説明

酸化亜鉛超微粒子及びその製造方法

【課題】有機溶媒中での分散安定性に優れ、アルカリを実質的に含有しない酸化亜鉛超微粒子、その製造方法、並びにかかる酸化亜鉛超微粒子を含有する紫外線遮蔽性フィルムおよび帯電防止塗料を提供すること。
【解決手段】カルボン酸亜鉛塩とアルコールとの混合液(a)をアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)と混合及び/又は接触させて、該混合液(a)を加水分解することを特徴とする、1次粒子の平均粒子径が0.0005〜1.0μmである酸化亜鉛超微粒子の製造方法、かかる製造方法により得られる酸化亜鉛超微粒子、並びにかかる酸化亜鉛超微粒子を含有することを特徴とする紫外線遮蔽性フィルムおよび帯電防止塗料。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化亜鉛超微粒子、その製造方法、並びにかかる酸化亜鉛超微粒子を含有する紫外線遮蔽性フィルムおよび帯電防止塗料に関する。かかる酸化亜鉛超微粒子は、紫外線遮蔽性、導電性、蛍光特性に優れ、プラスチックスや化粧料等に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】地球上に届く太陽光(赤外線、可視光線、紫外線)のうち、5〜6%が紫外線である。紫外線は波長が短く、従ってエネルギーの高い電磁波であり、多くの物質に対して分解性をもち、生体に対しても障害を及ぼすことが知られている。紫外線遮蔽剤は、例えばプラスチックスに混練して紫外線による分解を防ぐ用途や、化粧料中に配合して皮膚を紫外線による炎症や皮膚癌から守る用途等に用いられている。このとき可視光線域での透明性を高めることによって、プラスチックスや化粧料が白っぽくなることを防ぐことができるため、可視光線域での透明性を維持しつつ、紫外線防御を行うことが望ましい。
【0003】有機化合物を有効成分として用いる紫外線遮蔽剤は、組成物の紫外線に対する特性吸収によりその透過を防ぐものであり、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系等がある。しかしながら、有機系の紫外線遮蔽剤は、紫外光を吸収すると同時にその作用を受けて分解したり、塗布後にブリードアウトしたりするという難点があり、このため経時的に遮蔽能が減衰する欠点をもつ。さらに化粧料への応用においては、人体への影響の点から配合できる種類、配合量にも規制があり、規制内で高い機能を発現させることが困難である。
【0004】一方、無機化合物を用いる紫外線遮蔽剤は、無機微粒子を組成物として配合し、組成物の紫外線に対する吸収能及び散乱能によってその透過を防ぐものであり、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等がある。このような無機系の紫外線遮蔽剤は、経時的な劣化や人体への影響が少ないという点で有機系遮蔽剤よりも優れている。しかし、有機系の紫外線遮蔽剤に対して、無機系は粒子形態であるので、従来から無機系は可視光域での高透明性を維持しつつ、紫外線防御を行うのは困難とされてきた。可視光線域での高透明性を維持しながらその紫外線域での遮蔽能を有効に発現させるためには、組成物を超微粒子化して高分散状態にし、紫外線散乱能を高める必要がある。しかし、超微粒子を用いる場合にはその凝集性に起因する超微粒子の分散安定性が問題となる。
【0005】さらに、無機系紫外線遮蔽剤を化粧料に使用する場合、有害な成分を極力低減させることが必要になるが、分散安定性を向上させるための表面処理剤や分散剤の種類にも規制があり、規制内で分散安定化を図ることは困難であった。酸化亜鉛超微粒子の製造方法には、これまで乾式法と湿式法があった。このうち乾式法では、例えば特開平7−118133号公報に開示されているように、溶融された金属亜鉛を加熱、酸化する方法である。しかし乾式法で得られる酸化亜鉛超微粒子は、有機溶媒中での分散安定性が充分ではなかった。一方、湿式法では、特開平4−357114号公報に開示されているように、亜鉛塩をアルカリ性下で加水分解して得る方法や、Journal of Physical Chemistry 、96巻、11086〜11091頁に報告されているように、酢酸亜鉛をエタノールに溶解させてエタノール溶液を得た後、水酸化リチウムにより加水分解して得る方法がある。しかしこれらの場合、アルカリが残留してしまうため、化粧料等の分野への利用が制限されるといった問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的は、有機溶媒中での分散安定性に優れ、アルカリを実質的に含有しない酸化亜鉛超微粒子、その製造方法、並びにかかる酸化亜鉛超微粒子を含有する紫外線遮蔽性フィルムおよび帯電防止塗料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、アシルオキシ基を有することにより、酸化亜鉛超微粒子の有機溶媒中での分散安定性が著しく向上することを見出した。さらに、このような粒子を製造するために、触媒としてアンモニアを使用して酸化亜鉛超微粒子を生成させた後、アンモニアを留去することにより、従来法とは異なり実質的にアルカリを含有しない酸化亜鉛超微粒子ができることを見出した。さらに、このような粒子を焼成することにより、従来法より導電性の優れた酸化亜鉛超微粒子ができることを見出した。本発明は、かかる発見に基づきさらに研究を行った結果、完成するに至ったものである。
