配設体固定装置
【課題】配設体固定具におけるビス孔と連結部との位置関係にかかわらず、配設体固定具に配設体を固定すること。
【解決手段】ボックス固定具10の固定片11には、固定片11の延設方向に沿って、ビス孔13が複数設定されている。また、配線ボックスBには、ビスが貫通する貫通孔BDが6つ形成されている。そして、これらの孔の位置関係を、配線ボックスBを固定片11に固定する際に、貫通孔BDのうち1つが隣り合うビス孔13間に形成された連結部17に重なる場合であっても、少なくとも2つの貫通孔BDが連結部17に重ならないような位置関係とした。
【解決手段】ボックス固定具10の固定片11には、固定片11の延設方向に沿って、ビス孔13が複数設定されている。また、配線ボックスBには、ビスが貫通する貫通孔BDが6つ形成されている。そして、これらの孔の位置関係を、配線ボックスBを固定片11に固定する際に、貫通孔BDのうち1つが隣り合うビス孔13間に形成された連結部17に重なる場合であっても、少なくとも2つの貫通孔BDが連結部17に重ならないような位置関係とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配設体と、壁を構築するため立設された造営材に取り付けられるとともに配設体が固定される配設体固定具とからなる配設体固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、壁内に配設体(例えば、配線ボックス)を固定するために、壁を構築するために立設された造営材に取り付けるための取付部と、該取付部から延設されるとともに配設体を固定するための固定片と、を備えた配設体固定具が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示された配設体固定具の固定片は、取付部が造営材に取り付けられた状態において、壁面に沿って延びる方向に延設される。また、固定片に配設体を固定するため、配設体に形成された貫通孔を貫通させたビスを強制的に螺合するためのビス孔が、配設体固定具に形成されている。また、このビス孔は、ビスが螺合されることでビス孔が開いてしまうことを防止するため、複数の連結部を設けることにより固定片の延設方向に沿って延びる長孔として断続的に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−65738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示の配設体固定具に配設体を固定する際、配設体に設けられた貫通孔と、配設体固定具に設けられたビス孔との位置を合わせたとき、ビス孔は断続的に形成されているため、貫通孔と連結部の位置が重なってしまうことがある。すると、ビスを配設体固定具のビス孔に螺合することができず、結果として、配設体固定具に配設体を固定することができない場合があった。
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、配設体固定具におけるビス孔と連結部との位置関係にかかわらず、配設体固定具に配設体を固定することができる配線ボックス固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、建築物の壁内に配設される配設体と、前記壁を構築するため立設された造営材に取り付けられるとともに前記配設体が固定される配設体固定具と、からなり、前記配設体固定具は、前記造営材に取り付けられる取付部と、該取付部から延設され前記配設体が固定される固定片を有し、前記固定片には、前記配設体を貫通するビスが螺入されるビス孔が該固定片の延設方向に沿って複数形成されるとともに、該延設方向に隣り合う前記ビス孔の間には、ビス孔の対向する端縁を連結する連結部が設けられ、前記配設体には、前記ビスが貫通する貫通孔が少なくとも3つ形成されており、前記配設体を前記固定片に固定する際に、前記貫通孔のうち1つが前記連結部に重なる場合に、他の少なくとも2つの前記貫通孔が前記連結部に重なることなく、前記ビスを前記ビス孔に螺合可能に形成されてなることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配設体固定装置において、前記ビス孔は、前記固定片の延設方向に延びる長孔で形成されてなることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の配設体固定装置において、前記ビス孔は、前記固定片の延設方向に直交する幅方向に複数段をなして形成されることを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の配設体固定装置において、前記固定片の延設方向に沿った前記連結部のピッチと、前記固定片に前記配設体を固定した状態における前記貫通孔のピッチとが異なることを要旨とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の配設体固定装置において、前記固定片の延設方向に直交する幅方向に複数段をなして形成されたビス孔のうち少なくとも2段において、前記幅方向に沿った前記連結部の形成位置をそれぞれ異ならせてなることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配設体固定具におけるビス孔と連結部との位置関係にかかわらず、配設体固定具に配設体を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の配線ボックス固定装置を示す分解斜視図。
【図2】第1の実施形態の配線ボックスを示す正面図。
【図3】第1の実施形態のボックス固定具を示す正面図。
【図4】第1の実施形態の配線ボックス固定装置を示す正面図。
【図5】第2の実施形態のボックス固定具を示す正面図。
【図6】第2の実施形態の配線ボックス固定装置を示す正面図。
【図7】第3の実施形態の配線ボックスを示す正面図。
【図8】第3の実施形態のボックス固定具を示す正面図。
【図9】第3の実施形態の配線ボックス固定装置を示す正面図。
【図10】変更例としての配線ボックスを示す正面図。
【図11】変更例としての配線ボックス固定装置を示す正面図。
【図12】変更例としてのボックス固定具を示す正面図。
【図13】変更例としての配線ボックス固定装置を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した配線ボックス固定装置の第1の実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
【0013】
まず、建築物の壁としての軽量間仕切壁Wについて説明する。図1に示すように、軽量間仕切壁Wは、造営材としての軽量形鋼材Pを所定間隔をおいて複数本(図1では1本だけ図示)立設し、該軽量形鋼材Pを挟むように一対の壁材Waを相対向して設置することにより構築される。
【0014】
次いで、軽量間仕切壁W内に配線ボックスBを配設する配線ボックス固定装置Sについて説明する。配設体固定装置としての配線ボックス固定装置Sは、軽量形鋼材Pに取り付けられるボックス固定具10と、該ボックス固定具10に固定される配線ボックスBとからなる。
【0015】
最初に、配線ボックスBについて、図1及び図2に従って説明する。
配設体としての配線ボックスBは、長方形状をなす底壁BSと、該底壁BSの四側縁から立設された四つの側壁BTとから有底四角箱状に形成されている。そして、配線ボックスBは、底壁BSと側壁BTとからなる周壁によって囲み形成されたボックス開口部BKを備える。なお、配線ボックスBにおいて、底壁BSの短辺方向に沿った長さの中間点を通るとともに、底壁BSの長辺方向に延びる直線を、配線ボックスBの中心線Lとする(図2参照)。また、配線ボックスBにおいて、底壁BSの短辺側の側縁から立設された一対の側壁BTの内面には、図示しない配線器具を配線ボックスBに取り付けるためのボス部BBが設けられている。
【0016】
また、図2に示すように、底壁BSにおいて、長辺方向に沿った長さを略3等分した位置には、中心線Lを対称として、貫通孔BD(貫通孔BD1〜BD6)が、それぞれ2つずつ形成されている。つまり、貫通孔BD1〜BD3は、配線ボックスBの長辺方向において同一直線上に位置するとともに、貫通孔BD4〜BD6も、配線ボックスBの長辺方向において、貫通孔BD1〜BD3とは異なる同一直線上に位置することになる。そして、貫通孔BDには、配線ボックスBをボックス固定具10に固定するためのビス12が挿通可能になっている。
【0017】
次に、ボックス固定具10について、図1及び図3に従って説明する。
配設体固定具としてのボックス固定具10は、合成樹脂材料により形成されている。ボックス固定具10は、矩形板状をなす取付部21と、該取付部21の一対の長辺のうち一方の長辺側から延設された矩形板状の固定片11とからなる。
【0018】
