説明

通信装置および通信制御装置

【課題】本発明は、割り付けられたチャネルを伝送信号重畳方式に基づいて上りリンクおよび下りリンクとして共用する通信装置と、配下の通信装置に対してこのようなチャネルの割り付けを行う通信制御装置とに関し、構成が大幅に変更されることなく、これらのリンクの伝送品質が高められ、かつ安定に維持されるを提供することを目的とする。
【解決手段】親局によって割り付けられたチャネルを伝送信号重畳方式に基づいて上りリンクおよび下りリンクとして共用する通信装置であって、前記親局によって通知され、かつ前記上りのリンクを介して前記親局に到来した上り信号の周波数の偏差を取得する周波数偏差取得手段と、前記下りのリンクを介して受信された下り信号の占有帯域を周波数軸上で前記偏差が圧縮される帯域に変換し、前記伝送情報重畳方式に基づいて前記下り信号に施されるべき信号キャンセルに供する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御の下で割り付けられたチャネルを伝送信号重畳方式に基づいて上りリンクおよび下りリンクとして共用する通信装置と、配下の通信装置に対してこのようなチャネルの割り付けを行う通信制御装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
広域に対して高い品質の無線伝送路が安価に形成され、かつ地上の災害等の影響を受け難く、しかも、多様なチャネルの設定や割り付けが可能であって、保守や運用が容易である衛星通信系は、急速な伝送容量の増加と共に、放送系や通信系の基幹系として適用されている。
【0003】
また、このような衛星通信系では、有限の無線周波数の効率的な利用を目的として、伝送信号重畳方式に基づく信号キャンセル技術の適用により、上りのリンクと下りのリンクとに対する同じ周波数の共用が図られつつある。
【0004】
なお、本発明に関連する先行技術としては、以下に列記する特許文献1ないし特許文献3があった。
(1) 「正規信号成分の情報を用いて受信信号に含まれる正規信号成分を除去するキャンセラ部と、前記キャンセラ部により正規信号成分を除去した受信信号と当該受信信号とは位置の異なる衛星を介して同一電波を受信した他の受信信号との受信信号間の相関処理により干渉局の到来時間差及びドップラー周波数差を計算する相関器とを備える」ことにより、「到来時間差とドップラー周波数差を正しく計算し、干渉局を位置評定することができる」点に特徴がある測位装置…特許文献1
【0005】
(2) 「内部において生成されるタップ係数に基づいて擬似エコー信号を生成し、該擬似エコー信号を用いて、送信信号において発生するエコーを抑制するエコーキャンセラーと、該エコーキャンセラーから出力された送信音声信号を予め決められたフォーマットの符号に符号化する音声符号器と、該音声符号器において符号化された送信音声信号を予め決められた変調方式に基づいて変調するとともに変調された送信音声信号を無線周波数に変換して出力する変調器と、該変調器から出力された送信音声信号を出力するとともに外部から送信されてきた信号を受信するアンテナと、該アンテナにおいて受信された信号を復調し、同期フレームデータ及び同期フレーム信号を生成して出力する復調器と、該復調器から出力された同期フレームデータ及び同期フレーム信号をそれぞれ復号することによりデジタル音声信号を生成して前記エコーキャンセラーに対して出力する音声復号器と、前記変調器から出力された送信音声信号を前記アンテナに対して出力するとともに前記アンテナにおいて受信された信号を前記復調器に対して出力する分波器とを有してなる衛星通信装置において、前記復調器は、前記同期フレーム信号が一定周期で生成されているかどうかを示す同期ステータス信号を生成し、前記同期ステータス信号を所定時間だけ遅延して前記エコーキャンセラーに対して出力するディレイ回路を有し、前記エコーキャンセラーは、前記ディレイ回路から出力される前記同期ステータス信号に基づいて前記タップ係数の推定を行う」ことにより、「周囲環境の影響を受けずに正確に受信音声の有無を判断することができ、それにより、適応フィルタの特性の劣化を防ぐ」点に特徴がある衛星通信装置…特許文献2
【0006】
(3) 「複数の波動源のうち対象となる波動源から出力された原信号を目的信号として復元する信号処理装置であって、以下の要素(a)〜(f)を備える」ことによって、「複数の原信号が混合された混合信号から、対象となる原信号を良好に復元する」点に特徴がある信号処理装置…特許文献3
