説明

道路集水桝用蓋板

【課題】側溝に設けた集水桝の蓋板に落ち葉や土砂などのゴミが溜って雨水の排水能力が低下するのを防止する。
【解決手段】複数の任意形状をした排水孔13を有した水平部12の一端を立ち上げて上部を背面側に折曲げた傾斜部17を有した垂直部15を一体に形成し、該垂直部の表面に縁石7の路面側に設けた窪部8から排水する任意形状をした複数の垂直排水孔16を形成し、前記水平部12の底面側の両端に側面補強リブ20、前後方向の前側に正面補強リブ22、後側に背面補強リブ23をそれぞれ設け、前記正面補強リブ22と背面補強リブ23の間で前記した排水孔13の間に複数の中間補強リブ24をそれぞれ設けてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路、特に車道の路側帯に設けた側溝に一定間隔で設けた雨水集水桝にかぶせる蓋板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、国道や県道などの幹線道路には、車道の路側帯に雨水を集排水するために排水側溝を設け、該排水側溝を流れる雨水を路面から排水するための集水桝が一定間隔に設けてある。この集水桝に集排水された雨水は地下に設けた下水管に排水される。前記排水側溝は、車道の中央部分から歩道側に緩やかに傾斜させて雨水を路側帯側に流れやすく設計されており、該集水桝には、落下防止と集水桝点検用の蓋板が取付けられている。この蓋板は、場所により多様な種類の蓋板が取付けられている。例えば、コンクリート製や金属製または鋳鉄製などの各種の蓋板が取付けられている。
【0003】
前記蓋板の多くは、路面と水平な板状に形成されたもので、特に台風や集中豪雨などの一度に大量の雨水が降ると、道路上の土砂、砂利または落ち葉(以下、ゴミという)などが雨水と一緒に流れて集水桝に集中する。このとき、雨水と一緒に流れこむ落ち葉などの大量のゴミは、蓋板に設けた溝孔の幅が狭いため桝目に引っ掛かって目詰まりを起こし、雨水の排水効率が落ちて集水桝の付近に雨水が溜り、道路冠水の原因となっていた。
【0004】
そこで、車両などが通行する路面より一段高くして設けた歩道路肩の縁石に側面集水部を設け、該側面集水部に縦型のグレーチングを取付けて水平方向と垂直方向に排水孔を設けることにより水平方向に設けた集水孔が落ち葉などのゴミにより塞がれても垂直方向の溝孔から排水することができる道路用集水装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−24084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記道路用集水装置は、水平部分のグレーチングとは別体に路肩の縁石に側面集水部を形成し、該側面集水部内に縦型のグレーチングを水平グレーチングと別体に取付けて形成してある。そのため、縦型グレーチングを縁石の集水部に取付ける作業が面倒で製造コストも高くなり極めて不経済である。また、グレーチングは、コンクリート蓋や鋳造製の蓋板に比べ軽量であることから、路面上を走行する車両の振動や衝撃などで集水桝から外れたり、跳ね飛ばされるおそれがあり、この跳ね飛ばされたグレーチングが他の車両や人に当たり事故につながるおそれがあり非常に危険であるなどの問題点を有している。
【0007】
本発明は、道路の路側帯に設けた排水側溝に一定間隔で設けた集水桝に被せる蓋板を、排水側溝の形状に合わせて水平排水部と垂直排水部を一体に形成することにより、製造コストの軽減を図り、しかも蓋板上にゴミが溜って水平な排水孔が塞がっても垂直な排水孔から排水させることにより、台風や集中豪雨による道路冠水を防止すると共に、蓋板の裏面に構造が簡単で安価なロック装置を取付けることにより、車両の通過による振動や衝撃などで蓋板が集水桝からズレたり脱落して起こる車両事故を未然に防止して安全性を高め、また、蓋板のいたずらや盗難を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、複数の任意形状をした排水孔13を有した水平部12の路肩側端部を垂直方向に折り曲げて垂直部15を一体に形成し、該垂直部には、縁石5の路面側に設けた凹溝部6から排水する任意形状をした複数の垂直排水孔16を設け、前記水平部12の裏側に複数の補強リブ20、22、23、24を縦横に設けてなることを特徴とする。