説明

道路反射鏡

【課題】寒冷時や早朝に生じ易い、道路反射鏡の鏡面の結露、凍結、着雪防止機能を持ち、環境保全に問題ない物質で構成する反射鏡を提供する。
【解決手段】鏡面1Aの内面に断熱材18を入れ、その裏にゲル状蓄熱剤5を容器4に入れて設置する。その容器4の裏面に断熱材6A,6Bと裏板2を設けて一体化したことを特徴とする。また、ゲル化用粉体として寒天等の藻類を使用し、反射鏡の廃棄処分時の環境保全に問題ないようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の道路に設置して使用する道路反射鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
道路反射鏡は、道路の曲がり角や交差点などの見通しの悪い所に設置して、鏡面を通して視認性を向上させて交通事故防止の為に利用されている。しかし、早朝の気温の下がる時間には、鏡面が曇って鏡面として役立たなく、その解決が強く望まれている。
【0003】
早朝に鏡面が曇るのは、鏡面の表面温度が周囲の気温より低下して露点以下になる為である。この防止には鏡面の温度を周囲の気温より高くすればよい。
【0004】
従来の曇り防止対策としては、気温の低下時に鏡面の裏側に内蔵した電気ヒーターに通電して曇り防止する方法が一般的に知られている。この方法では、曇りに関係なく、低気温時に電気ヒーターに通電する為電気の消費量が大きくなる点がネックとなっていた。
【0005】
【特許文献】実開昭61−98901号公報 特開平4−97004号公報 特開平2−16207号公報 特開平2−204508号公報
【0006】
従来の公知例としては実開昭61−98901号及び、特開平4−97004号公報では、反射鏡の鏡面と裏板の間に潜熱蓄熱層を形成することが提案されているが、鏡面の曇りは+25℃から−25℃までの広い気温の幅にて発生する為、特定温度でしか潜熱を発生しないと全温度域での曇り防止機能は役立たない。
【0007】
他の公知例としては、特開平2−16207号公報及び特開平2−204508号公報では、反射鏡の鏡面と裏板の間に不凍液を容器に入れて鏡面側に内蔵し、その裏側に断熱材を入れて裏板と鏡面で一体化した曇り防止機能付の反射鏡が捉案されている。不凍液をフィルム容器に入れているので、液体の垂れ下がりにより鏡面の上部が曇りの発生があることと、フィルム容器のシール性の低下により液漏れが発生する問題がある。
【0008】
この他の曇り防止の道路反射鏡としては、酸化チタンを鏡面に塗布したものが発表されたが、雨の水滴は付着が少なくなり、雨の日の鏡面は見やすくなるが、小さい結露は付着することや、酸化チタンが一年以上の耐久性がないことが判明し普及しなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
また他の公知例としては、特開平6−70832号公報及び特開平7−3731号公報では、反射鏡の鏡面と裏板の間に熱緩衝材を入れ、その後に蓄熱剤としてエチレングリコールの水溶液を高吸水性樹脂に吸水させてゲル化することや合成高分子により架橋材を加えてゲル化して容器に入れ、その裏に断熱材を入れることや、遠赤外線放射材を混合したり反射器を設置することが提案されている。高吸水性樹脂に吸収させてゲル化する方法においては、高吸水性粉体が吸収して100倍以上に膨潤し、ゲル化するが粉体単体のゲルであり粉体同士が結合ゲル化するのではない為に、容器に入れると下部に垂下して、容器の上部は空洞となり曇りの発生原因となる。
合成高分子ゲル化材料を水溶液に溶解し、その後に架橋材を加えてゲル化する方法については、合成高分子材料の溶解量及び架橋材の添加量によりゲル化時間が大きく変わる。又、その時の周囲の温度によっても、ゲル化時間が大幅に変わる為に扱いにくい。又、一度ゲル化すると、不溶化する非可逆性ゲルの為に反射鏡の廃棄処分時も排水路に流して処分も出来ない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【00010】
本発明は、これらの課題を解決することを目的としたものであって、鏡の裏面に、プラスチックフィルムを貼り合せた容器に−40℃まで凍結しないように、水とプロピレングリコール、エチレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどとの水溶液に紅藻類を原料としたゲル化用粉体を、水溶液に対して重量比0.15〜5.0%溶解させる。このゲルは食用や凍結防止剤として、環境保全に問題ない物質で構成する。
溶解した溶液は、鏡面の大きさに合わせた容器に、所定量充填する。水溶液を入れた容器を85℃〜95℃に加温をする。全体の温度を均一に上昇させる為には、温水槽の中に一定時間(5〜10分)入れて加温する。その後に蓄熱剤入り容器を、温水槽より取り出し、水平な台の上に置いて、35℃以下の常温にて、2〜4時間放置してゲル化させる。反射鏡の鏡面の裏面に蓄熱剤入り容器を配置し、その裏面にプラスチック又は、ゴムの発砲体を、吸水性を防止して配置し、その裏側を裏板として鏡面と裏板を、ネジにより締付けるか、スポット熔接により熔着する。
【0011】
この方法での曇り防止機能は、鏡面の最上部までゲル化蓄熱剤が配置されるので反射鏡全体に渡り、曇り防止機能が作用する。蓄熱剤の製造工程において、ゲル化材料の割合や周囲温度の影響を受けることなく、平準な作業を行える。蓄熱剤ゲルは可逆性なので、60℃以上に加温すると溶解するので、溶解して、2〜3倍加水すると水溶液になるので、排水路に放水が可能となり環境保全上も改善出来る。ゲル化のコストについては、高分子ゲル化材料による方法に比較し2.5〜3分の1に安価に蓄熱剤をコストダウン出来る。