【0008】即ち、本発明の要旨は、(1) カルボン酸亜鉛塩とアルコールとの混合液(a)をアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)と混合及び/又は接触させて、該混合液(a)を加水分解することを特徴とする、1次粒子の平均粒子径が0.0005〜1.0μmである酸化亜鉛超微粒子の製造方法、(2) 混合液(a)を加熱した後、アンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)と混合及び/又は接触させることを特徴とする前記(1)記載の製造方法、(3) 混合液(a)を生成させる際の温度が30〜160℃であることを特徴とする前記(1)または(2)記載の製造方法、(4) 混合液(a)とアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)とを混合及び/又は接触させる際の反応温度が−20〜100℃であることを特徴とする前記(1)〜(3)いずれか記載の製造方法、(5) 混合液(a)とアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)とを混合及び/又は接触させた後、アンモニアを留去することを特徴とする前記(1)〜(4)いずれか記載の製造方法、(6) 混合液(a)とアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)とを混合及び/又は接触させ、アンモニアを留去した後、さらに焼成することを特徴とする前記(1)〜(5)いずれか記載の製造方法、(7) 前記(1)〜(6)いずれか記載の製造方法により得られる1次粒子の平均粒子径が0.0005〜1.0μmであることを特徴とする酸化亜鉛超微粒子、(8) アシルオキシ基を有することを特徴とする前記(7)記載の酸化亜鉛超微粒子、(9) 炭素数1〜3のアルコール溶媒中に0.1重量%の酸化亜鉛超微粒子を懸濁させ、光路長1mmの光学セルを用いて紫外可視分光分析により光透過率を測定したとき、波長320nmにおいて透過率40%以下、かつ波長500nmにおいて透過率70%以上であることを特徴とする前記(7)または(8)記載の酸化亜鉛超微粒子、(10) 体積電気抵抗が1×108 Ωcm以下であることを特徴とする前記(7)〜(9)いずれか記載の酸化亜鉛超微粒子、(11) 酸化亜鉛薄膜を形成させ、分光蛍光光度計により蛍光スペクトルを測定したとき、蛍光強度が最大となる波長が400〜700nmの範囲内にあることを特徴とする前記(7)〜(10)いずれか記載の酸化亜鉛超微粒子、(12) 前記(7)〜(11)いずれか記載の酸化亜鉛超微粒子を含有することを特徴とする紫外線遮蔽性フィルム、ならびに(13) 前記(7)〜(11)いずれか記載の酸化亜鉛超微粒子を含有することを特徴とする帯電防止塗料に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説明する。本発明の1次粒子の平均粒子径が0.0005〜1.0μmである酸化亜鉛超微粒子の製造方法は、カルボン酸亜鉛塩とアルコールとの混合液(a)をアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)と混合及び/又は接触させて、該混合液(a)を加水分解することを特徴とするものである。
【0010】まず、カルボン酸亜鉛塩とアルコールとの混合液(以下、混合液という)(a)について説明する。該混合液(a)はカルボン酸亜鉛塩とアルコールとを混合して得ることができるが、好ましくは加熱し、さらに好ましくは加熱した状態を維持する熟成工程を経て使用する。該混合液(a)を加熱する工程の詳細な機構はまだ明らかではないが、亜鉛のアルコキシド型の化合物が生成して前駆体となっていると考えられる(Journal of Physical Chemistry 、96巻、11086〜11091頁)。また、混合液(a)はカルボン酸亜鉛塩がアルコールに溶解した溶液であってもよく、または溶解していないものであってもよい。本発明に使用されるカルボン酸亜鉛塩は、特に限定されず、炭素数1〜20の飽和または不飽和の脂肪族カルボン酸亜鉛塩、炭素数7〜12の飽和または不飽和の炭素環式カルボン酸亜鉛塩、複素環式カルボン酸亜鉛塩のいずれでもよい。また、これらのカルボン酸亜鉛塩は、水酸基、スルホン基、カルボニル基等の官能基を有していても良い。また、溶媒中でこれらのカルボン酸亜鉛塩が生成するように、対応するカルボン酸と亜鉛の水酸化物または亜鉛塩を使用してもよい。
