説明

酒造用精米機

【課題】精白ロールの研削効率を高めた循環式堅型の酒造用精米機を提供する。
【解決手段】循環式堅型の酒造用精米機であって、竪配置された精白ロール11が外筒15内に配置されており、精白ロール11の外周面と外筒15の内周面との間に隙間16が形成され、隙間16に、米粒が繰り返し供給されて米粒が精白ロール11で研削され、精白ロール11の外周面は、円環状の溝19が形成されており、かつダイヤモンド砥粒が固着されている。このことにより、精白ロール11の外周面の形状を通常の金剛ロールの外周面の形状と同様にしながらも、研削面にダイヤモンド砥粒を固着させることにより、精白ロール11の米粒に対する切れを向上させて研削効率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粒を竪配置された精白ロールで繰り返し研削して精米する循環式堅型の酒造用精米機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、精白ロールの回転により米粒を研削する精米機が知られている。精米機には、飯米用精米機と酒造用精米機とがある。飯米用精米機と酒造用精米機とでは、精白ロールの役割が異なっている。これは、酒造用の米粒は飯米用の米粒に比べ、精米歩合を高める必要があるためである。例えば下記特許文献1の精米機は飯米用を前提としたものである(特許文献1の段落[0002])。特許文献1の精米機では、研削ロール(精白ロールに相当)は玄米の表面部分を削るに止まり、続く摩擦ロールにより糠を除去して白米にする(特許文献1の段落[0015])。
【0003】
酒造用精米機は、循環式堅型が一般的であり(例えば下記特許文献2)、米粒を竪配置された精白ロールで多数回かつ長時間に亘り繰り返し研削する。このように米粒を繰り返し研削することにより、米粒の精米歩合が高められる。循環式堅型の酒造用精米機では精白ロールとして、金剛砂(炭化ケイ素)を焼き固めて形成した金剛ロールが用いられる。循環式堅型の酒造用精米機では、前記の金剛ロールを用いた仕様が確立されている。
【0004】
これに対し、飯米用精米機においては、金剛ロール以外の精白ロールを用いることが提案されている。特許文献1には、研削ロールの外周面に、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒を多数固設することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−259446号公報
【特許文献2】特開平7−308593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において、研削ロールの外周面に工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒を用いるのは、「研削型精米機の研削ロールは金剛砂を使用しているため製造上の制約が多く、精密な加工ができず、形も限定されていた」(特許文献1の段落[0002])ためである。したがって、特許文献1では、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒は、「精密な加工が可能となり所望の研削ロールを製作することができる」(特許文献1の段落[0021])ことに着眼して用いている。
【0007】
すなわち、特許文献1の記載によれば、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒は、所望のロール形状を製作するための一手段である。このため、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒を用いるのは、研削ロールの表面が単純な円筒面ではなく、特許文献1に記載のある螺旋形状(特許文献1の図2)やロール軸方向に伸びた凸状突起(特許文献1の図4)を設ける場合に有効になる。
【0008】
このため、すでに確立された金剛ロールの研削面の形状を用いる場合は、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒を用いる必要性は生じない。また、特許文献1に記載のある前記の螺旋形状やロール軸方向に伸びた凸状突起は、循環式堅型の酒造用精米機の精白ロールの形状として適したものではなかった。
【0009】
