説明

送信装置及び方法、並びにプログラム

【課題】送信用画像の送信時の処理負荷を軽減する。
【解決手段】モニタ表示用ファイル生成部123は、ファイル判定部122による判定結果に基づいて、ファイル取得部121により取得されたオリジナルファイルに格納されるモニタ表示用画像と、そのモニタ表示用画像に付加された固有の属性に対して、主画像に付加された共通の属性を追加して得られる属性情報とを格納してなるデータ構造を有するモニタ表示用ファイルを生成し、通信制御部113は、通信部35を制御して、生成されたモニタ表示用ファイルを、送信先の機器に送信することで、送信用画像の送信時の処理負荷を軽減することができる。本発明は、例えばデジタルスチルカメラなどの電子機器に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置及び方法、並びにプログラムに関し、特に、送信用画像の送信時の処理負荷を軽減することができるようにした送信装置及び方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送信元の機器に蓄積された元の画像を加工して得られる送信用画像を、送信先の機器に送信することが一般的に行われている。
【0003】
このような送信用画像を送信する技術としては、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1では、送信用画像が規格違反とならないようにするため、送信先の機器の能力情報を取得して、その能力情報に応じて圧縮した画像データを、送信先の機器に送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−43154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術であると、送信先の機器の能力情報に応じて画像データを圧縮してから、その圧縮データを送信していたため、送信時の処理に負荷がかかるという問題があった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、送信用画像の送信時の処理負荷を軽減することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の送信装置は、受信装置に送信するためのファイルに対する処理を行うファイル処理手段と、前記ファイルを前記受信装置に送信する送信手段とを備え、前記ファイルは、元の画像と、前記元の画像と異なる1又は複数の送信用画像と、それらの画像の属性に関する属性情報とを格納してなるデータ構造を有するものであり、前記ファイル処理手段は、前記送信用画像と、前記送信用画像に付加された固有の属性に対して、前記元の画像に付加された共通の属性を追加して得られる前記属性情報とを格納してなるデータ構造を有するファイルを生成する。
【0008】
前記受信装置は表示部を有しており、前記送信用画像は、前記元の画像と同一画像であって解像度の異なる、前記表示部に表示させるための表示用画像であり、前記ファイル処理手段は、前記ファイルに格納された前記表示用画像を切り出す切り出し手段と、切り出された前記表示用画像に付加された前記固有の属性に対して、前記元の画像に付加された前記共通の属性を追加する追加手段とを有する。
【0009】
前記ファイルには、前記元の画像と1又は複数の前記表示用画像とを関連付けるための付属情報がさらに格納されており、前記切り出し手段は、前記ファイルに格納された前記付属情報に基づいて、前記表示用画像を切り出す。
【0010】
前記ファイルの前記受信装置への送信が指示された場合、1又は複数の前記表示用画像の解像度が、前記表示部の表示能力に対応しているか否かを判定する判定手段をさらに備え、前記切り出し手段は、前記表示用画像の解像度が前記表示部の表示能力に対応していると判定された場合、その表示能力に対応した解像度を有する前記表示用画像を切り出す。
【0011】
前記追加手段は、前記固有の属性に対して、前記共通の属性のうち、前記表示用画像を表示するために必須となる特定の属性のみを追加する。
【0012】
前記追加手段は、前記固有の属性に対して、全ての前記共通の属性を追加する。
【0013】
前記ファイルは、マルチピクチャフォーマットで規定されたファイルであり、前記属性は、Exif(Exchangeable Image File Format)規格により定義されるExifタグである。
【0014】
前記固有の属性には、前記表示用画像の幅と高さの解像度と、それらの解像度の単位を示す情報が少なくとも含まれている。
【0015】
送信装置は、独立した装置であってもよいし、1つの装置を構成している内部のブロックであってもよい。
【0016】
本発明の一側面の送信方法は、送信装置が、受信装置に送信するためのファイルに対する処理を行い、前記ファイルを前記受信装置に送信するステップを含み、前記ファイルは、元の画像と、前記元の画像と異なる1又は複数の送信用画像と、それらの画像の属性に関する属性情報とを格納してなるデータ構造を有するものであり、前記処理では、前記送信用画像と、前記送信用画像に付加された固有の属性に対して、前記元の画像に付加された共通の属性を追加して得られる前記属性情報とを格納してなるデータ構造を有するファイルを生成する。
【0017】
本発明の一側面のプログラムは、コンピュータに、受信装置に送信するためのファイルに対する処理を行い、前記ファイルを前記受信装置に送信するステップを含み、前記ファイルは、元の画像と、前記元の画像と異なる1又は複数の送信用画像と、それらの画像の属性に関する属性情報とを格納してなるデータ構造を有するものであり、前記処理によって、前記送信用画像と、前記送信用画像に付加された固有の属性に対して、前記元の画像に付加された共通の属性を追加して得られる前記属性情報とを格納してなるデータ構造を有するファイルを生成する処理を実行させる。
【0018】
本発明の一側面においては、受信装置に送信するためのファイルが、元の画像と、元の画像と異なる1又は複数の送信用画像と、それらの画像の属性に関する属性情報とを格納してなるデータ構造を有しており、送信用画像と、送信用画像に付加された固有の属性に対して、元の画像に付加された共通の属性を追加して得られる属性情報とを格納してなるデータ構造を有するファイルが生成される。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の一側面によれば、送信用画像の送信時の処理負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】送信用画像の送信処理の概要を説明する図である。
