説明

通信機用架台および無線基地局

【課題】比較的狭いスペースに設置することができ、設置作業やメンテナンス作業が容易な通信機用架台および無線基地局を提供する。
【解決手段】架台本体22が、無線用のアンテナ12を支持するためのアンテナ支持柱23を支持するとともに、アンテナ以外の通信機器類13を支持可能に設けられている。架台本体22は、互いにほぼ直角を成す2本の下部梁材31と、各下部梁材31を接続する下部接続梁材32と、各下部梁材31の接続位置の第1柱材34と、各下部梁材31と下部接続梁材32との接続位置の2本の第2柱材35と、第1柱材34の上部と各第2柱材35の上部とを接続する2本の上部梁材36と、各第2柱材35の上部を接続する上部接続梁材37と、第1柱材34と各第2柱材35とに両端が接続された複数の横架材38とを有している。アンテナ支持柱23は、第1柱材34の上端に、鉛直上方に向かって伸びるよう取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機用架台および無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルの屋上などに無線基地局を設置するための通信機用の架台として、アンテナ以外の通信機器類を収容箱に収納するもの(例えば、特許文献1参照)や、図5に示すように、フレーム状の無線機架台に通信機器類を設置するものがある。これらの通信機用の架台では、通信機器類とは別にアンテナを設置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−38935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や図1に記載の従来の通信機用架台では、倒れないようにアンテナを設置するためのスペースと、アンテナ以外の通信機器類を設置するためのスペースが必要であり、広い設置スペースを要するという課題があった。また、設置スペースの広さや形状により、アンテナと通信機器類の配置が異なるため、配線などの設置作業が煩雑になるという課題もあった。特に、アンテナと通信機器類とを離して設置しなければならない場合には、配線などの設置作業やメンテナンス作業に労力や時間を要するという課題もあった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、比較的狭いスペースに設置することができ、設置作業やメンテナンス作業が容易な通信機用架台および無線基地局を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る通信機用架台は、無線用のアンテナを支持するためのアンテナ支持柱と、前記アンテナ支持柱を支持するとともに、無線基地局を構成する前記アンテナ以外の通信機器類を支持可能に設けられた架台本体とを、有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る通信機用架台は、架台本体が、無線基地局を構成するアンテナ以外の通信機器類だけでなく、無線用のアンテナを支持するためのアンテナ支持柱も支持するため、アンテナとアンテナ以外の通信機器類とを別々に支持するものと比べ、狭いスペースに設置することができる。また、アンテナ以外の通信機器類の重量により、架台本体が安定するため、アンテナ支持柱に支持されるアンテナの安定性を高めることができる。
【0008】
本発明に係る通信機用架台は、アンテナとアンテナ以外の通信機器類とを近くに配置することができるため、配線などの設置作業やメンテナンス作業が容易であり、保守性に優れている。また、通信品質の劣化率や、通信信号の減衰率を小さくすることもできる。アンテナとアンテナ以外の通信機器類とを常に同じ配置で設置できるため、配線などの設置作業を標準化することができ、設置作業の効率化を図ることができる。
【0009】
本発明に係る無線基地局は、本発明に係る通信機用架台と、前記アンテナ支持柱に支持された無線用のアンテナと、前記アンテナに接続され、前記架台本体に支持された前記アンテナ以外の通信機器類とを、有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る無線基地局は、本発明に係る通信機用架台により、アンテナとアンテナ以外の通信機器類とを支持するため、狭いスペースに設置することができ、アンテナ支持柱に支持されたアンテナの安定性が高い。配線などの設置作業やメンテナンス作業が容易であり、保守性に優れている。また、通信品質の劣化率や、通信信号の減衰率を小さくすることもできる。配線などの設置作業を標準化することができ、設置作業の効率化を図ることができる。
