説明

転炉の精錬方法

【課題】スピッチングやスロッピングの発生を低減しつつ、製鋼における転炉の脱炭処理を高速化することが可能な、転炉の精錬方法を提供する。
【解決手段】事前の転炉脱炭処理における操業実績から、スラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度を計算する工程S1と、その処理後の実績値と対比して、その差から排ガス流量の補正係数を求める工程S2と、現在の転炉脱炭処理における酸素供給量、並びに、求めた排ガス補正係数を用いて補正した排ガス流量、排ガス組成、溶銑成分及び副原料使用量から炉内残留酸素濃度を逐次算出してスラグ性状の絶対値を把握する工程S3と、炉内残留酸素濃度の値に応じて、酸素供給量、ランス高さ、及び底吹きガス流量のうち少なくとも何れか1つを調整する調整工程S4と、を有する転炉の精錬方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転炉の精錬方法に関し、特に、製鋼における転炉の高速脱炭処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は製鋼プロセスが著しく高能率・高効率化しており、転炉脱炭処理においても高能率化が強く求められている。転炉脱炭処理は溶銑中のCを酸化してCOガスとして除去する反応であるから、転炉脱炭処理を高能率化(高速化)するためには、Cを酸化するための酸素の供給速度を速くすることが有効である。しかしながら、上吹き酸素流量を増大すると酸素ジェットによる上吹き撹拌力が増加するためスピッチング(spitting)が発生し易くなり、また、酸素供給速度が速いためにスラグ性状の変化が激しくなりスロッピング(slopping)が発生し易くなってしまう。
【0003】
転炉ではスラグ性状に応じた最適な上底吹き条件で操業することが重要であり、滓化不十分な状態で上底吹き撹拌力を上げるとスピッチング発生量が増大し、鉄歩留が著しく低下してしまう。一方、滓化十分な状態で上底吹き撹拌力を下げるとスロッピングの発生を招いてしまう。
【0004】
従来、転炉脱炭処理の高速化のために上吹き送酸速度を速くした場合、上吹き撹拌力の増大に伴ってスピッチング発生量が増加するばかりではなく、スラグ性状の変化が激しくなり、スラグ性状に応じた最適な上底吹き条件の設定が困難になっていた。そのため、従来技術では、標準状態(0℃、0.1013MPa、湿度0%)の上吹き送酸速度を溶銑トン当たり毎分4.0m未満(<4.0m/min/t)で操業せざるを得なかった。
【0005】
転炉脱炭処理中にスラグ性状を検知する方法としては、従来から振動測定法、炉内音測定法が知られている。例えば特許文献1には振動測定法に関する技術が開示されており、特許文献2には炉内音測定法に関する技術が開示されている。また、別の方法としては、特許文献3に開示されている、マイクロ波照射により転炉脱炭処理中のスラグ厚を連続的に測定する方法が知られている。このほか、特許文献4には、転炉内への酸素供給速度、転炉排ガスの流量及び組成を連続的に測定して炉内残留酸素あるいは脱C酸素効率を連続的に算出して、スラグ性状を把握する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−209220号公報
【特許文献2】特開昭50−64110号公報
【特許文献3】特開昭57−140812号公報
【特許文献4】特開昭52−101618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に開示されている技術では、測定時点でのスラグが滓化方向に反応しているか、あるいは沈静方向に反応しているかを判断しており、これらの技術でスラグ性状の絶対値を把握することは困難であった。また、転炉脱炭処理中にはダストが発生してマイクロ波を散乱してしまうため、特許文献3に開示されている技術では、安定したスラグ厚の測定が困難という問題点があった。さらに、特許文献4に開示されている技術は、吹錬制御性の改善を主目的として開発されているため、転炉脱炭処理の高速化への適用可否についての知見は記載されていない。したがって、特許文献1乃至特許文献4に開示されている技術を用いても、製鋼における転炉の脱炭処理を高速化することは困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、スピッチングやスロッピングの発生を低減しつつ、脱炭処理を高速化することが可能な、転炉の精錬方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
スラグ性状の絶対値を迅速かつ正確に検知するため、本発明者らは転炉排ガスの流量及び組成を連続的に測定して炉内残留酸素を連続的に算出する方法に着目した。
【0010】
本発明者らはまず、吹錬終了時点でのスラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度(m/スラグt)(以下において、単に「炉内残留酸素濃度(m/スラグt)」ということがある。)と吹錬終了時点でのスラグ性状との関係について調査し、以下のことを経験した。すなわち、転炉操業が2、3日の短期間の場合には、吹錬終了時点での炉内残留酸素濃度(m/スラグt)から把握したスラグ性状と吹錬終了時点での実際のスラグ性状との誤差は小さいが、転炉操業が10日以上の長期間の場合には、吹錬終了時点での炉内残留酸素濃度(m/スラグt)から把握したスラグ性状と吹錬終了時点での実際のスラグ性状との誤差が大きかった。
