説明

運動靴

【課題】 予め入力された条件とセンサの検出結果との比較に基づいて適度な運動状態にあるか否かを報知手段により認識することができる運動靴を提供する。
【解決手段】 靴本体1の内面若しくは外面に設けられ加速度センサ4と脈拍センサ5を有する制御ユニット2と、予め入力された条件と制御ユニット2の検出結果とを比較すると共にその比較結果に基づいて靴本体1に設けられた報知手段としてのLED3を作動する制御回路6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動エネルギーの放出量によってその運動量を認識することができる運動靴に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病等の生活習慣病の療養や高齢者の健康維持等には、日常的な健康管理が重要である。このため、生活習慣病等の患者や高齢者等は、病院やスポーツジム等に設置の健康管理ステムを利用して自己の健康状態を把握している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−149831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような健康管理システムは、高価で大型な専門設備を必要とするため、健康増進のための運動の一つとして手頃で簡易なウォーキング等を自主的に行っている人等がその場で利用することはできない。
【0004】
一方、ウォーキングを健康増進運動として取り入れた初期の人には、適度な運動量を認識することは困難である。
【0005】
また、高齢者の場合における通常の歩行、病中・病後のリハビリ等においてもその運動量、特に、その上限付近に近づいていることを認識することができれば、無理な運動、過度な運動に対する予防手段として効果的である。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、簡易な構造でありながら、運動中の自己の状態を認識することができる運動靴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の運動靴は、靴本体の内面若しくは外面に設けられた条件検出手段と、予め入力された条件と前記条件検出手段の検出結果とを比較すると共にその比較結果に基づいて前記靴本体に設けられた報知手段を作動する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の運動靴によれば、予め入力された条件に基づいて適度な運動状態にあるか否かを報知手段により認識することができる。
【0009】
請求項2に記載の運動靴は、前記条件検出手段は利用者の歩行速度若しくは歩行距離を検出することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の運動靴によれば、運動中の歩行速度若しくは歩行距離に基づいて適度な運動量であるか否かを報知手段により認識することができる。
【0011】
請求項3に記載の運動靴は、前記条件検出手段は利用者の脈拍を検出することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の運動靴によれば、運動中の脈拍に基づいて適度な運動量であるか否かを報知手段により認識することができる。
【0013】
請求項4に記載の運動靴は、前記条件検出手段は利用者の発汗量を検出することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の運動靴によれば、運動中の発汗量に基づいて適度な運動量であるか否かを報知手段により認識することができる。
【0015】
請求項5に記載の運動靴は、加速度を検出する加速度センサと、該加速度センサから加速度ノルムを計算する計算手段と、脈拍を検出する脈拍センサと、計算された加速度ノルムが加速度ノルムの閾値を越え且つ検出された脈拍が脈拍の閾値を超えるとLEDの点灯状態を変化させる制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の運動靴によれば、加速度センサと脈拍センサに基づいて適度な運動量であるか否かを報知手段により認識することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡素な構成でありながら、予め入力された条件に基づいて適度な運動状態にあるか否かを報知手段により認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の一実施形態に係る運動靴について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1(A)に示すように、運動靴は、靴本体1の内面(若しくは外面)に取り付けられた条件検出手段としての制御部ユニット2と、その外面に取り付けられた報知手段としてのLED3とを備えている。
【0020】
尚、この電源にはボタン電池等が用いられるがここではその図示を省略する。
【0021】
制御部ユニット2は、靴本体1の適正位置、即ち、所謂履き心地や運動を阻害しない位置に取り付けられている。また、制御部ユニット2は、洗濯等を行うことができるように、着脱可能に取り付けられている。
