説明

農用作業機

【課題】従来の、弾性を有するスポンジ部材を円筒状の車輪本体の外周に被嵌して成る車輪を備えた農用作業機では、前記車輪本体へのスポンジ部材の装着に際し、スポンジ部材の装着強度が不十分でスリップしたり、接着して装着すると古い接着部材の除去に手間暇がかかり、スポンジ部材を外周に設けたゴムを車輪本体に装着しようとすると大きな力が必要となる、という問題があった。
【解決手段】後輪本体23の外周に直接被嵌したスポンジ部材16の接合端部16a・16aの間を、線ファスナー19により引張状態で連結する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性を有するスポンジ部材を円筒状の車輪本体の外周に被嵌して成る車輪を備えた農用作業機に関し、特に、車輪本体へのスポンジ部材の装着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、播種機、施肥機、農薬散布機などの農用作業機には、駆動輪、鎮圧輪、接地輪など、種々の車輪が装備されている。そして、該車輪については、内部に細かな孔が無数に開いた多孔質のゴムなどから成る軟質弾性部材(以下、「スポンジ部材」とする)を車輪本体の外周に被嵌することにより、車輪の接地面の表面抵抗を増加させて車輪のスリップを防止したり、車輪に付着した土砂をスポンジ部材の弾性復元力により落下除去して車輪の接地性・圃場表面の均平性を確保する第1の技術(例えば、特許文献1参照)が公知となっている。
【0003】
更に、スポンジ部材を車輪本体の外周に接着剤などによって接着することにより、スポンジ部材の装着強度を高める第2の技術(例えば、特許文献2参照)や、スポンジ部材を車輪本体の外周に着脱可能に装着することにより、スポンジ部材の交換を容易にしてメンテナンス性を向上させる第3の技術(例えば、特許文献3参照)も公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4−42161号公報
【特許文献2】特開平7−236374号公報
【特許文献3】特開2005−318870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記第1の技術では、スポンジ部材は、車輪本体の両側縁に設けた一対のラグによって挟持されており、圃場の石や凹凸などから受ける走行抵抗が大きい場合には、スポンジ部材が車輪本体の外周上をスリップする。このため、該車輪本体と前記スポンジ部材との間に回転差が生じてスポンジ部材が局部変形し、弾性復元力が均一に作用しなくなって、付着した土砂が落下除去されず、車輪の接地性・圃場表面の均平性の確保が難しい。
【0006】
前記第2の技術では、通常、スポンジ部材は、接着剤や両面テープなどの接着部材を介して、車輪本体に強固に接着されているため、スポンジ部材交換の際は、交換後の接着強度が低下しないように、古い接着部材を完全に剥ぎ取ってから塗布や貼付をし直す必要がある。このため、スポンジ部材の交換作業に手間暇がかかり、作業効率が著しく悪化する。特に、車輪幅が広いと、スポンジ部材に皺を生じさせることなく車輪本体に均一に接着するのが難しく、更に手間暇がかかる。
【0007】
前記第3の技術では、ゴムなどから成る弾性力の大きな弾性板の外周にスポンジ部材を接着して弾性筒体を構成し、該弾性筒体を車輪本体に引張状態で被嵌させることにより、スポンジ部材を、車輪本体に、着脱可能かつスリップすることなく強固に装着する構成が考えられている。しかしながら、車輪幅が広い場合には、この弾性筒体を弾性力に抗して変形させて着脱するには大きな力が必要となる。このため、スポンジ部材の交換作業に手間暇がかかって作業効率が著しく悪化する。特に、装着時の局部変形が大きいと、スポンジ部材が弾性板の変形に追従できずに破損する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、弾性を有するスポンジ部材を円筒状の車輪本体の外周に被嵌して成る車輪を備えた農用作業機において、前記車輪本体の外周に直接被嵌したスポンジ部材の接合端部の間を、線ファスナーにより引張状態で連結するものである。
請求項2においては、前記車輪本体とスポンジ部材との間に、滑り止め構造を部分的に設けるものである。
請求項3においては、前記滑り止め構造は、前記車輪本体の外周に面ファスナーの一方の片側構成体を設け、該片側構成体の係合部を前記スポンジ部材の内周に対向させて構成するものである。
請求項4においては、前記滑り止め構造は、前記スポンジ部材の内周に面ファスナーの一方の片側構成体を設け、該片側構成体の係合部を前記車輪本体の外周に対向させて構成するものである。
請求項5においては、前記一方の片側構成体に係合可能な他方の片側構成体を備える予備滑り止めを設け、該予備滑り止めを前記一方の片側構成体に着脱可能に装着するものである。
請求項6においては、前記滑り止め構造は、面ファスナーの一方の片側構成体を前記車輪本体の外周に設けると共に、面ファスナーの他方の片側構成体を前記スポンジ部材の内周に設け、各片側構成体の係合部を互いに対向させて構成するものである。
