説明

運動補助具及びその製造方法

【課題】身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動が安定して行えるとともに、良好な使い易さ及び使い心地を得ることができる運動補助具及びその製造方法の提供する。
【解決手段】硬質の材料にて中実円柱形状に形成した部材29を、該部材29の径方向中心点Pを中心として対称位置に設定した仮想切断線A3に沿って長手方向A2に切断する。部材29から分離した外層部20よりも硬質の材料からなる内層部30を、内層部30の長手方向A2から見て上部側曲面50Cで下部側平面50Bとなる断面形状に形成する。内層部30よりも弾性を有する軟質の材料にて板状に形成した外層部を、内層部30の上部側曲面50Cに沿って同一の曲率半径に変形するとともに、内層部30の上部側曲面50Cに対して一体的に接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば背、腰、下肢等の身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動に用いられる運動補助具及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の運動補助具としては、例えば弾性を有する軟質な材料からなる外形が円柱形状の外装部と、この外装部の直径方向の中心部に略円柱形状の領域を占め、外装部よりも硬質な材料からなる芯部とを備えた運動補助具(特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
しかし、特許文献2の運動補助具は、略円柱形状を有しており、例えば床や畳等の所望する運動場所に接地した際の接地高さが運動補助具の直径と同一であるため、運動補助具が周方向に転動しやすく、接地位置が安定しない。したがって、例えば高齢者や非健常者等のバランス能力に問題のある利用者は、その不安定感により身体に緊張が生じてしまい、十分な運動効果が得られないという問題があった。
【0004】
そこで、上述の運動補助具を径方向の中心点を通る仮想線に沿って切断して半円形状に分離することによって、運動補助具の接地高さを半分程度に低くすることができるが、それでも、円柱形状を有する運動補助具の半径と同一の接地高さとなるだけである。
【0005】
つまり、半円形状の運動補助具を、下部側平面が下向きとなる姿勢のまま運動場所に接地しても、身体の部位を運動補助具に載せる際、半円形状を有する運動補助具の上部側周面よりも上方に高く持ち上げなければならず、その際、身体を手で支えたり、身体の姿勢を変えたりする必要があるため、利用者に与える負担が大きく、使い勝手が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3143166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動が安定して行えるとともに、良好な使い易さ及び使い心地を得ることができる運動補助具及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、弾性を有する軟質の材料にて形成した外層部と、該外層部よりも硬質の材料にて形成した内層部とを上下に接合して具本体を構成し、前記具本体を長手方向から見て上部側が曲面で下部側が平面となる断面形状に形成し、前記具本体の下部側平面を、該下部側平面よりも下方に仮想設定した中心点よりも上位となる高さに形成し、前記外層部及び前記内層部の上部側を、前記具本体の上部側曲面と対応して前記中心点を中心として所定の曲率半径の曲面に形成した運動補助具であることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動が安定して行えるとともに、良好な使い易さ及び使い心地を得ることができる。
また、例えば高齢者、非健常者等の利用者が運動に使用する際、利用者の負担が軽減されるだけでなく、利用者が不安定感を感じたり、使用時に身体が緊張することを防止でき、十分な運動効果を得ることができる。
【0010】
詳述すると、弾性を有する軟質の材料にて形成した外層部と、該外層部よりも硬質の材料にて形成した内層部とを上下に接合してなる具本体を、該具本体の長手方向から見て上部側が曲面で下部側が平面となる断面形状に形成し、具本体の下部側平面を、該下部側平面よりも下方に仮想設定した中心点よりも上位となる高さに形成し、外層部及び前記内層部の上部側を、具本体の上部側曲面と対応して前記中心点を中心として所定の曲率半径の曲面に形成している。
これにより、具本体の平面が中心点よりも上位に形成されるので、運動補助具の接地高さは、従来例の半円形状を有する運動補助具の半径よりも低くなる。
【0011】
すなわち、運動補助具の曲面を運動に適した曲面に保ったまま、運動が楽に行える高さに接地することができるので、例えば背、腰、下肢等の身体の部位を運動補助具に載せる際、部位を高く持ち上げたり、部位を手で支えたりする必要がなく、身体の部位を載せたり、降ろしたりする動作が楽に行える。
これにより、利用者に与える負担が軽減され、無理な姿勢を取ることなく使用することができる。
【0012】
さらに、身体の部位を運動補助具に載せた際、その部位の外面形状に対応して外層部が変形するので、部位に付与される衝撃を吸収緩和することができる。また、外層部の変形によって身体の部位が受ける反発力を軽減するので、当りの柔らかい使用感やフィット感を得ることができる。
【0013】
さらにまた、例えば利用者の体重や圧力、曲げ力等の応力が運動補助具の一部に加えられても、一体的に接合された外層部と内層部との接合面が剥離しにくく、接合状態が長期に亘り維持されるので、耐久性の向上を図ることができる。
