説明

農園芸用殺菌粉剤組成物

【課題】活性成分である{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチルの保存安定性の高められた農園芸用殺菌粉剤組成物を提供する。
【解決手段】{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチル1.14質量部を粉砕して製造用濃粉を得、これを、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム0.5質量部、ノニオン系界面活性剤0.5質量部、および硫酸カルシウム2水和物などの無機担体97.86質量部からなる希釈用粉体に添加し十分混合して、農薬園芸用殺菌粉剤組成物を得た。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農園芸用殺菌粉剤組成物に関する。より詳細に、本発明は、活性成分である{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチルの保存安定性の高められた農園芸用殺菌粉剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチルは、特許文献7に開示されているように、卵菌類、接合菌類、子のう菌類、担子菌類及び不完全菌類による植物病害に対して高い有効性を発揮する化合物である。しかしながら、本化合物は粉剤にした後の長期間の保存で残存率が大幅に減少してしまうことがあった。
【0003】
粉剤における農薬活性成分の安定性を向上させるための手法の一例として、界面活性剤を添加する手法が知られている。
例えば、特許文献1には、ベンシクロンと、他の農薬活性成分と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機塩と、エポキシ化植物油、ポリエチレングリコールアルキルアリルエーテル、又はソルビタン高級脂肪酸エステルとを組み合わせて用いた粉剤が示されている。
特許文献2には、シラネオファンと、植物油又は非イオン型界面活性剤とからなる粉剤が示されている。
特許文献3には、ニテンピラムなどの水溶性農薬成分と、スルホコハク酸ジエステル塩とからなる粉剤が示されている。
特許文献4には、融点が70℃以下の農薬活性成分、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテルサルフェート塩もしくはフォスフェート塩又はポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート塩もしくはフォスフェート塩、及びカオリン鉱物又は硫酸カルシウムを含有する粉剤組成物が示されている。
【0004】
一方、粉剤を水中に散布したときの崩壊性や分散性を向上させることを目的として、特許文献5に、ダイムロン、クロルニトロフェン、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールエーテル、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウムを含む粉剤が提案されている。
逆に、活性成分の徐放性を高めることを目的として、特許文献6に、クロチアニジン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、炭酸カルシウム、含水アルミニウム珪酸塩、及びベントナイトを含む粉剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】昭63−275505号公報
【特許文献2】特開平1−301605号公報
【特許文献3】特開平7−291807号公報
【特許文献4】特開2005−112792号公報
【特許文献5】特開平5−310516号公報
【特許文献6】特開2008−88058号公報
【特許文献7】WO03/016303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜4に開示されている活性成分を安定化するための配合処方を{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチルに試みても保存安定性は向上しなかった。また、特許文献5や6に開示されている配合処方は、保存安定性の向上効果がないので、{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチルを含有する粉剤組成物の保存安定性の改善に期待が持てない。
そこで、本発明は、活性成分である{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチルの保存安定性の高められた農園芸用殺菌粉剤組成物を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、界面活性剤としてノニオン系界面活性剤とジアルキルスルホコハク酸塩とを併用し、さらに担体として特定の塩基性無機担体もしくは中性無機担体を用いることによって、活性成分である{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチルの保存安定性の高められた農園芸用殺菌粉剤組成物が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討し、完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を含むものである。
〔1〕 成分(A):{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチル、
成分(B):ノニオン系界面活性剤、
成分(C):ジアルキルスルホコハク酸塩、及び、