(a) 各々が、前記複数の波動源から出力された複数の原信号につき、該複数の原信号の混合信号として観測可能な複数の観測部、
(b) 各観測部で観測されて周波数領域に変換された1フレーム分の前記混合信号から、互いに独立した複数の分離信号を前記フレーム内の周波数ビン毎に生成する分離信号生成部、
(c) 前記複数の分離信号のうち前記目的信号に対応する第1分離信号と、前記複数の分離信号のうち前記第1分離信号以外の第2分離信号とに基づいて、前記第1分離信号の雑音状況を判断する処理と、雑音状況の判断結果に基づいて求められた第1雑音成分を前記第1分離信号から除去することにより雑音除去信号を生成する処理と、前記雑音状況の判断結果に基づいて雑音状況信号を生成する処理とを前記フレーム内の周波数ビン毎に行うマスク処理部、
(d) 前記マスク処理部側から入力された前記周波数ビン毎の雑音状況信号に基づいて、前記フレーム毎に、前記第1分離信号に含まれる雑音量を計測する雑音量計測部、
(e) 前記雑音量計測部によって計測された前記雑音量に基づいて、前記周波数ビン毎に、前記第2分離信号のうちの1つの信号を雑音信号として選択する雑音信号選択部、
(f) 前記雑音信号に基づいて生成された第2雑音成分を、前記雑音除去信号から前記周波数ビン毎に除去するとともに、前記第2雑音成分が除去された前記雑音除去信号を目的信号として出力する雑音除去処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−256022号公報
【特許文献2】特許第2982718号公報
【特許文献3】特開2008−252587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した衛星通信系では、既述の伝送信号重畳方式に基づく信号キャンセルの下で達成される上りのリンクと下りのリンクとの間のアイソレーションは、これらのリンクを介して伝送される無線信号の周波数の差が大きいほど、一般に、著しく劣化する。
【0009】
したがって、このようなアイソレーションの劣化を抑圧し、あるいは軽減するためには、通信衛星を介して形成される通信路(チャネル)の両端に配置された2つの通信装置(子局装置)では、下りのリンクを介して受信された無線信号Srと、上りのリンクに送信された無線信号Stとの間における周波数の偏差が上記信号キャンセルの処理に先行して圧縮されなければならなかった。
【0010】
なお、伝送信号重畳方式に基づく信号キャンセルが採用されていない衛星通信系では、上記2つの通信装置に該当し得る全ての通信装置と、これらの通信装置に対するチャネルの割り付け等の通信制御を行う通信制御装置(親局装置)との間に敷設され、このような通信制御のために共用されるシグナリングチャネル(CSC:Common Signalling Channel)を介するフィードバック制御として行われる受信AFCの下で、通信衛星および個々の無線装置の受信系における周波数の偏差は補償できる。
【0011】
しかし、このような補償では、既述のアイソレーションが劣化する要因である周波数の偏差は、下りのリンクを介して受信された無線信号の復調に先行して圧縮や軽減が図られることはなかった。
【0012】
本発明は、上りのリンクと下りのリンクとを介して伝送される無線信号の周波数の偏差が大きく、あるいは広範に変動し得る場合であっても、構成が大幅に変更されることなく、これらのリンクの伝送品質が高められ、かつ安定に維持される通信装置および通信制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明では、親局によって割り付けられたチャネルを伝送信号重畳方式に基づいて上りリンクおよび下りリンクとして共用する通信装置であって、周波数偏差取得手段は、前記親局によって通知され、かつ前記上りのリンクを介して前記親局に到来した上り信号の周波数の偏差を取得する。制御手段は、前記下りのリンクを介して受信された下り信号の占有帯域を周波数軸上で前記偏差が圧縮される帯域に変換し、前記伝送情報重畳方式に基づいて前記下り信号に施されるべき信号キャンセルに供する。
【0014】
すなわち、上記伝送信号重畳方式に適した信号キャンセルは、その信号キャンセルに先行して、送信された信号の周波数偏差の解析および補正が図られなくても、親局との連係の下で実現される。
【0015】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の通信装置において、前記偏差は、前記チャネルの割り付けに供される特定のチャネルを介して通知される。