【0014】
また、身体の部位を載せた際に付加される衝撃や重量によって外層部が変形しても、該外層部よりも硬質の材料からなる内層部はほとんど変形せず、予め設定された高さを保つことができる。
【0015】
この結果、内層部によって身体の部位が支持され、身体の部位を外層部の曲面に載せた際と同様に、内層部の高さ及び曲面に応じて、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果を得ることができる。
【0016】
また、運動補助具を平面が下向きとなる姿勢に保持して、例えば床や畳等の所望する運動場所に接地することにより、従来例の円柱形状を有する運動補助具に比べて、本発明の運動補助具の接地面積が大きく、接地の位置や方向が変位することを防止するのに必要な接地抵抗が得られる。
【0017】
身体の部位を運動補助具の曲面に載せる際、或いは、載せた後、さらに、運動中において、運動補助具の接地の位置や方向が変位することを防止でき、所望する場所に接地された状態を維持することができる。
【0018】
なお、上述の運動は、例えば背、腰、下肢等の身体の部位を伸ばす、曲げる、曲げ伸ばし等を含むものである。また、身体の部位は、例えば背、腰、下肢、腕、肩、首、胸、腹等を含むものである。
【0019】
この発明の態様として、前記外層部よりも硬質の材料にて中実円柱形状に形成した部材に、該部材の径方向中心点を中心とする対称位置に仮想切断線を設定し、前記内層部を、前記部材を仮想切断線に沿って長手方向に切断して分離するとともに、該長手方向から見て上部側が曲面で下部側が平面となる断面形状に形成し、前記内層部に接合した前記外層部を、前記内層部の上部側曲面と対応する大きさ及び形状で、該内層部の上部側曲面に沿って同一の曲率半径に変形可能な板状の部材で構成することができる。
【0020】
この発明によれば、外層部を、内層部の上部側曲面と対応する大きさ及び形状で、該上部側曲面に沿って同一の曲率半径に変形可能な板状の部材で構成するので、運動補助具の一個当りに要する単価及び製造コストの低減を図ることができる。
【0021】
詳述すると、中実円柱形状の部材を仮想切断線に沿って長手方向に切断し、該部材から分離した内層部の上部側曲面に、板状の部材からなる外層部を該内層部の上部側曲面と同一の曲率半径に変形して接合している。
これにより、外層部の損失が少なくて済み、具全体の材料費が安価となるので、製造時の単価及びコストを低減することができる。
【0022】
また、この発明の態様として、中空円筒形状に形成した前記外層部の内部に、中実円柱形状に形成した前記内層部を配置し、前記外層部と前記内層部との対向周面を一体的に接合してなる中実円柱形状の部材に、該部材の径方向中心点を中心とする対称位置に仮想切断線を設定し、前記具本体を、前記部材を仮想切断線に沿って長手方向に切断して分離するとともに、該長手方向から見て上部側が曲面で下部側が平面となる断面形状に形成することができる。
【0023】
この発明によれば、例えば利用者の体重や圧力、曲げ力等の応力が運動補助具の一部に加えられても、外層部と内層部との接合面が剥離しにくく、接合状態が長期に亘り維持されるので、耐久性の向上を図ることができる。
【0024】
詳述すると、中空円筒形状に形成した外層部の内部に、中実円柱形状に形成した内層部を配置して、具本体を、外層部と内層部とを一体的に接合してなる具本体を仮想切断線に沿って長手方向に切断して形成している。
これにより、例えば板状の外層部を変形して内層部の上部側曲面に接合するよりも、外層部自体が板状に復元しにくく、外層部と内層部との接合面に剥離が生じることを防止できる。
【0025】
また、この発明の態様として、前記外層部の曲面を、前記仮想設定した中心点を中心として100mm〜200mmの範囲に含まれる直径で描いた曲面に形成することができる。
この発明によれば、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動に適した接触面積及び押付け圧を得ることができる。
【0026】
詳述すると、外層部の曲面を、直径100mm以下の小さな曲面に形成した場合、身体の部位を載せた部分の接触面積が小さくなるが、部位に付与される押付け圧が一部に集中するため、身体の部位が必要以上に緊張されてしまうことになり、部位の筋肉や腱などを痛めやすくなる。
【0027】
また、直径200mm以上の大きな曲面に形成した場合、身体の部位を載せた部分の接触面積が大きくなるが、部位に付与される押付け圧が拡散されるため、身体の部位の筋肉や腱などを緩める効果が弱くなってしまい、十分な運動効果が得られない。
【0028】
したがって、外層部の曲面は、直径100mm〜200mmの範囲に含まれる曲面に形成するのがよい。好ましくは、直径125mm〜175mmの範囲に含まれる曲面に形成するとよく、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動に適した接触面積及び押付け圧が得られる。
【0029】
また、この発明の態様として、前記具全体の接地高さを、70mm〜120mmの範囲に含まれる高さに設定することができる。
この発明によれば、身体の緊張を緩めようとする部位の運動が積極的に行え、該部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果が十分に得られる。
【0030】
詳述すると、運動補助具の接地高さを70mm以下に設定した場合、身体の部位を載せ降ろしする際の高低差が小さくなり、利用者に与える負担が軽減されるが、運動補助具に載せた部位に近い部分が接地面に接地されてしまうため、身体の部位の筋肉や腱などを緩める効果が弱く、十分な運動効果が得られない。