請求項7においては、前記線ファスナーは、互いに噛合する二列のエレメントと、該エレメント間を開閉するスライダと、該スライダを備えるエレメントを間に固設する一対のテープとから構成し、該テープの両外縁を前記スポンジ部材の接合端部の両内周面に固設すると共に、前記接合端部の間の隙間空間の開口側を、外側から埋込部材またはシール部材により閉塞するものである。
請求項8においては、前記線ファスナーは、互いに噛合する二列のエレメントと、該エレメント間を開閉するスライダと、該スライダを備えるエレメントを間に固設する一対のテープとから構成し、該テープの両外縁を前記スポンジ部材の接合端部の両内周面に固設した線ファスナーを表裏反転したものである。
請求項9においては、前記線ファスナーを構成するスライダに、牽引用ワイヤの一端を係脱可能に取り付けるものである。
請求項10においては、前記スポンジ部材において、一方の接合端部に係合部材、他方の接合端部に被係合部材を設け、前記線ファスナーを構成するスライダを牽引する間、前記係合部材と被係合部材とを係合させておくものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1により、摩擦抵抗の大きなスポンジ部材を車輪本体に引張状態で直接接触させることができ、この摩擦抵抗によってスポンジ部材が車輪本体に強固に装着され、更に、線ファスナーの開閉操作だけでスポンジ部材の着脱が可能となる。これにより、接着部材の剥ぎ取りや塗布・貼付のし直しが不要となり、しかも、スポンジ部材を僅かに延伸変形させるだけの小さな力で該スポンジ部材の着脱が行えるため、交換作業の作業効率が大きく向上する。加えて、接着部材の剥ぎ取りや弾性筒体装着時の局部変形によるスポンジ部材の破損も防止することができる。
請求項2により、スポンジ部材が、経時劣化による弾性力低下や農作業・交換作業による破損などによって緩んだ場合であっても、スポンジ部材が車輪本体の外周上をスリップするのを抑制することができ、車輪の接地性・圃場表面の均平性を更に確実に確保できる。
請求項3により、汎用の面ファスナーの係合部を利用して滑り止め構造を設けることができ、特殊な滑り止め部材が不要となって部品コストが低減できると共に、在庫管理が容易となって管理コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項4により、汎用の面ファスナーの係合部を利用して滑り止め構造を設けることができ、特殊な滑り止め部材が不要となって部品コストが低減できると共に、在庫管理が容易となって管理コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。更に、面ファスナーをスポンジ部材側に設けるので、着脱可能な単一の交換ユニットとして面ファスナーとスポンジ部材とを取り扱うことができ、滑り止め構造を設けたせいで交換作業の作業効率が大きく低下することはない。
請求項5により、係合部の経時劣化や作業による擦過などにより面ファスナーの滑り止め効果が局部的に低下する場合や、面ファスナーだけでは十分な滑り止め効果が得られない場合でも、予備滑り止めを前記面ファスナー上に適正配置することにより、滑り止め効果を改善することができる。
請求項6により、汎用の面ファスナーの係合部を利用して滑り止め構造を設けることができ、特殊な滑り止め部材が不要となって部品コストが低減できると共に、在庫管理が容易となって管理コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。特に、面ファスナーの係合部間の強い係合力によって、車輪本体とスポンジ部材との間を連結し、スリップを強力に抑制することができ、車輪の接地性・圃場表面の均平性を更に確実に確保できる。
請求項7により、スポンジ部材の接合端部間の隙間空間の開口側が外部に露出しないようにすることにより、該隙間空間による凹部が圃場の表面に転写されて該表面に凸部が形成されるのを防止することができ、圃場表面の均平性が向上する。
請求項8により、スポンジ部材を表裏反転するだけの簡単な構成で、スポンジ部材の接合端部間の隙間空間の開口側が外部に露出しないようにして、該隙間空間による凹部が圃場の表面に転写されて該表面に凸部が形成されるのを防止することができる。これにより、部品コストの増加やメンテナンス性の悪化を招くことなく、圃場表面の均平性が向上する。
請求項9により、前記牽引用ワイヤに大きな把持部を設け、該把持部を持って牽引することにより、線ファスナーの開方向または閉方向に向かって、前記スライダを大きな力で牽引することができ、交換作業の作業効率が向上する。更に、交換作業が完了した後は牽引用ワイヤを取り外しておくことができ、該牽引用ワイヤによって圃場表面が荒れるのを防止できる。
請求項10により、前記線ファスナーのスライダを開方向または閉方向に向かって牽引する際に、前記係合部材と被係合部材によってスポンジ部材の接合端部の間を部分仮止めしておくことができ、前記スライダの牽引力が小さくて済み、交換作業の作業効率が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に関わる播種機の全体構成を示す側面図である。