取付部21において、固定片11が突出する面と背向する面は、軽量形鋼材Pの側面に当接させる当接面21aを形成している。また、取付部21において、一対の長辺のうち固定片11が形成されてない他方の長辺には、保持突部22が、固定片11とは相反する方向へ延びるように設けられている。保持突部22の裏面は、取付部21の当接面21aに対し直交するとともに固定片11に対し平行をなすようになっている。取付部21の短辺方向に沿った長さ、すなわち、固定片11から取付部21における他方の長辺までの長さは配線ボックスBの深さ方向への長さと等しくなっている。また、固定片11の延設方向に沿う長さは、配線ボックスBの幅方向(短辺方向)の長さよりも長くなっている。よって、固定片11は、その長さ内に少なくとも一つの配線ボックスBが収まるように固定できる大きさに設定されている。
【0019】
さらに、取付部21において、一対の短辺寄りとなる位置には取付孔21bが複数形成されている。各取付孔21bには、ボックス固定具10を軽量形鋼材Pに取り付けるためのビス23が挿通可能になっている(図1参照)。
【0020】
図1に示すように、固定片11は、取付部21の当接面21aに対して直交する方向へ延びるように形成されている。なお、固定片11が取付部21から延びる方向を固定片11の延設方向とし、該延設方向に対し直交し、かつ固定片11の短辺に沿った方向を固定片11の幅方向とする。ちなみに、固定片11の幅方向は、軽量形鋼材Pの立設方向と平行する方向でもあり、取付部21の延設方向と直交する方向でもある。図3に示すように、固定片11の幅方向に沿った長さの中央に位置し、固定片11の延設方向に延びる直線を固定片11の中心線Mとする。そして、固定片11の幅方向に沿った長さは、配線ボックスBの中心線Lに沿ったボス部BBの先端同士の間隔とほぼ同じになっている。また、固定片11において、取付部21が固定片11から突出する側の面は固定面11aを構成している。この固定面11aには、配線ボックスBの底壁BSの外面が当接された状態で該配線ボックスBが固定される。
【0021】
ボックス固定具10において、固定片11における幅方向に沿った長さの中央(中心線M上)には、固定片11の延設方向に沿って長孔形状に延びる複数(本実施形態では、4つ)のビス孔13(13a〜13d)が、該延設方向に断続的に形成されている。ビス孔13は、固定片11に配線ボックスBを固定するために、ビス12が強制的に螺入されるようになっている。
【0022】
さらに、固定片11の中心線Mを中心とした固定片11の幅方向における対称位置にも、固定片11の延設方向に沿って長孔形状に延びる複数(本実施形態では、4つ)のビス孔13(13e〜13h,13i〜13l)が、該延設方向に断続的にそれぞれ形成されている。
【0023】
図3において、中心線M上に位置するビス孔13a〜13dによって、配線ボックスBを固定する配設体固定部としての第1ボックス固定部14が形成される。一方、図3において、中心線Mよりも上方に位置するビス孔13e〜13hによって、配線ボックスBを固定する配設体固定部としての第2ボックス固定部15が形成される。また、図3において、中心線Mよりも下方に位置するビス孔13i〜13lによって、配線ボックスBを固定する配設体固定部としての第3ボックス固定部16が形成される。つまり、ボックス固定部14〜16は、固定片11の幅方向に複数段(この例では3段)をなして形成されているとともに、その段数は、配線ボックスBの長辺方向に沿った貫通孔BDの数(3つ)と同一個数とされている。
【0024】
ビス孔13a〜13lは、全て同一の長孔形状とされ、かつその開口面積も同一とされている。また、第1ボックス固定部14を構成するビス孔13a〜13d、第2ボックス固定部15を構成するビス孔13e〜13h、第3ボックス固定部16を構成するビス孔13i〜13lの間のうち、固定片11の延設方向に隣り合うビス孔13の間には、該ビス孔13の対向する端縁を連結する連結部17が形成されている。この連結部17が形成されることによって、ビス孔13a〜13d,13e〜13h,13i〜13lは、それぞれ連通することなく、固定片11の延設方向に断続的に形成されることになる。連結部17は、ビス孔13a〜13lの延設方向に沿った長さよりも短く形成され、かつその長さは、全ての連結部17において同一の長さに形成されている。これにより、各ビス孔13a〜13lは、同一ピッチ(同一間隔)で形成されていることになる。
【0025】
図3に示すように、第2,第3ボックス固定部15,16は、固定片11の中心線Mを中心とした幅方向における対称位置に形成されているため、取付部21寄りのビス孔13e,13iは、固定片11の幅方向において同一線上(図3における仮想線M1)に位置することになる。また、ビス孔13a〜13lは、同一開口面積、かつ同一形状であって、さらに全ての連結部17の延設方向に沿った長さは、同一の長さに形成されている。これにより、残りのビス孔13f〜13h,13j〜13lに関しても、固定片11の幅方向において同一線上(仮想線M2〜M4)に位置することになる。同様に、第2,第3ボックス固定部15,16を構成する各ビス孔13e〜13h,13i〜13lの間に位置する各連結部17に関しても、固定片11の幅方向において同一の位置に形成されていることになる。
【0026】
一方、第1ボックス固定部14を構成するビス孔13のうち、最も取付部21寄りのビス孔13aは、第2,第3ボックス固定部15,16を構成するビス孔13e,13iよりも、固定片11の延設方向寄りに形成されている。そして、前述したように、ビス孔13a〜13lは、同一開口面積、かつ同一形状であって、さらに全ての連結部17の延設方向に沿った長さは、同一の長さに形成されている。これにより、第1ボックス固定部14を構成するビス孔13a〜13dは、第2,第3ボックス固定部15,16とは異なり、固定片11の幅方向において同一線上(仮想線M1〜M4)に位置しないことになる。
【0027】
また、各ボックス固定部14〜16は、固定片11に配線ボックスBを固定したときに、配線ボックスBに形成された貫通孔BD1,BD2,BD3(又は貫通孔BD4,BD5,BD6)とそれぞれ重なり可能となるような位置に形成されている。その一方で、図4に示すように、固定片11の延設方向に沿ったビス孔13a〜13lの間隔(ピッチ)と、配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔(ピッチ)とは、異なるように形成されている。
【0028】
固定片11の延設方向に沿ったビス孔13a〜13lの間隔(ピッチ)と、配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔(ピッチ)との関係は、以下に示す関係式によって算出される。
【0029】
ビス孔13の延設方向への長さ<配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔の場合
ビス孔13の延設方向への長さ+連結部17の延設方向への長さ<配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔≦N(ビス孔13の延設方向への長さ+連結部17の延設方向への長さ)+ビス孔13の延設方向への長さ…(1)
具体的に説明すると、配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔は、配線ボックスBをボックス固定具10に重ねたときにいずれか一方の貫通孔BDが連結部17と一致したとしても、残りの貫通孔BDがビス孔13と一致するような長さに設定されている。つまり、貫通孔BDのピッチがビス孔13のピッチと一致しておらず、かつ1つのビス孔13内に一致する貫通孔BDの数が1つであれば、どのようなピッチを設定しても良い。ただし、前記関係式は、第2,第3ボックス固定部15,16において、すなわち、ビス孔13の形成位置が同一である複数のボックス固定部において成立する式として設定されている。これにより、第1ボックス固定部14で1つも一致しなくても、少なくとも2箇所(第2,第3ボックス固定部15,16において、それぞれ1箇所ずつ)で貫通孔BDとビス孔13が一致する。なお、第2,第3ボックス固定部15,16において、貫通孔BDが連結部17と一致しないとしても、第1ボックス固定部14におけるビス孔13a〜13dの形成位置が、ビス孔13e〜13h,13i〜13lとずれているため、第1ボックス固定部14においては貫通孔BDが連結部17と一致する場合もある。
【0030】
ちなみに、6つの貫通孔BD1〜BD6のうち1つがビス孔13a〜13lと一致し、残り5つの貫通孔BDが連結部17と一致したとすると、ビス孔13a〜13lと一致した貫通孔BDからしか、ビス12を挿入できない。そして、ビス12を1箇所からのみ挿入した場合、そのビス12を中心に配線ボックスBが回転してしまい、ボックス固定具10に配線ボックスBを固定することができない。これにより、配線ボックス固定装置Sでは、少なくとも2箇所において貫通孔BDとビス孔13が一致するような位置関係が設定されている。
