説明

過酸化亜硝酸の過剰発現によって起きる哺乳動物の疾患および傷害の治療のための方法および組成物

本発明は炎症反応に関与する哺乳動物細胞によって引き起こされる哺乳動物の創傷および疾患を、生体内の常在性過酸化亜硝酸およびその塩のレベルを変えることによって治療するための方法を与える。本方法は哺乳動物細胞を治療上有効な量の活性酸素種メディエーターと接触させることからなり、そこでは活性酸素種メディエーターはピルベート、ピルビン酸前駆体、4個以上の炭素原子を有するα−ケト酸、4個以上の炭素原子を有するα−ケト酸前駆体およびその塩からなるグループから選ばれ、活性酸素種メディエーターの媒介は過酸化亜硝酸の媒介に帰着する。本発明はさらに炎症反応に関与する哺乳動物細胞によって引き起こされる哺乳動物の創傷および疾患を、生体内の常在性過酸化亜硝酸およびその塩のレベルを変えることによって治療するための医薬組成物を与える。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
1.発明の分野
本発明は炎症反応に関与する哺乳動物細胞によって引き起こされる哺乳動物の創傷および疾患を、生体内の常在性過酸化亜硝酸およびその塩のレベルを変えることによって治療するための方法を与える。本方法は哺乳動物細胞を治療上有効な量の活性酸素種メディエーターと接触させることからなり、そこでは活性酸素種メディエーターはピルベート、ピルビン酸前駆体、炭素原子4以上のα−ケト酸、炭素原子4以上のα−ケト酸前駆体およびその塩からなるグループから選ばれ、過酸化水素の媒介は過酸化亜硝酸の媒介に帰着する。本発明はさらに炎症反応に関与する哺乳動物細胞によって引き起こされる哺乳動物の創傷および疾患を、生体内の常在性過酸化亜硝酸およびその塩のレベルを変えることによって治療するための医薬組成物を与える。
【0002】
2.先行技術
ここに述べる開示には発明の背景を説明するため、またその実施に関してさらに詳細を与えるため出典が組み込まれ、便利なように以下のテキストに参照されまたそれぞれ付録の目録に分類してある。
【0003】
多くの疾患は傷害部位の顕著な炎症によって典型的に特徴付けられる。この炎症過程は周囲の健康な組織をさらなる破壊に導き、また炎症部位の継続と拡張に導く。過酸化水素(H)や過酸化亜硝酸(ONOO)のような酸素ラジカルの過剰生産はIkappaBキナーゼ(IKK−β)および核因子kappaB(NF−kappa−B)をともに活性化し、両者は腫瘍を含む多くの疾患において炎症過程を活性化することが示されている。酸素ラジカルおよびNF−kappa−Bによって制御される炎症メディエーターの過剰発現は治癒を遅らせ病状の治療のために使われる薬物の多くを破壊する。
【0004】
最近、細胞内のIKK−βと呼ばれるタンパクを失活させると炎症とともに腫瘍の進行を止めることが示されている。IKK−βは通常は治癒で役割を持ち(37、38,64)NF−kappa−Bを直接活性化する。傷害あるいは感染の間、グルタチオンを枯渇させる酸素ラジカルのような免疫システム分子はIKK−βを過剰に活性化する(37,64)。一旦刺激されるとIKK−βは細胞を生かし増殖させ続け、また損傷した組織の炎症を促進する。IKK−βはまた創傷の感染した上皮細胞や腫瘍を含む疾患で増加することが知られている。IKK−βはまた、さもなければ腫瘍の形成を防止するプログラム細胞死を破壊することによって、種々のタイプの細胞で腫瘍の増殖を助ける。かくして、IKK−βは炎症を通じて腫瘍の発生および増殖を促進する。
【0005】
IKK−βはNF−kappa−Bを活性化することによって作用する(39、40、64)。NF−kappa−Bは細胞質中で抑制タンパクに結合した2個のサブユニットからなる不活性二量体として存在する(44,49,50)。抑制タンパクは、炎症促進性サイトカイン、ウィルスおよび酸素ラジカルのような種々な周囲の刺激に応じて分解される。この分解はNF−kappa−Bを核へ転移させ、そこでIL−2、IL−6、IL−11、IL−17を含むインターロイキンおよび腫瘍壊死因子(TNF)のような炎症促進性サイトカインをコード化する遺伝子を含む炎症反応制御の役割を持つ遺伝子を活性化する。
【0006】
TNF−αは細胞の原形質中にテロメラーゼ活性を誘導することによって機能する。NF−kappa−βも一酸化窒素合成酵素を制御し、また腫瘍の増殖、生存に主要な役割を持つアポトーシスを抑制する遺伝子を制御する(44、49、50)。NF−kappa−Bはまたテロメラーゼの転写を活性化する。テロメラーゼは短くなったテロマー末端を修復し、細胞を不死(腫瘍細胞のように)にする。NF−kappa−Bは活性化されたとき、プログラム細胞死を止め他の炎症メディエーターを活性化し一酸化窒素合成および産生を増強する(38−40、44,64)。感染部位および腫瘍を含む皮膚病の患者では、他の炎症成分同様、NF−kappa−Bの活性化が増強される(37,38、44)。過酸化水素および過酸化亜硝酸のような他のラジカルはNF−kappa−Bを活性化し、また細胞内グルタチオンを枯渇させる(42−45、64)。
【0007】
酸素ラジカルはまた腫瘍増殖を抑制するタンパクp53を損傷する。p53の機能は細胞が分裂するたびに2つの娘細胞が変異なしにもとの遺伝子セットの損傷のないコピーを得るのを確実にすることである。細胞が損傷されたDNAを含む場合、p53タンパクは細胞分裂を停止する。修復が完了したときのみ、p53タンパクはDNAの複製開始を許す。損傷が修復するには大きすぎる場合、p53は細胞分裂を阻止し細胞に死を命じる(34)。p53タンパクはプログラム細胞死のプロセスを引き起こす。すべての腫瘍の50−80%でp53は損傷され機能していない(34)。かくして過酸化亜硝酸の過剰発現を制御し一方一酸化窒素を保護するどんな分子もIKK−βあるいはNF−kappa−Bのいずれをも失活させる。この制御は腫瘍の発生および生存に導く炎症を抑制し(41)薬剤の有無にかかわらず感染および非感染創傷の治癒プロセスの増強を抑制する。抗酸化剤は酸素ラジカルを中和することが知られていて、かくしてNF−kappa−Bの活性化を抑制し炎症を抑制しDNAおよびp53のようなタンパクを酸化傷害から守り(75)、治癒プロセスを促進する。ビタミンC、ビタミンA、アセチルシステイン、ビタミンE、グルタチオンおよびピルビン酸のような抗酸化剤は酸素ラジカルを減じることによってNF−kappa−Bを下方制御し抑制する(40−52、55、64)。高レベルの一酸化窒素もまたNF−kappa−Bを抑制する。このように過酸化亜硝酸の生産を制御しNF−kappa−Bで誘導される炎症を減じ種々の疾患の治療に必要な薬剤を保護する技術は、治療分野で極めて有用である。
【0008】
創傷は機械的、化学的、ウィルス性、細菌性あるいは熱的手段によって起きる身体の内部または外部の損傷または傷害であり、構造の正常な連続性を破壊する。そのような身体の傷害は皮膚が破壊されない挫傷、切創すなわち鋭利な道具により皮膚が破壊された傷、および切れ味が悪く鈍い道具によって皮膚が破壊された裂傷を含む。
【0009】
創傷治癒は損傷された組織が修復され、特殊な組織が発生し、そして新しい組織が再編される一連のプロセスからなる。創傷治癒は主要な3局面からなる:(a)炎症期(0−3日);(b)細胞増殖期(3−12日);(c)再構築期(3−6ヶ月)。
【0010】
炎症期中には血小板凝集および凝固により、種々の型の細胞の流入を誘起するため血漿タンパクおよび血液細胞を捕捉するマトリックスが形成される。過酸化亜硝酸が産生されNF−kappa−Bの過剰発現を誘起し、治癒プロセスを遅延するのはこのときである。この過酸化亜硝酸の過剰発現はまた、感染した傷を含む種々の疾患の治療に必要な薬剤を破壊する。細胞増殖期には新しい結合組織または肉芽組織および血管が形成される。再構築期には肉芽組織はコラーゲンおよびエラスチン繊維のネットワークによって置換され瘢痕組織の形成が導かれる。殆どの創傷はまた、過酸化亜硝酸の過剰発現の結果としてのNF−kappa−Bの過剰発現によって引き起こされる痛み、腫れ、かゆみ、虚血、痂皮、紅斑および瘢痕を生じる。これらの有害な副作用の多くは望ましくない代謝物を生じる過剰に発現された過酸化亜硝酸と治療薬との反応によって引き起こされる。
【0011】
創傷の結果として細胞が傷害され殺されたとき、傷害細胞を蘇生し死んだ細胞と置き換わる新しい細胞をつくるため創傷治癒へ進むことが望ましい。創傷は治癒の初期段階では酸化障害を抑制するため低い酸素レベルを要求し、治癒の後段階では繊維芽細胞によるコラーゲン形成を促進するためより高レベルの酸素を要求する。
【0012】
創傷は酸素ラジカルを産生する。哺乳動物細胞はスーパーオキサイド(O)、過酸化水素(H)、ヒドロキシラジカル(OH)、過酸化亜硝酸(ONOO)および一重項酸素()のような活性酸素種に常に曝されている。体内ではこれらの活性酸素中間体は好気的代謝、薬物および他の生体異物の異化、紫外線およびX線放射、傷を通して導かれる侵入細菌およびウィルスを殺すための貪食細胞(白血球のような)の呼吸性バーストに応じて細胞によって産生される。感染細胞や腫瘍細胞を治療するための薬物の異化から発生する毒性の副産物は、一般にNF−kappa−Bの活性化を通して炎症プロセスを活性化し、治癒を遅らせる。例えば過酸化水素は殆どの生きている生物、特にストレスを受け傷害された細胞で呼吸中に産生される。
【0013】
これらの活性酸素種は細胞を傷害する。そのような損傷の例は不飽和脂肪酸の酸化的分解に関係する脂質過酸化である。脂質過酸化は膜の構造および機能にきわめて有害でありNF−kappa−Bの活性化を含む多くの細胞病理学的作用の原因となる。細胞は脂質過酸化に対しスーパーオキサイドジスムターゼ、カタラーゼおよびペルオキシダーゼのようなラジカル補足剤の産生によって防御する。傷害された細胞はラジカル捕捉剤を産生する能力が低い。過剰の過酸化水素、特に過酸化亜硝酸はDNAと反応しDNA主鎖を切断し、変異、塩基の置換および遊離を引き起こす。過酸化水素はまたピリミジンと反応して5,6−二重結合を切断し、ピリミジンの相補塩基との水素結合能力を阻害する。そのような酸化的生化学的傷害は細胞膜の統合性を損ない酵素活性の低下、輸送動態の変化、膜脂質含量の変化、カリウムイオン、アミノ酸、他の細胞成分の漏出、過剰なケロイドおよび瘢痕の形成をもたらす。
【0014】
過酸化水素はまた5,8,11.14.17−エイコサペンタエン酸のような好酸球由来酵素の細胞毒作用を著しく強める(1−4,64−67)。傷害の炎症期中に産生される過剰のスーパーオキサイドアニオンと過酸化水素およびその副産物、特に過酸化亜硝酸はその部位周辺の健常な組織を破壊する(19)。過酸化亜硝酸は膜を傷害し感染の拡大を許す。酸素ラジカルはまたアラキドン酸を基質としてプロスタグランジンおよびロイコトリエンを産生する脂質過酸化も開始する。過酸化水素は肺胞マクロファージでアラキドン酸代謝を誘起する(10,11,19)。過酸化水素および二酸化窒素や過酸化亜硝酸のような他の酸素ラジカルもまたNF−kappa−Bを活性化し同様に細胞のグルタチオンを枯渇させる(12−44,55,64,67−72)。酸素ラジカルは細胞のグルタチオンのレベルを低くする。酸素ラジカルはまた腫瘍増殖抑制の中心タンパクであり細胞の治癒およびDNA修復に必要なp53を傷害する。酸素ラジカルはまた強力な腎および肺動脈収縮物質であり気管支収縮物質かつ気流妨害物質である8−イソプロスタンを産生する(19,20,64,66−69)。酸素ラジカルおよび特にNF−kappa−Bから発現される他の炎症メディエーターは、感染、非感染創傷および抗腫の治療に必要な薬物の効力および効果持続時間を減じる。
【0015】
過酸化亜硝酸になる過剰の一酸化窒素は炎症と関連づけられてきた(26,28,29,70)。これは一酸化窒素が二酸化窒素(NO)(1−3)を生じる過酸化水素や過酸化亜硝酸(ONOO)のような過剰の酸素ラジカルと反応したとき毒性のオキシダントになりうるからである。酸素ラジカルは上皮細胞、マクロファージ、白血球、単球および繊維芽細胞を含む多くのタイプの細胞によって産生される。スーパーオキサイド(O)や過酸化水素のような酸素ラジカルは一酸化窒素を破壊して毒性のNOや過酸化亜硝酸を産生する(1−3)。二酸化窒素は肺の炎症を起こし、グルタチオンを含む肺の抗酸化物質のレベルを下げ(9)、呼吸器の防御メカニズムを破壊して呼吸器の病原や腫瘍に対する罹患率を上げる(1,7)。二酸化窒素はまた呼吸器感染の発生率および重傷度を上げ、肺機能を抑制し喘息あるいはCOPD患者の症状を悪化させる(1,8)。
【0016】
一酸化窒素とスーパーオキサイドアニオン、ヒドロキシラジカル、および/または過酸化水素の相互作用から形成される過酸化亜硝酸イオンおよび過酸化亜硝酸は、一本鎖DNAの切断を誘導し、NF−kappa−Bの活性化により炎症メディエーターのレベルを上げ、死よりもむしろ腫瘍の発生および増殖を増強する(21,64,65,71)ことによって一酸化窒素に対して作用する強いオキシダント種である。これらの性質はエイズ患者のカポジ肉腫で示されてきた。過酸化亜硝酸は細胞膜に対して非常に毒性で破壊的であり脂質過酸化を通して細胞死に導くだけでなく輸送メカニズムのような多くの細胞膜機能の障害を導く。その作用は白血球が進入した微生物を殺す能力を破壊しうる。過酸化亜硝酸の過剰発現はCD4およびCD8を含む免疫細胞を感染部位で破壊することが示されてきた。過酸化亜硝酸の過剰発現は過酸化亜硝酸がNF−kappa−B発現を増強する能力によって感染部位での細菌やウィルスの複製を増強することが示されてきた。気管支収縮を起こす過酸化亜硝酸はケモカインの産生によって肺の障害に関係し、ウィルスによる発病に寄与しウィルスの変異を増強する(2,3,13,30,65)。一酸化窒素はスーパーオキサイドアニオンおよび/または過酸化水素と化合して過酸化亜硝酸を形成したとき、細胞のグルタチオンのレベルを下げる高反応性のヒドロキシアニオン(OH)を発生する。一酸化窒素合成を誘起する創傷の根底にある慢性炎症プロセスはまた一酸化窒素を破壊する過剰の酸素ラジカルを産生する(5,6)。感染および非感染創傷はラット肺胞マクロファージによる一酸化窒素産生を増強しまた一酸化窒素と直接反応してNOおよび過酸化亜硝酸を産生する酸素ラジカルのレベルを上げる(1−3,5,13)。過酸化亜硝酸はまた抗菌剤や抗腫瘍剤と反応し感染細胞や腫瘍細胞を殺す力を破壊する。ドキソルビシンはNF−kappa−Bの誘導剤であり過酸化亜硝酸の発生を劇的に増加し、それはこの薬物によって生じるヒトへの障害を引き起こす。メルカプトエチルグアニジンのような過酸化亜硝酸阻害剤の使用は、過酸化亜硝酸からの障害を軽減し過酸化亜硝酸で処置された細胞の生存を可能にすることが示されている。
【0017】
窒素の酸化物の1つである一酸化窒素は通常内皮細胞およびマクロファージを含む多くのタイプの細胞で産生される(1,2,3,12,15,16,17,26,27)。一酸化窒素は神経伝達物質、血管拡張物質、抗菌、抗ウィルスおよび殺癌物質として作用する(12−18,72)。一酸化窒素はまた抗炎症作用を有し、それは転写因子NF−kappa−B(51)および他の炎症サイトカイン(73)を抑制する能力を経て発揮される。NF−kappa−B抑制に対し最も一般的に提案されている作用機序はNF−kappa−BのDNAへの結合の妨害に関係する。IKK−β酸化還元制御を受けるので、一酸化窒素はIKK−βの不活性化によりNF−kappa−Bの活性化を抑制する。高用量の一酸化窒素はまたNF−kappa−BのTNF−α−誘導DNA結合活性を減じる(55,64)。高用量の一酸化窒素はまたNF−kappa−BによるTNF−α−誘導トランス活性化を抑制する(53,55)。高用量の一酸化窒素はNF−kappa−Bを抑制する。一酸化窒素はまた臨床的に有用な気管支拡張を生じ(1)、また身体によって細菌、真菌感染、ウィルス感染および腫瘍を殺すために使われる(21,72)。細菌、ウィルスおよび腫瘍細胞は一酸化窒素に対し防御法を持っていないので、一酸化窒素はこれらのタイプの細胞を殺すことができる。通常の哺乳動物細胞は高い細胞レベルの一酸化窒素を使うかあるいは不活性化するため酵素システムを使用することによって、通常の一酸化窒素レベルに対処することができる(21−25)。一酸化窒素は活性化マクロファージの殺腫瘍作用の主たるメディエーターである。
【0018】
一酸化窒素について多くの論文が書かれているのに対して、腫瘍生物学における一酸化窒素の役割は最近まで完全には理解されていなかった。一酸化窒素は腫瘍促進および抑制作用をともにもつように見えた(24)。最近の刊行物では一酸化窒素それ自体ではなく炎症プロセス中に一酸化窒素からつくられる活性酸素種、特に過酸化亜硝酸および二酸化窒素が腫瘍促進物質として関係づけられている(3,13,21,30)。一酸化窒素は腫瘍の形質転換および増殖を仲介しないが抑制する(72)。このように過酸化亜硝酸の産生を制御する能力は特に薬剤を保護するために大きな治療上の効果を有するであろう。