【0011】
本発明に係る通信機用架台において、前記架台本体は、それぞれ一端どうしを突き合わせて互いにほぼ直角を成すよう水平に配置された2本の下部梁材と、各下部梁材の他端にそれぞれ両端が接続され、水平に配置された下部接続梁材と、各下部梁材の前記一端に下端が接続し、鉛直方向に沿って配置された第1柱材と、各下部梁材と前記下部接続梁材との接続位置にそれぞれ下端が接続し、鉛直方向に沿って配置された2本の第2柱材と、前記第1柱材の上部と各第2柱材の上部とにそれぞれ両端が接続され、水平に配置された2本の上部梁材と、各第2柱材の上部にそれぞれ両端が接続され、水平に配置された上部接続梁材と、各下部梁材と各上部梁材との間で、前記第1柱材と各第2柱材とにそれぞれ両端が接続された複数の横架材と、各下部梁材の中間部にそれぞれ両端が接続され、水平に配置された下部補助梁材とを有し、前記アンテナ支持柱は、前記第1柱材の上端に上方に伸びるよう設けられていることが好ましい。この場合、平面形状がほぼ直角三角形状を成しており、安定性が高いだけでなく、省スペースである。
【0012】
また、本発明に係る通信機用架台は、各下部梁材の接続位置と各下部梁材の他端とで前記架台本体を支持する3つの基台を有することが好ましい。この場合、アンテナとアンテナ以外の通信機器類とを別々に支持するものと比べ、基台の数が少ないため、施工が容易で、施工工期を短縮することができ、材料費を低減することもできる。各基台は、FRP製の基台から成っていてもよい。この場合、軽量化を図ることができ、より施工性を高めることができる。
【0013】
本発明に係る無線基地局は、本発明に係る通信機用架台と、前記アンテナ支持柱に支持された無線用のアンテナと、前記下部接続梁材と前記下部補助梁材とで支持された電源装置と、前記アンテナと前記電源装置とに接続され、前記複数の横架材に取り付けられたPD盤、引込開閉器盤および光接続箱を含む通信機器類とを、有することが好ましい。この場合、重量のある電源装置を、下部接続梁材と下部補助梁材とで支持することにより、安定性を高めることができる。また、通信機器類の設置が容易である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、比較的狭いスペースに設置することができ、設置作業やメンテナンス作業が容易な通信機用架台および無線基地局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態の通信機用架台および無線基地局を示す斜視図である。
【図2】図1に示す通信機用架台の(a)平面図、(b)正面図、(c)右側面図である。
【図3】図1に示す通信機用架台の下部梁材の変形例を示す平面図である。
【図4】図1に示す通信機用架台の、アンテナを高い位置に設置する変形例を示す斜視図である。
【図5】従来の通信機用の課題を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図4は、本発明の実施の形態の通信機用架台および無線基地局を示している。
図1に示すように、無線基地局10は、通信機用架台11と、アンテナ12と、アンテナ以外の通信機器類13とを有している。
【0017】
図1および図2に示すように、通信機用架台11は、3つの基台21と架台本体22とアンテナ支持柱23とを有している。各基台21は、FRP製で、ほぼ立方体形状の台部21aの上に、正方形状の蓋部21bを載せて形成されている。各基台21は、上面が同一水平面上になるよう、設置面に固定されている。各基台21は、直角二等辺三角形の3つの頂点の位置に配置されている。
【0018】
架台本体22は、2本の下部梁材31と下部接続梁材32と下部補助梁材33と第1柱材34と2本の第2柱材35と2本の上部梁材36と上部接続梁材37と複数の横架材38とを有している。各下部梁材31は、断面がH型の鋼材から成り、それぞれ一端どうしを突き合わせて互いにほぼ直角を成すよう接続されている。下部接続梁材32は、断面がH型の鋼材から成り、各下部梁材31の他端にそれぞれ両端が接続されている。各下部梁材31および下部接続梁材32は、直角二等辺三角形を成すよう配置されている。また、各下部梁材31および下部接続梁材32は、それぞれの接続位置で、各基台21の蓋部21bの上に載せて固定され、各基台21により水平に支持されている。