【0031】
次に、配線ボックス固定装置Sを用いた配線ボックスBの配設方法及びその作用について説明する。
まず、図1に示すように、ボックス固定具10における取付部21の当接面21aを軽量形鋼材Pの側面に当接させるとともに、保持突部22の裏面を軽量形鋼材Pの別の側面に当接させる。この当接状態では、固定片11は軽量形鋼材Pの立設方向に対し直交するように延びる。そして、軽量形鋼材Pを手で掴むとともに保持突部22を指で軽量形鋼材Pに押し付けるとボックス固定具10が軽量形鋼材Pに保持される。そして、各取付孔21bから軽量形鋼材Pにビス23を強制的に螺入してボックス固定具10を軽量形鋼材Pに取り付ける。
【0032】
次に、ボックス固定具10の固定片11に配線ボックスBを当接し、配線ボックスBを所望の位置に設置可能となるように配線ボックスBの位置合わせを行う。前述したように、貫通孔BDのピッチとビス孔13のピッチの位置関係を、少なくとも2箇所において貫通孔BDとビス孔13が一致するような位置関係としている。これにより、配線ボックスBを所望の位置で位置合わせしたとしても、配線ボックスBに形成された6つの貫通孔BD1〜BD6のうち少なくとも2つが連結部17と一致せず、かつビス孔13a〜13lと一致することになる。具体的には、前述したように、配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔は、配線ボックスBをボックス固定具10に重ねたときに、平行関係にあるいずれか一方の貫通孔BDが連結部17と一致したとしても、残りの貫通孔BDがビス孔13と一致するような長さに設定されている。そして、第2,第3ボックス固定部15,16は、第1ボックス固定部14の形成位置とずれているので、第1ボックス固定部14にて貫通孔BDとビス孔13が一致しなかったとしても、第2,第3ボックス固定部15,16において貫通孔BDとビス孔13が一致する可能性がある。
【0033】
そして、連結部17と一致していない貫通孔BDから、ビス孔13にビス12を強制的に螺入して配線ボックスBをボックス固定具10に配設する。つまり、図4では、6箇所中4箇所でビス12を螺入し、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することが可能となる。なお、ビス孔13a〜13lは、長孔形状をなしているため、ビス12を螺入した後でも、配線ボックスBを固定片11の延設方向に沿ってスライド移動させることで、配線ボックスBの配設位置を調節することが可能となる。
【0034】
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ボックス固定具10の固定片11には、配線ボックスBを貫通するビス12が螺入されるビス孔13が固定片11の延設方向に沿って複数形成されている。また、配線ボックスBには、ビス12が貫通する貫通孔BDが少なくとも3つ形成されている。そして、これらの孔の位置関係を、配線ボックスBを固定片11に固定する際に、貫通孔BDのうち1つが、隣り合うビス孔13間に形成された連結部17に重なる場合であっても、少なくとも2つの貫通孔BDが連結部17に重ならないような位置関係とした。これにより、1つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できない場合であっても、残りの少なくとも2つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できるので、固定片11に配線ボックスBを固定することができる。したがって、ボックス固定具10におけるビス孔13と連結部17との位置関係にかかわらず、ボックス固定具10に配線ボックスBを固定することができる。
【0035】
(2)ビス孔13の形状を、固定片11の延設方向に延びる長孔とした。これにより、ビス孔13にビス12を螺合した後でも、ビス孔13内をビス12が移動するスペースが残っているので、配線ボックスBの位置決めにおける微調節をすることができる。
【0036】
(3)ボックス固定部14〜16を、固定片11の延設方向に直交する幅方向に複数段をなすように形成した。このように、ボックス固定部14〜16が固定片11の幅方向に複数段形成されているということは、その分、連結部17の数も増加し、貫通孔BDとビス孔13が一致しない確率が増えることになる。ところが、このような場合であっても、少なくとも2つの貫通孔BDが連結部17に重ならないような位置関係としたことで、1つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できない場合であっても、残りの少なくとも2つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できるので、固定片11に配線ボックスBを固定することができる。したがって、ボックス固定具10におけるビス孔13と連結部17との位置関係にかかわらず、ボックス固定具10に配線ボックスBを固定することができる。
【0037】
(4)固定片11の延設方向に沿った連結部17のピッチと、固定片11に配線ボックスBを固定した状態における貫通孔BDのピッチを異ならせた。このような場合、貫通孔BDとビス孔13の位置関係によっては、貫通孔BDとビス孔13が一致しない箇所も生じることになる。ところが、このような場合であっても少なくとも2つの貫通孔BDが連結部17に重ならないような位置関係としたことで、1つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できない場合であっても、残りの少なくとも2つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できるので、固定片11に配線ボックスBを固定することができる。したがって、ボックス固定具10におけるビス孔13と連結部17との位置関係にかかわらず、ボックス固定具10に配線ボックスBを固定することができる。
【0038】
(5)複数のボックス固定部14〜16のうち、少なくとも2つのボックス固定部において、固定片11の幅方向に沿った連結部17の位置をそれぞれ異ならせた。これにより、配線ボックスBの長辺方向に沿って貫通孔BDが一直線上に形成されていたとしても、ボックス固定部14〜16における連結部17の位置が異なることで、貫通孔BDとビス孔13の位置関係によっては、貫通孔BDとビス孔13が一致しない箇所も生じることになる。ところが、このような場合であっても、少なくとも2つの貫通孔BDが連結部17に重ならないような位置関係としたことで、1つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できない場合であっても、残りの少なくとも2つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できるので、固定片11に配線ボックスBを固定することができる。したがって、ボックス固定具10におけるビス孔13と連結部17との位置関係にかかわらず、ボックス固定具10に配線ボックスBを固定することができる。
【0039】
(6)連結部17を形成したことにより、ボックス固定具10におけるビス孔13の強度を高めることができる。すなわち、固定片11を切断する場合、その切断位置が連結部17であれば、ビス孔13が切断されるわけではないので、連結部17によってビス孔13の連結が維持され、ビス孔13に螺入したビス12が抜け落ちない。また、固定片11の切断位置がいずれか1箇所のビス孔13であったとしても、残りのビス孔13は切断されていないので、ビス孔13に螺入したビス12が抜け落ちない。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の配線ボックス固定装置を具体化した第2の実施形態を図5及び図6にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成については、同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0041】
図5に示すように、ボックス固定具10では、全てのボックス固定部14〜16において、各ボックス固定部14〜16を構成するビス孔13a〜13lが、同一線上(図5における仮想線M1〜M4)にそれぞれ位置している。
【0042】
これにより、図6に示すように、配線ボックスBを固定片11において所望の位置に設置可能となるように位置合わせしたときに、配線ボックスBの短辺方向にて平行に形成されているいずれか一列の貫通孔BDが連結部17と一致したとしても、全てのボックス固定部14〜16の形成位置が同一であるため、残り1列の貫通孔BD(この例では、貫通孔BD4〜BD6)がビス孔13と一致することになる。したがって、6箇所中3箇所でビス12を螺入し、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することが可能となる。