【図2】連動装置の側面図である。
【図3】後輪におけるスポンジ部材の装着構造を示す説明図であって、図3(a)は後輪の斜視図、図3(b)は図3(a)のA−A矢視断面図である。
【図4】線ファスナーの構造を示す平面図であって、図4(a)は線ファスナー終端近傍の平面図、図4(b)は線ファスナー始端近傍の平面図である。
【図5】テープ間を完全に分離した状態にある線ファスナー始端近傍の平面図である。
【図6】接合端部が近接している場合の線ファスナー近傍の側面断面図である。
【図7】引き手部の着脱構造を示す線ファスナー終端近傍の平面図である。
【図8】滑り止め構造を示す斜視図であって、図8(a)は滑り止め構造34Aを示す後輪本体の斜視図、図8(b)は滑り止め構造34Bを示す後輪本体の斜視図である。
【図9】滑り止め構造を示す斜視図であって、図9(a)は滑り止め構造34Cを示す後輪本体の斜視図、図9(b)は滑り止め構造34Dを示す後輪本体の斜視図、図9(c)は予備滑り止めの斜視図である。
【図10】滑り止め構造を示す斜視図であって、図10(a)は滑り止め構造34Eを示すスポンジ部材の斜視図、図10(b)は滑り止め構造34Fを示すスポンジ部材の斜視図である。
【図11】滑り止め構造34Gを示す後輪の拡大側面図である。
【図12】閉塞構造を示す線ファスナー近傍の側面断面図であって、図12(a)は閉塞構造43Aを示す線ファスナー近傍の側面断面図、図12(b)は閉塞構造43Bを示す線ファスナー近傍の側面断面図、図12(c)は閉塞構造43Cを示す線ファスナー近傍の側面断面図である。
【図13】装着補助構造を示す後輪の斜視図であって、図13(a)は装着補助構造46Aを示す後輪の斜視図、図13(b)は装着補助構造46Bを示す後輪の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、図1の矢印Fで示す方向を農用作業機である播種機1の前進方向とし、以下で述べる各部材の位置や方向などはこの前進方向を基準とするものである。
【0012】
まず、本発明に関わる歩行型の農用作業機である播種機1の全体構成について、図1、図2により説明する。
該播種機1には、水平方向に配置される本体フレーム2と、該本体フレーム2の前後方向途中部に設けた取付ステー3から後斜め上方に延設される正面視門型のハンドルアーム4と、前記取付ステー3よりも前方の本体フレーム2に横設された支持バー5a・5bと、該支持バー5a・5bにより左右摺動可能に前部が支持される複数の播種装置6と、前記本体フレーム2の前端部に回転自在に支持される前輪7と、前記本体フレーム2の後端部に回転自在に支持される後輪8と、前記前輪7の回転により前記播種装置6を駆動させる連動装置9とが備えられている。
【0013】
このうちの播種装置6は、種子が充填されるホッパー6aと、該ホッパー6aの下方で外周面に複数の孔が設けられる繰出ロール6bとが設けられ、該繰出ロール6bを回転駆動する駆動軸12が、前記連動装置9に内挿されている。
【0014】
前記連動装置9は、前輪7の回転軸10に固設されるスプロケット11と、前記繰出ロール6bの駆動軸12に固設されるスプロケット13と、該スプロケット13と前記スプロケット11との間に巻回されるチェーン14と、これらのスプロケット11・スプロケット13・チェーン14を収容して前記本体フレーム2の右前部の側面に固設される伝達ケース15とにより構成される。これにより、前輪7が回転すると、回転軸10の回転動力が、スプロケット11、チェーン14、スプロケット13を介して駆動軸12に伝達され、前記繰出ロール6bが回転駆動されて、ホッパー6a内の種子が圃場18上に自動的に落下する。
【0015】
この種子の落下を行う間隔は、前記スプロケット11・13のギア比を変更したり、繰出ロール6bの孔数を変更することにより、自在に調節することができる。そして、前記後輪8では、本発明に関わるスポンジ部材16が、後輪本体23の外周に、次で説明する装着構造により強固に装着されている。
【0016】
なお、本実施例では、繰出ロール6bを用いた播種装置6の例を示したが、回転する目皿を用いて播種を行ってもよく、播種の形式は特に限定されるものではない。更に、走行の駆動についても、本実施例のような人力による以外に、モータ駆動やトラクタ牽引で行ってもよく、特には限定されない。
【0017】
次に、このスポンジ部材16の後輪本体23への装着構造について、図1、図3乃至図7により説明する。
図1、図3に示すように、前記スポンジ部材16を装着する円筒状の後輪本体23には、回転軸17が固設され、該回転軸17は、前記本体フレーム2の後端部に軸受け32を介して支持されることで、前述のように、後輪8が本体フレーム2の後端部に回転自在に支持されている。これにより、作業者が前記ハンドルアーム4を押動して本体フレーム2を前方に移動させると、スポンジ部材16を外周に装着した後輪8が、前記前輪7と一緒に回転しながら圃場18の表面を鎮圧し均平化していく。