【0016】
すなわち、上記親局との連係は、本発明に係る通信装置に対して親局によって割り付けられるチャネルの構成、周波数配置および変調方式と、これらのチャネルの形成に供される多元接続方式との何れもが変更されること実現される。
【0017】
請求項3に記載の発明では、伝送信号重畳方式に基づいて上りのリンクと下りのリンクとに共用されるべきチャネルを配下の通信装置に割り付ける通信制御装置であって、周波数偏差識別手段は、前記チャネルが割り付けられた通信装置から前記上りのリンクを介して到来した信号の周波数の偏差を識別する。周波数偏差通知手段は、前記偏差を前記通信装置に通知する。
【0018】
すなわち、上記通信装置は、送信した信号の周波数偏差の解析や補正が行われなくても、本発明に係る通信制御装置との連係の下で、伝送信号重畳方式に適した信号キャンセルを精度よく安定に行うことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の通信制御装置において、前記周波数偏差通知手段は、前記チャネルの割り付けに供される特定のチャネルを介して前記偏差を通知する。
【0020】
すなわち、本発明にかかる通信制御装置と、その通信制御装置の配下でチャネルが割り付けられる通信装置とは、これらのチャネルの構成、周波数配置、変調方式、多元接続方式との何れもが変更されることなく連係することにより、伝送信号重畳方式に基づく伝送品質の向上および安定化を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、構成が複雑化することなく、伝送信号重畳方式に基づく伝送の品質が高められ、かつ安定に維持される。
また、本発明によれば、構成の無用な複雑化とコストの上昇との回避が可能となる。
したがって、本発明が適用された通信系は、価格性能比、付加価値および信頼性の何れもが簡便にかつ安価に高められる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本実施形態の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
図において、親局10の配下には、通信衛星20を介して子局30-1、30-2が配置される。
なお、親局10は、通信衛星20を介して双方の通信サービスを提供するVSAT(Very
Small Aperture Terminal)システムにおいては、通信制御を主導的に行うVSAT制御地球局であるHUB局に該当する。また、子局30-1、30-2は、地球上の各地に配置され、かつVSATシステムと公衆電気通信網とのインターフェースを個別にとる地球局の内、開口径が極めて小さなパラボラアンテナを介して通信衛星20との間に無線伝送路を形成するVSAT地球局に該当する。
【0024】
親局10は、以下の要素から構成される。
(1) DAMAサーバ11
(2) DAMAサーバ11の出力ポートおよび入力ポートにそれぞれ接続された変調入力と復調出力とを有するCSCモデム12
(3) CSCモデム12の変調出力と復調入力とにそれぞれ接続された変調入力と復調出力とを有し、かつ通信衛星20との間に既定のシグナリングチャネル等の無線伝送路を形成する無線部13
(4) 無線部13の送信用給電路とCSCモデム12の制御端子とに接続されたAFCモデム14
【0025】
子局30-1は、以下の要素から構成される。
(1) 親局10の配下で特定のチャネルや上記シグナリングチャネルが割り付けられ、他の子局(例えば、子局30-2)との間における通信衛星20を介する伝送情報の伝送路と、親局10が通信制御のために供する伝送路とをそれぞれ無線伝送路として形成する無線部31-1
(2) 無線部31-1の変調入力と復調出力とに並列に接続された変調出力および復調入力を個別に有し、かつ相互に直結された出力ポートと入力ポートとをそれぞれ有するCSCモデム32-1およびキャンセラモデム33-1
【0026】
なお、子局30-2の構成については、子局30-1の構成と同じであるので、以下では、機能および構成が同じ構成要素に、添え番号「1」に代わる「2」が付加された共通の符号を付与することとし、ここでは、その説明を省略する。
図2は、本実施形態の動作を説明する図である。
以下、図1および図2を参照して本実施形態の動作を説明する。
【0027】
まず、本実施形態における各部の一般的な動作を説明する。