【図2】本発明を適用したデジタルスチルカメラの構成例を示す図である。
【図3】デジタルスチルカメラの機能的構成例を示すブロック図である。
【図4】Baseline MPファイルのデータ構造を示す図である。
【図5】モニタ表示用画像のExifタグの記述対応レベルを示す図である。
【図6】クラス1とクラス2のモニタ表示用画像について説明する図である。
【図7】ファイル送信処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
[送信用画像の送信処理の概要]
図1は、送信用画像の送信処理の概要について説明する図である。
【0023】
デジタルスチルカメラ1は、ユーザの操作にしたがって、被写体を撮影し、その被写体の撮影画像のデータを蓄積する。デジタルスチルカメラ1には、他の機器と通信するための通信部(後述する図2の通信部35)が設けられており、送信先の機器と無線により相互に通信することで、送信用画像としての、蓄積された撮影画像を送信することができる。
【0024】
この送信先の機器としては、例えば、図1に示すような、テレビジョン受像機2、フォトフレーム3、ポータブルオーディオプレーヤ4、又はパーソナルコンピュータ5などの通信機能を有する機器が該当する。これらの機器は、それぞれ異なる大きさの表示部を有しており、その表示部には、デジタルスチルカメラ1から送信された撮影画像を表示させることができる。また、パーソナルコンピュータ5は、ハードディスクなどの大容量の記録装置を内蔵しており、デジタルスチルカメラ1から送信された撮影画像のデータを蓄積することができる。
【0025】
ここで、撮影画像を、例えば、パーソナルコンピュータ5の記録装置に蓄積したり、印刷装置(不図示)により印刷する目的で使用する場合、解像度の高い元の画像(オリジナルデータ)が、送信されると望ましい場合が多い。
【0026】
一方、撮影画像を、例えば、テレビジョン受像機2、フォトフレーム3、又はポータブルオーディオプレーヤ4の有する表示部により表示させて閲覧する目的で使用する場合、その解像度は、例えば2Mピクセル程度やVGAサイズでも十分である場合も多い。
【0027】
すなわち、撮影画像の閲覧を目的とする場合、送信先の機器には、送信用画像として、解像度の高い元の画像(オリジナルデータ)を送信する必要はなく、元の画像と同一画像(内容は同一)であって、元の画像よりも解像度の低い表示用の画像(以下、モニタ表示用画像という)が送信されればよい。
【0028】
そこで、図1のデジタルスチルカメラ1は、テレビジョン受像機2などの閲覧を目的として撮影画像を表示する機器に対しては、元の画像の代わりに、モニタ表示用画像を送信するようにする。
【0029】
なお、実際には、それらの画像はファイルに格納されているため、以下の説明では、元の画像(オリジナルデータ)を格納したファイルをオリジナルファイルと称し、モニタ表示用画像のみを格納したファイルをモニタ表示用ファイルと称して説明する。換言すれば、モニタ表示用ファイルは、元画像ファイルのモニタ表示用画像相当のデータのみを格納したファイルである。また、モニタ表示用画像は、送信先の機器(受信装置)に送信する送信用画像の一例である。
【0030】
[デジタルスチルカメラの構成例]
図2は、図1のデジタルスチルカメラの内部構成例を示す図である。
【0031】
デジタルスチルカメラ1は、CPU(Central Processing Unit)11、レンズ部21、撮像部22、アナログ信号処理部23、A/D(Analog/Digital)変換部24、デジタル信号処理部25、表示部26、記録デバイス27、操作部31、フラッシュメモリ32、プログラムROM(Read Only Memory)33、RAM(Random Access Memory)34、及び通信部35を備えるように構成される。
【0032】
撮像部22は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などにより構成され、所定のタイミング信号にしたがって動作することにより、レンズ部21を介して入射する被写体からの光を受光して光電変換を行い、(光の)受光量に応じた電気信号としてのアナログの画像信号を、アナログ信号処理部23に供給する。
【0033】
アナログ信号処理部23は、CPU11の制御にしたがい、撮像部22からのアナログの画像信号に増幅などするアナログ信号処理を適用し、そのアナログ信号処理の結果得られる画像信号を、A/D変換部24に供給する。
【0034】
A/D変換部24は、CPU11の制御にしたがい、アナログ信号処理部23からのアナログ信号である画像信号をA/D変換し、その結果得られるデジタル信号で示される画像データを、デジタル信号処理部25に供給する。
【0035】
デジタル信号処理部25は、CPU11の制御にしたがい、A/D変換部24からの画像データに対し、ノイズ除去処理などのデジタル信号処理を施し、表示部26に供給して表示させる。また、デジタル信号処理部25は、A/D変換部24からの画像データを、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式などで圧縮し、その結果得られる圧縮画像データを、記録デバイス27に供給して記録させる。さらに、デジタル信号処理部25は、記録デバイス27に記録された圧縮画像データを伸張し、その結果得られる画像データを表示部26に供給して表示させる。
【0036】
記録デバイス27は、例えば、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体であり、デジタルスチルカメラ1に対して、容易に着脱可能になっている。
【0037】
CPU11は、プログラムROM33に記録されているプログラムを実行することにより、デジタルスチルカメラ1を構成する各部を制御し、また、操作部31からの信号に応じて、各種の処理を行う。
【0038】
操作部31は、ユーザによって操作され、その操作に対応した信号を、CPU11に供給する。
【0039】