また、前記垂直部15の横幅は、水平部12の横幅より幅狭に形成してその両側端に切欠部15aをそれぞれ形成して前記縁石の凹部との間に排水スペースA,Aを設けると共に、前記垂直部15の上部を背面方向に折曲げた傾斜部を一体に形成してなることを特徴とする。さらに、前記補強リブは、水平部12の両側端方向に側面補強リブ20、20、前後方向に正面補強リブ22及び背面補強リブ23をそれぞれ設け、該正面補強リブと背面補強リブの間には前記排水孔13の間に複数の中間補強リブ24をそれぞれ設け、前記垂直部15はその上部を背面方向に折曲げて傾斜部17を一体に形成し、該垂直部の横幅を前記水平部12の横幅より幅狭に形成して前記縁石5の凹溝部6との間に排水スペースAを設けてなることを特徴とする。さらに、前記水平部12の裏側両側に設けた側面補強リブ20にゴム製の防振パッキン26をそれぞれ取付けてなることを特徴とする。
【0009】
したがって、蓋板11を路面と水平に設けた水平部12に複数の排水孔を設け、縁石5に設けた凹溝部6から排水する垂直排水孔16を有した垂直部15を前記水平部12の一端と一体に形成したことにより、排水孔13に落ち葉などのゴミが堆積して排水が困難となった雨水を垂直排水孔16から桝内に排水して、側溝の集水桝付近が冠水するのを防止することができる。また、既設の集水桝に取付けてある蓋板を本願の蓋板に変更する場合、縁石を交換(垂直方向の内側を凹状に切欠いて形成したもの、または、蓋板の立上部分を収容する凹溝部を有したもの)にするだけで簡単に取付けることができるし、さらに集水桝1(縁石、縁塊)全体を交換して取付けることもできる。また、該蓋板11の底面に複数の補強リブ20、22、23、24を縦横に設けたことにより走行車両の振動や衝撃などにより蓋板が破損するのを防止することができる。
【0010】
請求項5の発明は、複数の任意形状をした排水孔13を有した水平部12の一端を立ち上げて上部を背面側に折曲げた傾斜部17を有した垂直部15を一体に形成し、該垂直部には縁石7の路面側に設けた窪部8から排水する任意形状をした複数の垂直排水孔16を形成し、前記水平部12の底面側の両端に側面補強リブ20、前後方向の前側に正面補強リブ22、後側に背面補強リブ23をそれぞれ設け、前記正面補強リブ22と背面補強リブ23の間で前記した排水孔13の間に複数の中間補強リブ24をそれぞれ設けて形成し、前記背面補強リブ23の裏側に集水桝1に施錠するためのロック装置29を支持枠30で取付けてなることを特徴とする。また、前記ロック装置29は、集水桝1の受枠2に設けたロック穴3に出し入れするロック頭部35と同一軸心上に設けたピストン軸32を収容した一対のシリンダ筒31と、前記シリンダ筒31内に係止リング39を有したピストン軸32を進退動可能に付勢させるばね37と、前記シリンダ筒31の両端に取付けて前記ピストン軸32とばね37を封入する一対の係止リング39、39と、前記シリンダ筒31に封入したピストン軸32の後端を互いに連結したワイヤーロープ41とからなることを特徴とする。
【0011】
したがって、蓋板11を路面と並行な水平部12に設けた排水孔13と、垂直部15に垂直排水孔16を設けたことにより、排水孔13にゴミが堆積して排水が困難となった場合でも、垂直排水孔16から雨水を桝内に排水できるので、側溝が冠水するのを防止することができる。また、既設の集水桝1に取付けてある蓋板を本願の第2蓋板27に変更する場合、縁石を交換(垂直方向の内側を凹状に切欠いて形成したもの、または、蓋板の立上分部を収容する凹溝部を有したもの)するだけで簡単に取付けることができ、さらに集水桝1(縁石、縁塊)全体を交換して取付けることもできる。さらに、該蓋板の背面補強リブ23にロック装置29を取付けたことにより、走行車両の振動や衝撃などにより蓋板11が集水桝から外れることなく確実にロックすることができるので安全である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の蓋板の斜視図である。
【図2】第1の蓋板の正面図である。
【図3】第1の蓋板の背面図である。
【図4】第1の蓋板の平面図である。
