説明

部品供給装置及び実装装置

【課題】異形部品やリードの付いたコネクタ等の部品を、実装装置に対して所望な姿勢で供給すること。
【解決手段】部品(P)を基材に対して実装する実装装置(1)に、部品(P)を供給する部品供給装置(2)であって、部品(P)の搬送路(42)上において、基板(W)に対する実装面(72)を一方向に向けた所定の姿勢の部品(P)を通過させ、所定の姿勢以外の部品(P)を搬送路(42)から外す振り分け部(43)と、振り分け部(43)において揃えられた部品(P)の姿勢を、搬送路(42)に設けた窪み(54)によって実装装置(1)に取り出される姿勢に姿勢変更する落とし込み部(44)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給装置に関し、特に、基板に対して電子部品を実装する実装装置にリード付きのラジアル部品を供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品供給装置として、スティック形状の部品を振動によって実装装置に整列供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この部品供給装置は、上面を開口した円筒状のボウル内に複数の部品をバラで収容しており、ボウルに振動を加えることによってボウルの内周面に設けた螺旋状の搬送路に沿って部品を搬送する。また、ボウルの出口には、実装装置に向って延びる搬送レールが設けられており、ボウル外に搬出された部品は、この搬送レールに沿って実装装置まで整列して搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−180016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の部品供給装置は、スティック(シングルインラインパッケージ)形状の部品を整列搬送するものであり、異形部品やリードの付いたコネクタ等の電子部品を所望の姿勢で搬送することができない。このため、実装装置側において部品の姿勢を実装ヘッドによってピックアップ可能な姿勢に変える必要がある。複数のセンサを用いて部品の姿勢を判別し、部品の選別を繰り返すことで所望の姿勢に揃えることが可能であるが、実装装置側の処理が煩雑になる。また、部品の形状や材質によってはセンサを用いて姿勢を判別できない場合もある。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、異形部品やリードの付いたコネクタ等の部品を、実装装置に対して所望な姿勢で供給できる部品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品供給装置は、部品を基材に対して実装する実装装置に、前記部品を振動によって整列供給する部品供給装置であって、前記部品の搬送路上において、前記基材に対する実装面を一方向に向けた所定の姿勢の部品を通過させ、前記所定の姿勢以外の部品を前記搬送路から外す振り分け部と、前記振り分け部において揃えられた部品の姿勢を、前記搬送路に設けた窪みによって前記実装装置に取り出される姿勢に姿勢変更する落とし込み部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、部品が異形部品やコネクタ等の電子部品であっても、振り分け部によって所定の姿勢の部品だけが選別され、落とし込み部によって実装装置が取り出し可能な姿勢に変換される。よって、実装装置側において部品を取り出し可能な姿勢に変更する必要がなく、センサを用いて部品の姿勢を判別する複雑な処理が不要となる。また、部品がセンサを用いて部品の姿勢を判別できない場合であっても、実装装置に対して部品を適切な姿勢で供給することができる。
【0008】
また本発明の上記部品供給装置において、前記振り分け部は、前記実装面を一側方に向けた部品を通過させ、前記落とし込み部は、前記窪みによって、前記振り分け部を通過した部品の姿勢を前記実装面が下方に向くように姿勢変更する。この構成によれば、部品が実装面を下方に向けて実装装置に供給されるため、実装装置において基材の水平な実装面に対して部品を実装させ易い。
【0009】
また本発明の上記部品供給装置において、前記搬送路の上流側において前記部品を収容する収容容器を備え、前記振り分け部において前記搬送路から外された部品が前記収容容器に戻される。この構成によれば、実装面を所定の方向以外に向けた部品を自動的に収容容器に戻すことができる。
【0010】
また本発明の上記部品供給装置において、前記部品は、直方体形状の部品本体の実装面からリードが外方に突出しており、前記リードが縦に向くように前記部品本体を起こした縦向き姿勢よりも、前記リードが横に向くように前記部品本体を倒した横向き姿勢において、前記部品の高さが低くなっている。
【0011】
また本発明の上記部品供給装置において、前記振り分け部は、前記搬送路上において前記横向き姿勢の部品の上方を横切り、前記縦向き姿勢の部品を前記搬送路外に向けてガイドする第1のガイド部を有している。この構成によれば、簡易な構成により横向き姿勢の部品と縦向き姿勢の部品とを振り分けることができる。
【0012】
また本発明の上記部品供給装置において、前記搬送路は、搬送幅方向の片側が開放されており、前記振り分け部は、前記搬送路の搬送幅を狭める幅縮小部を有し、前記幅縮小部によって狭められた搬送路は、前記横向き姿勢の部品の中で、前記搬送路の開放側に前記リードを向けた基本姿勢の部品を通過させ、前記基本姿勢以外の部品を前記搬送路の片側から脱落させる。この構成によれば、簡易な構成により、横向き姿勢の部品のうち、リードを搬送路の開放側に向けた基本姿勢と基本姿勢以外の部品を振り分けることができる。
【0013】
また本発明の上記部品供給装置において、前記振り分け部は、前記搬送路の幅狭部分の片側において前記基本姿勢以外の部品に当接して、当該部品を前記幅縮小部に向けてガイドする第2のガイド部を有し、前記第2のガイド部は、前記基本姿勢の部品に対しては当接しないように形成されている。この構成によれば、簡易な構成により、横向き姿勢の中で基本姿勢と基本姿勢以外の部品を精度よく振り分けることができる。
【0014】
また本発明の上記部品供給装置において、前記落とし込み部の窪みは、前記搬送路の搬送幅を狭めて、前記横向き姿勢の部品を自重により横転させるように形成されており、前記横向き姿勢の部品は、前記窪みに落し込まれることで、前記リードを下方に向けた前記縦向き姿勢に姿勢変更される。この構成によれば、簡易な構成により横向き姿勢の部品を、リードを下方に向けた縦向き姿勢に姿勢変更できる。
