説明

重合カテキン入り容器詰飲料

【課題】発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンを多く含有しつつ、おりや沈殿を生じず、また渋味や苦味が少ない容器詰酸性飲料の提供。
【解決手段】(A)pHが2.8〜5.0の範囲であり、(B)重合カテキンの含有量が0.0068重量%〜0.100重量%であり、(C)ポリフェノールを含有し、かつ(D)pHとポリフェノール含有量(重量%)が次式:ポリフェノール含有量(重量%)<0.085×pH−0.222の関係を満たす容器詰酸性飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンを多く含有しつつ、おりや沈殿を生じず、また渋味や苦味が少ない容器詰酸性飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
ウーロン茶の効果としては、脂質改善作用などが報告されている(非特許文献1及び非特許文献2)。しかしながら、この作用はウーロン茶の大量飲用で認められたものでしかなく、日常生活のなかでそのような大量飲用を続けていくことは難しい。また単純にウーロン茶の濃度を濃くすると、苦味、渋味の増加及びカフェインの増量により、飲料としては適さなくなる。
【0003】
この課題を解決するため、ウーロン茶に含まれる有効成分である重合カテキンを多く含む茶エキスを得、それを添加した飲料が開発されている(特許文献1)。
このような背景から、本発明者らは、炭酸飲料やスポーツドリンク、レモンティーのようなフレーバーティー等においても、重合カテキンを多く含む茶エキスを配合した飲料の提供を試みた。しかし、ウーロン茶に含まれる重合カテキンを多く含む茶エキスを添加した飲料を酸性状態にすると、白濁(濁りやオリ)が発生しやすく、飲料としての外観を損ねる等の問題が明らかとなった。
【0004】
従来の、缶やプラスチック容器(PETボトル等)等の密封容器に充填して長期間流通・販売される茶飲料、特に緑茶飲料でも、保存中に含有成分であるタンニン、カフェイン、アミノ酸等の低分子成分や、セルロース、ヘミセルロース、ペクチンなどの高分子成分が会合して白色の固形物を形成し、これが浮遊したり、沈殿したりして製品の外観を損なうという問題があった。これら上記白色固形物の析出を防止する方法として、高速遠心分離法、タンナーゼ処理法、カルシウム等の無機塩の添加法等が知られている。しかしながら、従来の方法では、おりや沈殿の発生は抑制されるものの、茶由来の有効成分まで少なくなってしまう、または用いる酵素自身の味によって飲料本来の風味が変化してしまうという問題がある。
【非特許文献1】日本栄養・食糧学会誌1991;44(4):251−259
【非特許文献2】日本臨床栄養学会雑誌1998;20(1):83−90
【特許文献1】WO2005/077384号公報
【発明の開示】
【0005】
本発明者らは、発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンを含有する酸性の容器詰飲料において、保存時のおり・沈殿を抑制すべく、沈殿発生の要因に関し鋭意検討した結果、飲料のpH、重合カテキン含量、および総ポリフェノール含量を一定の関係を満たすように調製する、または飲料のpHおよび重合カテキン含量を一定の関係を満たすように調製することにより、長期保存してもおりや沈殿が生じず、安定な飲料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
本発明によれば、飲料中の重合カテキンや総ポリフェノールの含有量とpHとの関係を、ある一定の条件を満たすようにコントロールすることにより、おりや沈殿の発生を抑えることができるため、飲料本来の風味や成分に影響を与えることなく、安定性に優れた容器詰酸性飲料を得ることが可能である。また飲料中の重合カテキンの含有量を所望の範囲とすることにより、風味良好な、しかも血中中性脂肪の上昇を抑えるなど有益な効果が期待できる容器詰酸性飲料を得ることができる。さらに非重合カテキンに対する重合カテキンの重量比率を少なくとも4倍とすることにより、苦みや渋みの少ない容器詰酸性飲料を得ることができる。
【0007】
すなわち本発明は、発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンを含有する容器詰飲料であって、
(A)pHが2.8〜5.0の範囲であり、
(B)重合カテキンの含有量が0.0068重量%〜0.100重量%であり、
(C)ポリフェノールを含有し、かつ
(D)pHとポリフェノール含有量(重量%)が次式:
ポリフェノール含有量<0.085×pH−0.222
