説明

追記型光ディスク記録装置を用いた光ディスクへの記録方法

【目的】 追記型光ディスク記録装置を用いて光ディスクにデータを記録中に記録エラーが生じても、その光ディスクを使用できるようにすること。
【構成】 追記型光ディスク記録装置にデータを記憶するためのRAMと記録中のトラック飛びエラーを検出するためのエラー検出器とを設け、光ディスクに記録すべきデータをまずRAMに記憶し、このRAMから読み出したデータを光ディスクに記録する。この光ディスクへの記録中にエラー検出器からエラー検出出力が生じたときは、まずRAMの読み書きと光ディスクの記録を中止するとともにRAM上のデータを確保し、ついで光ディスクの最終記録データを読み出してRAM上に確保したデータと比較し、その比較結果に基づいてRAMの読み書きと光ディスクへの記録を再開する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、追記型(ライトワンス型)のCD(Compact Disk)−ROM(リードオンリメモリ)ライターのような追記型光ディスク記録装置を用いて、光ディスク(例えばCD−ROM)にデータやプログラム(以下単にデータと記述する)を記録する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の光ディスクへの記録方法はつぎのように行なわれていた。すなわち、図3に示すように、光ディスク24に記録すべきデータをフロッピーディスク10、ハードディスク12、光磁気ディスク14などの記録媒体上に作成してソースデータとし、このソースデータをパソコン(パーソナルコンピュータ)16を用いてISO9660変換(ISO9660規格に基づく変換)、イエロー変換(YELLOW BOOK準拠のデータ変換)して(すなわちCD−ROMデータ形式に変換して)ファイル装置(例えばハードディスク)18に一時的に蓄積する。
【0003】そして、このファイル装置18から読み出したCD−ROMデータを、パソコン16を用いてCD−ROMライター用I/F(インターフェース)カード20を介して追記型CD−ROMライター22に送り、ここでCDフォーマットに変換(RED BOOK準拠のデータに変換)して光ディスク24に記録することによって、光ディスク24を完成させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図3に示した従来の記録方法では、追記型CD−ROMライター22が、パソコン16によってファイル装置18から転送されてきたCD−ROMデータを、一度に光ディスク24に記録することによって、光ディスク24を完成させるようにしていたので、光ディスク24への記録中にトラック飛びエラーのような記録エラーが生じると、その光ディスク24は使用不可となり、新たな光ディスクを追記型CD−ROMライター22に装着して一から記録し直さなければならず、記録エラーが生じた光ディスク24が無駄になるとともに、その光ディスク24への記録時間が無駄になるという問題点があった。
【0005】本発明は上述の問題点に鑑みなされたもので、光ディスクに記録する際にトラック飛びエラーのような記録エラーが生じても、その記録エラーが生じた光ディスクを使用できるようにした、追記型光ディスク記録装置を用いた光ディスクへの記録方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による追記型光ディスク記録装置を用いた光ディスクへの記録方法は、追記型光ディスク記録装置にデータを記憶するためのメモリと記録中のエラーを検出するための記録エラー検出器とを設け、前記追記型光ディスク記録装置に入力する記録用のデータを前記メモリに記憶し、前記メモリから読み出したデータを光ディスクに記録し、この記録中に前記記録エラー検出器からの検出出力が生じたときは、まず前記メモリの読み書きと前記光ディスクの記録を中止するとともに前記メモリ上のデータを確保し、ついで前記光ディスクの最終記録データを読み出して前記メモリ上に確保したデータと比較し、その比較結果に基づいて前記メモリの読み書きと前記光ディスクの記録を再開するようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
【作用】追記型光ディスク記録装置に入力する記録用のデータをメモリに記憶し、このメモリから読み出したデータを光ディスクに記録する。この記録中に記録エラー検出器からエラー検出出力が生じると、まずメモリの読み書きと光ディスクの記録を中止するとともにメモリ上のデータを確保する。ついで光ディスクの最終記録データを読み出してメモリ上に確保したデータと比較し、その比較結果に基づいて記録エラーが生じた領域(ポジション)からメモリの読み書きと光ディスクの記録を再開する。
【0008】