【0031】
また、接地高さを120mm以上に設定した場合、身体の部位を運動補助具に載せた際、その部位に近い部分が接地面に接地されにくくなるため、部位の筋肉や腱などを緩めるための効果が十分に得られるが、身体の部位を載せ降ろしする際の高低差が大きくなるので、利用者に与える負担が大きくなる。
【0032】
したがって、運動補助具の接地高さは、70mm〜120mmの範囲に含まれる高さに形成するのがよい。好ましくは、95mm〜100mmの範囲に含まれる高さに形成するとよく、利用者の負担を軽減する効果と、身体の部位の筋肉や腱などを緩める運動効果とが十分に得られる。
【0033】
また、この発明の態様として、前記外層部の厚さを、5mm〜20mmの範囲に含まれる厚さに形成することができる。
この発明によれば、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果を得ることができるとともに、該部位を載せた際に付与される衝撃を吸収緩和する効果と、該部位が受ける反発力を軽減する効果とが相乗して得られる状態を保つことができる。
【0034】
詳述すると、外層部の厚さを5mm以下に形成した場合、身体の部位を内層部に直接載せた状態となり、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果が得られるが、身体の部位に付与される衝撃を吸収緩和する効果が弱くなるので、部位に付与される衝撃が大きく、身体の部位を載せた際の当りが強くなるため、使い心地が悪い。
【0035】
また、厚さを20mm以上に形成した場合、身体の部位に付与される衝撃が吸収緩和されるので、身体の部位を載せた際の当りが弱く、使い心地が良好となるが、部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果が弱くなる。
【0036】
したがって、外層部の厚さは、5mm〜20mmの範囲に含まれる厚さに形成している。好ましくは、7.5mm〜15mm、あるいは、5mm〜12.5mmの範囲に含まれる厚さに形成するとよく、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果と、該部位に付与される衝撃を吸収緩和する効果と、該部位が受ける反発力を軽減する効果とが得られる。
【0037】
また、この発明の態様として、前記内層部の接地高さを、50mm〜80mmの範囲に含まれる高さに設定することができる。
この発明によれば、身体の部位を内層部にて支持することができるので、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果を得ることができる。
【0038】
詳述すると、内層部の接地高さを50mm以下に設定した場合、運動補助具全体の接地高さが低くなるので、運動補助具に載せた部位に近い部分が接地面に接地されてしまい、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果が十分に得られない。
【0039】
また、接地高さを80mm以上に設定した場合、運動補助具全体の接地高さが高くなるので、運動補助具に載せた部位に近い部分が接地面に接地されることがないが、身体の部位を載せ降ろしする際の高低差が大きくなってしまい、利用者に与える負担が大きくなる。
【0040】
したがって、内層部の接地高さは、前記50mm〜80mmの範囲で設定した運動補助具全体の接地高さから、前記5mm〜20mmの範囲で設定した外層部の厚さを減算した高さとするのがよい。
【0041】
すなわち、身体の部位を載せた際に付加される衝撃や重量によって、軟質の材料からなる外層部が変形するが、該外層部よりも硬質の材料からなる内層部はほとんど変形せず、予め設定された接地高さを保つことができる。
【0042】
また、この発明は、硬質の材料にて中実円柱形状に形成した部材を、該部材の径方向中心点を中心として対称位置に設定した仮想切断線に沿って長手方向に切断し、前記中実円柱形状の部材を長手方向から見て上部側が曲面で下部側が平面となる断面形状の内層部に分離し、前記内層部の下部側平面を、該下部側平面よりも下方に仮想設定した中心点よりも上位となる高さに形成し、前記内層部の上部側曲面を、前記中心点を中心として所定の曲率半径に形成し、前記内層部よりも弾性を有する軟質の材料にて板状に形成した外層部を、前記内層部の上部側曲面に沿って同一の曲率半径に変形するとともに、該内層部の上部側曲面に対して一体的に接合する運動補助具の製造方法であることを特徴とする。
【0043】
この発明によれば、外層部を、内層部の上部側曲面と対応する大きさ及び形状で、該上部側曲面に沿って同一の曲率半径に変形可能な板状の部材で構成するので、運動補助具の一個当りに要する単価及び製造コストの低減を図ることができる。
【0044】
詳述すると、中実円柱形状の部材を仮想切断線に沿って長手方向に切断し、該部材から分離した内層部の上部側曲面に、板状の部材からなる外層部を該内層部の上部側曲面と同一の曲率半径に変形して一体的に接合して製造する。
これにより、外層部の損失が少なくて済み、具全体の材料費が安価となるので、製造時の単価及びコストを低減することができる。
【0045】
また、この発明は、弾性を有する軟質の材料にて中空円筒形状に形成した外層部の内部に、該外層部よりも硬質の材料にて中実円柱形状に形成した内層部を配置し、前記外層部と前記内層部との対向周面を一体的に接合してなる中実円柱形状の部材に、該部材の径方向中心点を中心とする対称位置に仮想切断線を設定し、前記中実円柱形状の部材を前記仮想切断線に沿って長手方向に切断し、前記部材を長手方向から見て上部側が曲面で下部側が平面となる断面形状の具本体に分離し、前記具本体の下部側平面を、該下部側平面よりも下方に仮想設定した中心点よりも上位となる高さに形成し、前記外層部及び内層部の上部側を、前記具本体の上部側曲面と対応して前記中心点を中心として所定の曲率半径の曲面に形成する運動補助具の製造方法であることを特徴とする。
