説明

農作業機

【課題】予備のシャーボルトや送信機等の関連用具を備える農作業機を提供する。
【解決手段】走行機体の後部に着脱可能に装着されて走行機体の走行とともに進行して所定の作業を行うものであり、走行機体の後部に装着される装着部10と、装着部10の進行方向後側に設けられたオフセットフレーム22と、オフセットフレーム22に回転自在に支持されて所定の作業を行う作業部とを備える畦塗り機1であって、装着部10に、畦塗り機1の関連用具を備えるための用具箱50が設けられる。用具箱50は、アンテナで受信した電波に含まれる指令信号に応じて畦塗り機1の作動を制御する電子基板が収容される電気接続箱41と一体化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機に関し、特に、走行機体の後部に装着される装着部と、装着部の進行方向後側に設けられた機体本体部と、機体本体部に回転自在に支持されて所定の作業を行う作業部とを備える農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような農作業機には、回転する作業部の破損を未然に防止するためにシャーボルトを介して作業部を取り付けたものや、リモコン送信機から送信される信号に応じて作業部の作動が制御されるように構成されたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、旧畦を切り崩して土盛りを行う前処理ロータを、シャーボルトを介して取り付けた畦塗り機が開示されている。この畦塗り機の前処理ロータは、動力を受けて回転する回転軸にトルク伝達可能に外嵌された中間筒軸と、この中間筒軸に外嵌された耕耘爪取付用の筒軸と、筒軸に装着された複数の耕耘爪を備える。筒軸にはフランジが設けられ、このフランジは中間筒軸に設けられたフランジにシャーボルトを介して連結固定されて、前処理ロータは中間筒軸を介して回転軸に連結されている。このため、前処理ロータの回転時に耕耘爪に石等の障害物が当接した場合、耕耘爪に作用する衝撃荷重はシャーボルトに作用してシャーボルトを破断させる。このため、耕耘爪に過大な衝撃力が作用する虞がなくなり、また前処理ロータやこれに動力を伝達する回転軸を含む駆動部等の損傷が未然に防止される。
【0004】
また特許文献2には、自走式タイプの走行機体に管理機体を搭載した茶園管理機が開示されている。この茶園管理機は、送信機から発する信号を受信機が受信し、この受信した信号に応じて茶園管理機の作動が制御されるように構成されている。これらの送信機及び受信機は、背面にマグネットが貼設されて管理機の所望の場所に着脱自在に設置可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−42747号公報
【特許文献2】特開2001−61304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなシャーボルトが装着された従来の畦塗り機等の農作業機には、予備のシャーボルトを予め農作業機に保管する場所が設けられていなかった。このため、作業者は予備のシャーボルトや必要な工具を常に身につけて作業を行い、また予備のシャーボルトを走行機体に常時搭載し、また予備のシャーボルトを収納袋等に入れて農作業機に引っ掛けておく等の措置が取られていた。
【0007】
しかしながら、このような措置では、シャーボルトの交換時に、作業者が予備のシャーボルトの保管場所を忘れたり、シャーボルトを紛失したり、作業機毎に異なる種類の予備のシャーボルトから適合しない予備のシャーボルトに誤って交換したりする虞があり、作業部や駆動部を破損してしまう等の不都合が生じる。
【0008】
また、作業者が走行機体に搭乗した状態で農作業機を無線で遠隔操作する送信機を備える農作業機では、農作業機の使用後に、納屋等に農作業機を保管するときに送信機を走行機体内に置いたままにする場合が多い。このため、農作業機を次期シーズンに使用するまでに送信機を紛失する虞があった。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、農作業機に予備のシャーボルトや送信機等の関連用具を備えることができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の農作業機(実施の形態における畦塗り機1、耕耘作業機70)は、走行機体の後部に着脱可能に装着されて該走行機体の走行とともに進行して所定の作業を行うものであり、走行機体の後部に装着される装着部と、該装着部の進行方向後側に設けられた機体本体部(実施の形態におけるオフセット機構部21,本体フレーム72)と、該機体本体部に回転自在に支持されて所定の作業を行う作業部とを備える農作業機であって、装着部又は機体本体部に、農作業機の関連用具を備えるための用具予備手段(実施の形態における用具箱50,60)が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