【0018】
該スポンジ部材16は、平板状に形成し、前記後輪本体23の外周に沿って円筒状に湾曲させて使用する。そして、湾曲させて互いに当接可能なスポンジ部材16の端部(以下、「接合端部」とする)16a・16aの間は、線ファスナー19によって開閉自在に連結される。
【0019】
該線ファスナー19とは、図3、図4に示すように、互いに噛み合う金属や樹脂などでできた複数の小片から成る左右のエレメント20と、該エレメント20を縁部に対向して取り付けた一対のテープ21・21と、前記左右のエレメント20を噛合・解除して左右のテープ21・21間を開閉するスライダ22とを備えるものである。
【0020】
このうちのスライダ22は、前記左右のエレメント20を入れ込んで噛合・解除する機能を有する胴体28と、該胴体28の上部に立設する環状の柱29と、該柱29に係合する引き手部30とから構成され、該引き手部30を指先で摘んで牽引することにより、スライダ22が、スポンジ部材16の接合端部16a・16a間の隙間空間42を、エレメント20に沿って摺動できるようにしている。
【0021】
更に、前記テープ21・21で引き手部30を設けた側の面が、軸心方向に長い一対の当て布片31・31を介して、前記接合端部16a・16aの内周面に押し当てられており、外側から順に、スポンジ部材16、当て布片31・31、テープ21・21を積層した状態で半径方向に糸を貫通させることにより、縫い止めが行われている。これにより、線ファスナー19が、スポンジ部材16の接合端部16a・16aに強固に固着されている。
【0022】
また、前記引き手部30を指先で摘み、スライダ22をエレメント20に沿って始端から終端まで摺動させ、左右のテープ21・21間を閉じた後は、引き手部30を、エレメント20側に倒し、前記隙間空間42やその下方空間に収容するようにしている。例えば、図4(a)に示すように、接合端部16a・16aの一部からエレメント20に向かって、一対の突出部16c・16cを対向するように形成し、該突出部16c・16cを外側に押し開きながら、前記引き手部30をエレメント20との間に潜り込ませ、これにより、引き手部30を突出部16c・16cとエレメント20との間に収容する。
【0023】
あるいは、図6に示すように、前記接合端部16a・16aを、軸心方向の全長にわたって近接配置し、該接合端部16a・16aを外側に押し開きながら、引き手部30を接合端部16a・16aとエレメント20との間に収容するようにしてもよい。この場合は、隙間空間42が非常に小さいため、後で述べるような隙間空間42の閉塞構造43A・43B・43Cは省略することができる。
【0024】
このように、前記隙間空間42やその下方空間を利用することにより、引き手部30の収容空間を別途に設けることなく、引き手部30がスポンジ部材16の外周から外方に突出して圃場表面を荒らすのを防止することができ、部品コストの増加やメンテナンス性の悪化を招くことなく、圃場表面の均平性が向上する。
【0025】
また、圃場の石や凹凸などにより後輪8の振動が激しいために、前記引き手部30が動いて前記隙間空間42から外に突出する可能性がある場合には、引き手部30を胴体28から着脱可能な構成としておき、後輪本体23にスポンジ部材16装着後は、柱29から引き手部30を取り外すようにしてもよい。例えば、図7に示すように、環状の柱29の一部に、前記引き手部30の枢支部30bが通過可能な幅のスリット29aを設けておき、スライダ22で左右のテープ21・21間を閉じた後は、引き手部30だけを前記スリット29aから取り外すことができる。
【0026】
また、前記線ファスナー19としては、図5に示すように、スライダ22を摺動してエレメント20の始端まで戻すと、左右のエレメント20間の噛合が全て解除されて左右のテープ21・21間が完全に分離される、いわゆる開製品を使用するのが好ましい。該開製品によると、スポンジ部材16を後輪本体23から完全に脱着することができ、スポンジ部材16の交換作業を容易にすることができる。
【0027】
該開製品では、前記スライダ22の止具として、蝶棒24と、箱25に直結する箱棒26との組み合わせが用いられており、前記スライダ22を箱25に当接するまで矢印27で示す開方向に摺動させた後、該箱25から蝶棒24を引く抜くことにより、左右のテープ21・21間を完全に分離することができる。
【0028】
ただし、車輪幅が狭い場合など、スポンジ部材16の着脱が比較的容易な場合は、左右のテープ21・21間が完全には分離されずに、エレメント20の終端に設けた図示せぬ止具によって終端が連結された状態にある、いわゆる止製品を線ファスナー19に使用するようにしてもよい。
【0029】
以上のような構成において、弾性を有するスポンジ部材16を後輪本体23に巻き付け、前記接合端部16a・16aを互いに接近する方向に引き寄せながら、エレメント20の始端において、前記蝶棒24をスライダ22の胴体28を介して箱25に差し込む。
【0030】