【0019】
α−ケト酸の一つであるピルビン酸ナトリウムは過酸化水素や過酸化亜硫酸のような酸素ラジカルと直接反応してそれを中和し、DNAやグルタチオン、脂質およびタンパク質のような他の細胞成分を保護する抗酸化物質である(35,56−65,70,71)。マクロファージや他の細胞株ではピルビン酸ナトリウムは酸素ラジカル産生を含む炎症メディエーターの産生およびそのレベルを制御し、また一酸化窒素の合成を制御する(8,49,50)。ピルビン酸ナトリウムは多様な医学的障害およびフリードライヒ運動失調症治療における治療および診断を含む適用のため、また直視下心臓手術で用いられる治療用溶液の構成成分として、患者に投与されてきた。それは静脈内、外用(角質増殖性障害に対し)および経口(栄養補助食品)を含むいくつかの経路で投与されてきた。すべての症例で、これらの患者へのピルビン酸ナトリウムの投与は炎症の軽減および治癒促進を示した。ピルビン酸はNF−kappa−B、誘導性一酸化窒素合成酵素mRNAの活性化、TNF、シクロオキシゲナーゼ、インターロイキン6および10mRNA誘導を含むいくつかの炎症誘発性遺伝子の発現を抑制する(32、33、44、49、50、64)。ピルビン酸ナトリウムは過酸化水素誘導性のNF−kappa−Bの転写を抑制し一方細胞性グルタチオンを保護する(44、64)。さらにピルビン酸ナトリウムはアポトーシスを妨げ細胞の生存を促進すると考えられる遺伝子の発現を制御するp38MAPK経路をブロックしERK経路を活性化した(44、64)。ピルビン酸ナトリウムは肝細胞の一酸化窒素合成を阻害し(27)、腸管細胞および心単球の誘導性一酸化窒素合成酵素mRNAの上方制御を引き起こした(8、26,28)。それは特に白血球のスーパーオキサイドアニオン、過酸化水素および一酸化窒素の過剰産生を低下させる(31、56−64)。
【0020】
ピルビン酸ナトリウムはまた細胞の主要な抗酸化物質であり(8)、炎症プロセスを活性化するNF−kappa−Bの活性化を妨げるために必要なグルタチオンの細胞内レベルを増加する。最近、抗原誘発喘息患者でグルタチオンが劇的に減少していて(10)吸入グルタチオンは容易に細胞内に入らないことが発見された。ピルビン酸は輸送システムを介してすべての細胞に入りまた血液脳関門を通過する。酸素ラジカルは悪性腫瘍の誘発および増殖に関与し、既知の酸素ラジカル捕捉物質であるピルビン酸は癌予防に関係するとされてきた(32、33、57、64)。
【0021】
ピルビン酸は移植癌の増殖を抑制し肺転移を減らしHによって引き起こされるDNA切断数を40%まで低下させた(32)。酸素ラジカルの中和に必要な量を超える過剰のピルビン酸ナトリウムは哺乳動物細胞へ入る。すべての細胞はピルビン酸を血清レベルよりも高い濃度に濃縮する輸送システムをもっている。単球培養ではH産生は培地中に供給されるピルビン酸ナトリウムのレベルによって制御された。1mM以上の濃度でHレベルは30%まで低下した。10mMの濃度ではHレベルは60%まで低下した(64)。
【0022】
ピルビン酸は高レベルで一酸化窒素の正および負の作用を制御する。あまりに高いレベルの一酸化窒素は細胞に有害である。高いレベルの一酸化窒素が産生されると、高レベルの一酸化窒素が産生されると、高レベルのピルビン酸からの誘導性一酸化窒素合成酵素mRNAの活性化による場合でさえも、ピルビン酸によって標準に保たれる。一酸化窒素はcGMPおよびADP(アデノシンジホスフェート)のレベルの増加によって細胞に影響しその作用には酸性のpH範囲を要求する(12)。高レベルのピルビン酸はpHレベルを上げ、ATPレベルを上げ、ADPおよびcAMPのレベルを下げGTPのレベルを上げ、一方cGMPのレベルを下げる。このようにピルビン酸は過剰の一酸化窒素から細胞を護る。増加した一酸化窒素レベルは、特に過酸化亜硝酸に変換したとき、炎症を生じ強める好酸球に対し走化性がある(13)。好酸球は神経毒の放出によって喘息における呼吸困難作用に影響する(13)。
【0023】
炎症は感染性の病原体による宿主への侵入を含む種々の傷害によって起こる非特異的な反応である。炎症の著しい特徴は微小血管の拡張と透過性の亢進である。炎症反応は3つの連続した相からなる:(a)浮腫、痛みおよび腫脹を伴う血管透過性の亢進、(b)細胞浸潤および貪食、および(c)傷を治すために新しい結合組織を合成する繊維芽細胞の増殖。多数の炎症メディエーターが主として血管拡張と透過性亢進を誘導する能力の点で炎症プロセスに関係している。炎症はまた痛み、紅斑、虚血、過剰な血管新生、腫脹、痂皮形成、痒みおよび瘢痕を増強する化合物のレベルを上げる。
【0024】
微生物によって産生される毒素によって引き起こされるような直接的な傷害は血管内皮細胞を破壊し、その結果、特に細静脈および細静脈毛細血管において血漿タンパクの透過性を亢進する。二次的な傷害のメディエーターは直接的な傷害の部位から遊離する。結果として、血管内皮細胞間に隙間が形成されそこを通って血漿タンパクが漏れる。顆粒球、単球および赤血球もまた血管のチャンネルを離れる。二次的傷害のメディエーターは未知物質およびヒスタミン、ペプチド(キニン),キニン生成酵素(キニノゲナーゼ)およびグロブリン透過性因子を含む。これらのメディエーターは抗ヒスタミンおよび交感神経アミンによって作用をブロックされ、リンパ−血管内皮もまた二次的傷害の一部としてより小穴が多くなるとはいえ、作用は細静脈において最も顕著である。炎症の初期においては、浸出液はアルカリ性で好中球様の多形核白血球が優勢である。おそらく解糖により乳酸が蓄積するので、pHは低下しマクロファージが優先的細胞型となる。炎症浸出液中の乳酸と抗体は寄生虫を抑制するが、炎症反応の主要な抗感染作用は貪食細胞に帰せられる。
【0025】
炎症反応の有益な作用は(1)多数の白血球の産生;(2)血漿タンパク、非特異的および特異的液性作用体、フィブリンへの変換によって感染プロセスの局在化を助け、一方で貪食のマトリックスとして働くフィブリノーゲンの産生;および(3)毒性物質を薄め流しだし局所温度を上げる血流およびリンパ流の増大である。
【0026】
炎症のある創傷における初期の毛細血管透過性亢進および血管拡張に引き続き組織の代謝が亢進する。タンパク分解酵素によってフィブリン血栓に変えられるフィブリノーゲンの傷への漏出により毛細血管とリンパの遮断が確立される。結合織コラーゲン、ムコ多糖、糖タンパクおよび非繊維性タンパクからなる基底物質の成分濃度はこのプロセスの間に大きく増加する。炎症の浸出相が鎮静すると、繊維芽細胞が創傷の領域で優勢な細胞であることがわかる。繊維芽細胞は先ず増殖しついで新しいコラーゲン繊維および酸性ムコ多糖を含む細胞外物質を合成し、それは新しい組織のマトリックスを形成するように置かれる。
【0027】
巨視的レベルで、炎症現象は通常よく知られている臨床徴候である紅斑、腫脹、浮腫、圧痛(痛覚過敏)および痛みを伴う。この複雑な反応中にヒスタミン、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、アナフィラキシー遅延反応性物質(SRS−A)、種々の走化性因子、ブラジキニンおよびプロスタグランジンのようなケミカルメディエーターが局所に遊離する。貪食細胞がその領域に遊走し細胞のライソゾーム膜が破れ溶菌性酵素が放出される。これらすべての事象が炎症反応に寄与する。
【0028】
活性酸素中間体の産生は粥状動脈硬化症、関節炎、細胞毒性、皮膚炎症、光老化、しわ、光線角化症、腫瘍形成、癌、高血圧、パーキンソン病、肺疾患および心疾患のような多くの皮膚、組織および器官の病気の原因となることが示唆されてきた。腫瘍促進における酸素ラジカルの役割は(a)腫瘍促進因子は酸素ラジカルのレベルを上げる(b)多くのフリーラジカル発生システムは腫瘍を促進するおよび(c)ある種の抗酸化剤は腫瘍促進因子の生化学的効果を阻害するという知見に基づいてきた。
【0029】
インビトロで酸素ラジカル中間体は培地成分の自動酸化および光酸化によって細胞培養培地中に発生しうる。切除および保存中、移植器官は酸化的傷害を受け、その結果細胞膜の統合性は失われ器官の使用しうる期間は短くなる。
【0030】
細胞が酸化的障害によるストレスを受けた場合、細胞の再条件づけには蘇生ステップが必要である。抗酸化剤は活性酸素種に関連した障害を抑制することが示されてきた。例えばピルビン酸および他のα−ケト酸は過酸化水素と迅速かつ化学量論的に反応して有害な細胞溶解作用から細胞を護ると報告されている(61)。
【0031】
Nathに与えられた米国特許第5,210,098号明細書は毒性のないピルビン酸塩をそのような治療を必要とする患者に投与することによって急性腎不全を抑止または予防する方法を開示している。Nathは急性腎不全を経験しているまたはその危険がある患者にある量のピルビン酸塩を投与することからなる治療法を開示している。ピルビン酸塩、好ましくは、ピルビン酸ナトリウムは医薬として許容される液性担体に分散または溶解され、急性腎不全の抑止または予防に有効な量が非経口投与され、かくして正常な腎機能が回復される。ある症例では、ピルビン酸は腎に直接または近位腎動脈循環に注入される。その方法は火傷および閉塞症を含む外傷;虚血後の再潅流、炎症性糸球体腎炎および敗血症すなわちグラム陰性菌感染を含むがそれに限るものではない広範な原因による急性腎不全の予防または是正に有効である。
【0032】
Martin等に与えられた米国特許第5,296,370号明細書は哺乳動物細胞への傷害を予防、軽減し、傷害された哺乳動物細胞の蘇生速度を増す治療組成物を開示している。実施例の一つでは治療組成物は(a)ピルビン酸、ピルビン酸の薬学的に許容される塩およびその混合物からなるグループから選ばれたピルベート(b)抗酸化剤(c)傷害された哺乳動物細胞の蘇生に必要な飽和および不飽和脂肪酸からなる。
【0033】
Miller等に与えられた米国特許第5,256,697号明細書はインスリン抵抗性を改善しインスリン持続レベルを低くして脂肪増加を軽減するために治療上有効な量のピルビン酸前駆体を哺乳動物に経口投与する方法を開示している。
【0034】
何れもVan Scott等に与えられた米国特許第3,920,835号明細書;米国特許第3,984,556号明細書および米国特許第3,988,470号明細書は座瘡、頭部粃糠疹および手掌角化症をそれぞれ治療するための、医薬として許容される担体中にα−ヒドロキシ酸、α−ケト酸およびそのエステル、および3−ヒドロキシ酪酸からなるグループから選ばれた炭素原子2から6を含む低級脂肪族化合物をおよそ1%からおよそ20%含む局所用組成物を患部に適用することからなる方法を開示している。
【0035】
共にYu等に与えられた米国特許第4,105,783号明細書および米国特許第4,197,316号明細書は乾燥肌を治療するための医薬として許容される担体中にα−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸およびα−ケト酸のアミドおよびアンモニウム塩からなるグループから選ばれた化合物をおよそ1%からよそ20%含む局所用組成物を幹部に適用することからなる方法および組成物を開示している。化合物はピルビン酸および酪酸のアミドおよびアンモニウム塩を含む。
【0036】
Van Scott等に与えられた米国特許第4,234,599号明細書は光線角化症および非光線角化症を治療のための医薬として許容される担体中にα−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸およびα−ケト酸から選ばれた有効量の化合物を含む局所用組成物を患部に適用することからなる方法を開示している。酸性化合物はピルビン酸および酪酸を含む。
【0037】
Wildnauer等に与えられた米国特許第4,294,852号明細書は上に開示されたα−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸およびα−ケト酸とC3−C8の脂肪族アルコールとの組合せからなる皮膚治療のための組成物を開示している。
【0038】
Veechに与えられた米国特許第4,663,166号明細書はそれぞれの比率が20:1から1:1のL−酪酸塩とピルビン酸の混合物あるいはそれぞれの比率が6:1から0.5:1のD−β−ヒドロキシ酪酸塩とアセト酢酸の混合物からなる電解質溶液を開示している。
【0039】
ピルビン酸ナトリウムはモルモットおよびラットでアセチルサリチル酸によって起こる胃粘膜の糜爛、潰瘍および出血の数を減らすことが報告されている。アセチルサリチル酸の鎮痛および解熱作用はピルビン酸ナトリウムよって損なわれない、Puschmann,Arzneimittelforschung,33,pp.410−416(1983)。
【0040】
ピルビン酸は心室機能不全の延長とそれに続く不可逆的障害は生じないが短期間の冠動脈閉塞がある仮死心筋に陽性の変力作用を及ぼすことが報告されている、Mentzer等, Ann. Surg., 209, pp. 629−633(1989)。ピルビン酸はまた左心室圧および心仕事パラメーターの相対的安定化を生じ、心梗塞の大きさを減じると報告されている。ピルビン酸は自発性の心拍の再開および正常な心拍数と血圧の進展を改善する、Bunger等, J. Mol. Cell. Cardiol., 18, pp. 423−438(1986), Mochizuki等, J. Physiol.(Paris), 76, pp. 805−812(1980)、 Regitz等, Cardiovasc. Res., 15 pp. 652−658(1981)、 Giannelli等, Ann. Thorac. Surg., 21 pp. 386−396(1976)。
【0041】
ピルビン酸ナトリウムはシアン化物中毒のアンタゴニストとして働き(おそらくシアノヒドリンの生成により)硫化ナトリウムの致死作用に対し保護し、アクリルアミド神経軸索障害の機能的、形態学的および生化学的尺度の開始および発展を遅らせることが報告されている、Schwarz等, Toxicol. Appl. Pharmacol., 50 pp. 437−442(1979)、 Sabri等、 Brain Res., 483, pp. 1−11(1989)。
【0042】
Katzに与えられた米国特許第5,798,388号明細書は医薬として許容される担体中のピルビン酸、酪酸およびそれらの前駆体および塩を投与することからなる炎症から生じた肺疾患の治療のための方法および組成物を開示している。組成物はまた細胞のエネルギー源となる。
【0043】
異常に変形した赤血球を正常に回復するためにピルビン酸ナトリウムを使用するL1210進行型白血病の化学療法的治療が報告されている。変形赤血球は腫瘍細胞への薬剤の十分な運搬を妨げる、Cohen, Cancer Chemother. Pharmacol., 5 pp. 175−179(1981)。
【0044】
インビボ7,12−ジメチルベンツ(a)アントラセンに暴露された異所性の気管移植片の一次培養は、インターロキン−2で刺激した抹消血リンパ球、形質細胞腫および融合細胞腫、ブタ胚およびヒト胚盤胞とともにピルビン酸ナトリウムを補足した強化培地中でうまく保持されると報告された、Shacter, J. Immunol, Methods, 99、 pp.259−270(1987), Marchok等, Cancer Res., 37、 PP. 1811−1821(1977), Davis, J. Reprod. Fertil, Suppl., 33. pp. 115−124(1985), 岡本 等, 脳と神経, 38, pp. 593−598(1986), Cohen等, J. In vitro Fert. Embryo Transfer, 2, pp. 59−64(1985)。
【0045】
何れもStankoに与えられた米国特許第4,158,057号明細書;米国特許第4,351,835号明細書;米国特許第4,415,576号明細書および米国特許第4,645,764号明細書はそれぞれアルコール摂取による哺乳動物の肝への脂肪蓄積の予防のための方法、哺乳動物の体重を管理する方法、哺乳動物でタンパク濃度を上げながら体脂肪を抑制する方法および生物における体脂肪沈着を管理する方法を開示する。その方法は哺乳動物にピルビン酸とジヒドロキシアセトン、任意にリボフラビン、との治療用混合物を投与することからなる。Stankoに与えられた米国特許第4,548,937号明細書は哺乳動物に治療上有効な量のピルビン酸と任意にリボフラビンを投与することからなる哺乳動物の体重増加を制御する方法を開示する。Stankoに与えられた米国特許第4,812,479号明細書は哺乳動物に治療上有効な量のジヒドロキシアセトンと任意にリボフラビンおよびピルビン酸を投与することからなる哺乳動物の体重増加を制御する方法を開示する。