一方、仕様の確立されている循環式堅型の酒造用精米機の精白ロールにおいても、研削効率を高めて改善を図ることが望ましい。しかし、前記の通り特許文献1の記載は、循環式堅型の酒造用精米機に用いる精白ロールの改善を図るための技術を示唆するものではなかった。
【0010】
本発明は、循環式堅型の酒造用精米機に用いられる精白ロールの研削効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の酒造用精米機は、循環式堅型の酒造用精米機であって、竪配置された精白ロールが外筒内に配置されており、前記精白ロールの外周面と前記外筒の内周面との間に隙間が形成され、前記隙間に、米粒が繰り返し供給されて米粒が前記精白ロールで研削され、前記精白ロールの外周面は、円環状の溝が形成されており、かつダイヤモンド砥粒が固着されていることを特徴とする。
【0012】
この構成は、精白ロールの外周面に、循環式堅型の酒造用精米機に用いる金剛ロールと同様に円環状の溝を形成し、かつダイヤモンド砥粒を固着したものである。前記本発明の構成によれば、精白ロールの外周面の形状を前記のような金剛ロールの外周面の形状と同様にしながらも、研削面にダイヤモンド砥粒を固着させることにより、精白ロールの米粒に対する切れを向上させて研削効率を高めることができる。また、研削効率が高まることにより、精白ロールを小型化しても必要な研削効率を確保でき、精白ロールの軽量化を図ることができ、あわせて省力化を実現できる。
【0013】
前記精白ロールは中空体であり側面部を円筒体で構成し、前記精白ロールを回転軸に取り付けた状態で、前記円筒体の内周面と回転軸との間に中空空間を形成することが好ましい。この構成によれば、精白ロールの軽量化を図ることができる。すなわち、本発明の精白ロールは、外周面にダイヤモンド砥粒を固着したものであるので、外周面の形状が確保されていれば、内側は中空とすることができる。
【0014】
前記円筒体は、内周面を外周面に沿った形状にしていることが好ましい。この構成によれば、精白ロールの軽量化により有利になる。
【0015】
前記円筒体は金属で形成しており、前記金属の板厚は3〜15mmの範囲内であることが好ましい。この構成は、円筒体を薄肉体に成形するのに適しており、前記のような板厚の範囲内であれば、強度を確保しつつ軽量化を図ることができる。円筒体は例えば鋳物でもよく、削り出しによって形成してもよい。
【0016】
前記円環状の溝の数は、3つ以内であることが好ましい。この構成は、循環式堅型の酒造用精米機の金剛ロールの構成として、より適している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、精白ロールの外周面の形状を通常の金剛ロールの外周面の形状と同様にしながらも、研削面にダイヤモンド砥粒を固着させることにより、精白ロールの米粒に対する切れを向上させて研削効率を高めることができる。また、研削効率が高まることにより、精白ロールを小型化しても必要な研削効率を確保でき、精白ロールの軽量化を図ることができ、あわせて省力化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る酒造用精米機の概略構成図。
【図2】図1に示した酒造用精米機の精白室内部の要部を示す拡大断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る精白ロールの拡大斜視図。
【図4】図3のAA断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る酒造用精米機1の概略構成図を示している。図2は図1に示した酒造用精米機1の精白室3内部の要部を示す拡大断面図である。最初に図1及び図2を参照しながら、酒造用精米機1の概略構成について説明する。酒造用精米機1は、米粒を蓄積する精米タンク2、精米タンク2から落下した米粒を精白する精白室3、精白室3で精白された米粒を下方に導く万石4、万石4からの米粒を精米タンク2に向けて搬送する昇降機5を主要部としている。
【0020】
酒造用精米機1の運転開始時には、昇降機5に取り付けられた供給口6から精米対象の米粒が昇降機5内に供給される。昇降機5はベルト9を備えており、ベルト9には多数のバケット7が取り付けられている。ベルト9の下降と一体に、バケット7が昇降機5の下部に順次送られてくる。バケット7は開口8を備えており、バケット7はベルト9と一体に移動しつつ、米粒を開口8側からすくい上げる。このことにより、バケット7内に米粒が充填される。
【0021】