その後、引き手部30を持ってスライダ22を矢印33で示す閉方向に牽引すると、スポンジ部材16の弾性力に抗しながら、左右のエレメント20がスライダ22の胴体28に入り込んで互いに噛合し、該噛合は前記エレメント20の終端まで連続して行われる。この際、スライダ22の牽引は、軟質のスポンジ部材16を僅かに延伸変形させるだけの小さな力で行うことができる。
【0031】
これにより、円筒状のスポンジ部材16が、円筒状の後輪本体23の外周に、スポンジ部材16自身の弾性力によって引張状態で被嵌されることとなる。また、逆の手順により、スポンジ部材16を、後輪本体23から取り外すことができる。
【0032】
すなわち、弾性を有するスポンジ部材16を円筒状の車輪本体である後輪本体23の外周に被嵌して成る車輪である後輪8を備えた農用作業機である播種機1において、前記後輪本体23の外周に直接被嵌したスポンジ部材16の接合端部16a・16aの間を、線ファスナー19により引張状態で連結するので、摩擦抵抗の大きなスポンジ部材16を後輪本体23に引張状態で直接接触させることができ、この摩擦抵抗によってスポンジ部材16が後輪本体23に強固に装着され、更に、線ファスナー19の開閉操作だけでスポンジ部材16の着脱が可能となる。これにより、接着部材の剥ぎ取りや塗布・貼付のし直しが不要となり、しかも、スポンジ部材16を僅かに延伸変形させるだけの小さな力で該スポンジ部材16の着脱が行えるため、交換作業の作業効率が大きく向上する。加えて、接着部材の剥ぎ取りや弾性筒体装着時の局部変形によるスポンジ部材16の破損も防止することができる。
【0033】
次に、スポンジ部材16と後輪本体23との間の滑り止め構造について、図8乃至図11により説明する。
前述の如く、摩擦抵抗の大きなスポンジ部材16が、後輪本体23に引張状態で直接接触させており、スポンジ部材16の持つ弾性力とその表面摩擦抵抗とによって、後輪本体23とスポンジ部材16との間のスリップが防止されている。しかしながら、該スポンジ部材16が、経時劣化によって弾性力が低下したり、農作業・交換作業によって破損した場合には、スポンジ部材16が緩み、前記後輪本体23とスポンジ部材16との間に隙間が発生する。そこで、後輪本体23とスポンジ部材16との間に、以下のような、面ファスナー35を利用した滑り止め構造を介設するのが好ましい。
【0034】
ここで、面ファスナー35とは、図11に示しように、フック状の係合部36を片面に形成したフック付きテープ38と、パイル状の係合部37を片面に形成したパイル付きテープ39とから成り、両係合部36・37の噛合・解除により両テープ38・39を着脱可能とする汎用品であり、一般にマジックテープ(登録商標)と称される。
【0035】
図8(a)に示す滑り止め構造34Aにおいては、前記後輪本体23の外周23aで円周方向全周に、前記係合部36が外側を向くようにして、リング状のフック付きテープ38Aが貼付固定される。そして、該フック付きテープ38Aは、軸心方向に複数、本実施例では2本並設されている。これにより、前記スポンジ部材16が後輪本体23に装着されると、後輪本体23の外周23aに設けられた係合部36が、スポンジ部材16の内周に押圧され抵抗体として機能する。
【0036】
図8(b)に示す滑り止め構造34Bにおいては、前記後輪本体23の外周23aで軸心方向に、前記係合部36が外側を向くようにして、帯状のフック付きテープ38Bが貼付固定される。そして、該フック付きテープ38Bは、円周方向に複数、本実施例では4本並設されている。これにより、前記スポンジ部材16が後輪本体23に装着されると、後輪本体23の外周23aに設けられた係合部36が、スポンジ部材16の内周に押圧され抵抗体として機能する。
【0037】
すなわち、前記車輪本体である後輪本体23とスポンジ部材16との間に、滑り止め構造34A・34Bを部分的に設けるので、スポンジ部材16が、経時劣化による弾性力低下や農作業・交換作業による破損などによって緩んだ場合であっても、スポンジ部材16が後輪本体23の外周上をスリップするのを抑制することができ、車輪である後輪8の接地性・圃場表面の均平性を更に確実に確保できる。
【0038】
更に、滑り止め構造は、前記後輪本体23の外周に面ファスナー35の一方の片側構成体であるフック付きテープ38A・38Bを設け、該フック付きテープ38A・38Bの係合部36を前記スポンジ部材16の内周に対向させて構成するので、汎用の面ファスナー35の係合部36を利用して滑り止め構造を設けることができ、特殊な滑り止め部材が不要となって部品コストが低減できると共に、在庫管理が容易となって管理コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0039】
また、図9(a)に示す滑り止め構造34Cは、前記滑り止め構造34Aに予備滑り止め40を設けたものであり、図9(b)に示す滑り止め構造34Dは、前記滑り止め構造34Bに予備滑り止め40を設けたものである。
【0040】