の関係を満たすことを特徴とする飲料である。
【0008】
また本発明は、発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンを含有する容器詰飲料であって、
(A)pHが2.8〜5.0の範囲であり、
(B)重合カテキンの含有量が0.0068重量%〜0.100重量%であり、かつ
(C)pHと重合カテキンの含有量(重量%)が次式:
重合カテキンの含有量<0.051×pH−0.136
の関係を満たすことを特徴とする飲料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の飲料は、発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンを含有する。また、本発明の容器詰飲料は、pHが2.8〜5.0の範囲である。この範囲において沈殿などの問題が顕著であるが、飲料のpH、重合カテキンの含有量、および総ポリフェノール量を一定の関係を満たすように調製する、または飲料のpHおよび重合カテキンの含有量を一定の関係を満たすように調製することにより、長期保存してもおりや沈殿が生じず安定な飲料が得られる。
【0010】
明細書における「重合カテキン」は、以下の条件のHPLC分析において、テアフラビン(栗田リサーチセンター製)と同じ溶出時間(参考溶出時間:24分)のピークを示す成分である(図1参照)。
【0011】
HPLCの条件:
・カラム:TSK−gel ODS−80TsQA(4.6mmφx150mm、東ソー株式会社)
・移動相:A液 水:アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=900:100:0.5
B液 水:アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=200:800:0.5
・流速:1.0ml/min
・カラム温度:40℃
・グラディエント条件;分析開始から5分後まではB液0%、
5分から11分まででB液8%、
11分から21分まででB液10%、
21分から22分まででB液100%、
22分から30分まで100%保持、
30分から31分までで0%
・検出:A280nm (データ採取時間は30分)、ピーク面積で定量。
・注入量:10μL
標準物質:ウーロンホモビスフラバンB(略記:OHBF−B)
上記の条件で分析された重合カテキンの典型的なクロマトグラムを、図1に示す。
【0012】
重合カテキンの量は、標準物質としてOHBF−Bを用い、検量線を作成することにより求められる。なお、標準物質であるOHBF−Bは、例えば、Chem. Pharm. Bull 37(12), 3255-3563(1989)に記載の方法や特開2005−336117号公報の実施例3の方法に従って合成したもの(好ましくは純度98%以上の純度まで精製したもの) 、茶葉より単離したものなどを用いることができる。
【0013】
この重合カテキンとしては、非重合のカテキン類((+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、(−)−カテキンガレート、(−)−エピカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキンガレート)が、茶由来酵素、酵素、光等により複数個連結した構造を持つものが例示でき、具体的にはテアルビジン等の慣用名で呼ばれている重合ポリフェノール、式(1)のエピガロカテキンガレート二量体、
【0014】
【化1】

【0015】
式(2)のエピガロカテキンガレート三量体、
【0016】
【化2】

【0017】
式(3)のエピガロカテキンの二量体、
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立してHまたはガロイル基である。)
式(4)のエピガロカテキンの三量体
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、R3、R4およびR5は、それぞれ独立してHまたはガロイル基である。)
式(5)のウーロンテアニン−3’−O−ガレート
【0022】
【化5】

【0023】
等の重合体が挙げられる。
尚、非重合カテキンとは、カテキン類((+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、(−)−カテキンガレート、(−)−エピカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキンガレート)の重合していない単量体のものをいう。
【0024】
