説明

部品固定構造

【課題】接点バネを用いて太陽電池と回路基板の導通を取る構造は、太陽電池が先に組まれた状態で接点バネを組むと、接点バネを太陽電池に当て込みながら接点バネの位置決め用突起部に接点バネの固定部を入れ込むことになるため、組み難く、接点バネによって太陽電池を傷付けてしまう可能性があった。
【解決手段】部品を搭載する搭載面に部品の位置決め用突起を有する基台と、突起に係合して案内される開口部を形成した基部を有するとともに、搭載面の近辺に配設した他部品に作用する作用部とを有する作用部品とを有しており、作用部品の開口部を位置決め用突起の突出方向に対して正対させずに斜めに傾いた状態で係合させることにより、作用部が他部品に作用せずに組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の部材に弾性接触するバネ部材などの組込み構造に関する発明であって、例えば、太陽電池時計のソーラーセルと回路基板の電気接続に使用する接点バネや、時計の歯車の位置を規制する躍制部材などに最適な構造である。
【背景技術】
【0002】
従来から太陽電池時計のソーラーセルと回路基板を電気接続する構造としては2つの構造があった。一つは接点バネを使用する構造であり、もう一つは可撓性の接続部材を使用する構造であった。
文字板と、時計駆動部と、発電面に出力端子を有し、時計駆動部の動力源となる電力を発生させる太陽電池と、太陽電池の出力端子と回路基板を導通させる為の接点バネと、太陽電池の発電面が文字板表面に向きながら、文字板の外周部に環状に配置された時計は従来から特許文献1に提案されている。
また、接点バネではなく、太陽電池の出力端子に可撓性の接続部材を熱圧着し、それを時計駆動部の回路基板へ接続させる構造が特許文献2に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−130974号公報
【特許文献2】WO2004/066042
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の図1のような構造とすることにより、接点バネを使用してリング状に太陽電池を配置した太陽電池時計を作ることが可能である。
しかしながら、特許文献1の構造は以下のような問題点を有する。
接点バネを用いて太陽電池と回路基板の導通を取る構造は、太陽電池が先に組まれた状態で接点バネを組むと、接点バネを太陽電池に当て込みながら接点バネの位置決め用突起部に接点バネの固定部を入れ込むことになるため、組み難く、接点バネによって太陽電池を傷付けてしまう可能性があった。
また逆に、接点バネを先に組まれた状態で、太陽電池を後から組み込む場合は、接点バネの接点部が太陽電池に接触しないように手で撓ませながら太陽電池をリング状に組む必要があったため、大変組み難かった。即ち、接点バネ構造は、組立作業性に問題があった。一方、特許文献2の図1にあるような太陽電池の出力端子に可撓性の接続部材を熱圧着した部品構成で、特許文献2の図6にある構造とした場合は、特許文献1の構造よりも組立作業性が改善される。
しかしながら、特許文献2の構造は以下のような問題点を有する。
太陽電池に可撓性の接続部材を熱圧着し、それを時計駆動部の回路基板へ接続させる構造は、回路基板と太陽電池を接続部材で直接繋げている関係上、FPC基板のような可撓性のあるフレキシブルな接続部材ではないと成り立たなくなる。
この場合、接続部材単体のコストが高くなってしまい、更に太陽電池と接続部材の熱圧着工程が入るため、太陽電池回りのコストが上がってしまう。
また、接続部材を回路基板にネジなどで接続固定させる構造は、ネジの緩みによって接点バネの様に安定した接点圧が取れないことがあるため、電気的接点が安定しない問題があり、構造上工夫する必要があった。
本発明は、上記のような太陽電池時計において、コストと安定した接点を確保するため、接点バネで導通させるような構造を採用したとき、先に組んだ太陽電池を傷付けることが無く、後から容易に接点バネを組むことが出来る構造を提供する。
また、歯車に対する側圧バネの構造や躍制バネの構造でも同様な構造を用いることで、側圧バネの構造や躍制バネの構造でも組立作業性の効率アップを図ることを目的としている