ここで、予備滑り止め40とは、図9(c)に示すように、フック状の係合部36を片面に形成した小片のフック付きテープ38Cと、パイル状の係合部37を片面に形成した小片のパイル付きテープ39Cとを、前記係合部36・37を形成していない面同士を貼り合わせたものであり、前記パイル状の係合部37側を、前記滑り止め構造34A・34Bのフック付きテープ38A・38Bに押し当てるようにしている。
【0041】
これにより、予備滑り止め40を、前記後輪本体23の外周に設けたフック付きテープ38A・38Bの任意の位置に自在に噛合して固定できる。そして、前記スポンジ部材16が後輪本体23に装着されると、フック付きテープ38A・38Bの係合部36に加え、予備滑り止め40の係合部36も、スポンジ部材16の内周に押圧され抵抗体として機能する。
【0042】
すなわち、前記一方の片側構成体であるフック付きテープ38A・38Bに係合可能な他方の片側構成体であるパイル付きテープ39Cを備える予備滑り止め40を設け、該予備滑り止め40を前記フック付きテープ38A・38Bに着脱可能に装着するので、係合部の経時劣化や作業による擦過などにより面ファスナー35の滑り止め効果が局部的に低下する場合や、面ファスナー35だけでは十分な滑り止め効果が得られない場合でも、予備滑り止め40を前記面ファスナー上に適正配置することにより、滑り止め効果を改善することができる。
【0043】
また、図10(a)に示す滑り止め構造34Eにおいては、前記スポンジ部材16の内周16bで円周方向全周に、前記係合部36が内側を向くようにして、リング状のフック付きテープ38Aが貼付固定される。そして、該フック付きテープ38Aは、軸心方向に複数、本実施例では2本並設されている。これにより、スポンジ部材16が後輪本体23に装着されると、スポンジ部材16の内周16bに設けられた係合部36が、後輪本体23の外周23aに押圧され抵抗体として機能する。
【0044】
図10(b)に示す滑り止め構造34Fにおいては、前記スポンジ部材16の内周16bで軸心方向に、前記係合部36が内側を向くようにして、帯状のフック付きテープ38Bが貼付固定される。そして、該フック付きテープ38Bは、円周方向に複数、本実施例では4本並設されている。これにより、スポンジ部材16が後輪本体23に装着されると、スポンジ部材16の内周16bに設けられた係合部36が、後輪本体23の外周23aに押圧され抵抗体として機能する。
【0045】
すなわち、滑り止め構造は、前記スポンジ部材16の内周に面ファスナー35の一方の片側構成体であるフック付きテープ38A・38Bを設け、該フック付きテープ38A・38Bの係合部36を前記後輪本体23の外周23aに対向させて構成するので、汎用の面ファスナー35の係合部36を利用して滑り止め構造を設けることができ、特殊な滑り止め部材が不要となって部品コストが低減できると共に、在庫管理が容易となって管理コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。更に、面ファスナー35をスポンジ部材16側に設けるので、着脱可能な単一の交換ユニットとして面ファスナー35とスポンジ部材16とを取り扱うことができ、滑り止め構造を設けたせいで交換作業の作業効率が大きく低下することはない。
【0046】
また、図11に示す滑り止め構造34Gにおいては、前記後輪本体23の外周23aに、係合部36が外側を向くようにして、フック付きテープ38が貼付固定される一方、前記スポンジ部材16の内周16bに、前記係合部37が内側を向くようにして、パイル付きテープ39が貼付固定されている。これにより、スポンジ部材16が後輪本体23に装着されると、前記係合部36と係合部37が強く噛合して連結される。
【0047】
すなわち、滑り止め構造は、面ファスナー35の一方の片側構成体であるフック付きテープ38を前記車輪本体である後輪本体23の外周23aに設けると共に、面ファスナー35の他方の片側構成体であるパイル付きテープ39を前記スポンジ部材16の内周に設け、各テープ38・39の係合部36・37を互いに対向させて構成するので、汎用の面ファスナー35の係合部36・37を利用して滑り止め構造を設けることができ、特殊な滑り止め部材が不要となって部品コストが低減できると共に、在庫管理が容易となって管理コストの低減やメンテナンス性の向上を図ることができる。特に、面ファスナー35の係合部36・37間の強い係合力によって、後輪本体23とスポンジ部材16との間を連結し、スリップを強力に抑制することができ、車輪の接地性・圃場表面の均平性を更に確実に確保できる。
【0048】
次に、前記隙間空間42の閉塞構造について、図3、図12により説明する。
前述の如く、図3に示すように、スポンジ部材16の接合端部16a・16a間には、スライダ22を配置して摺動させるための隙間空間42が設けられている。しかしながら、該隙間空間42が大きいと、その開口側が後輪8の表面で溝状の凹部となって圃場18の表面に転写され、圃場18に凸部が形成される。そこで、隙間空間42の開口側を後輪8の表面に露出させない、以下のような閉塞構造を設けるのが好ましい。
【0049】
