説明

輪行袋

【課題】分解した自転車の大きさと形状に適合でき、簡単に収納できること。
【解決手段】筒状本体部11から成り、その両開口側縁部12に紐部材15を挿通する挿通部14を設け、更にこれらの略中央部の周方向にも紐部材15を挿通する挿通部14を設ける。これらの挿通部14に紐部材15を挿通し、内部に収納される分解状態自転車を固縛できる。本体部は略長方形形状のシート状本体部から形成してもよい。この場合このシート状本体部の対向する2つの側縁部にスライドファスナーを設け、このスライドファスナーを相互に係着すれば筒状となり、その他の構成は上記と同じとして輪行袋を形成できる。ベルト部材30を付加し、このベルト部材30の両端部を袋の開口側縁部12から内部の自転車のフレームに固定して携行用ベルトとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
輪行袋とは、これを担いで旅行して、目的地でこの袋の内部に分解収納された自転車を取り出して組み立て、その目的地でサイクリング等を楽しむために利用される運搬用の袋をいうのであるが、本発明はこの輪行袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
より詳しくは、輪行袋というのは、マウンテンバイクやロードレース用バイク等のスポーツサイクルを分解して、その内部に収納し、電車等の他の交通機関を利用して目的地に運搬し、その目的地でその自転車を組み立て、オフロード走行やツーリング等を楽しむために使用するものである。
通常、これらのスポーツサイクルは、フラットハンドルやダウンハンドルを採用しており、その前輪及び後輪の両輪を取り外して、或いは前輪のみを取り外し、前記ハンドルを略90度横方向に向けることによりフレーム全体を平らな状態とし、このフレームに取り外した車輪を重ねて固定し、この輪行袋に収納するのである。
【0003】
この輪行袋の従来例としては、下記の特許文献に記載のものを挙げることができる。
下記特許文献1に記載の輪行袋は、従来からあるソフトケースタイプで、スライドファスナーによる開閉口を有するものであるが、袋内に収納された自転車の破損等や、袋が他人に衝突した際にその人に怪我を負わすことがないように工夫されたものである。
即ち、この輪行袋に空気やガス等を封入できる空間部を設け、その空間部内に空気等を出し入れできる構成を採用し、緩衝性能を付加したものである。
そして、この輪行袋は、いわばバック或いはカバン形式のものである。
【0004】
下記特許文献2に記載の輪行袋は、輪行袋の底面に折り畳み可能なキャスター付きの板を設けて、搬送する際に便利なものとしたものである。
この輪行袋においても、その分解状態自転車を収納する袋部は、いわばカバン形態のもので、その上方部にスライドファスナー付きの開閉口が設けられたものである。
【0005】
下記特許文献3に記載の輪行袋においても、その袋部はやはりカバン形態のもので、その上方部にはスライドファスナー付きの開口部が形成されたものであるが、その袋の縦方向対称位置にやはりスライドファスナーを設けて、袋の横方向の長さを長短自在に変更できるものである。
輪行袋内に収納する自転車は、車輪を分離して小さくして収納するのであるが、その際両輪を分離する場合も、また前輪のみを分離する場合もあり、分解した状態の自転車の大きさや形状は種々異なるものとなる。
この異なる大きさの自転車を収納することができるように、この特許文献3に記載のものが考案されたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−201394号公報
【特許文献2】特開2001−353015号公報
【特許文献3】実用新案登録第3001610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の輪行袋においては、その何れのものも袋形態又はカバン形態を採用するものである。そのカバン形態の略上方部、或いは前方部と上方部と後方部に渡りスライドファスナーを設けて開閉自在の開口部を形成したものである。
そして、分解した自転車を収納する際は、分解して分離した車輪をフレームに固定した状態で、この分解状態自転車を立てた状態にして、輪行袋の開口部のスライドファスナーを開放し、開口部を開放した状態で、この輪行袋を上から被せるのである。
次に、この輪行袋を被せた状態のまま、これを上下反対にひっくり返して、開口部を上方に向け、その後スライドファスナーを閉鎖して自転車の収納が完了する。
その後、この袋を紐部材等により固縛して、自転車の収納が完了するのである。