フラッシュメモリ32は、CPU11の制御にしたがい、デジタルスチルカメラ1に設定された各種の情報その他の、デジタルスチルカメラ1の電源がオフにされたときも保持しておく必要があるデータなどを記憶する。
【0040】
プログラムROM33は、CPU11が実行するプログラム(後述する図3の制御プログラム101)、さらには、CPU11がプログラムを実行する上で必要なデータを記憶している。RAM34は、CPU11が各種の処理を行う上で必要なプログラムやデータを一時的に記憶する。
【0041】
CPU11にはまた、例えば、無線等による他の機器との通信処理を行う通信部35が接続されている。
【0042】
以上のように構成されるデジタルスチルカメラ1においては、撮像部22が、レンズ部21を介して入射する被写体からの光を受光して光電変換を行い、その結果得られるアナログの画像信号を出力する。撮像部22が出力するアナログの画像信号は、アナログ信号処理部23及びA/D変換部24を介することにより、デジタル信号の画像データとされ、デジタル信号処理部25に供給される。
【0043】
デジタル信号処理部25は、A/D変換部24からの画像データを、表示部26に供給し、これにより、表示部26では、いわゆるスルー画が表示される。
【0044】
その後、ユーザが、操作部31(シャッタボタン)を操作すると、その操作に応じた信号が、操作部31からCPU11に供給される。CPU11は、操作部31から、操作に応じた信号が供給されると、デジタル信号処理部25を制御し、そのときA/D変換部24からデジタル信号処理部25に供給された画像データを圧縮させ、その結果得られる圧縮画像データを、記録デバイス27に記録させる。これにより、記録デバイス27には、撮影画像が蓄積される。
【0045】
以上のようにして、いわゆる写真撮影が行われる。
【0046】
なお、CPU11に実行させるプログラムは、あらかじめプログラムROM33にインストールすなわち記憶させておく他、記録デバイス27に記録しておき、パッケージメディアとしてユーザに提供して、その記録デバイス27から、デジタル信号処理部25及びCPU11を介して、フラッシュメモリ32に記憶させ、デジタルスチルカメラ1にインストールすることができる。また、CPU11に実行させるプログラムは、ダウンロードサイトから、図2のデジタルスチルカメラ1に直接ダウンロードし、あるいは、図1のパーソナルコンピュータ5等によりダウンロードして、図2のデジタルスチルカメラ1に供給し、フラッシュメモリ32に記憶させ、デジタルスチルカメラ1にインストールすることも可能である。
【0047】
また、デジタルスチルカメラ1のハードウェアの構成は、図2の例に限定されず、後述する図3の機能的構成を少なくとも実現可能であればよい。
【0048】
[デジタルスチルカメラの機能的構成例]
図3は、図2のデジタルスチルカメラ1の機能的構成の例を示すブロック図である。
【0049】
なお、本実施の形態では、デジタルスチルカメラ1は、上述した図2のハードウェア構成を有しているので、操作判定部111、ファイル処理部112、及び通信制御部113は、例えば、プログラムROM33に記録された制御プログラム101を実行するCPU11により実現されるのは先に述べた通りである。
【0050】
また、図3では、図2と同様の箇所には、同一の符号が付してあり、処理が同じ部分に関しては、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0051】
操作判定部111は、操作部31から供給される信号に基づいて、ユーザによる操作部31への操作内容を判定し、判定結果をファイル処理部112に供給する。
【0052】
ファイル処理部112は、テレビジョン受像機2などの送信先の機器に送信するためのファイルに対する処理を行う。ファイル処理部112は、ファイル取得部121、ファイル判定部122、及びモニタ表示用ファイル生成部123を含むように構成される。
【0053】
ファイル取得部121は、操作判定部111又はファイル判定部122から供給される判定結果に基づいて、記録デバイス27に記録されているオリジナルファイルの中から、送信対象となるオリジナルファイルを取得する。ファイル取得部121は、取得したオリジナルファイルを、ファイル判定部122、モニタ表示用ファイル生成部123、又は通信制御部113に供給する。
【0054】
なお、記録デバイス27に記録されるオリジナルファイルには、撮影画像であって、解像度の高い元の画像(オリジナルデータ)が格納される。また、オリジナルファイルに格納する撮影画像のデータの形式は、特に制限されず、JPEGの他、例えば、ビットマップ、GIF(Graphic Interchange Format)、又はTIFF(Tagged Image File Format)等とすることができる。ただし、記録デバイス27へのオリジナルファイルの格納を、デジタルスチルカメラ等で一般的に行われているように、Exif(Exchangeable Image File Format)規格に準拠した画像データをDCF(Design rule for Camera File system)フォーマットで格納するようにすれば、それらの規格に準拠している送信先の機器に、オリジナルファイルを送信して表示させることが可能となる。
【0055】
ファイル判定部122は、ファイル取得部121により取得されたオリジナルファイルに格納された付属情報に基づいて、オリジナルファイルにモニタ表示用画像が格納されているか否かを判定する。また、ファイル判定部122は、操作判定部111からの判定結果に基づいて、オリジナルファイルに格納されたモニタ表示用画像がユーザにより選択されたか否かを判定する。ファイル判定部122は、判定結果をファイル取得部121又はモニタ表示用ファイル生成部123に供給する。
【0056】
モニタ表示用ファイル生成部123には、ファイル取得部121からオリジナルファイル、ファイル判定部122から判定結果が供給される。モニタ表示用ファイル生成部123は、オリジナルファイルに格納されるモニタ表示用画像と、そのモニタ表示用画像に付加された固有の属性に対して、元の画像に付加された共通の属性を追加して得られる属性情報とを格納してなるデータ構造を有するモニタ表示用ファイル(表示用解像度を有したファイル)を生成する。
【0057】