【0015】
また本発明の上記部品供給装置において、前記窪みには、前記横向き姿勢の部品の姿勢変更時に、横向きの前記リードを下向きとなるように前記リードの先端をガイドするガイド面が形成されている。この構成によれば、ガイド面によってリードの先端が下向きになるまでガイドされることで、部品が窪み内に詰まることが防止される。このため、部品を窪み内に確実に落とし込むことができ、実装装置に対して適切な姿勢の部品をスムーズに供給できる。
【0016】
また本発明の実装装置は、上記部品供給装置によって搬送された前記部品が搬送方向において前後反転しているか否かを判別する判別部を備えたことを特徴とする。この構成によれば、搬送方向における部品の前後反転を判別することで、基材に対する部品の誤装着を確実に防止できる。
【0017】
また本発明の上記実装装置において、前記判別部は、前記部品供給装置から前記部品を取り出し、前記部品を前記基材に実装する実装ヘッドに設けられており、前記判別部は、前記実装ヘッドが部品の取り出しから実装までの間に前記部品の前後反転を判別する。この構成によれば、実装ヘッドによる部品の搬送中に、部品の前後反転を判別して回転補正することで、部品を基材に対して効率よく実装できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、異形部品やリードの付いたコネクタ等の部品を、実装装置に対して所望な姿勢で供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態に係る実装装置及び部品供給装置の斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る部品供給装置の上面模式図である。
【図3】本実施の形態に係る本実施の形態に係る部品の斜視図である。
【図4】本実施の形態に係る部品供給装置の一部の斜視図である。
【図5】本実施の形態に係る振り分け部によって部品が振り分けられる様子を示す図である。
【図6】本実施の形態に係るアーチ状のガイド部によって部品がガイドされる様子を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る落とし込み部によって部品が姿勢変換される様子を示す図である。
【図8】本実施の形態に係る大型の部品に対するONCE計測の一例を示す図である。
【図9】本実施の形態に係る小型の部品に対するONCE計測の一例を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る方向判別処理のフローチャートである。
【図11】本実施の形態に係るリード無し部品に対するONCE計測の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る実装装置及び部品供給装置の全体図である。図2は、本実施の形態に係る部品供給装置の上面模式図である。なお、以下においては、部品供給装置として振動方式で部品を搬送するボウルフィーダを例示して説明する。しかしながら、部品供給装置については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、以下の説明においては、部品の縦向き姿勢とはリードが縦に向くように起こされた姿勢を示し、部品の横向き姿勢とはリードが横に向くように倒された姿勢を示す。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態に係る実装装置1は、一対の部品供給装置2から供給された部品Pを、実装ヘッド3によって基台11上の基板W(基材)に実装するように構成されている。基台11上には、実装ヘッド3をX軸方向及びY軸方向に移動させる実装ヘッド移動機構12が設けられている。実装ヘッド移動機構12は、基台11の四隅に立設された支柱部13a、13bにより支持されており、基台11上面から所定の高さで実装ヘッド3をX軸方向及びY軸方向に移動させる。
【0022】
実装ヘッド移動機構12は、一対の支柱部13a、13b上にそれぞれ支持されるY軸レール14a、14bと、Y軸レール14a、14b上をY軸方向に移動されるX軸テーブル15とを有している。X軸テーブル15は、X軸方向に延在しており、両端においてY軸レール14a、14bにより両持ちで支持されている。X軸テーブル15には、実装ヘッド3がX軸方向に移動可能に支持されている。また、Y軸レール14b及びX軸テーブル15上には、それぞれ各種ケーブルが収容されるケーブルベア16、17が設けられている。
【0023】
実装ヘッド移動機構12は、不図示のX軸モータによってX軸テーブル15に沿って実装ヘッド3を移動させ、不図示のY軸モータによってX軸テーブル15上の実装ヘッド3をY軸レール14に沿って移動させる。このような構成により、実装ヘッド3は、基板Wの上方をX軸方向及びY軸方向に水平移動され、基板Wに対して所望の位置に部品Pを搬送することが可能となっている。
【0024】
実装ヘッド3は、部品Pを吸着可能な複数のノズル21(図1では1つのみ記載)を有している。各ノズル21は、不図示のθモータによってZ軸回りに回転され、不図示のZ軸モータによってZ軸方向に上下動される。実装ヘッド3は、各ノズル21を個別に駆動させることにより、部品供給装置2から複数の部品Pを吸着できるように構成されている。なお、実装ヘッド3のノズル21は、部品供給装置2から部品Pを取り出し可能であればよく、例えば、グリッパーノズルで構成されていてもよい。
【0025】
また、実装ヘッド3には、SWEEP計測及びONCE計測を行うためのレーザユニット22が設けられている。レーザユニット22は、部品Pを挟んで配置されたレーザ光源及びCCDラインセンサを有している。レーザユニット22は、レーザ光源からノズル21に保持された部品Pに向けてレーザを照射し、CCDラインセンサにより部品Pの影を検知する。レーザユニット22により検知されたデータは、基台11内の制御部18(判別部)に出力される。制御部18は、実装装置1の各種処理を実行するプロセッサや、メモリ等により構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。なお、本実施の形態に係るSWEEP計測及びONCE計測の詳細については後述する。
【0026】
基台11上のY軸方向の略中間位置には、基台11上に基板Wを取り込む基板搬送部19が設けられている。基板搬送部19は、X軸方向に延在しており、不図示の搬送ベルト等により基板Wを搬送可能に構成されている。基板搬送部19は、部品Pの実装時にはX軸方向の一端側から基板Wを取り込み、実装ヘッド3の下方に位置付ける。また、基板搬送部19は、部品Pの実装完了後にはX軸方向における他端側から基板Wを搬出する。