【0008】
従って、分解状態自転車の形状や大きさは、それぞれの自転車により異なるのであるが、カバン形態を採用している関係上、その輪行袋の形状が一定の定まった形態或いは形状となるために、異なる形状や大きさものに1つの袋で対応させることが困難となる。
つまり、大きさや形態が相違すると、自転車を収納して紐部材で固縛すると、皺くちゃとなってしまい、外観もスマートで無くなるのである。
また、携行用のベルト部も袋部に直接連結、固定されているために、ベルト部の連結部が破損したりする不安もある。
【0009】
本発明においては、分解した自転車を袋内に収納する際に、従来よりもより簡単に収納できることをその第一の課題とする。
また、上記の通り、その分解状態自転車を収納する際に、その分解状態自転車はその大きさや形状がそれぞれの自転車により大いに異なるものであるが、この大きさや形状の相違に対しても、より簡単にこれに対応できるものを提供することも本発明の中心的な課題となる。これによりその収納状態の外観もスマートなものとなる。
その他、不使用時の袋のコンパクト化や、袋を携行する際の肩掛けベルト等の取り付けについての工夫をすることも本発明の課題となるのである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、略四角形形状のシート状部材を用い、このシート状部材の対向する2つの側縁部を相互に接合して略筒形状に形成した筒状本体部からなり、この筒状本体部の両開口側縁部に紐部材を挿通できる挿通部を設け、更に筒状本体部の略中央部の周方向にも紐部材を挿通できる挿通部を少なくとも1箇所設け、 これらの挿通部に紐部材を挿通し、挿通部の開口から紐部材の両端部を導出し、これらの端部を固定することによって、それぞれの挿通部で内部に収納された分解状態自転車を固縛することができることを特徴とする輪行袋である。
【0011】
本発明の第2のものは、略四角形形状のシート状本体部から成り、このシート状本体部の対向する2つの側縁部を相互に接合し且つ分離できるスライドファスナー等の接合分離手段を設け、他方の対向する2つの側縁部と、これら2つの側縁部の略中央部の少なくとも1箇所に、紐部材を挿通できる挿通部を設け、これらの挿通部に紐部材を挿通し、挿通部の開口から紐部材の両端部を導出し、シート状本体部の適宜位置に分解状態自転車を載置して、2つの対向する側縁部に設けた接合分離手段を接合し、更にそれぞれの挿通部に挿通された紐部材の両端部を固定し、内部に収納された分解状態自転車を固縛することができることを特徴とする輪行袋である。
【0012】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、更に帯状部材から成るベルト部材を付加し、このベルト部材の両端部を自転車のフレームに固定することができ、このベルト部材の両端部を、袋の本体部の対向位置にある両開口側縁部の両開口部から内部の自転車のフレームに固定して、或いは、このベルト部材の両端部を両開口側縁部の何れか一方の開口部から内部の自転車のフレームに固定して、袋を携行するための携行ベルトとしたことを特徴とする輪行袋である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1のものにおいては、筒状本体部の両開口側縁部と、その略中央周方向に紐部材を挿通させて構成しているために、分解状態の自転車を立てた状態として、その筒状本体部の一方の開口部を上記分解状態自転車の上方から被せるようにして被覆することができ、その後に前記紐部材を収束させ、その自転車を立てた状態のままに固縛することが可能となる。
【0014】
即ち、本発明に係る輪行袋においては、分解状態自転車に袋を被覆させた後に、その全体を上下逆に反転させる必要がないのである。というのも、本発明の輪行袋においては、その本体部が筒体形状を有しているために、従来の上方部にのみ開口部が設けられた輪行袋と異なり、その上下が特定されないからである。
【0015】
従って、輪行袋への収納、固縛も極めて簡単なものとなるのである。
更に、両側縁部が開口されており、この開口部が紐部材で収束されるために、内部に収納される分解状態自転車の形状や大きさが異なったとしても、その開口部を小さく収束させることにより、その全体の大きさも大小自在に適応させることもできるし、その形状も内部に収納される自転車の形状に相応しく適合するように変形させて、収納・固縛が可能となるのである。
【0016】
本発明の第2のものにおいても、その構成は上記第1の発明と異なるが、同様の効果を発揮するものである。