米粒が充填されたバケット7は、ベルト9の移動と一体に上昇する。ベルト9の上部において、バケット7の開口8から米粒が昇降機5に取り付けられた供給筒10に向けて投入される。供給筒10に投入された米粒は精米タンク2に供給され、精米タンク2内に米粒が一時的に蓄積される。
【0022】
精米タンク2内に蓄積された米粒は、自重により精白室3に向けて落下する(矢印a)。精白室3内には、竪配置された精白ロール11及び外筒15が配置されている。図2の拡大図に示したように、精白ロール11は外筒15内に包み込まれように配置されている。精白ロール11は回転軸17に取り付けられている。回転軸17にはプーリー18(図1)が固定されており、プーリー18に掛け合わされたベルト(図示せず)による駆動により、プーリー18及び回転軸17が回転し、これと一体に精白ロール11が回転する。
【0023】
精白ロール11の外周面と外筒15の内周面との間には、隙間16が形成されている。この隙間16に、精米タンク2から落下した米粒が投入される。詳細は後に説明するが、精白ロール11の外周面には、ダイヤモンド砥粒21(図4)を含むダイヤモンド砥粒層20(図3及び図4)が被覆されている。精白ロール11の回転により、米粒は隙間16において、ダイヤモンド砥粒21により研削される。
【0024】
隙間16を通過し研削された米粒は、排出口25を通過して精白室3から排出される。図1において、排出口25からの米粒は、排出筒23を経て万石4に供給される。万石4は、昇降機5の下部に向けて傾斜して配置されている。このため、万石4上の米粒は、万石4に沿って下方に運ばれて行く(矢印b)。万石4の底部は網状になっており、糠は網状の底部から落下する。落下した糠は、万石4の下部に設置された回収筒26を経て回収される。万石4によって下方に運ばれた米粒は、昇降機5に取り付けられた投入筒24を経て、昇降機5の下部に移送される。
【0025】
前記の一連の工程を経て、米粒は酒造用精米機1内を1循環し、米粒の1回分の研削が終了する。2回目の循環移動の経路は、1回目の循環移動の経路と同じであり、2回目の循環移動により、米粒に対し2回目の研削が実行される。
【0026】
以後、循環移動を繰り返す度に、米粒の研削回数が増して行く。精白ロール11による研削の効果で、玄米の糠が除去され玄米が白米になる。以後、研削回数が増すにつれて、白米の質量が減少し精米歩合が高まって行く。精米歩合は、白米のその玄米に対する質量の割合のことである。精米完了時における白米の質量が、精米当初に投入された玄米の質量の半分になっていれば、精米歩合は50%となる。
【0027】
飯米用の米粒の精米では、玄米から糠を除去して白米にするが、白米にした後の研削量は少なくても足りる。これに対し、酒造用の米粒は、玄米から糠を除去した程度の精米では足りず蛋白質や脂肪を減らし、米粒の中心部にある澱粉質の割合を高めたものとする必要がある。このため、酒造用の米粒は飯米用の米粒に比べ、精米歩合を高める必要がある。具体的には、飯米用の米粒の精米歩合は90%程度であるが、酒造用の米粒では30〜70%程度であり、30%未満とする場合もある。
【0028】
このことから、飯米用精米機と酒造用精米機とでは装置の仕様が異なっている。前記の通り特許文献1に記載の飯米用精米機では、精白ロールに相当する研削ロールは玄米の表面部分を削るに止まり、続く摩擦ロールにより糠を除去して白米にする。飯米用の米粒は精米歩合を高める必要はなく、通常は米粒を研削ロール及び摩擦ロールに供給する回数は一回で足りる。
【0029】
これに対し、酒造用精米機では本実施形態の酒造用精米機1のように、米粒は酒造用精米機1内を循環しつつ、繰り返し研削される。すなわち、酒造用精米機1では、必要量の米粒を投入した後は、新たな米粒が投入されるのではなく、初期投入時と同じ米粒に対し、必要な精米歩合となるまでの研削が繰り返えされる。このことにより、精米歩合を高め酒造に適した米粒が得られる。このため、酒造用精米機1では、米粒は精白ロール11で多数回かつ長時間に亘り研削される。
【0030】
したがって、飯米用精米機と酒造用精米機では精白ロールに求める性能が異なり、両精米機の精白ロール(研削ロール)の研削面の形状は異なったものとなる。前記特許文献1に記載の飯米用精米機では、前記の通り研削ロールの形状として、螺旋形状やロール軸方向に伸びた凸状突起を形成した形状が記載されているが、これらは循環式堅型の酒造用精米機には適したものではなかった。
【0031】