本発明の「農作業機」とは、圃場の畦を形成する畦塗り機や、圃場の耕土を耕耘する耕耘作業機や、圃場に溝を形成する溝掘り機等をいう。本発明の「機体本体部」とは、装着部の進行方向後側に設けられ、作業部を移動可能に支持するものや、作業部を回転自在に支持するものである。具体的には、機体本体部は、農作業機の種類に応じて構成され、農作業機が畦塗り機の場合には、装着部に一端部が回動自在に支持されて他端側が装着部幅方向に揺動可能なオフセット機構部(実施の形態におけるオフセット機構部21)を有し、オフセット機構部の移動端側に作業部を回動自在に設けたものである(請求項2)。また、農作業機が耕耘作業機の場合には、機体本体部は、装着部よりも後方側に配設されて装着部幅方向に延びるフレーム部(実施の形態における本体フレーム72)を有し、このフレーム部に作業部を回転自在に支持してなるものである(請求項3)。
【0012】
用具予備手段は、装着部又は機体本体部に農作業機の関連用具を備えておくための手段であり、関連用具を農作業機に備えておくことができれば、装着部等に設けられたものでもよい。具体的には、用具予備手段は、装着部の幅方向一側又は該装着部の進行方向前側部に設けられる(請求項2)。この発明は、用具予備手段が、無線受信制御装置が収容される制御ボックスと一体化された用具箱(請求項5)である場合を想定している。この場合、無線受信制御装置の無線受信の感度を良くするためには、走行機体と農作業機とを連結するリンク部材が無線の邪魔をしない位置に用具予備手段が設置されるのが好ましい。このため、用具予備手段は、装着部の幅方向一側又は該装着部の進行方向前側部に設けられる。
【0013】
また、用具予備手段は、ギヤケース周辺のフレーム部又はマストに設けられる(請求項3)。この発明は、無線受信制御装置を有さない農作業機を想定したものである。農作業機が無線受信制御装置を有しない場合、用具予備手段は無線受信の感度を考慮する必要がないので、用具予備手段は、リンク部材に接近する位置に配置することができ、具体的には、ギヤケース周辺のフレーム部又はマストに設けることができる。
【0014】
用具予備手段は、関連用具を収容可能な用具箱である(請求項4)。用具箱は、関連用具を収容できればよく、雨水を防ぐことが可能な程度のものでよい。具体的には、関連用具を収容可能な有底筒状の容器本体部と、容器本体部の開口部を開閉自在に塞ぐ蓋部を有してなる。開口部は容器本体部の上部に開口し、又は容器本体部の側部に開口してもよい。
【0015】
また用具予備手段は、新たに用意する必要はなく、既に機体本体部に設けられているものを利用してもよい。具体的には、アンテナで受信した電波に含まれる指令信号に応じて農作業機の作動を制御する無線受信制御装置(実施の形態における電子基板40)が収容されたボックスを利用して一体化されたものでもよい(請求項5)。
【0016】
また用具予備手段は、関連用具を箱内に収容するものに限るものではなく、装着部又は機体本体部に直接的に着脱可能に装着するものでもよい。具体的には、関連用具がシャーボルトの場合、装着部又は機体本体部にシャーボルトを着脱可能に螺合する装着孔部でもよい(請求項6)。
【0017】
本発明の「関連用具」とは、農作業機に使用されるシャーボルト、スパナ等の簡易工具、ウェス、軍手、リモコン送信機用の交換電池、不使用時のリモコン送信機等をいう。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、農作業機の装着部又は機械本体部に農作業機の関連用具を備えておくための用具予備手段を設けることで、関連用具を農作業機に備えることができる。このため、関連用具を備えておくことが可能な農作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる農作業機(畦塗り機)に設けられた電気接続箱と一体化された用具箱の斜視図を示す。
【図2】この用具箱が設けられた畦塗り機の平面図を示す。
【図3】この用具箱が開口した状態の斜視図を示す。
【図4】本発明の他の実施の形態に係わる畦塗り機に設けられた用具箱の斜視図を示す。
【図5】この用具箱内に収容される関連用具の斜視図を示す。
【図6】本発明の他の実施の形態に係わる農作業機(耕耘作業機)の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係わる農作業機の最良の形態を図1から図6に基づいて説明する。なお、農作業機には各種のものがあるが、そのうちの畦塗り機及び耕耘機を例にして、以下、説明する。先ず、畦塗り機について説明する。
【0021】
