電子制御装置の全体構成である。次に、車両用電子制御装置の製造方法について説明する。
【0052】
まず、上ケース1や下ケース3等の各部品を用意する。コネクタ10については、複数のコネクタピン11がインサート成型されたものを用意する。また、プリント基板20については、熱硬化樹脂40に対向する位置にノンスルーホール26が形成されており、めっき処理が施されたスルーホール27が形成されたものに電気回路素子21がはんだ部24で固定されたものを用意する。この場合、ノイズ除去用素子である電気回路素子21が整列板30の下部に配置されるようにプリント基板20の一面22に電気回路素子21を実装する。
【0053】
そして、整列板30については、複数の貫通孔31や上述の凹部33が形成されたものを用意し、凹部33の底部35に金属板50を設ける。この場合、凹部33が整列板30の側面に繋がるように形成されている整列板30を用意し、金属板50が整列板30の側面からはみ出るように金属板50を凹部33の底部35に配置する。金属板50を整列板30に確実に固定するため、金属板50を整列板30にインサート成型しても良い。このような整列板30に対し、コネクタ10の複数のコネクタピン11を整列板30の各貫通孔31にそれぞれ差し込んで整列板30をコネクタ10に組み付ける組み付け工程を行う。
【0054】
続いて、整列板30の凹部33に熱硬化樹脂40を設ける。すなわち、凹部33の底部35に配置された金属板50の上に熱硬化樹脂40を塗布する。この様子を図5に示す。図5に示されるように、凹部33に設けた熱硬化樹脂40に高さが整列板30の表面32を超えないように、整列板30の表面32よりも低くなるように熱硬化樹脂40の塗布量を調整する。これは、熱硬化樹脂40が電気回路素子21およびはんだ部24によって押しつぶされたときに、押しつぶされた熱硬化樹脂40が整列板30とプリント基板20との隙間を移動してコネクタピン11に付着することを防止するためである。このような熱硬化樹脂40の移動は、整列板壁34によっても規制される。
【0055】
この後、コネクタ10とプリント基板20との接合を行う。このためには、まず金属に熱を与えるプリヒート工程で各部品をはんだが溶融しやすくなる温度に加熱した後、高温短時間(例えば265℃、5sec)のフロー工程を実施する。
【0056】
すなわち、図5に示されるように、コネクタ10の複数のコネクタピン11をプリント基板20の各貫通孔25にそれぞれ差し込む。このとき、熱硬化樹脂40が整列板30の下部に位置する電気回路素子21およびはんだ部24の全体をコーティングする。この状態で、プリント基板20の他面23側をはんだ槽に浸すことではんだ付けを実施する。これにより、各コネクタピン11をプリント基板20に接合する。
【0057】
そして、この接合の熱で熱硬化樹脂40を硬化させる。このとき、上述のように、プリント基板20にノンスルーホール26が設けられているので、はんだ槽の熱がプリント基板20の他面23側からノンスルーホール26を介してプリント基板20の一面22側に誘導される。このため、熱硬化樹脂40の硬化がより容易になる。
【0058】
また、金属板50が整列板30からはみ出ているため、金属板50がはんだ槽の熱を受けやすく、熱硬化樹脂40の硬化がより容易になる。さらに、金属板50の端子部51がスルーホール27を介してプリント基板20の他面23側に突出しているので、端子部51によってはんだ槽の熱を吸い上げることが可能である。これによっても、熱硬化樹脂40の硬化をより容易にすることができる。
【0059】
なお、はんだ槽にコネクタピン11を浸すフロー工程で熱を用いるが、フロー工程の前のプリヒート工程でも熱を用いる。したがって、このプリヒート工程で熱硬化樹脂40の熱硬化を行っても良い。
【0060】
上記のようにして、電子部品部2を構成した後、電子部品部2を上ケース1と下ケース3とで挟んで基板固定ネジ4で固定することで車両用電子制御装置が完成する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態では、整列板30の下部に位置する電気回路素子21について、整列板30の凹部33に熱硬化樹脂40を塗布する。そして、コネクタ10をプリント基板20に組み付けた状態で熱硬化樹脂40が整列板30の下部の電気回路素子21を覆う状態にし、コネクタ10とプリント基板20をはんだにより接合するフロー工程の熱で熱硬化樹脂40を硬化させて、熱硬化樹脂40を電気回路素子21およびはんだ部24にコーティングすることが特徴となっている。
【0062】
