説明

連結吊下具

【課題】ランドセルなどの側面に取り付けて用いる、なす環型の連結吊下具であって、安全に下履き袋などを吊り下げ使用できる。
【解決手段】連結吊下具は、取付体1とフック体2とを嵌脱可能に形成し、取付体1は軟質素材で一端に取付片7、他端に係合部5の基板10を埋設し、取付片7は硬質素材の取付カバー30で被覆し、フック体2は硬質素材で一端に軟質素材の本体24を収容できる収容部15を設け、収容部15の前面下部に舌片28用の透孔18、背面下部に突起27用の側孔19、下面にフック16を設け、本体24は前面下部に舌片28、背面下部に突起27を設け、本体24を収容部15に収容して舌片28を揺動自在にフック16に弾接し、下履き袋をフック16に吊り下げ取付片7をランドセルに取り付けて使用し障害物に引っ掛ったとき、取付体1とフック体2が抜脱させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の物品を収納した袋物あるいはアクセサリーなどをバッグの側面、特に小学生のランドセルの側面に上履きなどの運動靴を収納した袋を吊り下げるとき、あるいはリュックサック、ショルダーバッグ、手提げバッグなどの側面に取り付けて用いる、なす環型の連結吊下具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、なす環型の連結吊下具として知られているものに、図12に示すように、なす環本体と鞄の側面に固定する基板とから形成され、合成樹脂製の帯状の板体から形成された基板の取付孔を利用して鞄に取り付け、基板の幅広部分の中心に支軸を突設し、二つ折りができるクランパーは合成樹脂製の板体から形成され、両端にC字状の開口部を設けて弾力的に開口する取付部を設け、この取付部を開口して支軸に挿入できる形に形成し、クランパーを二つ折りする前になす環本体に穿った抜孔に差し込み、二つ折りして支持部を抱え込んで取付部を支軸へ挿入し、クランパーの側面に設けた突起部と先端部分にわたってカバーの開放口で被って、止軸で支軸に固定してなす環本体を取り付けることが知られている。
【特許文献1】特許第2919337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前項で述べた、図12に示すように、合成樹脂製の帯状の基板と、合成樹脂製のなす環本体とを合成樹脂製のクランパーを二つ折りして連結し、基板の中央に設けた支軸に固定したクランパーが強い引張り力が加わったとき、支軸からクランパーが抜け外れることによって、基板となす環本体とが脱却するものであり、なす環本体は支軸に対し、一定方向のみ揺動できるが、基板となす環本体との係合操作が大変面倒であること、またなす環本体を基板から取り外すと、再度係合して使用することが困難であること、さらになす環本体に対し、あらゆる方向から引張り力が働いても、なす環本体がこの引張り力に即応できないこと、また吊り下げ物品が容易かつ簡単にフックに吊り下げ、または取り外すことができないなど問題点がある。
【0004】
この発明は、上述の問題点を考慮して発明されたものであり、この発明のうち請求項1記載の発明は、学童が用いるランドセルなどの鞄の側面に取り付けて用いる、なす環型の連結吊下具であって、連結吊下具は取付体とフック体とから形成され、この取付体とフック体とは、合成ゴムなどの軟質素材から形成した部材と、金属あるいは合成樹脂などの硬質素材から形成した部材とを係合部と被係合部とによって係脱自在に組み付けて、取付体とフック体とを円滑に係合し、かつ取付体とフック体とがあらゆる方向に変位することができ、吊り下げた収納袋などが自動ドアまたは障害物に引っ掛って引き寄せられたとき、とっさに取付体とフック体とを離脱できる安全ななす環型の連結吊下具を提供することが主たる目的である。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、連結吊下具における金属あるいは合成樹脂などの硬質素材から形成したフック体のフックに収納袋などを吊り下げるために形成する開口部は、軟質素材の本体に付設した舌片を開口部に対し開放できるように揺動させることにより、開口部を自由かつ円滑に開閉できる形態に形成したなす環の連結吊下具を提供することが目的である。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、連結吊下具における金属あるいは合成樹脂などの硬質素材から形成した本体を有効かつ的確に収容するための収容部を設置し、本体を安定した状態で配したなす環型の連結吊下具を提供することが目的である。
【0007】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、連結吊下具における合成ゴムなどの軟質素材から形成した取付体または本体に対し、金属あるいは合成樹脂などの硬質素材から形成した係合部を安定した状態で固定し、かつ配設したなす環型の連結吊下具を提供することが目的である。