畦塗り機1は、図2(平面図)に示すように、走行機体90の後部に設けられた三点リンク連結機構(図示せず)に連結されて、走行機体90の前進走行に応じて畦塗り作業を行なうものである。畦塗り機1は、走行機体90の後部に装着される装着部10と、装着部10に走行機体90の進行方向に対して左右方向に移動可能に設けられたオフセット機構部21を有する機体本体部20と、オフセット機構部21の移動端側(後端側)に水平方向に回動可能に配設された作業部30とを有してなる。
【0022】
装着部10は、その左右方向中央部に入力軸4を備え、左右方向に延びるヒッチフレーム11と、ヒッチフレーム11の前側に取り付けられて走行機体90の三点リンク連結機構に連結可能な連結フレーム13とを有してなる。ヒッチフレーム11の左右両端部には、左右方向に延びてスタンドが装着可能なスタンド取付部12が設けられている。
【0023】
ヒッチフレーム11の左側前部には、走行機体90に搭乗した作業者が操作する無線指令装置3(リモコン送信機)から送信される無線方式の指令信号を受信しこの指令信号に応じて畦塗り機1の作動を制御する電子基板40を収容する電気接続箱41が設けられている。電気接続箱41の詳細については後述する。
【0024】
オフセット機構部21は、前端側をヒッチフレーム11に回動自在に連結されて後方側へ延びるオフセットフレーム22と、オフセットフレーム22の右側に並設されて前端側がヒッチフレーム11の右側端部に回動自在に連結されたリンク部材23とを有してなる。リンク部材23の後端側は、オフセットフレーム22の後端部に回動自在に設けられた連結部材24に回動自在に設けられている。オフセット機構部21は、オフセットフレーム22、リンク部材23、ヒッチフレーム11及び連結部材24によって平行リンク機構を形成している。
【0025】
オフセットフレーム22は、この後端部とヒッチフレーム11の左側端部との間に枢結された旋回シリンダ26の伸縮動作により左右方向に揺動可能である。オフセットフレーム22内には動力伝達機構が設けられている。この動力伝達機構は、チェーン伝動機構であり、オフセットフレーム22の後端側に作業部30の回動支点Oと同軸上に回動自在に配設された従動軸28を備えて、走行機体90から入力軸4に伝達された動力を従動軸28に伝達可能に構成されている。
【0026】
従動軸28の下部には、これと同軸上に配置されて下方へ延びる主軸が連結されている。主軸は、従動軸28の回転動とともに回転して、作業部30への動力伝達が可能である。主軸の外側には主軸を覆う主軸ケースが配設され、この主軸ケースの上端部はオフセットフレーム22の後端下部に回動可能に連結され、主軸ケースの下端部には作業部30が固定された状態で取り付けられている。
【0027】
作業部30は、連結部材24と主軸ケースとの間に繋がれた伸縮シリンダ15の伸縮により回動支点Oに対して回動可能であるとともに、伸縮シリンダ15の伸縮規制によりオフセット機構21の揺動に対して作業部30の作業方向が走行機体90の進行方向と平行になるように保持される。
【0028】
作業部30は、圃場の周辺に沿って形成された旧畦の上部を切り崩す天場処理部31と、切り崩した土の土盛りを行なう前処理部33と、盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける整畦部35とを有してなる。
【0029】
天場処理部31は、天場動力伝達ケース32を介して前処理部33に支持されている。天場処理部31は複数の耕耘爪を備えた天馬処理ロータを備え、天場動力伝達ケース32内の動力伝達機構を介して前処理部33から動力を受けて回転可能である。
【0030】
前処理部33は、前処理ロータを備え、前処理動力伝達ケース34を介して主軸ケースに連結されて支持される。前処理動力伝達ケース34内には、主軸からの動力を受けて回転駆動する前処理側駆動軸を有した動力伝達機構が内蔵されている。前処理側駆動軸の先端部に前処理部33が接続されている。
【0031】
整畦部35は、左右方向に延びて回転動自在に支持された回転軸に取り付けられた多面体ドラム35bと、多面体ドラム35bの右側端部に取り付けられて横方向に延びる円筒部35aとを有してなる。整畦部35は整畦動力伝達ケース36を介して主軸ケースに連結されて支持される。整畦動力伝達ケース36内には図示しない整畦側動力伝達機構が内蔵され、この整畦側動力伝達機構は主軸に繋がって、主軸からの動力を整畦部35に伝達可能に構成されている。
【0032】
このように構成された畦塗り機1は、図1及び図3に示すように、電気接続箱41に収容された前述した電子基板40(図2参照)によって制御される。この電子基板40は、走行機体90に搭乗した作業者が操作する無線指令装置3(リモコン送信機、図2参照)から送信される無線方式の指令信号を受信しこの指令信号に応じて畦塗り機1の作動を制御する。