【0043】
上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1)〜(4),(6)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(7)第1の実施形態におけるボックス固定具10と比較すると、確実に3箇所でビス12をビス孔13に螺入することが可能となるので、より強固に固定片11に配線ボックスBを固定することができる。
【0044】
(第3の実施形態)
次に、本発明の配線ボックス固定装置を具体化した第3の実施形態を図7〜図9にしたがって説明する。第3の実施形態では、ボックス固定部の数を単数としている。
【0045】
最初に、配線ボックスBについて説明する。
図7に示すように、配線ボックスBの長辺方向に沿った長さの中間点を通る直線(中心線N)上に、3つの貫通孔BD7〜BD9が形成されている。これにより、第1の実施形態及び第2の実施形態における貫通孔BDの間隔(ピッチ)よりも、第3の実施形態における貫通孔BDの間隔(ピッチ)の方が狭いことになる。
【0046】
次に、ボックス固定具10について説明する。
図8に示すように、ボックス固定具10において、固定片11における幅方向に沿った長さの中央(中心線M上)には、固定片11の延設方向に沿って長孔形状に延びる複数(本実施形態では、4つ)のビス孔13(13a〜13d)が、該延設方向に断続的に形成されている。
【0047】
第3の実施形態のような配線ボックス固定装置Sでは、貫通孔BDのピッチがビス孔13のピッチと一致しておらず、かつ1つのビス孔13内に一致する貫通孔BDの数が1つであって、かつ下記の関係式に当てはまるのであれば、どのようなピッチを設定しても良い。
【0048】
配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔<ビス孔13の延設方向への長さの場合
配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔+貫通孔BDの直径+貫通孔BDの直径>ビス孔13の延設方向への長さ…(2)
これにより、図9に示すように、配線ボックスBを固定片11において所望の位置に設置可能となるように位置合わせしたときに、配線ボックスBの短辺方向にて平行に形成されている3つの貫通孔BD7〜BD9のうちいずれか1つが連結部17と一致したとしても、残り2つの貫通孔BD(この例では、貫通孔BD8,BD9)がビス孔13b,13cとそれぞれ一致することになる。したがって、3箇所中2箇所でビス12を螺入し、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することが可能となる。
【0049】
上記第3の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1),(2),(4),(6)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(8)第3の実施形態における配線ボックス固定装置Sでは、第1,第2の実施形態におけるビス孔13及び貫通孔BDの個数よりもその個数を少なくした。このような場合であっても、少なくとも2箇所において貫通孔BDからビス孔13にビス12を螺入して、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することができる。したがって、第1,第2の実施形態における配線ボックス固定装置Sよりも形成する孔が少ない分だけ、部品製造の簡略化に貢献することができることに加え、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することができる。
【0050】
なお、各実施形態は以下のように変更しても良い。
・ 第1,第2の実施形態において、ボックス固定部14〜16の個数は3つに限られない。
【0051】
・ 第1,第2の実施形態において、配線ボックスBにおける貫通孔BDの形成位置は、図10に示すように、中心線L上に2つ、中心線N上に2つとし、貫通孔BDを略菱形状に配置しても良い。このような場合であっても、図11に示すように、配線ボックスBを固定片11において所望の位置に設置可能となるように位置合わせしたときに、4つの貫通孔BD10〜BD13のうちいずれか1つが連結部17と一致したとしても、残り3つの貫通孔BD(この例では、貫通孔BD11〜BD13)がビス孔13c,13f,13jとそれぞれ一致することになる。したがって、4箇所中3箇所でビス12を螺入し、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することが可能となる。
【0052】
・ 各実施形態において、ボックス固定具10の固定片11におけるビス孔13を、四角形状や三角形状など、長孔形状とは異なる形状としても良い。例えば、図12に示すように、丸孔形状としても良い。このような場合、ビス孔13の開口幅が前記実施形態よりも狭いため、連結部17を短くして、ビス孔13の個数を前記実施形態におけるビス孔13の個数よりも多く形成することができる。このような場合であっても、図13に示すように、配線ボックスBに形成された複数のビス孔13のうち、少なくとも2箇所(この例では、貫通孔BD2,BD5)がビス孔13とそれぞれ一致することになる。したがって、6箇所中2箇所でビス12を螺入し、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することが可能となる。
【0053】
・ 各実施形態において、ビス孔13を長孔形状とするが、固定片11の延設方向に沿った長さを少なくとも2箇所のボックス固定部又は各ボックス固定部で異ならせても良い。この場合、第1,第2実施形態のように、ボックス固定部が複数形成されているのであれば、連結部17の延設方向への長さを調節して、固定片11の幅方向に沿ったビス孔13の形成位置を揃えても良い。また、固定片11の延設方向に沿ったビス孔13の長さを少なくとも2箇所のボックス固定部又は各ボックス固定部で異ならせた上で、連結部17の延設方向への長さを全て同一の長さとしても良い。
【0054】
・ 各実施形態において、ビス孔13は、同一開口面積、かつ同一形状とするが、連結部17の延設方向に沿った長さを、少なくとも2箇所のボックス固定部又は各ボックス固定部で異ならせても良い。
【0055】
・ 各実施形態において、軽量間仕切壁W以外の建築物の壁(例えば、土壁)内に配線ボックスBを設置するため、例えば、造営材としての木柱にボックス固定具10を取り付けて配線ボックスBを配設しても良い。
【0056】
・ 各実施形態において、配設体は、有底箱状の配線ボックスではなく、貫通孔が形成されていれば、どのような配設体を配設体固定具に固定しても良い。例えば、管類・ケーブル類といった長尺物を軽量形鋼材に沿わせて配設するための長尺物保持具であっても良い。
【符号の説明】
【0057】
B…配設体としての配線ボックス、BD…貫通孔、P…造営材としての軽量形鋼材、S…配設体固定装置としての配線ボックス固定装置、W…壁としての軽量間仕切壁、10…配設体固定具としてのボックス固定具、11…固定片、12…ビス、13…ビス孔、14〜16…ボックス固定部、17…連結部、21…取付部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、配設体と、壁を構築するため立設された造営材に取り付けられるとともに配設体が固定される配設体固定具とからなる配設体固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、壁内に配設体(例えば、配線ボックス)を固定するために、壁を構築するために立設された造営材に取り付けるための取付部と、該取付部から延設されるとともに配設体を固定するための固定片と、を備えた配設体固定具が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示された配設体固定具の固定片は、取付部が造営材に取り付けられた状態において、壁面に沿って延びる方向に延設される。また、固定片に配設体を固定するため、配設体に形成された貫通孔を貫通させたビスを強制的に螺合するためのビス孔が、配設体固定具に形成されている。また、このビス孔は、ビスが螺合されることでビス孔が開いてしまうことを防止するため、複数の連結部を設けることにより固定片の延設方向に沿って延びる長孔として断続的に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−65738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示の配設体固定具に配設体を固定する際、配設体に設けられた貫通孔と、配設体固定具に設けられたビス孔との位置を合わせたとき、ビス孔は断続的に形成されているため、貫通孔と連結部の位置が重なってしまうことがある。すると、ビスを配設体固定具のビス孔に螺合することができず、結果として、配設体固定具に配設体を固定することができない場合があった。