【0008】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、連結吊下具における合成ゴムなどの軟質素材から形成した取付体をランドセルなどの取付対象物に対し、強力に取り付け、同時に破損を未然に防止する形態に形成したなす環型の連結吊下具を提供することが目的である。
【0009】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、連結吊下具における合成ゴムなどの軟質素材から形成した取付体または本体に配設する係合部と被係合部とを複数個の連結杆と挿入孔によって、的確かつ有効に取付体と本体とを係合させることができるなす環型の連結吊下具を提供することが目的である。
【0010】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、連結吊下具における合成ゴムなどの軟質素材から形成した取付体または本体に配設する係合部と被係合部とを1個の突片と挿入孔によって、的確かつ有効に取付体と本体とを係合させることができるなす環型の連結吊下具を提供することが目的である。
【0011】
請求項8記載の発明は、請求項2記載の発明の目的に加え、連結吊下具における金属または合成樹脂などの硬質素材から形成したフック体のフックに合成ゴムなどの軟質素材から形成した本体の舌片を有効かつ適切に弾接させるための形態を特定し、円滑な操作が行えるなす環型の連結吊下具を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、この発明のうち請求項1記載の発明は、なす環型の連結吊下具は、取付体1とフック体2に固定され取付体1と係脱できる本体24とを備え持ち、取付体1と本体24とはそれぞれ合成ゴムなどの軟質素材から形成し、フック体2は金属または合成樹脂などの硬質素材から形成し、軟質素材の取付体1と本体24のいずれか一方に、軟質素材から形成した係合部5を突設し、本体24と取付体1のいずれか他方に、係合部5と係合できる被係合部25を形設したなす環型の連結吊下具を主な構成とするものである。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、軟質素材の本体24は、硬質素材のフック体2に形成した開口部20を閉塞するための舌片28を備え持ち、舌片28はフック体2の開口部20を開放すべく、フック体2のフック16の先端から前後に離間する方向へ揺動できるように形成したなす環型の連結吊下具である。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、硬質素材のフック体2は、軟質素材の本体24を収容できる収容部を備え持ち、収容部15に本体24に形成した舌片28を挿入することができる透孔18を設けたなす環型の連結吊下具である。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、軟質素材の取付体1または本体24は、内部に係合部5の基部に設けた基板10を埋設固定したなす環型の連結吊下具である。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、軟質素材の取付体1は、基台6と、基台6の上端から突出した取付片7とを備え持ち、取付片7は全体が硬質素材から形成された取付カバー30で表面を被覆し、取付片7と取付カバー30には、ランドセル37などの取付対象物に取り付ける共通する取付孔8を設けたなす環型の連結吊下具である。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、硬質素材の係合部5は、一端の基部に基板10を備え、他端に膨大状の頭部11を備えた複数の連結杆9から形成し、軟質素材の被係合部25は、各連結杆9を各々挿入できる複数の挿入孔29から形成し、挿入孔29の底部に連結杆9の頭部11が係合できる拡大部26を設けたなす環型の連結吊下具である。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加え、硬質素材の係合部5は、一端の基部に基板10を備え、他端に膨大状の頭部11を備えた1個の突片12から形成し、軟質素材の被係合部25は、突片12を挿入できる1個の挿入孔29から形成し、挿入孔29の底部に、突片12の頭部11が係合できる拡大部26を設けたなす環型の連結吊下具である。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加え、軟質素材の本体24に形成する舌片28は、先端がフック体2のフック16の先端と突き合せ状に配設され、フック体2の内方または外方へ揺動できる形態に形成したなす環型の連結吊下具である。
