説明

農業用温室

【課題】太陽光発電のための太陽光パネルを備えた農業用温室であって、温室内部に十分な日射量を与えることのできる農業用温室を提供することを目的とする。
【解決手段】間口方向Xと奥行方向Yに向けてそれぞれ立設される複数本の支柱11(11a,11b)と、側面Sから外方に向けて張り出すと共に、前記奥行方向Yに向けて並設される複数本の張出パイプ19,19・・とを備え、前記張出パイプ19,19・・は、太陽光パネルPを一面に設置する開閉自在の開閉窓30を備えるよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電のための太陽光パネルを備えた農業用温室に関する。
【背景技術】
【0002】
2010年5月に衆院環境委員会は、2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減する目標を明記した地球温暖化対策基本法を可決した。さらに、この法律によると太陽光発電など再生可能エネルギーの供給量を全供給量の10%まで引き上げることとなっている。そして、そのための基本施策の一つとして再生可能エネルギーを電力会社が一定価格で買い取る全量固定価格買取制度の創出が掲げられている。したがって、再生可能エネルギーのうち、最もCO2排出量の少ない太陽光発電の拡充は、政策的にも急務となっている。
【0003】
一方で、一般に農業用温室は、比較的設置面積が広く、また日照条件の良い場所に設置されており、このような点から考えて、太陽光パネルを設置する箇所としては、好適である。このような太陽光パネルを備える農業用温室としては、従来、例えば実用新案登録第3152366号(特許文献1)に記載の農業用温室が提案されている。
【0004】
前記農業用温室は、側壁と、側壁の上部に設けられる片流れの勾配屋根とを有して構成され、その側壁及び勾配屋根を構成する骨組み(例えば支柱)及びパネルは、繊維強化プラスチック(FRP)で構成されており、前記勾配屋根には太陽光パネルが敷設して構成されており、発電した電気はもっぱら自己使用に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3152366号 第1頁 図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記農業用温室においては、前記太陽光パネルが太陽光を遮り、温室内部に十分な日射量を与えることができない。一般に農業用温室においては、栽培作物の光合成のために太陽光の導入は非常に重要な要素であり、温室内部に部分的でも影ができると栽培作物の育成状態に差異ができる等、日射量の確保は最重要課題の一である。したがって、前記農業用温室のように、勾配屋根に太陽光パネルを設置することは、栽培作物との関係で日射量の確保の点からみて事実上不可能な場合が多く、実現性に欠ける。
【0007】
一方で、従来の農業用温室の中には、温室の側面において、側面よりもさらに外方に張り出した張出部を有するものがある。前記張出部は、温室の側面において、奥行き方向において、複数本、軒下から、側面支柱よりも外方に向かい、略円弧状に張出パイプを張り出して、複数の前記張出パイプにシートを被せて、温室側面と前記張出パイプとの間に形成している。前記張出部は、例えば、前記農業用温室の側面に保温・遮光用のカーテン資材を設置する際に、温室の側面の外方に設置でき、温室の側面の内方に設置するよりも、温室内部の空間を効率的に使用することができる。また、同様に、温室に温風暖房器を備える場合に、送風用ダクトを前記張出部に配置することにより、温室内部の空間を効率的に使用することができる。さらに、温室の側面に当たる風避けとしての機能をも果たす。したがって、前記張出部は、風力等の外力に対するバッファゾーンとしての機能および必要に応じて温室の付帯施設の設置場所としての機能および栽培作物の栽培地としての活用も可能としている。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、太陽光発電のための太陽光パネルを備えた農業用温室であって、温室内部に十分な日射量を与えることのできる農業用温室を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明の他の目的は、季節変化又は一日の時間変化による太陽高度の変化にも拘わらず、効率の良い集電が可能な農業用温室を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の農業用温室は、間口方向と奥行方向に向けてそれぞれ立設される複数本の支柱と、側面から外方に向けて張り出すと共に、前記奥行方向に向けて並設される複数本の張出パイプとを備え、前記張出パイプは、太陽光パネルを一面に設置する開閉自在の開閉窓を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の農業用温室にあっては、側面から外方に向けて張り出した張出パイプに備えた開閉窓に太陽光パネルを設置しているので、太陽光パネルによって農業用温室の内部に差し込む陰影による栽培作物に与える影響がほとんど無い程度のものとなり、日射量を必要とする農業用温室においても、太陽光パネルを設置することができる。