【0011】
この原因について調査した結果、転炉の連続操業によって排ガスダクト内にダストが徐々に堆積・付着することで排ガス流量測定値に誤差が生じ、その排ガス流量測定値を用いて算出した炉内残留酸素濃度(m/スラグt)にも誤差が生じたためであるとの結論を得た。排ガスダクト内にダストが徐々に堆積・付着することは、転炉設備において避けられない現象なので、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の絶対値を正確に把握するためには、排ガスダクト内の状況に応じて、測定した排ガス流量を補正する必要があることが分かった。
【0012】
本発明者らは、排ガス流量の補正方法を検討し、以下の方法に想到した。
第1の方法:転炉脱炭処理の事前に、直前の転炉脱炭処理前後の溶鋼中炭素濃度を分析して実際の脱C量を把握し、測定した排ガス流量及び排ガス組成から計算される脱C量と比較する方法。
【0013】
第1の方法では、転炉脱炭処理前後の溶鋼量の実測が必要である。それゆえ、正確な溶鋼重量の測定が困難な転炉操業には不向きである。加えて、第1の方法では、転炉脱炭処理前後での溶鋼中炭素濃度を分析する必要がある。しかしながら、転炉脱炭処理後の溶鋼サンプル採取には、通常1分前後の時間を要し、当該処理の能率低下を招くため、転炉高能率化を目的とする場合には不適であることが分かった。
【0014】
そこで、本発明者らは、転炉脱炭処理前後での正確な溶鋼重量の測定や転炉脱炭処理後の溶鋼中炭素濃度を用いずに排ガス流量を正確に補正する方法として、以下の方法を生み出した。
第2の方法:転炉脱炭処理の事前に、事前の転炉脱炭処理における転炉内への酸素供給量、排ガス流量、排ガス組成、溶銑成分及び副原料使用量から、その処理後の炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を計算し、その処理後のスラグ中酸化鉄濃度またはスラグ酸素濃度の実績値と対比して、その誤差から排ガス流量の補正係数を求め、求めた排ガス補正係数を用いて、現在の転炉脱炭処理での排ガス流量を補正する方法。
【0015】
第2の方法を用いることで、溶鋼重量の正確な測定や転炉脱炭処理前後のサンプル採取を行わなくても、排ガス流量を正確に補正することが可能となり、それに伴って炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を正確に算出することが可能になる結果、スラグ性状の絶対値を正確に把握することが可能になることを知見した。
この方法において、転炉脱炭処理後のスラグ中酸化鉄濃度またはスラグ酸素濃度の実績値は、公知のスラグセンサーを用いて得ることができるが、スラグ分析を行って得ても良い。
【0016】
次に、本発明者らは吹錬中の炉内残留酸素と吹錬中のスピッチング発生量との関係について調査した結果、同一の上吹き攪拌力で操業した場合、吹錬中の炉内残留酸素濃度(m/スラグt)が増加するほどスピッチング発生量が低下することを知見した。これは、スラグのフォーミングが進むことでカバースラグが形成され、スピッチング発生量が低減することに起因する。
【0017】
また、本発明者らは吹錬中の炉内残留酸素濃度(m/スラグt)と吹錬中のスロッピング発生状況との関係について調査した結果、吹錬中の炉内残留酸素濃度(m/スラグt)が一定の閾値を超えるとスロッピングが発生することを知見した。その閾値は、主に、転炉内容積及び溶鋼中炭素濃度によって決定されていた。これは、転炉内容積が小さいほどスロッピングが発生しやすくなること、また、溶鋼中炭素濃度が、脱C酸素効率が低下する脱C臨界炭素濃度(一般的に、C=0.30質量%前後)を下回った場合に、脱C速度が低下してCO気泡の生成速度が低下することに起因する。
【0018】
以上のことから、本発明者らは、スピッチング発生量を低減しつつスロッピングを抑制して転炉高能率操業を実現する方法として、以下の方法に想到した。すなわち、転炉脱炭処理の事前に、事前の転炉脱炭処理における転炉内への酸素供給量、排ガス流量、排ガス組成、溶銑成分及び副原料使用量から、その事前の転炉脱炭処理における転炉脱炭処理後の炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を計算し、該処理後のスラグ中酸化鉄濃度またはスラグ酸素濃度の実績値と対比して、その誤差から排ガス流量の補正係数を求め、現在の転炉脱炭処理における酸素供給量、求めた排ガス補正係数を用いて補正した排ガス流量、排ガス組成、溶銑成分及び副原料使用量から炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を逐次算出して、その炉内残留酸素濃度(m/スラグt)が事前に定めた範囲内となるように上底吹き条件を調整する、転炉の精錬方法である。かかる形態にすることで、スピッチングやスロッピングの発生を低減しつつ、脱炭処理を高速化することが可能になる。