成分(D):硫酸カルシウムまたはその水和物、硫酸マグネシウムまたはその水和物、炭酸カルシウムまたはその水和物、炭酸マグネシウムまたはその水和物、及び中性無機担体からなる群から選ばれる少なくとも1種 を含有し、
成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)の合計量を基準にして、成分(A)の含有量が0.1〜10質量%、成分(B)の含有量が0.1〜10質量%、成分(C)の含有量が0.1〜10質量%である、農園芸用殺菌粉剤組成物。
〔2〕 成分(B)が、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記〔1〕に記載の農園芸用殺菌粉剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の農園芸用殺菌粉剤組成物は、長期間の保存後においても活性成分である{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチルの残存率が高く、保存安定性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の農園芸用殺菌粉剤組成物は、成分(A):{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチル、 成分(B):ノニオン系界面活性剤、 成分(C):ジアルキルスルホコハク酸塩、及び 成分(D):硫酸カルシウムまたはその水和物、硫酸マグネシウムまたはその水和物、炭酸カルシウムまたはその水和物、炭酸マグネシウムまたはその水和物、及び中性無機担体からなる群から選ばれる少なくとも1種 を含有するものである。
【0011】
成分(A)は、{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチルである。該化合物は、農薬活性成分として公知のものである。該化合物は特許文献7に記載されている製法等によって得ることができ、また市販品を用いることもできる。
【0012】
本発明の農園芸用殺菌粉剤組成物における成分(A)の含有量は、成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)の合計量を100質量%として、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%である。
【0013】
成分(B)は、ノニオン系界面活性剤である。好適なノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
これらは、1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンベンジルフェニルエーテル等を例示することができる。
【0015】
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンリノレン酸エステル、ポリオキシエチレンリノール酸エステル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、ポリオキシプロピレンオレイン酸エステル等を例示することができる。
【0016】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル等を例示することができる。
【0017】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート等を例示することができる。
【0018】
本発明の農園芸用殺菌粉剤組成物における成分(B)の含有量は、成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)の合計量を100質量%として、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%である。
【0019】
成分(C)は、ジアルキルスルホコハク酸塩である。ジアルキルスルホコハク酸塩としては、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジノニルスルホコハク酸カリウム等を例示することができる。これらは、1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
本発明の農園芸用殺菌粉剤組成物における成分(C)の含有量は、成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)の合計量を100質量%として、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%である。
成分(B)と成分(C)との質量比(B/C)は、好ましくは1/25〜25/1であり、より好ましくは1/5〜5/1である。
【0021】
成分(D)は、硫酸カルシウムまたはその水和物、硫酸マグネシウムまたはその水和物、炭酸カルシウムまたはその水和物、炭酸マグネシウムまたはその水和物、及び中性無機担体からなる群から選ばれる少なくとも1種である。水和物は、水和する水分子の数によって特に制限されない。中性無機担体としては、クレー、シリカ、シルト、珪藻土、ベントナイトなどが挙げられる。これらは、1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
本発明の農園芸用殺菌粉剤組成物は、上記の成分(A)〜(D)以外に他の成分が含まれていてもよい。
例えば、成分(A)以外の農薬活性成分;成分(B)および成分(C)以外の界面活性剤;大豆粉、小麦粉等の植物性粉末;安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等を含んでいてもよい。
【0023】
成分(A)以外の農薬活性成分は特に限定されない。例えば、下記に示すような、殺菌剤、除草剤、殺虫・殺ダニ剤、植物生長調節剤等として公知の活性成分を含有させることができる。