【図5】第1の蓋板の底面図である。
【図6】図2のA―A線断面図である。
【図7】図2のB―B線断面図である。
【図8】図4のC―C線断面図である。
【図9】路面側壁面に凹溝部を有した縁石を使用した集水桝に蓋板を取付けた使用状態を示す斜視図である。
【図10】図9の中央縦断面図である。
【図11】路面側壁面に下方を開口した窪部を設けた縁石を使用した集水桝に蓋板を取付けた使用状態を示す斜視図である。
【図12】図11の中央縦断面図である。
【図13】ロック装置を背面補強リブに取付けた第2蓋板の背面図である。
【図14】ロック装置を背面補強リブに取付けた第2蓋板の底面図である。
【図15】ロック装置を背面補強リブに取付けた第2蓋板の側面図である。
【図16】ロック装置の要部拡大断面図である。
【図17】第2の蓋板を集水桝に取り付けたロック状態を示す断面図である。
【図18】ロック装置のワイヤーロープに吊上治具のフック部を引っ掛けて吊上げてロックを解除した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を図面により説明すると、図1は蓋板の斜視図、図2は蓋板の正面図、図3は蓋板の背面図、図4は蓋板の平面図、図5は蓋板の底面図、図6は図2のA―A線断面図、図7は図2のB―B線断面図、図8は図4のC―C線断面図である。本発明の第1の実施の形態を示す第1の蓋板11は、路肩の側溝に一定間隔で設けた集排水桝、すなわち、集水桝1の受枠2に被せるものであることから、頑丈で耐食性に優れている鋳鉄材により表面に粗面加工を施してから錆止め用の溶融亜鉛メッキ加工により滑止塗装を施してある。
【0014】
第1の蓋板11は、図1から4に示すごとく、路面と同一面に設けた矩形で扁平な水平部12に、雨水を排水するために任意形状、(例えば、複数の細長溝孔)を並行に形成してなる排水孔13を設け、さらに、前記水平部12の一端、即ち、路肩側の背面を垂直方向に立ち上がらせた垂直部15を一体に形成し、該垂直部の上部を背面方向にやや折曲げて傾斜部17を形成し、該垂直部15には、集水桝1の縁石5の路面側に設けた凹溝部6内に排水するために任意形状、(例えば、複数の細長溝孔)を並列に形成してなる垂直排水孔16を設けてある。
【0015】
水平部12の左右方向の裏面両側端には、図5から8に示すごとく、側面補強リブ20、20を設け、また、前後方向の前側には、前記排水孔13と直角方向に位置させて溝正面補強リブ22を設け、さらに、後ろ側には背面補強リブ23を設けてある。前記補強リブ22と23の間には、各排水孔13の間に前記側面補強リブ20より上下幅がやや長い中間補強リブ24をそれぞれ取付けて蓋板11の強度を補強し、蓋板11上を通過する車両の振動や衝撃で破損するのを防止することができる。
【0016】
水平部12の裏面両側端に設けた側面補強リブ20、20の下部外面下面には、集水桝1の受枠2に蓋板11を嵌合したときのガタ付や騒音を防止するためにゴム材により形成した防振パッキン26を装着してある。
【0017】
第1の蓋板11は、垂直部15の上部に傾斜部17を設け、且つ、垂直部15の横幅を水平部12の横幅より狭く形成して、該垂直部15の両側端部と該水平部の両側との間に間隙部を形成したことにより、前記第1縁石5の凹溝部6や第2縁石7の窪部8の奥行きと幅方向に排水スペースAを設けることができ、蓋板11の水平部12に堆積し落ち葉などのゴミを集水桝1内に設けた回収溝に落ちやすくすると共に、雨水の排水効率の向上を図ることができる。
【0018】
図13、14、15は、本発明の第2の実施の形態を示した第2の蓋板11で、該蓋板の水平部12、垂直部15および水平部12の裏面に設けた各補強リブ20、22、23、24は、前記蓋板11と同一であるため同一符号を付して説明は省略する。
【0019】
第2の蓋板11は、図13に示すごとく、水平部12の裏側背面側に設けた背面補強リブ23の裏側水平方向に、該蓋板1を集水桝1に嵌合した際、該蓋板上を走行する車両の振動や衝撃などにより集水桝から外れたり、該蓋板が盗難されるのを防ぐためにロック装置29を取付けてある。
【0020】