モニタ表示用ファイル生成部123は、画像切り出し部131及びタグ追加部132を含むように構成される。
【0058】
画像切り出し部131は、ファイル取得部121からのオリジナルファイルに格納された1又は複数のモニタ表示用画像の中から、ファイル判定部122からの判定結果に応じた所定のモニタ表示用画像を切り出して、タグ追加部132に供給する。
【0059】
タグ追加部132には、画像切り出し部131からモニタ表示用画像、ファイル取得部121からオリジナルファイルが供給される。タグ追加部132は、画像切り出し部131により切り出されたモニタ表示用画像に付加された固有の属性に対して、オリジナルファイルに格納された元の画像の共通の属性を追加する。
【0060】
モニタ表示用ファイル生成部123により生成されたモニタ表示用ファイルは、通信制御部113に供給される。
【0061】
通信制御部113には、ファイル取得部121からオリジナルファイル、モニタ表示用ファイル生成部123からモニタ表示用ファイルが供給される。通信制御部113は、通信部35を制御して、オリジナルファイル又はモニタ表示用ファイルを、送信先の機器(例えば、図1のテレビジョン受像機2ないしパーソナルコンピュータ5)に送信する。
【0062】
以上のようにして、デジタルスチルカメラ1は構成される。
【0063】
[MPフォーマットのBaseline MPファイルへの適用例]
ところで、CIPA(Camera & Imaging Products Association:一般社団法人カメラ映像機器工業会)により、マルチピクチャフォーマット(MPF:Multi Picture Format、以下、MPフォーマットともいう)規格が制定されている(非特許文献1参照)。
【0064】
非特許文献1:“CIPA DC-007-2009,マルチピクチャフォーマット,制定日 2009年2月4日,作成 標準規格作業部会・マルチピクチャフォーマット分科会,発行 一般社団法人カメラ映像機器工業会”、CIPAのホームページ、[2010年2月12日検索]、インターネット<URL:http://www.cipa.jp/hyoujunka/kikaku/cipa-kikaku_list.html>
【0065】
このMPF規格では、MPF付属情報を持つ1つの主画像(Baseline MP 主画像)を先頭画像とし、その主画像に従属するモニタ表示用画像を記録できるBaseline MPファイルと、複数の種別に対応した複数の主画像を一体に記録できるExtended MPファイルが策定されている。
【0066】
Baseline MPファイルは、Exif規格の圧縮画像フォーマットを利用して、モニタ表示に適したサイズの画像を主画像と関連付けて記録するためのMPフォーマット付属情報やファイル形式を規定するためのものである。Baseline MPファイルの基本構造は、図4aに示すデータ構造からなる。
【0067】
図4aに示すように、Baseline MPファイルは、先頭画像と1又は複数の個別画像を格納している。先頭画像では、SOI(Start Of Image)の示す開始からEOI(End Of Image)の示す終了までの間の各領域に、APP1,APP2,主画像が格納される。SOIの直後に位置するAPP1には、Exif付属情報が格納される。続いて、APP1の後の領域に位置するAPP2には、MPフォーマット付属情報が格納される。
【0068】
なお、APPnとは、JPEGファイルフォーマットにより定義される、アプリケーションマーカセグメント領域を意味するものであり、この領域にはアプリケーションごとの固有の情報が格納される。つまり、JPEGで定義されているAPP1の領域には、Exifフォーマット固有の情報であるExif付属情報が格納され、APP2の領域には、MPフォーマット固有の情報であるMPフォーマット付属情報が格納される。
【0069】
このMPフォーマット付属情報を格納したAPP2の後の領域には、主画像が格納される。なお、主画像とは、撮影時に主たる画像として記録される画像であって、上述した元の画像(オリジナルデータ)に相当する。すなわち、この主画像を格納したBaseline MPファイルが、先に述べたオリジナルファイルに相当する。
【0070】
一方、個別画像では、SOIからEOIまでの間に、APP1とモニタ表示用画像が格納される。APP1には、Exif付属情報が格納されるが、個別画像(モニタ表示用画像)のAPP1では、先頭画像のAPP1中のExifタグと同一となるタグの記述が禁止されているため、必須となるExifタグが含まれていないことになる。なお、モニタ表示用画像は、主画像と同一の画角、信号レベルを持つ画像であって、さらに、アスペクト比、画像の向き、色空間も主画像と一致させた画像である。すなわち、この個別画像に格納されたモニタ表示用画像が、図1等を参照して先に述べたモニタ表示用画像に相当するものである。
【0071】
図5は、モニタ表示用画像のExifタグ(属性)の記述対応レベルを示す表である。
【0072】
図5の対応表においては、Exifタグ名称に対応させて、タグ番号の他、Baseline MPファイルと、Extended MPファイルのそれぞれのモニタ表示用画像におけるExifタグの記述の有無が表されている。なお、ここでは、Baseline MPファイルについてのみ説明し、Baseline MPと異なるファイル形式となるExtended MPファイルについては後述する。
【0073】
図中の記号であるが、「×」は、モニタ表示用画像のExifタグとして記述しないことを示す。「●」は、主画像(元の画像)と異なる値を格納する場合は必須であって、その値が同じならばタグを記録しないことを推奨するExifタグであることを示す。「■」は、Exif Private Tagを記録する場合には必須となるExifタグであることを示す。
【0074】
すなわち、各タグ名称のうち、モニタ表示用画像の欄が「●」となる、画像の幅の解像度(XResolution)、画像の高さの解像度(YResolution)、画像の幅と高さの解像度の単位(ResolutionUnit)は、主画像と異なる値となる場合、モニタ表示用画像のAPP1に記述される。これらの値は、主画像とモニタ表示用画像とでは異なる値が設定されることがほとんどであるため、個別画像(モニタ表示用画像)のAPP1には基本的に、「●」となるExifタグのみが記述される。