【0012】
請求項2に記載の農業用温室は、間口方向と奥行方向に向けてそれぞれ立設される複数本の支柱と、妻面から外方に向けて張り出すと共に、前記間口方向に向けて並設される複数本の張出パイプとを備え、前記張出パイプは、太陽光パネルを一面に設置する開閉自在の開閉窓を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の農業用温室にあっては、妻面から外方に向けて張り出した張出パイプに備えた開閉窓に太陽光パネルを設置しているので、太陽光パネルによって農業用温室の内部に差し込む陰影による栽培作物に与える影響がほとんど無い程度のものとなり、日射量を必要とする農業用温室においても、太陽光パネルを設置することができる。
【0014】
請求項3に記載の農業用温室は、請求項1又は2に記載の農業用温室において、前記太陽光パネルが太陽光を受けた場合において、前記農業用温室内部に差す陰影長さが、前記農業用温室の設置場所における冬至の南中時において、2メートル以内である太陽光パネルの高さ範囲となるべく、前記太陽光パネルを前記開閉窓部に設置することを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の農業用温室にあっては、請求項1又は2に記載の農業用温室に加えて、太陽光パネルによる前記農業用温室内部に差す陰影長さが、前記農業用温室の設置場所における冬至の南中時において、2メートル以内であるので、さらに農業用温室の内部に差し込む陰影による栽培作物に与える影響が無い程度のものとなり、日射量を必要とする農業用温室においても、太陽光パネルを設置することができる。
【0016】
請求項4に記載の農業用温室は、請求項1乃至3の何れかに記載の農業用温室において、前記張出パイプは、前記側面に並設された支柱の上部から、外方に向けて湾曲状又は略く字状に屈曲して張り出されると共に、下端部を地中に埋設して固定されてなることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の農業用温室にあっては、請求項1乃至3の何れかに記載の農業用温室に加えて、農業用温室の側面又は妻面から外方に張り出した張出パイプに太陽光パネルを設置しているので、太陽光パネルによって温室内部に差し込む陰影が張出部分に集まり、太陽光パネルによって農業用温室の内部に差し込む陰影による栽培作物に与える影響がほとんど無い程度のものとなり、日射量を必要とする農業用温室においても、太陽光パネルを設置することができる。
【0018】
請求項5に記載の農業用温室は、請求項1乃至4の何れかに記載の農業用温室において、前記開閉窓は、開閉窓の下端部に連結されるラックと、該ラックに噛合して往復動させるピニオンと、このピニオンを回動自由に支持する支持部及び前記ラックの往復動を案内する案内部を持った支持体とを備え、所望の開度にて固定できる開閉装置を有することを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の農業用温室にあっては、請求項1乃至4の何れかに記載の農業用温室に加えて、効率良く太陽光を集光することができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の農業用温室によれば、間口方向と奥行方向に向けてそれぞれ立設される複数本の支柱と、側面から外方に向けて張り出すと共に、前記奥行方向に向けて並設される複数本の張出パイプとを備え、前記張出パイプは、太陽光パネルを一面に設置する開閉自在の開閉窓を備えているので、太陽光パネルによって農業用温室の内部に差し込む陰影による栽培作物に与える影響がほとんど無い程度のものとなり、日射量を必要とする農業用温室においても、太陽光パネルを設置することができる。
【0021】
請求項2に記載の農業用温室によれば、間口方向と奥行方向に向けてそれぞれ立設される複数本の支柱と、妻面から外方に向けて張り出すと共に、前記間口方向に向けて並設される複数本の張出パイプとを備え、前記張出パイプは、太陽光パネルを一面に設置する開閉自在の開閉窓を備えているので、太陽光パネルによって農業用温室の内部に差し込む陰影による栽培作物に与える影響がほとんど無い程度のものとなり、日射量を必要とする農業用温室においても、太陽光パネルを設置することができる。
【0022】
