説明

運動補助具

【課題】安価で安全性が高く、スタビリティートレーニングに適した運動補助具を提供する。
【解決手段】弾性部材により形成された2個の同一形状の単体ブロック10の内部に、単体ブロックよりも硬度の高い弾性部材により形成された球形のコア20をそれぞれ埋設し、各単体ブロック10の上面の傾斜面11に足又は膝を乗せて使用でき、あるいは各単体ブロック10の傾斜面11を当接させて組合せブロック10Aとしたものを両脚部の間に挟んで使用することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性部材から成る運動補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、健康増進のための運動補助具としては、種々の物が考案されている。例えば、特許文献1には、板状の弾性体の両端部に円弧形の挟持板を取り付け、挟持板を大腿内側で挟み弾性体を湾曲させて大腿部のトレーニングを行う健康増進具が開示されている。
このような運動補助具においては、高齢者など体力的に劣る者であっても、安全に、過度の負担を掛けることなく、確実にトレーニング効果を上げられることが求められる。
一方、人の体の奥の部分にある筋肉(インナーマッスル)が衰えると、尿失禁等の老齢者特有の症状を引き起こすものであるが、インナーマッスルを鍛えることにより、かかる症状の改善や予防が図られることが知られている。そして、インナーマッスルを強化するのに、不安定下でバランスを保つトレーニング(スタビリティートレーニング)が効果的であることも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3041984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、上記した事情に鑑み、安価で安全性が高く、スタビリティートレーニングに適した運動補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような構成を備えている。
すなわち、請求項1に記載の発明は、弾性部材により形成された2個の同一形状の単体ブロック(10)からなる運動補助具(1)であって、前記各単体ブロック(10)は、水平面に設置したとき上面が傾斜面(11)となるよう形成され、各単体ブロック(10)の内部には、単体ブロック(10)を形成する弾性部材よりも硬度の高い弾性部材により形成された球形のコア(20)が埋設されており、2個の単体ブロック(10)の各傾斜面(11)を当接させて組み合わせることにより、一体的に取り扱い可能な組合せブロック(10A)を形成することができ、前記各単体ブロック(10)を、傾斜面(11)に足又は膝を乗せて使用できるとともに、前記組合せブロック(10A)を、両脚部の間に挟んで使用することができるように形成されていることを特徴とする。
【0006】
ここで、前記単体ブロック(10)は、例えば発泡ウレタンなどにより形成されており、上面が傾斜する六面体などの形状とすることができる。そして、2個の単体ブロック(10)を組み合わせて組合せブロック(10A)とすると、直方体となるようにすることができる。また、前記コア(20)は、弾性部材で形成された球であってもよいし、ゴムなどにより形成された中空のボールであってもよい。
本発明における運動補助具(1)は、単体ブロック(10)の内部に弾性の高いコア(20)を埋設してあるので、踏んだり押しつけたりしたときの反発力が不均一となる。従って、状態維持のために不安定な状況を作り出すことができ、スタビリティートレーニングに適している。また、弾性部材のみで形成してあるので、製造容易かつ安価であり、ぶつけても怪我などの心配が無く安全性に優れている。
【0007】
なお、各単体ブロック(10)のコア(20)を、組み合わせブロック(10A)とした状態で、水平方向又は垂直方向にずれた位置となるように配置してもよい。このように形成することにより、組み合わせた状態での不安定性を増すことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上のように構成されているので、安価で安全性が高く、スタビリティートレーニングに適した運動補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態であって、運動補助具の斜視図である。
【図2】運動補助具の断面図である。
【図3】単体ブロックの一の使用方法を示す説明図である。
【図4】単体ブロックの他の使用方法を示す説明図である。
【図5】組合せブロックの使用方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態を図面を参照しつつ以下に説明する。
図1は、本実施の形態に係る運動補助具1を示す。
運動補助具1は、内部に球状のコア20を埋設した1対の単体ブロック10からなる。単体ブロック10は、発泡ウレタンなどの弾性部材であり、その硬度(密度)は18〜30(kg/・)程度とするのが好ましい。また、コア20は、単体ブロック10よりも硬度の高い弾性部材であり、例えば硬式テニスボール程度の硬度を有するエアボールや球状の発泡性樹脂とすることができる。コア20の直径は、65〜75mm程度とするのが好ましい。
単体ブロック10は、一方の端辺から他方の端辺に向かって傾斜する傾斜面11と、傾斜面11の対向側に位置する底面12と、傾斜面11の上流側に位置し底面12と直交する上側立面13と、傾斜面11の下流側に位置し底面12と直交する下側立面14と、傾斜面11の傾斜辺、底面12の側辺、上側立面13及び下側立面14の側辺により囲まれた台形状の相対向する2つの側面15,16を有する六面体である。そして、コア20は、単体ブロック10の長さ方向(傾斜面11の傾斜方向)の中心部よりも上流寄りの位置において、幅方向(側面方向)及び高さ方向のほぼ中心部に位置している(図2参照)。
【0011】
また、単体ブロック10の内部構造は、図2(A)に示すように、コア20の周囲に弾性部材を充填して単体ブロック10を形成したものとすることができる。製造方法としては、型枠の内部にコア20を細い棒やワイヤーなどの支持具で宙吊りにし、そこに単体ブロック10を構成する弾性部材を射出充填して固まらせる。そして、単体ブロック10の成形後にコア20を支持していた支持具を抜き取ればよい。