【0019】
この方法における、排ガス流量の補正は、現在の転炉脱炭処理の直前でなくとも、現在の転炉脱炭処理よりも前の所定のチャージ以内(例えば、20チャージ前以内)の転炉脱炭処理実績を用いれば良く、当該所定のチャージ以内のうちの5チャージ以上の処理実績を用いて算出した排ガス補正係数の平均値を用いることがより望ましい。
【0020】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたもので、その要旨は下記の通りである。本発明について以下に説明する。
【0021】
本発明は、現在の転炉脱炭処理の事前に、事前の転炉脱炭処理における転炉内への酸素供給量、排ガス流量、排ガス組成、溶銑成分及び副原料使用量から、上記事前の転炉脱炭処理の終了時点におけるスラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を計算する炉内残留酸素濃度計算工程と、上記事前の転炉脱炭処理後のスラグ中酸化鉄濃度またはスラグ酸素濃度の実績値と計算した上記スラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度とを対比して、その差から排ガス流量の補正係数を求める排ガス補正係数算出工程と、0℃且つ0.1013MPa且つ湿度0%(以下において、「標準状態」ということがある。)での酸素流量が溶銑トン当たり毎分4.0m以上6.0m以下になるように上吹きしながら、現在の転炉脱炭処理における酸素供給量、求めた上記排ガス補正係数を用いて補正した排ガス流量、排ガス組成、溶銑成分及び副原料使用量から、現在の転炉脱炭処理におけるスラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を逐次算出してスラグ性状の絶対値を把握するスラグ性状把握工程と、逐次算出した上記スラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の値に応じて、酸素供給量、ランス高さ、及び、底吹きガス流量のうち少なくとも何れか1つを調整する調整工程と、を有する、転炉の精錬方法である。
【0022】
ここに、「事前の転炉脱炭処理」は、現在の転炉脱炭処理の直前に行われた転炉脱炭処理に限定されず、例えば、現在の転炉脱炭処理の20チャージ前以内の転炉脱炭処理とすることができる。本発明において、排ガス補正係数算出工程は、なるべく直近の実績値を用いて算出するという観点から、現在の転炉脱炭処理の20チャージ前以内の処理実績を用いて排ガス補正係数を算出することが好ましく、その20チャージ前以内のうちの5チャージ以上の処理実績から算出した排ガス補正係数の平均値を算出する工程とすることが一層好ましい。また、「酸素供給量」とは、上吹きランスから供給される酸素量をいい、「ランス高さ」とは、転炉操業時の上吹きランスの先端から静止状態での溶銑浴面までの距離をいう。また、本発明において、転炉は、上吹き転炉であっても良く、上底吹き転炉であっても良い。
【0023】
また、上記本発明において、上記調整工程が、逐次算出した上記スラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の値が予め設定した範囲内になるように、酸素供給量、ランス高さ、及び、底吹きガス流量のうち少なくとも何れか1つを調整する工程であることが好ましい。
この調整は、溶銑中に含有されるSiが上吹き酸素によって酸化されるまでの時間を考慮して、上吹きランスからの酸素供給開始から2分以上経過した後に始めることが好ましく、調整実施効果を高めるためには、上吹き酸素の全供給時間の95%が経過するまでには完了しておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、排ガス補正係数を用いることでスラグ性状を正確に把握することが可能になる。スラグ性状を正確に把握することにより、スラグ性状に応じた条件で操業することが可能になり、その結果、標準状態での酸素流量を溶銑トン当たり毎分4.0m以上6.0m以下にしても、スピッチングやスロッピングの発生を抑制することが可能になる。このような酸素流量(上吹き酸素流量)で操業することにより、脱炭処理を高速化することが可能になるので、本発明によれば、スピッチングやスロッピングの発生を低減しつつ、製鋼における転炉の脱炭処理を高速化することが可能な、転炉の精錬方法を提供することができる。
【0025】
また、本発明における調整工程を、逐次算出した炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の値が予め設定した範囲内になるように、酸素供給量、ランス高さ、及び、底吹きガス流量のうち少なくとも何れか1つを調整する形態とすることにより、スラグ性状に応じた最適な条件で操業することが容易になるので、スピッチングやスロッピングの発生を抑制しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の転炉の精錬方法を説明するフロー図である。
【図2】脱炭処理の経過を示す図である。
【図3】脱炭処理の経過を示す図である。
【図4】脱炭処理の経過を示す図である。
【図5】脱炭処理の経過を示す図である。