【0046】
ピルビン酸ナトリウムを含むシュウ酸カルシウム結石形成性食餌を与えたラットはピルビン酸ナトリウムを与えなかった対照ラットよりも尿路結石(石)の発生が少ないと報告されている、小川 など, 泌尿器科紀要, 32, pp. 1341−1347(1986)。
【0047】
Houlsbyに与えられた米国特許第4,521,375号明細書は生きた組織と接触する表面を滅菌する方法を開示する。その方法は表面を過酸化水素水で滅菌しついで表面をピルビン酸で中和することからなる。
【0048】
Tauda等に与えられた米国特許第4,416,982号明細書はペルオキシダーゼの存在下で過酸化水素をフェノールまたはアニリン誘導体と反応させることによって過酸化水素を分解するための方法を開示する。
【0049】
Lindstrom等に与えられた米国特許第4,696,917号明細書はアール塩、コンドロイチン硫酸、緩衝溶液、2−メルカプトエタノールおよびピルビン酸を含むイーグル最小基本培地からなる洗浄溶液を開示する。洗浄溶液は任意にアスコルビン酸およびα−トコフェロールを含んでもよい。
【0050】
またLindstrom等に与えられた米国特許第4,725,586号明細書は平衡塩類溶液、コンドロイチン硫酸、緩衝溶液、2−メルカプトエタノール、重炭酸ナトリウムまたはデキストロース、ピルビン酸、リン酸ナトリウム緩衝システムおよびシスチンからなる洗浄溶液を開示する。洗浄溶液は任意にアスコルビン酸およびγ−トコフェロールを含んでもよい。
【0051】
Bissett等に与えられた米国特許第4,847,069号明細書は(a)ソルボヒドロキシム酸、(b)ステロイド抗炎症剤および天然抗炎症剤から選ばれた抗炎症剤、および(c)外用担体からなる光防護組成物を開示する。
【0052】
またBissett等に与えられた米国特許第4,847,071号明細書は(a)トコフェロールまたはトコフェロールエステル ラジカル捕捉剤、(b)抗炎症剤、および(c)外用担体からなる光防護組成物を開示する。
【0053】
Bissett等に与えられた米国特許第4,847,072号明細書は外用担体中に25%以下のトコフェロールソルベートを含む組成物を開示する。
【0054】
Martinに与えられた米国特許第5,863,938号明細書は有効量の抗菌剤と(a)ピルビン酸またはα−ケトグルタル酸(b)抗酸化剤および(c)脂肪酸混合物からなる抗菌性創傷治療組成物を開示する。
【0055】
Yu等に与えられた米国特許第5,561,157号明細書はα−およびβ−ケトカルボン酸およびその塩を用いた加齢斑、しわ、乾燥肌、湿疹、乾癬、および角化症の治療のための組成物および方法を開示する。
【0056】
Paulに与えられた米国特許第6,149,924号明細書は皮膚脂質産生を増加し、バリア機能を増加し、過酸化水素を中和し、皮膚からの加湿因子の損失を予防する多くの薬剤の使用を開示している。薬剤はアミノ酸およびその分解産物である。
【0057】
Martinに与えられた米国特許第5,633,285号明細書は治療用の細胞保護創傷治療組成物を開示する。組成物は細胞毒性物質および(a)ピルビン酸(b)ビタミンEおよび(c)飽和および不飽和脂肪酸混合物を含む治療用創傷治療組成物からなる。発明は正常細胞を腫瘍の治療に用いられる細胞毒性薬物から護るために使用される。
【0058】
Bungerに与えられた米国特許第5,536,751号明細書はα−ケトカルボン酸、主としてピルビン酸を用いた活性なリン酸化力増強物質としての医薬組成物を開示する。
【0059】
Martinに与えられた米国特許第6,689,810号明細書は哺乳動物の肺疾患状態をα−ケト酸を用いて哺乳動物細胞の常在性一酸化窒素のインビボレベルを変えることによって治療する方法を開示する。
【0060】
米国特許出願公開第20030165457号明細書(Martin)は炎症反応に関わる哺乳動物細胞によって引き起こされる創傷、傷害、疾患および皮膚疾患状態を治療するための、単独または望ましくない炎症状態を軽減することが出来る量の組合せで用いるα−ケト酸からなるグループから選ばれる抗酸化活性酸素種メディエーターと哺乳動物細胞を接触させることからなる方法を開示する。
【0061】
細菌および酵母系へのピルビン酸ナトリウムの添加は過酸化水素の産生を抑制し、増殖を促進し、系を活性酸素中間体の毒性から護ることが報告されている。ニワトリの脂質に含まれる不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の最適な比率は膜の修復を促進し細胞毒性を抑制した。抗酸化物質グルタチオンおよびチオグリコレートは酸素ラジカル種によって誘導される傷害を軽減した。
【0062】
上記の治療組成物および方法は活性酸素ラジカルの負の作用を中和する抗酸化物質として作用すると報告されているけれども、どの組成物および方法も増殖性、変性腫瘍および感染、非感染傷害によって引き起こされる哺乳動物の障害およびその結果としての疾患を哺乳動物細胞中の常在性過酸化亜硝酸のインビボレベルを変え、一方過酸化亜硝酸によって引き起こされる毒性代謝から細胞を護ることによっては治療しない。どの治療法もこれら多数の疾患の治療に必要な薬剤を防護しその効果を強め有効期間を増す方法を考案していない。抗ウィルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗テロメラーゼおよび抗癌剤のような薬剤は酸素ラジカル特に過酸化亜硝酸およびNF−kappa−Bによって制御される炎症メディエーターによって攻撃されたとき、NF−kappa−Bの活性化をさらに増強する細胞毒性化合物になる。治癒プロセスは過酸化亜硝酸産生の制御と抑制および薬物異化による細胞毒性からの回復および代謝性毒性副産物の除去、これらの毒性副産物によるNF−kappa−Bの過剰発現を含む炎症の抑制、細胞の生存率と増殖の刺激を要求する。治癒はまた毒性物質と直接または間接的に反応してそれによるNF−kappa−B活性化を抑制する化合物を要求する。大きな創傷を受けた患者は、殆どの感染および非感染創傷および腫瘍に伴う痛み、腫脹、組織の虚血、過剰な血管新生、紅斑(発赤)、痂皮、痒みおよび繊維性の状態(瘢痕)を軽減する薬剤の使用および使用なしに回復を保護し促進するため、化酸化亜硝酸およびNF−kappa−Bによって制御される他の炎症メディエーターの過剰発現の軽減から利益を受けるであろう。この治療法は望ましくない痛み、進行性の組織虚血、過剰な血管新生、過剰な白血球(WBC)浸潤、紅斑、腫脹、痒み、痂皮および瘢痕を軽減するであろう。さらに哺乳動物の細胞シグナル物質が適正な比率と型のコラーゲンおよびエラスチンの沈着のために必要である。
【発明の概要】
【0063】
本発明は炎症反応に関わる哺乳動物細胞によって引き起こされる哺乳動物の創傷および疾患を生体内の常在性過酸化亜硝酸およびその塩のレベルを変えることによって治療するための方法を与えるものであり、哺乳動物細胞をピルベート、ピルビン酸前駆体、炭素原子4以上のα−ケト酸、炭素原子4以上のα−ケト酸前駆体およびその塩からなるグループから選ばれた治療上有効な量の活性酸素種メディエーターと接触させることからなり、そこでは活性酸素種の媒介は過酸化亜硝酸の媒介に帰着する。
【0064】
本発明はさらに炎症反応に関わる哺乳動物細胞によって引き起こされる哺乳動物の創傷および疾患を生体内の常在性過酸化亜硝酸およびその塩のレベルを変えることによって治療するための医薬組成物を与えるものであり、ピルベート、ピルビン酸前駆体、炭素原子4以上のα−ケト酸、炭素原子4以上のα−ケト酸前駆体およびその塩からなるグループから選ばれた治療上有効な量の活性酸素種メディエーターからなり、そこでは活性酸素種の媒介は過酸化亜硝酸の媒介に帰着する。
【発明の詳細】
【0065】
本発明は炎症反応に関わる哺乳動物細胞によって引き起こされる哺乳動物の創傷および疾患を生体内の常在性過酸化亜硝酸のレベルを変えることによって治療するための方法を与える。方法は哺乳動物細胞をピルベート、ピルビン酸前駆体、炭素原子4以上のα−ケト酸、炭素原子4以上のα−ケト酸前駆体およびその塩からなるグループから選ばれた活性酸素種メディエーターと接触させることからなる。
【0066】
本発明は活性酸素種メディエーターであり過酸化水素の産生を媒介および/または下方制御するオキザロ酢酸のようなα−ケト酸を提供する。例えば、オキザロ酢酸は過酸化水素と反応しマロン酸を生成しそれは過酸化水素の生成を抑制する。過酸化水素のような酸素ラジカルの産生の媒介は、一酸化窒素と反応し過酸化亜硝酸を産生する過酸化水素のような酸素ラジカルから一酸化窒素を護ることにより生体内の常在性過酸化亜硝酸のレベルを変えることができる。哺乳動物細胞のα−ケト酸の濃度制御によって、過酸化水素のような酸素ラジカルの合成が媒介され、順に過酸化亜硝酸に変換される一酸化窒素のレベルが媒介される。過酸化水素および一酸化窒素のような酸素ラジカルの調節は過酸化亜硝酸の合成を制御する。傷害部位の過酸化亜硝酸濃度の低下により、過酸化亜硝酸と治療薬の反応から生じる毒性代謝物のレベルが低下し、それによって治癒速度および疾患治療に用いられる薬剤の有効性が増加する。過酸化水素の産生を下方制御する活性酸素種メディエーターは一酸化窒素を過酸化亜硝酸への変換から護る。過酸化水素のような酸素ラジカルの下方制御は、それによって創傷や疾患を攻撃し続けるための一酸化窒素の酸性を許す。
【0067】
本発明はまた過酸化水素のような酸素ラジカルの産生を媒介および/または上方制御する能力を有するα−ケトグルタル酸のようなα−ケト酸を提供する。例えば、α−ケトグルタル酸は過酸化水素と反応してコハク酸を生成しそれは過酸化水素の産生を増加する。虫やマラリヤのような寄生虫は過酸化水素や一酸化窒素よりも過酸化亜硝酸に影響されやすい。過酸化水素の産生を上方制御する活性酸素種メディエーターは一酸化窒素の過酸化亜硝酸への変換を促進する。この過酸化水素の上方制御は過酸化亜硝酸の産生を促進しそれによって寄生虫感染および過酸化亜硝酸感受性の他の疾患を攻撃する。
【0068】
以下の用語はここで次の意味で使われる:
ここで用いられる用語“細胞毒性”は細胞を傷害する毒生物質によって引き起こされる状態を意味する。傷害された細胞はすべてのエネルギーを細胞修復に消費するので容易に増殖しない。細胞修復を助けることは細胞増殖を促進する。
【0069】
ここで用いられる用語“傷害された細胞”は何らかの理由によっていかなる活性でも破壊された細胞を意味する。例えば、傷害された細胞は細胞膜を傷害された細胞またはDNA、RNAおよび/またはリボソームを損傷された細胞である。例えば、(a)膜を通しての輸送が消失しその結果細胞内に毒素および正常の細胞廃棄物が増加し細胞修復に必要な栄養素および他の成分が減少した傷害された膜をもつ細胞(b)細胞の抗酸化物質および酵素産生能力の低下による細胞内酸素ラジカル濃度が増加した細胞、あるいは(c)正常な細胞機能の再開前に修復あるいは置換されるべき損傷されたDNA、RNAおよびリボソームをもつ細胞である。
【0070】
ここで用いられる用語“代謝物”は代謝または代謝プロセスによって産生されるいかなる物質をもさす。ここで用いる“代謝”は組織および細胞中で起こる分子あるいは化合物の変換に関与する種々の化学反応を指す。
【0071】
医薬的に許容される担体、賦形剤などのようにここで用いられる用語“医薬として許容される”は、特定の化合物が投与される被験者に対し薬理学的に許容されかつ実質的に無毒であることを意味する。
【0072】
ここで用いられる用語“医薬として許容される塩”は本発明の化合物の生物学的効果および性質を持ち適切な毒性のない有機または無機酸あるいは有機または無機塩基から生成される通常の酸添加塩または塩基添加塩を指す。酸添加塩の例は塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸のような無機酸由来の塩およびp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルフォン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酪酸、フマール酸などのような有機酸由来の塩を含む。塩基添加塩の例はアンモニウム、カリウム、ナトリウムおよび例えばテトラエチル水酸化アンモニウムのような4級水酸化アンモニウム由来の塩を含む。医薬化合物(すなわち薬)の塩への化学修飾は化合物の物理的および化学的安定性、吸湿性、流動性および溶解性を改善するための薬剤化学者によく知られた技術である。例えば、H. Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(6th Ed.1955) pp.196および1456−1457を参照。
【0073】
ここで用いる用語“プロドラッグ”は薬理学的作用を示す前に生体内変換を受ける化合物をさす。医薬上の問題を克服するための薬剤の化学修飾は“薬剤の潜在化”と呼ばれてきた。薬剤の潜在化とはインビボで酵素の攻撃によって親化合物を遊離する新しい化合物を生成するような、生物学的に活性な化合物の化学修飾である。親化合物の化学変換とは物理化学的性質の変化が吸収、分布および酵素的代謝に影響するようなことである。薬剤の潜在化の定義はまた親化合物の非酵素的再発生を含むよう拡大されてきた。再発生は加水分解、解離および他の酵素媒介を要しない反応の結果としておきる。プロドラッグ、潜在化された薬剤および生物可逆的誘導体という用語は互換的に使われている。推測するに、潜在化は時間遅れの要素あるいは生体内での生物活性のある親化合物の再発生に関係する時間成分を意味する。用語プロドラッグは一般的であり、潜在化された薬剤誘導体と同様に投与後に受容体に結合する実際の物質に変換される物質を含む。用語プロドラッグは薬理学的作用を示す前に生体内変換を受ける薬剤に対する一般用語である。
【0074】
ここで用いられる用語“活性酸素種”はスーパーオキサイド(O)、過酸化水素(H)、ヒドロキシラジカル(OH)および1重項酸素()のような活性酸素種を意味する。好ましくは、活性酸素種はスーパーオキサイドおよび過酸化水素である。さらに好ましくは、活性酸素種は過酸化水素である。
【0075】
ここで用いられる用語“活性酸素種メディエーター”はスーパーオキサイド(O)、過酸化水素(H)、ヒドロキシラジカル(OH)および1重項酸素()のような活性酸素種のメディエーターを意味する。好ましくは、活性酸素種メディエーターはスーパーオキサイドおよび過酸化水素のメディエーターである。さらに好ましくは、活性酸素種メディエーターは過酸化水素のメディエーターである。一般に活性酸素種メディエーターはピルベート、ピルビン酸前駆体、炭素原子4以上のα−ケト酸、炭素数4以上のα−ケト酸前躯体および/またはそれらの塩である。
【0076】
ここで用いられる用語、傷害された哺乳動物細胞の“蘇生”は細胞毒性の回復、細胞膜の安定化、細胞増殖速度の増加および/または増殖因子、ホルモンなどの分泌のような細胞機能の正常化を意味する。
【0077】
ここで用いられる用語“治療上有効な量”は病気の症状の予防、緩和または寛解に有効なあるいは治療を受けている患者の生存を延長する本発明の少なくとも1つの化合物またはその医薬として許容される塩の量を意味する。治療上有効な量の決定は当該分野の技術の範囲内である。
【0078】
本発明は炎症反応に関与する哺乳動物細胞によって引き起こされる哺乳動物の創傷および疾患を、生体内の常在性過酸化亜硝酸およびその塩のレベルを変えることによって治療するための哺乳動物細胞を治療上有効な量の活性酸素種メディエーターと接触させることからなる方法を与え、そこでは活性酸素種メディエーターはピルベート、ピルビン酸前駆体、炭素原子4以上のα−ケト酸、炭素原子4以上のα−ケト酸前駆体およびその塩からなるグループから選ばれ、活性酸素種の媒介は過酸化亜硝酸の媒介に帰着する。
【0079】
本発明はさらに炎症反応に関与する哺乳動物細胞によって引き起こされる哺乳動物の創傷および疾患を、生体内の常在性過酸化亜硝酸およびその塩のレベルを変えることによって治療するための治療上有効な量の活性酸素種メディエーターからなる医薬組成物を与え、そこでは活性酸素種メディエーターはピルベート、ピルビン酸前駆体、炭素原子4以上のα−ケト酸、炭素原子4以上のα−ケト酸前駆体およびその塩からなるグループから選ばれ、活性酸素種の媒介は過酸化亜硝酸の媒介に帰着する。
【0080】
本発明の治療用創傷治癒組成物で治療される細胞は哺乳動物細胞である。本発明の治療用創傷治癒組成物は哺乳動物表皮角化細胞および哺乳動物単球の治療に有効であるけれども、出願者は治療用創傷治癒組成物はまたすべての哺乳動物細胞を保護あるいは蘇生するために使用できると考える。角化細胞は代表的な正常哺乳動物細胞であり身体で最も速く増殖する細胞である。角化細胞の創傷および治療への反応と哺乳動物細胞のそれとの相関は一般に非常に高い。単球は免疫系における白血球、肝、腎、心、および脳の器官細胞のように代表的な特殊化した哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞はインビボおよびインビトロで処理される。