【0046】
この発明によれば、例えば利用者の体重や圧力、曲げ力等の応力が運動補助具の一部に加えられても、外層部と内層部との接合面が剥離しにくく、接合状態が長期に亘り維持されるので、耐久性の向上を図ることができる。
【0047】
詳述すると、中空円筒形状に形成した外層部の内部に、中実円柱形状に形成した内層部を配置して、外層部と内層部とを一体的に接合してなる具本体を仮想切断線に沿って長手方向に切断して製造する。
【0048】
これにより、例えば板状の外層部を変形して内層部の上部側曲面に接合するよりも、外層部自体が板状に復元しにくく、外層部と内層部との接合面に剥離が生じることを防止できる。また、中実円柱形状の部材を仮想切断線に沿って切断するだけで簡単に製造することができる。
【0049】
すなわち、前記運動補助具を、前者又は後者の製造方法にて製造すれば、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動が安定して行えるとともに、良好な使い易さ及び使い心地が得られる運動補助具を製造することができる。
【0050】
使用時において、利用者の負担が軽減されるだけでなく、利用者が不安定感を感じたり、使用時に身体が緊張することを防止でき、十分な運動効果を得ることができる。
【0051】
さらに、外層部の変形によって身体の部位に付与される衝撃が吸収緩和され、該部位が受ける反発力を軽減するので、当りの柔らかい使用感やフィット感を得ることができる。
【0052】
さらにまた、中空円筒形状を有する外層部の内部に、中実円柱形状を有する内層部を配置して一体的に接合しているので、例えば利用者の体重や圧力、曲げ力等の応力が運動補助具の一部に加えられても、一体的に接合された外層部と内層部との接合面が剥離しにくく、耐久性の向上を図ることができる。
【0053】
前記外層部は、例えばウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂フォーム、発泡ゴム、フェルト材、綿材等の中から選択された少なくとも1つの材料で構成することができる。
【0054】
また、内層部は、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラストマー、ポロエチレンテレフタレート、ゴム、木材、金属材料、紙系材料等の中から選択された少なくとも1つの材料で構成することができる。
また、接着剤は、前記材料からなる外層部と内層部とを一体的に接着するのに適したゴム系の接着剤で構成することができる。
【発明の効果】
【0055】
この発明によれば、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動が安定して行えるとともに、良好な使い易さ及び使い心地を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態の運動補助具の外観斜視図及びA−A線矢視断面図。
【図2】板状の外層部を内層部に接合する方法の説明斜視図。
【図3】中実円柱形状の部材から内層部を形成する方法の説明斜視図。
【図4】中空円筒形状の外層部を形成する方法の説明斜視図。
【図5】外層部と内層部とを一体的に接合する接合方法の説明斜視図。
【図6】図5の部材を切断して運動補助具を製作する方法の説明斜視図。
【図7】外層部と内層部とを一体的に接合する他の接合方法の説明斜視図。
【図8】図7の部材を切断して運動補助具を製作する方法の説明斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0057】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1[a]は本実施形態の運動補助具10の外観斜視図、図1[b]は運動補助具10のA−A線矢視断面図である。
【0058】
本実施形態の運動補助具10は、弾性を有する軟質の材料にて形成した外層部20と、該外層部20よりも硬質の材料にて形成した内層部30と、外層部20を内層部30の上部側周面に対して一体的に接合してなる具本体40とで構成している。
【0059】
また、具本体40の長手方向A2と直交する面で切断した断面形状は、該具本体40の長手方向A2から見て上部側が曲面で、下部側が平面となる略円弧形状に形成している(図1[b]参照)。
【0060】
運動補助具10の上部側曲面50Aは、下部側平面50Bの幅方向中心部より所定高さHだけ下方に仮想設定した中心点Pを中心として描いた滑らかな曲面に形成している。また、下部側平面50Bは、その中心点Pよりも所定高さHだけ上位となる高さに形成している。
【0061】
また、上部側曲面50Aは、上記仮想設定した中心点Pを中心とする直径100mm〜200mmの範囲に含まれる直径Dで描いた滑らかな円弧状の曲面に形成している(図1[b]参照)。
【0062】
上部側曲面50Aを、直径100mm以下の小さな曲面に形成した場合、例えば背、腰、下肢等の身体の部位を載せた部分の接触面積が小さくなるが、部位に付与される押付け圧が一部に集中するため、身体の部位が必要以上に緊張されてしまうことになり、部位の筋肉や腱などを痛めやすくなる。
【0063】
また、直径200mm以上の大きな曲面に形成した場合、身体の部位を載せた部分の接触面積が大きくなるが、部位に付与される押付け圧が拡散されるため、身体の部位の筋肉や腱などを緩める効果が弱くなってしまい、十分な運動効果が得られない。