【発明の効果】
【0020】
この出願の請求項1記載の発明の効果として、連結吊下具は、取付体と、フック体とから形成され、取付体と係脱可能な本体とを有し、取付体と本体とを軟質素材で形成し、フック体を硬質素材で形成し、取付体と本体のいずれか一方に、硬質素材で形成した係合部を突設し、本体と取付体のいずれか他方に、係合部と係合可能な被係合部を設けたことによって、下記の効果を奏する。
【0021】
この発明のなす環型の連結吊下具は、取付体とフック体の2個の部材から形成され、これらの部材には軟質素材例えば合成ゴムなどを用い、また硬質素材として金属またはポリアセタールなどの合成樹脂を用いて形成する。取付体は軟質素材から形成しているので、取付対象物例えばランドセルなどに柔軟に取り付けることができ、しかも連結吊下具は取付部分を中心にあらゆる方向に変化することができ、利用する上からも大変便利な止具である。また取付片は硬質素材から形成された取付カバーによって被覆されているから破損する恐れがない。
【0022】
取付体とフック体とは、硬質素材の係合部と軟質素材の本体または基台とを係合させるので、柔軟な連結が達成することができ、しかも係合部は軟質素材の基台または本体に、係合部の基板を埋め込んで埋設しているから変形に即応した連結ができる。また取付体とフック体とは柔軟性に富んだ連結によって、例え収納袋などが自動ドアあるいは障害物に引っ掛ったときでも、とっさに取付体とフック体とが係合部分で離脱するので、使用上きわめて安全である。さらに取り外した取付体とフック体とは再度係合部と本体または基台とを係合させれば簡単に連結でき、学童のランドセルに装着して使用するのに好適であるなどの効果がある。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、本体は、フック体の開口部を閉塞するための舌片を有し、舌片は開口部を開放すべく、フック体のフックの先端から離間する方向へ揺動可能に形成したことによって、硬質素材から形成したフック体のフックに収容袋などを吊り下げるのに、便利な開口部を設け、この開口部を開放するべく本体に設置した舌片をフックの先端から離間する方向へ揺動させるので、収納袋を簡易にフックに取り付けることができる効果がある。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、フック体は、本体を収容可能な収容部を有し、収容部に舌片挿入用の透孔を設けてたことによって、硬質素材から形成したフック体に軟質素材から形成した本体を簡易かつ安定した状態でフック体に設置することができる効果がある。
【0025】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、取付体または本体は、内部に係合部の基端に設けた基板を埋設したことによって、軟質素材の取付体または本体に係合部を設置するのに、係合部の基部に設けた基板を単に埋設したので、安定した状態で、しかも強固に固定できる効果がある。
【0026】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、取付体は、基台と、基台の上端から突出した取付片とを有し、取付片は硬質素材で形成された取付カバーで被装され、取付片と取付カバーには、共通する取付孔を設けたことによって、軟質素材から形成した取付体の取付片を取付カバーとともに、ランドセルなどの鞄の側面に強固かつ安定した状態で取り付け、しかも取付体の破損を未然に防ぐ効果がある。
【0027】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、係合部は、一端に基板を有し、他端に膨大状の頭部を有した複数の連結杆から形成し、被係合部は、各連結杆を各々挿入可能な複数の挿入孔から形成し、挿入孔の底部に、連結杆の頭部と係合可能な拡大部を設けたことによって、係合部として簡単な構造の連結杆を採用でき、確実かつ強固に取付体とフック体とを連結し係合させることができ、しかも係合部の連結杆を適宜形態で複数配設することにより、取付体に対し、あるいはフック体に対し、フック体あるいは取付体を不用意に回動させることを未然に防ぎ、機能の優れた連結吊下具に完成させる効果がある。
【0028】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加え、係合部は、一端に基板を有し、他端に膨大状の頭部を有した一つの突片から形成し、被係合部は、突片を挿入可能な一つの挿入孔から形成し、挿入孔の底部に、突片の頭部と係合可能な拡大部を設けたことによって、係合部として簡単な構造の突片を採用でき、確実かつ強固に取付体とフック体とを連結し係合させることができ、しかも係合部を横幅が広く適宜形態の一つの突片から形成することにより、取付体に対し、あるいはフック体に対し、フック体あるいは取付体を不用意に回動させることを未然に防ぎ、機能の優れた連結吊下具に完成させる効果がある。