【実施例】以下、本発明による追記型光ディスク記録装置を用いた光ディスクへの記録方法の一実施例を図1および図2を用いて説明する。図2は本発明方法を実施する装置の概略構成を説明するもので、図3と同一部分は同一符号とする。図2において、10、12、14は、それぞれ光ディスク24に記録すべきデータをソースデータとして記録する記録媒体としてのフロッピーディスク、ハードディスク、光磁気ディスクである。
【0009】26はパソコンで、このパソコン26は、図3のパソコン16と同様に、前記フロッピーディスク10、ハードディスク12または光磁気ディスク14上に作成されたソースデータを、ISO9660変換(ISO9660規格に基づく変換)、イエロー変換(YELLOW BOOK準拠のデータ変換)することによってCD−ROMデータ形式に変換し、ファイル装置(例えばハードディスク)18に一時的に蓄積する機能を具備している。
【0010】前記パソコン26は、図3のパソコン16と同様に、ファイル装置18に蓄積されたCD−ROMデータをCD−ROMライター用I/F(インターフェース)カード20を介して前記追記型CD−ROMライター32に送出する機能を具備している。
【0011】前記追記型CD−ROMライター32は、図3の追記型CD−ROMライター22の公知の構成の他に、データを記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)34と、記録エラー検出器の一例としてのトラック飛びエラー検出器36とを具備している。前記RAM34は、前記追記型CD−ROMライター32内のホストマイコン(ホストマイクロコンピュータ、図示省略)によってデータの読み書きが制御できるように構成されている。前記トラック飛びエラー検出器36は、前記追記型CD−ROMライター32内の光検出器(図示省略)からの検出出力に基づいてトラック飛びエラーを検出するように構成されている。
【0012】前記追記型CD−ROMライター32内のホストマイコンは、前記パソコン26から前記CD−ROMライター用I/Fカード20を介して送出されたCD−ROMデータを、CDフォーマットに変換(RED BOOK準拠のデータに変換)して単位セクタ毎に前記RAM34に書き込み、ついで、このRAM34から単位セクタごとに読み出したデータを前記光ディスク24に記録する機能を具備している。前記単位セクタは、データ読み書きの最小単位を表わし、例えば1フレーム(=1/75(sec)=2352(バイト))を表わす。
【0013】前記パソコン26は、前記トラック飛びエラー検出器36からのエラー検出出力に基づいて、前記ファイル装置18からのデータの読み出しを中止するとともに、前記追記型CD−ROMライター32内のホストマイコンに読み書き中止用とデータ確保用の制御信号を送出する第1の機能と、前記ファイル装置18からの単位セクタ毎のデータの読み出しを再開するとともに、データ比較用と記録再開用の制御信号を前記追記型CD−ROMライター32内のホストマイコンに送出する第2の機能とを具備している。
【0014】前記追記型CD−ROMライター32内のホストマイコンは、前記パソコン26の第1機能による読み書き中止用とデータ確保用の制御信号に基づいて、前記RAM34のデータの読み書きおよび前記光ディスク24へのデータの記録を中止するとともに前記RAM34上のデータを確保する第1の機能と、前記パソコン26の第2機能によるデータ比較用と記録再開用の制御信号に基づいて、前記光ディスク24の最終記録データを読み出して前記RAM34上に確保したデータと比較し、その比較結果に基づいて、前記RAM34のデータの単位セクタ毎の読み書きおよび前記光ディスク24への単位セクタ毎のデータの記録を再開する第2の機能とを具備している。
【0015】つぎに、図2の構成における作用を図1を併用して説明する。
(イ)パソコン26は、図1のステップ1(以下単にS1と記述する)に示すように、フロッピーディスク10、ハードディスク12、光磁気ディスク14などの記録媒体上に作成されたソースデータを、従来例と同様にISO9660変換、イエロー変換し、この変換データをCD−ROMデータとしてファイル装置18に書き込む(S2)。
【0016】(ロ)パソコン26は、ファイル装置18からCD−ROMデータを単位セクタ毎に読み出し、CD−ROMライター用I/Fカード20を介して追記型CD−ROMライター32に送り、この追記型CD−ROMライター32がCDフォーマットに変換(RED BOOK準拠のデータに変換)してRAM34に書き込む(S3)。
【0017】(ハ)ついで、追記型CD−ROMライター32は、単位セクタ毎にRAM34からデータを読み出して光ディスク(例えばCD−ROM)24に記録する(S4)。このデータ記録は、図3の追記型CD−ROMライター22の場合と同様に、連続した誤りを分散させるためのデータ分散(すなわちインターリーブ)を行なって記録される。例えば、1フレームのデータが106フレーム上に分散記録される。