【0064】
したがって、上部側曲面50Aは、直径100mm〜200mmの範囲に含まれる曲面に形成するのがよい。好ましくは、直径125mm〜175mmの範囲に含まれる曲面に形成するとよい。
【0065】
この結果、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動に適した接触面積及び押付け圧を得ることができ、身体の部位の筋肉や腱などを傷めることなく、該部位を緩めるための運動効果が十分に得られる。
【0066】
運動補助具10の接地高さHは、70mm〜120mmの範囲に含まれる高さに設定している(図1[b]参照)。なお、接地高さHは、下部側平面50Bの幅方向中心部から上部側曲面50Aの頂部に至る寸法と対応している。
【0067】
接地高さHを70mm以下に設定した場合、身体の部位を載せ降ろしする際の高低差が小さくなり、利用者に与える負担が軽減されるが、運動補助具10に載せた部位に近い部分が接地面に接地されてしまうため、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための効果が弱く、十分な運動効果が得られない。
【0068】
また、接地高さHを120mm以上に設定した場合、身体の部位を運動補助具10に載せた際、その部位に近い部分が接地面に接地されにくくなるため、部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果が十分に得られるが、身体の部位を載せ降ろしする際の高低差が大きくなるので、利用者に与える負担が大きくなる。
【0069】
したがって、運動補助具10の接地高さHは、70mm〜120mmの範囲に含まれる高さに形成するのがよい。好ましくは、95mm〜100mmの範囲に含まれる高さに形成するとよい。
【0070】
この結果、利用者の負担を軽減する効果と、身体の部位の筋肉や腱などを緩める十分な運動効果とが得られる。また、身体の緊張を緩めようとする部位の運動が積極的に行え、該部位の筋肉や腱などを緩める効果が十分に得られる。
【0071】
外層部20の径方向の厚さTは、5mm〜20mmの範囲に含まれる厚さに形成している(図1[b]参照)。
外層部20の厚さTを5mm以下に形成した場合、身体の部位を内層部30に直接載せた状態となり、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果が得られるが、身体の部位に付与される衝撃を吸収緩和する効果が弱くなるので、部位に付与される衝撃が大きく、当りが強くなるため、使い心地が悪くなる。
【0072】
また、厚さTを20mm以上に形成した場合、身体の部位に付与される衝撃が吸収緩和されるので、身体の部位を載せた際の当りが弱く、使い心地が良好となるが、部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果が弱くなる。
【0073】
したがって、外層部20の厚さTは、5mm〜20mmの範囲に含まれる厚さに形成するのがよい。好ましくは、7.5mm〜15mmの範囲に含まれる厚さTに形成するとよい。
【0074】
この結果、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果を得ることができるとともに、該部位を載せた際に付与される衝撃を吸収緩和する効果と、該部位が受ける反発力を軽減する効果とが相乗して得られる状態を保つことができる。
【0075】
内層部30の接地高さHは、前記接地高さHから前記外層部20の厚さTを減算した高さで、50mm〜80mmの範囲に含まれる高さに設定している。なお、接地高さHは、内層部30の下部側平面50Bの幅方向中心部から該内層部30の上部側曲面50Aの頂部に至る寸法と対応している。
【0076】
内層部30の接地高さHを50mm以下に設定した場合、運動補助具10の全体的な接地高さHが低くなるので、運動補助具10に載せた部位に近い部分が接地面に接地されてしまい、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果が十分に得られない。
【0077】
また、接地高さHを80mm以上に設定した場合、運動補助具10の全体的な接地高さHが高くなるので、運動補助具10に載せた部位に近い部分が接地面に接地されることがないが、身体の部位を載せ降ろしする際の高低差が大きくなってしまい、利用者に与える負担が大きくなる。
【0078】
したがって、内層部30の接地高さHは、前記50mm〜80mmの範囲で設定した接地高さHから、前記5mm〜13mmの範囲で設定した外層部20の厚さTを減算した高さとするのがよい。
【0079】
すなわち、身体の部位を載せた際に付加される衝撃や重量によって、軟質の材料からなる外層部20が変形しても、該外層部20よりも硬質の材料からなる内層部30はほとんど変形せず、予め設定された接地高さHを保つことができる。
【0080】
この結果、身体の部位を内層部30にて支持することができるので、内層部30の高さ及び曲面に応じて、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果を得ることができる。
また、内層部30の上部側曲面50Cは、前記仮想設定した中心点Pを中心として描いた滑らかな円弧状の曲面に形成している。
【0081】
すなわち、身体の部位を載せた際に付加される衝撃や重量によって、軟質の材料からなる外層部20が径方向に圧縮変形されても、内層部30の上部側曲面50Cによって身体の部位が支持されるため、身体の部位を外層部20の上部側曲面50Aに載せた際と同様に、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動効果を得ることができる。