【0081】
表皮角化細胞は表皮の特殊化した上皮細胞でありケラチン、表皮の主要な成分である硬タンパク質、毛、爪、角質組織および歯のエナメルの有機マトリックスを合成する。哺乳動物の表皮角化細胞は表皮細胞の95%を構成しメラノサイトとともに表皮の2成分系を形成する。その様々な連続する段階で、角化細胞はまた基底細胞、有棘細胞および顆粒細胞として知られる。
【0082】
単球は単核の貪食性白血球で呼吸性バーストを起こし表皮内の活性酸素が媒介する傷害に関係する。白血球は白血球数または小体であり主に2群:細胞質中に顆粒を豊富にもつ白血球である顆粒性白血球(顆粒球)およびリンパ球および単球を含む細胞質中に特別な顆粒のない非顆粒性白血球(非顆粒球)に分類される。貪食細胞は微生物あるいは他の細胞および異物粒子を摂取する細胞である。単球はまた大単核球として知られ硝子質のあるいは移行性の白血球である。
【0083】
表皮の角化細胞および単球は複数の酸素発生メカニズムをもち各々のタイプのメカニズムが機能する程度は各々のタイプの細胞で異なる。例えば、単球は呼吸バーストプロセスが表皮角化細胞より顕著である。それゆえ、本発明の治療用創傷治癒組成物の成分は治療する状態に関係する細胞のタイプによって変わる。
【0084】
本発明で治療する特別な病状は感染および非感染の創傷、火傷、日焼け、化学熱傷、外科的処置、乾癬、心血管系疾患、褥瘡性潰瘍、糖尿病性潰瘍、関節炎、パーキンソン病、後天性免疫不全症候群(AIDS)、糖尿病、関節リウマチ、皮膚疾患、炎症性疾患、アルツハイマー病、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷、腫瘍、虚血および再潅流障害による障害を持つ例えば脳、肝などの臓器疾患、出血性ショック、臓器移植、消化管疾患、老化疾患、粥状動脈硬化、脳卒中、神経疾患を含み、同様に瘢痕やしわの除去のためのレーザー治療から起きるいかなるタイプの傷も含む。
【0085】
軽減される好ましい炎症反応は酸素ラジカル産生、過酸化水素産生、サイトカインおよびプロテアーゼ産生、プロスタグランジン産生、過剰な血管新生、過剰な白血球浸潤、組織虚血、痛み、腫脹、痒み、痂皮、紅斑、ヒスタミンおよびロイコトリエン産生、瘢痕形成およびそれらの混合からなるグループから選ばれる。
【0086】
本発明の活性酸素種メディエーターはピルベート、ピルビン酸前駆体、炭素原子4以上のα−ケト酸、炭素原子4以上のα−ケト酸前躯体、それらの医薬として許容しうるエステルおよび塩、およびそれらの混合物からなるグループから選ばれる。
【0087】
ピルベートはピルビン酸、ピルビン酸リチウム、ピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、ピルビン酸マンガン、ピルビン酸アンモニウムおよびピルビン酸アルミニウムからなるグループから選ばれる。ピルビン酸前躯体はピルビン酸グリシン、ピルビン酸アラニン、ピルビン酸ロイシン、ピルビン酸バニリン、ピルビン酸イソロイシン、ピルビン酸フェニルアラニン、ピルビン酸アミドおよびピルビン酸塩からなるグループから選ばれる。
【0088】
炭素原子4以上のα−ケト酸はオキザロ酢酸、α−ケトグルタル酸、α−ケト酪酸、α−ケトアジピン酸、α−ケトカプロン酸およびα−ケトイソバレリン酸からなるグループから選ばれる。炭素原子4以上のα−ケト酸前躯体はα−ケト酸グリシン、α−ケト酸シスチン、α−ケト酸アラニン、α−ケト酸ロイシン、α−ケト酸バリン、α−ケト酸イソロイシンおよびα−ケト酸フェニルアラニンからなるグループから選ばれる。
【0089】
ピルビン酸(2−オキソプロパン酸、α−ケトプロピオン酸、CHCOCOOH)またはピルベートはタンパク質と炭水化物の代謝およびクエン酸回路の基本的な中間物である。クエン酸回路(トリカルボン酸回路、クレブス回路)は輸送系に電子を与えるため呼吸組織での有機化合物の酸化によって酸素を還元しアデノシン三リン酸(ATP)を発生する主要な連続反応である。アセチル補酵素A(“活性アセチル”)はこの過程で酸化されその後多様な生物プロセスで利用されまた多くの脂肪酸およびステロール生合成の前躯体である。アセチル補酵素Aの主な2つの源はグルコースと脂肪酸の代謝に由来する。解糖系は各グルコース分子が細胞質で2分子のピルビン酸に転換される一連の転換からなる。ピルビン酸はついでミトコンドリアに入りそこで酵素および補因子の存在下で補酵素Aによってアセチル補酵素Aに酸化される。アセチル補酵素Aはついでクエン酸回路に入る。
【0090】
筋肉では、ピルビン酸(グリコーゲン由来)は運動中に起きる嫌気的代謝の間に乳酸に還元される。乳酸は再酸化され一部は休息中にグリコーゲンに再転換される。ピルビン酸はまた細胞中で酸素ラジカルを中和する抗酸化物質として働き細胞毒性を逆転する多機能性酸化酵素系で使われる。
【0091】
本発明でピルベートはピルビン酸、医薬として許容されるメチル、エチルのようなエステルおよびピルビン酸塩、ピルビン酸のプロドラッグおよびそれらの混合からなるグループから選ばれる。一般に、ピルビン酸の医薬として許容される塩はアルカリ塩およびアルカリ土類塩である。好ましくは、ピルベートはピルビン酸、ピルビン酸リチウム、ピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、ピルビン酸マンガン、ピルビン酸メチル、α−ケトグルタル酸およびその混合物からなるグループから選ばれる。さらに好ましくは、ピルベートはピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、ピルビン酸マンガンなどおよびその混合物からなるグループの塩から選ばれる。最も好ましくは、ピルベートはピルビン酸ナトリウムである。
【0092】
本発明の治療用創傷治癒組成物に存在するピルベートの量は治療に有効な量である。治療上有効な量のピルベートは哺乳動物細胞への傷害を予防および軽減するためあるいは傷害された哺乳動物細胞の蘇生速度を上げるために本発明の組成物に必要な量である。ピルベートの正確な量は組成物中の他の成分同様、治療する状態のタイプのような因子に従った好みの問題である。好ましい実施例ではピルベートは治療用創傷治癒組成物中におよそ10重量%からおよそ50重量%、好ましくはおよそ20重量%からおよそ45重量%、さらに好ましくはおよそ25重量%からおよそ40重量%存在する。
【0093】
好ましいα−ケト酸はα−ケト−イソ吉草酸、(CHCHCOCOOHである。α−ケト−イソ吉草酸はタンパク合成すなわちアミノ酸ロイシン、バリンおよびそれらの代謝物生合成の基本的な中間体である。ロイシンの形成はα−ケト−イソ吉草酸(バリンの前躯体でもある)とアセチル補酵素Aの縮合ではじまりα−イソプロピルリンゴ酸を生じる。引き続くステップはトリカルボン酸サイクルにおけるクエン酸からα−ケトグルタル酸を導くステップと同様である。アセチル補酵素Aの2つの主要な源はグルコースおよび脂肪酸の代謝に由来する。解糖系は各グルコース分子が細胞質で2分子のピルビン酸に転換される一連の転換からなる。ピルビン酸はついでミトコンドリアに入りそこで酵素および補因子の存在下で補酵素Aによってアセチル補酵素Aに酸化される。ピルビン酸はまた数ステップでバリン形成に導くα−ケト−吉草酸に変えられる。
【0094】
α−ケト−イソ吉草酸は痛み、紅斑、痒みおよび腫脹を抑制する。α−ケト−イソ吉草酸はHと反応しイソ酪酸を生じることが知られていてプロスタグランジンを還元すると思われる。α−ケト酪酸は他のすべてのα−ケト酸よりも優れた保湿剤である。α−ケト酪酸はHと反応して抗真菌物質であることが示されまた他のα−ケト酸とともに組織の水分を増強するために使われるプロピオン酸を生じる。α−ケトグルタル酸はニューロンおよび繊維芽細胞に取り込まれそこでニューロンの生存時間を延長し繊維芽細胞によるコラーゲン析出を増強する。ピルベートとの組合せでα−ケトグルタル酸は最大のニューロン生存時間および再生を生じた。α−ケトグルタル酸はHと反応してコハク酸を生じ肥満細胞からのヒスタミン放出を抑制する。α−ケト−カプロン酸は細胞膜および粘液を破壊する。α−ケト−カプロン酸はHと反応して食品源である吉草酸を生じる。α−ケト−カプロン酸はオキザロ酢酸とともに癌細胞の増殖を抑制するために使われるが、一方同時に正常細胞の増殖は抑えない。α−ケト−アジピン酸は過剰の粘液を溶解する。α−ケトアジピン酸はHと反応してグルタル酸を生じる。
【0095】
本発明のα−ケト吉草酸はα−ケト吉草酸、その医薬として許容される塩、α−ケト吉草酸のプロドラッグおよびその混合物からなるグループから選ばれる。一般にα−ケト吉草酸の医薬として許容される塩はアルカリ塩およびアルカリ土類塩である。好ましくは、α−ケト吉草酸はα−ケト吉草酸、α−ケト吉草酸リチウム、α−ケト吉草酸ナトリウム、α−ケト吉草酸カリウム、α−ケト吉草酸マグネシウム、α−ケト吉草酸カルシウム、α−ケト吉草酸亜鉛、α−ケト吉草酸マンガン、α−ケト吉草酸メチルおよびその混合物からなるグループから選ばれる。さらに好ましくはα−ケト吉草酸はα−ケト吉草酸、α−ケト吉草酸リチウム、α−ケト吉草酸ナトリウムおよびα−ケト吉草酸カリウムからなるグループから選ばれ、最も好ましくはα−ケト吉草酸はα−ケト吉草酸ナトリウムである。
【0096】
α−ケト吉草酸の前躯体および炭素原子4以上のα−ケト酸はグリシン、アラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、アミドまたは他のアミノ酸あるいは化合物に結合したα−ケト酸からなるグループから選ばれる。
【0097】
本発明の治療用創創傷治癒組成物に存在するα−ケト吉草酸は治療上有効な量である。治療上有効なα−ケト吉草酸の量は哺乳動物細胞の傷害を予防および軽減するためにおよび/または傷害された哺乳動物細胞の蘇生速度を増加するために必要なα−ケト吉草酸の量である。有効なα−ケト吉草酸の正確な量は治療する状態のタイプ、同様に組成物中の他の成分のような因子によって決定される好みの問題である。好ましい実施例ではα−ケト吉草酸は治療用創傷治癒組成物中におよそ0.1重量%からおよそ50重量%、好ましくはおよそ0.2重量%からおよそ45重量%、さらに好ましくはおよそ0.5重量%からおよそ20重量%存在する。
【0098】
もう1つの好ましいα−ケト酸はオキザロ酢酸、HOOCHCOCOOHである。オキザロ酢酸はケロイド形成、血管新生および過剰な白血球浸潤を抑制することが見出されている。オキザロ酢酸の特性は、周囲の健常組織に遅発性の組織損失を起こす熱的傷害による進行性火傷虚血を予防するために使うことができる。オキザロ酢酸はHと反応しコハク酸脱水素酵素の競合的阻害剤であり呼吸およびHおよび他の酸素ラジカルのさらなる産生を効果的に抑制するマロン酸を産生する。
【0099】
一方、コハク酸は過酸化水素および他の酸素ラジカルの産生を増強する。マロン酸はグルタチオンによってミトコンドリアから効率的に輸送される。これは過酸化水素産生を制御する保護的な方法である。オキザロ酢酸がα−ケト吉草酸またはピルベートとの組合せで火傷に使われたとき、過剰の浸潤白血球数が減少し治癒が促進されることが見出されている。オキザロ酢酸は放射線治療を受けている患者の治療に腫瘍の再増殖を抑制し同時に正常細胞を治癒するために使うことができる。
【0100】
本発明は種々のタイプの創傷の治癒を促進するための、α−ケト酸の単独または組合せでの使用を与える。各々の創傷は独特で傷害の治療に様々なタイプのα−ケト酸の組合せを必要とする。すべてのα−ケト酸は同じではなくそれぞれがそれ自身独特な特徴をもつ。様々なα−ケト酸の組合せは、感染、非感染の創傷および腫瘍を、薬剤を使いまた使わずに過酸化亜硝酸の過剰産生を抑制することによって治療するために、各々単独の使用よりもうまく種々のタイプの創傷の治療に相乗的に働くように使用できる。
【0101】
もう1つの好ましい実施例では、方法はさらに哺乳動物細胞を活性酸素種メディエーターおよび治療薬と接触させることからなる。治療薬は抗菌剤、抗ウィルス剤、抗真菌剤、抗腫瘍剤、抗ヒスタミン、タンパク質、酵素、ホルモン、非ステロイド抗炎症剤、サイトカインおよびステロイドからなるグループから選ばれる。治療薬は活性酸素種メディエーターの投与前、活性酸素種メディエーターの投与と同時あるいは活性酸素種メディエーターの投与後に投与される。
【0102】
本発明の治療組成物に存在する治療薬の量は治療上有効な量である。治療薬の治療上有効な量は特定の状況を治療するために必要な通常の治療薬量である。治療薬の正確な量は治療される状況のタイプ、同様に組成物中の他の成分のような因子に従う好みの問題である。一般に存在する抗菌剤の量は望ましい結果を得るために必要な通常の投与量である。そのような投与量は医学技術に熟練した医師によく知られていて本発明の一部ではない。治療薬は活性酸素種メディエーターの投与前、活性酸素種メディエーターの投与と同時あるいは活性酸素種メディエーターの投与後に投与される。
【0103】
治療組成物に使用される抗菌剤は過酸化亜硝酸の過剰産生から生じる疾患の治療に有用な広範な水溶性および非水溶性薬剤およびその酸付加塩または金属塩から選ばれる。有機および無機塩ともに抗菌剤がその薬物としての価値を保持するように使われる。抗菌剤は広範な治療薬および治療薬の混合物から選ばれ、徐放あるいは作用延長の形状で投与される。これに限定するものではないが抗菌剤の特定の実例はビスマス含有化合物、スルホンアミド、ニトロフラン、メトロニダゾール、チニダゾール、ニモラゾール、安息香酸、アミノグリコシド、マクロライド、ペニシリン、ポリペプチド、テトラサイクリン、セファロスポリン、クロラムフェニコールおよびクリンダマイシンを含む。好ましくは、抗菌剤は限定するものではないがアルミン酸ビスマス、次クエン酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、次サリチル酸ビスマスおよびその塩の混合物のようなビスマス含有化合物;スルホンアミド;ニトロフラゾン、ニトロフラントインおよびフロゾリドンのようなニトロフラン;メトロニダゾール、チニダゾール、ニモラゾールおよび安息香酸のような種々の抗菌剤;ゲンタマイシン、ネオマイシン、カナマイシンおよびストレプトマイシンのようなアミノグリコシドを含む抗生物質;エリスロマイシン、クリンダマイシンおよびリファマイシンのようなマクロライド;ペニシリンG、ペニシリンV,アンピシリンおよびアモキシシリンのようなペニシリン;バシトラシンおよびポリミキシンのようなポリペプチド;テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびドキシサイクリンのようなテトラサイクリン;セファレキシンおよびセファロチンのようなセファロスポリン;およびクロラムフェニコールおよびクリンダマイシンのような種々の抗生物質からなるグループから選ばれる。さらに好ましくは、抗菌剤はアルミン酸ビスマス、次クエン酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、スルホンアミド、ニトロフラゾン、ニトロフラントイン、フロゾリドン、メトロニダゾール、チニダゾール、ニモラゾール、安息香酸、ゲンタマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、リファマイシン、ペニシリンG、ペニシリンV、アンピシリン、アモキシシリン、バシトラシン、ポリミキシン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、セファロチン、クロラムフェニコールおよびクリンダマイシンからなるグループから選ばれる。
【0104】
本発明の治療組成物に使用される抗菌剤の量は特定の抗菌剤の治療に推奨される投与量あるいは許可されている投与量によって変わる。一般に抗菌剤の量は望ましい結果を得るために必要な通常の投与量である。そのような投与量は医薬技術に熟達した医師に知られていて本発明の一部ではない。好ましい実施例では治療組成物中の抗菌剤はおよそ0.01重量%からおよそ10重量%、好ましくはよそお0.1重量%からおよそ5重量%、さらに好ましくはおよそ1重量%からおよそ3重量%である。
【0105】
治療組成物に使用される抗ウィルス剤は過酸化亜硝酸の過剰産生から生じる疾患の治療に有用な広範な水溶性および非水溶性薬剤およびその酸付加塩または金属塩から選ばれる。有機および無機塩ともに抗ウィルス剤がその薬物としての価値を保持するように使われる。抗ウィルス剤は広範な治療薬および治療薬の混合物から選ばれ、徐放あるいは作用時間延長の形状で投与される。これに限定するものではないが抗ウィルス剤のカテゴリーにはRNA合成阻害剤、タンパク合成阻害剤、免疫刺激剤、プロテアーゼ阻害剤およびサイトカインが含まれる。これに限定するものではないが抗ウィルス剤の特定の例には以下の薬物が含まれる。