【0019】
下部補助梁材33は、断面がH型の鋼材から成り、各下部梁材31の中央部にそれぞれ両端が接続され、水平に配置されている。下部補助梁材33は、下部接続梁材32よりも各下部梁材31の一端側に、下部接続梁材32と所定の間隔をあけて、下部接続梁材32に対して平行に設けられている。
【0020】
第1柱材34は、円筒状の鋼管材から成り、各下部梁材31の突き合わされた一端に下端が接続し、鉛直方向に沿って上方に伸びるよう配置されている。各第2柱材35は、円筒状の鋼管材から成り、各下部梁材31と下部接続梁材32との接続位置にそれぞれ下端が接続し、鉛直方向に沿って上方に伸びるよう配置されている。第1柱材34および各第2柱材35は、上端が同じ高さになるよう設けられている。
【0021】
各上部梁材36は、角筒状の鋼管材から成り、第1柱材34の上端部と各第2柱材35の上端部とにそれぞれ両端が接続され、水平に配置されている。各上部梁材36は、互いにほぼ直角を成し、それぞれ対応する下部梁材31に対して平行に取り付けられている。上部接続梁材37は、角筒状の鋼管材から成り、各第2柱材35の上端部にそれぞれ両端が接続され、各上部梁材36と同じ高さで、水平に配置されている。上部接続梁材37は、下部接続梁材32に対して平行に取り付けられている。
【0022】
各横架材38は、細長い鋼板から成り、第1柱材34と各第2柱材35とにそれぞれ両端が接続されている。各横架材38は、それぞれ対応する各下部梁材31と各上部梁材36との間に、6本ずつ設けられている。各横架材38は、それぞれ対応する下部梁材31および上部梁材36に対して平行に設けられている。
【0023】
アンテナ支持柱23は、円筒状の鋼管材から成り、第1柱材34の上端に、鉛直方向に沿って上方に伸びるよう取り付けられている。アンテナ支持柱23は、架台本体22により鉛直に支持されている。
【0024】
図1に示すように、アンテナ12は、携帯電話などの無線用のアンテナ12から成り、アンテナ支持柱23に取り付けられて支持されている。なお、アンテナ支持柱23には、GPSアンテナ14も取り付けられている。
【0025】
図1に示すように、アンテナ以外の通信機器類13は、電源装置13a、PD盤13b、引込開閉器盤13cおよび光接続箱13dなどから成り、架台本体22に取り付けられて支持されている。電源装置13aは、下部接続梁材32および下部補助梁材33の上に固定されて支持されている。PD盤13b、引込開閉器盤13cおよび光接続箱13dなどは、各横架材38の下部接続梁材32側の面に取り付けられている。なお、PD盤13b、引込開閉器盤13cおよび光接続箱13dなどは、各横架材38の下部接続梁材32とは反対の面に取り付けられていてもよい。アンテナ12および通信機器類13は、アンテナ12を利用して無線通信できるよう、互いに接続されている。
【0026】
次に、作用について説明する。
無線基地局10は、通信機用架台11により、アンテナ12とアンテナ以外の通信機器類13とを支持するため、アンテナ12とアンテナ以外の通信機器類13とを別々に支持するものと比べ、狭いスペースに設置することができる。また、架台本体22の平面形状がほぼ直角二等辺三角形状を成しているため、安定性が高いだけでなく、省スペースである。このため、狭いビルの屋上などにも設置することができ、設置スペースの有効利用が可能となる。
【0027】
無線基地局10は、アンテナ以外の通信機器類13の重量により、架台本体22が安定するため、アンテナ支持柱23に支持されるアンテナ12の安定性を高めることができる。特に、重量のある電源装置13aを、下部接続梁材32と下部補助梁材33とで支持することにより、全体の安定性を高めることができる。
【0028】
無線基地局10は、アンテナ12とアンテナ以外の通信機器類13とを近くに配置するため、配線などの設置作業やメンテナンス作業が容易であり、保守性に優れている。また、通信品質の劣化率や、通信信号の減衰率を小さくすることもできる。アンテナ12とアンテナ以外の通信機器類13とを常に同じ配置で設置できるため、配線などの設置作業を標準化することができ、設置作業の効率化を図ることができる。
【0029】
無線基地局10は、アンテナ12とアンテナ以外の通信機器類13とを別々に支持するものと比べ、基台21の数が少ないため、施工が容易で、施工工期を短縮することができ、材料費を低減することもできる。FRP製の基台21を利用しているため、軽量化を図ることができ、より施工性を高めることができる。