【0012】
鏡面のすぐ裏に断熱材を入れることにより、昼間蓄熱剤に蓄熱した熱エネルギーを短時間に放出せず朝までの時間をかけて、ゆっくり放熱させることが可能となる。
又、早朝の外気温上昇時にも、蓄熱剤の熱エネルギーが残留していることや、鏡面の表面の温度が外気温より一時下がり曇りを発生することも抑制出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、道路反射鏡の結露、凍結、着雪の効果を従来品(D)に比し、大幅に効率をアップすることが出来る。又、蓄熱剤を従来品(D)に比べ2.5〜1/3にコストを下げることが出来、普及の手助けとなり、早朝の交通事故防止にも貢献する。
環境保全の面からも、反射鏡の廃棄処分時、蓄熱剤を水溶液に戻して水で希釈して排水路に放水処理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る道路反射鏡の実施例について図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
本発明を実施例について更に詳細に説明する。図1は、本発明の道路反射鏡の断面図である。図2は、蓄熱剤を入れる容器の一部を切り欠いた斜視図である。
【0016】
道路反射鏡は丸形で600φ、800φ、1000φの3種類あり、角型として450×600、600×800の2種類が標準化されている。
鏡面材質としてはステンレス、アクリル、ポリカードネート、強化ガラスの4種類がる。蓄熱方式の曇り防止道路反射鏡は、外気温度を収熱する為にステンレスミラーを使用する。実施例では、標準的によく使用される800φについて、一例を示す。
【0017】
鏡面1Aの内面1Bに800φの場合5.0tの断熱材18(ポリエチレン発砲体)を入れる。その裏にプロピレングリコールと水を1:4の割合で混合した水溶液3.0lに対して粉寒天を6g溶解して、直径800φのフィルム容器4の中に充填する。この容器に入れた水溶液は90〜95℃の湯の中に5分入れて加温した後、水均化して、35℃以下の気温下で3時間以上放置しゲル化させる。
フィルム容器は、蓄熱剤が全面均一化の為に2面を一定間隔て均等液量シール15を行う。
【0018】
ゲル化した容器の裏面には、熱伝道率0.03(kcal/mh℃)の断熱材6A、6B(軟質ウレタンフォーム)を鏡面の中心部で40tの厚さのものを、ポリエチレンの袋に入れて配置し、鏡面板1と裏板2の締付部7をスポット熔接する。その外周を外周バンド19により巻き付ける。
【0019】
次に本発明による800φの道路反射鏡と特開平7−3731号公報で提案されている万成の曇防止装置付道路反射鏡、以下従来品(D)について比較した結果を図3に示す。
【0020】
図3は両者を24時間鏡面及びその周辺の温度を、記録しグラフ化したものであり、本発明による反射鏡(A)は、従来品(D)に比べ夜間から朝の11時にかけて高い温度を示している。これは、蓄熱剤の量が800φのときにおいて3.0lの量が収熱、放熱の効率が最適な量であることと鏡面のすぐ裏側の断熱材の熱伝導量がマッチングしている為である。昼間の気温の高い時間に蓄熱剤に熱エネルギーを効率よく取り込み、夜間から朝に向かって蓄熱剤に蓄えた熱エネルギーをゆっくり放熱し、朝まで放熱しても熱エネルギーを全部放熱しないので朝11時まで、本発明の鏡面の温度が従来品(D)より高いのは、その為である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施態様の一例を示す要部を断面とした一部切欠断面図である。
【図2】図2は蓄熱剤を入れる容器の一例を示す一部切欠斜視図である。
【図3】図3は本発明の道路反射鏡(A)と従来品(D)との性能を比較して測定した温度変化の挙動を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 鏡面板
1 鏡面板
1A 鏡面
1B 鏡面内面
2 裏板
3 庇し板
4 ゲル状蓄熱剤を入れる容器
5 ゲル状蓄熱剤
6A 断熱材
6B 断熱材
7 鏡面裏板締付部
8 支持板
9 連結片
10 枢軸
11 位置決め用止金
12 長溝
13 柱
14 締め金具
15 均等液量シール
16 外周シール
17 注入口
18 断熱材
19 外周バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通安全用の反射鏡で金属製の鏡面と裏板との内部に鏡面のすぐ裏に水溶性天然高分子ゲルを鏡面表面積当り0.3g/平方cm〜1.2g/平方cmの量を容器に入れて収容し、その裏側に熱伝導率0.02〜0.05(kcal/mh℃)の断熱材料10mm〜60mmの厚さで入れて鏡面と裏板で一体化したことを特徴とする道路反射鏡。
【請求項2】
反射鏡の鏡面と裏板との内部に鏡面のすぐ裏に、熱伝導率0.02〜0.05(kcal/mh℃)の断熱材料を1.0mm〜10.0mmtの厚さで入れて、その裏に水溶性高分子ゲルを容器に入れて配置し、その裏に断熱材料を10.0mm〜60mmの厚さで入れて鏡面と裏板で一体化したことを特徴とする道路反射鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−92500(P2007−92500A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313437(P2005−313437)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(393015139)株式会社テクノ21 (5)
【Fターム(参考)】