【0082】
次に、図2、図3を用いて、図1に示す運動補助具10の製造方法を説明する。図2[a][b]は中実円柱形状の部材29から内層部30を形成する方法の説明斜視図、図3[a][b][c]は板状の外層部20を内層部30に接合する方法の説明斜視図である。
【0083】
先ず、図2を用いて内層部30の製造方法を説明すると、内層部30は、中実円柱形状に形成した部材29(図2[a]参照)を、部材29の径方向の中心点Pに対して所定間隔を隔てて設定した長手方向A2と平行する上下の仮想切断線A3に沿って、図示しない切断装置にて長手方向A2に平行して切断する(図2[b]参照)。
【0084】
すなわち、中実円柱形状の部材29を、該部材29の中心点Pを中心として上下対称となる断面形状に分離して、略円弧形状の内層部30,30を製造する。
【0085】
内層部30は、部材29の長手方向A2と直交する面で切断した断面形状が、部材29の長手方向A2から見て中心点Pより遠い方の上部側が曲面50Cで、該中心点Pに近い方の下部側が平面50Bとなる形状に形成している。
【0086】
次に、外層部20を内層部30に接合する前段おいて、平面から見て矩形の外層部20の幅方向両端部20a,20aを、該外層部20の上面側から下面側に向けて徐々に横幅が狭くなる傾斜角度に切断する。
また、外層部20は、内層部30の曲面50Cと対応する大きさ及び形状で、該内層部30の曲面50Cに沿って同一の曲率半径に変形可能な板状の部材で構成している。
【0087】
つまり、外層部20を内層部30に接合した際、内層部30の下部側平面50Bと面一となるテーパー状の端面20b,20bを外層部20の幅方向両端部20c,20cに予め形成しておく(図2[a]参照)。
あるいは、外層部20の両端部20a,20aを切断せず、端面20b,20bを外層部20の幅方向両端に予め形成しておいてもよい。
【0088】
次に、内層部30の上部側曲面50Cの全体に対して接着剤Bを均一に塗布した後、板状に形成した外層部20の幅方向中央下面を、内層部30の上部側曲面50Cの中央上面に対して上方から垂直に押し付け、接着剤Bにて仮接着する(図2[b]参照)。
【0089】
続いて、外層部20の両端部20c,20cを図2[c]の矢印で示す下方に向けて変形しつつ、該外層部20の下面全体を内層部30の上部側曲面50Cに沿って同一の曲率半径に湾曲した状態に押し付け、接着剤Bにて一体的に接着固定する(図2[c]参照)。
これにより、外層部20と内層部30で構成する具本体40の長手方向A2から見て上部側が曲面50Aで、下部側が平面50Bとなる断面形状に形成された略円弧形状の運動補助具10を製造することができる(図1[a]参照)。
【0090】
また、運動補助具10の上部側曲面50Aは、下部側平面50Bの幅方向中心部より下方に仮想設定した中心点Pを中心として描いた滑らかな曲面に形成することができる。
【0091】
さらに、下部側平面50Bは、上記中心点Pよりも所定高さHだけ上位となる高さに形成しているので、運動補助具10の接地高さHは、外層部20と内層部30とを接合してなる中実円柱形状の部材29の半径以下の高さに形成することができる。
【0092】
次に、図4、図5、図6を用いて、図1に示す運動補助具10の他の製造方法を説明する。
図4は中空円筒形状の外層部20を形成する方法の説明斜視図、図5[a][b]は外層部20と内層部30とを一体的に接合する方法の説明斜視図、図6[a][b]は図5の部材41を切断して運動補助具10を製作する方法の説明斜視図である。
【0093】
先ず、板状に形成した平面から見て矩形の外層部20(図4[a]参照)を端面20a,20aが対向する短手方向A1(或いは幅方向)に向けて湾曲し、該外層部20の端面20a,20aを接着剤Bにて一体的に接着する(図4[b]参照)。これにより、中空円筒形状の外層部20を形成する(図4[c]参照)。
【0094】
次に、中実円柱形状に形成した内層部30の外周面に対して接着剤Bを均一に塗布した後、その接着剤Bが塗布された内層部30を、中空円筒形状に形成した外層部20の筒状部20bに対して長手方向A2に圧入する(図5[a]参照)。
【0095】
つまり、内層部30の外径は、外層部20の筒状部20bの内周面に対して径方向に圧接される外径寸法に形成しているので、内層部30を長手方向A2に圧入した際、接着剤Bの接着力によって、外層部20の筒状部20bの内周面に対して、内層部30の外周面が隙間なく密着した状態に接着(図5[b]参照)される。これにより、中実円柱形状の部材41を形成することができる(図6[a]参照)。
【0096】
次に、外層部20と内層部30とを一体的に接合してなる中実円柱形状の部材41(図6[a]参照)を、部材41の径方向の中心点Pを中心として該径方向に対して所定間隔を隔てて設定した該部材41の長手方向A2と平行する上下の仮想切断線A3に沿って、図示しない切断装置にて長手方向A2に平行切断する(図6[b]参照)。
【0097】
すなわち、中実円柱形状の部材41を、該部材41の中心点Pを中心として上下対称となる断面形状に分離して、略円弧形状の一対の運動補助具10を製造する(図1[a]参照)。
【0098】
一対の運動補助具10は、部材41の中心点Pを中心として上下対称位置に設定した2本の仮想切断線A3に沿って長手方向A2に切断し、該部材41の長手方向A2と直交する面で切断した断面形状が、部材41の長手方向A2から見て中心点Pより遠い方の上部側が曲面50Aで、該中心点Pに近い方の下部側が平面50Bとなる形状に形成している。
【0099】