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、配設体固定具におけるビス孔と連結部との位置関係にかかわらず、配設体固定具に配設体を固定することができる配線ボックス固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、建築物の壁内に配設される配設体と、前記壁を構築するため立設された造営材に取り付けられるとともに前記配設体が固定される配設体固定具と、からなり、前記配設体固定具は、前記造営材に取り付けられる取付部と、該取付部から延設され前記配設体が固定される固定片を有し、前記固定片には、前記配設体を貫通するビスが螺入されるビス孔が該固定片の延設方向に沿って複数形成されるとともに、該延設方向に隣り合う前記ビス孔の間には、ビス孔の対向する端縁を連結する連結部が設けられ、前記配設体には、前記ビスが貫通する貫通孔が少なくとも3つ形成されており、前記配設体を前記固定片に固定する際に、前記貫通孔のうち1つが前記連結部に重なる場合に、他の少なくとも2つの前記貫通孔が前記連結部に重なることなく、前記ビスを前記ビス孔に螺合可能に形成されてなることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配設体固定装置において、前記ビス孔は、前記固定片の延設方向に延びる長孔で形成されてなることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の配設体固定装置において、前記ビス孔は、前記固定片の延設方向に直交する幅方向に複数段をなして形成されることを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の配設体固定装置において、前記固定片の延設方向に沿った前記連結部のピッチと、前記固定片に前記配設体を固定した状態における前記貫通孔のピッチとが異なることを要旨とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の配設体固定装置において、前記固定片の延設方向に直交する幅方向に複数段をなして形成されたビス孔のうち少なくとも2段において、前記幅方向に沿った前記連結部の形成位置をそれぞれ異ならせてなることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配設体固定具におけるビス孔と連結部との位置関係にかかわらず、配設体固定具に配設体を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態の配線ボックス固定装置を示す分解斜視図。
【図2】第1の実施形態の配線ボックスを示す正面図。
【図3】第1の実施形態のボックス固定具を示す正面図。
【図4】第1の実施形態の配線ボックス固定装置を示す正面図。
【図5】第2の実施形態のボックス固定具を示す正面図。
【図6】第2の実施形態の配線ボックス固定装置を示す正面図。
【図7】第3の実施形態の配線ボックスを示す正面図。
【図8】第3の実施形態のボックス固定具を示す正面図。
【図9】第3の実施形態の配線ボックス固定装置を示す正面図。
【図10】変更例としての配線ボックスを示す正面図。
【図11】変更例としての配線ボックス固定装置を示す正面図。
【図12】変更例としてのボックス固定具を示す正面図。
【図13】変更例としての配線ボックス固定装置を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した配線ボックス固定装置の第1の実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
【0013】
まず、建築物の壁としての軽量間仕切壁Wについて説明する。図1に示すように、軽量間仕切壁Wは、造営材としての軽量形鋼材Pを所定間隔をおいて複数本(図1では1本だけ図示)立設し、該軽量形鋼材Pを挟むように一対の壁材Waを相対向して設置することにより構築される。
【0014】
次いで、軽量間仕切壁W内に配線ボックスBを配設する配線ボックス固定装置Sについて説明する。配設体固定装置としての配線ボックス固定装置Sは、軽量形鋼材Pに取り付けられるボックス固定具10と、該ボックス固定具10に固定される配線ボックスBとからなる。
【0015】
最初に、配線ボックスBについて、図1及び図2に従って説明する。
配設体としての配線ボックスBは、長方形状をなす底壁BSと、該底壁BSの四側縁から立設された四つの側壁BTとから有底四角箱状に形成されている。そして、配線ボックスBは、底壁BSと側壁BTとからなる周壁によって囲み形成されたボックス開口部BKを備える。なお、配線ボックスBにおいて、底壁BSの短辺方向に沿った長さの中間点を通るとともに、底壁BSの長辺方向に延びる直線を、配線ボックスBの中心線Lとする(図2参照)。また、配線ボックスBにおいて、底壁BSの短辺側の側縁から立設された一対の側壁BTの内面には、図示しない配線器具を配線ボックスBに取り付けるためのボス部BBが設けられている。
【0016】
また、図2に示すように、底壁BSにおいて、長辺方向に沿った長さを略3等分した位置には、中心線Lを対称として、貫通孔BD(貫通孔BD1〜BD6)が、それぞれ2つずつ形成されている。つまり、貫通孔BD1〜BD3は、配線ボックスBの長辺方向において同一直線上に位置するとともに、貫通孔BD4〜BD6も、配線ボックスBの長辺方向において、貫通孔BD1〜BD3とは異なる同一直線上に位置することになる。そして、貫通孔BDには、配線ボックスBをボックス固定具10に固定するためのビス12が挿通可能になっている。
【0017】
次に、ボックス固定具10について、図1及び図3に従って説明する。
配設体固定具としてのボックス固定具10は、合成樹脂材料により形成されている。ボックス固定具10は、矩形板状をなす取付部21と、該取付部21の一対の長辺のうち一方の長辺側から延設された矩形板状の固定片11とからなる。
【0018】
取付部21において、固定片11が突出する面と背向する面は、軽量形鋼材Pの側面に当接させる当接面21aを形成している。また、取付部21において、一対の長辺のうち固定片11が形成されてない他方の長辺には、保持突部22が、固定片11とは相反する方向へ延びるように設けられている。保持突部22の裏面は、取付部21の当接面21aに対し直交するとともに固定片11に対し平行をなすようになっている。取付部21の短辺方向に沿った長さ、すなわち、固定片11から取付部21における他方の長辺までの長さは配線ボックスBの深さ方向への長さと等しくなっている。また、固定片11の延設方向に沿う長さは、配線ボックスBの幅方向(短辺方向)の長さよりも長くなっている。よって、固定片11は、その長さ内に少なくとも一つの配線ボックスBが収まるように固定できる大きさに設定されている。
【0019】
さらに、取付部21において、一対の短辺寄りとなる位置には取付孔21bが複数形成されている。各取付孔21bには、ボックス固定具10を軽量形鋼材Pに取り付けるためのビス23が挿通可能になっている(図1参照)。
【0020】
図1に示すように、固定片11は、取付部21の当接面21aに対して直交する方向へ延びるように形成されている。なお、固定片11が取付部21から延びる方向を固定片11の延設方向とし、該延設方向に対し直交し、かつ固定片11の短辺に沿った方向を固定片11の幅方向とする。ちなみに、固定片11の幅方向は、軽量形鋼材Pの立設方向と平行する方向でもあり、取付部21の延設方向と直交する方向でもある。図3に示すように、固定片11の幅方向に沿った長さの中央に位置し、固定片11の延設方向に延びる直線を固定片11の中心線Mとする。そして、固定片11の幅方向に沿った長さは、配線ボックスBの中心線Lに沿ったボス部BBの先端同士の間隔とほぼ同じになっている。また、固定片11において、取付部21が固定片11から突出する側の面は固定面11aを構成している。この固定面11aには、配線ボックスBの底壁BSの外面が当接された状態で該配線ボックスBが固定される。
【0021】
ボックス固定具10において、固定片11における幅方向に沿った長さの中央(中心線M上)には、固定片11の延設方向に沿って長孔形状に延びる複数(本実施形態では、4つ)のビス孔13(13a〜13d)が、該延設方向に断続的に形成されている。ビス孔13は、固定片11に配線ボックスBを固定するために、ビス12が強制的に螺入されるようになっている。