【0027】
本実施の形態においては、実装装置1には、一対の部品供給装置2から部品Pが供給される。図2に示すように、各部品供給装置2は、振動方式により部品Pを実装装置1に搬送するボウルフィーダであり、直線状の搬送レール4を介して基板搬送部19の手前まで部品Pを搬送している。部品供給装置2は、上面を開口した円筒状に形成された金属製のボウル31(収容容器)を有し、このボウル31に複数の部品Pをバラで収容している。ボウル31には、底部から開口側に向けて部品Pを搬送するための搬送路33が内周面32に沿って螺旋状に設けられている。
【0028】
ボウル31の下方には、ボウル31に対して振動を加える振動部36が設けられている。振動部36によりボウル31に振動が加えられると、底部に置かれた部品Pが開口側に向って搬送路33上を移動する。螺旋状の搬送路33の出口付近には、部品Pの向きを揃えて搬送レール4に送り出す樹脂製の送出部41が取り付けられている。送出部41には、螺旋状の搬送路33に連なる直線状の搬送路42が形成されており、この直線状の搬送路42も振動部36の振動を受けて部品Pを搬送レール4に向けて移動させる。
【0029】
送出部41には、螺旋状の搬送路33の出口付近に、所定の向きの部品Pだけを通過させる振り分け部43が設けられている。また、送出部41には、搬送レール4の入口付近に、振り分け部43によって揃えられた部品Pを、ノズル21で吸着可能な姿勢に変更する落とし込み部44が設けられている。送出部41を通過した部品Pは、搬送レール4に受け渡され、実装装置1に向けて搬送される。搬送レール4は、一対の直線状の金属板からなり、部品供給装置2から実装装置1に向って僅かに下方に傾斜するように延在している。搬送レール4も、振動部36の振動を受けて部品Pを実装装置1に向けて搬送する。
【0030】
ここで図3及び図4を参照して、送出部について詳細に説明する。なお、以下の説明では、2つの部品供給装置が、それぞれ大型の部品、小型の部品を実装装置に供給するものとして説明する。図3は、本実施の形態に係る部品の斜視図である。図4は、本実施の形態に係る部品供給装置の一部の斜視図である。なお、図3Aは大型の部品の斜視図、図3Bは小型の部品の斜視図をそれぞれ示す。また、図4Aは大型の部品を搬送する部品供給装置の斜視図、図4Bは小型の部品を搬送する部品供給装置の斜視図をそれぞれ示す。
【0031】
図3Aに示すように、大型の部品Paは、X軸方向を長さ寸法X、Y軸方向を幅寸法Y、Z軸方向を高さ寸法Zとすると、X>Z>Yとなる直方体形状の部品本体71aを有している。部品本体71aには、基板Wに実装される実装面72aから外方に向って突出する複数のリード73aが設けられている。実装面72aには、X軸方向に並んだ4つのリード73aと5つのリード73aとが2列に配置されている。部品Paは、基板Wに形成された装着孔にリード73aを差し込むことで、基板Wに取り付けられる。
【0032】
図3Bに示すように、小型の部品Pbは、X軸方向を長さ寸法X、Y軸方向を幅寸法Y、Z軸方向を高さ寸法Zとすると、X>Z>Yとなる直方体形状の部品本体71bを有している。部品本体71bには、基板Wに実装される実装面72bから外方に向って突出する複数のリード73bが設けられている。実装面72bには、X軸方向に並んだ3つのリード73bが1列に配置されている。また、部品本体71bには、中央のリード73bを外部に露出させるように凹部75bが形成されている。部品Pbは、基板Wに形成された装着孔にリード73bを差し込むことで、基板Wに取り付けられる。
【0033】
図4Aに示すように、部品供給装置2aのボウル31aには、周壁部34aに沿って螺旋状の搬送路33aが形成されている。すなわち、搬送路33aは、搬送幅方向の一端側が周壁部34aによって囲われ、搬送方向の他端側がボウル31a内に向けて開放されている。この搬送路33a上は、周壁部34aに沿って様々な姿勢で部品Paが搬送される。例えば、部品Paは、部品本体71aの長さ方向(X軸方向)を縦に向けた起立姿勢、部品本体71aの幅方向(Y軸方向)を縦に向けた横向き姿勢、部品本体71aの高さ方向(Z軸方向)を縦に向けた縦向き姿勢で搬送される。なお、起立姿勢及び横向き姿勢では、リード73aが横に向けられており、縦向き姿勢では、リード73aが縦に向けられている。
【0034】
送出部41aは、ボウル31aの搬送路33aの出口付近に設けられており、ボウル31の螺旋状の搬送路33aと搬送レール4aとを連ねる搬送路42aを有している。搬送路42aの搬送幅方向の一端側には、ボウル31aの周壁部34aに連なる外壁部45aが形成されている。搬送路42aの搬送幅方向の他端側は、ボウル31aに向けて開放されている。送出部41aには、螺旋状の搬送路33aから様々な姿勢で入ってくる部品Paを選別する振り分け部43aが設けられている。
【0035】
振り分け部43aは、所定の姿勢で搬送された部品Paだけを通過させるものであり、搬送路42a上に設けられた金属製のガイド部51a(第1のガイド部)と、搬送路42aに形成された面取部52a(幅縮小部)とを有している。ガイド部51aは、外壁部45aに取り付けた取付板53aに設けられており、取付板53aから前方に延びる帯板を折り返すことで形成される。ガイド部51aは、搬送路42aの上方を搬送方向上流側から下流側に向けて斜めに横切るように延在している。
【0036】
この場合、ガイド部51aの下端は、搬送路42aの路面から部品Paの幅寸法Yよりも僅かに高い位置を横切っている。よって、横向き姿勢の部品Paは、ガイド部51aの下方を通過し、起立姿勢及び縦向き姿勢の部品Paは、ガイド部51aに通過が規制される。起立姿勢及び縦向き姿勢の部品Paは、ガイド部51aの延在方向に沿ってガイドされ、搬送路42aから脱落してボウル31a内に戻される(図5参照)。このように、ガイド部51aは、横向き姿勢の部品Paだけを通過させる。
【0037】
面取部52aは、ガイド部51aの下方において、搬送路42aの搬送幅方向の他端側に部品Paの長さ寸法Xよりも僅かに長い範囲で形成されている。面取部52aは、搬送路42aの搬送幅を狭くすることで、横向き姿勢の部品Paのうちリード73aをボウル31aの内側に向けた基本姿勢(図5Aの部品Pa2参照)の部品Paだけを通過させる。横向き姿勢の部品Paのうち、リード73aを外壁部45a側に向けた逆向き姿勢の部品Paは、重心が面取部52a側に寄ることで、搬送路42aから脱落してボウル31a内に戻される。このように、面取部52aは、横向き姿勢の部品Paうち基本姿勢の部品Paだけを通過させる。