【0106】
(a)アシクロビル(9−〔(2−ヒドロキシエチルオキシ)メチル〕グアニン、商品名ゾビラックス(登録商標))は経口用の抗ウィルス剤である。アシクロビルは分子量225ダルトンの白色の結晶性粉末で37℃での水への溶解度は最大2.5mg/mLである。アシクロビルは1型(HSV−1)および2型(HSV−2)ヘルペスシンプレックスを含むヒトヘルペスウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス(VZV)、エプスタイン−バールウィルス(EBV)およびサイトメガロウィルス(CMV)に対しインビトロおよびインビボで抑制活性をもつ合成プリンヌクレオシドである。
【0107】
(b)ホスカルネットナトリウム(ホスホノ蟻酸三ナトリウム、商品名ホスカビル(登録商標))は静脈注射用の抗ウィルス剤である。ホスカルネットナトリウムは6等量の水和水を含む実験式NaCOP・6HO、分子量300.1の白色結晶性粉末である。ホスカルネットナトリウムはカルシウムやマグネシウムのような2価金属イオンとキレートして安定な配位化合物をつくる能力がある。ホスカルネットナトリウムはインビトロでサイトメガロウィルス(CMV),1型および2型のヘルペスシンプレックスウィルス(HSV−1、HSV−2)、ヒトヘルペスウィルス6(HHV−6)、エプスタイン−バールウィルス(EBV)および水痘帯状疱疹ウィルス(VZV)を含むすべての既知のヘルペスウィルスの複製を阻害する無機ピロホスフェートの有機アナログである。ホスカルネットナトリウムは細胞のDNAポリメラーゼに影響しない濃度でウィルス特異的DNAポリメラーゼおよび逆転写酵素のピロホスフェート結合部位を選択的に阻害することによって抗ウィルス活性を発揮する。
【0108】
(c)リバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド、商品名ビラゾール(登録商標))はエアロゾル投与用に再構成される無菌の凍結乾燥粉末として用意された抗ウィルス薬である。リバビリンは安定な白色結晶性化合物で25℃での水への最大溶解度が142mg/mLでエタノールには僅かしか溶けない合成ヌクレオシドである。実験式はC12で分子量は244.2ダルトンである。リバビリンはインビトロで呼吸器多核体ウィルス、インフルエンザウィルスおよびヘルペスシンプレックスウィルスに対して抗ウィルス阻害活性をもつ。リバビリンはまた呼吸器多核体ウィルス(RSV)に実験的に感染させたコットンラットで活性がある。細胞培養で、リバビリンのRSVに対する阻害活性は選択的である。作用機序は未知である。インビトロ抗ウィルス活性のグアノシンあるいはキサントシンによる逆転はリバビリンがこれらの細胞代謝物のアナログとして作用することを示唆する。
【0109】
(d)ビダラビン(アデニンアラビノシド、Ara−A、9−βD−アラビノフラノシルアデニン一水和物、商品名 ビラ−A(登録商標))は抗ウィルス剤である。ビダラビンは放線菌抗生物質の醗酵培養から得られるプリンヌクレオシドである。ビダラビンは実験式C1013・HOの白色結晶性固体である。ビダラビンの分子量は285.2、溶解度は25℃で0.45mg/mL、融点は260℃から270℃の範囲である。ビダラビンはインビトロおよびインビボで1型および2型のヘルペスシンプレックスウィルス(HSV−1、HSV−2)に対し抗ウィルス活性を有し、インビトロで水痘帯状疱疹ウィルス(VZV)に対し活性がある。抗ウィルスの活性機序はまだ確立されていない。ビダラビンはウィルスのDNAポリメラーゼを阻害するヌクレオチドに変換される。
【0110】
(e)ガンシクロビルナトリウムは(9−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロポキシメチル)グアニン一ナトリウム塩、商品名 サイトベン(登録商標))は静脈内投与でサイトメガロウィルスに対し活性な抗ウィルス剤である。ガンシクロビルナトリウムは分子式C12NaOで分子量277.21である。ガンシクロビルナトリウムは25℃における水への溶解度が50mg/mL以上の白色の凍結乾燥粉末である。ガンシクロビルはインビトロ、インビボの両方でヘルペスウィルスの複製を阻害する2’−デオキシグアノシンの合成ヌクレオシドアナログである。感受性のあるヒトウィルスにはサイトメガロウィルス(CMV)、1型および2型のヘルペスシンプレックスウィルス(HSV−1、HSV−2)、エプスタイン−バールウィルス(EBV)および水痘帯状疱疹(VZV)が含まれる。
【0111】
(f)ジドブジン〔アジドチミジン(AZT)、3’−アジド−3’−デオキシチミジン、商品名 レトロビル(登録商標)〕はヒト免疫不全ウィルス(HIV)に対し経口で活性がある抗レトロウィルス薬である。ジドブジンは分子量267.24ダルトン、分子式C1013の白色ないしベージュ色の無臭で結晶性の固体である。ジドブジンはHIV(HTLV III、LAVあるいはARVとしても知られる)を含むいくつかのレトロウィルスの複製のインビトロでの阻害剤である。ジドブジンは3’ヒドロキシ(−OH)基がアジド(−N3)で置換されたチミジンアナログである。
【0112】
(g)フェノール(石炭酸)は外用抗ウィルス、麻酔、防腐剤であり鎮痒薬である。フェノールは水溶性で独特の臭いがある無色ないし白色の結晶性の塊で分子式はCO、分子量は94.11である。
【0113】
(h)アマンタジン塩酸塩(1−アダマンタンアミン塩酸塩、商品名 シンメトレル(登録商標)は抗パーキンソン病薬および抗ウィルス薬の両方の薬理的作用を有する。アマンタジン塩酸塩は安定な白色または白色に近い結晶性の粉末で水に自由に溶けアルコールおよびクロロホルムに溶ける。アマンタジン塩酸塩のインフルエンザAに対する抗ウィルス活性は完全には理解されていないが、作用機序は感染ウィルス核酸の宿主細胞への放出を阻止することと思われる。
【0114】
(i)インターフェロンα−n3(ヒト白血球由来、商品名 アルフェロン(登録商標))は精製した天然のヒトインターフェロンα―タンパクの無菌の水溶性注射用製剤である。インターフェロンα−n3注射剤はアミノ酸およそ166からなる分子量が16,000から27,000の範囲のインターフェロンα−タンパクを含む。インターフェロンは抗ウィルスおよび抗増殖性をともにもつ自然に生じるタンパクである。
【0115】
使用される好ましい抗ウィルス剤はアシクロビル、ホスカルネットナトリウム、リバビリン、ビダラビン、ガンシクロビルナトリウム、ジドブジン、フェノール、アマンタジン塩酸塩およびインターフェロンα−n3からなるグループから選ばれる。好ましい実施例では抗ウィルス剤はアシクロビル、ホスカルネットナトリウム、リバビリン、ビダラビンおよびガンシクロビルナトリウムからなるグループから選ばれる。さらに好ましい実施例では抗ウィルス剤はアシクロビルである。
【0116】
本発明の治療組成物に使用される抗ウィルス剤の量は特定の抗ウィルス剤に推奨される治療投与量または許可された量によって変わる。一般に抗ウィルス剤の量は望ましい結果を得るため必要な通常の投与量である。そのような投与量は医学技術に熟練した医師に知られていて本発明の一部ではない。好ましい実施例では治療組成物中に抗ウィルス剤はおよそ0.1重量%からおよそ20重量%、好ましくはおよそ1重量%から10重量%、さらに好ましくはおよそ2重量%から7重量%存在する。
【0117】
治療組成物に使われる抗真菌剤は過酸化亜硝酸の過剰産生から生じる疾患の治療に役立つ広範な水溶性および非水溶性の薬剤およびその酸付加塩または金属塩から選ばれる。有機および無機塩の両方が抗真菌剤の医薬としての価値が保持されるように用いられる。抗真菌剤は広範な治療薬および治療薬の混合物から選ばれ徐放または作用延長の形で投与される。これに限るものではないが抗真菌剤の特定の例には以下の薬物が含まれる:ミコナゾール、クロトリマゾール、チオコナゾール、テルコナゾール、ポビドンヨウ素およびブトコナゾール。他の抗真菌剤としては乳酸およびソルビン酸がある。好ましい抗真菌剤はミコナゾールおよびクロトリマゾールである。
【0118】
本発明の治療組成物中に使われる抗真菌剤の量は特定の抗真菌剤に推奨される治療投薬量または許可された量によって変わる。一般に抗真菌剤の量は望ましい結果を得るために必要な通常の投与量である。そのような投与量は医学技術に熟練した医師に知られていて本発明の一部ではない。好ましい実施例では治療組成物中に抗真菌剤はおよそ0.05重量%からおよそ10重量%、好ましくはおよそ0.1重量%からおよそ5重量%、より好ましくはおよそ0.2重量%から4重量%存在する。
【0119】
治療組成物中に使われる抗腫瘍剤は過酸化亜硝酸の過剰産生から生じる疾患の治療に役立つ広範な水溶性および非水溶性の薬品およびその酸付加塩または金属塩から選ばれる。有機および無機塩がともに抗腫瘍剤がその医薬としての価値を保つように使われる。抗腫瘍剤は広範な治療薬および治療薬の混合物から選ばれ徐放または作用延長の形で投与される。これに限るものではないが抗真菌剤の特定の例には代謝拮抗剤、抗生物質、植物産物、ホルモンおよび他の種々の化学療法剤含まれる。非特異的作用をもつ化学的に活性な薬物はアルキル化剤およびN−アルキル−N−ニトロソ化合物を含む。アルキル化剤の例はニトロゲンマスタード、アズリジン(エチレンイミン)、スルホン酸エステルおよびエポキシドを含む。代謝拮抗剤は正常な細胞代謝物の形成または利用を妨げる化合物でアミノ酸アンタゴニスト、ビタミンおよび補酵素アンタゴニスト、およびグルタミンアンタゴニスト、蟻酸アンタゴニスト、ピリミジンアンタゴニストおよびプリンアンタゴニストのような核酸合成に関係する代謝物のアンタゴニストを含む。抗生物質は他の生物の増殖を抑制する能力を有する微生物によって産生される化合物でアクチノマイシンおよび関連の抗生物質、グルタリミド系抗生物質、サルコマイシン、フマギリン、ストレプトニグリン、テヌアゾン酸、アクチノガン、ペプチノガンおよびドキソルビシンのようなアンスラサイクリン系抗生物質を含む。植物産物はコルヒチン、ポドフィロトキシンおよびビンカアルカロイドを含む。ホルモンは乳癌や前立腺癌に用いられるステロイドおよび白血病やリンパ腫に用いられるコルチコステロイドを含む。他の種々の化学療法剤はウレタン、ヒドロキシ尿素および関連化合物;チオセミカルバゾンおよび関連化合物;フタラニリドおよび関連化合物;およびトリアゼンおよびヒドラジンを含む。抗腫瘍剤はモノクローナル抗体またはX線の使用でもよい。好ましい実施例では、抗腫瘍剤は抗生物質である。さらに好ましい実施例では、抗腫瘍剤はドキソルビシンである。最も好ましい実施例では、抗腫瘍剤はドキソルビシンである。
【0120】
本発明の治療組成物中に使われる抗腫瘍剤の量は特定の抗腫瘍剤に推奨される治療投薬量または許可された量によって変わる。一般に抗腫瘍剤の量は望ましい結果を得るために必要な通常の投与量である。そのような投与量は医学技術に熟練した医師に知られていて本発明の一部ではない。好ましい実施例では治療組成物中に抗腫瘍剤はおよそ1重量%からおよそ50重量%、好ましくはおよそ10重量%からおよそ30重量%、より好ましくはおよそ20重量%から25重量%存在する。
【0121】
もう1つの好ましい実施例では、方法はさらに哺乳動物細胞を(a)活性酸素種メディエーター(b)抗酸化剤(c)細胞膜の修復および哺乳動物細胞の蘇生に必要な飽和および不飽和脂肪酸の混合物と接触させることからなる。
【0122】
抗酸化剤は酸化を抑制する物質または酸素あるいは過酸化物によって促進される反応を抑制する物質である。抗酸化剤、特に脂溶性抗酸化剤は細胞膜に吸収され酸素ラジカルを中和しそれによって膜を保護する。本発明に有用な抗酸化剤はすべての形のビタミンA(レチナール)、すべての形のビタミンB(3,4−ジデヒドロレチナール)、α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、σ−カロテンのようなすべての形のカロテン、すべての形のビタミンC(D−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸)、ビタミンE(α−トコフェロール、3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−1−ベンゾピラン−6−オル)、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、σ−トコフェロール、トコキノン、トコトリエノールおよび酢酸ビタミンE、コハク酸ビタミンEのように容易にビタミンEに加水分解されるビタミンEエステルのようなすべての形のトコフェノール、リン酸ビタミンEのような医薬として許容されるビタミンE塩、ビタミンAのプロドラッグ、カロテン、ビタミンCおよびビタミンE,医薬として許容されるビタミンA塩、カロテン、ビタミンC、α−リポ酸およびビタミンEなどおよびその混合物からなるグループから選ばれる。好ましくは、抗酸化剤はビタミンA(カロテン、ビタミンE,酢酸ビタミンEおよびその混合物)からなる脂溶性抗酸化剤グループから選ばれる。さらに好ましくは、抗酸化剤はビタミンEまたは酢酸ビタミンEである。最も好ましくは、抗酸化剤は酢酸ビタミンEである。
【0123】
本発明の治療用創傷治癒組成物中の抗酸化剤の量はまた治療上有効な量である。治療上有効な抗酸化剤の量は哺乳動物細胞の傷害を予防および軽減するためにあるいは傷害された哺乳動物細胞の蘇生を増強するために本発明の組成物に必要な抗酸化剤の量である。抗酸化剤の正確な量は治療される状況のタイプ、同様に組成物中の他の成分のような因子に従う好みの問題である。好ましい実施例では、治療用創傷治癒組成物中に抗酸化剤は治療用創傷治癒組成物におよそ0.1重量%からおよそ40重量%、好ましくはおよそ0.2重量%からおよそ30重量%、より好ましくはおよそ0.5重量%からおよそ20重量%存在する。
【0124】
本発明の飽和および不飽和脂肪酸の混合物は哺乳動物細胞膜の修復および新しい細胞の産生に要求される脂肪酸である。脂肪酸は動物および植物の脂肪および油に見出されるカルボン酸化合物である。脂肪酸は脂質に分類され炭素原子4から22、二重結合0ないし3を含むアルキル基の鎖からなり末端カルボキシ基−COOHによって特徴づけられる。脂肪酸は飽和または不飽和でよく、固体、半固体あるいは液体でよい。最も普通の飽和脂肪酸は酪酸(C4),ラウリン酸(C12)、パルミチン酸(C16)およびステアリン酸(C18)である。不飽和脂肪酸は通常野菜に由来し、炭素原子16から22、不飽和結合0ないし3を含み末端カルボキシル基で特徴づけられるアルキル鎖からなる。最も普通の不飽和脂肪酸はオレイン酸、リノール酸およびリノレン酸(すべてC18酸)である。
【0125】
一般に、本発明の哺乳動物細胞修復に必要な飽和および不飽和脂肪酸の混合物は動物および植物の脂肪およびワックス、本発明において有用な飽和および不飽和脂肪酸のプロドラッグおよびその混合物に由来する。例えば、治療用創傷治癒組成物中の脂肪酸は傷害された細胞の修復のために容易に入手可能なモノ、ジまたはトリグリセリドあるいは遊離脂肪酸あるいはその混合物の形でよい。細胞は細胞の生存のために必要な化学成分およびエネルギーを産生し余剰のエネルギーを脂肪の形で貯える。脂肪はエネルギー供給の備蓄として体組織間の脂肪組織に貯えられる。好ましい動物脂肪およびワックスはヒト脂肪およびヒトの乳に含まれる脂肪に類似した脂肪酸組成をもつ。好ましい動物脂肪およびワックスはヒト脂肪、鶏脂、牛脂(ここでは性あるいは齢にかかわらず家畜の牛として定義される)、羊の脂肪、馬の脂肪、豚の脂肪および鯨の脂肪からなるグループから選ばれる。さらに好ましい動物脂肪およびワックスはヒト脂肪からなるグループから選ばれる。植物ワックス(特にヒマワリ油)、海産油(特にサメ肝油)および合成ワックスおよび油のような、動物脂肪およびワックス、特にヒト脂肪およびワックスに類似した脂肪酸組成をもつ他の脂肪およびワックスの混合物もまた使われる。
【0126】
好ましい実施例では、飽和および不飽和脂肪酸の混合物はヒト脂肪に類似の組成をもち以下の脂肪酸を含む:酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸およびガドレイン酸。好ましくは酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸およびガドレイン酸は混合物中にそれぞれ以下の重量パーセントで存在する(炭素鎖数および不飽和数はそれぞれ括弧内に示される):0.2%−0.4%(C4)、0.1%(C6)、0.3%−0.8%(C8)、2.2%−3.5%(C10)、0.9%−5.5%(C12)、2.8%−8.5%(C14)、0.1%−0.6%(C14:1)、23.2%−24.6%(C16)、1.8%−3.0%(C16:1)、6.9%−9.9%(C18)、36.0%−36.5%(C18:1)、20%−20.6%(C18:2)、7.5%−7.7%(C18:3)、1.1%−4.9%(C20)および3.3%−6.4%(C20:1)。