このロック装置29は、図16に示すごとく、非磁性材で耐腐食性を有する金属材、例えば、ステンレス材により形成した一対のシリンダ筒31と、該シリンダ筒内に収容する一対のピストン軸32と、該ピストン軸を進退動可能に付勢するばね37と、前記シリンダ筒31の両端を閉口する一対の係止リング39、39と、蓋板1の裏面に取付けた背面補強リブ23の左右両端に設けた支持枠30を介して取付けたシリンダ筒31の内部に収容したピストン軸32の後端を互いにワイヤーロープ41で連結して構成してある。
【0021】
前記シリンダ筒31は、全体を筒状に形成し、内部にピストン軸32とばね37を収容し、該ピストン軸は、軸部33の先端よりに係止鍔部34を設け、該係止鍔部より先方をロック頭部35とし、軸部33の後端にねじ軸部36を一体に形成し、前記ピストン軸32のロック頭部35と軸部33をそれぞれ挿通させた軸孔40a、40bを有した係止リング39a、39bを前記シリンダ筒31の両端に取付けて閉口し、内部のピストン軸32を進退動可能に封入してある。
【0022】
前記ばね37により付勢されたピストン軸32は、シリンダ筒31の一端を閉口した係止リング39aの内側に係止鍔部34が当接して停止する位置が、ロック頭部35が最大に伸びて受枠2のロック穴3に嵌合してロックする位置である。
【0023】
前記シリンダ筒31に収容されたばね37は、図16に示すごとく、ピストン軸32の軸部33の外周に装着され、一端を係止鍔部34に係止し、他端をシリンダ筒31の一端を閉口した係止リング39bの内側に当接してピストン軸32を外方に付勢させてある。
【0024】
前記ワイヤーロープ41は、図16に示すごとく、前記背面補強リブ23の背面側水平方向で左右対称位置の同一軸心上に位置したシリンダ筒31内に収容したピストン軸32のそれぞれ後端に形成したねじ軸部36に、それぞれ連結ナット43を介して連結してある。
【0025】
前記連結ナット43は、一端を袋状に形成して閉口した端部の軸心方向に設けたロープ孔44にワイヤーロープ41の端部を挿通し、連結ナット43内に位置したワイヤーロープの端部に異径部にまたは掛止部を設けて抜けないように固定し、該連結ナットを前記ねじ軸部36に螺合させてワイヤーロープ41を連結してある。
【0026】
前記連結ナット43は、前記ねじ軸部36上を進退動させることにより、ワイヤーロープ41を緊張調整可能に連結し、且つ、この長さ調整した連結ナット43の位置を維持するための弛み止ナット46をねじ軸部36に螺合してある。
【0027】
前記ピストン軸32は、シリンダ筒31の一端を閉口した係止リング39aの軸孔40aからロック頭部35を突出させ、該係止リングの内面に係止鍔部34が当接した状態で外方向にばね37で付勢されて収容してある。したがって、通常はロック頭部35がシリンダ筒31から突出した状態であるため、蓋板11を集水桝1に装着することができない。
【0028】
第2の実施の形態における第2の蓋板11を集水桝1に装着するには、吊上治具48のフック部50をワイヤーロープ41に引っ掛けて吊り上げると、ワイヤーロープ41と両端が連結しているピストン軸32、32が互いに引張られて、該ピストン軸の軸部33に巻装したばね37が収縮して後退する。
【0029】
前記ピストン軸32がばね37の圧縮限界位置まで後退すると、受枠2の内縁より内側にロック頭部35が位置し、蓋板11を集水桝1に装着することができる。したがって、吊上治具48でワイヤーロープ41を吊上げることにより引張られたピストン軸32の後退位置がばね37の圧縮限界位置(ピストン軸が後退した位置)で、ロック頭部35が受枠2のロック穴3から離脱してアンロック位置となる。
【0030】
吊上治具48は、軸部49の下端を鉤型に形成したフック部50を設け、軸部49の上端に操作する把手部51を取付けてなり、前記第2蓋板27の水平部12に設けた中央排水孔14の上面側からフック部50を挿入してガイド環52に支持されたワイヤーロープ41の略中央部分を引っ掛けて吊上げ可能に形成してある。
【0031】
以下、本発明の実施の形態の作用について説明すると、車道と歩道との間に段差を設けて形成されたいわゆるL型側溝Xは、縁石の高さや縁塊の大きさが定められている。したがって、路側帯に設けた集水桝(または排水桝)に被せる蓋板の垂直部を収容する縁石の高さや形状もそれぞれ相違し、歩道側の雨水も効率的に排水するために縁石の上面を開口した第1縁石5や、上面を扁平に形成し道路側側面に窪部8を設けた第2縁石7などが使用され、本願の第1、2の蓋板11はそれぞれ対応して取付けることができる。