請求項3に記載の農業用温室によれば、請求項1又は2に記載の農業用温室において、前記太陽光パネルが太陽光を受けた場合において、前記農業用温室内部に差す陰影長さが、前記農業用温室の設置場所における冬至の南中時において、2メートル以内である太陽光パネルの高さ範囲となるべく、前記太陽光パネルを前記開閉窓部に設置しているので、さらに農業用温室の内部に差し込む陰影による栽培作物に与える影響が無いものとなり、日射量を必要とする農業用温室においても、太陽光パネルを設置することができる。
【0023】
請求項4に記載の農業用温室によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の農業用温室において、前記張出パイプは、前記側面に並設された支柱の上部から、外方に向けて湾曲状又は略く字状に屈曲して張り出されると共に、下端部を地中に埋設して固定しているので、太陽光パネルによって温室内部に差し込む陰影が張出部分に集まり、太陽光パネルによって農業用温室の内部に差し込む陰影による栽培作物に与える影響がほとんど無い程度のものとなり、日射量を必要とする農業用温室においても、太陽光パネルを設置することができる。
【0024】
請求項5に記載の農業用温室によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の農業用温室において、前記開閉窓は、開閉窓の下端部に連結されるラックと、該ラックに噛合して往復動させるピニオンと、このピニオンを回動自由に支持する支持部及び前記ラックの往復動を案内する案内部を持った支持体とを備え、所望の開度にて固定できる開閉装置を有しているので、請求項1乃至4の何れかに記載の農業用温室に加えて、効率良く太陽光を集光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる農業用温室の要部斜視図である。
【図2】農業用温室の要部拡大横断面図である。
【図3】農業用温室の要部拡大横断面図である。
【図4】開閉窓の上部拡大側面図である。
【図5】開閉窓の下部拡大側面図である。
【図6】開閉装置等の要部拡大側面図である。
【図7】図6を裏面側からみた要部拡大側面図である。
【図8】本発明による農業用温室を使用した太陽光発電のシステムの概略図である。
【図9】他の張出パイプを設置した農業用温室の要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【0027】
図1は本発明にかかる農業用温室の要部斜視図であり、図2及び図3は農業用温室の要部拡大横断面図である。
【0028】
図1乃至図3において、10は間口方向Xに連設している連棟型の農業用温室であり、11は支柱である。該支柱11は、間口方向Xと奥行方向Yに夫々複数本が立設されており、妻面Tの妻面支柱11aと側面Sの側面間柱11bと谷柱(図示せず)とがある。前記側面間柱11bの上部には間口方向Xに向けてトラス梁12を架設すると共に、これと直交する奥行方向において長尺のアーチ受材13を架設している。該アーチ受材13には奥行方向Yに向けて円弧状のアーチパイプ14が多数並設されており、該アーチパイプ14は、天頂部において、略く字状に屈曲した円筒形状のアーチパイプ接続具15により、突合状態で、逆斜面のアーチパイプ14と連結されている。前記アーチパイプ14の下面には、前記アーチパイプ14と直交して長尺状のもや材16が配設されており、該もや材16は結束部材(図示せず)により前記アーチパイプ14の下面に固定されている。前記もや材16の上方には、天窓支持材17が前記もや材16と平行して架設され、前記アーチパイプ14に螺着されている。
【0029】
前記一方のアーチパイプ14には、開閉自在の天窓20が設けられている。前記天窓20は、長尺状の天窓上枠材20aと天窓下枠材20bとの間に、複数個の縦桟を架設して構成されており、前記天窓上枠材20aの端部にはヒンジ部(図示せず)が形成されており、前記アーチパイプ接続具15の上部において回動自在に抱持されている。一方、前記天窓下枠材20bの端部には、防虫網受部20cが形成されており、前記天窓20の開口部を囲繞するように防虫網21がが張設されている。
【0030】
前記天窓20は、前記トラス梁12の上部に設けられた、電動モータ(図示せず)、ピニオン(図示せず)およびラック(図示せず)を備える開閉装置22により、開閉自在に構成されており、前記トラス梁12上を前記ラックが間口方向に水平移動することにより、前記ラックと噛合しかつ上方に向けて回動自在に取り付けた駆動アーム23を、揺動させながら上下動させて、これにより、該駆動アーム23の先端に取り付けた前記天窓20の他側縁を上下動させて前記天窓20の開放および閉鎖を行っている。なお、図1乃至図3は、前記天窓20を開放した状態の概略図であり、図2および図3において、破線部は前記天窓を閉鎖した状態を示している。
【0031】
図1乃至図3中、19は張出パイプであり、前記側面支柱11bの上端に架設された前記アーチ受材13の上部に固定されている樋材18の下方から外方に向けて湾曲状に張り出して、その下端部を地中GLに埋設して固定されている。そして、前記張出パイプ19の高さ方向における中心より少し下側(詳細な設置箇所は後述する。)には、奥行方向Yに向けて長尺状の開閉窓支持材19a(図2乃至図4)が架設されている。