【図6】脱炭処理の経過を示す図である。
【図7】脱炭処理の経過を示す図である。
【図8】脱炭処理の経過を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明において、流量(送酸速度も含む)は、特に断らない限り、標準状態における流量である。また、図面では、スラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を、単に「炉内残留酸素濃度[m/スラグt]」と記載する。
【0028】
図1は、本発明の転炉の精錬方法を説明するフロー図である。図1に示したように、本発明の転炉の精錬方法は、炉内残留酸素濃度計算工程(S1)と、排ガス補正係数算出工程(S2)と、スラグ性状把握工程(S3)と、調整工程(S4)と、を有している。
【0029】
炉内残留酸素濃度計算工程(以下において、「S1」ということがある。)は、事前の転炉脱炭処理における転炉内への酸素供給量、排ガス流量、排ガス組成、溶銑成分及び副原料使用量から、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を計算する工程である。炉内残留酸素濃度(m/スラグt)は、後述する式(10)より算出することができる。
【0030】
排ガス補正係数算出工程(以下において、「S2」ということがある。)は、上述した第2の方法、すなわち、上記S1により事前の転炉脱炭処理におけるその処理後の炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を計算し、その事前の転炉脱炭処理後のスラグ中酸化鉄濃度またはスラグ酸素濃度の実績値と計算した炉内残留酸素濃度(m/スラグt)とを対比して、その誤差から排ガス流量の補正係数(排ガス補正係数)を求め、その求めた排ガス補正係数を用いて、現在の転炉脱炭処理での排ガス流量を補正する工程である。
この排ガス補正係数は、公知のスラグセンサーやスラグ分析により得られる酸素濃度の実績値に計算により得た炉内残留酸素濃度の値が合致するように、計算に用いた排ガス流量を補正する係数である。
【0031】
スラグ性状把握工程(以下において、「S3」ということがある。)は、標準状態での酸素流量が溶銑トン当たり毎分4.0m以上6.0m以下になるように上吹きしながら、現在の転炉脱炭処理における酸素供給量、上記S2で求めた排ガス補正係数を用いて補正した排ガス流量、排ガス組成、溶銑成分及び副原料使用量から炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を逐次算出して、スラグ性状の絶対値を把握する工程である。炉内残留酸素濃度(m/スラグt)は、後述する式(10)を用いて算出することができる。S3において、酸素流量を、標準状態で溶銑トン当たり毎分4.0m以上にするのは、この酸素流量以上でなければ本発明が考えている高速脱炭処理(酸素供給時間:9分間以下)が達成できないからである。また、S3において、酸素流量を、標準状態で溶銑トン当たり毎分6.0m以下にするのは、毎分6.0mを超えると本発明を適用しても安定操業の達成が困難だからである。
【0032】
調整工程(以下において、「S4」ということがある。)は、上記S3で逐次算出した炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の値に応じて、酸素供給量、ランス高さ、及び、底吹きガス流量のうち少なくとも何れか1つを調整して、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を事前に定めた範囲内に制御する工程である。本発明は、上記S1乃至S4を有する形態を基本形態とする。
【0033】
本発明が適用される転炉には、上吹きランスから供給される酸素の流量計、排ガスダクト内の排ガス流量を測定する排ガス流量計、排ガス中のCO濃度、CO濃度、及びO濃度を分析する分析計が必要であり、またこれらの情報を採取して排ガス補正係数や炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を計算する際に用いられる計算機やディスプレイが必要である。
【0034】
ここで、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)は以下の式(1)〜(10)より算出することができる。
【0035】
排ガス中のCO流量[m/h]、排ガス中のCO流量[m/h]、排ガス中のO流量[m/h]、及び、排ガス中のN流量[m/h]は、それぞれ、下記式(1)、(2)、(3)、(4)で表される。以下の式において、hCO、hCO2、及び、hO2は排ガス成分[%]であり、Qoffgasは排ガス流量[m/h]であり、i_delayは排ガス分析遅れ[−]である。
【0036】
【数1】

【0037】
【数2】

【0038】
【数3】

【0039】
【数4】

【0040】
また、炉内で発生したCO流量[m/h]、及び、炉内で発生したCO流量[m/h]は、以下の式で表される。
【0041】
【数5】

【0042】
【数6】

【0043】
炉内残留酸素変化量dO[m/s]は、次の式で表される。
【0044】