【0033】
電気接続箱41は、ヒッチフレーム11の左右方向一方側の前側端部に設けられた用具箱50に取り付けられている。電気接続箱41は、電子基板40の無線受信の感度を良くするために、走行機体90と畦塗り機1とを連結するリンク部材が近くにない位置に配置されている。図面では、電気接続箱41は、ヒッチフレーム11の左右方向一方側の前側端部に設けた場合を示している。なお、電気接続箱41はスタンド取付部12に設けられてもよい。電気接続箱41は、内部に収容凹部を有したボックス本体42と、ボックス本体42の底面に取り付けられた取付板43とを有してなる。
【0034】
ボックス本体42は、下側が開口したキャップ状をなし、外観形状は箱状に形成され、ボックス本体42の上部を形成する矩形状に形成された天板部42aと、天板部42aの周縁部から天板部42aに対して略直交する方向に延びる側板部42bとを有してなる。天板部42aと側板部42bによって囲まれた内側の空間部が電子基板40を収容する収容凹部となっている。
【0035】
取付板43は、ボックス本体42の下側の開口を覆うように矩形状をなし、その周縁部には、下方へ延びる矩形状の枠体部43aが設けられている。この枠体部43aは、用具箱50の上部に開口する開口部51の周縁の外側に沿って配置されて開口部51への水の進入を抑える。この取付板43上に電子基板40が収容されたボックス本体42がボルト44等の締結手段を介して固定されている。取付板43は、用具箱50の箱状本体部52の後側にヒンジ等を介して回動自在に取り付けられて用具箱50の開口部51を開閉自在である。取付板43が用具箱50の上部の開口部51を覆った状態になると、取付板43の前側は用具箱50の前端部から突出し、また取付板43の裏面に設けられたフック45が用具箱50の前面外側に配置される。
【0036】
用具箱50は、ヒッチフレーム11の左右方向一方側の前側部に設けられた箱状本体部52と、箱状本体部52の開口部51を開閉自在に設けられた取付板43とを有してなる。取付板43は、前述したように電気接続箱41の底板を構成するとともに、用具箱50の蓋部としても機能する。このため、電気接続箱41と用具箱50は取付板43を介して一体的に形成されている。
【0037】
箱状本体部52は、上部に矩形状の開口部51を有して有底容器状をなし、矩形状の底面部52aと底面部52aの外周に沿って設けられた側板部52bとを有してなる。底面部52aと側板部52bによって、内部に用具を収容可能な空間部53が形成されている。箱状本体部52の後側には、後方側へ突出する突出板部54が設けられ、この突出板部54に挿通されたボルト55がヒッチフレーム11に螺合して箱状本体部52の後側がヒッチフレーム11に固定されている。
【0038】
側板部52bのうち前側に配置された側板部52b'は、底面部52aを超えて更に下方へ延び、その先端部の一部は後方側へ屈曲してヒッチフレーム11の下部に固定され、また先端部の一部は後方斜め下方へ延びて入力軸4の側方に設けられた板部に固定されている。この側板部52b'の中央部にはフック56aとレバー56bからなるパッチン錠56が設けられている。
【0039】
このパッチン錠56は、取付板43の底面に取り付けられたフック45に係止されると、用具箱50の開口部51を閉じた状態で取付板43を箱状本体部52にロックすることができる。
【0040】
このように、ヒッチフレーム11に用具箱50を設けると、シャーボルト、スパナ等の簡易工具、ウェス、軍手、無線指令装置3(リモコン送信機)用の交換電池、不使用時の無線指令装置3(リモコン送信機)等の畦塗り機1に関連する用具を、用具箱50内に収容することができる。
【0041】
また用具箱50は、電気接続箱41の底板となる取付板43が用具箱の蓋部も兼ねている。このため、既存の部品を有効に利用することができ、用具箱50の部品点数を少なくして、製造コストの増大を抑制することができる。
【0042】
なお、用具箱は、電気接続箱41とは無関係に構成されたものでもよい。この用具箱60は、図4(斜視図)に示すように、ヒッチフレーム11の左右方向一方側の前側端部に設けられた箱状本体部61と、箱状本体部61の開口部61aを開閉自在にする蓋部63とを有してなる。
【0043】
箱状本体部61は直方体状に形成され、上部が開口した有底容器状に形成されている。箱状本体部61は、底板部61bと、底板部61bの周縁を囲むようにして設けられた側板部61cとを有してなる。側板部61cは、底板部61bの前部に配置された前側板61c1と、底板部61bの左右両側に配置された一対の横側板61c2と、底板部61bの後部に配置された後側板61c3とを有してなる。
【0044】