即ち、この発明においては、上記第1の発明と異なり、その全体形状が略四角形形状のシート状本体部から形成されており、その対向する2つの側縁部を相互に接合し且つ分離できるスライドファスナー等の接合分離手段を設け、更に他方の対向する2つの側縁部には紐部材を挿通し、且つこらの略中央部にも紐部材を挿通したものである。
【0017】
従って、本発明に係るシート状本体部を広げ、その一方の側に分解状態自転車を横に寝かせた状態で載置し、他方の側の接合分離手段を上記一方の側の接合分離手段と接合して両者を接合し、その後にそのままの状態でそれぞれの紐部材を収束し、固縛することによって簡単に分解状態自転車を輪行袋内に収納して固縛することができる。
【0018】
或いは、シート状本体部を広げ、両側の接合分離手段と平行にその略中央部に分解状態自転車を立てたままの状態で載置し、その後両側の接合分離手段を相互に接合して、即ち自転車の両側を被覆するようにして、自転車の上方でファスナー等の接合分離手段を相互に接合して被覆し、その後紐部材を収束、固縛して簡単に分解状態自転車を内部に収納して固縛することができるのである。
【0019】
従って、この発明においても、分解状態自転車に袋を被覆した後に上下逆さまに反転させる必要がなく、自転車をシート状本体部の適宜位置に載置し、いわば本体部の内部に自転車を包み込むようにして被覆して固縛し、簡単に分解状態自転車を収納することができるのである。
また、上記発明と同様に、この輪行袋は、分解状態自転車の形状や大きさに適切に適合して、変形し、適切に分解状態自転車を収納することができ、極めて外観のスマートなものとなるのである。
【0020】
本発明の第3のものにおいては、従来の輪行袋の場合、その輪行袋を肩に下げるためのベルト部材が輪行袋の側面部等に連結されて設けられていたが、そのベルト部材の両端部を自転車のフレームに直接固定できるようにし、袋内部に収納される自転車のフレームに直接連結できるようにしたものである。
【0021】
これが可能となるのは、上記第1の発明においては筒状本体部を使用しているために、その両側縁部が開口しているためであり、上記第2の発明においても、接合分離手段を接合するとやはりシート状本体部が筒状となるために両側縁部が開口することとなるからである。
これらの開口部から内部に収納された分解状態自転車のフレームにベルト部材の端部を直接に連結することができるのである。
【0022】
これにより、ベルト部材はより堅固に自転車を保持することができ、輪行袋自体もベルト部材の引っ張り力によって皺になったり、破けたりすることが無くなるのである。
尚、ベルト部材は、袋の両側縁部のそれぞれの開口部から内部の自転車フレームに連結することもできるし、両側縁部の何れか一方の開口部からその内部の自転車フレームにその両端部を連結することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る輪行袋の第1の実施形態を示す説明図であり、分解された自転車に被覆する状態を図示したものである。
【図2】上記第1の実施形態に係る輪行袋を分解状態自転車に被せ、固縛した状態を図示した説明図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る輪行袋を示す斜視図であって、その一方の側(図中左半部)に分解した状態の自転車を寝かせて載置した状態を示している。
【図4】上記第2の実施形態に係る輪行袋を分解状態自転車に被せて、両側縁部のスライドファスナーを接合した状態の斜視図である。
【図5】上記第2の実施形態に係る輪行袋内部に自転車を収納し、固縛した状態を図示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下添付の図面と共に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る輪行袋の第1の実施形態を示す説明図であり、分解された自転車に被覆する状態を図示したものである。
本発明に係る輪行袋10は、防水性能を有する略矩形形状の合成繊維製生地の対向する側縁部を相互に縫製して形成した、筒体形状を有する筒状本体部11からなり、図中上下の開口側縁部12、12の周縁部に紐部材15を挿通する挿通部14、14を設け、これら挿通部14、14の略中央部の周方向にも紐部材15を挿通できる挿通部14が形成されたものである。
【0025】