【0024】
殺菌剤:
キャプタン、フォルペット、チウラム、ジラム、ジネブ、マンネブ、マンコゼブ、プロピネブ、ポリカーバメート、クロロタロニル、キントゼン、キャプタホル、イプロジオン、プロシミドン、フルオロイミド、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、オキシカルボキシン、ホセチルアルミニウム、プロパモカーブ、トリアジメホン、トリアジメノール、プロピコナゾール、ジクロブトラゾール、ビテルタノール、ヘキサコナゾール、マイクロブタニル、フルシラゾール、エタコナゾール、フルオトリマゾール、フルトリアフェン、ペンコナゾール、ジニコナゾール、シプロコナゾール、フェナリモール、トリフルミゾール、プロクロラズ、イマザリル、ペフラゾエート、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、トリホリン、ブチオベート、ピリフェノックス、アニラジン、ポリオキシン、メタラキシル、オキサジキシル、フララキシル、イソプロチオラン、プロベナゾール、ピロールニトリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、バリダマイシン、硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ベノミル、カルベンダジム、チオファネートメチル、ヒメキサゾール、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、フェンチンアセテート、水酸化トリフェニル錫、ジエトフェンカルブ、キノメチオナート、ビナパクリル、レシチン、重曹、ジチアノン、ジノカップ、フェナミノスルフ、ジクロメジン、グアザチン、ドジン、IBP、エディフェンホス、メパニピリム、フェルムゾン、トリクラミド、メタスルホカルブ、フルアジナム、エトキノラック、ジメトモルフ、ピロキロン、テクロフタラム、フサライド、フェナジンオキシド、チアベンダゾール、トリシクラゾール、ビンクロゾリン、シモキサニル、シクロブタニル、グアザチン、プロパモカルブ塩酸塩、オキソリニック酸、シフルフェナミド、イミノクタジン、クレソキシムメチル、トリアジン、フェンヘキサミド、シアゾファミド、シプロジニル、プロチオコナゾール、フェンブコナゾール、トリフロキシストロビン、アゾキシストロビン、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、テブコナゾール、ジフェノコナゾール、カルプロパミド等。
【0025】
除草剤:
2,4−D、MCPA、クロメプロップ、ジカンバ、クロロトルロン、ジウロン、リニュロン、イソウロン、フェニュロン、ネブロン、シマジン、アトラジン、シメトリン、プロメトリン、ヘキサジノン、プロパジン、デスメトリン、テルブメトン、プロパニル、ブロモキシニル、アイオキシニル、ピリデート、クロリダゾン、ベンタゾン、クロメトキシフェン、ビフェノックス、アシフルオルフェンナトリウム塩、フルミオキサジン、チジアジミン、オキサジアゾン、スルフェントラゾン、ペントキサゾン、ピラクロニル、ピラゾリネート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ、メソトリオン、イソキサフルトール、イソキサクロロトール、アミトロール、アクロニフェン、ジフルフェニカン、ベンゾビシクロン、ジクロホップメチル、フルアジホップブチル、アロキシジムナトリウム塩、クレソジム、セトキシジム、トラルコキシジム、テプラロキシジム、ベンスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチル、リムスルフロン、イマゾスルフロン、プロスルフロン、フルメツラム、ジクロスラム、メトスルファム、イマザピル、イマザキン、ピリチオバックナトリウム塩、ビスピリバックナトリウム塩、ピリミノバックメチル、フルカーバゾン、プロポキシカルバゾン、グリホサート、グリホサートアンモニウム塩、グルホシネート、トリフルラリン、ペンディメタリン、ベンフルラリン、プロジアミン、プロファム、ジチオピル、アラクロール、メトラクロール、ペトキサマイド、アセトクロール、プロパクロール、ジメテナミド、ジフェナミド、ナプロパミド、メフェナセット、フェントラザミド、モリネート、ジメピペレート、シクロエート、エスプロカルブ、チオベンカルブ、チオカルバジル、ベンスリド、ダラポン、アシュラム、DNOC、ジノゼブ、フルポキサム、トリアジフラム、キンクロラック、シンメチリン、ダゾメット、ダイムロン、エトベンザニド、オキサジクロメホン、ピリブチカルブ等。
【0026】
殺虫・殺ダニ剤:
有機燐及びカーバメート系殺虫剤:
フェンチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、フェントエート、ジメトエート、ホルモチオン、マラソン、トリクロルホン、チオメトン、ホスメット、ジクロルボス、アセフェート、EPBP、メチルパラチオン、オキシジメトンメチル、エチオン、サリチオン、シアノホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、ホサロン、メチダチオン、スルプロホス、クロルフェンビンホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチルチオメトン、プロフェノホス、ピラクロホス、モノクロトホス、アジンホスメチル、アルディカルブ、メソミル、チオジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、プロポキスル、BPMC、MTMC、MIPC、カルバリル、ピリミカーブ、エチオフェンカルブ、フェノキシカルブ、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ等。
【0027】
ピレスロイド系殺虫剤:
ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメスリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、ピレトリン、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、ジメスリン、プロパスリン、フェノトリン、プロトリン、フルバリネート、シフルトリン、シハロトリン、フルシトリネート、エトフェンプロックス、シクロプロトリン、トラロメトリン、シラフルオフェン、アクリナトリン等。
【0028】
ベンゾイルウレア系その他の殺虫剤:
ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、メトプレン、ベンゾエピン、ジアフェンチウロン、イミダクロプリド、フィプロニル、硫酸ニコチン、ロテノン、メタアルデヒド、アセタミプリド、クロルフェナピル、ニテンピラム、チアクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフラン、インドキサカルブ、ピメトロジン、スピノサド、エマメクチン、ピリダリル、テブフェノジド、クロマフェノジド、メトキシフェノジド、トルフェンピラド等。
【0029】
殺線虫剤:
フェナミホス、ホスチアゼート、カズサホス等。
【0030】
殺ダニ剤:
クロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル、フルアクリピリム、アセキノシル、ビフェナゼート、エトキサゾール、スピロディクロフェン、フェナザキン等。
【0031】
植物生長調節剤:
ジベレリン類(例えばジベレリンA3、ジベレリンA4、ジベレリンA7)IAA、NAA等。
【0032】
本発明の農園芸用殺菌粉剤組成物の調製方法は特に限定されず、例えば、成分(A)の原体を粉砕して製造用濃粉を得、これを、成分(B)、成分(C)、成分(D)およびその他の成分と十分に混ぜ合わせることによって得ることができる。各成分の混合順序は特に限定されない。また、混合後に造粒を行ってもよい。粉砕や混合等においては、粉剤製造において使用される公知の手段が採用できる。
【実施例】
【0033】
次に、実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0034】
以下の実施例では、活性成分として、{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチルを用いた。
【0035】
実施例1
活性成分1.14質量部を粉砕して製造用濃粉を得た。これを、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム0.5質量部、POE(14)スチリルフェニルエーテル0.5質量部、MNDLクレー(トドロキ産業製)10質量部、および硫酸カルシウム2水和物87.86質量部からなる希釈用粉体に添加し十分混合して、農園芸用殺菌粉剤組成物を得た。
【0036】
実施例2〜7
表1に示した配合処方に変更した以外は実施例1と同じ手法で農園芸用殺菌粉剤組成物を得た。
【0037】
比較例1〜7
表2に示した配合処方に変更した以外は実施例1と同じ手法で農園芸用殺菌粉剤組成物を得た。
【0038】
上記の農園芸用殺菌粉剤組成物の安定性を以下の試験例によって確かめた。
【0039】
試験例1
農園芸用殺菌粉剤組成物を54℃の雰囲気に2週間保管したものについて、活性成分の含有量を測定した。配合時の活性成分の含有量に対する割合を残存率Aとした。結果を表1および表2に示す。
【0040】
試験例2
農園芸用殺菌粉剤組成物を40℃の雰囲気に1ヶ月保管し、その後60℃の雰囲気に2週間保管したものについて、活性成分の含有量を測定した。配合時の活性成分の含有量に対する割合を残存率Bとした。結果を表1および表2に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
表1に示すように、界面活性剤としてノニオン系界面活性剤とジアルキルスルホコハク酸塩とを併用し、さらに担体として特定の塩基性無機担体もしくは中性無機担体を用いることによって、活性成分である{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチルの保存安定性の高められた農園芸用殺菌粉剤組成物が得られることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):{6−{[(Z)−(1−メチル−1H−5−テトラゾリル)フェニルメチレン]アミノオキシメチル}−2−ピリジル}カルバミン酸tert−ブチル、
成分(B):ノニオン系界面活性剤、
成分(C):ジアルキルスルホコハク酸塩、及び
成分(D):硫酸カルシウムまたはその水和物、硫酸マグネシウムまたはその水和物、炭酸カルシウムまたはその水和物、炭酸マグネシウムまたはその水和物、及び中性無機担体からなる群から選ばれる少なくとも1種 を含有し、
成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)の合計量を基準にして、成分(A)の含有量が0.1〜10質量%、成分(B)の含有量が0.1〜10質量%、及び成分(C)の含有量が0.1〜10質量%である、農園芸用殺菌粉剤組成物。
【請求項2】
成分(B)が、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の農園芸用殺菌粉剤組成物。

【公開番号】特開2011−132135(P2011−132135A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290583(P2009−290583)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】