【0022】
さらに、固定片11の中心線Mを中心とした固定片11の幅方向における対称位置にも、固定片11の延設方向に沿って長孔形状に延びる複数(本実施形態では、4つ)のビス孔13(13e〜13h,13i〜13l)が、該延設方向に断続的にそれぞれ形成されている。
【0023】
図3において、中心線M上に位置するビス孔13a〜13dによって、配線ボックスBを固定する配設体固定部としての第1ボックス固定部14が形成される。一方、図3において、中心線Mよりも上方に位置するビス孔13e〜13hによって、配線ボックスBを固定する配設体固定部としての第2ボックス固定部15が形成される。また、図3において、中心線Mよりも下方に位置するビス孔13i〜13lによって、配線ボックスBを固定する配設体固定部としての第3ボックス固定部16が形成される。つまり、ボックス固定部14〜16は、固定片11の幅方向に複数段(この例では3段)をなして形成されているとともに、その段数は、配線ボックスBの長辺方向に沿った貫通孔BDの数(3つ)と同一個数とされている。
【0024】
ビス孔13a〜13lは、全て同一の長孔形状とされ、かつその開口面積も同一とされている。また、第1ボックス固定部14を構成するビス孔13a〜13d、第2ボックス固定部15を構成するビス孔13e〜13h、第3ボックス固定部16を構成するビス孔13i〜13lの間のうち、固定片11の延設方向に隣り合うビス孔13の間には、該ビス孔13の対向する端縁を連結する連結部17が形成されている。この連結部17が形成されることによって、ビス孔13a〜13d,13e〜13h,13i〜13lは、それぞれ連通することなく、固定片11の延設方向に断続的に形成されることになる。連結部17は、ビス孔13a〜13lの延設方向に沿った長さよりも短く形成され、かつその長さは、全ての連結部17において同一の長さに形成されている。これにより、各ビス孔13a〜13lは、同一ピッチ(同一間隔)で形成されていることになる。
【0025】
図3に示すように、第2,第3ボックス固定部15,16は、固定片11の中心線Mを中心とした幅方向における対称位置に形成されているため、取付部21寄りのビス孔13e,13iは、固定片11の幅方向において同一線上(図3における仮想線M1)に位置することになる。また、ビス孔13a〜13lは、同一開口面積、かつ同一形状であって、さらに全ての連結部17の延設方向に沿った長さは、同一の長さに形成されている。これにより、残りのビス孔13f〜13h,13j〜13lに関しても、固定片11の幅方向において同一線上(仮想線M2〜M4)に位置することになる。同様に、第2,第3ボックス固定部15,16を構成する各ビス孔13e〜13h,13i〜13lの間に位置する各連結部17に関しても、固定片11の幅方向において同一の位置に形成されていることになる。
【0026】
一方、第1ボックス固定部14を構成するビス孔13のうち、最も取付部21寄りのビス孔13aは、第2,第3ボックス固定部15,16を構成するビス孔13e,13iよりも、固定片11の延設方向寄りに形成されている。そして、前述したように、ビス孔13a〜13lは、同一開口面積、かつ同一形状であって、さらに全ての連結部17の延設方向に沿った長さは、同一の長さに形成されている。これにより、第1ボックス固定部14を構成するビス孔13a〜13dは、第2,第3ボックス固定部15,16とは異なり、固定片11の幅方向において同一線上(仮想線M1〜M4)に位置しないことになる。
【0027】
また、各ボックス固定部14〜16は、固定片11に配線ボックスBを固定したときに、配線ボックスBに形成された貫通孔BD1,BD2,BD3(又は貫通孔BD4,BD5,BD6)とそれぞれ重なり可能となるような位置に形成されている。その一方で、図4に示すように、固定片11の延設方向に沿ったビス孔13a〜13lの間隔(ピッチ)と、配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔(ピッチ)とは、異なるように形成されている。
【0028】
固定片11の延設方向に沿ったビス孔13a〜13lの間隔(ピッチ)と、配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔(ピッチ)との関係は、以下に示す関係式によって算出される。
【0029】
ビス孔13の延設方向への長さ<配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔の場合
ビス孔13の延設方向への長さ+連結部17の延設方向への長さ<配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔≦N(ビス孔13の延設方向への長さ+連結部17の延設方向への長さ)+ビス孔13の延設方向への長さ…(1)
具体的に説明すると、配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔は、配線ボックスBをボックス固定具10に重ねたときにいずれか一方の貫通孔BDが連結部17と一致したとしても、残りの貫通孔BDがビス孔13と一致するような長さに設定されている。つまり、貫通孔BDのピッチがビス孔13のピッチと一致しておらず、かつ1つのビス孔13内に一致する貫通孔BDの数が1つであれば、どのようなピッチを設定しても良い。ただし、前記関係式は、第2,第3ボックス固定部15,16において、すなわち、ビス孔13の形成位置が同一である複数のボックス固定部において成立する式として設定されている。これにより、第1ボックス固定部14で1つも一致しなくても、少なくとも2箇所(第2,第3ボックス固定部15,16において、それぞれ1箇所ずつ)で貫通孔BDとビス孔13が一致する。なお、第2,第3ボックス固定部15,16において、貫通孔BDが連結部17と一致しないとしても、第1ボックス固定部14におけるビス孔13a〜13dの形成位置が、ビス孔13e〜13h,13i〜13lとずれているため、第1ボックス固定部14においては貫通孔BDが連結部17と一致する場合もある。
【0030】
ちなみに、6つの貫通孔BD1〜BD6のうち1つがビス孔13a〜13lと一致し、残り5つの貫通孔BDが連結部17と一致したとすると、ビス孔13a〜13lと一致した貫通孔BDからしか、ビス12を挿入できない。そして、ビス12を1箇所からのみ挿入した場合、そのビス12を中心に配線ボックスBが回転してしまい、ボックス固定具10に配線ボックスBを固定することができない。これにより、配線ボックス固定装置Sでは、少なくとも2箇所において貫通孔BDとビス孔13が一致するような位置関係が設定されている。
【0031】
次に、配線ボックス固定装置Sを用いた配線ボックスBの配設方法及びその作用について説明する。
まず、図1に示すように、ボックス固定具10における取付部21の当接面21aを軽量形鋼材Pの側面に当接させるとともに、保持突部22の裏面を軽量形鋼材Pの別の側面に当接させる。この当接状態では、固定片11は軽量形鋼材Pの立設方向に対し直交するように延びる。そして、軽量形鋼材Pを手で掴むとともに保持突部22を指で軽量形鋼材Pに押し付けるとボックス固定具10が軽量形鋼材Pに保持される。そして、各取付孔21bから軽量形鋼材Pにビス23を強制的に螺入してボックス固定具10を軽量形鋼材Pに取り付ける。
【0032】
次に、ボックス固定具10の固定片11に配線ボックスBを当接し、配線ボックスBを所望の位置に設置可能となるように配線ボックスBの位置合わせを行う。前述したように、貫通孔BDのピッチとビス孔13のピッチの位置関係を、少なくとも2箇所において貫通孔BDとビス孔13が一致するような位置関係としている。これにより、配線ボックスBを所望の位置で位置合わせしたとしても、配線ボックスBに形成された6つの貫通孔BD1〜BD6のうち少なくとも2つが連結部17と一致せず、かつビス孔13a〜13lと一致することになる。具体的には、前述したように、配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔は、配線ボックスBをボックス固定具10に重ねたときに、平行関係にあるいずれか一方の貫通孔BDが連結部17と一致したとしても、残りの貫通孔BDがビス孔13と一致するような長さに設定されている。そして、第2,第3ボックス固定部15,16は、第1ボックス固定部14の形成位置とずれているので、第1ボックス固定部14にて貫通孔BDとビス孔13が一致しなかったとしても、第2,第3ボックス固定部15,16において貫通孔BDとビス孔13が一致する可能性がある。
【0033】
そして、連結部17と一致していない貫通孔BDから、ビス孔13にビス12を強制的に螺入して配線ボックスBをボックス固定具10に配設する。つまり、図4では、6箇所中4箇所でビス12を螺入し、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することが可能となる。なお、ビス孔13a〜13lは、長孔形状をなしているため、ビス12を螺入した後でも、配線ボックスBを固定片11の延設方向に沿ってスライド移動させることで、配線ボックスBの配設位置を調節することが可能となる。
