説明

透水性キッチンカウンター

【課題】構造が簡単で、カウンター上に跳ねた水等、滞留した水が速やかに浸透し、除去することのできる透水性に優れたキッチンカウンターを提供する。
【解決手段】キッチンカウンターのカウンター本体1を多孔質透水性材料で形成し、該カウンター本体1の下方に空気流通部2を設け、カウンター前面には該空気流通部2へ空気を入れる空気流入口3を設けるとともに、カウンター後面には上記カウンター本体1の上面から下面に浸透した水を空気と共に排出する排気口4が設けられた透水性キッチンカウンターB。好ましくは、上記空気流通部には強制排気用の排気ファンFが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンカウンターに関する。さらに詳しくは、キッチンカウンターの上に溜まった水を浸透させ除去する機能を持つ透水性キッチンカウンターの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンに設けられるシンク回りのカウンターやキッチンカウンターは
天然もしくは人造の大理石、またはステンレス等水を通さない材質で構成され、カウンター下方の収納スペースに水が漏らないようにされていた。しかし、シンクで食器等を洗浄したときの跳ね水や食器洗浄後に食器から滴下する水がカウンター上に溜まり、滞留した水がカウンターの端部から流れ落ちて床を濡らすことがあるという問題点があった。また、カウンターに物を置く場合等、その度に滞留した水を拭き取らなければならず、煩わしいという問題点もあった。
【0003】
このような問題点を解決するために下記特許文献1には、天板部分を水切り板と天板とから二重構造に構成し、天板の上方に水切り板を配置して水跳ね等によって水切り板の上に飛散した水が水切り板上に滞留することなく、速やかに排水されるように上記水切り板を透水性の材質で構成した水切り板付き流し台が提案されている。
【特許文献1】特開平5−76427号公報(第1〜3頁、第1〜4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の水切り板付き流し台は、その第1図に示されているように、構造が複雑であり、製造工程も増えるため、コスト的に有利ではないという問題点がある。本発明はこのような問題点を解決して、構造が簡単で、カウンター上に跳ねた水等、滞留した水を速やかに浸透させるとともに、除去することのできる透水性に優れたキッチンカウンターを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、つぎのような技術的手段を講じている。すなわち、請求項1に記載の第1発明によれば、キッチンカウンターのカウンター本体を多孔質透水性材料で形成し、該カウンター本体の下方に空気流通部を設け、カウンター前面には該空気流通部へ空気を入れる空気流入口を設けるとともに、カウンター後面には上記カウンター本体の上面から下面に浸透した水を空気と共に排出する排気口が設けられた透水性キッチンカウンターが提供される。
【0006】
請求項2に記載の透水性キッチンカウンターは、請求項1に記載の発明に加えて、上記空気流通部に強制排気用の排気ファンを設けることが好ましい。上記排気ファンは、通常、カウンター後面に設けられた排気口を覆うように内設される。
【0007】
請求項3に記載の第2発明によれば、キッチンカウンターのカウンター本体を多孔質透水性材料で形成し、該カウンター本体の下面に吸水性樹脂を含む吸湿シートが当接、保持されてなる透水性キッチンカウンターが提供される。上記吸水性樹脂としては、とくに限定されず、生理用ナプキン、紙おむつ、ペットシート等に既に使用されているでんぷん系、アクリル系等市販の吸水性樹脂が好適に用いられる。
【0008】
請求項4に記載の透水性キッチンカウンターは、請求項1または3に記載の発明に加えて、上記多孔質透水性材料が多孔質セラミックであることが好ましい。多孔質セラミックとしては、例えば、セメント系基材を木粉と共に高温で焼成し、木粉の焼滅痕を無数の連続細孔として有するものが好ましく用いられる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の第1発明にかかる透水性キッチンカウンターは上記のとおりであり、多孔質透水性材料で形成されたカウンター本体の下方に空気流通部を設け、カウンター前面には該空気流通部へ空気を入れる空気流入口を設けるとともに、カウンター後面には排気口が設けられ、カウンター本体の上面に溜まった水が毛管現象によってカウンター本体の下面へ浸透し、空気流通部を流通する空気と共に自然換気により排気口から排出されるため、カウンター本体上におけるシンクから跳ね水や食器からの滴下水の滞留をなくすことができる。
【0010】
請求項2に記載の透水性キッチンカウンターは上記のとおりであり、請求項1の透水性キッチンカウンターの有する効果に加え、上記空気流通部には強制排気用の排気ファンが内設されているため、流入空気量が増加し、カウンター本体の下面へ浸透した水の同伴量を増やして排気することができる。その結果、カウンター本体上に溜まった水をより速やかに浸透させ、蒸散させることができる。
【0011】
請求項3に記載の第2発明にかかる透水性キッチンカウンターは上記のとおりであり、キッチンカウンターのカウンター本体を多孔質透水性材料で形成し、該カウンター本体の下面に吸水性樹脂を含む吸湿シートが当接、保持されてなるため、カウンター本体の上面から下面に到達した浸透水が吸水性樹脂に吸収され、カウンター本体上に水が滞留することを防ぐ。
【0012】
また、吸収された水は、カウンター本体上に水がなく乾燥した状態で、吸水性樹脂から放出され、カウンター本体の下面から上面に逆に毛管現象によって上方に浸透し、蒸散する。このように、吸水性樹脂の水の吸収、放出の可逆的サイクルを利用することにより、カウンター本体上におけるシンクからの跳ね水や食器からの滴下水の滞留をなくすことができる。
【0013】