【数7】

ここで、上吹き酸素流量及び炉内へ投入された副原料に含まれる酸素流量の合計が炉内への入力酸素に相当する。また、炭素と結合し排ガスのCOやCOとして炉外へと排出される酸素流量、排ガス中の酸素流量、及び、溶銑成分変化に消費される酸素流量の合計が炉外への出力酸素に相当する。
【0045】
上記式(7)で表される炉内残留酸素変化量dOを用いて、炉内残留酸素O[m]は、次の式で表される。
【0046】
【数8】

ここで、(%SiO)消費酸素は、溶銑の脱Si時期におけるSiO形成で消費される酸素量[m]である。また、溶銑とは、高炉等で出銑した、炭素濃度が3質量%以上5質量%以下の溶鉄であり、事前に脱Si処理又は脱S処理又は脱P処理したものでも良い。また、生産バランスや熱バランスに応じてスクラップを併用しても良い。
【0047】
次に、転炉内のスラグ生成量[t]は次のようにして予測することができる。
スラグ生成量= Σ(副原料使用量×スラグ成分含有濃度
+溶銑使用量×溶銑中Si含有濃度×0.0214
+Os×0.0064 …(9)
【0048】
ここで、副原料使用量は現在の脱炭処理を開始する前ないし脱炭処理中に転炉内に添加したものの質量[t]であって、生石灰、石灰石、ドロマイト、珪砂、転炉スラグおよび取鍋スラグ等が例示される。そのスラグ成分含有濃度は、転炉内でガス化してしまう成分を除くCaO,MgO,SiOおよびAl等であって、それぞれ質量%で表す。
また、溶銑中含有成分のうちSiについては、現在脱炭処理している溶銑中に含有されていたSiが全てスラグ成分のSiOになったと仮定する。さらに、溶銑が酸化されて生成するFeOやMnOについては、上記式(8)で計算されたO[m]がFeOおよびMnOになったと仮定して、Oにその換算係数を掛けてスラグ成分としての質量[t]を算出する。
【0049】
以上より、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)は次の式で表わされる。
炉内残留酸素濃度(m/スラグt)= O(m)/スラグ生成量(t) …(10)
【0050】
本発明において、炉内残留酸素濃度を逐次計算する周期は特に限定されないが、計算誤差の蓄積を抑制する観点から、20秒よりも短くすることが好ましく、10秒以下とすることがより好ましい。また、本発明では、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の推移の目標範囲を事前に調査して定めておくことが望ましい。炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の目標範囲は、予め炉内残留酸素濃度(m/スラグt)とスピッチングやスロッピングの発生状況との関係を調査した結果に基づいて定めることができる。本発明が対象としている上吹き送酸速度4.0〜6.0m/min/tの条件においては、スピッチングの発生抑制という観点から、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の目標範囲は一般的に上吹き送酸開始後2.0分経過後は50m/スラグt以上とすることが好ましく、スロッピングの発生抑制という観点から、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の目標範囲は一般的に脱C臨界炭素濃度である0.30質量%以上の領域では200m/スラグt以下、0.30質量%未満の領域では300m/スラグt以下とすることが好ましい。
【実施例】
【0051】
現在の転炉脱炭処理の事前に、現在の転炉脱炭処理の前の処理における酸素供給量、排ガス流量、排ガス成分、溶銑成分及び副原料使用量から炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を計算し、その処理後のスラグ酸素濃度を測定して得た実績値と対比して、その差から排ガス流量の補正係数を求め、250t上底吹き転炉内に処理前成分:炭素濃度=3.3〜4.8%、ケイ素濃度=0.00〜0.70%、マンガン濃度=0.05〜0.40%、リン濃度=0.003〜0.160%、及び、温度=1290〜1400℃の溶銑を装入し、精錬剤として主に生石灰を投入し、標準状態での酸素流量が溶銑トン当たり毎分4.0m以上6.0m以下になるように上吹きしながら、現在の転炉脱炭処理における酸素供給量、並びに、算出した排ガス補正係数を用いて補正した排ガス流量及び排ガス組成、溶銑成分及び副原料使用量から炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を逐次算出し、その炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の値に応じて酸素供給量、ランス高さ、底吹きガス流量のうち少なくとも何れか1つを調整して炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の値が事前に定めた範囲内になるように調整する本発明にかかる脱炭処理を行った。
【0052】