【0018】(ニ)前記(ハ)の光ディスク24への記録中、トラック飛びエラー検出器36によって「記録中トラック飛びエラー有りか?」が判断され(S5)、「NO」のときは光ディスク24への記録が継続して完了し(S6)、「YES」のときは、パソコン26の第1機能によってファイル装置18からのデータの読み出しを中止するとともに、パソコン26の第1機能による読み書き中止用とデータ確保用の制御信号に基づいて、追記型CD−ROMライター32内のホストマイコンが、RAM34のデータの読み書きおよび光ディスク24へのデータの記録を中止する(S7)とともに、RAM34上のデータを確保する(S8)。
【0019】(ホ)ついで、パソコン26の第2機能によるデータ比較用と記録再開用の制御信号に基づいて、追記型CD−ROMライター32内のホストマイコンが、光ディスク24の最終記録データを読み出してRAM34上に確保したデータと比較し(S9)、その比較結果(一致出力)に基づいてトラック飛びエラー発生ポジション(エラー発生領域)を確認し(例えば光ディスクの所定領域にRF信号が有るか否かで確認し)(S10)、光ディスク24への記録を再開する。
【0020】すなわち、パソコン26の第2機能によってファイル装置18からの単位セクタ毎のデータの読み出しを再開するとともに、パソコン26の第2機能による記録再開用の制御信号に基づいて、追記型CD−ROMライター32内のホストマイコンが、ファイル装置18から読み出されたデータを単位セクタ毎にRAM34に書き込み(S3へ戻る)、単位セクタ毎にRAM34から読み出したデータを光ディスク24に記録する(S4へ戻る)。
【0021】前記実施例では、記録中にトラック飛びエラーのような記録エラーが生じたときにおいて、メモリの読み書きの中止、光ディスクの記録中止およびメモリ上のデータの確保を、パソコンからの制御信号に基づく追記型光ディスク記録装置内のホストマイコンによって行なうようにしたが、本発明はこれに限るものでなく、直接パソコンによって行なうようにしてもよい。
【0022】前記実施例では、記録中にトラック飛びエラーのような記録エラーが生じたときにおいて、メモリ上のデータと光ディスクの最終記録データとの比較、トラック飛びエラー発生ポジション確認および光ディスクへの記録の再開を、パソコンからの制御信号に基づく追記型光ディスク記録装置内のホストマイコンによって行なうようにしたが、本発明はこれに限るものでなく、直接パソコンによって行なうようにしてもよい。
【0023】
【発明の効果】本発明による追記型光ディスク記録装置を用いた光ディスクへの記録方法は、追記型光ディスク記録装置に入力する記録用のデータを一旦メモリに記憶し、このメモリから読み出したデータを光ディスクに記録し、この記録中にトラック飛びエラーのような記録エラーが発生すると、まずメモリの読み書きと光ディスクの記録を中止するとともにメモリ上のデータを確保し、ついで光ディスクの最終記録データを読み出してメモリ上に確保したデータと比較し、その比較結果に基づいてメモリの読み書きと光ディスクの記録を再開するようにしたので、記録エラーが生じた光ディスクを利用することができる。このため、記録エラーが生じた光ディスクが従来例のように使用不可となることがないので、光ディスクの無駄をなくして記録時間の無駄を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による追記型光ディスク記録装置を用いた光ディスクへの記録方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図2】図1の記録方法を実施する装置の概略を説明する説明図である。
【図3】従来例を説明する説明図である。
【符号の説明】
18…ファイル装置、 20…CD−ROMライター用I/Fカード、24…光ディスク、 26…パソコン、32…追記型CD−ROMライター、 34…RAM、36…トラック飛びエラー検出器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】追記型光ディスク記録装置にデータを記憶するためのメモリと記録中のエラーを検出するための記録エラー検出器とを設け、前記追記型光ディスク記録装置に入力する記録用のデータを前記メモリに記憶し、前記メモリから読み出したデータを光ディスクに記録し、この記録中に前記記録エラー検出器からの検出出力が生じたときは、まず前記メモリの読み書きと前記光ディスクの記録を中止するとともに前記メモリ上のデータを確保し、ついで前記光ディスクの最終記録データを読み出して前記メモリ上に確保したデータと比較し、その比較結果に基づいて前記メモリの読み書きと前記光ディスクの記録を再開するようにしたことを特徴とする追記型光ディスク記録装置を用いた光ディスクへの記録方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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