説明

車載用便所

【課題】車両の移動時において、収容槽内の排泄物が大きく波打って便器の外部に溢れ出しまうのを抑制することができる車載用便所を提供する。
【解決手段】排泄物を受け得るとともに、下部に排出口2aを有した便器2と、該便器2が取り付けられるとともに、当該便器2の排出口2aから排出された排泄物を所定容量収容可能な収容槽3と、便器2及び収容槽3を内在させた便所本体4とを具備し、便所本体4が車両の荷台に取り付けられて使用可能とされる車載用便所1において、便器2における排出口2aの周囲を覆って取り付けられた波除手段6を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷台に取り付けられて使用可能とされる車載用便所に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば工事現場等で作業員が使用するための便所として、車両の荷台に取り付けられた車載用便所が用いられている。かかる車載用便所は、従来、下部に排出口を有した便器と、該便器が取り付けられるとともに当該便器の排出口から排出された排泄物を所定容量収容可能な収容槽と、便器の排出口に取り付けられて当該排出口を常時閉塞するとともに、排出物の重量で開口させるフラッパと、該収容槽及び便器を内在させた便所本体とを具備しており、便所本体が車両の荷台に取り付けられて使用可能とされていた。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の車載用便所においては、工事現場等で使用された後、収容槽内に収容された排泄物を汲み取り可能な場所まで車両を移動させる際、車両の制動や操舵に伴って収容槽内の排泄物が大きく波打ってしまい、排泄物が大量に外部に溢れ出てしまう虞があった。尚、便器の排出口には、通常、フラッパが取り付けられているが、かかるフラッパも車両の制動や操舵に伴って開閉状態が繰り返されることとなり、当該排出口を開口させた状態となったときに排泄物が大きく波打った際、当該排泄物が大量に外部に溢れ出てしまう不具合があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、車両の移動時において、収容槽内の排泄物が大きく波打って便器の外部に溢れ出しまうのを抑制することができる車載用便所を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、排泄物を受け得るとともに、下部に排出口を有した便器と、該便器が取り付けられるとともに、当該便器の排出口から排出された排泄物を所定容量収容可能な収容槽と、前記便器及び収容槽を内在させた便所本体とを具備し、前記便所本体が車両の荷台に取り付けられて使用可能とされる車載用便所において、前記便器における排出口の周囲を覆って取り付けられた波除手段を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車載用便所において、前記波除手段は、前記排出口の周縁から所定寸法下方に垂下した壁面を有した筒状部材から成ることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の車載用便所において、前記便器の排出口には、当該排出口を常時閉塞するとともに、排泄物の重量で開口させるフラッパが取り付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、便器における排出口の周囲を覆って取り付けられた波除手段を備えたので、車両の移動時において、収容槽内の排泄物が大きく波打って便器の外部に溢れ出しまうのを抑制することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、波除手段は、排出口の周縁から所定寸法下方に垂下した壁面を有した筒状部材から成るので、車両の移動時において、収容槽内の排泄物が便器の外部に溢れ出しまうのをより確実に抑制することができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、便器の排出口には、当該排出口を常時閉塞するとともに排泄物の重量で開口させるフラッパが取り付けられているので、車両の移動時において、収容槽内の排泄物が便器の外部に溢れ出しまうのをよりより一層確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る車載用便所における便器及び収容槽を示す横断面図
【図2】同便器及び収容槽を示す縦断面図
【図3】同便器の排出口側を示す裏面図
【図4】同便器に取り付けられたフラッパが閉塞状態のときを示す縦断面図
【図5】同便器に取り付けられたフラッパが開塞状態のときを示す縦断面図
【図6】同車載用便所が車両に取り付けられた状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る車載用便所は、図6に示すように、車両(軽トラック等)の荷台に取り付けられて使用可能とされるもので、図1〜5に示すように、便器2と、収容槽3と、便所本体4と、フラッパ5とから主に構成されている。尚、車両の荷台に取り付けられた車載用便所1は、使用場所において当該荷台に固定されるとともに、使用が済んだ後においては当該荷台から取り外し可能とされている。
【0013】
便器2は、人の排泄物(小便又は大便等)を受け得るとともに、下部に排出口2aを有したもので、例えば強化繊維で強化された樹脂等から成るものである。即ち、便器2で受けた排泄物は、その自重によって下部の排出口2aから下方に向かって排出されることとなる。本実施形態における便器2は、収容槽3上面に取り付けられており、その収容層3の高さ寸法だけ便所本体4の床面より高い位置に配設されている。
【0014】
収容槽3は、その上面に便器2が取り付けられるとともに、当該便器2の排出口2aから排出された排泄物を所定容量収容可能な容器状に形成されたもので、例えば強化繊維で強化された樹脂等から成るものである。かかる収容槽3は、便所本体4の床面に固定されて一体化されて成るもので、排泄物の汲み取り時に汲み取り用ホースを挿入させるための配管3aが形成されている。