【0032】
例えば、図9、10に示すごとく、道路側面側を垂直方向に切り欠いた凹溝部6を設けた縁石5を使用した集水桝1に第1蓋板11を取付ける場合、水平部12を路面側の受枠2に位置し、垂直部15を縁石5の凹溝部6内に収容して縁石の道路側側面から垂直部15がはみ出ないように取付けることができる。
【0033】
凹溝部6内に位置した垂直部15は、上部を背面方向に折り曲げた傾斜部17を設け、且つ、垂直部15の横幅を水平部12の横幅より狭く形成して、該垂直部の両側端の外方と、前記凹溝部6の奥行きと幅方向との間にそれぞれ排水スペースA,Aを設けることができ、蓋板11の水平部12に堆積するゴミを集水桝1内に設けた回収溝に落ちやすくすると共に、歩道側の雨水も凹溝部6に流入させることができるので、雨水の排水効率の向上を図ることができる。
【0034】
また、図11、12に示すごとく、縁石の凹溝部が上面まで開口しているは危険であるから道路側側面と地面側を開口した窪部8を設けた縁石7を使用した場合でも、垂直部15の横幅を水平部12の横幅より狭く形成してあるため、窪部8の幅や高さが基準により相違しても容易に取付けることができ、また、前記窪部8の奥行きと幅方向に排水スペースを有するため雨水の排水効率の向上を図ることができる。
【0035】
さらには、台風や集中豪雨などのときに大量の雨水が集水桝1に集中して流入した場合、雨水と共に土砂や落ち葉等のゴミが路面と水平面な水平部12の排水孔13に集中し、前記ゴミのうち大きなものが排水孔13に次々に引っ掛かると排水孔13が目詰まりを起こし、雨水の水嵩が増すと垂直方向に開口してある垂直部15に設けた垂直排水孔16と、該垂直部の両側と縁石に凹溝部6との間に設けた排水スペースから流入させて排水することができるので、集水桝全体の排水能力が低下するおそれはない。
【0036】
第1、2の蓋板11の水平部12の裏面全体に側面補強リブ20、前面補強リブ22、背面補強リブ23および中間補強リブ24を設けたことにより、該蓋板上を通過する車両の振動や衝撃で破損するのを防止することができる。さらには、前記水平部12の裏面両端に設けた側面補強リブ20、20の下面及び外面にゴム製の防振パッキン26を装着することにより、集水桝1の受枠2に蓋板11を嵌合したときの左右方向及び上下方向のガタ付や騒音を防止することができる。
【0037】
ロック装置29を取付けた他の蓋板11を集水桝1に取付ける場合、吊上治具48のフック部50を蓋板11の水平部12の中央排水孔14から挿入してワイヤーロープ41の略中央部分を引っ掛けて吊り上げると、ワイヤーロープ41が蓋板11の重さで引張られてシリンダ筒31内のピストン軸32がばね37の弾発力に抗してばねの圧縮限界位置まで後退して停止する。
【0038】
吊上治具48で吊り上げられた蓋板11を集水桝1の受枠2上に位置して嵌合した後、吊上治具48のフック部50をワイヤーロープ41から外すと、ピストン軸32がばね37の弾発力で伸びて受枠2の下部に設けたロック穴3にロック頭部35が嵌合して第2蓋板27をロックすることができる(図17)。ロック装置29で蓋板11を集水桝1にロックさせることにより、車両の通過による振動や衝撃などで該蓋板が集水桝1からズレたり脱落するのを防止し、且つ、該蓋板の跳ねとびによる事故を防止して安全性を高め、また、蓋板のいたずらや盗難を防止することできる。
【0039】
蓋板11を集水桝1の受枠2から外す場合は、図18に示すごとく、吊上治具48のフック部50をワイヤーロープ41に引っ掛けて第2蓋板27を吊上げると、該蓋板の重さでワイヤーロープ41が引張られ、シリンダ筒31内のピストン軸32がばね37の弾発力に抗してばねの圧縮限界位置まで後退して停止する。すると、ピストン軸32のロック頭部35が集水桝1の受枠2に設けたロック穴3から離脱してアンロックさせて該蓋板を吊上げて移動することにより集水桝1を開口することができる。
【0040】