【0011】従って、本発明に使用されるカルボン酸亜鉛塩としては、例えば飽和脂肪族カルボン酸亜鉛塩としては、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、酪酸亜鉛、イソ酪酸亜鉛、吉草酸亜鉛、イソ吉草酸亜鉛、ピバル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等が、挙げられる。不飽和脂肪族カルボン酸亜鉛塩としては、アクリル酸亜鉛、プロピオール酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、クロトン酸亜鉛、イソクロトン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、エライジン酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、フマル酸亜鉛、シトラコン酸亜鉛、メサコン酸亜鉛等が、挙げられる。飽和炭素環式カルボン酸亜鉛塩としては、ショウノウ酸亜鉛等が、挙げられる。不飽和炭素環式カルボン酸亜鉛塩としては、安息香酸亜鉛、フタル酸亜鉛、イソフタル酸亜鉛、テレフタル酸亜鉛、ナフトエ酸亜鉛、トルイル酸亜鉛、ヒドロアトロパ酸亜鉛、アトロパ酸亜鉛、ケイ皮酸亜鉛等が、挙げられる。複素環式カルボン酸亜鉛塩としては、フロ酸亜鉛、テノイル酸亜鉛、ニコチン酸亜鉛、イソニコチン酸亜鉛等が、挙げられる。官能基を有するカルボン酸亜鉛塩としては、乳酸亜鉛、クエン酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、アセチルアセトン亜鉛等が、またはこれらの混合物が挙げられる。これらの亜鉛塩は、水和物、非水和物いずれも使用することができる。
【0012】本発明に使用されるアルコールとしては、特に限定されないが、炭素数1〜10のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等、またはこれらの混合物が挙げられ、これらのアルコール中には水分が含まれていても良い。
【0013】カルボン酸亜鉛塩とアルコールとの混合液(a)を調製し、またはさらに加熱する際の温度は好ましくは30〜160℃、さらに好ましくは30〜150℃、特に好ましくは50〜90℃である。30℃より低い温度では、カルボン酸亜鉛塩が十分に溶解せず、160℃より高い温度では、使用するアルコールにもよるが、耐圧容器が必要になる等、設備上の負荷が大きくなる。加熱時間は温度等によっても異なるが、通常5分〜5時間程度である。また、加熱時のカルボン酸亜鉛塩の濃度は、加熱温度でのアルコールに対する溶解度以下であれば好ましく、具体的には、0.001〜10モル/リットルが好ましく、さらに好ましくは0.01〜1モル/リットルである。
【0014】次いで、混合液(a)をアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)と混合及び/又は接触させて、該混合液(a)を加水分解する工程について説明する。
【0015】本発明において、アンモニアを含有する物質としては、特に限定されないが、例えば、アンモニアガス、アンモニアと窒素、アルゴン等の不活性ガスとの混合ガスや、アンモニアを溶解した水、アルコール等が挙げられる。また、アンモニアを発生する物質としては、特に限定されないが、例えば、尿素等が挙げられる。アンモニアガスやアンモニアと不活性ガスとの混合ガスを用いる場合、アンモニアの25℃における流入量は、カルボン酸亜鉛塩1モルに対して好ましくは0.1〜100モル(標準状態で2.24〜2240リットル)、さらに好ましくは0.5〜20モル(標準状態で11.2〜448リットル)である。また、アンモニアを溶解した水、アルコール等や、尿素等を用いる場合、実質的なアンモニアの添加量は、カルボン酸亜鉛塩1モルに対して、好ましくは0.1〜100モルである。アンモニアの添加量が少ないと、得られる酸化亜鉛超微粒子の蛍光強度が弱くなり、かつカルボン酸亜鉛塩が酸化亜鉛に転化される割合が低くなる。
【0016】本発明において水は、加水分解に必要な量を確保できる程度を使用すればよく、添加量が多すぎると、得られる酸化亜鉛超微粒子の粒子径が大きくなり、また分散安定性が低くなり、かつカルボン酸亜鉛塩が酸化亜鉛に転化される割合が低くなる。
【0017】混合液(a)とアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)とを混合及び/又は接触させる際の反応温度は、好ましくは−20〜100℃、さらに好ましくは0〜50℃である。−20℃より低い温度では、混合液(a)の加水分解による酸化亜鉛超微粒子の生成が十分に進行せず、100℃より高い温度では、生成した酸化亜鉛超微粒子が凝集し、十分な分散安定性が発揮されない。反応時間は反応温度等によっても異なるが、通常5分〜5時間程度である。
【0018】このようにして得られる本発明の酸化亜鉛超微粒子はアルコール分散体(以下、分散体という)として、そのまま使用することも可能であるが、粉末として使用する場合は、混合液(a)とアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)とを混合及び/又は接触させた後、アンモニアをアルコールと共に留去させる必要がある。これは、通常の加熱及び/又は減圧操作により行われる。