【0075】
一方、各タグ名称のうち、モニタ表示用画像の欄が「×」となる、画像の幅(ImageWidth)や画像の高さ(ImageLength)などは、先頭画像のAPP1にのみ記述され、個別画像(モニタ表示用画像)のAPP1には記述されないタグとなる。
【0076】
従って、図4bに示すように、Baseline MPファイルから、個別画像(モニタ表示用画像)の部分のみを独立させようとすると、例えば図5のYCCの画素構成(YCbCrPositioning)(タグ番号:531)などの、モニタ表示用画像を表示させるために必須となるExifタグが欠けてしまうことになる。この場合、単独のファイルとして不完全なデータとなるため、送信先の機器では、モニタ表示用画像を表示することができなくなる。
【0077】
そこで、本発明では、個別画像(モニタ表示用画像)のAPP1において欠けているExifタグを、先頭画像のAPP1に記述されているExifタグを追加して補うことで、モニタ表示用画像のAPP1を完全なものとする。そして、モニタ表示用画像と、Exifタグが追加されたAPP1とを格納してなるモニタ表示用ファイルを送信先の機器に送信することで、送信先の機器では、APP1に記述された完全なExifタグに基づいて、モニタ表示用画像を表示することが可能となる。
【0078】
また、モニタ表示用画像は、主画像の従属画像として記録されるものであり、1つの主画像に従属するモニタ表示用画像の最大数は、クラス1が1画像、クラス2が1画像となるように定義されている。
【0079】
図6に示すように、クラス1は、640画素×480画素のいずれかの画素数が縦横の上限の画素数となり、クラス2は、1920画素×1080画素のいずれかの画素数が縦横の上限の画素数となる。例えば、クラス1では、アスペクト比が4:3である場合には、640画素×480画素となり、アスペクト比が16:9である場合には、640画素×360画素となる。一方、クラス2では、アスペクト比が4:3である場合には、1440画素×1080画素となり、アスペクト比が16:9である場合には、1920画素×1080画素となる。
【0080】
以上のようにして、Baseline MPファイル(図4a)から、モニタ表示用ファイル(図4b)を生成することが可能となる。
【0081】
[ファイル送信処理の詳細]
次に、図7のフローチャートを参照して、先に述べたオリジナルファイル(Baseline MPファイル)とモニタ表示用ファイルの送信処理について説明する。
【0082】
なお、図7のフローチャートの各ステップの処理は、CPU11が制御プログラム101を実行することで実現される。
【0083】
操作判定部111は、ステップS11において、ユーザによる操作部31の操作により、所定のファイルの送信が指示されたか否かを判定する。
【0084】
ステップS11において、ファイルの送信が指示されたと判定された場合、ステップS12において、ファイル取得部121は、記録デバイス27に記録された送信対象となるオリジナルファイルを取得する。ステップS13において、操作判定部111は、オリジナルファイルの送信が必要であるか否かを判定する。例えば、デジタルスチルカメラ1で撮影した撮影画像のデータを、パーソナルコンピュータ5などの送信先の機器に蓄積させる場合、オリジナルファイルを送信する必要があるため(ステップS13の「Yes」)、処理は、ステップS14に進む。
【0085】
ステップS14において、通信制御部113は、通信部35を制御して、ファイル取得部121により取得されたオリジナルファイルを送信先の機器に送信する。これにより、パーソナルコンピュータ5などの送信先の機器には、撮影時に主たる画像として記録された、解像度の高い主画像(元の画像)を格納したオリジナルファイルが蓄積される。
【0086】
一方、ステップS13において、オリジナルファイルの送信が必要でないと判定された場合、ステップS15において、ファイル判定部122は、ファイル取得部121により取得されたオリジナルファイルに格納された先頭画像にAPP2が格納されているか否かを判定する。
【0087】
ステップS15において、先頭画像にAPP2が格納されていると判定された場合、ステップS16において、ファイル判定部122は、その先頭画像のAPP2の中にMPフォーマット付属情報が含まれているか否かを判定する。すなわち、MPフォーマット固有の情報であるMPフォーマット付属情報が、先頭画像のAPP2の領域に含まれる場合、送信対象となるオリジナルファイルは、MPフォーマットのデータ構造を有するファイルとなる。
【0088】
先頭画像にAPP2が格納されていないと判定された場合(ステップS15の「No」)、又は、先頭画像のAPP2の中にMPフォーマット付属情報が含まれていないと判定された場合(ステップS16の「No」)、処理は、ステップS14に進む。この場合、オリジナルファイルにはモニタ表示用画像は含まれていないため、上述したステップSS14の処理が実行され、オリジナルファイルが指定された送信先の機器に送信されることになる。
【0089】
一方、ステップS16において、先頭画像のAPP2の中にMPフォーマット付属情報が含まれていると判定された場合、ステップS17において、ファイル判定部122は、MPフォーマット付属情報に含まれるMP種別コードに、クラス1のコードが記述されているか否かを判定する。
【0090】
このMP種別は、MPフォーマット付属情報に格納されるMPインデックスIFDのMPエントリに含まれる、個別画像種別管理情報により示される。例えば、モニタ表示用画像のクラス1は、種別コード“010001”により示され、クラス2は、種別コード“010002”により示される。従って、種別コードとして、“010001”が記述されている場合、送信対象となるオリジナルファイルには、クラス1のモニタ表示用画像が含まれることになる。
【0091】
ステップS17において、クラス1のモニタ表示用画像が含まれていると判定された場合、ステップS18において、操作判定部111は、ユーザによる操作部31の操作に応じて、VGA(640画素×480画素)以下の画サイズが指示されたか否かを判定する。例えば、フォトフレーム3やポータブルオーディオプレーヤ4などの表示部が小さい機器に対して、モニタ表示用画像を表示させる場合には、VGA以下の画サイズで十分であるため、ユーザは、操作部31を操作して、その旨を指示することになる。