【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、部品を搭載し、位置決め用突起を有する基台と、
前記突起の近辺に配設した他部品と
前記突起に係合する開口部を形成した基部と、この基部から延長して形成され、前記他部品に弾力的に作用する作用部と、を有する作用部品と、
前記作用部品を前記基台に固定する固定部材と、
を有する部品固定構造であって、
前記作用部品は、前記開口部を前記突起に係合させた状態から、前記固定部材により前記基台に固定されると、前記作用部品が前記他部品に圧接するように前記作用部が形成されていることを特徴とする部品固定構造。
【発明の効果】
【0006】
本発明を実施することにより、以下の様な効果を得ることが出来る。
作用部品の開口部を位置決め用突起の突出方向に対して正対させずに斜めに傾いた状態で係合させたときは、作用部が他部品に作用せずに組み込まれるから、組込性の問題が解消され、接点バネのような構造でも容易に組むことが可能となる。
また、作用部品が他部品に作用しないまま、斜めに傾いた状態で維持できるため、片方の腕を、作用部の反力で作用部品が外れないように押える必要が無く、両腕が自由に作業出来るようになるため、作業効率の向上に繋げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例1である太陽電池を文字板の外周に環状に配置した時計の要部断面図である。
【図2a】実施例1の時計を裏蓋側から見た平面図である。
【図2b】実施例1の太陽電池の電極部と時計駆動部の回路基板を繋げている接点部を拡大した平面図である。
【図2c】実施例1の接点バネの位置決め穴と基台の位置決め突起の関係を示した要部断面図である。
【図3】実施例1の時計を文字板側から見た平面図である。
【図4】実施例1の接点バネと太陽電池の接続構造を示した要部外観図である。
【図5】実施例1の太陽電池の形状を図示した平面図である。
【図6a】実施例1の接点バネを示した平面図である。
【図6b】実施例1の接点バネを示した断面図である。
【図7】実施例1の時計に接点バネを組み込む前の状態を示した要部断面図である。
【図8】実施例1の接点バネの組込み手順を示した要部断面図である。
【図9】実施例1の接点バネの組込み手順を示した要部断面図である。
【図10】実施例1の接点バネの組込み手順を示した要部断面図である。
【図11a】実施例2の時計を裏蓋側から見た平面図である。
【図11b】実施例2の太陽電池の電極部と時計駆動部の回路基板を繋げている接点部を拡大した平面図である。
【図11c】実施例2の接点バネの位置決め穴と基台の位置決め突起の関係を示した要部断面図である。
【図12】実施例2の接点バネ関係の部品の組み込みが完了した要部断面図である。
【図13】実施例2である太陽電池を文字板の外周に環状に配置した時計の要部断面図である。
【図14a】実施例1又は実施例2の変形例の、位置決め穴1−2での状態を示した平面図である。
【図14b】実施例1又は実施例2の変形例の、位置決め穴2−3での状態を示した平面図である。
【図15a】実施例3の作動車と側圧バネが組まれた状態を示した平面図である。
【図15b】実施例3の側圧バネの位置決め穴と基台の位置決め突起の関係と側圧バネの側圧部と作動車の関係を示した要部断面図である。
【図16a】実施例3の側圧バネが途中まで組まれた状態を示した平面図である。
【図16b】実施例3の側圧バネが途中まで組まれた時の側圧バネの位置決め穴と基台の位置決め突起の関係と側圧バネの側圧部と作動車の関係を示した要部断面図である。
【図17a】実施例4である、充電式時計の平面図である。
【図17b】実施例4である、二次電池と接点バネを拡大した平面図である。
【図17c】実施例4である、二次電池と接続バネの構造を示した要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の各実施例を説明する。
【実施例】
【0009】
〔実施例1〕
まず、本実施例における、太陽電池を文字板の外周に環状に配置した時計の全体配置の概要を、図1〜図5を用いて説明する。