【0029】
請求項8記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加え、舌片は、先端がフック体のフックの先端と突き合せ状に配置され、フック体の内方または外方へ揺動可能に形成したことによって、軟質素材から形成された舌片は、対フックの先端と突き合せ状に配され、フックの先端に対し、前後に揺動できるから収納袋などの吊り下げ操作が簡単かつ容易にできる効果があるなど、この発明が奏する効果はきわめて顕著である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
この発明におけるなす環型の連結吊下具は、図1〜6に示すように、取付体1とフック体2とから形成され、取付体1は軟質素材、例えばゴム状弾性を備えた合成ゴム、天然ゴムなどから形成され、図2,4に示すように、横断面形状が長方形の基台6に、硬質素材の金属または合成樹脂製の連結杆9を複数本基台6に下方へ向けて埋め込んで埋設し、この連結杆9によって係合部5を形成する。連結杆9は基部に板状の基板10を設けて軟質素材の基台6に埋め込んで埋設する。基台6の上方には薄板状の取付片7を背面に寄った個所に突設し、この取付片7の先端側に取付孔8を穿設する。取付片7の表面には、図2,4に示すように取付片7を表面から被覆する硬質素材から形成した取付カバー30を取付片7を保護する形に配設し、この取付カバー30にも取付片7と共通する取付孔8を穿設する。
【0031】
なお、ここで基板10とは、1枚の板体のみを指すものではなく、基板10が球体であってもよく、また多角形の平板、さらに方形体をはじめとする直方体や、矢尻状の膨大部であってもよい。このような形態の膨大部を包含するものとして、基板10を採り入れ、係合部5の基部に膨大状の基板10を設け、この基板10を備えた連結杆9あるいは突片12を安定した状態で、軟質素材から形成した取付体1、または本体24に埋設して係合部5を形成する。
【0032】
一方、フック体2は、係合部5が対面する側に長方形の筒状を呈する収容部15を設け、収容部15の下端にフック16を一体に合成樹脂で成形して、硬質素材のフック体2のフレームを形成する。収容部15とフック16との接合部21に、図4,6に示すように前面すなわちフック16の先端が対面する側に透孔18を設け、背面すなわちフック16が連接されている基部側に側孔19をそれぞれ穿設する。
【0033】
この硬質素材から形成されたフック体2に取付体1に突設した係合部5の連結杆9が嵌挿する挿入孔29を設けて、係合部5と係合する被係合部25を形成する。軟質素材から形成される本体24、および下端の透孔18に挿入してフック16の開口部20を封鎖できる舌片28を設け、この舌片28とは反対側で側孔19に嵌入する突起27を形成する。さらに挿入孔29の底部には連結杆9の先端に設けた膨大状の頭部11を挟持できる拡大部26が形成され、この本体24と一体の舌片28および突起27を嵌入するとともに、本体24をフック体2の収容部15に収容してフック体2を完成する。
【0034】
取付体1とフック体2とは図1, 4に示すように取付体1の係合部5における連結杆9をフック体2に設けた収容部15に収容された本体24に被係合部25として設けた挿入孔29に嵌挿して、取付体1とフック体2とを連結して、なす環型の連結吊下具が完成する。完成された連結吊下具は図11に示すように学童のランドセル37の側面に設けられたベルト38に連結吊下具の取付体1の取付片と取付カバー30とをビス39によって取り付け固定し、フック16に吊り下げ対象物を取り付けて使用する。
【0035】
使用している時、吊り下げ対象物が例えば自動ドアに挟まれた時、あるいは障害物に引っ掛った時、吊り下げ対象物が引っ張られると、連結吊下具はその方向を向き、取付体1とフック体2との係合が解除され、取付体1とフック体2とは分離され、フック体2が取り外される。なお取り外されたフック体2は再度取付体1に係合させることによって連結し使用することができる。
【0036】
この発明におけるなす環型の連結吊下具におけるほかの実施形態は、図7〜9に示すように、前記実施形態と同様に取付体1とフック体2とから形成され、取付体1は軟質素材から形成され、図7に示すように横断面形状が長方形の基台6に硬質素材の連結杆9が挿入できる被係合部25としての挿入孔29を穿設し、上端に取付孔8を備えた取付片7を突設し、取付片7の表面には硬質素材で取付孔8を備えた取付カバー30で被覆して取付片7を保護する。
【0037】