【0092】
なお、一度モニタ表示用画像を表示させた送信先の機器に関する情報をフラッシュメモリ32に記憶しておくことで、次回、同じ機器に対してファイルを送信する場合には、ユーザの操作を介さずに、前回送信したクラスに対応するモニタ表示用画像が送信されるようにしてもよい。この場合、例えば、送信先の機器の機器IDと、前回送信したモニタ表示用画像のクラスの情報を対応付けて記憶しておくことで、送信先の機器との接続時に、その機器IDに対応するクラスを特定することが可能となる。
【0093】
また、接続時に、送信先の機器から表示部に関する情報を取得して、その表示部の情報に基づいて、クラス1やクラス2のモニタ表示用画像が、送信先の機器に送信可能であるか否かが判定されるようにしてもよい。この場合においても、ユーザの操作を介さずに所定のクラスのモニタ表示用画像が選択されることになる。
【0094】
ステップS18において、VGA以下の画サイズが指示されたと判定された場合、ステップS22において、画像切り出し部131は、ファイル取得部121により取得されたオリジナルファイルに格納されたクラス1のモニタ表示用画像を切り出す。
【0095】
ステップS22において、タグ追加部132は、必須のExifタグのみ追加するか否かを判定する。ステップS24において、タグ追加部132は、必須のExifタグのみ追加する場合(ステップS23の「Yes」)、切り出されたクラス1のモニタ表示用画像を格納するモニタ表示用ファイルに対して、不足している必須のExifタグのみを追加する。
【0096】
例えば、先に述べたように、モニタ表示用画像のAPP1として、図5の画像の幅の解像度(XResolution)(図5の「●」)などのExifタグが記述されている場合、タグ追加部132は、図5のYCCの画素構成(YCbCrPositioning)などのモニタ表示用画像を表示させるために必須となる特定のExifタグを追加することになる。すなわち、モニタ表示用画像には、固有の属性として、図5の「●」で示すExifタグが付加されており、この固有の属性に対して、共通の属性としての主画像(元の画像)に付加された図5の「×」で示すExifタグを追加することで、モニタ表示画像を表示するための属性情報が得られる。このとき、タグ追加部132は、主画像(元の画像)とモニタ表示用画像とで共通となる共通の属性のうち、必須となる特定の属性(図5のYCCの画素構成(YCbCrPositioning)等)のみを追加することになる。
【0097】
一方、ステップS25において、タグ追加部132は、全てのExifタグを追加する場合(ステップS23の「No」)、切り出されたクラス1のモニタ表示用画像を格納するモニタ表示用ファイルに対して、先頭画像のAPP1の全てのExifタグを追加する。
【0098】
例えば、先に述べたように、モニタ表示用画像のAPP1として、図5の画像の幅の解像度(XResolution)(図5の「●」)などが記述されている場合、タグ追加部132は、図5の画像の幅(Image Width)からGPSタグ(GPSInfo IFD Pointer)までの全てのExifタグ(図5の「×」)を追加することになる。すなわち、タグ追加部132は、主画像(元の画像)とモニタ表示用画像とで共通となる共通の属性のうち、必須となる特定の属性(図5のYCCの画素構成(YCbCrPositioning)等)のみでなく、全ての共通の属性(図5の「×」で示す全てのExifタグ)を追加することになる。
【0099】
これらの処理により、Baseline MPファイル(図4a)に格納された個別画像(モニタ表示用画像)のAPP1の欠けている分のExifタグが追加され、それにより得られたAPP1(属性情報)と、モニタ表示用画像とを格納してなるデータ構造を有するモニタ表示用ファイル(図4b)が生成される。
【0100】
ステップS26において、通信制御部113は、通信部35を制御して、モニタ表示用ファイル生成部123により生成されたモニタ表示用ファイルを、フォトフレーム3やポータブルオーディオプレーヤ4などの指定された送信先の機器に送信する。
【0101】
なお、モニタ表示用画像に不足しているExifタグが存在しない場合には、Exifタグ追加の処理(ステップS23ないしS25の処理)は行われず、画像切り出し部131により取得されたモニタ表示用画像がそのままファイル化されて送信される。なお、このとき、エラーメッセージが表示部26に表示されるようにしてもよい。
【0102】
また、ステップS17において、クラス1のモニタ表示用画像を含んでいないと判定された場合(ステップS17の「No」)、又は、ステップS18において、VGA以下の画サイズが指示されていないと判定された場合(ステップS18の「No」)、処理は、ステップS19に進む。
【0103】
ステップS19において、ファイル判定部122は、MPフォーマット付属情報に含まれるMP種別コードとして、クラス2のコードが記述されているか否かを判定する。
【0104】
このクラス2の判定処理は、上述したクラス1の判定処理(ステップS17の処理)と同様に、個別画像種別管理情報の種別コードに基づいて実行される。例えば、種別コードとして、“010002”が記述されている場合、送信対象となるオリジナルファイルには、クラス2のモニタ表示用画像が含まれることになる。
【0105】
ステップS19において、クラス2のモニタ表示用画像が含まれていると判定された場合、ステップS20において、フルHD(full high definition)(1920画素×1080画素)以下の画サイズが指示されたか否かを判定する。例えば、テレビジョン受像機2に対してモニタ表示用画像を表示させる場合には、フルHD以下の画サイズで十分であるため、ユーザは、操作部31を操作して、その旨を指示することになる。
【0106】
ステップS20において、フルHD以下の画サイズが指示されたと判定された場合、処理は、ステップS21に進む。ステップS21において、画像切り出し部131は、ファイル取得部121により取得されたオリジナルファイルに格納されたクラス2のモニタ表示用画像を切り出す。
【0107】