上記HPLC条件下で、非重合カテキンはそれぞれ別々のピークとして検出され、かつ重合カテキンのピークとは重ならない。従って、重合カテキンの非重合カテキンに対する重量比率は、上記条件下でのHPLC測定により得られたそれぞれの測定値に基づいて得られる含有重量(検量線により得られる)を比較することにより、即ち重合カテキンの含量を、各々の非重合カテキンの含量の総和で除すことにより求めることができる。
【0025】
本発明の重合カテキンは、茶葉を溶媒抽出することにより得られる。原料となる茶葉としては、半発酵茶であるウーロン茶、発酵茶である紅茶やプーアル茶のうち、1種類又は2種類以上を用いることができる。抽出溶媒としては、水または熱水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルなどが用いられ1種もしくは2種類以上の混合物で抽出される。この茶葉の溶媒抽出物は、抽出物をそのまま用いてもよいし、濃縮又は精製したものを用いてもよい。
【0026】
本発明の容器詰飲料中には、重合カテキンを濃度にして0.0068〜0.100重量%、好ましくは0.010〜0.100重量%含有する。重合カテキンの含量が0.0068重量%より少ないと、一回の飲用で重合カテキンの期待される有益な効果が得にくく、また0.100重量%を越えると飲料としての香味に悪影響を及ぼす危険性があり好ましくない。また本発明の容器詰飲料中には、重合カテキンを非重合カテキンに対する重量比率として、少なくとも4倍、より好ましくは少なくとも8倍、さらに好ましくは少なくとも12倍含有する。重合カテキンが4倍よりも少ないと、すなわち重合カテキンに対し非重合カテキンが1/4を越えると、渋みや苦みが強くなり好ましくない。
【0027】
一般に茶葉を溶媒抽出することにより、重合カテキンとともに非重合カテキンも抽出される。そのため上記発酵茶及び/又は半発酵茶の抽出液又はその濃縮液をそのまま添加すると、多くの場合、非重合カテキンに対し重合カテキンが4倍より少なくなってしまう。そこで飲料中の重合カテキン含量が、0.0068〜0.100重量%で、かつ重合カテキンが非重合カテキンに対する重量比率として、少なくとも4倍となるよう、別途、非重合カテキンを極力含まない発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンを追加して所望の比率とするか、あるいは発酵茶及び/又は半発酵茶の抽出液又はその濃縮液をそのまま添加するのではなく、容器詰飲料に添加した時に、非重合カテキンに対する重合カテキンの重量比率が少なくとも4倍となるよう、茶葉の溶媒抽出物から非重合カテキンを選択的に除去して重合カテキンの重量比率を高めたものを好適に用いることができる。この非重合カテキンを選択的に除去する処理を行った溶媒抽出物としては、WO2005/077384号公報に記載の非重合カテキンの4倍以上の重量比率で重合カテキンを含有するもの等が例示される。
【0028】
本発明で用いる重合カテキンの形態は、液状でも、噴霧乾燥や凍結乾燥などにより粉末化されたものであってもよい。
本発明において、ポリフェノールとは、植物に由来する物質(フィトケミカル:phytochemical)の1種であり、1分子中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の総称である。ポリフェノールには、大別して分子量が1,000以下の単量体ポリフェノールと、単量体ポリフェノールが2つ以上結合した重合ポリフェノールが存在する。重合ポリフェノールは一般にタンニンとも称される。代表的な単量体ポリフェノールとしては、フラボノイド類(フラボノイド類には、フラボン、フラボノール、フラバノン、フラバノロール、イソフラボン、アントシアニン、フラバノール、カルコン、オーロンを基本骨格とする化合物が含まれる)、クロロゲン酸、没食子酸、エラグ酸などがある。一方、重合ポリフェノールは単量体ポリフェノールが2個以上結合した化合物であり、炭素−炭素結合により重合した縮合型ポリフェノールと、エステル結合により重合した加水分解型ポリフェノールとに大別され、夫々代表的なポリフェノールとして縮合型ポリフェノールとしてはプロアントシアニジン類、加水分解型ポリフェノールとしてはガロタンニン、エラグタンニンが挙げられる。ポリフェノール含有量の測定方法としては、酒石酸鉄法やフォリン−デニス法(Folin-Denis法)などがあるが、本発明におけるポリフェノールの含有量とは、エピガロカテキンガレート(EGCG)を標準物質としてフォリン−デニス法を用いて求められる量とする。
【0029】