【0038】
なお、横向き姿勢の部品Paのうち、リード73aを搬送方向に向けた部品Paは、搬送路33aの搬送幅に対して長さ寸法Xが十分に大きいため、送出部41aに入る前に搬送路33aから脱落してボウル31内に戻される。このような構成により、振り分け部43aを通過する部品Paの姿勢が、一様に揃えられて搬送レール4aに向けて搬送される。また送出部41には、基本姿勢の部品Paを実装ヘッド3で吸着可能な姿勢に姿勢変更して、搬送レール4aに送り出す落とし込み部44aが形成されている。
【0039】
落とし込み部44aは、搬送路42aの搬送幅を狭めるように設けた窪み54aによって、外壁部45に沿って搬送される部品Paを自重により搬送幅方向に横転させるように形成されている。このとき、基本姿勢の部品Paは、ボウル31aの内側に向けたリード73aから窪み54a内に落とし込まれ、リード73aを下方に向けた縦向き姿勢に姿勢変更される(図7参照)。姿勢変更された部品Paは、搬送レール4aに向けて実装装置1に搬送される。このときの部品Paの姿勢は、基板Wに対して上方から部品Paを取り付ける実装ヘッド3に対して適切な姿勢となっている。
【0040】
図4Bに示すように、部品供給装置2bは、小型の部品Pbを面取部52bに向けてガイドする金属製のガイド部55b(第2のガイド部)を有する点についてのみ、部品供給装置2aと相違する。したがって、部品供給装置2aと同様な構成については極力説明を省略して、ガイド部55bについてのみ詳細に説明する。この部品供給装置2bでは、螺旋状の搬送路33bの搬送幅に対して部品Pbの長さ寸法Xが十分に大きくないため、横向き姿勢の部品Pbのうちリード73bを搬送方向に向けた部品Pb(図5Bの部品Pb5参照)も脱落することなく送出部41bに入ってくる。
【0041】
この向きで搬送された部品Pbは、横向き姿勢で搬送されるため、帯板状のガイド部51bの下方を通過する。また、面取部52bによって狭められた搬送路42b上においても、部品Pbの重心が搬送路42b上に位置しているため面取部52bから部品Pbが脱落し難い。そこで、送出部41bは、ガイド部55bにより部品Pbを面取部52bに向けてガイドすることで、横向き姿勢の部品の中でリード73bを搬送方向に向けた部品Pbを搬送路33bから外すようにしている。
【0042】
ガイド部55bは、外壁部45bに固定されたガード56bに取り付けられており、断面視アーチ状に形成されている。ガイド部55bは、外壁部45b側からボウル31b内側に向けて搬送路42bを跨ぐように設置されており、ボウル31bの内側に向う先端部が面取部52bの上方に位置している。ガイド部51bの先端部は、部品Pbを面取部52bに向けてガイド可能ように楔状に形成されている。この場合、ガイド部51bの先端部は、基本姿勢で搬送された部品Pbに対しては、ボウル31b内側に向けたリード73bを避け、基本姿勢以外で搬送された部品Pbに対しては部品本体71bに当接するように形成されている(図6参照)。このようにして、振り分け部43bを通過する部品Pbが、一様の姿勢に揃えられて搬送レール4bに向けて搬送される。
【0043】
図5を参照して、振り分け部によって部品が振り分けられる様子について説明する。図5は、本実施の形態に係る振り分け部によって部品が振り分けられる様子を示す図である。なお、図5Aは大型の部品が振り分けられる様子、図5Bは小型の部品が振り分けられる様子をそれぞれ示す。
【0044】
図5Aに示すように、部品供給装置2aではボウル31aの螺旋状の搬送路33aから大型の部品Paが様々な姿勢で搬送される。ここでは、先頭の部品Pa1が縦向き姿勢、2番目の部品Pa2が横向きの基本姿勢、3番目の部品Pa3が基本姿勢の逆向き姿勢、4番目の部品Pa4が起立姿勢でそれぞれ搬送される。縦向き姿勢の部品Pa1が送出部41aに入ると、縦に向けた部品Pa1のリード73aが帯板状のガイド部51aによってガイドされてボウル31a内に戻される。次に、基本姿勢の部品Pa2が送出部41aに入ると、横に倒したリード73a及び幅寸法Yを縦向きにした部品本体71aが帯板状のガイド部51aの下方を通過する。このとき、部品Pa2のリード73aがボウル31aの内側に向いており、部品Pa2の重心が外壁部45a側に寄っているため、部品Pa2が面取部52aを介してボウル31a内に脱落することがない。
【0045】
次に、逆向き姿勢の部品Pa3が送出部41aに入ると、横に倒したリード73a及び幅寸法Yを縦向きにした部品本体71aが帯板状のガイド部51aの下方を通過する。このとき、部品Pa3のリード73aが外壁部45a側に向いており、部品Pa3の重心が面取部52a側に寄っているため、部品Pa3が搬送路42aから脱落してボウル31a内に戻される。次に、起立姿勢の部品Pa4が送出部41aに入ると、長さ寸法Xを縦に起こした部品本体71aが帯板状のガイド部51aによってガイドされてボウル31a内に戻される。このように、基本姿勢の部品Pa2だけが落とし込み部44aに向けて搬送される。
【0046】
図5Bに示すように、部品供給装置2bではボウル31bの螺旋状の搬送路33bから小型の部品Pbが様々な姿勢で搬送される。ここでは、先頭の部品Pb1が縦向き姿勢、2番目の部品Pb2が横向きの基本姿勢、3番目の部品Pb3が基本姿勢の逆向き姿勢、4番目の部品Pb4が起立姿勢、5番目の部品Pb5が基本姿勢に対して水平方向に90度回転させた直交姿勢でそれぞれ搬送される。縦向き姿勢の部品Pb1が送出部41bに入ると、縦に向けた部品Pb1のリード73bが帯板状のガイド部51bによってガイドされてボウル31b内に戻される。
【0047】
次に、基本姿勢の部品Pb2が送出部41bに入ると、横に倒したリード73b及び幅寸法Yを縦向きにした部品本体71bが帯板状のガイド部51bの下方を通過する。このとき、部品Pb2のリード73bがボウル31b内側に向いており、部品Pb2の重心が外壁部45b側に寄ると共に、部品Pb2がアーチ状のガイド部55bにも接触しないため、部品Pb2が面取部52bを介してボウル31b内に脱落することがない(図6A及び図6B参照)。次に、逆向き姿勢の部品Pb3が送出部41bに入ると、横に倒したリード73b及び幅寸法Yを縦向きにした部品本体71bが帯板状のガイド部51bの下方を通過する。このとき、部品Pb3がアーチ状のガイド部55bの先端部によって面取部52bに向けてガイドされ、搬送路42bから脱落してボウル31b内に戻される。
【0048】