一方、酒造用精米機1のような循環式堅型の酒造用精米機では、精白ロールに金剛砂(炭化ケイ素)を焼き固めて形成した金剛ロールが用いられる。金剛ロールは硬度が高く、米粒に対する研削による切れも良好である。また、循環式堅型の酒造用精米機に用いる金剛ロールは、精米歩合を高め酒造に適した米粒を得るための研削面の形状が確立されている。
【0032】
具体的には、循環式堅型の酒造用精米機に用いる金剛ロールの研削面の形状は、図2に示した精白ロール11の円筒体12の外周面の形状と同様である。円筒体12の外周面には、2つの円環状の溝19が形成されている。円環状の溝19は、円筒体12の外周面において閉じている。すなわち、2つの溝19は螺旋溝を形成しているのではなく、それぞれ独立した1つの溝を構成している。図2では溝19は2つであるが、溝が1つや3つのものもある。いずれの場合も、円筒体12の表面における溝19の一つ分の占める割合が高くなり、螺旋溝が連続的に形成された仕様とは異なる。
【0033】
前記の通り、循環式堅型の酒造用精米機においては、精白ロールとして金剛ロールが用いられ研削面の形状も確立されている。このため、循環式堅型の酒造用精米機において、精白ロールを金剛ロール以外の精白ロールに置き換える必要性は無いとも考えられる。仮に、循環式堅型の酒造用精米機における精白ロールの改善を図ろうとすると、少なくとも新たな研削面の形状を導き出す等の抜本的な仕様変更が必要になることが予想される。
【0034】
飯米用精米機については、前記特許文献1に精白ロールに相当する研削ロールの仕様について記載がある。特許文献1記載の研削ロールは、研削ロールの外周面に工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒を用いている。しかしながら、前記の通り、特許文献1の記載によれば、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒は、所望のロール形状を製作するための一手段である。このため、すでに確立された金剛ロールの研削面の形状を用いる場合は、工業用ダイヤモンドのような超硬質砥粒を用いる必要性は生じない。
【0035】
これに対し、本願発明者は、試作・実験等を行い、循環式堅型の酒造用精米機に用いる精白ロールの改善を試みた。その結果、本願発明者は、研削面の形状は従来の金剛ロールの形状と同様としながらも、研削面にダイヤモンド砥粒を固着させることにより、金剛ロールによる研削に比べ研削効率を向上できることを見出した。本実施形態では、研削効率は、精白ロールの単位時間当たりの研削質量のことをいう。
【0036】
以下、本実施形態の精白ロール11の構成について、さらに具体的に説明する。図2において、精白ロール11は、外周形状を構成する円筒体12の上下に、それぞれ上蓋13、ロール受盤14を取り付けて形成している。前記の通り、円筒体12には、円筒体12の外周に沿った円環状の溝19が形成されており、円筒体12の表面形状は、循環式堅型の酒造用精米機の精白ロールとして用いられる金剛ロールの側面の表面形状と同様である。
【0037】
図3は、図2に示した精白ロール11の斜視図を示している。図4は図3のAA線における断面図を示している。図3及び図4では、図2において図示を省略したダイヤモンド砥粒層20を図示している。本実施形態の精白ロール11は、金剛ロールではなく、円筒体12の外周面の全体に亘りダイヤモンド砥粒層20を被覆して研削面を形成している。ダイヤモンド砥粒層20は電着により形成されている。図4に示したように、円筒体12の外周面に形成した金属メッキ層22により、ダイヤモンド砥粒21が円筒体12に固着されている。
【0038】
本願発明者は、本実施形態に係る精白ロール11を実施例とし、金剛ロールを比較例として実験確認を行なった。実施例と比較例とでは研削面の形状は同じである。実施例と比較例の相違点は、実施例の研削面がダイヤモンド砥粒層20であるのに対し、比較例の研削面は金剛砂である点である。
【0039】
比較実験の結果、実施例は比較例に比べ、同一精米歩合に達する時間が短縮されることが確認できた。このことから、実施例は比較例に比べ、米粒に対する切れが向上しているといえる。具体的には、実施例は比較例に比べ、研削効率が1.5〜2倍程度になることが確認できた。すなわち、実施例の単位時間当たりの研削質量は比較例に比べ最大2倍になる。
【0040】
すなわち、精白ロールにおいて研削面の形状が同一であっても、研削面をダイヤモンド砥粒層20で形成することにより、研削面を金剛砂で形成するよりも研削効率が大幅に高まることが分かった。また、精白ロール11は下記の通り軽量化を図ることもできた。
