説明

酸性茄子ソースの製造方法

【課題】本発明は、茄子の加工時に副産物として出る茄子の皮又は茄子の実を利用して、茄子の鮮やかな紺色のソースを製造しようとするものである。
【解決手段】第一段階として茄子の皮又は実に、酸性果汁、またはクエン酸などの酸溶液を浸漬させ、第二段階として加熱し、粉砕し、安定した紺色の茄子ピューレーを得る。第三段階としてレモンなどの酸性果汁、酸と砂糖を加えて加熱し、第四段階として増粘多糖類、澱粉などで適度な粘度を付与して得る茄子紺の色を持つ酸性茄子ソースの製造法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茄子の漬物等を製造するときに副産物として出る茄子の皮や、形状が規格外の茄子を利用して、安定な茄子紺色を有する酸性茄子ソースを製造しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、茄子の加工品を製造するときに出る皮や形状規格外品は廃棄物として捨てられているのが現状であり、廃棄物を軽減する試みの中で、茄子の皮または形状規格外品の利用方法が検討されてきている。
【0003】
茄子の皮には薬用効果のある成分が多く含まれていることが知られており、こうした薬用成分を利用した茄子の皮の利用方法が、早急に望まれているのが現状である。本発明の酸性茄子ソースは、鮮やかな紺色で、パン、菓子の材料、または、飾り付け用として、その他、ヨーグルト用ソース、飲料、冷菓などの材料として多方面での利用が望めるものである。
【0004】
従来開示されている茄子の利用方法として、特開2005−304466号に記載されているが、ナスニンの抽出に関するものであり、ソースへの応用には言及していない。
【0005】
特開平11−346678号に、アントシアニンを含むフルーツ、野菜からジャム類を製造する方法が記載されているが、茄子に関してはアントシアニンを含む野菜として記載されているだけであり、茄子の皮または実を実際に利用しソース類を作るとの記載は見当たらない。茄子の皮の色は不安定であり、茄子の皮の色を安定化しながら、ソース類を作る記載は見当たらない。
【0006】
特開2005−130843には野菜ジャムの製造方法が記載されているが、茄子の皮または実からのソース類の製造方法には、言及していない。
【0007】
【特許文献1】特開2005−130843
【特許文献2】特開平11−346678
【特許文献3】特開2001−8642
【特許文献4】特開平6−90688
【特許文献5】特開平10−155465
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、茄子の皮や形状規格外品が大量に廃棄されていることに注目し、その利用方法について鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させた。
【0009】
茄子の漬物等を製造するときに出る皮や形状規格外品は廃棄物として捨てられているのが現状であり、廃棄物を軽減する試みの中で、その利用方法の検討が早急に求められている。又、茄子の皮の色素は不安定であり、茄子紺色を安定化する加工方法が求められているのも現状である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、第一段階として茄子の皮または茄子の実をレモン水などの酸性果汁またはクエン酸などの酸性液に浸漬し、第二段階として加熱し、粉砕して茄子ピューレーを得る。第三段階としてこの茄子ピューレーに砂糖または水あめ等の糖類を加え、レモン水または酸性果汁を添加加熱する。第四段階として増粘多糖類または澱粉を添加することにより、安定した茄子紺色の酸性茄子ソースを得ることに成功した
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、茄子皮や形状規格外の茄子を有効に利用出来ると同時に、茄子の皮にある有効成分であるナスニンを摂ることが出来、身体に良いソース類となる。
【0012】
この酸性茄子ソースは、鮮やかな紺色で、パン、菓子の材料、または、飾り付け用として、その他、ヨーグルト用ソース、飲料、冷菓などの材料として多方面での利用が望めるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の酸性茄子ソースの製造方法について説明する。
【0014】
まず茄子の皮にレモン水を浸漬させ、次に加熱する。ミキサーで粉砕しピューレー状態とする。これに、レモン水と砂糖を加え再度加熱し、糖類を加え、増粘多糖類または澱粉を添加し、冷却する。
【実施例1】
【0015】
以下、第一の実施例について詳しく説明する。
茄子の皮300gを、酸度30.0のレモン果汁(7倍濃縮品)20gを加えた水500g中に投入し、30分間漬けておく。
【0016】
次に攪拌しながら加熱し40分間沸騰させ、その後ミキサーで粉砕し茄子ピューレーを得る。
【0017】
得られた茄子ピューレー300g、水 475g、酸度30.0のレモン果汁(7倍濃縮品)20g、砂糖200g、増粘多糖類製剤5gを加え、加熱溶解の後冷却し、酸性茄子ソースを得る。
【比較例1】
【0018】
茄子の皮300gを水500g中に投入し、30分間漬けておく。
【0019】
次に攪拌しながら加熱し40分間沸騰させ、その後ミキサーで粉砕し茄子ピューレーを得る。
【0020】
得られた茄子ピューレー300g、水 475g、酸度30.0のレモン果汁(7倍濃縮品)20g、砂糖200g、増粘多糖類製剤5gを加え、加熱溶解の後冷却し、茄子ソースを得る。
【0022】
パネラー10名に、前述の実施例と比較例の色と食感について、官能検査を実施した。
実施例1の色を好ましいとした人10人
比較例1の色を好ましいとした人0人
実施例1の食感を好ましいとした人9人
比較例1の食感を好ましいとした人1人
【0023】
この結果からわかるように、実施例1で作られる茄子ソースは、好ましい色と食感を兼ね備えていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の酸性茄子ソースは、ナスニンを含むアントシアン系色素を多く含む茄子の皮を主原料としており、廃棄されていた部分を使用したものであり、商品価値はきわめて高いものである。また、原料茄子の鮮やかな紺色素を残し、パン、菓子の材料、または、飾り付け用として、その他、ヨーグルト用ソース、飲料、冷菓、などの材料として多方面での利用が望めるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茄子を主原料とし、pH2.51〜5.5の酸性液に浸漬、加熱処理、粉砕した茄子ピューレを使用したものであって、茄子の鮮やかな紺色を有する酸性茄子ソースの製造方法。
【請求項2】
茄子の原料として、茄子皮、茄子の実のいずれかあるいは1以上を用いて作ることを特徴とする請求項1に記載の酸性茄子ソース。
【請求項3】
第一段階として茄子皮あるいは茄子の実を、レモン水などの酸性果汁またはクエン酸などの液に浸漬させ、第二段階として加熱し、必要に応じて粉砕し、安定した茄子紺色のピューレーを得ることを特徴とする請求項1に記載の酸性茄子ソースの製造法。
【請求項4】
第三段階として第二段階で得られた茄子ピューレーに、砂糖、水あめ、などの糖類、レモン果汁などの酸性果汁、または、クエン酸などの酸などを添加し、第四段階として増粘多糖類、澱粉などを添加することを特徴とする適度な酸味、甘味と粘性をもつ酸性茄子ソースの製造方法。

【公開番号】特開2009−240291(P2009−240291A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113145(P2008−113145)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(591025462)旭東化学産業株式会社 (13)
【出願人】(307045054)株式会社荒井食品 (4)
【Fターム(参考)】