フック体2は、硬質素材からフレームを形成し、図7,9に示すように、上面に本体24の突出部32が挿入できる差込孔34を設け、フック体2の前面下部に内側へ向けて屈曲片33を設け、この屈曲片33の下方に舌片28が挿入できる透孔18を設け、背面は全面が開放され下面にフック16を一体に設けて、本体24を収容できる収容部15を形成する。
【0038】
本体24は、軟質素材から形成し、上面に硬質素材から形成し、基部に基板10を備えた連結杆9を埋設して、先端の頭部11を取付体1の基台6に形成した被係合部25としての挿入孔29に挿入できる形に形成し、本体24の上面に突出部32を設けて、フック体2の差込孔34に挿入し、前面中央に凹状の差込部31を設けて、収容部15の前面に設けた屈曲片33を挿入し、その前面下方に揺動できる舌片28を垂設する。
【0039】
この本体24をフック体2の背面に形成された開放部分を利用して、フック体2の上面に連結杆9が突出するように差込孔34へ突出部32を挿入し、その後で本体24を弾力的に屈曲して下端の透孔18から舌片28を突出し垂下できるように挿入し、差込部31を屈曲片33に差し込み固定してフック体2を形成する。なお舌片28の先端はフック16の先端に突き合せ状に弾接してフック体2は完成する。
【実施例1】
【0040】
図1〜6に示した実施例1のなす環型の連結吊下具は、取付体1とフック体2とから形成され、取付体1は軟質素材、例えばゴム状弾性を備えた合成ゴム、1例をあげればシリコンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴムなどから形成され、図2,4に示すように取付体1の下端には横断面長方形の台状の基台6を設け、この基台6の下面に突出する連結杆9を金属あるいは合成樹脂例えば熱可塑性樹脂のポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートなどから成形した連結杆9を複数本突設する。連結杆9の基部には板状の基板10を設けて、軟質素材の基台6に埋め込んで埋設し、連結杆9の先端には膨大状の頭部11を設けることによって、フック体2と連結することができる係合部5を形成する。
【0041】
取付体1の基台6の上端には、薄板状の取付片7を基台6の背面に寄った位置に上方へ向け突出するように設ける。この取付片7の先端側には取付対象物例えばランドセル37に取付体1を取り付けるための取付孔8を穿設し、この取付片7の表面には柔軟な取付片7を保護するため、図2,3に示すように取付片7の表面および側面を被覆する形で取付カバー30を取り付け、この取付カバー30は硬質素材の合成樹脂から成形し、この取付カバー30にも取付片7に設けた取付孔8と共通する取付孔8を設けてビス39が挿通できるように形成し、取付体1と取付カバー30を一緒にランドセル37などの取付対象物にビス39によって取り付ける。
【0042】
フック体2は、取付体1の係合部5が対面する側に横断面長方形の筒状を呈する収容部15を設け、この収容部15の下端にフック16を一体に形成し、硬質素材の合成樹脂、例えばポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いてフレームを成形して、硬質素材のフック体2を形成する。収容部15とフック16との接合部21に図3,4,6に示すようにフック体2の前面すなわちフック16の開口部20側に透孔18を穿設し、この透孔18とは反対側すなわち背面におけるフック16の基部に側孔19を穿設する。
【0043】
硬質素材のフック体2の収容部15に装着し、取付体1の係合部5を嵌挿する軟質素材から形成され、図3,6に示したように、横断面長方形を呈する直方体の本体24は、取付体1に設置した係合部5の連結杆9が嵌挿できる被係合部25としての断面円形の挿入孔29を連結杆9の数だけ設け、各挿入孔29の底部に連結杆9の膨大状の頭部11が嵌り込む拡大部26を設けて頭部11を挟持する。本体24の下端前面の中央には舌状の舌片28を突出させ、フック16の開口部20を封鎖させる。また舌片28とは反対側の中央に、図5に示すように突起27を突設してフック体2の側孔19に挿入し、舌片28の基部と突起27によって軟質素材の本体24が収容部15から脱落するのを防ぐ形態に形成されている。
【0044】
この本体24をフック体2の収容部15に舌片28側から挿入し、舌片28を透孔18から外部へ突出させ前後に揺動可能に形成して、フック16の先端と突き合せ状に配し、背面の突起27を側孔19に嵌入して、本体24を収容部15に強固に嵌合させて固定する。
【0045】