次に、起立姿勢の部品Pb4が送出部41bに入ると、長さ寸法Xを縦に起こした部品本体71bがガイド部51bによってガイドされてボウル31b内に戻される。次に、直交姿勢の部品Pb5が送出部41bに入ると、横に倒したリード73b及び幅寸法Yを縦向きにした部品本体71bがガイド部51bの下方を通過する。このとき、部品Pb5がアーチ状のガイド部55bの先端部によって面取部52bに向けてガイドされ、搬送路42bから脱落してボウル31b内に戻される(図6C及び図6D参照)。このように、小型の部品Pbが搬送される場合であっても、基本姿勢の部品Pb2だけが落とし込み部44bに向けて搬送される。
【0049】
図6を参照して、アーチ状のガイド部によって小型の部品がガイドされる様子について説明する。図6は、本実施の形態に係るアーチ状のガイド部によって部品がガイドされる様子を示す図である。なお、図6A及び図6Bが基本姿勢の部品が搬送される場合、図6C及び図6Dが直交姿勢の部品が搬送される場合をそれぞれ示す。
【0050】
図6A及び図6Bに示すように、基本姿勢で搬送された部品Pbは、リード73bをボウル31bの内側に向けており、リード73bの根元付近にガイド部55bの先端部を逃がす空間が形成されている。したがって、基本姿勢の部品Pbが搬送路42b上を搬送されても、ガイド部55bが部品Pbに接触することがない。一方、図6C及び図6Dに示すように、直交姿勢で搬送された部品Pbは、リード73bを搬送方向の前方に向けており、ガイド部55bの先端部を逃がす空間が形成されていない。したがって、直交姿勢の部品Pbが搬送路42b上を搬送されると、ガイド部55bの先端部によって部品Pbが面取部52bに向けてガイドされてボウル31b内に脱落する。このような構成により、アーチ状のガイド部55bは、基本姿勢の部品Pbだけを通過可能としている。
【0051】
図7を参照して、落とし込み部によって部品が姿勢変換される様子について説明する。図7は、本実施の形態に係る落とし込み部によって部品が姿勢変換される様子を示す図である。なお、図7Aは大型の部品が姿勢変換される様子、図7Bは比較例の落とし込み部において大型の部品が姿勢変換される様子、図7Cは小型の部品が姿勢変換される様子をそれぞれ示す。
【0052】
図7Aに示すように、落とし込み部44aは、窪み54aによって搬送路42aを狭めることにより形成されている。窪み54aは、搬送幅方向に対向する一対の斜面61a、63aによって下方に向けて幅狭に形成されている。窪み54aによって狭められた搬送路42a上を部品Paが搬送されると、搬送路42aと斜面61aとの角部分62aを支点として部品Paが矢印方向に横転する。このとき、斜面63aがリード73aの先端を底面64aに導くガイド面として機能し、部品Paをスムーズに横転させることが可能となっている。このような構成により、横向き姿勢の部品Paがリード73aを下方に向けた縦向き姿勢に姿勢変更される。
【0053】
ところで、図7Bに示すように、比較例に係る落とし込み部44cは、真下に搬送レール4cが設けられている。このため、部品Paの横転時に斜面63cと搬送レール4cとの境界部分にリード73aの先端が引っ掛ってしまうという事象が生じていた。そこで、本実施の形態に係る落とし込み部44aでは、部品Paの横転時にリード73aの先端を斜面63aにガイドさせて、部品Paの姿勢変換が確実に終了した後に搬送レール4aに送り出すようにしている。これにより、窪み54a内に部品Paが詰まることがなく、部品Paを連続的に搬送レール4aに送り出すことが可能となっている。
【0054】
なお、図7Cに示すように、小型の部品Pbは、リード73bが横一列に形成されているが、大型の部品Pbと同様にして姿勢変更される。また、本実施の形態では、リード73a、73bの先端をガイドするガイド面を斜面63a,63bで構成したが、この構成に限定されない。ガイド面は、リード73a、73bの先端をガイド可能であればよく、例えば曲面であってもよい。
【0055】
以上のような構成により、部品供給装置2から適切な姿勢で実装装置1に部品Pが搬送される。この場合、部品Pは、長さ寸法Xを搬送方向に向け、かつリード73を下方に向けた縦向き姿勢で実装装置1に搬送されるが、搬送方向における前後が反転して搬送される場合がある。そこで、実装装置1では、部品Pの方向を判別して前後反転して搬送された部品Pについては、適切な向きに戻した後に基板Wに装着するようにしている。以下、実装装置1における部品Pの方向判別処理について説明する。
【0056】
実装ヘッド3は、ノズル21によって部品供給装置2から供給された部品Pを取り出し、SWEEP計測によって位置ズレ量を補正している。SWEEP計測とは、ノズル21に吸着された部品Pを回転させながら、部品本体71に対して側方からレーザ光を照射するものである。そして、CCDラインセンサによって部品本体71の影を検知することによって、ノズル21に対する部品Pの位置や向きのズレ量(XYθ)が算出される。このズレ量に応じてノズル21のθモータの回転及び実装ヘッド移動機構12等によりズレ量が補正される。
【0057】
実装ヘッド3は、SWEEP計測により位置補正すると、レーザ光の照射高さを部品Pのリード73に合わせる。そして、部品Pのリード73にレーザ光を照射して、ONCE計測によって部品Pの前後方向を判別する。ONCE計測とは、ノズル21に吸着された部品Pのリード73にレーザ光を照射し、リード73の影の左内側の座標(左端座標)及び右内側の座標(右端座標)を取得するものである。実装ヘッド3は、リード73の作り出す影が基準座標として設定される閾値αを基準としてどのように非対象になるかで反転状態を判別する。
【0058】
ここで、図8を参照して、ONCE計測を用いた方向判別処理について詳細に説明する。図8は、本実施の形態に係る大型の部品のONCE計測の一例を示す図である。図9は、本実施の形態に係る小型の部品のONCE計測の一例を示す図である。なお、以下の説明では、実装装置の制御部に対して、正常供給時の部品の向きが90度に設定され、反転供給時の部品の向きが270度に設定されているものとする。また、図8及び図9においては、座標軸が左側から右側に向って大きくなるように設定されている。また、以下の説明ではONCE計測を用いて方向判別処理を行うが、SWEEP計測を利用して方向判別処理を行ってもよい。
【0059】