【0019】このようにして得られる本発明の酸化亜鉛超微粒子は、カルボン酸由来のアシルオキシ基を有するものである。アシルオキシ基を有することにより、本発明の酸化亜鉛超微粒子の有機溶媒中での分散安定性が著しく向上する。また、上述の如く酸化亜鉛超微粒子を分散体として用いる場合、該分散体は分散安定性に優れ、少なくとも24時間以上安定で沈殿のみられないものである。なお、アシルオキシ基は、アンモニアを留去する際の温度が200℃以下であれば脱離しないので、粉末をアルコールに再分散させて分散安定性に優れた分散体を調製することもできる。
【0020】さらに、本発明の酸化亜鉛超微粒子は、1次粒子の平均粒子径が好ましくは0.0005〜1.0μm、さらに好ましくは0.001〜0.1μm、特に好ましくは0.005〜0.1μmである。ここで平均粒子径は、例えば透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。1次粒子の平均粒子径が1.0μmより大きいと、分散安定性が低下し、可視光域での高透明性を維持しつつ紫外線遮蔽性を示すこと等の特性も低下してしまい、0.0005μmより小さい粒子は、工業的に製造することが困難であり実用的でない。
【0021】また、本発明の酸化亜鉛超微粒子は、触媒としてアンモニアを使用して酸化亜鉛超微粒子を生成させた後、アンモニアを留去することにより、実質的にアルカリを含有しないものとなる。即ち、アルカリ成分であるアルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニア由来の窒素分は、いずれも確認できないレベルとなる。
【0022】本発明の酸化亜鉛超微粒子は、さらに、高温で焼成することにより導電性を向上させることが可能である。この場合焼成雰囲気は特に限定されず、空気雰囲気中、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中および水素や炭素共存下等の還元性雰囲気中、いずれも可能である。焼成温度は好ましくは400〜1000℃、さらに好ましくは500〜900℃の温度範囲で加熱することにより、体積電気抵抗を低下させ所望の導電性が得られる。焼成温度が400℃より低い温度では焼成の効果が得られず、1000℃より高い温度では酸化亜鉛超微粒子が凝集し、塗料や樹脂中での分散も困難になる。
【0023】本発明の酸化亜鉛超微粒子の光学特性は、例えば、紫外線・可視光分光分析による光透過率の測定により、その定量化が可能である。本発明の酸化亜鉛超微粒子の紫外線遮蔽能は、炭素数1〜3のアルコール溶媒中に0.1重量%の酸化亜鉛超微粒子を懸濁させ、光路長1mmの光学セルを用いて紫外可視分光分析により光透過率を測定したとき、好ましくは波長320nmにおいて透過率40%以下、かつ波長500nmにおいて透過率70%以上であり、さらに好ましくは波長320nmにおいて透過率30%以下、かつ波長500nmにおいて透過率80%以上である。この性能により、特に可視光線域での高透明性を満足させるとともに紫外域での高遮蔽性を満足させ、紫外線遮蔽剤として好適に利用することができる。
【0024】このような紫外線・可視光分光分析による評価は、具体的には以下のようにして行われる。酸化亜鉛超微粒子分散体又は粉末をその合成時に使用したアルコールに加えて懸濁し、固形分濃度が0.1重量%の酸化亜鉛超微粒子懸濁液を調製する。懸濁液が均一になるように、攪拌するとともに超音波分散器等を用いて酸化亜鉛超微粒子をよく分散させる。光路長1mmの光学セルを用意し、この中に懸濁液を満たす。光学セルは紫外及び可視光線域で吸収や散乱のないもので、例えば石英セル等が用いられる。紫外可視分光光度計を用いてこの光学セルを透過する光の透過率を測定する。このとき同等の光学セルに酸化亜鉛超微粒子懸濁前のアルコールのみ満たしたものを対照として用い、バックグラウンドの除去を行う。
【0025】本発明の酸化亜鉛超微粒子の電気抵抗特性は、例えば、体積電気抵抗の測定によりその定量化が可能である。本発明の酸化亜鉛超微粒子の電気抵抗特性は、体積電気抵抗が好ましくは1×108 Ωcm以下、さらに好ましくは1×107 Ωcm以下、特に好ましくは1×106 Ωcm以下である。体積電気抵抗が1×108 Ωcmを超えると、例えば、プラスチック等が帯電するのを防止する効果が期待できなくなる。また、上述の如く、本発明の酸化亜鉛超微粒子をさらに焼成することにより、その体積電気抵抗を好ましくは1×106 Ωcm以下、さらに好ましくは1×105 Ωcm以下、特に好ましくは1×104 Ωcm以下に低下させることが可能となる。このような体積電気抵抗による評価は、具体的には後述の実施例で示すように100kg/cm2 以上の圧力で酸化亜鉛微粒子を圧密化して直流電源印加後の電気抵抗を測定することにより行われる。従って、本発明の酸化亜鉛超微粒子は、従来法で得られる酸化亜鉛微粒子よりも体積電気抵抗が低いものであり、かかる酸化亜鉛超微粒子は焼成することにより、さらに体積電気抵抗を低下させることができる。