【0127】
もう1つの好ましい実施例では、飽和および不飽和脂肪酸の混合物は以下の脂肪酸からなる典型的な鶏脂である;ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、マルガロレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸およびガドレイン酸。好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、マルガロレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸およびガドレイン酸は混合物中にそれぞれおよそ以下の重量パーセントで存在する:0.1%(C12)、0.8%(C14)、0.2%(C14:1)、0.1%(C15)、25.3%(C16)、7.2%(C16:1)、0.1%(C17)、0.1%(C17:1)、6.5%(C18)、37.7%(C18:1)、20.6%(C18:2)、0.8%(C18:3)、0.2%(C20)、0.3%(C20:1)、すべてパーセントは+/−10%。
【0128】
もう1つの好ましい実施例では、飽和および不飽和脂肪酸混合物はレシチンからなる。レシチン(ホスファチジルコリン)はすべての生物(植物および動物)に見出されるリン脂質で神経組織および脳物質の重要な構成成分である。レシチンはリン酸コリンエステルに結合したステアリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸のジグリセリドの混合物である。市販品は主に大豆油製造の副産物として得られる大豆レシチンである。大豆レシチンはパルミチン酸11.7%、ステアリン酸4.0%、パルミトレイン酸8.6%、オレイン酸9.8%、リノール酸55.0%、リノレン酸4.0%、C20ないしC22酸(アラキドン酸を含む)5.5%を含む。レシチンは式:CHOCOR−CHOCOR−CHO−P(O)−OCHCHN+(CHで表され、そこでRはステアリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸からなるグループから選ばれる。
【0129】
上記の脂肪酸混合物中に存在する脂肪酸およびそのパーセントは例として与えるものである。脂肪酸混合物中の脂肪酸の正確なタイプおよび脂肪酸混合物中で用いられる脂肪酸の正確な量は最終生成物に望まれる結果を得るために変わり、そのような変化はこの分野の技術に熟練した人が過度の実験の必要なしにできる範囲にある。
【0130】
本発明の治療用創傷治癒組成物中に存在する脂肪酸の量は治療上有効な量である。治療上有効な脂肪酸の量は哺乳動物細胞の傷害を予防および軽減するために必要な脂肪酸の量あるいは傷害された哺乳動物細胞の蘇生速度を上げるために必要な脂肪酸の量である。使用される脂肪酸の正確な量は混合物中に使用される脂肪酸のタイプおよび分布、治療すべき状態のタイプおよび組成物中の他の成分のような因子に依存する。好ましい実施例では、脂肪酸は治療用創傷治癒組成物中に治療用創傷治癒組成物におよそ1.0重量%からおよそ50重量%、好ましくはおよそ2.0重量%からおよそ45重量%、さらに好ましくはおよそ2.5重量%からおよそ40重量%存在する。
【0131】
本発明は感染および非感染の創傷の大きさ、期間および重傷度の軽減に有用な治療用創傷治癒組成物を与えまた過酸化亜硝酸の過剰産生から生じるNF−kappa−Bによって炎症プロセスを活性化する有毒な薬物分解物および細胞代謝物の除去により腫瘍の治療に有用な治療用創傷治癒組成物を与える。α−ケト酸はNF−kappa−Bを活性化する酸素ラジカルを中和する有効な抗酸化剤として知られている一方、これらのα−ケト酸は単独または組合せで毒性代謝物と反応し代謝物を直接除去しまたNF−kappa−Bの活性化を停止することが見出されている。ある種のα−ケト酸の組合せは過酸化亜硝酸のレベルを下げ薬剤を標的部位で破壊から護る。これらの治療用の組合せはまた有毒な分解物を取り去り除去し治癒プロセスを促進する。これらの治療用の組合せは治癒プロセス、感染物質の死滅、腫瘍細胞の破壊を促進し、瘢痕、炎症、痛み、痂皮、組織虚血、過剰な血管新生、過剰な白血球浸潤、腫脹および紅斑を軽減する。さらに特定的には、創傷治癒組成物は治癒を促進しかつ傷の痛み、紅斑、腫脹、痒み、虚血、過剰な白血球浸潤、過剰な血管新生および痂皮を軽減する薬剤からなる。本発明はまた創傷治癒促進組成物および治療用製品が感染および非感染の創傷や腫瘍で必要な薬物をNF−kappa−B炎症メディエーターの過剰産生から護るために使われる医薬組成物を用意し使用する方法を提供する。
【0132】
ヒト皮膚は高い量の一酸化窒素を産生し皮膚細胞はまた高レベルの過酸化亜硝酸の産生をおこす過酸化水素および他の酸素ラジカルを産生する。火傷した皮膚、損傷した皮膚または感染した皮膚はより高いレベルの過酸化亜硝酸を産生し、それは免疫細胞および損傷した皮膚の治療に必要な薬物を障害する。
【0133】
例えばアシクロビルは経口または経静脈で有効だが、口唇ヘルペス病変の局所治療には効果がない。I型ヘルペスシンプレックスウィルス(HSV−1)の感染はNF−kappa−Bの持続的な核転座を誘導しそれは過酸化亜硝酸によって劇的に増強される。NF−kappa−Bの活性化はHSV−1の効率的複製を促進する。上皮細胞ではHSV−1はNF−kappa−Bを誘導し、皮膚におけるHSV−1複製の重要な制御因子であるNF−kappa−Bの持続的な活性化がおきる。エイズ患者ではHIV−1はまたNF−kappa−Bを誘発活性化し、またエイズ患者では過酸化亜硝酸が高レベルでありそれはエイズに関連した認知症、持続的な免疫抑制およびカポジ肉腫の病因に寄与する。過酸化亜硝酸はまたCD4およびCD8細胞に対し非常に破壊的であることが示されている。
【0134】
今はα−ケト酸は過酸化亜硝酸の産生およびレベルを下げ、一方ウィルスの殺傷率を高める一酸化窒素を保護しそれによってアシクロビルのような薬物を護ることが見出されている。例えば、ミトコンドリアで優勢に見られるオキザロ酢酸は過剰の過酸化水素や他の酸素ラジカルと反応し、細胞の呼吸を抑制し過酸化水素の過剰合成を抑制しそれによって過酸化亜硝酸の産生を低下させるマロン酸を産生する。ピルベートは身体からマロン酸を排除するために細胞が必要とするグルタチオンの産生を増強する。この細胞制御のメカニズムは感染治療および薬物保護に必要な過酸化亜硝酸の産生およびレベルを制御するために使われる。
【0135】
それゆえ、薬物および免疫細胞を破壊する過酸化亜硝酸のレベルおよび産生を低減し、細胞のグルタチオンのレベルを上げ、感染および非感染創傷の炎症を軽減し、障害および疾患の原因となるDNA変異を最小にし、薬物の破壊を妨げ炎症プロセスを活性化する毒物の生成を妨げることによりこれらの状態の治療に必要な薬物を保護する必要がある。薬物が毒性代謝物に変換されたとき、これらの代謝物はそれらによるNF−kappa−B活性化を止めるために除去する必要がある。
【0136】
また癌の増殖を制御し癌細胞死(アポトーシス)を増強する必要がある。細胞内でIKK−βが刺激されるとIKK−βは細胞の生存および増殖を維持する。細胞内でIKK−βを失活させると炎症および癌の進行が停止する。細胞の代謝物および薬物からの毒性分解物はまたNF−kappa−Bを活性化し、α−ケト酸はこの活性化プロセスを除去し治癒を促進することが見出されている。これらのα−ケト酸は単独または組合せでNF−kappa−Bを抑制し、かくして炎症を抑制しDNAやp53のようなタンパクを酸化障害から護る。このように出願者は疾患の治療に用いられる薬物はそれ自体NF−kappa−Bの活性化剤であり、酸素ラジカル、特に過酸化亜硝酸および他の炎症メディエーターで処理したとき生じるその副産物はNF−kappa−Bをさらに活性化することによって治癒プロセスを遅らせることを発見した。
【0137】
好ましい実施例では、活性酸素メディエーターを含む治療組成物は炎症部位に局所投与される。もう1つの好ましい実施例では、治療組成物は全身的に投与される。それにもかかわらずもう1つの好ましい実施例では、治療組成物は全身および局所に同時に投与される。最も好ましい治療組成物の投与法は注射あるいは局所投与である。
【0138】
好ましい実施例では、治療組成物は局所または注射で投与される。典型的には、治療組成物はまず何れか適切な手段によって投与される。治療組成物は液体または固体またはクリームでよい。
【0139】
担体の構成は錠剤、カプセル、液体、等張液、等張溶媒、腸溶錠およびカプセル、非経口、局所、クリーム、ゲル、軟膏、チューインガム、菓子などからなるグループから選ばれる。
【0140】
この出願全体にわたって様々な文献を参照してきた。これらの文献中の開示は最先端技術についてさらに完全に述べるためここに参考文献として取り込まれる。
【参考文献】
【0141】
1.Asthma、第3版、Peter Barnes編、第21章
【0142】
2.Moncada, S. 等、 一酸化窒素:生理学、病態生理学および薬理学。1991 Pharmacologival Reviews Vol. 43 pp 109-141
【0143】
3.Nathan, C., 哺乳動物細胞の分泌産物としての一酸化窒素。FASEB journal vol. Sep. 6, 1992 pp 3051-3064
【0144】
4.Rossaint, R. 等、 吸入一酸化窒素:その肺循環および気道平滑筋細胞への影響。Euro Heart Jour. 1993 vol. 14 Supp. pp 133-140
【0145】
5.Artlich, A. 等、 小児喘息:臨床症状に関連した呼気中一酸化窒素 Euro Respir. J. Vol. 13, pp 1395-1401
【0146】
6.Jobsis, Q. 等、 抗生物質治療中の嚢胞性繊維症小児呼気中の過酸化水素および一酸化窒素。Euro Respir. J. 2000 Vol. 16, pp 95-100
【0147】
7.Mukala, K. 等、 就学前児童各人の毎週のNO2暴露量と呼吸器の健康。 Euro. Respir. J. Vol. 13, pp 1411-1417
【0148】
8.Stanko R., ピルベートの力 1999,Keats Publishing
【0149】
9.Kelly, F. 等、 ヒトの二酸化窒素暴露後の肺洗浄液中の抗酸化物質の動態。 Am. J. Respir. Crit Med. Vol. 154 1991 pp 1700-1705
【0150】
10.Comhair S. 等、 抗原誘起喘息反応中のスーパーオキサイド不均化酵素活性の急速な減少 Lancet vol.335, Feb. 19, 2000
【0151】
11.Sporn P H, 等、 ラット肺胞マクロファージ中の過酸化水素誘起アラキドン酸代謝。 Am Rev Respir Dis 1988 137: 49-56
【0152】
12.Alving, K. 呼気中一酸化窒素測定の方法論的側面。 Euro Respir. Rev. 1999: 9:68, 208-211
【0153】
13.Kharitonov, S. 喘息における呼気中一酸化窒素および一酸化炭素。 Euro Respir. Rev. 1999, 9:68, 212-216
【0154】
14.Gouw, P. 等、 喘息における呼気中一酸化窒素に影響する刺激。 Euro Respir. Rev. 1999, 9:68, 219-222
【0155】
15.Kharitonov, S. 呼吸器疾患における呼気中一酸化窒素および一酸化炭素。 Euro Respir. Rev. 1999, 9:68, 223-226
【0156】
16.Barnes, P. 呼気中一酸化窒素への薬剤の影響。 Euro Respir. Rev. 1999; 9:68, 231-233
【0157】
17.Baraldi, E. 等、 小児科での一酸化窒素測定の応用。 Euro Respir. Rev. 1999; 9:68, 234-240
【0158】
18.Lundberg, J. 鼻気道中の一酸化窒素。 Euro Respir. Rev. 1999; 9:68, 241-245
【0159】
19.Culpitt, S. 呼吸器疾患における過酸化水素の測定。 Eutro Respir. Rev. 1999; 9:68, 246-248
【0160】
20.Montuschi, P. 呼吸器疾患におけるイソプロスタンおよび他の呼気マーカー。 Euro Respir. Rev. 1999; 9:68, 249-253
【0161】
21.Robertson, F M, 腫瘍プロモーション中の誘発性一酸化窒素合成酵素の遺伝子発現および細胞中のソース。 Carcinogenesis September; 1996 17(9): 2053-9
【0162】
22.Soler M N, 等、 そのままの一酸化窒素合成酵素II DNA注射によるラット髄様甲状腺癌の遺伝子治療。 J Gene Med September-October; 2000 2(5): 433-52
【0163】
23.Wang H H, マウス肝臓に捕捉されたB16メラノーマ細胞は一酸化窒素放出および類洞の細胞毒性を誘発する。 Cancer Res Oct. 15, 2000 60(20): 5862-9
【0164】
24.Brennan P A., 固形腫瘍における一酸化窒素の作用および相互作用。 Eur J Surg Oncol Aug. 26, 2000 (5): 434-7
【0165】
25.Gossart S. 等、 シリカによって誘導されたラット肺炎症におけるTNF−α産生制御因子としての活性酸素中間体。 J of Immunology 1996. 156 pp 1540-1548
【0166】
26.Oddis CV, 等、 グルコースおよびピルビン酸は心単球によるサイトカイン誘導一酸化窒素を制御する。 Am J Physiol. 1996 Oct;271 (4 Pt1):c1244-9
【0167】
27.Liang JF. 等、 単離肝細胞のリポ多糖サイトカイン仲介一酸化窒素産生における代謝中間体の役割。 Biochem Biophys Res Commun. 1997 Jul 18; 236(2): 379-82
【0168】
28.Carvalho 等、 ポスター A35. ラットアレルギーモデルにおける肺の過敏反応および気道炎症に対する一酸化窒素の効果。 第97回国際会議 1999. American Thoracic Society
【0169】
29.Tasker V. S. 等、 ポスター 515. 独特のエピトープを標的としたヒト誘発性一酸化窒素合成酵素の選択的阻害戦略。 第97回国際会議 1999. American Thoracic Society
【0170】
30.Okamoto, S. 等、 ポスター D42. マウスセンダイウィルス肺炎における一酸化窒素誘発酸化ストレスによるウィルス変異の亢進。第97回国際会議 1999. American Thoracic Society
【0171】
31.Ferreira, I. M. 等、 ポスター 812. COPD患者における低呼吸器炎症のマーカーとしての呼気中一酸化窒素に対する吸入ベクロメタゾンの影響。 第97回国際会議 1999. American Thoracic Society
【0172】
32.Stanko, R 等、 ピルビン酸はラット乳腺癌13762の増殖を抑制する。 Research 54, 1004-1007, Feb 15, 1994
【0173】
33.Stanko, R 等、 ピルビン酸ははラットでクロフィブレート誘発肝ペロキシソーム増殖およびフリーラジカル産生を抑制する。 Metabolism, vol 44, NO(Feb),1995: pp 166-171
【0174】
34.Rensberger R, 細胞内で同定されたガーディアン(Gardian)角タンパク分子。 Science, cell biology 1994
【0175】
35.Herz H, 等、 生体液中の過酸化水素およびヒドロキシラジカル捕捉抗酸化力の多成分研究:内在性ピルビン酸および乳酸の役割。 Free radical res. vol. 26, pp 19-35 1997
【0176】
36.Varkey, B, 等、 石綿肺症, Medline Aug 18, 2004
【0177】