図1において、10は時計のベースとなり、各構成部品を組み込むための地板、20は時計駆動部を構成する回路基板、40は時計の動力の元となる電力を発電する太陽電池であり、本発明の他部品に相当する。50は回路基板20と太陽電池40とを導通させる接点バネであり、本発明の作用部品に相当する。30は接点バネ50を搭載する基台、60は回路基板20と接点バネ50を押える接点バネ押さえ、70は接点バネ50と、その接点バネ50を押さえる接点バネ押さえ60とをショートさせないために両者の間に入れる絶縁シート、80は接点バネ押さえ60を基台30に固定するための接点バネ押さえねじ、90は太陽電池40を環状に搭載するための太陽電池用基台であり、実施例1では時計ムーブメントを外装ケースに保持する中枠として兼用されている。100は時計の文字板、110はスペーサ、120は太陽電池を見え難くするとともに、太陽光などの光を太陽電池40に導くための透明リング、130はこれら部材を搭載した時計ムーブメント、140はこれら部材を搭載した時計ムーブメント130を収納する外装ケース、150は時計ムーブメント130が収納した外装ケース140から落ちないように蓋をする裏蓋である。
図1に示したように、地板10の一方の面側にはスペーサ110が配置され、スペーサ110の上に文字板100が搭載されている。また地板10には太陽電池用基台90が係合しており、文字板100の一部が太陽電池用基台90の上にも搭載している。透明リング120は文字板100と太陽電池用基台90に搭載されて配置されている。地板10の他方の面側にはプラスチック製の基台30が配置されており、この基台30に回路基板20と接点バネ50が配置固定されている。
接点バネ50はその一方が回路基板20の所定の電極パターンに圧接して固定さており、他方は時計ムーブメン130の側面に沿うように地板10側に曲げられている。そしてその先端側は、文字板100の外周に沿って環状に配置されるように太陽電池用基台90に搭載された太陽電池40の出力端子41に圧接している。
太陽電池40は図5に示すように、展開すると細長いほぼ四角形であって、図中長辺方向の左端(A端)は短辺方向に少し突出するようにL字型に曲がっており、この部分に太陽電池40の電力を出力するための電極部41が設けられている。図中右側(B端)から左側(A端)にかけて発電面42が設けられている。そして図5に示したように発電面42が内側を向くようにリング状に曲げられ、図2に示したように太陽電池用基台90に搭載されることで、文字板10の外周に配置されている。
図2aは実施例1の時計のムーブメント全体を裏蓋側から見た平面図であり、裏蓋150を外した状態で示してある。時刻表示を見たとき6時位置に接点バネ50と接点を取る太
陽電池40電極部41が配置されるようにしてある。
図2bは実施例1の太陽電池40の電極部41と回路基板20を繋げている接点バネ50を拡大した平面図である。図2cは実施例1の接点バネ50の位置決め穴52aと基台30の位置決め突起32の関係を示した要部断面図である。
図2b、図2cに示したように、接点バネ50は基台30の位置決め突起部32に係合している。
接点バネ50単体での構造を図6に示す。図6aは接点バネ50を示す平面図、図6bは接点バネ50の断面図である。図6a、bにおいて、接点バネ50は基部51を有し、その基部51に位置決め穴52a,52bが形成されており、位置決め穴52b側の端部に回路基板20と接触する回路接点部56が形成されており、さらに反対側には、図1における基台30の搭載面31から基台30の側面に沿って折り曲げられた弾性部53を有し、その弾性部53の先端には、太陽電池40の電極部41と接触する接点部54を有し、太陽電池40が発電した電力を時計ムーブメントの回路基板20に導通させている。穴の大きさは位置決め突起径32よりも大きく設定されている。この場合、太陽電池40の電極部41は、位置決め突起径32の近辺に配置される。
接点バネ50の2つの位置決め穴52a,52bは、時計の外形サイズに合わせて2つ設けてあり、外形が小さい場合は位置決め穴52aを利用し、外形が大きい場合は位置決め穴52bを利用するようになっている。
接点バネ50の位置決め穴52a、52bの形状は、本実施例のような丸穴だけでなく、角穴、楕円穴、長穴、切り欠き形状等の開口部でも良い。丸穴は他の形状の穴に比べ、部品の精度が出しやすいため、本実施例で丸穴を採用している。また、位置決め穴を1箇所にしか設けない場合は、その部品の位置がズレないように、図2bに示す規制突起部33a,33bのような突起物を搭載面31に設けることが望ましい。
図3は文字板側の構造を示した平面図、図4は太陽電池と接点バネの関係を簡易的に示した要部外観図である。太陽電池40はA端側が記載されているが、B端側は記載を省略している。図3、図4において、図3で示すように、太陽電池40が文字板100側に組み込めるように、太陽電池用基台90に太陽電池組み込み用溝91が配置され、太陽電池40は図5に示すように、L型の形状にして、図4で示すように電極部41を裏蓋側に出し、接点バネ50と導通が取り易いように構成する。