この結果、具本体40の長手方向A2から見て上部側が曲面50Aで、下部側が平面50Bとなる断面形状に形成された略円弧形状の運動補助具10を製造することができる(図1[a]参照)。
【0100】
また、運動補助具10の上部側曲面50Aは、下部側平面50Bの幅方向中心部より下方に仮想設定した中心点Pを中心として描いた滑らかな曲面に形成することができる。
さらに、中実円柱形状の部材41を、該部材41の中心点Pを中心として上下対称位置に設定した2本の仮想切断線A3に沿って切断することにより、上下対称となる断面形状に分離された略円弧形状を有する運動補助具10の接地高さHは、部材41の半径以下の高さに形成することができる。
【0101】
次に、上述の製造方法にて製造された運動補助具10を使用する場合、運動補助具10の下部側平面50Bが下向きとなる姿勢に保持して、例えば床や畳等の所望する運動場所に接地することにより、従来例の円柱形状を有する運動補助具(図示せず)に比べて、本発明の略円弧形状を有する運動補助具10の接地面積が大きく、接地の位置や方向が変位することを防止するのに必要な接地抵抗が得られる。
【0102】
例えば背、腰、下肢等の身体の部位を運動補助具10の上部側曲面50Aに載せる際、或いは、載せた後、さらに、運動中において、運動補助具10の接地の位置や方向が変位することを防止でき、所望する場所に接地された状態を維持することができる。
【0103】
また、運動補助具10の上部側曲面50Aは、下部側平面50Bの幅方向中心部より下方に仮想設定した中心点Pを中心として描いた曲面に形成している。
さらに、運動補助具10の接地高さHは、中実円柱形状を有する部材41の半径より低く、該部材41の中心点Pよりも上位となる高さに形成した下部側平面50Bの幅方向中心部から上部側曲面50Aの頂部に至る高さに対応している。
【0104】
つまり、運動補助具10の接地高さHは、従来例の半円形状を有する運動補助具の半径よりも低くなるので、運動補助具10を所望する運動場所に接地した際、上部側曲面50Aを運動に適した曲面に保ったまま、所望する運動が楽に行える高さに接地することができる。
【0105】
身体の部位を運動補助具10に載せる際、該運動補助具10の上部側周面よりも上方に身体の部位を高く持ち上げたり、身体や部位を手で支えたりする必要がなく、身体の部位を載せたり、降ろしたりする動作が楽に行える。
これにより、利用者に与える負担が軽減され、無理な姿勢を取ることなく使用することができる。
【0106】
この結果、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動が安定して行えるとともに、良好な使い易さ及び使い心地を得ることができる。
また、例えば高齢者、非健常者等の利用者が運動に使用する際、利用者の負担が軽減されるだけでなく、利用者が不安定感を感じたり、使用時に身体が緊張することを防止でき、十分な運動効果を得ることができる。
【0107】
さらに、身体の部位を運動補助具10に載せた際、その部位の外面形状に対応して外層部20が変形するので、部位に付与される衝撃を吸収緩和することができる。また、外層部20の変形によって部位が受ける反発力を軽減するので、当りの柔らかい使用感やフィット感を得ることができる。
【0108】
また、運動補助具10は、外層部20と内層部30とを一体的に接合してなる中実円柱形状の部材41を、該部材41の長手方向A2と平行する面に沿って切断して製造する。
【0109】
つまり、運動補助具10を、身体の部位の筋肉や腱などを緩めるための運動に使用した際、例えば利用者の体重や圧力、曲げ力等の応力が運動補助具10の一部に加えられても、外層部20自体が板状に復元しにくく、外層部20と内層部30との接合面に剥離が生じることを防止でき、接合状態が長期に亘り維持されるので、耐久性の向上を図ることができる。
【0110】
次に、図7、図8を用いて、外層部20と内層部30との接合面が剥離することを防止する他の接合方法を説明する。
図7[a][b]は外層部20と内層部30とを一体的に接合する他の接合方法の説明斜視図、図8[a][b]は図7の部材41を切断して運動補助具10を製作する方法の説明斜視図である。
【0111】
先ず、接着剤Bが外周面に塗布された中実円柱形状の内層部30を、中空円筒形状の外層部20の筒状部20bに対して長手方向A2に圧入する際(図7[a]参照)、外層部20の内側対向周面に沿って長手方向A2に形成した凸条部21と、内層部30の外側対向周面に沿って長手方向A2に形成した凹条部31とを互いに係合しつつ、内層部30を外層部20の筒状部20bに圧入する。
【0112】
これにより、外層部20の内周面と、内層部30の外周面とが隙間なく密着した状態に接着剤Bで接着(図7[b]参照)されるので、外層部20と内層部30とが強固に接合された中実円柱形状の部材41を製作することができる(図8[a]参照)。
【0113】
次に、中実円柱形状の部材41を、凸条部21及び凹条部31の上下端部より内側で、部材41の中心点Pを中心として上下対称位置に設定した2本の仮想切断線A3に沿って長手方向A2に切断する(図8[b]参照)。
これにより、部材41を、該部材41の中心点Pを中心として上下対称となる断面形状に分離して、略円弧形状を有する運動補助具10を製造する。
【0114】
すなわち、外層部20と内層部30とを、接着剤Bの接着力に加えて、凸条部21と凹条部31との係合力にて一体的に接合しているので、接着力及び係合力の相乗作用によって、接着剤Bのみで接着するよりも、運動補助具10の外層部20と内層部30とをより強固に接合することができる。
【0115】