【0030】
このように、無線基地局10は、アンテナ12を支持するアンテナ支持柱23と、通信機器類13を支持する架台本体22とを一体型にすることにより、省スペースや配線作業の標準化など、さまざまな効果が得られる。
【0031】
なお、図3に示すように、通信機用架台11は、いずれか一方または両方の下部梁材31が長く、下部接続梁材32が長い下部梁材31の中央部に取り付けられ、基台21が長い下部梁材31の他端で架台本体22を支持していてもよい。この場合、アンテナ12の高さや設置スペースに応じて、下部梁材31の長さを調節することができ、安定性を高めることができる。
【0032】
また、図4に示すように、通信機用架台11は、円筒状の鋼管材から成り、アンテナ支持柱23と第1柱材34との間に設けられた支持柱延長部材41と、支持柱延長部材41の上端部と各第2柱材35の上端とに両端が接続された2本の補強ブレース材42とを有していてもよい。この場合、より高い位置に、安定した状態でアンテナ12を設置することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 無線基地局
11 通信機用架台
21 基台
21a 台部
21b 蓋部
22 架台本体
31 下部梁材
32 下部接続梁材
33 下部補助梁材
34 第1柱材
35 第2柱材
36 上部梁材
37 上部接続梁材
38 横架材
23 アンテナ支持柱
12 アンテナ
13 通信機器類
13a 電源装置
13b PD盤
13c 引込開閉器盤
13d 光接続箱


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線用のアンテナを支持するためのアンテナ支持柱と、
前記アンテナ支持柱を支持するとともに、無線基地局を構成する前記アンテナ以外の通信機器類を支持可能に設けられた架台本体とを、
有することを特徴とする通信機用架台。
【請求項2】
前記架台本体は、
それぞれ一端どうしを突き合わせて互いにほぼ直角を成すよう水平に配置された2本の下部梁材と、
各下部梁材の他端にそれぞれ両端が接続され、水平に配置された下部接続梁材と、
各下部梁材の前記一端に下端が接続し、鉛直方向に沿って配置された第1柱材と、
各下部梁材と前記下部接続梁材との接続位置にそれぞれ下端が接続し、鉛直方向に沿って配置された2本の第2柱材と、
前記第1柱材の上部と各第2柱材の上部とにそれぞれ両端が接続され、水平に配置された2本の上部梁材と、
各第2柱材の上部にそれぞれ両端が接続され、水平に配置された上部接続梁材と、
各下部梁材と各上部梁材との間で、前記第1柱材と各第2柱材とにそれぞれ両端が接続された複数の横架材と、
各下部梁材の中間部にそれぞれ両端が接続され、水平に配置された下部補助梁材とを有し、
前記アンテナ支持柱は、前記第1柱材の上端に上方に伸びるよう設けられていることを、
特徴とする請求項1記載の通信機用架台。
【請求項3】
各下部梁材の接続位置と各下部梁材の他端とで前記架台本体を支持する3つの基台を有することを特徴とする請求項2記載の通信機用架台。
【請求項4】
請求項1記載の通信機用架台と、
前記アンテナ支持柱に支持された無線用のアンテナと、
前記アンテナに接続され、前記架台本体に支持された前記アンテナ以外の通信機器類とを、
有することを特徴とする無線基地局。
【請求項5】
請求項2または3記載の通信機用架台と、
前記アンテナ支持柱に支持された無線用のアンテナと、
前記下部接続梁材と前記下部補助梁材とで支持された電源装置と、
前記アンテナと前記電源装置とに接続され、前記複数の横架材に取り付けられたPD盤、引込開閉器盤および光接続箱を含む通信機器類とを、
有することを特徴とする無線基地局。




【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−5300(P2013−5300A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135795(P2011−135795)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(503410557)コスモシステム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】