クラス2のモニタ表示用画像が切り出されると、先に述べた場合と同様に、ステップS23ないしS25において、切り出されたクラス2のモニタ表示用画像を格納するモニタ表示用ファイルに対して、必須のExifタグ又は全てのExifタグが追加される。これにより、Exifタグを追加して得られたAPP1と、モニタ表示用画像とを格納してなるデータ構造を有するモニタ表示用ファイルが生成される。そして、生成されたモニタ表示用ファイルは、テレビジョン受像機2などの指定された機器に送信される(ステップS26の処理)。
【0108】
なお、クラス2のモニタ表示用画像が含まれていないと判定された場合(ステップS19の「No」)、又は、フルHD以下の画サイズが指示されていないと判定された場合(ステップS20の「No」)、本実施の形態ではクラス1とクラス2のモニタ表示用画像以外のモニタ表示用画像は用意されていないため、処理はステップS14に進む。この場合、上述したステップS14の処理が実行され、オリジナルファイルが指定された送信先の機器に送信されることになる。ただし、クラス1とクラス2以外(例えば将来的に拡張された場合のクラス3など)のモニタ表示用画像がオリジナルファイルに格納されている場合には、さらに、その格納されたモニタ表示用画像について、上述したクラス1とクラス2のモニタ表示用画像と同様の処理が行われる。
【0109】
以上のように、デジタルスチルカメラ1においては、モニタ表示用画像を送信先の機器に送信するに際し、所望のクラスのモニタ表示用画像が切り出され、切り出されたモニタ表示用画像に不足している分のExifタグが追加されて、モニタ表示用ファイルが生成される。
【0110】
すなわち、単に、モニタ表示用画像を切り出して、Exifタグを追加するといった簡単な処理を行うだけで、モニタ表示用ファイルを生成することができるため、表示用画像の送信時の処理負荷を軽減することができる。また、簡単な処理でモニタ表示用ファイルを生成できるため、処理の負荷を軽減するだけでなく、表示用画像の送信時の処理時間を短縮することもできる。さらに、メモリ容量などのリソースを削減することも可能となる。
【0111】
例えば、従来、送信先の機器の能力情報を取得したり、画像の解像度を変換するために画像データを圧縮してから送信したりしていた場合と比べて、表示用画像の送信時の処理負荷が軽減し、処理時間を短縮することが可能となる。また、オリジナルファイルよりもデータサイズの小さいモニタ表示用ファイルを送信することから、ファイルの送信時間を短縮することができるとともに、送信先の機器では、大容量の記録装置を用意することなく、ファイルを蓄積することが可能となる。
【0112】
また、オリジナルファイルに所望のクラスとなるモニタ表示用画像が格納されているか、又は、モニタ表示用画像が送信先の機器に必要な画サイズであるかを判定条件として、それらの条件を満たしたモニタ表示用画像を送信することができる。その結果、必要最小限の画サイズのモニタ表示用画像を、画サイズの変換をすることなく、送信先の機器に送信することができる。
【0113】
さらに、デジタルスチルカメラ1側で、モニタ表示用ファイルについて、Exif規格に準拠した画像データをDCFフォーマットで格納するようにすれば、それらの規格に準拠している送信先の機器に、モニタ表示用ファイルを送信して表示させることが可能となる。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0114】
[MPフォーマットのExtended MPファイルへの適用例]
上述した例では、主画像とモニタ表示用画像のみからなるBaseline MPファイルについて説明したが、MPF規格に規定されているExtended MPファイルについても同様に適用することができる。Extended MPファイルは、パノラマ画像、立体視画像、及びマルチアングル画像の種別に対応した複数の主画像を一体に記録できるファイルである。このExtended MPファイルは、BaselineMPファイルと同様に、モニタ表示用画像を主画像に従属させて記録することができる。
【0115】
図5の対応表には、Extended MPファイルのモニタ表示用画像におけるExifタグの記述の有無が表されているのは、先に述べた通りである。また、Extended MPファイルの対応表には、モニタ表示用画像以外のExifタグの有無が記述されているが、それらは、Exif規格に準拠させる。
【0116】
すなわち、Extended MPファイルにおいては、各タグ名称のうち、モニタ表示用画像の欄が「●」となる、画像の幅の解像度(XResolution)などは、主画像と異なる値となる場合、個別画像(モニタ表示用画像)のAPP1に記述される。一方、各タグ名称のうち、モニタ表示用画像の欄が「×」となる、画像の幅(ImageWidth)などは、先頭画像のAPP1にのみ記述され、個別画像(モニタ表示用画像)のAPP1には記述されないことになる。
【0117】
そして、Extended MPファイルにおいては、Baseline MPファイルと同様に、個別画像(モニタ表示用画像)のAPP1において欠けているExifタグを、先頭画像のAPP1に記述されているExifタグを追加して補うことで、モニタ表示用画像のAPP1を完全なものとする。そして、モニタ表示用画像と、Exifタグが追加されたAPP1とを格納してなるモニタ表示用ファイルを送信先の機器に送信することで、送信先の機器では、APP1に記述された完全なExifタグに基づいて、モニタ表示用画像を表示することが可能となる。
【0118】
以上のように、Baseline MPファイルと同様にして、Extended MPファイルから、モニタ表示用ファイルを生成することが可能となる。
【0119】
[変形例]
以上の説明では、送信用画像の送信の例として、モニタ表示用画像を説明したが、本発明は、モニタ表示用画像の代わりに、送信先の機器(受信装置)に送信する他の送信用画像を用いた場合でも、同様に適用することができる。また、モニタ表示用画像がMPフォーマットに準拠している場合の例について説明したが、本発明は、元の画像と、その元の画像と異なる1又は複数の送信用画像と、それらの画像の属性に関する属性情報とを格納してなるデータ構造を有するファイル形式であれば、他の規格に準拠する場合であっても同様に適用することができる。例えば、縮小画像を内包するRAWデータファイルなどに適用することができる。
【0120】