このように、熱硬化樹脂40が電気回路素子21およびはんだ部24を覆うので、電気回路素子21を固定するはんだ部24に応力が掛かりにくくなり、はんだ部24にクラックが入りにくくなる。すなわち、フロー工程のはんだ槽の熱によってコネクタ10やプリント基板20等、熱膨張係数がそれぞれ異なる部品が一体化されているため、熱膨張係数の差に応じた応力がはんだ部24に印加されるが、熱硬化した熱硬化樹脂40がはんだ部24の全体を完全に覆ってはんだ部24を押さえつけているため、応力を受けたはんだ部24の変形をしにくくすることができる。したがって、電気回路素子21を固定するはんだ部24のクラックの発生を抑制することができる。整列板30の下部に配置される電気回路素子21としてノイズ除去用の素子を用いている場合は、車両用電子制御装置において経年劣化によるEMC特性の劣化を防止することができる。
【0063】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、貫通孔31が特許請求の範囲の「第1貫通孔」に対応し、貫通孔25が特許請求の範囲の「第2貫通孔」に対応する。また、端子部51が特許請求の範囲の「金属板の一部」に対応する。
【0064】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図6(a)は本実施形態に係る整列板30の表面32側を見た平面図であり、図6(b)は整列板30がプリント基板20に組み付けられた断面図である。
【0065】
図6(a)に示されるように、本実施形態では金属板50に端子部51は設けられていない。しかし、金属板50の外縁部が整列板30の側面36からはみ出ており、金属板50が外気に露出する構造となっているので、外気によって金属板50の温度が上昇しやすくなる。したがって、金属板50を介して多くの熱を熱硬化樹脂40に伝えることができると共に、熱硬化樹脂40の硬化をより容易にすることができる。
【0066】
もちろん、金属板50が整列板30の側面36からはみ出ないように凹部33の底部35に設けられていても良い。
【0067】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。図7は、本実施形態に係る整列板30およびプリント基板20の断面図である。この図に示されるように、整列板30の凹部33の底部35に金属板50が設けられていない。この場合は、凹部33の底部35に熱硬化樹脂40が直接塗布されている。
【0068】
このように、金属板50を用いない構造でも良い。上述のように、プリント基板20にノンスルーホール26が設けられていれば、このノンスルーホール26を介して熱硬化樹脂40に熱を伝えることができる。以上のように、熱の伝達手段として金属板50を用いない構造としても良い。
【0069】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された車両用電子制御装置の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明の熱硬化樹脂40によって整列板30の下部に配置された電気回路素子21およびはんだ部24をコーティングできる他の構成とすることもできる。
【0070】
例えば、金属板50を備えていない整列板30およびノンスルーホール26が設けられていないプリント基板20を採用しても良い。また、整列板30の下部に位置する電気回路素子21の数や配置場所は適宜設定できる。同様に、ノンスルーホール26の数や配置も適宜設定できる。金属板50の端子部51の位置も、金属板50の外縁部に限らず、他の場所でも良い。さらに、金属板50のうちプリント基板20に接合される部分は端子部51に限らず、金属板50の一部であれば良い。
【0071】
また、上記各実施形態では、整列板30には、この整列板30の下部に配置された複数の電気回路素子21をまとめて収納する1つの大きな凹部33が設けられていたが、各電気回路素子21それぞれに対応した凹部33が設けられていても良い。この場合、1つの凹部33に1つの電気回路素子21が配置されても良いし、1つの凹部33に2つ以上の電気回路素子21が配置されていても良い。また、凹部33は複数設けられていても良い。すなわち、熱硬化樹脂40を塗布できるスペースとして凹部33が設けられていれば良く、そのような構造は凹部33を形成するための整列板壁34をどのように設けるかによって実現できる。
【0072】
また、上記各実施形態では、整列板30の凹部33に予め熱硬化樹脂40を塗布していたが、整列板30の凹部33に熱硬化樹脂40を塗布する前にコネクタ10の各コネクタピン11をプリント基板20の貫通孔25に差し込み、この後に凹部33に溶かした熱硬化樹脂40を流し込んでも良い(アンダーフィル工程)。例えば、整列板30の側面36に繋がるように凹部33を設けておけば、整列板30の側面36から凹部33に熱硬化樹脂40を注入できる。また、プリント基板20に設けられたノンスルーホール26を介して凹部33に熱硬化樹脂40を注入しても良い。