取付対象物、例えばランドセル37に取り付けた取付体1にフック体2を連結するには、図4に示すとおり、取付体1の基台6に突設した硬質素材の係合部5の各連結杆9をフック体2に装備した軟質素材の本体24に設けた被係合部25としての各挿入孔29に強圧的に挿入することによって、連結杆9の頭部11を本体に設けた拡大部26に嵌入して取付体1とフック体2とを連結する。連結したフック体2のフック16に舌片28を押圧して吊り下げ対象物例えば上履きまたは運動靴などを袋に収めた袋体をフック16に吊り下げる。
【0046】
使用中に吊り下げ対象物が例えば自動ドアに挟まれた時、あるいは障害物に引っ掛った時、吊り下げ対象物が引っ張られると、取付体1とフック体2とは引張力が働く方向へ向き、耐えられなくなると取付体1とフック体2とは分離される。すなわち取付体1の係合部5がフック体2における本体24に設けた被係合部25の挿入孔29から脱落してフック体2が取付体1から取り外されるので、危害が他に及ばないから安全である。なお取り外されたフック体2は再度取付体1と係合させることによって連結し使用することができる。
【実施例2】
【0047】
図7〜9に示した実施例2のなす環型の連結吊下具は、実施例1と同様の素材から形成した取付体1とフック体2とから形成され、取付体1は軟質素材を用いフック体2は硬質素材を用いてフレームを形成し、このフレームに軟質素材の本体24を収容し、本体24に取り付けられた硬質素材の連結杆9を取付体1の基台6に設けた挿入孔29に挿入して取付体1とフック体2とを嵌脱可能に形成したなす環型の連結吊下具である。
【0048】
詳述すると、取付体1は図7〜9に示すように、軟質素材から形成し横断面形状が長方形を呈する面に、硬質素材の係合部5を挿入できる被係合部25として挿入孔29を設け、挿入孔29は、基台6の背面側へ片寄った位置に設け、この挿入孔29は係合部5としての連結杆9の数だけ横並びに設け、挿入孔29の深部には口径が拡大する拡大部26を設けて、連結杆9の膨大状の頭部11を挟持する形に形成する。基台6の上面にはランドセルなどに取り付けるための取付片7を突設し、取付片7には取付孔8が穿設されている。この取付片7を表面および側面を被覆する硬質素材から形成された取付カバー30を被装する。取付カバー30にも取付片7と共通するビス39が挿通できる取付孔8を穿設する。
【0049】
フック体2は、硬質素材からフレームを形成し、フレームの上面に連結杆9を挿入できる差込孔34を連結杆9の数だけ設置するか、または横方向に1個の直列状の差込孔34を穿設する。フック体2の前面中央に、内側へ向けて突出する屈曲片33を設け、その下方に舌片28が挿通できる透孔18を設け、下端にフック16を一体に設け、フック16の上方背面は全面的に開放する形に形成して、本体24を収容する収容部15を設ける。下方に設置するフック16は前面が開口する開口部20を設けて吊り下げ対象物の装着が容易にできるように形成する。
【0050】
本体24は軟質素材から形成され、図7,9から明確なとおり、本体24の上面から係合部5としての連結杆9が突出し、取付体1の基台6に被係合部25として設けた挿入孔29に挿入できる。連結杆9の突出部分はフック体2に設けた差込孔34に挿入できる突出部32を設け、連結杆9は基部に基板10を設けて本体24に埋め込み埋設する。本体24の前面中央に横方向に1条の凹状の差込部31を設けてフック体2に形成された屈曲片33を差し込む。この差込部31の下方前面に舌片28を垂下状に設けて、フック体2の透孔18に挿通でき、舌片28の背面側はフック16の上面、接合部21に載置できるように形成されている。
【0051】
本体24をフック体2に装着するには、フック体2の背面に形成された開放部分を利用して、フック体2の上面に設けた差込孔34へ、連結杆9および突出部32を挿入する。その後で舌片28を透孔18に挿入するため、本体24を弾力的に屈曲して舌片28の先端を透孔18に挿通して垂下状に突出させ、本体24が接合部21上に載置させて、前面の差込部31に屈曲片33を差し込み固定し、舌片28の先端はフック16の先端と突き合せ状に弾接させ、舌片28は前後に揺動できるようにセットしフック体2が完成する。完成されたフック体2はランドセル37に取り付けた取付体1に係合部5と被係合部25をもって連結し使用する。
【実施例3】
【0052】
図10に示した実施例3のなす環型の連結吊下具は、軟質素材の取付体1の基台6に硬質素材の係合部5を突設し、この係合部5は第1,2実施例とは異なり1枚の横幅が広い板体の突片12から形成され、突片12の基部には長方形の基板10が設けられ、突片12の先端には片面へ突出する矢印状の頭部11を形成し、また頭部11の形状は両面へ突出する矢印状、さらに膨大状の頭部11であってもよく適宜形状の頭部11を具有する。突片12の基板10は軟質素材の基台6に埋め込んで固定する以外は取付体1の形態は実施例1と同様である。
【0053】