次に実施例1における接点バネ50の組込み手順を説明する。
図7〜図10は接点バネの組込み手順を示した実施例1の時計の要部断面図である。図7から図10は、図中上が裏蓋側がであり、図中下が時刻表示部側になっている。
接点バネ50が組まれる前の時計の状態を断面図で図7に示す。
接点バネ50よりも先に、地板10と、時計駆動部の回路基板20と、基台30と、太陽電池基台90と、太陽電池40と、スペーサ110と、時計の文字板100と、透明リング120とを組まれた状態にする。
次に接点バネ50が組まれる過程を図8、図9に示す。
図示しているように、接点バネ50が有する位置決め穴52a、つまり基部51を基台30が有する位置決め突起部32の突出方向に対して正対させず斜めに傾けた状態のまま係合させながら組み込む。こうすることにより、太陽電池40の電極部41に接点バネ50の接点部54を作用させることなく、組むことが可能となる。この場合の作用させないという意味は、接点バネ50の接点部54が太陽電池40の電極部41に軽く接触するか、または接触しないで離間した状態であって、確実な接触でない状態を意味している。
この際、接点バネ50の位置決め穴52a(52b)の穴径は図2cのように、基台30の位置決め突起部32の径よりも少し大きくすることで、斜めに組み込まれた際に、基台30の突起部32が接点バネ50の位置決め穴52a(52b)の穴縁部55a(55b)に引っ掛らないようにすることが重要である。
前述のように接点バネ50を組込む際には、接点バネ50の接点部54が太陽電池40の電極部41に対して軽く当接して組まれても、または離間して組まれても、太陽電池40の電極部41に接点バネ50の接点圧が掛からなければ、組み込み作業性の効果に差異は
ない。
接点バネ50はその重心の位置を工夫することにより組み込みをより容易にすることができる。例えば接点バネ50の重心が基部51側にあった場合は、接点バネ50を基台30の搭載面31の縁34に到達した位置(図9)まで組むと、基台30の搭載面31の縁34を支点とし、接点バネ50の弾性部53に設けられた接点部54が、太陽電池40(本発明の電気部品に相当する)の電極部41に軽く当接して、傾いた状態を維持することが可能となる。つまり接点バネ50の接点部54が太陽電池40の電極部41の近くに位置するまでは接点バネ50の基部51を斜めに傾けて組み込む必要がある。但し、接点バネ50の接点部54に接触したあとは、基部51が自重で基台30の搭載面31に対して水平にもどろうとするので、後での固定がしやすいという効果がある。
一方、弾性部53と接点部54側に重心がある場合は、基台30の搭載面31の縁34を支点とし、接点バネ50の位置決め穴52a(52b)の穴縁部55a(55b)が基台30の位置決め突起部32の側面に引っ掛り、基部51が傾いて弾性部53の接点部54は太陽電池40の電極部41から離れる方向に移動しやすいので、基台30の位置決め突起部32に基部51の位置決め穴52a(52b)が自然と斜めに傾斜して入れやすくなり、組込みしやすくなる。
このように接点バネ50の重心がどちらに有っても、それぞれ作業性に有利な効果があるので、接点バネ50の重心の位置は適宜選択して使用することができる。
次に接点バネ50の組み込み完了後を図10に示す。接点バネ50が図9の位置まで組まれた後、接点バネ50と接点バネ押さえ60とをショートさせない為の絶縁シート70を組み、次にそれらを押さえる為の接点バネ押さえ60を組み、更にこれらを固定させるために、接点バネ押さえねじ80を組む。
これにより、斜めに傾いていた接点バネ50の基部51が基台30の搭載面31と正対する形となるため、太陽電池40の電極部41に作用していなかった接点バネ50の接点部54が電極部41に圧接して弾力的に作用することになり、太陽電池40から出力される電力を接点バネ50に導通することができる。
また、接点バネ50の回路接点部56も時計駆動部の回路基板20と圧接するため、接点バネ50に導通した太陽電池40から出力された電力を時計駆動部の回路基板20に伝えることが可能となる。
そしてこの時計ムーブメント130を外装ケース140に入れると図1の完成時計となる。
ムーブの径が大きい場合の実施例
〔実施例2〕