後側板61c3には、その中間部に所定距離を有して設けられた一対の孔部61dが設けられている(図5参照)。この孔部61dはボルト62を通すためのものであり、後側板61c3の内面に沿って配置される板部材65に挿通されたボルト62がヒッチフレーム11に螺合して、箱状本体部61をヒッチフレーム11に固定することができる。
【0045】
この箱状本体部61内には、図5に示すように、スパナ66、シャーボルト67、無線指令装置3(リモコン送信機)等の他に箱状本体部61内の空間を上下に仕切る仕切り台68が収容される。仕切り台68は、物を載せる板状の台部68aと、台部68aの両端部から下方へ延びる脚部68bとを有してなる。台部68aの中央部には、仕切り台68を容易に把持可能にするための孔部68a1が設けられている。
【0046】
このため、箱状本体部61の底部に無線指令装置3(リモコン送信機)を収容し、その上に仕切り台68を置き、仕切り台68上にスパナ66やシャーボルト67を載置することができる。また、箱状本体部61の底部にスパナ66やシャーボルト67を収容し、その上に仕切り台68を置き、仕切り台68上に無線指令装置3(リモコン送信機)を載置してもよい。
【0047】
蓋部63は、後側板61c3にヒンジ部64を介して回動自在に接続されて箱状本体部61の上部に開口する開口部61aを開閉する。蓋部63は、キャップ状をなし、その前側には、下方へ延びる係止板部63aが設けられている。この係止板部63aは、蓋部63が開口部61aを閉じた状態にすると、前側板61c1に突設された係止突起61eに係止される係合孔部63a1を有している。このため、蓋部63によって開口部61aが閉じられると、蓋部63を箱状本体部61にロックした状態にすることができる。
【0048】
なお、前述した実施の形態では、用具箱50,60を畦塗り機1に設けた場合を示したが、用具箱50,60を代掻き用の耕耘作業機70に設けてもよい。耕耘作業機70は、図6(平面図)に示すように、走行機体90の後部に装着されて走行機体90の前進走行とともに進行して耕耘作業を行うものである。耕耘作業機70は、進行方向に対して左右方向に延びる作業機本体71と、作業機本体71の左右両側に上下方向に折り畳み自在に取り付けられた延長作業機体80を有して構成される。
【0049】
耕耘作業機70の作業機本体71には左右方向に延びる機体本体部をなす本体フレーム72を備え、本体フレーム72の前側には走行機体90の後部に設けられた3点リンク連結機構に連結されるトップマスト73a及びロアーリンク連結部74bを有した装着部73が設けられて、耕耘作業機70は走行機体90の後部に対して昇降可能に装着される。
【0050】
本体フレーム72の左右方向の両側には伝動ケース及びサポートフレームが設けられ、これらの下側間に耕耘ロータが回転自在に支持されている。
【0051】
本体フレーム72の左右方向中央部には走行機体90からの動力を入力する入力軸75を備えたギヤボックス76が設けられ、走行機体90から取り出された動力はユニバーサルジョイント等を介して入力軸75に伝達される。入力軸75に伝達された動力は、本体フレーム72及び伝動ケース内に設けられた動力伝達機構を介して耕耘ロータ(作業部)を回転させる。
【0052】
耕耘ロータの上方にはシールドカバー77が配設され、シールドカバー77の後端部には前端部が回動自在に取り付けられて後側が斜め後方へ延びる本体側エプロン78が設けられている。本体側エプロン78の後端部には上下方向に回動自在に取り付けられた本体側レベラー79が設けられている。
【0053】
延長作業機体80は、作業機本体71との間に連結された回動機構74を介して、作業機本体71の上方位置に格納される格納位置と、作業機本体71の側方位置に配置されて作業が可能な作業位置Psとの間を回動可能である。
【0054】
延長作業機体80は、左右方向に延びて回転自在に支持された延長耕耘ロータ(作業部)と、延長耕耘ロータの上方を覆う延長側シールドカバー81と、この後部に回動自在に設けられた延長側エプロン82と、延長側エプロン82の後端部に上下方向に回動自在に取り付けられた第1延長レベラー83と、第1延長レベラー83の端部に上下方向に回動自在に取り付けられた第2延長レベラー84とを有してなる。
【0055】
延長耕耘ロータは、延長作業機体80が作業位置Psに移動すると、耕耘ロータの動力がクラッチを介して伝達可能に構成されている。
【0056】
また、延長作業機体80は、これを作業位置Psに移動させると、作業機本体71の本体側エプロン78の左右方向端部に延長作業機体80の延長側エプロン82が連結されるとともに、作業機本体71の本体側レベラー79の左右方向端部に延長作業機体80の第1延長レベラー83が連結されるようになっている。さらに、作業位置Psに移動した延長作業機体80を格納位置側に移動させると、これらの連結が解除されるようになっている。
【0057】