請求項4に記載の透水性キッチンカウンターは上記のとおりであり、請求項1または3に記載の透水性キッチンカウンターの有する効果に加え、多孔質透水性材料を多孔質セラミックとすることにより、カウンター本体に無数の連続細孔が形成され、カウンター本体上面から下面への水の浸透性に優れた透水性キッチンカウンターを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本願第1発明の第1実施形態にかかる透水性キッチンカウンターAの概略構成を示す側断面図である。図1に示すように、キッチンカウンターの前面のエプロン部8と後部に立設されたバックガード9との間には多孔質透水性材料として、多孔質セラミックで形成されたカウンター本体1が設置され、カウンター本体1の下方は空気流通部2とされている。
【0015】
この空気流通部2の下方は収納キャビネット5とされ、収納キャビネット5の天板51によって収納キャビネット5と空気流通部2とは仕切られている。この天板51は、万一漏水したときの防水板としても機能する。また、上記キッチンカウンターのエプロン部8には空気流入口3が、カウンター後面には排気口4がそれぞれ設けられ、図1に示すように、空気流入口3と排気口4とはガラリ構造とされている。
【0016】
上記カウンター本体1は多孔質透水性材料である多孔質セラミックから構成されているため、カウンター本体1の上に跳ねた水や洗浄の済んだ食器から滴り落ちた水は、多孔質セラミック中に形成された微細な連続細孔中を毛管現象により浸透し、カウンター本体1の下面に到達する。一方、カウンター本体1の下方は空気流通部2とされ、空気流入口3から自然換気により流入した空気は図1の矢印に示す方向に流れてカウンター本体1の下面に到達した浸透水を同伴して排気口4から排気される。
【0017】
上記のように空気流通部2を構成することによって、カウンター本体1の上に溜まった水は滞留することなく、カウンター本体1の上面から下面に浸透し、蒸散させ、排気することができる。その結果、滞留した水がカウンターの端部から流れ落ちて床を濡らしたり、カウンター本体1に物を置く場合等、その度に滞留した水を拭き取るという煩わしい作業をなくすことができる。
【0018】
図2は、本願第1発明の第2実施形態にかかる透水性キッチンカウンターBの概略構成を示す側断面図である。上記透水性キッチンカウンターBにおいては、空気流通部2に排気ファンFを排気口4を覆うように内設して強制排気を行う。上記強制排気により、空気流入口3から流入する空気量が増加し、カウンター本体1の下面に到達した浸透水の同伴量を増やして排気することができる。このように強制排気することによって、カウンター本体1の上に溜まった水をより速やかに浸透させ、蒸散させることができる。
【0019】
図3は、本願第2発明にかかる透水性キッチンカウンターCの概略構成を示す側断面図である。上記透水性キッチンカウンターCにおいては、吸湿シート6がカウンター本体1の下面に保持手段7によって当接、保持して用いられる。上記吸湿シート6は、吸水性樹脂とパルプとの混合物を不織布でシート状に加工するとともに、ポリエチレンフィルム等非透水性フィルムでバッキングされてなり、カウンター本体1の下面に当接した不織布を通してカウンター本体1の上面から下面に到達した浸透水が吸水性樹脂に吸収される。
【0020】
上記吸収された水は吸水性樹脂によって保持されるが、カウンター本体1の上に水がなく乾燥した状態では、逆に吸水性樹脂に保持された水がカウンター本体1の下面から上面に毛管現象によって上方に浸透し、蒸散する。すなわち、吸水性樹脂は水を可逆的に吸収し、放出するため、このサイクルを利用することによって、カウンター本体1の上におけるシンクからの跳ね水や食器からの滴下水の滞留をなくすことができる。
【0021】
上記保持手段7は吸湿シート6をカウンター本体1の下面に当接、保持するが、この保持手段7を取り外し、また取り付けることにより、吸湿シート6の交換を行うことができる。すなわち、吸水性樹脂の吸水能力を超えた浸透水がカウンター本体1の下面に到達し、吸水能が飽和したり、水の吸収、放散を繰り返して吸水能が劣化した場合は、保持手段7を取り外して、吸湿シート6を取り替えることができる。このように、吸湿シート6は交換自在であるため、カウンター本体1の下面に到達する浸透水を連続して吸水することが可能であり、かくして、カウンター本体1の上におけるシンクからの跳ね水や食器からの滴下水の滞留をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願第1発明の第1実施例にかかる透水性キッチンカウンターの概略構成を示す側断面図である。
【図2】本願第1発明の第2実施例にかかる透水性キッチンカウンターの概略構成を示す側断面図である。
【図3】本願第2発明にかかる透水性キッチンカウンターの概略構成を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0023】
A 本願第1発明の第1実施例にかかる透水性キッチンカウンター
B 本願第1発明の第2実施例にかかる透水性キッチンカウンター
C 本願第2発明にかかる透水性キッチンカウンター
F 排気ファン
1 カウンター本体
2 空気流通部
3 空気流入口
4 排気口
5 収納キャビネット
51 天板
6 吸湿シート
7 保持手段
8 エプロン部
9 バックガード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチンカウンターのカウンター本体を多孔質透水性材料で形成し、該カウンター本体の下方に空気流通部を設け、カウンター前面には該空気流通部へ空気を入れる空気流入口を設けるとともに、カウンター後面には上記カウンター本体の上面から下面に浸透した水を空気と共に排出する排気口が設けられた透水性キッチンカウンター。
【請求項2】
上記空気流通部には強制排気用の排気ファンが設けられた請求項1に記載の透水性キッチンカウンター。
【請求項3】
キッチンカウンターのカウンター本体を多孔質透水性材料で形成し、該カウンター本体の下面に吸水性樹脂を含む吸湿シートが当接、保持されてなる透水性キッチンカウンター。
【請求項4】
上記多孔質透水性材料が多孔質セラミックである請求項1または3に記載の透水性キッチンカウンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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