それぞれの紐部材15の両端部には、ストッパー部材16を設けており、このストッパー部材16を挿通部14の開口17の側にスライドさせると、紐部材15が引き締められて、内部に収納される自転車を固縛することができる。
尚、図1では、紐部材15の両端部が連結した状態に描かれているが、これが分離した状態であってもよい。
【0026】
上記ストッパー部材16は、外側筒体の内部に内側スライド部材がコイルバネにより一方の方向に付勢されたもので、両者の直径方向に紐部材15が挿通する貫通孔が設けられ、コイルバネの付勢状態で、この貫通孔の位置がずれた状態となっているものである。
そして、内側スライド部材を付勢方向と反対方向に押圧すると、前記貫通孔同士の位置が合致して、紐部材15が貫通孔内を挿通できるように構成されたものである。
【0027】
自転車Bは、マウンテンバイクや競技用のスポーツサイクルであって、その前輪及び後輪が容易に分解して分離できるタイプのものである。
この図では、前輪と後輪の両輪を分解、分離して、自転車フレームの中央部の両側にバンド等(図示省略)で固定したものである。ハンドルは、フラットハンドル又はダウンハンドルのものであるが、これを略90度横方向に回動しておけば、フレーム部分は略平らな状態となるのである。この状態でハンドルもフレームにバンド等(図示省略)で固定しておく。
【0028】
この略平らな状態となった分解状態自転車を立てた状態とし、その上方から輪行袋10の筒状本体部11の図中下方開口側縁部12の側から、上記分解状態自転車Bに被せて行くのである。
尚、開口側縁部12に上下はないので、図中上方の開口側縁部12の側から分解状態自転車Bに被せて行ってもよい。
【0029】
そして、分解状態自転車Bを内部に収納し、被せた状態で、それぞれの紐部材15、15、15を収束して(ストッパー部材16をスライドさせて)、固縛することにより、図2の状態となって、自転車の収納及び固縛が完了する。
本発明に係る輪行袋では、袋を被せた後に自転車を反転させる必要は全くない。
尚、ここで、ベルト部材30の両端部を自転車のフレームに連結して、固定しておくことができる。図1に図示した通り、輪行袋10を被覆する前に予めベルト部材30の両端部を自転車Bのフレームに連結しておけば、輪行袋10を被覆した後に、輪行袋10の一方の開口側縁部12からこのベルト部材30を外部に導出して、搬送用ベルトとすることができる(図2参照)。
【0030】
図2は、上記第1の実施形態に係る輪行袋10を分解状態自転車に被せ、固縛した状態を図示した説明図である。
この輪行袋10は、筒状本体部11から成り、図中上下に開口部18、18が形成されるために、その開口側縁部12、12の挿通部14内を挿通する紐部材15を収束することにより、その開口部18の大きさが小さくなると共に、輪行袋10のその全体の形状と大きさが内部の分解状態自転車の外形形状に適合して、小さくなるのである。
【0031】
従って、この輪行袋10は、内部に収納される分解状態自転車の大きさや形状に適宜適合させることができる。
尚、紐部材15の固縛は、開口側縁部12、12の側を先に収束して固縛し、最後に中央の紐部材15を収束、固縛することが望ましい。
そして、最後に図1において説明した通り、その両端部が自転車のフレームに連結固定されたベルト部材30を外部に導出して、搬送用ベルトとすればよいのである。
【0032】
本発明に係る輪行袋10においては、その両開口側縁部を利用して、内部の自転車フレームに簡単にベルト部材のそれぞれの端部を連結し、固定できることがその特徴となっている。
ベルト部材30は、図示はしていないが、その両端部に雄型バックルを取り付け、ベルトの少し手前(中央)側に雌型バックルを取り付けておき、先端部をフレームに巻きつけるようにして雄型バックルを雌型バックルに係合できるものでよい。
或いは、図1で示したような通常の枠体形式のバックルで、単に挿通させて、摩擦により固定できる形式のものであってもよい。また、ベルト部材の端部を自転車のフレームに単に縛り付けるものであってもよい。
ベルト部材の中央部分には、長さ調節用枠体を設けておくことが好ましい。
【0033】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る輪行袋20を示す斜視図であって、その一方の側(図中左半部)に分解した状態の自転車を寝かせて載置した状態を示している。
この第2の実施形態に係る輪行袋20は、防水性能を有する合成繊維製生地から形成された略長方形形状を有するシート状本体部21から成る(図3は斜視図であって、遠近法により上方側縁部が下方側縁部よりも短く現れている。)。
【0034】