子局30-1は、CSCモデム32-1、無線部31-1および通信衛星20を介して対向する親局10が既述のシグナリングチャネルを介して行う通信制御の下で、通信相手である子局(以下では、子局30-2であると仮定する。)との間における伝送情報の引き渡しに供されるべきチャネルが割り付けられる。
【0028】
子局30-1では、無線部31-1は、このようにして割り付けられたチャネルとの物理的なインタフェースをとる。キャンセラモデム33-1は、そのチャネルを伝送信号重畳方式に基づいて上りのリンクと下りのリンクとして共用し、これらのリンクを介してそれぞれ伝送されるべき「上り伝送情報」と「下り伝送情報」との無線伝送を実現する。
【0029】
なお、子局30-1と対向してこれらの「上りの伝送情報」と「下りの伝送情報」との引き渡しを行う子局30-2の各部の動作については、子局30-1の各部の動作と相反する動作であるので、以下では、その説明を省略する。
【0030】
以下、子局30-1、30-2の何れにも当てはまる事項については、添え番号「1」、「2」の何れにも該当し得る添え文字「c」が付加された符号を関連する構成要素に付加して記述する。
【0031】
子局30-cでは、無線部31-cとCSCモデム32-cとの双方もしくは一部は、親局10から通信衛星20を介して受信されたシグナリングチャネルの搬送波信号の周波数偏差Δfvrc が「0」となる目標値制御として受信AFCを行う。
【0032】
このような周波数偏差Δfvrc は、以下のパラメータ(1)〜(5)に対して、下式(a) で示される。
(1) 子局30-c(無線部31-c)によって送信される上りのシグナリングチャネルの信号の周波数偏差Δfvtc
(2) 通信衛星20によってシグナリングチャネルを介して送受信される信号の周波数偏差Δfsat
【0033】
(3) 子局30-c(無線部31-c)によって受信される下りのシグナリングチャネルの信号の周波数偏差Δfvrc
(4) 親局10(無線部13)によって送信される上りのシグナリングチャネルの信号の周波数偏差Δfht
Δfvrc =Δfvtc+Δfsat+Δfvrc−(Δfht+Δfsat+Δfvrc)
=Δfvtc−Δfht ・・・(a)
【0034】
親局10では、AFCモデム14は、下記の周波数偏差(1)、(2)を監視し、これらの周波数偏差に基づいて算出される受信周波数の偏差(=−(Δfht+Δfsat+Δfhr))をCSCモデム12にフィードバックする。
【0035】
(1) 無線部13によって受信される下りのシグナリングチャネルの信号の周波数偏差Δfhr
(2) 通信衛星20によってシグナリングチャネルの上りおよび下りのリンクを介して送受信される信号の周波数偏差Δfsat
【0036】
CSCモデム12は、このようにしてフィードバックされた偏差が「0」となる値に、受信周波数を適宜補正する。
【0037】
本発明の特徴は、本実施形態では、親局10および子局30-1、30-2が通信衛星20を介して連係する点にある。
【0038】
DAMAサーバ11は、子局30-cに対するチャネルの割り付けが要求時割当て多元接続方式(DAMA:Demand Assigned Multiple Access)に基づいて行われる場合には、CSCモデム12に、所定の周期(頻度)で子局30-cにかかわるヘルスチェックを個別に要求する(図2(1))。
【0039】
CSCモデム12は、このような要求に応じて、下式(b)で示される周波数偏差(子局30-cによって送信された上りのシグナリングチャネルの信号の周波数偏差)ΔfHCc を算出し、かつDAMAサーバ11に返す(図2(2))。
【0040】
ΔfHCc =Δfvtc+Δfsat+Δfhrc−(Δfht+Δfsat+Δfhrc)
=Δfvtc−Δfht ・・・(b)
このような周波数偏差は、上式(b)に示すように、子局30-cと親局10との間における送信周波数の差に相当する。
【0041】
DAMAサーバ11は、CSCモデム12、無線部13および通信衛星20を介して形成されているシグナリングチャネルを介して子局30-c宛に、このような周波数偏差ΔfHCc を送信する(図2(3))。
【0042】
子局30-cでは、CSCモデム32-cは、無線部31-cを介してその周波数偏差ΔfHCcを受信し、かつキャンセラモデム33-cに引き渡す(図2(4))。
【0043】