【0032】
前記複数の張出パイプ19,19・・の下方には、横長の開閉窓30が設けられている。前記開閉窓30は、長尺状の開閉窓上枠材31と長尺状の開閉窓下枠材32との間に、複数個の縦桟33を架設して構成されており、前記開閉窓上枠材31の端部にはヒンジ部34が形成されている。そして、前記開閉窓30の表面には、板状の太陽光パネルPが嵌め込まれているのである。
【0033】
前記張出パイプ19は、上端部を略軒高(前記支柱11の高さ)の位置に固定すると共に、下端を前記農業用温室の側面Sから1m乃至2m程度外方に固定しており、したがって前記側面と前記張出パイプ19下端との距離Aはおおよそ1m乃至2mである。一方、前記開閉窓30は、前記張出パイプの略下半分の位置に設けられており、図2及び図3に示すように、季節変化又は一日の時刻変化によってできる太陽光パネルの陰影長が、前記距離A内に収まるように、また、温室内部への前記陰影の進入(距離C)が少なくとも、側面から2m程度に収まるように、配置しているのである。これは、温室内部に2m程度陰影が差し込む場合は、栽培作物に与える影響がほとんど無くてすむからである。この場合の前記距離Aおよび前記距離Cの決定は、前記農業用温室10の設置されている場所の緯度によって相違するので、前記設置場所における冬至の場合に、前記太陽光パネルの影が差す範囲で、前記距離Aおよび前記距離C並びに前記開閉窓の高さ位置を決定すると良い。
【0034】
図4は、前記開閉窓の上部拡大側面図であり、図5は前記開閉窓の下部拡大側面図である。
【0035】
前記開閉窓30は、図4に示すように、前記張出パイプ19に前記開閉窓支持材19aがボルトBとナットNにより固定されており、前記開閉窓支持材19aの上部片側にはヒンジ受部19bを形成して、前記開閉窓上枠材31のヒンジ部34を回動自在に抱持している。
【0036】
図6は開閉装置等の要部拡大側面図であり、図7は図6を裏面側からみた要部拡大側面図である。
【0037】
図6及び図7において、40は前記開閉窓30の開閉装置であり、該開閉装置40は前記張出パイプ19に固定された電動モータMによって、減速機48を介して駆動されている。
【0038】
前記開閉装置40は、前記開閉窓30の前記下枠材32に連結されるラック41と、該ラック41に噛合して往復動させるピニオン42と、このピニオン42を回動自由に支持する支持部(図示せず)及び前記ラック41の往復動を案内する案内部43を持った支持体44とを備えている。
【0039】
そして、前記電動モータMにより、前記電動モータMのピニオンギヤMaと歯合するタイミングベルト47を介して、前記減速機48の第1ギヤ48aと第2ギヤ48bを減速駆動し、回動軸Jを回動させて、前記ラック41を往復動させることにより、前記開閉窓30を開閉するようにしている。
【0040】
より具体的には、前記開閉装置40は、前記回転軸Jに対して回動不能に固定された多数の歯部42aが設けられたピニオン42と、このピニオン42の歯部42aに噛合する多数の歯溝41aをもち、該ピニオン42の回転により往復動される横方向に延びるラック41と、前記ピニオン42を回転自由に支持する支持部(図示せず)及び前記ラック41の往復動を案内する案内部43を持った支持体44とを備えている。
【0041】
そして、前記電動モータMを正逆回転させ、これに伴い前記ピニオン42を正逆回転させて、該ピニオン42の歯部42aに噛合する前記ラック41を横方向に揺動させながら往復動させることにより、前記ラック41を介して前記開閉窓の開閉を行うのである。
【0042】
前記支持体44は、所定間隔を置いて互いに対向される概略A字状の2枚の板部材の頂部において連結ピン47を一体状に連結することにより、前記各板部材の間に前記ピニオン42の歯部42aを介装可能な隙間を確保すると共に、前記ピニオン42の支持部として、前記各板部材の中心部に前記ピニオン42を回動自在に外嵌する筒体を遊挿可能とした挿通孔を設けているのである。
【0043】
そして、前記支持体44の両足部に、前記ラック41の案内部43を形成して、前記ラック41の上下方向の移動を規制し、前記ラック41を横方向に揺動させながら往復動させるようになしているのである。
【0044】
前記開閉装置40は以上の構成からなるので、前記電動モータMの回動を制御することにより、前記開閉窓30を適宜、所望の開閉角度にて、固定維持することができるのである。
【0045】
なお、前記実施の形態においては、前記張出パイプ19および前記開閉窓30は、前記農業用温室10の側面Sに設けたが、妻面Tに設けても良い。
【0046】
図8は本発明による農業用温室を使用した太陽光発電のシステムの概略図である。
【0047】