【0026】本発明の酸化亜鉛超微粒子の蛍光特性は、例えば、分光蛍光光度計による蛍光強度の測定により、その定量化が可能である。本発明の酸化亜鉛超微粒子の蛍光特性は、膜厚0.01〜10.0μmの酸化亜鉛薄膜を形成させ、分光蛍光光度計により蛍光スペクトルを測定したとき、蛍光強度が最大となる波長が好ましくは400〜700nmの範囲内、さらに好ましくは450〜650nmの範囲内である。この性能により、可視光線域での蛍光を発することにより、化学センサー等に利用することができる。
【0027】このような分光蛍光光度計による評価は、具体的には以下の例のようにして行われる。酸化亜鉛超微粒子を含有するコロイドに、石英等のスライドを浸漬させ、10〜20cm/分の速度で引き上げるか、あるいは酸化亜鉛超微粒子を含有するコロイドを、500〜2000rpmで回転する円盤上に数滴滴下する。このようにして得られるコロイド膜を、窒素気流下で乾燥させ、場合により焼成させて膜厚0.01〜10.0μmの酸化亜鉛超微粒子薄膜を形成させる。分光蛍光光度計を用いて薄膜(蛍光強度が最大となる波長は膜厚に依存しない)に紫外光を照射し酸化亜鉛超微粒子を励起させ、励起光と蛍光により発生する光の波長とその強度を測定する。このとき測定雰囲気ガス(通常は空気)を対照として用い、バックグラウンドの除去を行う。
【0028】本発明の酸化亜鉛超微粒子は、紫外線遮蔽性、導電性、蛍光特性に優れていることから、帯電すると不具合を生じる用途に使用されるプラスチックスや化粧料等に利用することができ、特に本発明の酸化亜鉛超微粒子を含有する紫外線遮蔽性フィルムは、可視光域での高透明性を維持しつつ、紫外線を防御することができる。
【0029】また、本発明の酸化亜鉛超微粒子を含有する帯電防止塗料は、該酸化亜鉛超微粒子と樹脂バインダーとを混合機を用いて混合することにより調製することができる。
【0030】本発明における樹脂バインダーとしては、通常塗料用樹脂として使用されているものが使用でき、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、UV硬化樹脂等が挙げられる。
【0031】本発明の塗料における酸化亜鉛微粒子の添加量は、樹脂バインダー100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは10〜100重量部であることが望ましい。本発明においては、さらに、顔料、溶剤、可塑剤、分散剤等の公知の各種添加剤を加えてもよい。
【0032】本発明の酸化亜鉛微粒子と前記樹脂バインダーとを混合する際に使用される混合機としては、通常、塗料用混合機として使用されているものであれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ホモミキサー、サンドミル等が挙げられる。
【0033】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0034】実施例1酢酸亜鉛2水和物(特級試薬、和光純薬工業(株)製)2.19g(11.9ミリモル)及びエタノール(特級試薬、和光純薬工業(株)製)を混合して100mlとし、原料液とした(即ち、当該原料液の酢酸亜鉛の濃度は0.1mol/リットルである)。この原料液を78℃に昇温後、20ml/時間の速度でエタノール60mlを3時間かけて留出させ、40mlの酢酸亜鉛エタノール溶液を得た。
【0035】続いて当該溶液に60mlのエタノールを加えて100mlとし、30℃の超音波洗浄器中でアンモニア/窒素混合ガス(アンモニア濃度10%)500ml/分を40分間スパージャーを用いて吹き込み(酢酸亜鉛1モルに対するアンモニアの流入量:8モル)、酸化亜鉛超微粒子コロイドを得た。
【0036】得られたコロイドは透明で、1ヶ月間安定であった。透過型電子顕微鏡を用いて観察した結果、粒度分布のそろった球状粒子であり、平均粒子径は0.006μmであった。得られたコロイドをエタノールで希釈して酸化亜鉛超微粒子が0.1重量%となるよう希釈コロイド液2gを調製した。これについて紫外可視分光光度計(UV−160A、(株)島津製作所製)により光透過率を測定した。光路長1mmの石英セルを用いて波長域200〜800nmでの光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率24%であり、波長500nmにおいて透過率99%であった。
【0037】さらに得られたコロイドに、25mm×75mmの石英スライドを浸漬させ、16.3cm/分の速度で引き上げた後、窒素気流下で乾燥させ、酸化亜鉛超微粒子薄膜を形成させた。この場合の酸化亜鉛超微粒子薄膜の膜厚は0.3μmであった。分光蛍光光度計(FP−777、日本分光(株)製)による測定の結果、蛍光強度が最大となる波長は570nmであった。