【0022】
また、制御部ユニット2は、図1(B)に示すように、現在の歩行速度(加速度)や脈拍(或いは発汗量でも良い)を検出する検出手段としての加速度センサ4並びに脈拍センサ5を備え、これら各センサ4,5による検出結果は制御回路6に入力される。尚、脈拍をより正確に検出するために、脈拍センサ5を足首に取り付けるようにしてもよい。また、制御部ユニット2に、利用者の歩行距離を測定する歩行距離検出センサ(図示省略、例えば万歩計(登録商標)など)を設け、この歩行距離検出センサによる検出結果を制御回路6に入力するようにしてもよい。
【0023】
制御回路6には、予めコンピュータ等の入力機器を用いて、年齢や性別、1分間の通常脈拍数、目標運動強度などの各種条件が入力されてこれを記憶したメモリ7から条件が入出力される。
【0024】
この際、上述した目標運動強度とは、運動中の心拍数で判断するものであり、ウォーキングを行うことによる1分間の脈拍数を年代別および発汗量別に相関したもので、図2に示すような数値から指定する。
【0025】
LED3は、メモリ7に記憶された運動条件と各センサ4,5からの検出結果とを制御回路6で比較した結果に応じて点灯する。この際、適度な運動量に近づいていること段階的に認識させるため、消灯・点滅・点灯といったように点灯状態を変化させても良い。
【0026】
具体的には、制御回路6は、図3に示すように、ステップ1で10秒間の合計加速度ノルムが50G・s以上とり、ステップ2で脈拍が110以上となった場合にはLED3を点滅させるといった形態となる。
【0027】
この加速度ノルムとは、ベクトルの全ての要素の二乗の総和の平方根(式(1)参照)である。
【0028】
i =√(VXi2 +VYi2 +VZi2 ) … (1)
尚、式(1)において、VXi,VYi,及びVZiは平均近似速度成分、Vi は平均近似速度(ノルム)である。
【0029】
近似速度Vより消費カロリΔEiを求めることができる(式(2)参照)。
【0030】
ΔEi=(1/2)・W・Vi2+50 … (2)
尚、式(2)において、Wは体重、50は基礎代謝である。
【0031】
また、同一出願人である特許文献1によると、実験的に、消費カロリΔEiは(2.5・Hi+100±150の範囲にある。ここで、Hiは平均脈拍数である。
【0032】
このように、加速度ノルムが増加すれば消費カロリ(運動エネルギー、運動量)が増加する。そして、消費カロリが増加すれば、脈拍の増加の要因となる。
【0033】
そこで、本発明は、体重に対応した加速度ノルムと脈拍の閾値を設定する。この閾値は、このままの加速度ノルムを継続すれば、疲れてしまう、あるいは健康に障害を生じるおそれがあるというような値とする。
【0034】
このように、本発明の靴本体1にあっては、適度な運動量であることを容易に認識することができる。
【0035】
尚、報知手段としてLED3の他(若しくは併用して)、ブザー等を用いることができる。
【0036】
また、無線部(図示省略)を別途設け、適度な運動量である場合には、その情報を外部の通信装置(図示省略)に送信して、遠方から運動量を把握するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の運動靴を示し、(A)は運動靴の側面図、(B)は制御ユニットのブロック構成図である。
【図2】運動強度の図表である。
【図3】制御回路の処理ルーチンのフロー図である。
【符号の説明】
【0038】
1 靴本体
2 制御ユニット(条件検出手段)
3 LED(報知手段)
4 加速度センサ
5 脈拍センサ
6 制御回路
7 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴本体の内面若しくは外面に設けられた条件検出手段と、予め入力された条件と前記条件検出手段の検出結果とを比較すると共にその比較結果に基づいて前記靴本体に設けられた報知手段を作動する制御手段とを備えていることを特徴とする運動靴。
【請求項2】
前記条件検出手段は利用者の歩行速度若しくは歩行距離を検出することを特徴とする請求項1に記載の運動靴。
【請求項3】
前記条件検出手段は利用者の脈拍を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運動靴。
【請求項4】
前記条件検出手段は利用者の発汗量を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の運動靴。
【請求項5】
加速度を検出する加速度センサと、該加速度センサから加速度ノルムを計算する計算手段と、脈拍を検出する脈拍センサと、加速度ノルムの閾値及び脈拍の閾値を記憶する記憶手段と、LEDと、前記計算された加速度ノルムが前記加速度ノルムの閾値を越え且つ前記検出された脈拍が前記脈拍の閾値を超えると前記LEDの点灯状態を変化させる制御手段とを備えていることを特徴とする運動靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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