37.Escotte, S, 等、 フルチカゾンはIKK−β経路を経て嚢胞性繊維症気管支上皮細胞のIL-6およびIL-8産生を抑制する。 Euro Respir J. 2003 Apr; 21(4): 574-81
【0178】
38.Mogenson Th. 等、 ウィルス感染マクロファージのNF-kappa-Bの活性化はミトコンドリアの酸化ストレスおよび細胞内カルシウムに依存する:キナーゼ類、TGF-β活性化キナーゼ1、マイトジェン活性化キナーゼ/細胞外シグナル制御キナーゼ1およびI kappa Bキナーゼの下流での関与。 J Immunol 2003 Jun 15;170(12): 6224-33
【0179】
39.Li, ZW. 等、 IKK βは末梢B細胞の生存および増殖に必要である。 J Immunol. 2003 May 1; 170(9):4630-7
【0180】
40.Macotela Y. 等、 16K プロラクチンは肺繊維芽細胞のNF-kappa-βの活性化を誘発する。 J Endocrinol. 2002 Dec;175(3):R13-8
【0181】
41.Conron M, 等、 肺胞マクロファージの核因子kappa B活性化はI kappa Bキナーゼ−βを要するが、核因子kappa B誘発キナーゼは要しない。 Am J Respir Crit Care Med. 2002 Apr 1 165(7):996-1004
【0182】
42.Schoonbroodt S. 等、 酸化ストレスによるNF-kappa-B活性化におけるI kappa Bαのアミノ末端チロシン残基42およびカルボキシ末端PEST領域の重要な役割。 J Immunol 2000 Apr. 15;164(8):4292-300
【0183】
43.Torrie LJ. ラット大動脈平滑筋細胞におけるリポ多糖刺激抑制性kappa B キナーゼ活性の過酸化水素による抑制。 Br. J Pharmacol 2001 Sept;134(2):393-401
【0184】
44.Lee YL. 等、 過酸化水素処置ヒト内皮細胞においてピルビン酸の生存強化作用はMAPKおよびNF-kappa-B活性化に関係する。 J Appl Physiol. 2004 Feb; 96(2): 793-801
【0185】
45.Deng L, 等、 2−アセチルアミノフルオレンはNF-kappa-B経路を活性化する活性酸素腫の発生を通してラット中肋の発現を上方制御する。 J Biol Chem. 2001 Jan 5; 276(1): 413-20
【0186】
46.Asehnoune K.等、NF-kappa-Bのトール様受容体4依存性活性化における活性酸素腫の関与。 J Immunol. 2004 Feb 15; 172(4): 2522-9
【0187】
47.Lee SJ. 等、 アスタキサンチンはI kappa Bキナーゼ依存性NF-kappa-B活性化の抑制によって一酸化窒素産生および炎症遺伝子発現を抑制する。 Mol Cells. 2003 Aug 31; 16(1): 97-105
【0188】
48.Carcamo JM. 等、 ビタミンCはキナーゼ抑制剤である:ジヒドロアスコルビン酸はI kappa Bα キナーゼβを抑制する。 Mol Cell Biol. 2004 Aug; 24(15): 6645-52
【0189】
49.Sappington PL. 等、 ピルビン酸エチルは内毒血症マウスおよび免疫刺激カコ−2単層腸細胞の腸管上皮障壁の機能不全を改善する。 J Pharmacol. Exp Ther. 2003 Jan; 304(1): 464-76
【0190】
50.Yang R. 等、 ピルビン酸エチルは出血ショックを受けたマウスの炎症遺伝子を調節する。 Am J Physiol Gastrointest liver Physiol. 2002 July; 283(1): G212-21
【0191】
51.Spiecker M. 等、 一酸化窒素供与体および抗酸化剤による内皮細胞接着分子発現の差動制御。 J Leukoc Biol. 1998 June; (6): 732-9
【0192】
52.Kang MK. 等、膵β細胞のインターロイキン−1β誘発細胞毒性に対するレチノイン酸の保護作用。 Mech Aging Dev. 2004 Jul; 125(7): 480-90
【0193】
53.Reynaert NL. 等、 一酸化窒素は抑制性kappa BキナーゼをS−ニトロシル化によって抑制する。 Proc Natl Acad Sci USA. 2004 June 15;101(24):8945-50
【0194】
54.Ogino S. 等、 ハービマイシンはIkappaBキナーゼβサブユニットとの優先的相互作用によって核因子−kappaB活性化を抑制する。 Mol Phamacol. 2004 June; 65(6): 1344-51
【0195】
55.Umansky V. 等、 内皮NF-kappa-Bへの一酸化窒素の共刺激作用は生理的自己増幅メカニズムを意味する。 Eur J Immunol. 1998 Aug; 28(8): 2276-82
【0196】
56.Giandomenico A. 等、 過酸化水素によって生じる障害の評価におけるピルビン酸ナトリウムの重要性。 Free Radical] Biol and Med. 1997 Vol 23. no 3. pp 426-434
【0197】
57.Biri H. 等、 癌性ヒト腎組織の潜在的抗酸化力。 Cancer Biochem. Biophy. 1998 vol 16 pp. 265-272
【0198】
58.Wang X. 等、 星状細胞によって放出されるピルビン酸は銅で触媒されるシステイン神経毒からニューロンを保護する。 J. of Neuroscience May 15、 2001. 21(10): 3322-3331
【0199】
59.Venkataraman R. 等、 ピルビン酸エチル溶液による蘇生法はラットリポ多糖誘発ショックモデルにおいて生存期間を延長し血漿サイトカインおよび亜硝酸塩―硝酸塩濃度を調節する。 Shock. 2002 Dec; 18(6): 507-12
【0200】
60.Nath K. 等、 ピルビン酸の単離および細胞DNAのオキシダント障害への効果。 Kidney International. Vol 45 1994 pp 166-176
【0201】
61.O’Donnell-Tormey J.等、 ピルビン酸の分泌。 J Exp. Med. The Rockefeller Univ. press. Vol.165 Feb 1987 pp 500-514
【0202】
62.Andre B 等、 ピルビン酸は潅流ラット肝細胞の無酸素性傷害およびフリーラジカル生成を軽減する。 The American Physiological society. 1996 G535-G540
【0203】
63.Bassenge E. 等、 抗酸化剤ピルビン酸は心臓の酸化還元状態の変化によって活性酸素種の生成を抑制する。 Am J. Physiol Heart Circ Physiol 2000 279: H2431-H2438
【0204】
64.Fink M. 敗血症、急性呼吸困難症候、または出血性ショックによる臓器機能障害のメディエーターとしての活性酸素種:リンゲルピルビン酸エチル溶液による蘇生法の潜在的利点。 Curr Opin Nutr Metab Care vol 5(2) March 2002. pp 167-174
【0205】
65.McBride A. 等、 スーパーオキサイド不均化酵素と過酸化水素は一酸化窒素の急速な崩壊、過酸化亜硝酸の生成および引き続く細胞死を引き起こす。 Biochemica et biophysica acta 1454 1999 pp 275-288
【0206】
66.Dekhuijken R. 等、 安定および不安定COPD患者における呼気中過酸化水素の増加。 Am J Respir Crit Care Med vol 154. pp 813-16 1996
【0207】
67.Kietzmann D.など、 急性呼吸不全およびARDS患者の呼息凝縮物中の過酸化水素。 Intensive Care Med. 1993 19: pp 78-81
【0208】
68.Hudson V. 嚢胞繊維症病理学の再考;CFRT変異によって起きるグルタチオン輸送の異常減少の重要な役割。 Free Rad Biol and Med. 2001. Vol 30, no 12, pp 1440-1461
【0209】
69.Rahman I. 等、 肺炎症における酸化ストレスとグルタチオンの制御。 Eur Respir J. 2000 16: pp 534-554
【0210】
70.Vivar J V. 等、 過酸化亜硝酸の媒介によるピルビン酸の二酸化炭素および二酸化炭素ラジカルアニオンへの脱炭酸。 Chem. Res. Toxicol. 1997. 10, pp 786-794
【0211】
71.Schultz R. 等、 過酸化亜硝酸は心効率の低下によって心収縮機能を障害する。
The American Physiological Society. 1997 pp H1212-H1219
【0212】
72.Dhar A. 等、 一酸化窒素は形質転換および腫瘍の表現形を仲介しないが抑制する。 Mol Cancer Ther. 2003 Dec; 2(12): pp 1285-1293
【0213】
73.Thomassen M. 等、 一酸化窒素による喘息気道炎症および断片アレルゲンによるアレルギー誘発の制御。 J Allergy Clin Immunol vol 104, number 6 Dec 1999 pp 1174-1182
【0214】
74.Puhakka A 等、アスベスト繊維に曝された肺細胞における一酸化窒素合成酵素およびガンマグルタミルシステイン合成酵素の抑制によるDNA損傷の調節。 2000 meeting of the Amer Thoracic Society. D42 ポスター B6
【0215】
75.Pan X. 等、 カリフォルニアにおける環境アスベストと中皮腫。 C55 ポスター E
【0216】
76.Dijkstra U, F Gabreels, E. Joosetn 等、 フリードライヒ運動失調症:ピルビン酸代謝欠損を示すためのピルビン酸静脈内負荷。 Neurology 1984; 34: 1493-1497
【0217】
77.Giannelli S, JP McKenna, JM Bordiuk 等、 直視化心臓手術におけるヘモグロビン−酸素親和性増大のイノシン−ホスフェート−ピルビン酸溶液による予防。 Ann thoracic Surg 1976; 21: 386-396
【0218】
78.Tsukiyama T, T Hara, M Lio 等、 11C-1-ピルビン酸静脈注射後のヒト脳腫瘍内の11Cの優先的蓄積。 Eur J Nucl Med; 1986: 12(5-6): 244-248
【0219】
79.Companacci L, GF Guarnieri, L Faccini など、慢性尿毒症におけるピルビン酸耐性試験。 Nephron 1983; 10: 232-237
【0220】
80.Levy SB, LA Goldsmith、 角質増殖性疾患のピルビン酸ナトリウム治療。 South Med J 1979; 72(5): 307-310
【0221】
81.Stanko RT, RJ Robertson, R-W Galbreath 等、 高炭水化物食とジヒドロキシアセトンおよびピルビン酸による脚運動耐久性の強化。 J Appl Physiol 1990; 69: 1651-1656
【0222】
82.Stanko RT, HR Reynolds, KD Lonchar 等、 ピルビン酸補充高脂肪食を6週間消費した高脂血症患者の血漿脂質濃度。 Am J Clin Nutr 1992: 56:950-954
【0223】
83.Stanko RT, HR Reynolds, R Hoyson 等、 低コレステロール、低脂肪食へのピルビン酸補充:高脂血症患者における脂質濃度および身体組成への影響。 Am J Clin Nutr 1994; 59: 423-427
【0224】
本発明は以下の実施例によってさらに深く説明されるが、それは請求項の有効範囲を限定することを意図するものではない。実施例中および明細書および請求項を通してすべての部およびパーセントは他に明記しない限り最終組成の重量による。
【実施例】
【0225】
これらの実施例は本発明の治療用創傷治癒組成物と一般に行われている創傷治癒組成物との比較を示す。
【0226】
実施例1
これらの実験は、感染および腫瘍の治療に使われる治療用薬物が内在性の過酸化亜硝酸産生によって破壊され、その副産物は治癒プロセスを遅らせるNF−kappa−Bの過剰産生を起こす過酸化亜硝酸の過剰産生を引き起こすことを示すために計画された。
【0227】
ネオマイシン、アシクロビル、ドキソルビシンおよびクロトリマゾールが過酸化亜硝酸を含む溶液中へ置かれた。1時間後、参考文献35、65および70に述べられた方法を用いて溶液の過酸化亜硝酸活性について検査した。薬物およびその副産物を含むどの過酸化亜硝酸溶液も1時間後に過酸化亜硝酸活性を示さなかった。
【0228】
過酸化亜硝酸で処理した薬物を擦傷した皮膚上に置くと、薬物は産生された毒性分解物により刺激を起こした。薬物はまたα−ケト酸を加えて試験した過酸化亜硝酸処理薬物と比べ治癒を遅らせた(表1−4、列1および2を見よ)。過酸化亜硝酸のみを擦傷した皮膚上で試験すると炎症を活性化し治癒を遅らせた。過酸化亜硝酸、薬物の副産物はα―ケト酸によって無毒化され炎症は増強されない。α−ケト酸によって治癒は少なくとも40%よくなった。
【0229】
第2の実験では、浅い皮膚擦傷を生じるストリップテープで患者の腕に種々の創傷部位をつくった。皮膚擦傷は一酸化窒素および過酸化水素の産生を活性化し、紅斑、腫脹および治癒遅延を増大する炎症物質を産生するNF−kappa−Bを活性化する過酸化亜硝酸を発生する。ネオマイシン、アシクロビル、ドキソルビシンおよびクロトリマゾールがそれだけでおよび5種のα―ケト酸、α−ケト−イソ吉草酸、α―ケト酪酸、オキザロ酢酸、α−ケトグルタル酸、ピルベートおよびピルベート/ケト−イソ吉草酸との組合せで試験され、比べられた(表1−4、列AおよびBを見よ)。治癒までの時間は発赤および再上皮化がおきるときを視覚的に決定した。
【0230】
【表1】

【0231】
【表2】

【0232】
【表3】

【0233】
【表4】

【0234】
上述のように、薬物はNF−kappa−Bとの相互作用によって炎症プロセスを活性化し、過酸化亜硝酸によって破壊された薬物は炎症プロセスを活性化する毒性副産物を生じる。上に示したデータはα−ケト酸は毒性副産物から生じる損傷を軽減し炎症を軽減してそれによって治癒を促進しうることを示している。α−ケト酸はすべてのケースで治癒時間を短くした。
【0235】
思いがけなく、ピルベートとケト−イソ吉草酸との組合せは相乗的でありすべてのカテゴリーで最良の結果を生じた。オキザロ酢酸は最もよいタイプのコラーゲン沈着を生じた。オキザロ酢酸はピルベートと混ぜて過酸化亜硝酸処理ドキソルビシンとともに擦傷皮膚上で用いたとき思いがけない結果を生じた。結果はピルベートのみよりも優れていた。オキザロ酢酸はドキソルビシンによって産生される過酸化水素の産生を低減し、それによって過酸化亜硝酸の産生を低減する。データはこれらのα−ケト酸は過酸化亜硝酸を通してNF−kappa−Bを活性化すると思われる薬物およびその毒性代謝物からの損傷を軽減することを示している。
【0236】
実施例2
この実施例では5種のα−ケト酸の皮膚の治癒速度への効果および炎症、特に試験部位の過酸化亜硝酸低減する能力について効果を比較する。
【0237】
用いた創傷のモデルは上唇スプリット様式で、創傷はよく規定されたレーザースキンリサーフェシングモデルによってつくられた。このモデルは規定のプロトコールでCOパルスとエルビウムヤグレーザーを用い(COはコンピュータ処理スキャナー、エルビウムヤグは一定のパルス)それによって全角質層と表皮、同様に一定量の真皮を取り去る。紅斑、痂皮、痛み、痒み、腫脹、色素変化および最初のメークアップ適用の日を評価するため患者に日記を維持させた。盲検方式で客観的な改善程度を4人の盲検観察者によって独立に3、6、10日、および1、2、4ヶ月の間隔で評価した。また紅斑を比色計測定で解析し水分パーセントを記録した。
【0238】
用いた対照は活性α−ケト酸を含まない以外同じ構成のα−ケト−創傷用香膏(精製石油、ビタミンEおよび卵黄脂肪酸)とした。被験物質コードは封入した。活性薬物はα−ケト−イソ吉草酸ナトリウム塩;α−ケト酪酸ナトリウム塩;オキザロ酢酸ナトリウム塩;α−ケトグルタル酸ナトリウム塩;ピルビン酸ナトリウムの1つとした。