【0038】実施例2酢酸亜鉛2水和物(特級試薬、和光純薬工業(株)製)1.10g(6.00ミリモル)及びメタノール(特級試薬、和光純薬工業(株)製)を混合して100mlとし、溶液を得る工程における温度、時間を50℃、5時間として、メタノールの留出を行わなかったこと以外は、実施例1と同様な実験を行った(酢酸亜鉛1モルに対するアンモニアの流入量:16モル)ところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.002μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率38%、波長500nmにおいて透過率84%であり、蛍光強度が最大となる波長は520nmであった。
【0039】実施例3ステアリン酸亜鉛(化学用試薬、和光純薬工業(株)製)0.63g(1.00ミリモル)及びイソプロピルアルコール(特級試薬、和光純薬工業(株)製)を混合して100mlとし、溶液を得る工程における温度、時間を82℃、1時間とした以外は、実施例1と同様な実験を行った(ステアリン酸亜鉛1モルに対するアンモニアの流入量:80モル)ところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.010μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率33%、波長500nmにおいて透過率72%であり、蛍光強度が最大となる波長は470nmであった。
【0040】実施例4アンモニアガスを吹き込む工程において、アンモニアガス濃度を2.5%とした(酢酸亜鉛1モルに対するアンモニアの流入量:2モル)以外は、実施例1と同様な実験を行ったところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.007μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率22%、波長500nmにおいて透過率99%であり、蛍光強度が最大となる波長は574nmであった。
【0041】実施例5アンモニアガスを吹き込む工程において、アンモニアガス濃度を5%とした(酢酸亜鉛1モルに対するアンモニアの流入量:4モル)以外は、実施例1と同様な実験を行ったところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.005μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率21%、波長500nmにおいて透過率99%であり、蛍光強度が最大となる波長は569nmであった。
【0042】実施例6アンモニアガスを吹き込む工程において、アンモニア/窒素混合ガス吹き込み時間を20分間とした(酢酸亜鉛1モルに対するアンモニアの流入量:4モル)以外は、実施例1と同様な実験を行ったところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.006μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率19%、波長500nmにおいて透過率99%であり、蛍光強度が最大となる波長は569nmであった。
【0043】実施例7アンモニアガスを吹き込む工程において、アンモニア/窒素混合吹き込み時間を60分間とした(酢酸亜鉛1モルに対するアンモニアの流入量:12モル)以外は、実施例1と同様な実験を行ったところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.007μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率23%、波長500nmにおいて透過率99%であり、蛍光強度が最大となる波長は573nmであった。
【0044】実施例8アンモニアガスを吹き込む工程において、アンモニア/窒素混合吹き込み時間を90分間とした(酢酸亜鉛1モルに対するアンモニアの流入量:18モル)以外は、実施例1と同様な実験を行ったところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.008μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率22%、波長500nmにおいて透過率99%であり、蛍光強度が最大となる波長は572nmであった。
【0045】実施例9アンモニアガスを吹き込む工程において、水を0.05mol/リットルとなるよう添加した以外は、実施例6と同様な実験を行ったところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.006μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率20%、波長500nmにおいて透過率99%であり、蛍光強度が最大となる波長は570nmであった。
【0046】実施例10アンモニアガスを吹き込む工程において、水を0.1mol/リットルとなるよう添加した以外は、実施例6と同様な実験を行ったところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.007μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率21%、波長500nmにおいて透過率99%であり、蛍光強度が最大となる波長は571nmであった。