図8Aに示すように、大型の部品Paは、長さ方向(X軸方向)に沿って、複数のリード73aが2列に並んで配置されている。したがって、リード73aの並び方向からレーザ光が照射されても、リード73aが作り出す影が基準座標となる閾値αに対して対象となり、90度の向きで正常に搬送されたのか、270度の向きで反転して搬送されたのかが判別できない。よって、例えば、図8B、図8Cに示すように、方向判別角度を45度に設定することで、正常供給時と反転供給時とで閾値αを基準としてリード73aが作り出す影を非対象にしている。
【0060】
図8B及び図8Cに示すように、リード73aに対するレーザ光の照射により、リード73aによって形成される影の左内側の座標と右内側の座標が取得される。そして、左内側の座標と右内側の座標との中心座標が算出され、中心座標が閾値αに対して左右どちらにあるかによって、部品Paの向きが判別される。図8Bに示す向きの場合、影の左内側の座標Alと右内側の座標Arとの中心座標Acが閾値αよりも左側に位置し、中心座標Acの値が閾値αよりも低く設定される。一方、図8Cに示す向きの場合、影の左内側の座標Blと右内側の座標Brとの中心座標Bcが閾値αよりも右側に位置し、中心座標Bcの値が閾値αよりも高く設定される。そして、例えば図8Bに示す向きが正常供給を示す場合には、図8Cに示す部品Paが180度回転され、適切な向きに調整される。
【0061】
なお、閾値αは、予め制御部18に記憶された座標であり、例えば、α=(Ac+Bc)/2の要件を満たすものである。また、本実施の形態では、上記の方向判別処理の他に部品本体71aに対してリード73aが適切に配置されているかが判定される。例えば、閾値αを中心とした所定の誤差範囲内に中心座標Ac、Bcがある場合に、部品Paが不良品と判定されて廃棄される。これにより、例えば、リード73aが折れ曲がった不良品を製造ラインから外すことができる。なお、誤差範囲は、閾値α±誤差判定値βであり、例えば、誤差判定値β=(Ac−α)/2の要件を満たすものである。
【0062】
図9に示すように、小型の部品Pbは、長さ方向(X軸方向)に沿って、複数のリード73bが1列に並んで配置されている。この場合、リード73bの並び方向からレーザ光が照射されると、リード73bが作り出す影が正常供給時と反転供給時とで閾値αを基準として非対象となり、これに基づいて90度の向きで正常に搬送されたのか、270度の向きで反転して搬送されたのかを判別可能である。したがって、方向判別角度が0度に設定されている。図9Aに示す向きの場合、影の左内側の座標Alと右内側の座標Arとの中心座標Acが閾値αよりも左側に位置し、中心座標Acの値が閾値αよりも低く設定される。一方、図9Bに示す向きの場合、影の左内側の座標Blと右内側の座標Brとの中心座標Bcが閾値αよりも右側に位置し、中心座標Bcの値が閾値αよりも高く設定される。そして、例えば図9Aに示す向きが正常供給を示す場合には、図9Bに示す部品Pbが180度回転され、適切な向きに調整される。
【0063】
なお、閾値αは、大型部品Paの方向判別処理と同様に、予め制御部18に記憶された座標であり、例えば、α=(Ac+Bc)/2の要件を満たすものである。また、リード73bが一列の部品Pbの場合には、リード73bの影の中心座標を算出せずに、左内側の座標又は右内側の座標だけを用いて方向判別することも可能である。また、本実施の形態では、上記の方向判別処理の他に部品本体71bに対してリード73bが適切に配置されているかが判定される。例えば、閾値αを中心とした所定の誤差範囲内に中心座標Ac、Bcがある場合に、部品Pbが不良品と判定されて廃棄される。これにより、リード73bが折れ曲がった不良品を製造ラインから外すことができる。なお、誤差範囲は、閾値α±誤差判定値βであり、例えば、誤差判定値β=(Ac−α)/2の要件を満たすものである。
【0064】
本実施の形態で示す方向判別処理は、一例に過ぎず、この構成に限定されるものではない。方向判別処理は、リードの影の座標を用いて部品の反転を判別する構成であればよく、閾値α、方向判別処理の方法、レーザ光の照射位置等は適宜変更してもよい。また、誤差判定処理は、リードの影の座標を用いて部品本体に対してリードが適切に配置されているか否かを判定する構成であればよく、誤差範囲、誤差判定処理の方法等は適宜変更してもよい。
【0065】
図10を参照して、方向判別処理の流れについて説明する。図10は、本実施の形態に係る方向判別処理のフローチャートである。なお、ここでは大型の部品の方向判別処理のフローについて説明するが、小型の部品の方向判別処理のフローも同様である。なお、実装装置の制御部には、予め方向判別の有無、判別方式、閾値、誤差判定値、方向判別高さ、方向判別角度が設定されているものとする。
【0066】
図10に示すように、部品供給装置2aに部品Paが送られると、実装ヘッド3のノズル21により搬送レール4から部品Paが取り出され、基板Wに対する装着位置に向けて部品Paが搬送される。この部品Paの搬送中にST101からST109までの各処理が実施される。まず、部品Paの搬送開始時には、部品Paに対してSWEEP処理が行われる(ST101)。SWEEP処理では、部品本体71aの高さ位置にレーザ光源及びCCDラインセンサが合わせられ、部品本体71aを回転させた状態で部品本体71aに対してレーザ光が照射される。そして、部品本体71aの影からノズル21に対する部品Paの位置や向きのズレ量が算出され、ズレ量が補正される。
【0067】
次に、レーザ光源及びCCDラインセンサが方向判別高さ、すなわち部品Paのリード73aの高さに合わせられる(ST102)。次に、方向判別高さにリード73aが位置付けられた部品Paに対してONCE処理が行われる(ST103)。ONCE処理では、部品Paの向きが方向判別角度に合わせられ、方向判別角度に合わせられた部品Paのリード73aに対してレーザ光が照射される。そして、リード73aの影の左内側の座標及び右内側の座標が取得され、リード73aの影の中心座標が算出される。リード73aの影の左内側の座標及び右内側の座標が取得されると、部品Paの向きが方向判別角度から元の角度に戻される。
【0068】
次に、中心座標が誤差判定値によって規定される誤差範囲内にあるか否かが判定される(ST104)。中心座標が誤差範囲内にある場合(ST104:Yes)、リード73aが折れ曲がった等として部品Paが廃棄される(ST105)。一方、中心座標が誤差範囲外にある場合(ST104:No)、中心座標と閾値αの値が比較されて部品Paの向きが90度の向きが270度の向きかが判別される。
【0069】