本発明の容器詰飲料は、液性が酸性領域にある飲料、すなわちpHが2.8〜5.0の飲料、好ましくは2.8以上4.6未満の飲料、より好ましくは2.8〜4.0の飲料、さらに好ましくは2.8〜3.7の飲料である。具体的には、各種天然果汁、野菜汁を使用した果実飲料や野菜飲料、酸味をつけたニアウォーター、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、乳酸菌飲料、レモンティーのようなフレーバーティーなどが含まれる。またこれらの各種飲料に炭酸を付与したものであってもよい。またコーラやラムネ、ソーダ等の炭酸飲料であってもよい。
【0030】
本発明の容器詰飲料は、砂糖、果糖、ショ糖、パラチノース、トレハロース、ラクトース等の糖質、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール類、スクラロース、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、レモン、ライム、オレンジ等のシトラス油、オレンジ油、ハーブエキス等の香料、酒石酸、りんご酸、酢酸、リン酸、L−アスコルビン酸などの有機酸酸味料、着色剤、さらには、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンD等のビタミン類、食塩、酸化防止剤、各種エステル類、乳化剤、保存料、調味料、ガム、乳化剤、油、アミノ酸、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を含有していてもよい。また、果汁入りの酸性飲料とする場合には、みかん、バレンシオレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、カボス、グレープ、アップル、なし、もも、あんず、うめ、バナナ、パイナップル、イチゴ、メロン、パッションフルーツ、プルーンの果汁を含有していてもよい。
【0031】
本発明の容器詰飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰酸性飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
【0032】
本発明の容器詰酸性飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造されるが、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。更に、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻す等の操作も可能である。殺菌処理としては、高温短時間殺菌(UHT殺菌)が好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明について、実施例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1(烏龍茶由来重合カテキンの製造)
温水(95℃)に0.15重量%の重曹を添加した7800kgの重曹液を用いて、600kgのウーロン茶葉に抽出処理を施し、ウーロン茶抽出液約7000kgを得た。この抽出液の液温を60−65℃に保持しながら、400kgの粒状活性炭(クラレ社製GW−H32/60)に通液して非重合カテキン、カフェインを除去した。この通過液(活性炭処理後の液)を減圧濃縮し、Brix11のウーロン茶濃縮エキス(以下、エキスA)約900kgを得た。得られたエキスA中の重合カテキン、非重合カテキンの量を下記条件のHPLCで測定したところ、重量基準として非重合カテキン800ppm、重合カテキン12000ppm、カフェイン20ppmだった。
HPLC条件:
・カラム:TSK−gel ODS−80TsQA(4.6mmφx150mm、東ソー株式会社)
・移動相:A液 水:アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=900:100:0.5
B液 水:アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=200:800:0.5
・流速:1.0ml/min
・カラム温度:40℃
・グラディエント条件;分析開始から5分後まではB液0%、
5分から11分まででB液8%、
11分から21分まででB液10%、
21分から22分まででB液100%、
22分から30分まで100%保持、
30分から31分までで0%
・検出:A280nm
・標準物質:ウーロンホモビスフラバンB(略記:OHBF−B)
・重合カテキンのリテンションタイム:約25分(これは、テアフラビンのピークのリテンションタイムと一致する。
【0034】