【0047】実施例11アンモニアガスを吹き込む工程において、水を0.2mol/リットルとなるよう添加した以外は、実施例6と同様な実験を行ったところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.007μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率22%、波長500nmにおいて透過率99%であり、蛍光強度が最大となる波長は572nmであった。
【0048】実施例12アンモニアガスを吹き込む工程において、水をさらに0.5mol/リットルとなるよう添加した以外は、実施例6と同様な実験を行ったところ、白濁した酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.010μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率39%、波長500nmにおいて透過率96%であり、蛍光強度が最大となる波長は574nmであった。
【0049】実施例13アンモニアガスを吹き込む工程において、温度を5℃とした以外は、実施例6と同様な実験を行ったところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.002μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率11%、波長500nmにおいて透過率99%であり、蛍光強度が最大となる波長は550nmであった。
【0050】実施例14アンモニアガスを吹き込む工程において、温度を20℃とした以外は、実施例6と同様な実験を行ったところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.005μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率16%、波長500nmにおいて透過率99%であり、蛍光強度が最大となる波長は566nmであった。
【0051】実施例15アンモニアガスを吹き込む工程において、温度を40℃とした以外は、実施例6と同様な実験を行ったところ、白濁した酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.007μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率22%、波長500nmにおいて透過率97%であり、蛍光強度が最大となる波長は572nmであった。
【0052】実施例16混合液の加熱を行わなかったこと以外は、実施例6と同様な実験を行ったところ、白濁した酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.002μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率93%、波長500nmにおいて透過率99%であり、蛍光強度が最大となる波長は550nmであった。
【0053】実施例17実施例1で得られたコロイドを、200℃で真空乾燥し、白色粉末1.7gを得た。この粉末を粉末X線回折装置(RAD−200型、(株)リガク製)により測定したところ、当該結晶は酸化亜鉛であることを示した。また赤外線吸収スペクトル測定装置(270−30型、(株)日立製作所製)により測定したところ、アセトキシ基の存在が確認された。さらに、ケルダール法により分析を行ったところ、アンモニア由来の窒素分は0.1重量%以下であった。また、得られた粉末を300kg/cm2 で圧密化し円盤状に成型した後、100Vで印加してから30秒後の体積電気抵抗を、抵抗測定器(R8340A型、アドバンスト製)により測定したところ、1×107 Ωcmであった。
【0054】実施例18実施例1で得られたコロイド(酸化亜鉛濃度1.0重量%)5gにトルエン5gを加え、よく攪拌した。この溶液にポリビニルブチラール(BM−5、積水化学工業(株)製)2.5gを加え、超音波分散により酸化亜鉛超微粒子を分散させつつ、80℃で溶解させた。この分散液を120℃で乾燥させ、酸化亜鉛超微粒子を2.0重量%含有するポリビニルブチラールを生成させた。生成した酸化亜鉛含有ポリビニルブチラールをハンドプレスを用いて200℃でプレスを行い、酸化亜鉛含有ポリビニルブチラールフィルムを作製した。得られたフィルムは均一で透明感のある青白色をしており、膜厚測定器を用いて測定したところ、膜厚は約0.2mmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率0%、波長500nmにおいて透過率65%であった。
【0055】実施例19実施例17で得られた粉末を、空気雰囲気下800℃で焼成し、白色粉末0.8gを得た。この粉末を粉末X線回折装置(RAD−200型、(株)リガク製)により測定したところ、当該結晶は酸化亜鉛であることを示した。さらに、ケルダール法により分析を行ったところ、アンモニア由来の窒素分は0.1重量%以下であった。また、得られた粉末の体積電気抵抗を実施例16と同様の方法で測定したところ、3×105 Ωcmであった。