【0034】
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ボックス固定具10の固定片11には、配線ボックスBを貫通するビス12が螺入されるビス孔13が固定片11の延設方向に沿って複数形成されている。また、配線ボックスBには、ビス12が貫通する貫通孔BDが少なくとも3つ形成されている。そして、これらの孔の位置関係を、配線ボックスBを固定片11に固定する際に、貫通孔BDのうち1つが、隣り合うビス孔13間に形成された連結部17に重なる場合であっても、少なくとも2つの貫通孔BDが連結部17に重ならないような位置関係とした。これにより、1つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できない場合であっても、残りの少なくとも2つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できるので、固定片11に配線ボックスBを固定することができる。したがって、ボックス固定具10におけるビス孔13と連結部17との位置関係にかかわらず、ボックス固定具10に配線ボックスBを固定することができる。
【0035】
(2)ビス孔13の形状を、固定片11の延設方向に延びる長孔とした。これにより、ビス孔13にビス12を螺合した後でも、ビス孔13内をビス12が移動するスペースが残っているので、配線ボックスBの位置決めにおける微調節をすることができる。
【0036】
(3)ボックス固定部14〜16を、固定片11の延設方向に直交する幅方向に複数段をなすように形成した。このように、ボックス固定部14〜16が固定片11の幅方向に複数段形成されているということは、その分、連結部17の数も増加し、貫通孔BDとビス孔13が一致しない確率が増えることになる。ところが、このような場合であっても、少なくとも2つの貫通孔BDが連結部17に重ならないような位置関係としたことで、1つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できない場合であっても、残りの少なくとも2つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できるので、固定片11に配線ボックスBを固定することができる。したがって、ボックス固定具10におけるビス孔13と連結部17との位置関係にかかわらず、ボックス固定具10に配線ボックスBを固定することができる。
【0037】
(4)固定片11の延設方向に沿った連結部17のピッチと、固定片11に配線ボックスBを固定した状態における貫通孔BDのピッチを異ならせた。このような場合、貫通孔BDとビス孔13の位置関係によっては、貫通孔BDとビス孔13が一致しない箇所も生じることになる。ところが、このような場合であっても少なくとも2つの貫通孔BDが連結部17に重ならないような位置関係としたことで、1つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できない場合であっても、残りの少なくとも2つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できるので、固定片11に配線ボックスBを固定することができる。したがって、ボックス固定具10におけるビス孔13と連結部17との位置関係にかかわらず、ボックス固定具10に配線ボックスBを固定することができる。
【0038】
(5)複数のボックス固定部14〜16のうち、少なくとも2つのボックス固定部において、固定片11の幅方向に沿った連結部17の位置をそれぞれ異ならせた。これにより、配線ボックスBの長辺方向に沿って貫通孔BDが一直線上に形成されていたとしても、ボックス固定部14〜16における連結部17の位置が異なることで、貫通孔BDとビス孔13の位置関係によっては、貫通孔BDとビス孔13が一致しない箇所も生じることになる。ところが、このような場合であっても、少なくとも2つの貫通孔BDが連結部17に重ならないような位置関係としたことで、1つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できない場合であっても、残りの少なくとも2つの貫通孔BDからビス12をビス孔13に螺合できるので、固定片11に配線ボックスBを固定することができる。したがって、ボックス固定具10におけるビス孔13と連結部17との位置関係にかかわらず、ボックス固定具10に配線ボックスBを固定することができる。
【0039】
(6)連結部17を形成したことにより、ボックス固定具10におけるビス孔13の強度を高めることができる。すなわち、固定片11を切断する場合、その切断位置が連結部17であれば、ビス孔13が切断されるわけではないので、連結部17によってビス孔13の連結が維持され、ビス孔13に螺入したビス12が抜け落ちない。また、固定片11の切断位置がいずれか1箇所のビス孔13であったとしても、残りのビス孔13は切断されていないので、ビス孔13に螺入したビス12が抜け落ちない。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の配線ボックス固定装置を具体化した第2の実施形態を図5及び図6にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成については、同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0041】
図5に示すように、ボックス固定具10では、全てのボックス固定部14〜16において、各ボックス固定部14〜16を構成するビス孔13a〜13lが、同一線上(図5における仮想線M1〜M4)にそれぞれ位置している。
【0042】
これにより、図6に示すように、配線ボックスBを固定片11において所望の位置に設置可能となるように位置合わせしたときに、配線ボックスBの短辺方向にて平行に形成されているいずれか一列の貫通孔BDが連結部17と一致したとしても、全てのボックス固定部14〜16の形成位置が同一であるため、残り1列の貫通孔BD(この例では、貫通孔BD4〜BD6)がビス孔13と一致することになる。したがって、6箇所中3箇所でビス12を螺入し、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することが可能となる。
【0043】
上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1)〜(4),(6)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(7)第1の実施形態におけるボックス固定具10と比較すると、確実に3箇所でビス12をビス孔13に螺入することが可能となるので、より強固に固定片11に配線ボックスBを固定することができる。
【0044】
(第3の実施形態)
次に、本発明の配線ボックス固定装置を具体化した第3の実施形態を図7〜図9にしたがって説明する。第3の実施形態では、ボックス固定部の数を単数としている。
【0045】
最初に、配線ボックスBについて説明する。
図7に示すように、配線ボックスBの長辺方向に沿った長さの中間点を通る直線(中心線N)上に、3つの貫通孔BD7〜BD9が形成されている。これにより、第1の実施形態及び第2の実施形態における貫通孔BDの間隔(ピッチ)よりも、第3の実施形態における貫通孔BDの間隔(ピッチ)の方が狭いことになる。
【0046】
次に、ボックス固定具10について説明する。
図8に示すように、ボックス固定具10において、固定片11における幅方向に沿った長さの中央(中心線M上)には、固定片11の延設方向に沿って長孔形状に延びる複数(本実施形態では、4つ)のビス孔13(13a〜13d)が、該延設方向に断続的に形成されている。
【0047】
第3の実施形態のような配線ボックス固定装置Sでは、貫通孔BDのピッチがビス孔13のピッチと一致しておらず、かつ1つのビス孔13内に一致する貫通孔BDの数が1つであって、かつ下記の関係式に当てはまるのであれば、どのようなピッチを設定しても良い。
【0048】
配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔<ビス孔13の延設方向への長さの場合
配線ボックスBの短辺方向に沿った貫通孔BDの間隔+貫通孔BDの直径+貫通孔BDの直径>ビス孔13の延設方向への長さ…(2)