このシート状本体部21の対向する両側(図中左右)の側縁部にスライドファスナー23を設けて、これら両側縁部を相互に係着し、分離することができる。このスライドファスナー23が接合分離手段となる。
シート状本体部21の図中上下の側縁部には、紐部材15を挿通する挿通部14、14がそれぞれに設けられており、また上下の挿通部14、14の略中央部にも略平行に紐部材15を挿通できる挿通部14が形成されている。
【0035】
この図では、紐部材の端部がその背面側に位置するために現れていないが、紐部材をそれぞれ2本ずつ使用して、その一方端部が図中両側のスライドファスナー23が設けられている側の挿通部内部で縫着されている。
そして、やはり図には現れていないが、その背面側の略中央部に挿通部14の開口が設けられ、この開口からそれぞれの紐部材の他方の端部がシート状体本体部21の背面側の外部に導出され、ストッパー部材を取り付けるのである。
【0036】
使用に際しては、例えば、このシート状本体部21の図中左半部に分解し、平らな状態とされた自転車Bを横に寝かせた状態で載置するのである。
その後に図中右側のスライドファスナー23を、対向する側縁部の側(左側)のスライドファスナー23の側に接合するように折り畳むのである。そして、相互にスライドファスナー23、23を接合した状態が図4の状態である。
尚、分解状態自転車Bは、上記のように横に寝かせた状態で載置するのでなく、立てた状態でシート状本体部21の略中央縦方向に載置して、両側のスライドファスナー23、23をその自転車の上方で相互に係着してもよい。
【0037】
図4は、上記第2の実施形態に係る輪行袋20を分解状態自転車に被せて、その内部に収納した状態の斜視図である。
つまり、この図4の状態は、前図3の状態で、右側縁部のスライドファスナー23を対向する左側縁部のスライドファスナー23に接合して、相互に係着した状態を反時計回りに略90度回転した状態を示すものである。
従って、この図4では、スライドファスナー23は、下方に位置している。
【0038】
この状態において、この第2実施形態は、前記第1の実施形態における輪行袋10と同様に筒状のものとなっている。
この状態で、両開口側縁部12、12の挿通部14、14に挿通された紐部材15、15をそれぞれ順次収束して固縛する。
紐部材15の挿通部14は、前記第1実施形態と同様に、上記両側縁部12、12の中央部にも略平行に設けられており、この挿通部14内の紐部材15を収束して、固縛し、自転車の収納、固縛が完了する。
この状態を図5が図示している。
【0039】
図5は、上記第2の実施形態に係る輪行袋20内部に自転車を収納し、固縛した状態を図示する斜視図である。
この図にある通り、分解状態自転車は、輪行袋20内に収納され、それぞれの紐部材15を収束して、固縛されるのである。
ここでも上記第1の実施形態と同様にストッパー部材16により、これを挿通部14の開口の側にスライドさせて、紐部材15を収束することができる。
これにより、自転車の大きさ及びその形態に適合した状態に収納、固縛することができるのである。
【0040】
そして、前記第1の実施形態と同様に、図示はしていないが、ベルト部材の両端部を内部に収納された自転車のフレームに連結固定し、ベルト部材の長さもその長さ調整枠体(手段)により調整して、輪行袋内に分解状態自転車が収納、固縛されて、携行して運搬することができることとなるのである。
ベルト部材は、直接自転車のフレーム部分に連結し、固定されるために、従来のようにベルト部材の連結部で輪行袋が破損する恐れが無くなる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通りその形態を種々変更して実施することができる。
本発明に係る輪行袋の材質は、自由に選択することができる。防水性を有し、丈夫な素材から形成することが望ましく、その内側に緩衝性を保持させるための不織布や起毛した生地を接合してもよい。
その大きさも適宜自由に設計することができ、形状も筒体形状或いは長方形形状シート状体のものを採用すればよい。
【0042】
第1及び第2のそれぞれの実施形態では、紐部材の挿通部を3つ略並行に設けたが、この3つは最小限のもので、4列以上設けるのも自由である。
第2実施形態において、両側縁部にスライドファスナーを設けたが、このスライドファスナーは、面ファスナーであっても実施可能であり、要するに相互に係着及び分離できるものであればどのようなものであってもよい。
【0043】