一方、従来の脱炭処理では炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の算出を行っていないのであるが、本発明に係る一連の調査において、上記した本発明に係る炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の値を算出しつつも、その値を一切参考にしない脱炭処理を行い、本発明の効果を確認した。
さらに、本発明の比較例として、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の値を排ガス流量の補正を行わずに算出して参考にする脱炭処理も行って、排ガス流量の補正効果を確認した。
【0053】
なお、以下に記述する本発明例では、事前に上記上底吹き転炉における炉内残留酸素濃度(m/スラグt)とスピッチングおよびスロッピング状況との関係を調査し、脱燐予備処理を施された溶銑を脱炭処理する場合には、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の目標濃度範囲を上吹き送酸開始後2.0分経過後は標準状態の体積で50m/スラグt以上となるように、かつ、溶鋼中の炭素濃度が脱C臨界炭素濃度(約0.3質量%)よりも高い領域ではその目標範囲を標準状態の体積で150〜200m/スラグtに、溶鋼中の炭素濃度が脱C臨界炭素濃度以下の領域ではその目標範囲を標準状態の体積で150〜300m/スラグtになるように予め定めておいた。
【0054】
ここで、溶鋼中の炭素濃度が脱C臨界炭素濃度よりも高い領域における炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の目標範囲を、150〜200m/スラグtとしたのは、上記したようにスロッピング抑制のためには200m/スラグt以下が良いのであるが、脱燐予備処理を施された溶銑の脱炭処理でスピッチングの抑制効果を高めるためには、上記した50m/スラグt以上より高めの150m/スラグt以上を目標とする方がより好ましいからである。また、溶鋼中の炭素濃度が脱C臨界炭素濃度以下の領域における炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の目標範囲を150〜300m/スラグtとしたのは、この領域では脱炭速度が低下してCOガス発生量も少なくなって行くために200m/スラグtを超えても300m/スラグtまではスラグのフォーミングを許容でき、スロッピングも抑制されるからである。
【0055】
一方、脱燐予備処理を施していない通常の溶銑を脱炭処理する場合には、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の目標濃度範囲を上吹き送酸開始後2.0分経過後は標準状態の体積で50m/スラグt以上となるように、かつ、溶鋼中の炭素濃度が脱C臨界炭素濃度(約0.3質量%)よりも高い領域ではその目標範囲を標準状態の体積で50〜200m/スラグtに、溶鋼中の炭素濃度が脱C臨界炭素濃度以下の領域ではその目標範囲を標準状態の体積で50〜300m/スラグtになるように予め定めておけば十分である。
脱燐予備処理を施されていない溶銑では脱炭処理前の溶銑中にSiが0.2質量%以上含有されていることが普通であって、その酸化に伴ってスラグが速やかに形成されるため、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の値は標準状態の体積で50m/スラグt以上を維持できていればよいのである。
【0056】
表1に、脱炭処理条件及び脱炭処理結果を示す。なお、表1における溶鋼の成分濃度を示す「%」は質量%である。表1において、例1、例3、及び、例5は、本発明の実施例であって、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を当該処理の前に処理した10チャージのデータにより排ガス流量を補正して逐次算出し、その値に応じて酸素供給量、ランス高さ、及び、底吹きガス流量のうち少なくとも1つを調整して炉内残留酸素濃度(m/スラグt)が上記した事前に定めた範囲になるようにした処理例である。
また、例2、例4、及び、例6は、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を参考にしない従来の操業例であって、そのうちで例1、例3、及び、例5とそれぞれよく似た条件で処理した例を抽出して示すものである。
更に、例7は、排ガス流量を補正せずに炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を逐次算出し、その値に応じて上底吹き条件を調整して炉内残留酸素(m/スラグt)が上記した事前に定めた範囲になるようにした、本発明の比較例である。
【0057】
【表1】

【0058】
図2〜図8のそれぞれに、対象としている転炉脱炭処理(例1〜例7)における、上吹き酸素流量、ランス高さ(ランス−湯面間距離)、底吹きガス流量、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)、及び、スピッチング発生量(転炉集塵機の集塵水に含まれる鉄量)の推移を示す。図2は例1の結果であり、図3は例2の結果であり、図4は例3の結果であり、図5は例4の結果であり、図6は例5の結果であり、図7は例6の結果であり、図8は例7の結果である。図2〜図8の各図において、(a)は上吹き酸素流量の推移、(b)はランス−湯面間距離の推移、(c)は底吹きガス流量の推移、(d)は炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の推移、(e)はスピッチング発生量の推移の結果であり、単位に含まれる「N」は標準状態を意味し、「t」は溶銑トンを意味する。