前記のごとく、蓋板11に設けたロック装置のワイヤーロープ41を吊上治具48で吊り上げて降ろすだけのワンタッチ操作でロック・アンロックすることができるので着脱操作が簡単で便利である。また、ロック装置29は、既存の蓋板に簡単に取付けることができるので、コストが安価で大変経済的である。
【符号の説明】
【0041】
1 集水桝
2 受枠
3 ロック穴
4 縁塊
5 第1縁石
6 凹溝部
7 第2縁石
8 窪部
11 蓋板
12 水平部
13 排水孔
15 垂直部
15a 切欠部
16 垂直排水孔
17 傾斜部
20 側面補強リブ
22 正面補強リブ
23 背面補強リブ
24 中間補強リブ
26 防振パッキン
29 ロック装置
30 支持枠
31 シリンダ筒
32 ピストン軸
33 軸部
34 係止鍔部
35 ロック頭部
36 ねじ軸部
37 ばね
39 係止リング
40 軸孔
41 ワイヤーロープ
43 連結ナット
46 弛止ナット
48 吊上治具
A 排水スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の任意形状をした排水孔13を有した水平部12の路肩側端部を垂直方向に折り曲げて垂直部15を一体に形成し、該垂直部に、縁石5の路面側に設けた凹溝部6から排水する任意形状をした複数の垂直排水孔16を設け、前記水平部12の裏側に複数の補強リブ20、22、23、24を縦横に設けてなることを特徴とする集水桝用蓋板。
【請求項2】
前記垂直部15の横幅は、水平部12の横幅より幅狭に形成してその両側端に切欠部15aをそれぞれ形成して前記縁石の凹部との間に排水スペースA,Aを設けると共に、前記垂直部15の上部を背面方向に折曲げた傾斜部を一体に形成してなることを特徴とする請求項1記載の集水桝用蓋板。
【請求項3】
前記補強リブは、水平部12の両端に側面補強リブ20、20、前後方向に正面補強リブ22と背面補強リブ23をそれぞれ設け、該正面補強リブと背面補強リブの間には前記排水孔13の間に複数の中間補強リブ24をそれぞれ設け、前記垂直部15の上部を背面方向に折曲げて傾斜部17を一体に形成し、該垂直部の横幅を前記水平部12の横幅より幅狭に形成して前記縁石5の凹溝部6との間に排水スペースA,Aを設けてなることを特徴とする請求項1または2記載の集水桝用蓋板。
【請求項4】
前記水平部12の裏側両側端に設けた側面補強リブ20にゴム製の防振パッキン26をそれぞれ取付けてなることを特徴とする請求項1又は3記載の集水桝用蓋板。
【請求項5】
複数の任意形状をした排水孔13を有した水平部12の一端を立ち上げて上部を背面側に折曲げた傾斜部17を有した垂直部15を一体に形成し、該垂直部には縁石7の路面側に設けた窪部8から排水する任意形状をした複数の垂直排水孔16を形成し、前記水平部12の底面側の両端に側面補強リブ20、前後方向の前側に正面補強リブ22、後側に背面補強リブ23をそれぞれ設け、前記正面補強リブ22と背面補強リブ23の間で前記した排水孔13の間に複数の中間補強リブ24をそれぞれ設けて形成し、前記背面補強リブ23の裏側水平方向に集水桝1に施錠するロック装置29を支持枠30で取付けてなることを特徴とする集水桝用蓋板。
【請求項6】
前記ロック装置29は、集水桝1の受枠2に設けたロック穴3に出し入れするロック頭部35と同一軸心上に設けたピストン軸32を収容した一対のシリンダ筒31と、前記シリンダ筒31内に係止リング39を有したピストン軸32を進退動可能に付勢させるばね37と、前記シリンダ筒31の両端に取付けて前記ピストン軸32とばね37を封入する一対の係止リング39、39と、前記シリンダ筒31に封入したピストン軸32、32の後端を互いに連結したワイヤーロープ41とからなることを特徴とする請求項5記載の集水桝用蓋板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−83055(P2013−83055A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222444(P2011−222444)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(393013618)光海陸産業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】