【0239】
データ解析と日記情報の要約:
水分解析:α−ケト酪酸ナトリウム塩が最も効果があったが、他は皮膚に殆ど効果がなかった。これは皮膚の角質バリア層の修復が他の物質よりも完全でないことを示唆する(陰性)。
【0240】
痂皮解析:痂皮形成期間(創傷治癒速度)はα−ケト酸の長さと関係する傾向があり、これは何らかの分子特性に比例する可能性がある。これはまた皮膚刺激に反映し、かくしてα−ケト−イソ吉草酸ナトリウム塩が拡大試験のために選ばれた。
【0241】
上皮再生(治癒)は数年前には10−14日が典型的であったが、現在のレーザースキンリサーフェシング技術では平均5−7日である。倫理的な理由により、選ばれた現在の“標準治療”および投薬群と対照群間の創傷治癒に対する“デルタ値”は他のタイプの創傷に対するより大きい/より有意のはずである。また必然的に、上唇モデルでは幾分かの実薬が対照側に触れる。最後に、対照は単味の石油であったとしても比較的大きな差異を示すであろう。要するに、典型的な“実世界”の創傷ではこれらすべてのありそうな活性はこれらの結果よりもより効果的であることを示している。
【0242】
発赤:すべてのレーザーによる創傷は炎症および過酸化亜硝酸の過剰産生により数週間ないし数ヶ月赤く残る。この研究デザインでは日記中の最終発赤は扱わず、むしろ紅斑の相対値をみるミノルタ比色計を用いた。“A”値が紅斑に関係する“LAB”色空間モデルを用いた。
【0243】
刺激:著しい刺激はある活性薬物の他と比べた“A”値の大きな増加で表される。研究中、有意な差異は認められなかったけれども、皮膚過敏が知られている人でのオープンパッチパイロット試験データは差異を示し、何人かの被験者は発赤刺激およびみみず腫れ様の反応を発現した(有意とみなされる)。これらの活性薬物は:α−ケトグルタル酸ナトリウム塩およびα−ケト酪酸ナトリウム塩で1人に僅かな反応、である。
【0244】
痛み:α−ケトグルタル酸に伴う痛みの増強は注目に値することである。
【0245】
5種すべてのα−ケト酸創傷治癒組成物はモデルで創傷治癒促進効果があり、すべて発赤を軽減した。ビタミンC、ビタミンEのような他の抗酸化剤は発赤を軽減せず過酸化亜硝酸に対して不活性と思われる。ピルベート処方は拡大臨床使用で効果的製剤であることが証明された。このパイロットスクリーニング研究はこれら5種の薬物の相対効果についていくつかの考察を与える。刺激は唯一の有害作用であった。このデータ、ピルベート製剤によるこれまでの臨床経験、これまでの経歴についての知識、これらのα―ケト酸のいくつかの相対的皮膚刺激パッチ試験および最後に相対的分子サイズについての説明に基づいて、より多くの被験者によるさらなる評価のために活性薬物α−ケト−イソ吉草酸ナトリウム塩が選ばれた。活性のある他の薬物、特にα−ケト酪酸ナトリウム塩およびおそらくオキザロ酢酸ナトリウム塩はさらに臨床評価する価値がある。
【0246】
実施例3
この実施例は治療薬の刺激抑制および細胞毒性抑制を示す。列挙した7種のα−ケト酸はすべて市場で入手可能な3種の抗生物質軟膏(ワセリン基剤にバシトラシン400単位、ネオマイシン3.5mgおよびポリミキシンB5,000単位を含むネオスポリン(登録商標))中に加え、それを4重量の%ビタミンEおよび6重量%のレシチンも含むように改変した。α−ケト酸はまた個々に同じ処方として抗生物質軟膏のみからなる対照と比較した。各処方は皮膚擦傷パッチにおける治癒速度およびにそれによって生じる随伴刺激について試験した。α−ケト酸なしの3種抗生物質軟膏は抗生物質による皮膚刺激を生じた。α−ケト酸を含む処方では皮膚刺激はなかった。それらはNF−kappa−Bの過剰産生をおこす過酸化亜硝酸の過剰産生を抑制し、治癒時間をかなり短縮した。α−ケト酸処方で皮膚の治癒がおきる時間は3日まで促進された。同じ抗生物質とアシクロビルを過酸化亜硝酸含有溶液に入れ、1時間後に溶液を過酸化亜硝酸について試験したところ、何も見つからなかった。擦傷皮膚上においたときは、産生された毒性分解物により刺激を生じた。α−ケト酸を単独で過酸化亜硝酸処理抗菌物質を含む同じ溶液に入れた場合、1時間後の擦傷皮膚上での試験で刺激は認められなかった。α−ケト酸は過酸化亜硝酸処理抗菌物質の毒性作用を抑制し、NF−kappa−Bの失活させることによって炎症を軽減する。過酸化亜硝酸を擦傷皮膚上で試験した場合、それは炎症を活性化する。過酸化亜硝酸をはじめにα−ケト酸を含む溶液に入れた場合、過酸化亜硝酸は中和され炎症を増強しない。
【0247】
同じ処方が冬の乾燥肌の治療のために用いられ、そこで冬の痒み、ひびおよび痛みの防止に効いた。ヒドロコルチゾンもまた乾燥肌の治療のためにα−ケト酸とともに処方された。この処方は発赤および痛みを軽減した。市販の単純ヘルペス処方(ブリステックス(登録商標)、ワセリン基剤にアラントイン1%、カンフル0.5%,メントール0.6%およびフェノール0.5%を含む)を購入しそれに列挙した7種のα−ケト酸を組合せおよび単独の両方で加え単純ヘルペスを治療するために用いた。市販処方それ自体を対照として用いた。フェノール、抗ウィルス剤を含む通常の単純ヘルペス処方はあまりよく効かなかった。しかしながら、α−ケト酸を単独でも他のα−ケト酸との組合せのどちらでも単純ヘルペス処方に加えた場合、抗酸化剤および脂肪酸有り無しの両方で、単純ヘルペス患者で試験したとき単純ヘルペスをかなり速い速度で治癒した。α−ケト酸はα−ケト酸なしの対照処方と比べたとき、病変の大きさおよび期間を40%低減した。
【0248】
要約すると、これらの実験はα−ケト酸は一酸化窒素と反応して過酸化亜硝酸を産生する過酸化水素のような他の酸素ラジカルから一酸化窒素を保護することによって過酸化亜硝酸の産生および合成を制御することができることを示している。哺乳動物細胞中のいくつかのα−ケト酸の濃度を制御することによって、我々は一酸化窒素の合成を制御でき同様に過酸化水素および他の酸素ラジカルの合成を制御できることを示した。これら2種の酸素ラジカルの制御は過酸化亜硝酸合成を制御する。傷害部位の過酸化亜硝酸濃度を低下させることによって、我々は過酸化亜硝酸と薬物との反応から生じる毒性代謝物を低減でき、それによって治癒速度を上げ同様に特定の疾患の治療に必要な薬物の効果および作用期間を増大できることを示してきた。
【0249】
本発明について述べてきたが、全く同じことが多くのやり方で変わることは自明である。そのような変化は本発明の意図および範囲から離脱するとはみなされず、すべてのそのような改変は請求項の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症反応に関与する哺乳動物細胞によって起こる哺乳動物の創傷および疾患を生体内の常在性過酸化亜硝酸およびその塩のレベルを変えることによって治療する方法において、哺乳動物細胞をピルベート、ピルビン酸前躯体、炭素原子4以上のα−ケト酸、炭素原子4以上のα−ケト酸前躯体およびそれらの塩からなるグループから選ばれる治療上有効な量の活性酸素種メディエーターと接触させ、活性酸素種の媒介により過酸化亜硝酸の媒介をもたらすことを特徴とする方法。
【請求項2】
疾患が細菌感染、真菌感染、ウィルス感染および腫瘍からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
創傷および疾患が感染および非感染の傷、火傷、日焼け、化学熱傷、外科手術の傷、乾癬、心血管系疾患、褥瘡性潰瘍、糖尿病性潰瘍、関節炎、パーキンソン病、後天性免疫不全症候群、糖尿病、関節リウマチ、皮膚疾患、炎症性疾患、アルツハイマー病、多発性硬化症、脊髄損傷、腫瘍、虚血および再潅流障害による臓器疾患、出血性ショック、臓器移植、消化管疾患、老化疾患、粥状動脈硬化症、脳卒中、神経疾患およびレーザー治療の結果生じた傷からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
治療する炎症反応が酸素ラジカルの産生、過酸化水素の産生、サイトカインおよびプロテアーゼの産生、プロスタグランジンの産生、過剰な血管新生、過剰な白血球浸潤、組織虚血、痛み、腫脹、痒み、痂皮形成、紅斑、ヒスタミンおよびロイコトリエン産生、瘢痕形成およびそれらの混合からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ピルベートがピルビン酸、ピルビン酸リチウム、ピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、ピルビン酸マンガン、ピルビン酸アンモニウムおよびピルビン酸アルミニウムおよびそれらの混合物からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ピルビン酸前躯体がピルビルグリシン、ピルビルアラニン、ピルビルロイシン、ピルビルバリン、ピルビルイソロイシン、ピルビルフェニルアラニン、ピルビルアミド、ピルビン酸塩、それらの塩およびそれらの混合物からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
炭素原子4以上のα−ケト酸がオキザロ酢酸、α−ケトグルタル酸、α−ケト酪酸、α−ケトアジピン酸、α−ケトカプロン酸、α−ケトイソ吉草酸、それらの塩およびそれらの混合物からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
炭素原子4以上のα−ケト酸前躯体がα−ケト酸グリシン、α−ケト酸シスチン、α−ケト酸アラニン、α−ケト酸ロイシン、α−ケト酸バリン、α−ケト酸イソロイシンおよびα−ケト酸フェニルアラニン、それらの塩およびそれらの混合物からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
哺乳動物細胞中の活性酸素種のレベルが疾患または創傷において異常に低いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
哺乳動物細胞中の活性酸素種のレベルが疾患または創傷において異常に高いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
活性酸素種メディエーターの量が組成物のおよそ0.1重量%からおよそ50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
哺乳動物細胞を治療用薬剤と接触させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
治療用薬剤が抗菌剤、抗ウィルス剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、タンパク質、酵素、ホルモン,非ステロイド抗炎症剤、サイトカイン、抗酸化剤、脂肪酸、抗腫瘍剤、ステロイドおよびそれらの混合物からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
治療用薬剤が活性酸素種メディエーターの投与前、投与と同時または投与後に投与されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
α−ケト酸がオキザロ酢酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
α−ケト酸がα−ケトグルタル酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
α−ケト酸がα−ケトグルタル酸とピルビン酸およびその塩との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
α−ケト酸がオキザロ酢酸とピルビン酸およびその塩との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
抗酸化剤と飽和および不飽和脂肪酸との混合物からなり、脂肪酸は細胞膜の修復および哺乳動物細胞の蘇生に必要な脂肪酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
炎症反応に関与する哺乳動物細胞によって起こる哺乳動物の創傷および疾患を生体内の常在性過酸化亜硝酸およびその塩のレベルを変えることにより治療するための治療上有効な量の活性酸素種メディエーターからなる医薬組成物において、活性酸素種メディエーターがピルベート、ピルビン酸前躯体、炭素原子4以上のα−ケト酸、炭素原子4以上のα−ケト酸前躯体およびそれらの塩からなるグループから選ばれ、活性酸素種の媒介により過酸化亜硝酸の媒介をもたらすことを特徴とする医薬組成物。
【請求項21】
ピルベートがピルビン酸、ピルビン酸リチウム、ピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、ピルビン酸マンガン、ピルビン酸アンモニウム、ピルビン酸アルミニウムおよびそれらの混合物からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
ピルビン酸前躯体がピルビルグリシン、ピルビルアラニン、ピルビルロイシン、ピルビルバリン、ピルビルイソロイシン、ピルビルフェニルアラニン、ピルビルアミド、ピルビン酸塩、それらの塩およびそれらの混合物からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
炭素原子4以上のα−ケト酸がオキザロ酢酸、α−ケトグルタル酸、α−ケト酪酸、α−ケトアジピン酸、α−ケトカプロン酸、α−ケトイソ吉草酸、それらの塩およびそれらの混合物からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
炭素原子4以上のα−ケト酸前躯体がα−ケト酸グリシン、α−ケト酸シスチン、α−ケト酸アラニン、α−ケト酸ロイシン、α−ケト酸バリン、α−ケト酸イソロイシン、α−ケト酸フェニルアラニン、それらの塩およびそれらの混合物からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
活性酸素種メディエーターの量が組成物のおよそ0.1重量%からおよそ50重量%であることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
哺乳動物細胞を治療用薬物と接触させることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項27】
治療用薬剤が抗菌剤、抗ウィルス剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、タンパク質、酵素、ホルモン,非ステロイド抗炎症剤、サイトカイン、抗酸化剤、脂肪酸、抗腫瘍剤、ステロイドおよびそれらの混合物からなるグループから選ばれることを特徴とする請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
α−ケト酸がオキザロ酢酸であることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項29】
α−ケト酸がα−ケトグルタル酸であることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項30】
α−ケト酸がα−ケトグルタル酸とピルビン酸およびその塩との混合物であることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項31】
α−ケト酸がオキザロ酢酸とピルビン酸およびその塩との混合物であることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項32】
抗酸化剤と飽和および不飽和脂肪酸との混合物からなり、脂肪酸は細胞膜の修復および哺乳動物細胞の蘇生に必要な脂肪酸であることを特徴とする請求項20に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−530115(P2008−530115A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555250(P2007−555250)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/004753
【国際公開番号】WO2006/086643
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(507272784)ノース セル ファーマシューティカル インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】NORTH CELL PHARMACEUTICAL,INC.
【Fターム(参考)】