但し、図3、図5、図7に示す炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の推移は、単に解析比較するために記したものであって、脱炭処理中には全く参考にしなかったものである。また、図8に示す炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の推移は、排ガス流量の補正を行っていないものを説明の参考用に記したものである。
【0059】
表1に示したように、本発明例である例1では、溶銑予備脱燐処理を施された溶銑を対象としている。この例では、図2に示したように、処理開始後2分時点での炉内残留酸素濃度が約60m/スラグtと、その時点での管理目標値である50m/スラグtを上回っていて、脱炭処理中に観察されたスピッチング状況は軽微であり、実際その後確認したスピッチング発生速度も600kg/分と普通のレベルであった。但し、その後の適度なスラグの形成とスロッピング抑制とを両立させる指標である、炉内残留酸素濃度が150〜200m/スラグtという目標範囲には未だ到達していなかったので、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の推移を参考にしつつ徐々にランス〜湯面間距離を大きくして行った。その結果、処理開始後約3.5分の時点で炉内残留酸素濃度の目標値である150m/スラグtを超え、脱炭処理末期の溶鋼中C濃度が約0.3質量%と推測される時点まで、その値を目標濃度範囲上限である200m/スラグt以下に維持することができた。その後、炉内残留酸素濃度は200m/スラグtを超えたが、その間の上限管理目標値である300m/スラグtに達することは無かった。
この処理開始後2分以降処理終了までのスピッチング状況は、図示したようにスピッチングによる鉄ロス発生速度が処理時間の経過に伴って低下しており、スロッピングも全く観察されることなく、処理を順調に完了させることができた。表1に示したように、脱炭処理の全体を通してのスピッチングによる鉄ロス発生量は13kg/溶鋼tとなった。
【0060】
例2は、炉内残留酸素濃度を参考にせずに、例1と同一の処理前成分、処理パターンで処理した従来例である。図3に示したように、この例では処理初期のスピッチングが激しく、スラグ生成が遅れがちと推測されたが、直ちにランス〜湯面間距離を大きくする等して炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を高める処置は行わなかった。そのスピッチングが激しく観察された間、別途表示していた炉内残留酸素濃度の値は処理開始後2分の時点でも50m/スラグtに到達しておらず、さらに処理開始後3.5分の時点でも低いままであったので、もっと早期に炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を高める処置を採るべきであったと分かる。
その後、処理開始後4分過ぎから急激に炉内残留酸素濃度の値が上昇して、処理開始後約5分の時点でその目標範囲上限である200m/スラグtを超えてしまっており、そのタイミングは約5.5分の時点で観察されたスロッピングの発生タイミングとよく一致していた。このことから、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を適切な範囲にコントロールする処置を早めに採って、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の急激な変化を防止すべきことが分かる。
この例2では、表1に示したように、脱炭処理の全体を通してのスピッチングによる鉄ロス発生量は20kg/溶鋼tと多い上に、スロッピングによる鉄ロスも5.5kg/溶銑tあったと見積もられ、本発明例である例1と比べて出鋼歩留が約1.3%低い結果となった。
【0061】
表1に示したように、本発明例である例3では、高炉から出銑された溶銑であって溶銑予備脱燐処理を施してないものを対象としている。この例では、図4に示したように、処理開始後2分時点での炉内残留酸素濃度が約60m/スラグtと、その時点での管理目標値である50m/スラグtを上回っていて、脱炭処理中に観察されたスピッチング状況は軽微であり、実際その後確認したスピッチングによる鉄ロス発生速度もその2分経過時点で約300kg/分と低いレベルであった。その後も、炉内残留酸素濃度は50〜200m/スラグtという目標範囲で十分に低い値であったので、その炉内残留酸素濃度(m/スラグt)の推移を参考にしつつ徐々にランス〜湯面間距離を大きくすると共に、上吹き酸素流量を高めて行った。その結果、炉内残留酸素濃度は吹錬全期間を通じて200m/スラグt以下であって、スピッチングは軽微であり、スロッピングも発生することなく高能率で脱炭処理を終えることができた。