次に本発明の実施例2を説明する。図11aは実施例2の時計を裏蓋側から見た平面図、図11bは太陽電池の電極部と時計駆動部の回路基板を繋げている接点部を拡大した平面図、図11cは接点バネの位置決め穴と基台の位置決め突起の関係を示した要部断面図である。図12は実施例1の接点バネ関係の部品の組み込みが完了した要断面図で、図13は図12の時計ムーブメントを外装ケースに入れて完成時計にしたものを示す要部断面図である。
実施例2の時計は、実施例1の時計よりも時刻表示面積が広くなって、環状に配置された太陽電池40の配置位置が実施例1の場合よりも時計ムーブメント130からさらに外側に配置された構造になっている。
そのため、接点バネ50は位置決め穴52bを位置決め突起部32に係合させることにより、接点部54の位置を実施例1のときよりも外側に移動させている。位置決め穴52bは位置決め穴52aより奥側にあるので、接点バネ50の接点部54がさらに外側へ移動するので、太陽電池40の電極部41と接触させることができる。
これにより、外側へ移動した太陽電池40の電極部41と圧接できるようになっている。なお、接点バネ50の組み立て手順などは実施例1と同様なので省略する。
〔変形例〕
上記実施例1、2では、基台30の位置決め突起部32が1つの接点バネ50に対し、1
箇所しか設けていないが、図14a,図14bのように、1つの接点バネに2箇所以上の位置決め突起部32a,32bを係合させて位置決めさせることも可能である。
また、位置決め穴を2箇所設ける場合は、図14a,図14bの様に、位置決め穴52を3つ(52a〜52c)用意する事で、図14aの位置決め穴52a、位置決め穴52b、図14bの位置決め穴52b、位置決め穴52cの組合せで、位置決め穴が1つの物と同様に使用出来る。
〔実施例3〕
次に本発明の実施例3を図15aから図16bに基づいて説明する。
図15aは時計の歯車のバックラッシを詰めるために、歯車の一つに一定の負荷を与える側圧バネ機構を示した平面図であり、側圧バネが側圧を受ける対象の作動車に掛かっている状態を示した平面図である。図15bは図15aの断面図である。図16a側圧バネを組込む手順を示した平面図、図16bはその断面図である。
図15a、図15bにおいて、230は各構成部品を組み込むための基台、220は図示していない指針や円板が取り付けられる表示車、240は表示車220を作動させる作動車、250は作動車240のバックラッシ詰めを行うための側圧バネ、260は側圧バネ250を押さえる側圧バネ押さえで構成される。本実施例では、側圧バネ250が本発明の作用部品に相当し、作動車240が他の部品に相当する。
側圧バネ250は基部251を有し、その基部251には2つの位置決め穴252aと位置決め異形穴252bが設けられている。さらに基部251からは、下方向に折り曲げられ、平面方向に弾性を有する弾性部253を有し、その弾性部253の先端には、作動車240を側圧する側圧部254を有している。
基台230は側圧バネ250の基部251を搭載する搭載面231を有し、その搭載面231には位置決め突起232a,232bと、搭載面231に側圧バネ250が組まれたときに側圧バネ250の基部251の平面方向を規制する規制突起部233a〜233dを有している。さらに搭載面231から一段下がった位置には、側圧バネ250から側圧を受ける作動車240を搭載する作動車搭載面234を有し、その作動車搭載面234には作動車240用の回転軸235を有している。この場合、作動車240は位置決め突起232a,232bの近辺に配置されている。
なお、側圧バネ250の位置決め穴252は本実施例の様な丸穴や異形状穴だけでなく、角穴,楕円穴,長穴,切り欠き形状等でもよい。
側圧バネ250の組込み手順は、前述した実施例1の接点バネとほぼ同じだが、簡単に説明する。図16a、図16bにおいて、基台230に対して先に表示車220と作動車240とを組込みその後で側圧バネ250を組込む。
この際に、側圧バネ250を有する位置決め穴252aと位置決め異形穴252bとを基台230が有する位置決め突起部232a,232bの突出方向に対して正対させず斜めに傾けた状態のまま係合させながら組む。言い換えると、位置決め突起部232a、232bが形成された搭載面231に対して、側圧バネ250の基部251を正対させないで斜めに傾けて組み込む。傾ける方向は、作動車240の配置方向で、こうすることで作動車240の歯車部241に側圧バネ250の側圧部254を作用させることなく、組む込むことが可能となる。