【0041】
金剛ロールは金剛砂の塊を加工して形成するので、質量が大きくなる。これに対し、本実施形態の精白ロール11は外周面にダイヤモンド砥粒層20を被覆したものであり、内側は中空とすることができる。このため、精白ロール11は中空体とし、円筒体12の内周面と回転軸17との間に中空空間を形成し軽量化を図っている。
【0042】
また、図2に示した円筒体12の外周面は円環状の溝19により凹凸形状を形成しており、内周面を外周面に沿った形状にしている。このことにより、円筒体12を薄肉体にでき軽量化を図ることができる。
【0043】
このように、円筒体12を薄肉体にするには、円筒体12を金属で形成することが好ましい。薄肉体の形成方法としては、例えば鋳物や削り出しが挙げられる。この場合、金属の板厚は3〜15mmの範囲内が好ましく、3〜13mmの範囲がより好ましい。このような板厚の範囲内であれば、強度を確保しつつ軽量化を図ることができる。また、円筒体11を複数の環状体を組み合わせて形成するようにすれば、各環状体の成形が容易になる。
【0044】
また、本実施形態の精白ロール11は、研削効率が向上することによっても、軽量化を図ることができる。すなわち、研削効率が向上する結果、精白ロール11を小型化しても、必要な研削効率が確保できることになる。実験の結果、直径26インチ(66cm)、質量182kgの金剛ロールと同等以上の研削効率を、直径20インチ(50.8cm)、質量45kgの精白ロール11で発揮させることができた。あわせて、精白ロール11の軽量化により、駆動電力を削減できるので省力化も実現できる。
【0045】
研削効率の向上に伴う別の効果として、米粒の品温上昇の抑制が確認できた。精米中は、図2に示した排出口25の開口面積を調整して米粒にかかる負荷を制御する。前記の通り、本実施形態の精白ロール11では、米粒の切れが向上するので、精米中の米粒の負荷を小さくすることができる。このことにより、米粒同士の摩擦が小さくなり、米粒の温度上昇が小さくなる。
【0046】
前記実施形態においては、ダイヤモンド砥粒層20を電着により形成した例で説明したが、ダイヤモンド砥粒21を精白ロール11の外周面に固着できればよく、他の手段を用いてもよい。また、図1に示した酒造用精米機1の全体構成は一例であり、循環式堅型の酒造用精米機であれば他の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 酒造用精米機
2 精米タンク
3 精白室
4 万石
5 昇降機
11 精白ロール
12 円筒体
15 外筒
16 隙間
20 ダイヤモンド砥粒層
21 ダイヤモンド砥粒
22 金属メッキ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環式堅型の酒造用精米機であって、
竪配置された精白ロールが外筒内に配置されており、
前記精白ロールの外周面と前記外筒の内周面との間に隙間が形成され、
前記隙間に、米粒が繰り返し供給されて米粒が前記精白ロールで研削され、
前記精白ロールの外周面は、円環状の溝が形成されており、かつダイヤモンド砥粒が固着されていることを特徴とする酒造用精米機。
【請求項2】
前記精白ロールは中空体であり側面部を円筒体で構成し、前記精白ロールを回転軸に取り付けた状態で、前記円筒体の内周面と回転軸との間に中空空間を形成する請求項1に記載の酒造用精米機。
【請求項3】
前記円筒体は、内周面を外周面に沿った形状にしている請求項2に記載の酒造用精米機。
【請求項4】
前記円筒体は金属で形成しており、前記金属の板厚は3〜15mmの範囲内である請求項2又は3に記載の酒造用精米機。
【請求項5】
前記円環状の溝の数は、3つ以内である請求項1から4のいずれかに記載の酒造用精米機。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−91036(P2013−91036A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235163(P2011−235163)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(592154721)新中野工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】