この結果、例えば利用者の体重や圧力、曲げ力等の応力が運動補助具10の一側縁部或いは両側縁部に対して部分的に集中して加えられても、外層部20と内層部30との接合面に剥離が発生しにくく、相互の接合状態が長期に亘り維持されるので、耐久性の向上を図ることができる。
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の部材は、実施形態の部材29,41に対応し、
以下同様に、
上部側の曲面は、上部側曲面50A,50Cに対応し、
下部側の平面は、下部側平面50Bに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0116】
例えば内層部30の外周面と、外層部20の筒状部20bの内周面とが径方向に対して圧接が許容されるならば、内層部30の外周面と、外層部20の筒状部20bの内周面とを略同一径に形成してもよい。また、接着剤Bを、外層部20の内周面に塗布するか、外層部20の内周面及び内層部30の外周面の両方に塗布してもよい。
また、凸条部21及び凹条部31を、外層部20及び内層部30の長手方向A2に対して所定間隔を隔てて複数形成してもよい。
【符号の説明】
【0117】
A1…短手方向
A2…長手方向
A3…仮想切断線
B…接着剤
P…中心点
D…直径
,H…接地高さ
…高さ
…厚さ
10…運動補助具
20…外層部
21…凸部
29…部材
30…内層部
31…凹部
40…具本体
41…部材
50A,50C…上部側曲面
50B…下部側平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する軟質の材料にて形成した外層部と、該外層部よりも硬質の材料にて形成した内層部とを上下に接合して具本体を構成し、
前記具本体を長手方向から見て上部側が曲面で下部側が平面となる断面形状に形成し、
前記具本体の下部側平面を、該下部側平面よりも下方に仮想設定した中心点よりも上位となる高さに形成し、
前記外層部及び前記内層部の上部側を、前記具本体の上部側曲面と対応して前記中心点を中心として所定の曲率半径の曲面に形成した
運動補助具。
【請求項2】
前記外層部よりも硬質の材料にて中実円柱形状に形成した部材に、該部材の径方向中心点を中心とする対称位置に仮想切断線を設定し、
前記内層部を、前記部材を仮想切断線に沿って長手方向に切断して分離するとともに、該長手方向から見て上部側が曲面で下部側が平面となる断面形状に形成し、
前記内層部に接合した前記外層部を、前記内層部の上部側曲面と対応する大きさ及び形状で、該内層部の上部側曲面に沿って同一の曲率半径に変形可能な板状の部材で構成した
請求項1に記載の運動補助具。
【請求項3】
中空円筒形状に形成した前記外層部の内部に、中実円柱形状に形成した前記内層部を配置し、
前記外層部と前記内層部との対向周面を一体的に接合してなる中実円柱形状の部材に、該部材の径方向中心点を中心とする対称位置に仮想切断線を設定し、
前記具本体を、前記部材を仮想切断線に沿って長手方向に切断して分離するとともに、該長手方向から見て上部側が曲面で下部側が平面となる断面形状に形成した
請求項1に記載の運動補助具。
【請求項4】
前記外層部の曲面を、前記仮想設定した中心点を中心として100mm〜200mmの範囲に含まれる直径で描いた曲面に形成した
請求項1〜3のいずれか一つに記載の運動補助具。
【請求項5】
前記具全体の接地高さを、70mm〜120mmの範囲に含まれる高さに設定した
請求項1〜4のいずれか一つに記載の運動補助具。
【請求項6】
前記外層部の厚さを、5mm〜20mmの範囲に含まれる厚さに形成した
請求項1〜5のいずれか一つに記載の運動補助具。
【請求項7】
前記内層部の接地高さを、50mm〜80mmの範囲に含まれる高さに設定した
請求項1〜6のいずれか一つに記載の運動補助具。
【請求項8】
硬質の材料にて中実円柱形状に形成した部材を、該部材の径方向中心点を中心として対称位置に設定した仮想切断線に沿って長手方向に切断し、
前記中実円柱形状の部材を長手方向から見て上部側が曲面で下部側が平面となる断面形状の内層部に分離し、
前記内層部の下部側平面を、該下部側平面よりも下方に仮想設定した中心点よりも上位となる高さに形成し、
前記内層部の上部側曲面を、前記中心点を中心として所定の曲率半径に形成し、
前記内層部よりも弾性を有する軟質の材料にて板状に形成した外層部を、前記内層部の上部側曲面に沿って同一の曲率半径に変形するとともに、該内層部の上部側曲面に対して一体的に接合する
運動補助具の製造方法。
【請求項9】
弾性を有する軟質の材料にて中空円筒形状に形成した外層部の内部に、該外層部よりも硬質の材料にて中実円柱形状に形成した内層部を配置し、
前記外層部と前記内層部との対向周面を一体的に接合してなる中実円柱形状の部材に、該部材の径方向中心点を中心とする対称位置に仮想切断線を設定し、
前記中実円柱形状の部材を前記仮想切断線に沿って長手方向に切断し、
前記部材を長手方向から見て上部側が曲面で下部側が平面となる断面形状の具本体に分離し、
前記具本体の下部側平面を、該下部側平面よりも下方に仮想設定した中心点よりも上位となる高さに形成し、
前記外層部及び内層部の上部側を、前記具本体の上部側曲面と対応して前記中心点を中心として所定の曲率半径の曲面に形成する
運動補助具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−55974(P2013−55974A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194526(P2011−194526)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(392035341)共和ゴム株式会社 (15)