この際に、側圧バネ250の位置決め穴252aと位置決め異形穴252bの穴径は、基台230の位置決め突起部232a,232bの径よりも少し大きくすることで、斜めに組み込まれた際に、基台230の位置決め突起部232a,232bが側圧バネ250の位置決め穴252aと位置決め異形穴252bの穴縁に引っ掛らないようにすることが重要である。
側圧バネ250を組込む際には、側圧バネ250の側圧部254が作動車240の歯車部241に軽く当接して組まれても、離間して組まれても、作動車240の歯車部241に側圧バネ250の側圧が十分に掛からなければ、組み込み作業性の差異は無い。
また、側圧バネ250が躍制バネの場合でも同様の効果を得ることが可能となる。
図16a、図16bの状態から、側圧バネ250を押さえる側圧バネ押さえ260を組む
ことで、図15の作動車240は、側圧バネ250の側圧部254で側圧された状態となるが、この際に、側圧バネ250の反力を基台230の規制突起部233a〜233dで受けるので、側圧バネ250の位置がずれることを防止している。これにより、側圧バネ250の側圧部254は、作動車240に弾力的に作用する。
〔実施例4〕
次に本発明の実施例4を説明する。
図17aは本発明の実施例4である充電式時計の平面図、図17bは図17aの要部平面図、図17cは図17bの要部断面図である。
図において、340は充電式時計の蓄電部である二次電池ブロック、341は二次電池ブロックの蓄電部である二次電池、342は二次電池の負極側に固定された二次電池リード板である。320は回路基板、350は回路基板320と二次電池ブロック340とを導通するための接点バネである。
充電式時計では、一般の時計利用者が誤って二次電池を一次電池に交換しても、一次電池が充電されないようにするため、二次電池の負極側に電極になる二次電池リード板342を固定して二次電池341をブロック化している。二次電池リード板342は、二次電池341の側面側に突出するように配置され、そして回路基板320側から導出されてくる接続バネ350を二次電池リード板342の端部に圧接させて導通を取っている。
通常、一次電池には二次電池リード板342に相当するものが付いていないので、こうすることにより、充電式時計に一次電池を組み込んでも、回路基板320と導通する接点バネ350と一次電池を接触させることができないようになっている。
ところが、時計の利用者によっては、わざわざ一次電池に二次電池リード板342に相当する部材を取り付けて利用しようとする場合もあるため、二次電池そのものを取り出せない構造にすることが望まれていた。しかし、時計に二次電池を先に組み込んで取り外しできない状態にしてから回路基板320側の接点バネを組み込むのは組み込みしにくいという問題があった。
そこで実施例4では充電式時計に本発明を適用して問題を解決した例を示す。実施例4では二次電池ブロック340を上面側から電池保持板360で固定している。電池保持板360は二次電池341の上面を半分以上を覆っているので、二次電池341だけを一般の利用者が取り出すのは難しい構造になっている。プラスチック製の基台330には接点バネ350を搭載するための搭載面331があり、搭載面331には接点バネ350を位置決めするための位置決め突起部332が設けられている。
接点バネ350は基台330の搭載面331に搭載される基部351と、位置決め突起部332に係合するために基部351に設けた位置決め穴352を有し、基台330の搭載面331から基台330の側面に沿って折り曲げられた弾性部353を有し、その弾性部353の先端には、二次電池リード板342に接触するための接点部354を有している。
接点バネ350の基部351に設けた位置決め穴352の径は、位置決め突起部332の径よりも大きくなっているので、前述の実施例と同様に、接点バネ350の基部351を基台330の搭載面331や位置決め突起部332の突出方向に対して正対させずに斜めに組み込むことにより、接点バネ350の接点部354を二次電池リード板342に対して軽く接触するか、または離間した状態で組み込むことが可能である。
その後で回路基板320を組み込むことにより、接点バネ350の基部351は基台330の搭載面331に正対して固定され、同時に接点部354が二次電池リード板342の端部に所定の接点圧を持って弾力的に接触する。
各実施例に示したように本発明によれば、部品の組み込みが容易になり、生産性を向上させることができた。