【0073】
上記各実施形態では、熱硬化樹脂40としてエポキシ樹脂を用いるとしたが、これも一例であり、他の材料でも良い。もちろん、凹部33に塗布したときに流れないようにするべく、ある程度粘度があるものが好ましい。
【符号の説明】
【0074】
10 コネクタ
20 プリント基板
21 電気回路素子
22 プリント基板の一面
23 他面
24 はんだ部
30 整列板
32 整列板の表面
33 凹部
35 凹部の底部
36 整列板の側面
40 熱硬化樹脂
50 金属板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコネクタピン(11)を有するコネクタ(10)と、
前記コネクタ(10)に一体化され、前記複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第1貫通孔(31)を有する整列板(30)と、
前記整列板(30)に対向配置されると共に前記複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第2貫通孔(25)を有するプリント基板(20)と、
前記プリント基板(20)のうち前記整列板(30)に対向する一面(22)にはんだ部(24)を介して固定されることで前記整列板(30)の下部に位置する電気回路素子(21)と、を備えており、
前記整列板(30)は、
前記プリント基板(20)に対向する表面(32)のうち前記電気回路素子(21)に対応する部分が凹んだ凹部(33)と、
前記整列板(30)の前記凹部(33)に設けられると共に前記電気回路素子(21)および前記はんだ部(24)をコーティングする熱硬化樹脂(40)と、を有していることを特徴とする車両用電子制御装置。
【請求項2】
前記整列板(30)は、前記凹部(33)の底部(35)に、前記熱硬化樹脂(40)より熱伝導率が高い金属板(50)を有しており、
前記熱硬化樹脂(40)は、前記金属板(50)の上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用電子制御装置。
【請求項3】
前記凹部(33)は、前記整列板(30)の側面(36)に繋がるように形成されており、
前記金属板(50)は、前記凹部(33)の底部(35)に配置されていると共に前記整列板(30)の側面(36)からはみ出ていることを特徴とする請求項2に記載の車両用電子制御装置。
【請求項4】
前記プリント基板(20)は、前記熱硬化樹脂(40)に対向する位置に当該プリント基板(20)を貫通するノンスルーホール(26)を有していることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用電子制御装置。
【請求項5】
前記プリント基板(20)は、当該プリント基板(20)を貫通すると共にめっき処理が施されたスルーホール(27)を有し、
前記金属板(50)は、当該金属板(50)の一部(51)が前記スルーホール(27)に差し込まれて接合されていると共に前記プリント基板(20)のうち前記一面(22)とは反対側の他面(23)から突出していることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両用電子制御装置。
【請求項6】
複数のコネクタピン(11)を有するコネクタ(10)と、
前記コネクタ(10)に一体化され、前記複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第1貫通孔(31)を有する整列板(30)と、
前記整列板(30)に対向配置されると共に、前記複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第2貫通孔(25)を有するプリント基板(20)と、
前記プリント基板(20)のうち前記整列板(30)に対向する一面(22)にはんだ部(24)を介して固定されることで前記整列板(30)の下部に位置する電気回路素子(21)と、を備えた車両用電子制御装置の製造方法であって、
前記整列板(30)として前記プリント基板(20)に対向する表面(32)のうち前記電気回路素子(21)に対応する部分が凹んだ凹部(33)を有するものを用意すると共に前記コネクタ(10)を用意し、前記コネクタ(10)の前記複数のコネクタピン(11)を前記整列板(30)の前記複数の第1貫通孔(31)にそれぞれ差し込んで前記整列板(30)を前記コネクタ(10)に組み付ける組み付け工程と、