【0062】
例4は、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を参考にせずに、例3と同一の処理前成分、処理パターンで処理した従来例である。図5に示したように、例4では処理開始後2分時点での炉内残留酸素濃度が20m/スラグtと目標範囲の下限値未満であり、溶銑中にSiが含有されていてもスラグ形成が不十分であった例と分かる。例4では、この状態で上吹き酸素流量を増大させたためスピッチング発生量が増加し、その結果、表1に示したように鉄分歩留が大きく低下した。
【0063】
本発明例である例5では、溶銑予備脱燐処理を施された溶銑を対象としている。この例では、図6に示したように、処理開始後2分時点での炉内残留酸素濃度は90m/スラグtと目標範囲以上で、その時点での濃度としては高めであった。そこで上吹き酸素流量、ランス〜湯面間距離および底吹きガス流量を変えずに脱炭処理を続けたが、処理開始後4分経過前に炉内残留酸素濃度が目標範囲の上限値である200m/スラグtを超えた。そのため、底吹きガス流量を増大させて炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を低減する処置を採り、スロッピング発生を抑制した。
【0064】
例6は、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を参考にせずに、例5と同一の処理前成分、処理パターンで処理した例である。図7に示したように、例6では底吹きガス流量を増大しても炉内残留酸素濃度(m/スラグt)が上昇し続けており、処理開始後3.5分時点でスロッピングが発生してしまった。その結果、表1に示したように鉄分歩留が大きく低下した。この結果から、炉内残留酸素濃度(m/スラグt)が所定の目標範囲内に収まるように、もっと別の処置を採るべきであったことが分かる。
【0065】
例7は、溶銑予備脱燐処理を施された溶銑を対象として、排ガス流量を補正せずに炉内残留酸素濃度(m/スラグt)を逐次算出し、その値に応じて処理した例である。図8に示したように、例7では処理開始後2分時点において、炉内残留酸素濃度は70m/スラグtと目標範囲内であって、その後の炉内残留酸素濃度(m/スラグt)も目標範囲内にあるように算出されているが、排ガス流量を補正していないため正確ではない。そのため、処理開始後4分時点でスロッピングが発生し、スロッピング沈静のために上吹き酸素流量を低下した結果、能率の低下を招いた。
【0066】
以上より、本発明(例1、例3、及び、例5)によれば、スピッチングやスロッピングの発生を低減しつつ、標準状態での酸素流量が溶銑トン当たり毎分4.0m以上6.0m以下になるように上吹きすることにより、製鋼における転炉の脱炭処理を高速化することができることが確認されたといえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の転炉脱炭処理の事前に、事前の転炉脱炭処理における転炉内への酸素供給量、排ガス流量、排ガス組成、溶銑成分及び副原料使用量から、前記事前の転炉脱炭処理の終了時点におけるスラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度を計算する炉内残留酸素濃度計算工程と、
前記事前の転炉脱炭処理後のスラグ中酸化鉄濃度またはスラグ酸素濃度の実績値と計算した前記スラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度とを対比して、その差から排ガス流量の補正係数を求める排ガス補正係数算出工程と、
0℃且つ0.1013MPa且つ湿度0%での酸素流量が溶銑トン当たり毎分4.0m以上6.0m以下になるように上吹きしながら、現在の転炉脱炭処理における酸素供給量、求めた前記排ガス補正係数を用いて補正した排ガス流量、排ガス組成、溶銑成分及び副原料使用量から、前記現在の転炉脱炭処理におけるスラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度を逐次算出してスラグ性状の絶対値を把握するスラグ性状把握工程と、
逐次算出した前記スラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度の値に応じて、酸素供給量、ランス高さ、及び、底吹きガス流量のうち少なくとも何れか1つを調整する調整工程と、
を有する、転炉の精錬方法。
【請求項2】
前記調整工程が、逐次算出した前記スラグ1トン当たりの炉内残留酸素濃度の値が予め設定した範囲内になるように、前記酸素供給量、前記ランス高さ、及び、前記底吹きガス流量のうち少なくとも何れか1つを調整する工程である、請求項1に記載の転炉の精錬方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−108153(P2013−108153A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256135(P2011−256135)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】