第2実施形態において、スライドファスナーの接合端部、即ち相互に係着した状態のスライダーの位置する側に、ファスナーが開放してしまわないように、面ファスナー付きの帯状部材(図5において、図面符号25)を一方の側に設け、他方の側にこれに係着する面ファスナーを設けることも可能である。
紐部材の端部にストッパー部材を設けているが、このストッパー部材は設けなくとも問題はなく、紐部材の両端部を連結せずに、分離した状態として、相互に縛り付ける形態として実施することもできる。
【0044】
紐部材の両端部を分離した状態として、挿通部の開口をスライドファスナーの両側に設け、スライドファスナーを係着した後に、これら紐部材の両端部を相互に固定又は縛り付けるように構成することもできる。
このように構成すれば、スライドファスナーを開放する方向への力が負荷されなくなり、スライドファスナーの破損を防止することができる。
上記第2の実施形態では、挿通部の開口部をスライドファスナーの係着側と丁度対向する部位に設けているが、この挿通部の開口位置も自由に選択できる。
【0045】
以上、本発明は、非常に簡易な構成からなるものであるが、上記従来のものとその発想の転換を図り、つまり、バック形式又はカバン形式という概念を排除して初めて着想することができたものであり、従来のものと比較すれば極めてその効果の大なるものであり、簡単に分解状態自転車に被せて、簡単に固縛することができ、内部に収納する分解状態の自転車の大きさや形状等にも極めて容易に対応させることのできる輪行袋を提供することができたものである。
【符号の説明】
【0046】
10、20 輪行袋
11 筒状本体部
12 開口側縁部
14 挿通部
15 紐部材
16 ストッパー部材
18 開口部
21 シート状本体部
23 スライドファスナー
30 ベルト部材
B 自転車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略四角形形状のシート状部材を用い、このシート状部材の対向する2つの側縁部を相互に接合して略筒形状に形成した筒状本体部(11)からなり、
この筒状本体部(11)の両開口側縁部(12, 12)に紐部材(15, 15)を挿通できる挿通部(14, 14)を設け、
更に筒状本体部(11)の略中央部の周方向にも紐部材(15)を挿通できる挿通部(14)を少なくとも1箇所設け、
これらの挿通部(14, 14, 14)に紐部材(15, 15, 15)を挿通し、挿通部(14)の開口(17)から紐部材(15)の両端部を導出し、これらの端部を固定することによって、それぞれの挿通部(14)で内部に収納された分解状態自転車を固縛することができることを特徴とする輪行袋。
【請求項2】
略四角形形状のシート状本体部(21)から成り、このシート状本体部(21)の対向する2つの側縁部を相互に接合し且つ分離できるスライドファスナー等の接合分離手段(23)を設け、
他方の対向する2つの側縁部と、これら2つの側縁部の略中央部の少なくとも1箇所に、紐部材(15, 15, 15)を挿通できる挿通部(14, 14, 14)を設け、
これらの挿通部(14)に紐部材(15)を挿通し、挿通部(15)の開口から紐部材(15)の両端部を導出し、
シート状本体部(21)の適宜位置に分解状態自転車を載置して、2つの対向する側縁部に設けた接合分離手段(23)を接合し、更にそれぞれの挿通部(14)に挿通された紐部材(15)の両端部を固定し、内部に収納された分解状態自転車を固縛することができることを特徴とする輪行袋。
【請求項3】
更に帯状部材から成るベルト部材(30)を付加し、このベルト部材(30)の両端部を自転車のフレームに固定することができ、このベルト部材(30)の両端部を、袋の本体部の対向位置にある両開口側縁部(12, 12)の両開口部(18, 18)から内部の自転車のフレームに固定して、或いは、このベルト部材(30)の両端部を両開口側縁部(12, 12)の何れか一方の開口部(18)から内部の自転車のフレームに固定して、袋を携行するための携行ベルトとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の輪行袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−11603(P2011−11603A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156457(P2009−156457)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(503356451)有限会社大久保製作所 (7)