なお、各実施例で説明した作用部品は、他部品に作用する作用部が、基部から折り曲げて形成されているもので説明したが、本発明はその構造に限定されるものではない。例えば、実施例1の場合は、他部品である太陽電池の電極部の位置と、作用部品である接点バネの接点部とを同じ高さに設定すれば、接点バネは平板形状で形成することができるもので
ある。実施例3の場合も、他部品である作動車の歯車部の位置と、作用部品である側圧バネの側圧部とを同じ高さに設定すれば、側圧バネは平板形状で形成することができるものである。
【符号の説明】
【0010】
10 地板
20,320 回路基板
30,230,330 基台
31,231,331 搭載面
32,232,332 位置決め突起部
33,233 規制突起部
40 太陽電池
41 出力端子部
42 発電面
50,350 接点バネ
51,251,351 基部
52,252,352 位置決め穴
53,253,353 弾性部
54,354 接点部
55 穴縁部
56 回路接点部
60 接点バネ押さえ
70 絶縁シート
80 接点バネ押さえねじ
90 太陽電池用基台(中枠)
91 太陽電池組み込み用溝
100 文字板
110 スペーサ
120 透明リング
130 時計ムーブメント
140 外装ケース
150 裏蓋
220 表示車
234 作動車搭載面
235 回転軸
240 作動車
241 歯車部
250 側圧バネ
254 側圧部
260 側圧バネ押さえ
340 二次電池ブロック
341 二次電池
342 二次電池リード板
360 電池保持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を搭載し、位置決め用突起を有する基台と、
前記突起の近辺に配設した他部品と
前記突起に係合する開口部を形成した基部と、この基部から延長して形成され、前記他部品に弾力的に作用する作用部と、を有する作用部品と、
前記作用部品を前記基台に固定する固定部材と、
を有する部品固定構造であって、
前記作用部品は、前記開口部を前記突起に係合させた状態から、前記固定部材により前記基台に固定されると、前記作用部品が前記他部品に圧接するように前記作用部が形成されていることを特徴とする部品固定構造。
【請求項2】
前記作用部品の前記開口部の径は、前記位置決め用突起の径よりも大きい径を有する請求項1に記載の部品固定構造。
【請求項3】
前記他部品が接点を有する電気部品であり、前記作用部品の前記作用部は、前記搭載面の縁から前記基台の側面に沿って折り曲げ形成された弾性部と、前記弾性部の先端に設けられ、前記基台の側面と対向して配設された前記電気部品の接点に接触する接点部を有する請求項1または請求項2に記載の部品固定構造。
【請求項4】
前記他部品が歯車であり、前記作用部品の前記作用部は、前記搭載面と水平方向に延在する弾性部と、前記弾性部の先端に設けられ、前記搭載面台の近辺に配設された歯車と噛合う躍制部材である請求項1または請求項2に記載の部品固定構造。
【請求項5】
前記作用部品は、前記搭載面の縁に接触して保持されたときに前記開口部が前記位置決め用突起の突出方向に対して正対させずに斜めに傾いた状態を維持する請求項3に記載の部品固定構造。
【請求項6】
文字板と、時計駆動部と、発電面に出力端子を有し、時計駆動部の動力源となる電力を発生する前記電気部品としての太陽電池と、前記太陽電池の前記発電面が前記文字板の表面を向きながら、前記文字板の外周部に環状に配置された時計であり、
前記作用部品が前記太陽電池の出力端子と前記時計駆動部の回路基板を導通する導通部材である請求項1、2、3、5のいずれか一つに記載の部品固定構造。
【請求項7】
前記基部の前記開口部を前記搭載面に対して正対させることにより、前記作用部が前記他部品に接触して作用する請求項1〜6のいずれか一つに記載の部品固定構造。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11a】
image rotate

【図11b】
image rotate

【図11c】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14a】
image rotate

【図14b】
image rotate

【図15a】
image rotate

【図15b】
image rotate

【図16a】
image rotate

【図16b】
image rotate

【図17a】
image rotate

【図17b】
image rotate

【図17c】
image rotate