ST106において、制御部18に対して正常供給時の部品Paの向きが90度に設定されている場合、中心座標が閾値αよりも小さいか否かが判定される(ST107)。中心座標が閾値αよりも小さいと判定される場合(ST107:Yes)、実装装置1に対して部品供給装置2aから部品Paが正常な向き(90度)で供給されたとして、基板Wに対する挿入動作が実施される(ST110)。一方、中心座標が閾値α以上と判定される場合(ST107:No)、実装装置1に対して部品供給装置2aから部品Paが反転した向き(270度)で供給されたとして、部品Paの向きが反転されて正常な向きに合わせられる(ST109)。正常な向きに合わせられた部品Paは、基板Wに対する挿入動作が実施される(ST110)。
【0070】
ST106において、制御部18に対して正常供給時の部品Paの向きが270度に設定されている場合、中心座標が閾値αよりも大きいか否かが判定される(ST108)。中心座標が閾値αよりも大きいと判定される場合(ST108:Yes)、実装装置1に対して部品供給装置2aから部品Paが正常な向き(270度)で供給されたとして、基板Wに対する挿入動作が実施される(ST110)。一方、中心座標が閾値α以下と判定される場合(ST108:No)、実装装置1に対して部品供給装置2aから部品Paが反転した向き(90度)で供給されたとして、部品Paの向きが反転されて正常な向きに合わせられる(ST109)。正常な向きに合わせられた部品Paは、基板Wに対する挿入動作が実施される(ST110)。
【0071】
このように、部品供給装置2aからの部品Paの搬送姿勢だけでなく、搬送方向における部品Paの前後の向きが正常な向きに合わせられることで、基板Wに対する部品Paの誤装着を確実に防止できる。また、実装ヘッド3による部品Paの搬送中に、部品Paの前後の向きが回転補正されることで、基板Wに対して部品Paを効率よく実装できる。なお、ST106において、例えば、大型の部品Paに対しては正常供給時の向きが90度に設定され、小型の部品Pbに対しては正常供給時の向きが270度に設定されてもよい。
【0072】
本実施の形態では、リード付きの部品について方向判別処理を行う構成としたが、リード無しの部品に対して方向判別処理を行うことも可能である。図11を参照して、リード無しの部品に対し、ONCE計測を用いた方向判別処理について説明する。図11は、本実施の形態に係るリード無し部品に対するONCE計測の一例を示す図である。なお、以下の説明では、実装装置の制御部に対して、正常供給時の部品の向きが90度に設定され、反転供給時の部品の向きが270度に設定されているものとする。また、図11においては、座標軸が左側から右側に向って大きくなるように設定されている。
【0073】
図11Aに示すように、部品Pcは、上面視において長方形の一の角部が切り欠かれて、約45度に傾斜した斜面77cが形成されている。したがって、部品Pcを45度回転させて斜面77cに対して平行にレーザ光を照射することで、正常供給時と反転供給時とで閾値αを中心として部品Pcが作り出す影を非対象にしている。図11B及び図11Cに示すように、レーザ光の照射により、部品Pcによって形成される影の左内側の座標と右内側の座標が取得される。そして、左内側の座標と右内側の座標との中心座標が算出され、中心座標が閾値αに対して左右どちらにあるかによって、部品Pcの向きが判別される。
【0074】
図11Bに示す向きの場合、影の左内側の座標Alと右内側の座標Arとの中心座標Acが閾値αよりも右側に位置し、中心座標Acの値が閾値αよりも高く設定される。一方、図11Cに示す向きの場合、影の左内側の座標Blと右内側の座標Brとの中心座標Bcが閾値αよりも左側に位置し、中心座標Bcの値が閾値αよりも低く設定される。そして、例えば図11Bに示す向きが正常供給を示す場合には、図11Cに示す部品Pが180度回転され、適切な向きに調整される。
【0075】
なお、閾値αは、予め制御部18に記憶された座標であり、例えば、α=(Ac+Bc)/2の要件を満たすものである。また、本実施の形態では、上記の方向判別処理の他に部品Pcの寸法誤差が適切な範囲内か否かが判定される。例えば、閾値αを中心とした所定の誤差範囲内に中心座標Ac、Bcがある場合に、部品Pcが不良品と判定されて廃棄される。これにより、寸法誤差が大きな不良品を製造ラインから外すことができる。なお、誤差範囲は、閾値α±誤差判定値βであり、例えば、誤差判定値β=(Ac−α)/2の要件を満たすものである。
【0076】
この部品Pの場合、リード付きの部品と略同様な流れで方向判別処理が実施されるが、図10に示すフローチャートにおいては、方向判別高さを調整する処理(ST102)が省略される。このように、本実施の形態に係る実装装置1では、リード無しの部品Pcであっても、ONCE計測時において正常供給時と反転供給時とで部品Pcが形成する影に差異があれば、方向判別処理を実施可能である。
【0077】
以上のように、本実施の形態に係る部品供給装置2によれば、部品Pが異形部品やコネクタ等の電子部品であっても、振り分け部43によって所定の姿勢の部品Pだけが選別され、落とし込み部44によって実装ヘッド3が取り出し可能な姿勢に変換される。よって、部品Pがリード73を下方に向けて実装装置1に供給されるため、実装装置1側において部品Pを姿勢変更する必要がなく、水平に載置された基板Wに対して部品Pを装着する実装装置1に対して部品Pを適切な姿勢で供給できる。
【0078】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0079】
例えば、上記した実施の形態において、帯板状のガイド部と面取部とにより部品を振り分ける構成としたが、この構成に限定されない。振り分け部は所定の姿勢の部品だけを通過させる構成であればよい。また、振り分け部は横向き姿勢の部品だけを通過させる構成としたが、縦向き姿勢の部品だけを通過させる構成としてもよい。
【0080】
また、上記した実施の形態において、部品が振り分け部と落とし込み部によってリードを下方に向けた縦向き姿勢で実装装置に供給される構成としたが、この構成に限定されない。実装ノズルが、リードを側方に向けた横向き部品に対応していれば、部品は横向き姿勢の状態で実装装置に供給されてもよい。
【0081】
また、上記した実施の形態においては、部品供給装置がリード付きの部品を実装装置に供給する構成としたが、この構成に限定されない。部品供給装置は、振り分け部及び落とし込み部によって、リード無しの部品を適切な姿勢に揃えて実装装置に供給することも可能である。
【0082】
また、上記した実施の形態において、第1のガイド部として帯状の板材を搬送路の上方を横切るように延在させたが、この構成に限定されない。第1のガイド部は、所定の姿勢の部品だけを通過させる構成であれば、どのように構成さていてもよい。