【0056】実施例20実施例17に準じた方法で得られた粉末30.0gを、ポリアミド樹脂(花王(株)製)73.5gとペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)により混合して塗料を調製し、透明板に塗布したところ、白色の塗膜が得られた。塗料の表面電気抵抗を抵抗測定機(ハイレジスタンスメータ4339A、ヒューレットパッカード製)により測定したところ、9×1012Ω/sq.であった。
【0057】比較例1加水分解工程において、アンモニア/窒素混合ガスを吹き込む代わりに、水酸化ナトリウム0.40gを溶解させたエタノール60mlを20分間かけて滴下したところ、透明な酸化亜鉛超微粒子コロイドを得、平均粒子径は0.005μmであった。光透過率を測定した結果、波長320nmにおいて透過率38%、波長500nmにおいて透過率99%であった。さらに得られたコロイドを、100℃で乾燥した後、原子吸収分析(Z−6100型、(株)日立製作所製)により元素分析を行ったところ、水酸化ナトリウム由来のナトリウム分は4重量%であった。
【0058】
【発明の効果】本発明により有機溶媒中での分散安定性に優れ、アルカリを実質的に含有しない酸化亜鉛超微粒子およびかかる酸化亜鉛超微粒子を含有する紫外線遮蔽性フィルムおよび帯電防止塗料を提供することが可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カルボン酸亜鉛塩とアルコールとの混合液(a)をアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)と混合及び/又は接触させて、該混合液(a)を加水分解することを特徴とする、1次粒子の平均粒子径が0.0005〜1.0μmである酸化亜鉛超微粒子の製造方法。
【請求項2】 混合液(a)を加熱した後、アンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)と混合及び/又は接触させることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】 混合液(a)を生成させる際の温度が30〜160℃であることを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】 混合液(a)とアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)とを混合及び/又は接触させる際の反応温度が−20〜100℃であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
【請求項5】 混合液(a)とアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)とを混合及び/又は接触させた後、アンモニアを留去することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
【請求項6】 混合液(a)とアンモニアを含有及び/又は発生する物質(b)とを混合及び/又は接触させ、アンモニアを留去した後、さらに焼成することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の製造方法。
【請求項7】 請求項1〜6いずれか記載の製造方法により得られる1次粒子の平均粒子径が0.0005〜1.0μmであることを特徴とする酸化亜鉛超微粒子。
【請求項8】 アシルオキシ基を有することを特徴とする請求項7記載の酸化亜鉛超微粒子。
【請求項9】 炭素数1〜3のアルコール溶媒中に0.1重量%の酸化亜鉛超微粒子を懸濁させ、光路長1mmの光学セルを用いて紫外可視分光分析により光透過率を測定したとき、波長320nmにおいて透過率40%以下、かつ波長500nmにおいて透過率70%以上であることを特徴とする請求項7または8記載の酸化亜鉛超微粒子。
【請求項10】 体積電気抵抗が1×108 Ωcm以下であることを特徴とする請求項7〜9いずれか記載の酸化亜鉛超微粒子。
【請求項11】 酸化亜鉛薄膜を形成させ、分光蛍光光度計により蛍光スペクトルを測定したとき、蛍光強度が最大となる波長が400〜700nmの範囲内にあることを特徴とする請求項7〜10いずれか記載の酸化亜鉛超微粒子。
【請求項12】 請求項7〜11いずれか記載の酸化亜鉛超微粒子を含有することを特徴とする紫外線遮蔽性フィルム。
【請求項13】 請求項7〜11いずれか記載の酸化亜鉛超微粒子を含有することを特徴とする帯電防止塗料。

【公開番号】特開平10−120419
【公開日】平成10年(1998)5月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−61805
【出願日】平成9年(1997)2月27日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)