図12(a)に示す閉塞構造43Aは、図3(b)に示す線ファスナー19で、接合端部16a・16a間の隙間空間42の開口側に、スポンジ部材16と略同等の軟質弾性部材から成る長尺の角材状の埋込部材44を外側から嵌入し、該埋込部材44を接着剤などで接合端部16a・16aに接合させたものである。図12(b)に示す閉塞構造43Bは、図3(b)に示す線ファスナー19で、接合端部16a・16aの外側面間に、長尺の薄板状のシール部材45を橋設し、該シール部材45を接着剤などで接合端部16a・16aに接合させたものである。これにより、隙間空間42の開口側を、前記埋込部材44またはシール部材45によって閉塞することができる。
【0050】
すなわち、前記線ファスナー19は、互いに噛合する二列のエレメント20と、該エレメント20間を開閉するスライダ22と、該スライダ22を備えるエレメント20を間に固設する一対のテープ21・21とから構成し、該テープ21・21の両外縁を前記スポンジ部材16の接合端部16a・16aの両内周面に固設すると共に、前記接合端部16a・16aの間の隙間空間42の開口側を、外側から埋込部材44またはシール部材45により閉塞するので、スポンジ部材16の接合端部16a・16a間の隙間空間42の開口側が外部に露出しないようにすることにより、該隙間空間42による凹部が圃場18の表面に転写されて該表面に凸部が形成されるのを防止することができ、圃場表面の均平性が向上する。ただし、前記閉塞構造43Bについては、シール部材45が圃場18からの圧力で変形して隙間空間42内に押し込まれる場合があるので、図12(b)に示す本実施例のように、隙間空間42はできるだけ小さくするのが好ましい。
【0051】
また、図12(c)に示す閉塞構造43Cは、図3(b)に示す線ファスナー19を有するスポンジ部材16を表裏反転させたものである。これにより、前記線ファスナー19の隙間空間42の開口側を内側に向けることができ、隙間空間42が後輪8の表面に露出することはない。
【0052】
すなわち、前記線ファスナー19Aは、互いに噛合する二列のエレメント20と、該エレメント20間を開閉するスライダ22と、該スライダ22を備えるエレメント20を間に固設する一対のテープ21・21とから構成し、該テープ21・21の両外縁を前記スポンジ部材16の接合端部16a・16aの両内周面に固設した線ファスナー19を表裏反転したものであるので、該スポンジ部材16を表裏反転するだけの簡単な構成で、スポンジ部材16の接合端部16a・16a間の隙間空間42の開口側が外部に露出しないようにして、該隙間空間42による凹部が圃場18に転写されて該表面に凸部が形成されるのを防止することができる。これにより、部品コストの増加やメンテナンス性の悪化を招くことなく、圃場表面の均平性が向上する。
【0053】
次に、スポンジ部材16装着時の補助構造について、図3、図13により説明する。
スポンジ部材16の装着時は、前述の如く、スライダ22の牽引は、軟質のスポンジ部材16を僅かに延伸変形させるだけの小さな力で行うことができるため、通常は、スライダ22の引き手部30を指先で摘んで、開方向または閉方向に向かって牽引する。しかしながら、線ファスナー19のエレメント20や、該エレメント20を噛合・解除するスライダ22が、圃場18の成分によって腐食したり、農作業・交換作業によって変形した場合には、スライダ22の摺動抵抗が増加して、大きな牽引力が必要となってくる。そこで、以下のような装着補助構造を設けるのが好ましい。
【0054】
図13(a)に示す装着補助構造46Aは、図3(b)に示す線ファスナー19の引き手部30の係合孔30aに、牽引用ワイヤ47の一端に形成した鉤部47aを、着脱可能に係止したものである。これにより、牽引用ワイヤ47の他端に前記引き手部30よりも大きな把手部47bを設けた上で、該把手部47bを把持して矢印33の方向に牽引することができ、指先だけでなく手全体を使って引き手部30が牽引される。更に、線ファスナー19を閉じてスポンジ部材16を後輪本体23に装着した後は、牽引用ワイヤ47を引き手部30の係合孔30aから取り外し、牽引用ワイヤ47がスポンジ部材16の外周から外方に突出しないようにしている。
【0055】
すなわち、前記線ファスナー19を構成するスライダ22に、牽引用ワイヤ47の一端である鉤部47aを係脱可能に取り付けるので、前記牽引用ワイヤ47に大きな把持部47bを設け、該把持部47bを持って牽引することにより、線ファスナー19の開方向または閉方向に向かって、前記スライダ22を大きな力で牽引することができ、交換作業の作業効率が向上する。更に、交換作業が完了した後は牽引用ワイヤ47を取り外しておくことができ、該牽引用ワイヤ47によって圃場表面が荒れるのを防止できる。
【0056】
また、図13(b)に示す装着補助構造46Bは、スポンジ部材16で一方の接合端部16aにフック48、他方の接合端部16aにフック受け49を設けたものである。これにより、前記スライダ22の引き手部30を摘んで矢印33の方向に牽引する際、接合端部16a・16a間を近接配置することができ、胴体28への左右のエレメント20の入れ込みが円滑に行われる。