【0015】
便所本体4は、便器2及び収容槽3を内在させた箱状のもので、車載用便所1の筐体を成すものである。かかる便所本体4は、図6に示すように、使用時に車両の荷台にワイヤ等で固定されるとともに、正面側に人が内部に出入りするための扉4aを有している。尚、便所本体4には、内部の空気を外部に排出するための排気手段や手洗いが可能な手洗い手段等(何れも不図示)が配設されている。
【0016】
フラッパ5は、便器2の排出口2aに取り付けられ、当該排出口2aを常時閉塞するとともに、排泄物の重量で開口させる開閉手段から成り、揺動軸Lを中心に揺動可能な部品から成る。より具体的には、フラッパ5は、排出口2aに臨ませて排泄物を受け得る受け部5aと、所定の重量に設定された錘部5bとを有した一体成形部品から成り、揺動軸Lに対して一方に受け部5aが形成されるとともに、他方に錘部5bが形成されている。
【0017】
そして、使用前においては、図4に示すように、錘部5bの重量により受け部5aが排出口2aの開口縁部に当接した状態とされており、当該排出口2aを閉状態とするとともに、使用時においては、図5に示すように、受け部5aが排泄物を受けることにより、その重量で揺動軸Lを中心として揺動し、当該排出口2aを開状態とする。これにより、フラッパ5の受け部5aで受けた排泄物は、下方に落下して収容槽3内に収容されることとなる。尚、排泄物が下方に落下した後は、錘部5bの重量により受け部5aが再び排出口2aを閉状態とした位置まで揺動する。
【0018】
ここで、本実施形態においては、便器2における排出口2aの周囲を覆って取り付けられた波除手段6が形成されている。かかる波除手段6は、排出口2aの周縁から所定寸法下方に垂下した壁面を有した筒状部材(本実施形態においては、厳密には、断面形状が楕円形状とされた筒状部材)から成るもので、下端が収容槽3の収容空間に開口させた状態で取り付けられている。また、本実施形態に係る波除手段6は、その下端が収容槽3における最大収容液位Mより下方に位置するよう設定されている。
【0019】
尚、波除手段6は、便器2と同様、例えば強化繊維で強化された樹脂等から成るもので構成するのが好ましく、便器2の排出口2aを覆った位置に例えば接着剤等で接着、或いは熱溶着等で溶着して固定させるのが好ましい。また、本実施形態に係る波除手段6は、断面形状が楕円の筒状部材とされているが、断面形状が異なる筒状部材(例えば、断面形状が矩形状のもの等)としてもよい。更には、波除手段6に強度を向上させるためのリブ等を一体成形させたものとしてもよい。
【0020】
上記実施形態によれば、便器2における排出口2aの周囲を覆って取り付けられた波除手段6を備えたので、車両の移動時において、収容槽3内の排泄物が大きく波打ったとしても(本実施形態においては、波打ったと同時にフラッパ5が開状態となってしまっても)、その排泄物の波が排出口2aに至るのを回避することができる。従って、収容槽3内の排泄物が大きく波打って便器2の外部に溢れ出しまうのを抑制することができる。
【0021】
また、波除手段6は、排出口2aの周縁から所定寸法下方に垂下した壁面を有した筒状部材から成るので、当該排出口2aの周囲を確実に隔成させることができ、車両の移動時において、収容槽3内の排泄物が便器の外部に溢れ出しまうのをより確実に抑制することができる。更に、便器2の排出口2aには、当該排出口2aを常時閉塞するとともに排泄物の重量で開口させるフラッパ5が取り付けられているので、車両の移動時において、収容槽3内の排泄物が便器2の外部に溢れ出しまうのをよりより一層確実に抑制することができる。
【0022】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば便器2の排出口2aにフラッパ5が配設されていないもの、或いは他の形態のフラッパが配設されたもの等にも適用することができる。また、波除手段6は、便器2における排出口2aの周囲を覆って取り付けられたものであれば、種々形状或いは種々材質のものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
便所本体が車両の荷台に取り付けられて使用可能とされる車載用便所であって、便器における排出口の周囲を覆って取り付けられた波除手段を備えたものであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付与されたもの等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 車載用便所
2 便器
2a 排出口
3 収容槽
4 便所本体
5 フラッパ
6 波除手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物を受け得るとともに、下部に排出口を有した便器と、
該便器が取り付けられるとともに、当該便器の排出口から排出された排泄物を所定容量収容可能な収容槽と、
前記便器及び収容槽を内在させた便所本体と、
を具備し、前記便所本体が車両の荷台に取り付けられて使用可能とされる車載用便所において、
前記便器における排出口の周囲を覆って取り付けられた波除手段を備えたことを特徴とする車載用便所。
【請求項2】
前記波除手段は、前記排出口の周縁から所定寸法下方に垂下した壁面を有した筒状部材から成ることを特徴とする請求項1記載の車載用便所。
【請求項3】
前記便器の排出口には、当該排出口を常時閉塞するとともに、排泄物の重量で開口させるフラッパが取り付けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車載用便所。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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