また、以上の説明では、デジタルスチルカメラ1と送信先の機器とは、無線により相互に通信することで、ファイルの送信を行うとして説明したが、無線による通信の他に、例えば、有線による通信によりファイルを送信したり、メモリカード等の記録メディアやパーソナルコンピュータを介して、ファイルの受け渡しを行ってもよい。メモリカード等の記録メディアを介してファイルの受け渡しを行う場合には、デジタルスチルカメラ1には、通信部35を設ける必要はない。
【0121】
なお、無線による通信としては、例えば、TransferJet(トランスファージェット)による無線通信などの各種の通信方式を採用することができる。特に、TransferJet規格のように短時間での高速転送を行う場合、オリジナルファイルよりもデータサイズの小さいモニタ表示用ファイルを送ることにより、ファイルの送信時間をさらに短縮することが可能となる。
【0122】
さらに、以上の説明では、デジタルスチルカメラ1を例にして説明したが、本発明は、例えば、携帯電話機やビデオカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機などの撮影手段を有する電子機器の他、パーソナルコンピュータ、イメージスキャナ、録画機などの送信先の機器にファイルを送信可能な電子機器に適用することができる。
【0123】
なお、本明細書において、記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0124】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 デジタルスチルカメラ, 11 CPU, 27 記録デバイス, 31 操作部, 35 通信部, 101 制御プログラム, 111 操作判定部, 112 ファイル処理部, 113 通信制御部, 121 ファイル取得部, 122 ファイル判定部, 123 モニタ表示用ファイル生成部, 131 画像切り出し部, 132 タグ追加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置に送信するためのファイルに対する処理を行うファイル処理手段と、
前記ファイルを前記受信装置に送信する送信手段と
を備え、
前記ファイルは、元の画像と、前記元の画像と異なる1又は複数の送信用画像と、それらの画像の属性に関する属性情報とを格納してなるデータ構造を有するものであり、
前記ファイル処理手段は、前記送信用画像と、前記送信用画像に付加された固有の属性に対して、前記元の画像に付加された共通の属性を追加して得られる前記属性情報とを格納してなるデータ構造を有するファイルを生成する
送信装置。
【請求項2】
前記受信装置は表示部を有しており、
前記送信用画像は、前記元の画像と同一画像であって解像度の異なる、前記表示部に表示させるための表示用画像であり、
前記ファイル処理手段は、
前記ファイルに格納された前記表示用画像を切り出す切り出し手段と、
切り出された前記表示用画像に付加された前記固有の属性に対して、前記元の画像に付加された前記共通の属性を追加する追加手段と
を有する
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記ファイルには、前記元の画像と1又は複数の前記表示用画像とを関連付けるための付属情報がさらに格納されており、
前記切り出し手段は、前記ファイルに格納された前記付属情報に基づいて、前記表示用画像を切り出す
請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記ファイルの前記受信装置への送信が指示された場合、1又は複数の前記表示用画像の解像度が、前記表示部の表示能力に対応しているか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記切り出し手段は、前記表示用画像の解像度が前記表示部の表示能力に対応していると判定された場合、その表示能力に対応した解像度を有する前記表示用画像を切り出す
請求項3に記載の送信装置。
【請求項5】
前記追加手段は、前記固有の属性に対して、前記共通の属性のうち、前記表示用画像を表示するために必須となる特定の属性のみを追加する
請求項2に記載の送信装置。
【請求項6】
前記追加手段は、前記固有の属性に対して、全ての前記共通の属性を追加する
請求項2に記載の送信装置。
【請求項7】
前記ファイルは、マルチピクチャフォーマットで規定されたファイルであり、
前記属性は、Exif(Exchangeable Image File Format)規格により定義されるExifタグである
請求項2に記載の送信装置。
【請求項8】
前記固有の属性には、前記表示用画像の幅と高さの解像度と、それらの解像度の単位を示す情報が少なくとも含まれている
請求項7に記載の送信装置。
【請求項9】
送信装置が、
受信装置に送信するためのファイルに対する処理を行い、
前記ファイルを前記受信装置に送信する
ステップを含み、
前記ファイルは、元の画像と、前記元の画像と異なる1又は複数の送信用画像と、それらの画像の属性に関する属性情報とを格納してなるデータ構造を有するものであり、
前記処理では、前記送信用画像と、前記送信用画像に付加された固有の属性に対して、前記元の画像に付加された共通の属性を追加して得られる前記属性情報とを格納してなるデータ構造を有するファイルを生成する
送信方法。
【請求項10】
コンピュータに、
受信装置に送信するためのファイルに対する処理を行い、
前記ファイルを前記受信装置に送信する
ステップを含み、
前記ファイルは、元の画像と、前記元の画像と異なる1又は複数の送信用画像と、それらの画像の属性に関する属性情報とを格納してなるデータ構造を有するものであり、
前記処理によって、前記送信用画像と、前記送信用画像に付加された固有の属性に対して、前記元の画像に付加された共通の属性を追加して得られる前記属性情報とを格納してなるデータ構造を有するファイルを生成する
処理を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−211625(P2011−211625A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79180(P2010−79180)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】