前記整列板(30)の前記凹部(33)に熱硬化樹脂(40)を塗布し、前記複数のコネクタピン(11)を前記プリント基板(20)の前記複数の第2貫通孔(25)にそれぞれ差し込むと共に前記熱硬化樹脂(40)で前記電気回路素子(21)および前記はんだ部(24)をコーティングし、前記複数のコネクタピン(11)と前記プリント基板(20)とを接合し、さらに当該接合の熱で前記熱硬化樹脂(40)を硬化させるフロー工程と、を含んでいることを特徴とする車両用電子制御装置の製造方法。
【請求項7】
前記フロー工程では、前記凹部(33)に塗布する前記熱硬化樹脂(40)の高さが前記整列板(30)の前記表面(32)よりも低くなるように、前記凹部(33)に前記熱硬化樹脂(40)を塗布することを特徴とする請求項6に記載の車両用電子制御装置の製造方法。
【請求項8】
前記組み付け工程では、前記整列板(30)として、前記凹部(33)の底部(35)に、前記熱硬化樹脂(40)より熱伝導率が高い金属板(50)を設けたものを用意し、
前記フロー工程では、前記金属板(50)の上に前記熱硬化樹脂(40)を塗布することを特徴とする請求項6または7に記載の車両用電子制御装置の製造方法。
【請求項9】
前記組み付け工程では、前記整列板(30)として前記凹部(33)が前記整列板(30)の側面(36)に繋がるように形成されているものを用意すると共に、前記金属板(50)が前記整列板(30)の側面(36)からはみ出るように前記金属板(50)を前記凹部(33)の底部(35)に配置したものを用意することを特徴とする請求項8に記載の車両用電子制御装置の製造方法。
【請求項10】
前記プリント基板(20)として、前記熱硬化樹脂(40)に対向する位置に当該プリント基板(20)を貫通するノンスルーホール(26)を有するものを用いることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1つに記載の車両用電子制御装置の製造方法。
【請求項11】
前記プリント基板(20)として、当該プリント基板(20)を貫通すると共にめっき処理が施されたスルーホール(27)を有するものを用い、
前記組み付け工程では、前記金属板(50)の一部(51)を前記スルーホール(27)に差し込んで接合すると共に前記プリント基板(20)のうち前記一面(22)とは反対側の他面(23)から突出させることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1つに記載の車両用電子制御装置の製造方法。
【請求項1】
複数のコネクタピン(11)を有するコネクタ(10)と、
前記コネクタ(10)に一体化され、前記複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第1貫通孔(31)を有する整列板(30)と、
前記整列板(30)に対向配置されると共に前記複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第2貫通孔(25)を有するプリント基板(20)と、
前記プリント基板(20)のうち前記整列板(30)に対向する一面(22)にはんだ部(24)を介して固定されることで前記整列板(30)の下部に位置する電気回路素子(21)と、を備えており、
前記整列板(30)は、
前記プリント基板(20)に対向する表面(32)のうち前記電気回路素子(21)に対応する部分が凹んだ凹部(33)と、
前記整列板(30)の前記凹部(33)に設けられると共に前記電気回路素子(21)および前記はんだ部(24)をコーティングする熱硬化樹脂(40)と、を有していることを特徴とする車両用電子制御装置。
【請求項2】
前記整列板(30)は、前記凹部(33)の底部(35)に、前記熱硬化樹脂(40)より熱伝導率が高い金属板(50)を有しており、
前記熱硬化樹脂(40)は、前記金属板(50)の上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用電子制御装置。
【請求項3】
前記凹部(33)は、前記整列板(30)の側面(36)に繋がるように形成されており、
前記金属板(50)は、前記凹部(33)の底部(35)に配置されていると共に前記整列板(30)の側面(36)からはみ出ていることを特徴とする請求項2に記載の車両用電子制御装置。
【請求項4】
前記プリント基板(20)は、前記熱硬化樹脂(40)に対向する位置に当該プリント基板(20)を貫通するノンスルーホール(26)を有していることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用電子制御装置。