【0083】
また、上記した実施の形態において、第2のガイド部としてアーチ状の板材を搬送路を跨ぐように配置したが、この構成に限定されない。第2のガイド部は、基本姿勢以外の部品に当接して搬送路から落下させる構成であればよい。
【0084】
また、上記した実施の形態において、幅縮小部としての面取部によって搬送路の搬送幅が狭められたが、この構成に限定されない。幅縮小部は、搬送路の搬送幅を縮小する構成であればよく、例えば、切欠きによって搬送幅を縮小してもよい。
【0085】
また、上記した実施の形態においては、電子部品が基板に実装される構成としたが、この構成に限定されるものではない。電子部品は、基板以外の基材に実装される構成としてもよい。
【0086】
また、上記した実施の形態においては、部品供給装置としてボウルフィードを例示して説明したが、この構成に限定されない。例えば、振り分け部、落とし込み部や方向判別処理等をバルクフィーダ等に適用することが可能である。
【0087】
また、上記した実施の形態においては、ONCE計測を用いて方向判別処理を行う構成としたが、この構成に限定されない。部品の搬送方向における前後の反転を判別可能であればよく、例えば、SWEEP計測を用いて方向判別処理を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、本発明は、異形部品やリードの付いたコネクタ等の部品を、実装装置に対して所望な姿勢で供給することができるという効果を有し、特に、基板に対して電子部品を実装する実装装置にリード付きのラジアル部品を供給する部品供給装置に有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 実装装置
2 部品供給装置
3 実装ヘッド
4 搬送レール
18 制御部(判別部)
21 ノズル
22 レーザユニット
31 ボウル(収容容器)
41 送出部
42 搬送路
43 振り分け部
44 落とし込み部
51 ガイド部(第1のガイド部)
52 面取部(幅縮小部)
55 ガイド部(第2のガイド部)
63 斜面(ガイド面)
71 部品本体
72 実装面
73 リード
P 部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基材に対して実装する実装装置に前記部品を振動によって整列供給する部品供給装置であって、
前記部品の搬送路上において、前記基材に対する実装面を一方向に向けた所定の姿勢の部品を通過させ、前記所定の姿勢以外の部品を前記搬送路から外す振り分け部と、
前記振り分け部において揃えられた部品の姿勢を、前記搬送路に設けた窪みによって前記実装装置に取り出される姿勢に姿勢変更する落とし込み部とを備えたことを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記振り分け部は、前記実装面を一側方に向けた部品を通過させ、
前記落とし込み部は、前記窪みによって、前記振り分け部を通過した部品の姿勢を前記実装面が下方に向くように姿勢変更することを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記搬送路の上流側において前記部品を収容する収容容器を備え、
前記振り分け部において前記搬送路から外された部品が前記収容容器に戻されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記部品は、直方体形状の部品本体の実装面からリードが外方に突出しており、
前記リードが縦に向くように前記部品本体を起こした縦向き姿勢よりも、前記リードが横に向くように前記部品本体を倒した横向き姿勢において、前記部品の高さが低いことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記振り分け部は、前記搬送路上において前記横向き姿勢の部品の上方を横切り、前記縦向き姿勢の部品を前記搬送路外に向けてガイドする第1のガイド部を有することを特徴とする請求項4に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記搬送路は、搬送幅方向の片側が開放されており、
前記振り分け部は、前記搬送路の搬送幅を狭める幅縮小部を有し、
前記幅縮小部によって狭められた搬送路は、前記横向き姿勢の部品の中で、前記搬送路の開放側に前記リードを向けた基本姿勢の部品を通過させ、前記基本姿勢以外の部品を前記搬送路の片側から脱落させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の部品供給装置。
【請求項7】
前記振り分け部は、前記搬送路の幅狭部分の片側において前記基本姿勢以外の部品に当接して、当該部品を前記幅縮小部に向けてガイドする第2のガイド部を有し、
前記第2のガイド部は、前記基本姿勢の部品に対しては当接しないことを特徴とする請求項6に記載の部品供給装置。
【請求項8】
前記落とし込み部の窪みは、前記搬送路の搬送幅を狭めて、前記横向き姿勢の部品を自重により横転させるように形成されており、
前記横向き姿勢の部品は、前記窪みに落し込まれることで、前記リードを下方に向けた前記縦向き姿勢に姿勢変更されることを特徴とする請求項4から請求項7のいずれかに記載の部品供給装置。
【請求項9】
前記窪みには、前記横向き姿勢の部品の姿勢変更時に、横向きの前記リードを下向きとなるように前記リードの先端をガイドするガイド面が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の部品供給装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかの部品供給装置によって搬送された前記部品が搬送方向において前後反転しているか否かを判別する判別部を備えたことを特徴とする実装装置。
【請求項11】
前記判別部は、前記部品供給装置から前記部品を取り出し、前記部品を前記基材に実装する実装ヘッドに設けられており、
前記判別部は、前記実装ヘッドが部品の取り出しから実装までの間に前記部品の前後反転を判別することを特徴とする請求項10に記載の実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−222245(P2012−222245A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88533(P2011−88533)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】