これにより、図9に示すように、配線ボックスBを固定片11において所望の位置に設置可能となるように位置合わせしたときに、配線ボックスBの短辺方向にて平行に形成されている3つの貫通孔BD7〜BD9のうちいずれか1つが連結部17と一致したとしても、残り2つの貫通孔BD(この例では、貫通孔BD8,BD9)がビス孔13b,13cとそれぞれ一致することになる。したがって、3箇所中2箇所でビス12を螺入し、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することが可能となる。
【0049】
上記第3の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の(1),(2),(4),(6)と同様の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(8)第3の実施形態における配線ボックス固定装置Sでは、第1,第2の実施形態におけるビス孔13及び貫通孔BDの個数よりもその個数を少なくした。このような場合であっても、少なくとも2箇所において貫通孔BDからビス孔13にビス12を螺入して、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することができる。したがって、第1,第2の実施形態における配線ボックス固定装置Sよりも形成する孔が少ない分だけ、部品製造の簡略化に貢献することができることに加え、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することができる。
【0050】
なお、各実施形態は以下のように変更しても良い。
・ 第1,第2の実施形態において、ボックス固定部14〜16の個数は3つに限られない。
【0051】
・ 第1,第2の実施形態において、配線ボックスBにおける貫通孔BDの形成位置は、図10に示すように、中心線L上に2つ、中心線N上に2つとし、貫通孔BDを略菱形状に配置しても良い。このような場合であっても、図11に示すように、配線ボックスBを固定片11において所望の位置に設置可能となるように位置合わせしたときに、4つの貫通孔BD10〜BD13のうちいずれか1つが連結部17と一致したとしても、残り3つの貫通孔BD(この例では、貫通孔BD11〜BD13)がビス孔13c,13f,13jとそれぞれ一致することになる。したがって、4箇所中3箇所でビス12を螺入し、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することが可能となる。
【0052】
・ 各実施形態において、ボックス固定具10の固定片11におけるビス孔13を、四角形状や三角形状など、長孔形状とは異なる形状としても良い。例えば、図12に示すように、丸孔形状としても良い。このような場合、ビス孔13の開口幅が前記実施形態よりも狭いため、連結部17を短くして、ビス孔13の個数を前記実施形態におけるビス孔13の個数よりも多く形成することができる。このような場合であっても、図13に示すように、配線ボックスBに形成された複数のビス孔13のうち、少なくとも2箇所(この例では、貫通孔BD2,BD5)がビス孔13とそれぞれ一致することになる。したがって、6箇所中2箇所でビス12を螺入し、配線ボックスBをボックス固定具10に固定することが可能となる。
【0053】
・ 各実施形態において、ビス孔13を長孔形状とするが、固定片11の延設方向に沿った長さを少なくとも2箇所のボックス固定部又は各ボックス固定部で異ならせても良い。この場合、第1,第2実施形態のように、ボックス固定部が複数形成されているのであれば、連結部17の延設方向への長さを調節して、固定片11の幅方向に沿ったビス孔13の形成位置を揃えても良い。また、固定片11の延設方向に沿ったビス孔13の長さを少なくとも2箇所のボックス固定部又は各ボックス固定部で異ならせた上で、連結部17の延設方向への長さを全て同一の長さとしても良い。
【0054】
・ 各実施形態において、ビス孔13は、同一開口面積、かつ同一形状とするが、連結部17の延設方向に沿った長さを、少なくとも2箇所のボックス固定部又は各ボックス固定部で異ならせても良い。
【0055】
・ 各実施形態において、軽量間仕切壁W以外の建築物の壁(例えば、土壁)内に配線ボックスBを設置するため、例えば、造営材としての木柱にボックス固定具10を取り付けて配線ボックスBを配設しても良い。
【0056】
・ 各実施形態において、配設体は、有底箱状の配線ボックスではなく、貫通孔が形成されていれば、どのような配設体を配設体固定具に固定しても良い。例えば、管類・ケーブル類といった長尺物を軽量形鋼材に沿わせて配設するための長尺物保持具であっても良い。
【符号の説明】
【0057】
B…配設体としての配線ボックス、BD…貫通孔、P…造営材としての軽量形鋼材、S…配設体固定装置としての配線ボックス固定装置、W…壁としての軽量間仕切壁、10…配設体固定具としてのボックス固定具、11…固定片、12…ビス、13…ビス孔、14〜16…ボックス固定部、17…連結部、21…取付部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁内に配設される配設体と、前記壁を構築するため立設された造営材に取り付けられるとともに前記配設体が固定される配設体固定具と、からなり、
前記配設体固定具は、前記造営材に取り付けられる取付部と、該取付部から延設され前記配設体が固定される固定片を有し、
前記固定片には、前記配設体を貫通するビスが螺入されるビス孔が該固定片の延設方向に沿って複数形成されるとともに、該延設方向に隣り合う前記ビス孔の間には、ビス孔の対向する端縁を連結する連結部が設けられ、
前記配設体には、前記ビスが貫通する貫通孔が少なくとも3つ形成されており、
前記配設体を前記固定片に固定する際に、前記貫通孔のうち1つが前記連結部に重なる場合に、他の少なくとも2つの前記貫通孔が前記連結部に重なることなく、前記ビスを前記ビス孔に螺合可能に形成されてなる配設体固定装置。
【請求項2】
前記ビス孔は、前記固定片の延設方向に延びる長孔で形成されてなる請求項1に記載の配設体固定装置。
【請求項3】
前記ビス孔は、前記固定片の延設方向に直交する幅方向に複数段をなして形成される請求項1又は請求項2に記載の配設体固定装置。
【請求項4】
前記固定片の延設方向に沿った前記連結部のピッチと、前記固定片に前記配設体を固定した状態における前記貫通孔のピッチとが異なる請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の配設体固定装置。
【請求項5】
前記固定片の延設方向に直交する幅方向に複数段をなして形成されたビス孔のうち少なくとも2段において、前記幅方向に沿った前記連結部の形成位置をそれぞれ異ならせてなる請求項3に記載の配設体固定装置。
【請求項1】
建築物の壁内に配設される配設体と、前記壁を構築するため立設された造営材に取り付けられるとともに前記配設体が固定される配設体固定具と、からなり、
前記配設体固定具は、前記造営材に取り付けられる取付部と、該取付部から延設され前記配設体が固定される固定片を有し、
前記固定片には、前記配設体を貫通するビスが螺入されるビス孔が該固定片の延設方向に沿って複数形成されるとともに、該延設方向に隣り合う前記ビス孔の間には、ビス孔の対向する端縁を連結する連結部が設けられ、
前記配設体には、前記ビスが貫通する貫通孔が少なくとも3つ形成されており、
前記配設体を前記固定片に固定する際に、前記貫通孔のうち1つが前記連結部に重なる場合に、他の少なくとも2つの前記貫通孔が前記連結部に重なることなく、前記ビスを前記ビス孔に螺合可能に形成されてなる配設体固定装置。
【請求項2】
前記ビス孔は、前記固定片の延設方向に延びる長孔で形成されてなる請求項1に記載の配設体固定装置。
【請求項3】
前記ビス孔は、前記固定片の延設方向に直交する幅方向に複数段をなして形成される請求項1又は請求項2に記載の配設体固定装置。
【請求項4】
前記固定片の延設方向に沿った前記連結部のピッチと、前記固定片に前記配設体を固定した状態における前記貫通孔のピッチとが異なる請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の配設体固定装置。
【請求項5】
前記固定片の延設方向に直交する幅方向に複数段をなして形成されたビス孔のうち少なくとも2段において、前記幅方向に沿った前記連結部の形成位置をそれぞれ異ならせてなる請求項3に記載の配設体固定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−81342(P2013−81342A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221222(P2011−221222)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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