第1延長レベラー83の左右方向端部には、前後方向に延びる回動軸を中心として上下方向に回動自在に取り付けられた第2延長レベラー84が設けられている。
【0058】
このように構成された耕耘作業機70の作業機本体71の本体フレーム72の左右方向一方側の側部に前述した電気接続箱41とこれを支持する用具箱50が設けられている。電気接続箱41と用具箱50の構造や取り付け方法は、図1に示すものに準じるので、それらの説明は省略する。また電気接続箱41及び用具箱50は、図4及び図5に示す用具箱60に置き換えてもよい。この場合には、用具箱60は電気接続箱41を設けた用具箱50に比べてコンパクトな大きさであり、また無線に関係がないため、用具箱60はトップマスト73a周辺やギヤボックス76周辺の本体フレーム72に設けてもよい。
【0059】
このように、本体フレーム72等に用具箱50,60を設けると、図5に示すシャーボルト67、スパナ66等の簡易工具の他に、ウェス、軍手、無線指令装置3(リモコン送信機)用の交換電池等の、不使用時の耕耘作業機70に関連する用具を、用具箱50,60内に収容することもできる。
【0060】
なお、前述した実施例では、シャーボルト67を用具箱50,60内に収容する場合を示したが、シャーボルト67は螺合できる場所があれば用具箱50,60内に収容しなくても作業機に備えることが可能である。このため、耕耘作業機70の場合では、トップマスト73aや本体フレーム72に設けられた装着孔部(図示せず)に螺合させ、畦塗り機1の場合では、図2に示すヒッチフレーム11に設けられた装着孔部(図示せず)にシャーボルト67を螺合させて、備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 畦塗り機(農作業機)
10、73 装着部
20 機体本体部
21 オフセット機構部
30 作業部
40 電子基板(無線受信制御装置)
41 電気接続箱(制御ボックス)
50、60 用具箱(用具予備手段)
67 シャーボルト
70 耕耘作業機(農作業機)
72 本体フレーム(機体本体部、フレーム部)
73a トップマスト(マスト)
76 ギヤボックス(ギヤケース)
90 走行機体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に着脱可能に装着されて該走行機体の走行とともに進行して所定の作業を行うものであり、前記走行機体の後部に装着される装着部と、該装着部の進行方向後側に設けられた機体本体部と、該機体本体部に回転自在に支持されて所定の作業を行う作業部とを備える農作業機であって、
前記装着部又は前記機体本体部に、前記農作業機の関連用具を備えるための用具予備手段が設けられていることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記機体本体部は、前記装着部に一端部が回動自在に支持されて他端側が装着部幅方向に揺動可能なオフセット機構部を有し、該オフセット機構部の移動端側に前記作業部が回動自在に設けられ、
前記用具予備手段は、前記装着部の幅方向一側又は該装着部の進行方向前側部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
前記機体本体部は、装着部幅方向に延びて前記作業部を回転自在に支持するフレーム部を有し、
前記フレーム部には、進行方向前側へ突出する入力軸に伝達された動力を受けて回転するギヤを内蔵するギヤケースと、前記フレーム部から前方へ延びて前記走行機体に装着されるマストとが設けられ、
前記用具予備手段は、前記ギヤケース周辺のフレーム部又は前記マストに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項4】
前記用具予備手段は、前記関連用具を収容可能な用具箱であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の農作業機。
【請求項5】
前記用具予備手段は、アンテナで受信した電波に含まれる指令信号に応じて前記農作業機の作動を制御する無線受信制御装置が収容される制御ボックスと一体化されることを特徴とする請求項4に記載の農作業機。
【請求項6】
前記用具予備手段は、前記装着部又は前記機体本体部に設けられたシャーボルトを着脱可能に螺合する装着孔部であることを特徴とする請求項1に記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−120442(P2012−120442A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271089(P2010−271089)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】