一方、フック体2は横断面形状が長方形の筒状を呈する収容部15を設け、この収容部15に収容する本体24は軟質素材から形成され、横断面形状が長方形を呈する直方体から形成され、取付体1に設けた係合部5の突片12を受け入れるため、本体24の中央に横一文字状の被係合部25としての挿入孔29を設け、この挿入孔29の底部には係合部5の頭部11と合致する形状の拡大部26を設けて頭部11を強固に挟持する。挿入孔29の形状は係合部5の突片12に合わせて形成し、これ以外のフック体2の形態は実施例1と同様である。
【0054】
なお、突片12はフック体2に設置した本体24に設けて、取付体1の基台6に設けた挿入孔29に挿入し取付体1とフック体2とを連結してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
この発明のなす環型の連結吊下具は、学童のランドセルをはじめ、リュックサック、ショルダーバッグ、手提げバッグの側面に取り付けて、上履、運動靴を収容した袋体またはアクセサリーなどを吊り下げるのに用いる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例1に基づく、連結吊下具の斜視図である。
【図2】同上の取付体の縦断面図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】同上の係合時における縦断面図である。
【図5】同上のフック体の斜視図である。
【図6】同上のフック体の縦断面図である。
【図7】実施例2に基づく連結吊下具の分解斜視図である。
【図8】同上の係合時における縦断面図である。
【図9】同上の分解斜視図である。
【図10】実施例3に基づく連結吊下具の要部の斜視図である。
【図11】ランドセルに用いた斜視図である。
【図12】公知のなす環型の連結吊下具の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1 取付体
2 フック体
5 係合部
6 基台
7 取付片
8 取付孔
9 連結杆
10 基板
11 頭部
12 突片
15 収容部
16 フック
18 透孔
19 側孔
20 開口部
24 本体
25 被係合部
26 拡大部
27 突起
28 舌片
29 挿入孔
30 取付カバー
31 差込部
32 突出片
33 屈曲片
34 差込孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結吊下具は、取付体1と、フック体2とから形成され、取付体1と係脱可能な本体24とを有し、取付体1と本体24とを軟質素材で形成し、フック体2を硬質素材で形成し、取付体1と本体24のいずれか一方に、硬質素材で形成した係合部5を突設し、本体24と取付体1のいずれか他方に、係合部5と係合可能な被係合部25を設けたことを特徴とする連結吊下具。
【請求項2】
本体24は、フック体2の開口部20を閉塞するための舌片28を有し、舌片28は開口部20を開放すべく、フック体2のフック16の先端から離間する方向へ揺動可能に形成してなる請求項1記載の連結吊下具。
【請求項3】
フック体2は、本体24を収容可能な収容部15を有し、収容部15に舌片28挿入用の透孔18を設けてなる請求項1記載の連結吊下具。
【請求項4】
取付体1または本体24は、内部に係合部5の基端に設けた基板10を埋設してなる請求項1記載の連結吊下具。
【請求項5】
取付体1は、基台6と、基台6の上端から突出した取付片7とを有し、取付片7は硬質素材で形成された取付カバー30で被装され、取付片7と取付カバー30には、共通する取付孔8を設けてなる請求項1記載の連結吊下具。
【請求項6】
係合部5は、一端に基板10を有し、他端に膨大状の頭部11を有した複数の連結杆9から形成し、被係合部25は、各連結杆9を各々挿入可能な複数の挿入孔29から形成し、挿入孔29の底部に、連結杆9の頭部11と係合可能な拡大部26を設けてなる請求項1記載の連結吊下具。
【請求項7】
係合部5は、一端に基板10を有し、他端に膨大状の頭部11を有した一つの突片12から形成し、被係合部25は、突片12を挿入可能な一つの挿入孔29から形成し、挿入孔29の底部に、突片12の頭部11と係合可能な拡大部26を設けてなる請求項1記載の連結吊下具。
【請求項8】
舌片28は、先端がフック体2のフック16の先端と突き合せ状に配置され、フック体2の内方または外方へ揺動可能に形成してなる請求項2記載の連結吊下具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−197859(P2009−197859A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38755(P2008−38755)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】