キャンセラモデム33-cは、上記周波数偏差ΔfHCcが「0」となり、あるいは所望の精度で圧縮される値に、局発信号の周波数を補正する(図2(5))。このような局発信号は、自局に割り付けられ、かつ伝送信号重畳方式に基づいて上りリンクおよび下りリンクとして共用されるべきチャネルのヘテロダイン(ホモダイン)検波に供される。
【0044】
すなわち、本実施形態では、子局30-cの何れについても、親局10において既述のヘルスチェックの過程で得られた送信波の周波数偏差がシグナリングチャネルを介してその子局30-cにフィードバックされ、伝送信号重畳方式に基づいて形成されるべき上りのリンクと下りのリンクとの間におけるアイソレーションの劣化の要因となる周波数偏差の圧縮(図2(6))に供される。
【0045】
したがって、本実施形態によれは、従来例に比べて構成が大幅に変更されることなく、親局10によって子局30-cに割り付けられたチャネルの伝送品質が安価に高められ、かつ安定に維持される。
【0046】
また、本実施形態によれば、上記伝送品質の劣化の回避あるいは緩和は、既述のフィードバックによって実現されるため、キャンセラモデム33-cには、子局30-c(キャンセラモデム33-c)によって送信された信号の周波数偏差の解析および補正を図る要素が備えられなくてもよい。
【0047】
なお、本実施形態では、上記周波数偏差ΔfHCcは、シグナリングチャネルを介して親局10から子局30-cに引き渡されている。
しかし、このような周波数偏差ΔfHCcの子局30-cに対する引き渡しは、例えば、上記シグナリングチャネルに代わる無線チャネル、あるいはLAN等の如何なる伝送路や通信路を介して行われてもよい。
【0048】
さらに、本実施形態では、既述の周波数偏差ΔfHCc は、子局30-cによって送信された上りのシグナリングチャネルの信号の周波数偏差として求められている。
しかし、このような周波数偏差ΔfHCc は、所望の精度および契機に精度よく安定に求められるならば、シグナリングチャネル以外の如何なるチャネルの信号の周波数偏差で代替されてもよい。
【0049】
また、本発明は、子局30-cに割り付けられたチャネルが伝送信号重畳方式に基づいて上りのリンクと下りのリンクとに共用されるならば、このようなチャネルの割り付けを実現するためのチャネル構成、周波数配置、変調方式および多元接続方式は、如何なるものであってもよい。
【0050】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 親局
11 DAMAサーバ
12,32 CSCモデム
13,31 無線部
14 AFCモデム
20 通信衛星
30 子局
33 キャンセラモデム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局によって割り付けられたチャネルを伝送信号重畳方式に基づいて上りリンクおよび下りリンクとして共用する通信装置であって、
前記親局によって通知され、かつ前記上りのリンクを介して前記親局に到来した上り信号の周波数の偏差を取得する周波数偏差取得手段と、
前記下りのリンクを介して受信された下り信号の占有帯域を周波数軸上で前記偏差が圧縮される帯域に変換し、前記伝送情報重畳方式に基づいて前記下り信号に施されるべき信号キャンセルに供する制御手段と
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
前記偏差は、
前記チャネルの割り付けに供される特定のチャネルを介して通知される
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
伝送信号重畳方式に基づいて上りのリンクと下りのリンクとに共用されるべきチャネルを配下の通信装置に割り付ける通信制御装置であって、
前記チャネルが割り付けられた通信装置から前記上りのリンクを介して到来した信号の周波数の偏差を識別する周波数偏差識別手段と、
前記偏差を前記通信装置に通知する周波数偏差通知手段と
を備えたことを特徴とする通信制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信制御装置において、
前記周波数偏差通知手段は、
前記チャネルの割り付けに供される特定のチャネルを介して前記偏差を通知する
ことを特徴とする通信制御装置。

【図1】
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【図2】
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