図8において、50は管理装置であり、前記管理装置50は、直流/交流のコンバータ51および配電盤52を備え、従来の送電システムに連係する連係装置53とから成っている。
【0048】
そして、前記太陽光パネルPで集光した太陽エネルギーを電気エネルギーに変換して、前記管理装置50を介して従来の送電システムを経て、電力会社に電力を供給するのである。
【0049】
以上のように構成された前記農業用温室10においては、太陽光の日射量が必要とされる農業用温室10において、前記張出パイプ19を設置することにより生じる張出スペース(距離A)を有効スペース(太陽光パネルPの設置により陰影を落とすスペース)として活用することにより、二律背反することなく太陽光を集光することができ、また集光した太陽光を電気エネルギーに変換して、電力会社に売電を行うことにより、前記農業用温室10の設置コストおよび維持コストが下がる。
【0050】
なお、前記農業用温室10は、以上の構成からなるので、前記張出パイプ19および太陽光パネルPを備える前記開閉窓30は、後付けすることができ、既存の農業用温室にも適用でき、既に設置されている農業用温室においても、二律背反することなく太陽光を集光することができ、国の施策とも合致することとなる。
【0051】
図9は他の張出パイプを設置した農業用温室の要部拡大側面図である。
【0052】
前記実施の形態においては、前記張出パイプ19は、全体が湾曲形状であったが、全体として屈曲部を有する略く字の張出パイプでも良い。要するに、側面Sの一定高さから、所定距離Aだけ外方に張り出せれば、その形状は問わないのである。
【符号の説明】
【0053】
10 農業用温室
11 支柱
11a 妻面支柱
11b 側面間柱
12 トラス梁
13 アーチ受材
14 アーチパイプ
15 アーチパイプ接続具
16 もや材
17 天窓支持材
18 樋材
19 張出パイプ
19a 開閉窓支持材

20 天窓
20a 天窓上枠材
20b 天窓下枠材
21 防虫網
22 (天窓)開閉装置
23 駆動アーム

30 開閉窓
31 開閉窓上枠材
32 開閉窓下枠材
33 縦桟
34 ヒンジ部

40 (開閉窓)開閉装置
41 ラック
41a 歯溝
42 ピニオン
42a 歯部
43 案内部
44 支持体
45 大径ギヤ
46 チェン
47 連結ピン
48 減速機
48a 第1ギヤ
48b 第2ギヤ

50 管理装置
51 直流/交流のコンバータ
52 配電盤

X 間口方向
Y 奥行方向
T 妻面
S 側面
P 太陽光パネル
A 側面と張出パイプ下端との距離
C 温室内部への前記陰影の進入距離
B ボルト
N ナット
M 電動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間口方向と奥行方向に向けてそれぞれ立設される複数本の支柱と、
側面から外方に向けて張り出すと共に、前記奥行方向に向けて並設される複数本の張出パイプとを備え、
前記張出パイプは、太陽光パネルを一面に設置する開閉自在の開閉窓を備えることを特徴とする農業用温室。
【請求項2】
間口方向と奥行方向に向けてそれぞれ立設される複数本の支柱と、
妻面から外方に向けて張り出すと共に、前記間口方向に向けて並設される複数本の張出パイプとを備え、
前記張出パイプは、太陽光パネルを一面に設置する開閉自在の開閉窓を備えることを特徴とする農業用温室。
【請求項3】
前記太陽光パネルが太陽光を受けた場合において、前記農業用温室内部に差す陰影長さが、前記農業用温室の設置場所における冬至の南中時において、2メートル以内である太陽光パネルの高さ範囲となるべく、前記太陽光パネルを前記開閉窓部に設置することを特徴とする請求項1又は2に記載の農業用温室。
【請求項4】
前記張出パイプは、前記側面に並設された支柱の上部から、外方に向けて湾曲状又は略く字状に屈曲して張り出されると共に、下端部を地中に埋設して固定されてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の農業用温室。
【請求項5】
前記開閉窓は、開閉窓の下端部に連結されるラックと、該ラックに噛合して往復動させるピニオンと、このピニオンを回動自由に支持する支持部及び前記ラックの往復動を案内する案内部を持った支持体とを備え、所望の開度にて固定できるる開閉装置を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の農業用温室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−23982(P2012−23982A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163425(P2010−163425)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(305024008)サンキンB&G株式会社 (13)
【Fターム(参考)】