【0057】
すなわち、前記スポンジ部材16において、一方の接合端部16aに係合部材であるフック48、他方の接合端部16aに被係合部材であるフック受け49を設け、前記線ファスナー19を構成するスライダ22を牽引する間、前記フック48とフック受け49とを係合させておくので、前記線ファスナー19のスライダ22を開方向または閉方向に向かって牽引する際に、前記フック48とフック受け49によってスポンジ部材16の接合端部16a・16aの間を部分仮止めしておくことができ、前記スライダ22の牽引力が小さくて済み、交換作業の作業効率が更に向上する。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、弾性を有するスポンジ部材を円筒状の車輪本体の外周に被嵌して成る車輪を備えた、全ての農用作業機に適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 播種機(農用作業機)
8 後輪(車輪)
16 スポンジ部材
16a 接合端部
19・19A 線ファスナー
20 エレメント
21 テープ
22 スライダ
23 後輪本体(車輪本体)
23a 外周
34A・34B・34C・34D・34E・34F・34G 滑り止め構造
35 面ファスナー
36・37 係合部
38・38A・38B・38C フック付きテープ(一方の片側構成体)
39・39C パイル付きテープ(他方の片側構成体)
40 予備滑り止め
42 隙間空間
44 埋込部材
45 シール部材
47 牽引用ワイヤ
47a 鉤部(一端)
48 フック(係合部材)
49 フック受け(被係合部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有するスポンジ部材を円筒状の車輪本体の外周に被嵌して成る車輪を備えた農用作業機において、前記車輪本体の外周に直接被嵌したスポンジ部材の接合端部の間を、線ファスナーにより引張状態で連結することを特徴とする農用作業機。
【請求項2】
前記車輪本体とスポンジ部材との間に、滑り止め構造を部分的に設けることを特徴とする請求項1に記載の農用作業機。
【請求項3】
前記滑り止め構造は、前記車輪本体の外周に面ファスナーの一方の片側構成体を設け、該片側構成体の係合部を前記スポンジ部材の内周に対向させて構成することを特徴とする請求項2に記載の農用作業機。
【請求項4】
前記滑り止め構造は、前記スポンジ部材の内周に面ファスナーの一方の片側構成体を設け、該片側構成体の係合部を前記車輪本体の外周に対向させて構成することを特徴とする請求項2に記載の農用作業機。
【請求項5】
前記一方の片側構成体に係合可能な他方の片側構成体を備える予備滑り止めを設け、該予備滑り止めを前記一方の片側構成体に着脱可能に装着することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の農用作業機。
【請求項6】
前記滑り止め構造は、面ファスナーの一方の片側構成体を前記車輪本体の外周に設けると共に、面ファスナーの他方の片側構成体を前記スポンジ部材の内周に設け、各片側構成体の係合部を互いに対向させて構成することを特徴とする請求項2に記載の農用作業機。
【請求項7】
前記線ファスナーは、互いに噛合する二列のエレメントと、該エレメント間を開閉するスライダと、該スライダを備えるエレメントを間に固設する一対のテープとから構成し、該テープの両外縁を前記スポンジ部材の接合端部の両内周面に固設すると共に、前記接合端部の間の隙間空間の開口側を、外側から埋込部材またはシール部材により閉塞することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の農用作業機。
【請求項8】
前記線ファスナーは、互いに噛合する二列のエレメントと、該エレメント間を開閉するスライダと、該スライダを備えるエレメントを間に固設する一対のテープとから構成し、該テープの両外縁を前記スポンジ部材の接合端部の両内周面に固設した線ファスナーを表裏反転したものであることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の農用作業機。
【請求項9】
前記線ファスナーを構成するスライダに、牽引用ワイヤの一端を係脱可能に取り付けることを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか一項に記載の農用作業機。
【請求項10】
前記スポンジ部材において、一方の接合端部に係合部材、他方の接合端部に被係合部材を設け、前記線ファスナーを構成するスライダを牽引する間、前記係合部材と被係合部材とを係合させておくことを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか一項に記載の農用作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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