あるいは、図2(B)に示すように、単体ブロック10の本体100に貫通孔101を形成し、この中にコア20を押入して、塞ぎ部材102,103を貫通孔101が塞がれるように本体100に接着したものとすることができる。貫通孔101には、コア20との隙間を埋めるための充填部材を詰めてもよい。そして、本体100と塞ぎ部材102,103を合わせて、単体ブロック10とすることができる。塞ぎ部材102,103の硬度を、本体100の硬度よりも若干硬めにしてもよい。上記いずれの場合も、コア20の硬度が単体ブロック10の硬度よりも高くなっていればよい。
【0012】
なお、図示しないが、単体ブロック10を布等のカバーで覆ってもよい。
単体ブロック10は、2個とも同一形状であって、各単体ブロック10を別々にして使用することができるとともに、2個の単体ブロック10を上下及び前後に反転させた状態で各傾斜面11を当接させて組み合わせ、直方体状の組合せブロック10Aにして使用することもできるようになっている(図5参照)。つまり、2個のブロックを合体させれば、コア20を2個有する単一のブロック体として機能させることができる。
以下、上記構成を有する運動補助具1の使用方法を説明する。
(乗る)
まず、図3に示すように、傾斜面11を上側にして単体ブロック10を並べて床面に設置し、単体ブロック10を交互に踏みながら乗降する運動を行うことができる。図示するように下側立面14の側から乗降する場合にはアキレス腱を伸張させることができ、逆に上側立面13の側から乗降する場合には脛部を伸張させることができる。また、図示しないが、側面15,16の側から乗降すれば、傾斜面11に乗ったときに足首が打ち際又は外側のいずれかに傾いた形となり、脛部の内側又は外側を伸張させることができる。そして、この運動を繰り返すことで、下腿三頭筋、前脛骨筋が鍛えられる。この際、傾斜面11が押しつぶされて、内部に設けたコア20が足裏を刺激する効果もある。
【0013】
また、両足で各単体ブロック10の上に乗り、そのまま目を閉じて乗り続けたり、片足で単体ブロック10の上に乗り、そのまま目を閉じて乗り続けたりする運動を行うことができる。ここで、単体ブロック10の内部にはコア20があるため、全体の硬度が均一でなく、安定的ではない。目を閉じて不安定な足場でバランスをとるこの運動により、大腿二頭筋や下腿三頭筋、骨盤底筋なども鍛えられる。
(押す)
また、図4に示すように、両膝を各単体ブロック10の上に押しつけ、上半身だけを反り返す運動や、寝た状態で膝の下に単体ブロック10を置き、片足ずつ押し潰したり、寝た状態で踵下に単体ブロック10を置き、臀部を引き締める運動を行うことができる。この運動により、大腿筋、骨盤底筋、尿道括約筋などが鍛えられる。
【0014】
(挟む)
さらに、図5に示すように、2個の単体ブロック10を、直方体状の組合せブロック10Aにし、寝た体勢、又は立った体勢で、各単体ブロック10の底面12が膝の内側となるように両脚に挟んで、臀部を引き締める運動を行うことができる。あるいは、立った体勢で、組合せブロック10Aを股間に挟んでもよい。ここで、組合せブロック10Aとした状態では、それぞれの単体ブロック10のコア20は長さ方向にずれた位置となる。そして、この重ね合わせた組合せブロック10Aを両側から脚部で挟持すると、分散配置されているコア20の作用で、安定的でない反発力が生じる。また、両脚で挟んだ状態を維持するためには、脚部にも力を掛ける必要がある。このような運動を行うことにより、大腿二頭筋、骨盤底筋などが鍛えられる。
【0015】
以上のように、単体ブロック10に乗ったり、押したり、組合せブロック10Aを挟んだりする運動を行うことにより、脚部の筋力強化ができ、体力増強や美脚だけでなく、膝痛の予防や、尿失禁の予防にも効果的である。
(総括)
本実施の形態に係る運動補助具1は、硬度の低い弾性部材からなる単体ブロック10の内部に硬度の高い弾性部材から成るコア20を埋設してあるので、乗ったり押したりするときの反発力が均一にならず、不安定な状況を生成して、スタビリティートレーニングに適している。また、弾性部材のみにより形成されていることから安全性に優れるとともに、製造コストもかからず安価に提供することができる。さらに、大仰なトレーニングマシンなどとは異なり、形状も単純な六面体であることから、使用しないときにはソファなどに置いておけば部屋のインテリアとしても利用でき、収納場所に困ることもない。
【0016】
なお、上記した実施の形態では、単体ブロック10は六面体であったが、単体ブロック10の形状はそれに限られない。例えば、上面が傾斜した平坦面である蒲鉾型や、上部を斜めに切り欠いた円柱形であってもよい。要は、水平面に設置したときに上面が傾斜し、傾斜面を合わせると一体的に取り扱い可能となるような形状となっていればよい。
【符号の説明】
【0017】
1 健康補助具
10 単体ブロック 10A 組合せブロック
11 傾斜面
12 底面 13 上側立面
14 下側立面 15,16 側面
20 コア
100 本体 101 貫通孔
102,103 塞ぎ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性部材により形成された2個の同一形状の単体ブロックからなる運動補助具であって、
前記各単体ブロックは、水平面に設置したとき上面が傾斜面となるよう形成され、各単体ブロックの内部には、単体ブロックを形成する弾性部材よりも硬度の高い弾性部材により形成された球形のコアが埋設されており、2個の単体ブロックの各傾斜面を当接させて組み合わせることにより、一体的に取り扱い可能な組合せブロックを形成することができ、
前記各単体ブロックを、傾斜面に足又は膝を乗せて使用できるとともに、前記組合せブロックを、両脚部の間に挟んで使用することができるように形成されていることを特徴とする運動補助具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−22447(P2013−22447A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230900(P2011−230900)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【分割の表示】特願2011−160947(P2011−160947)の分割
【原出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(510078757)株式会社日本ソフケン (3)