【請求項5】
前記プリント基板(20)は、当該プリント基板(20)を貫通すると共にめっき処理が施されたスルーホール(27)を有し、
前記金属板(50)は、当該金属板(50)の一部(51)が前記スルーホール(27)に差し込まれて接合されていると共に前記プリント基板(20)のうち前記一面(22)とは反対側の他面(23)から突出していることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両用電子制御装置。
【請求項6】
複数のコネクタピン(11)を有するコネクタ(10)と、
前記コネクタ(10)に一体化され、前記複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第1貫通孔(31)を有する整列板(30)と、
前記整列板(30)に対向配置されると共に、前記複数のコネクタピン(11)がそれぞれ差し込まれる複数の第2貫通孔(25)を有するプリント基板(20)と、
前記プリント基板(20)のうち前記整列板(30)に対向する一面(22)にはんだ部(24)を介して固定されることで前記整列板(30)の下部に位置する電気回路素子(21)と、を備えた車両用電子制御装置の製造方法であって、
前記整列板(30)として前記プリント基板(20)に対向する表面(32)のうち前記電気回路素子(21)に対応する部分が凹んだ凹部(33)を有するものを用意すると共に前記コネクタ(10)を用意し、前記コネクタ(10)の前記複数のコネクタピン(11)を前記整列板(30)の前記複数の第1貫通孔(31)にそれぞれ差し込んで前記整列板(30)を前記コネクタ(10)に組み付ける組み付け工程と、
前記整列板(30)の前記凹部(33)に熱硬化樹脂(40)を塗布し、前記複数のコネクタピン(11)を前記プリント基板(20)の前記複数の第2貫通孔(25)にそれぞれ差し込むと共に前記熱硬化樹脂(40)で前記電気回路素子(21)および前記はんだ部(24)をコーティングし、前記複数のコネクタピン(11)と前記プリント基板(20)とを接合し、さらに当該接合の熱で前記熱硬化樹脂(40)を硬化させるフロー工程と、を含んでいることを特徴とする車両用電子制御装置の製造方法。
【請求項7】
前記フロー工程では、前記凹部(33)に塗布する前記熱硬化樹脂(40)の高さが前記整列板(30)の前記表面(32)よりも低くなるように、前記凹部(33)に前記熱硬化樹脂(40)を塗布することを特徴とする請求項6に記載の車両用電子制御装置の製造方法。
【請求項8】
前記組み付け工程では、前記整列板(30)として、前記凹部(33)の底部(35)に、前記熱硬化樹脂(40)より熱伝導率が高い金属板(50)を設けたものを用意し、
前記フロー工程では、前記金属板(50)の上に前記熱硬化樹脂(40)を塗布することを特徴とする請求項6または7に記載の車両用電子制御装置の製造方法。
【請求項9】
前記組み付け工程では、前記整列板(30)として前記凹部(33)が前記整列板(30)の側面(36)に繋がるように形成されているものを用意すると共に、前記金属板(50)が前記整列板(30)の側面(36)からはみ出るように前記金属板(50)を前記凹部(33)の底部(35)に配置したものを用意することを特徴とする請求項8に記載の車両用電子制御装置の製造方法。
【請求項10】
前記プリント基板(20)として、前記熱硬化樹脂(40)に対向する位置に当該プリント基板(20)を貫通するノンスルーホール(26)を有するものを用いることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1つに記載の車両用電子制御装置の製造方法。
【請求項11】
前記プリント基板(20)として、当該プリント基板(20)を貫通すると共にめっき処理が施されたスルーホール(27)を有するものを用い、
前記組み付け工程では、前記金属板(50)の一部(51)を前記スルーホール(27)に差し込んで接合すると共に前記プリント基板(20)のうち前記一面(22)とは反対側の他面(23)から突出させることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1つに記載の車両用電子制御装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−204729(P2012−204729A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69540(P2011−69540)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]