重合カテキンは、標準物質であるOHBF−Bを正確に秤量し、100、200、500μg/ml(ppm)の標準物質の50%CH3CN/水溶液を作成し、原点通過の3点検量で定量する。OHBF−Bは、特許(特開2005−336117の実施例3)の方法に従い合成し純度98%以上の純度まで精製した物を用いる。
実施例1
製造例1で得られた重合カテキン(100、200、300、500、1000ppm)にリン酸を加え、pH2.6から4.0の酸性水溶液にした。これを85℃で10分間加熱殺菌し、冷却後3日間4℃で保管した。沈殿の発生有無を調べたところ表1のようになった。
【0035】
【表1】

【0036】
各溶液を遠心分離し(3000rpm、5分)、上清の総ポリフェノール含量をエピガロカテキンガレート(EGCG)を標品としたフォリン−デニス法で(表2)、重合カテキンの量を製造法1に記載した方法で測定した(表3)。
【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
表1と表2から、pHと総ポリフェノール量(EGCG換算)の両者の関係が、総ポリフェノール量(重量%濃度)<0.085×pH−0.222であるとき、重合カテキンの沈殿が生じないことが明らかとなった。
【0040】
また、表1と表3から、pHと重合カテキンの両者の関係が、重合カテキン濃度(重量%濃度)<0.051×pH−0.136であるとき、重合カテキンの沈殿が生じないことが明らかとなった。
実施例2
飲料のヒト効能評価試験(食後の中性脂肪低減効果の検証)
健康男女6人を対象とし、クロスオーバー試験を実施した。各試験とも7日間を1サイクルとし、そのうち6日間をウォッシュアウト期間、7日目に脂肪食負荷試験を行った。試験飲料として重合カテキンを55.5mg含むように調整した245mlのウーロン茶を供した。脂肪負荷食としてアイスクリームとロールケーキ(脂肪負荷量として40g)を供した。負荷食摂取後0,1,3,4,6時間後に被験者の上腕静脈より採血し、血中中性脂肪の経時的変化を求め(図2)、その曲線下面積への影響を比較した(図3)。重合カテキンを55.5mg含む烏龍茶を飲んだ場合、血中中性脂肪の上昇が抑制された。したがって、少なくとも重合カテキンを55.5mg以上含有した飲料を飲んだ場合に、血中の中性脂肪の上昇が抑えられることが分かった。
発明の効果
発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンを多く含有しつつ、おりや沈殿を生じず、また渋味や苦味が少ない容器詰酸性飲料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、重合カテキンのHPLCクロマトグラムである。
【図2】図2は、脂肪負荷後の血中TG変化量(ΔTG)の経時変化に及ぼす重合カテキンの影響を示す図である。
【図3】図3は、血中TGの曲線下面積に及ぼす重合カテキンの影響を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンを含有する容器詰飲料であって、
(A)pHが2.8〜5.0の範囲であり、
(B)重合カテキンの含有量が0.0068重量%〜0.100重量%であり、
(C)ポリフェノールを含有し、かつ
(D)pHとポリフェノール含有量(重量%)が次式:
ポリフェノール含有量(重量%)<0.085×pH−0.222
の関係を満たすことを特徴とする飲料。
【請求項2】
さらに非重合カテキンを含有し、非重合カテキンに対する重合カテキンの重量比率が少なくとも4倍である、請求項1の飲料。
【請求項3】
前記発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンが、紅茶及び/又はウーロン茶由来の重合カテキンである、請求項1又は2の飲料。
【請求項4】
発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンを含有する容器詰飲料であって、
(A)pHが2.8〜5.0の範囲であり、
(B)重合カテキンの含有量が0.0068重量%〜0.100重量%であり、かつ
(C)pHと重合カテキンの含有量(重量%)が次式:
重合カテキンの含有量(重量%)<0.051×pH−0.136
の関係を満たすことを特徴とする飲料。
【請求項5】
さらに非重合カテキンを含有し、非重合カテキンに対する重合カテキンの重量比率が少なくとも4倍である、請求項4の飲料。
【請求項6】
前記発酵茶及び/又は半発酵茶由来の重合カテキンが、紅茶及び/又はウーロン茶由来の重合カテキンである、請求項4又は5の飲料。
【請求項7】
容器詰飲料が炭酸飲料である、請求項1〜6のいずれか1項の飲料。
【請求項8】
容器が透明容器である、請求項1〜7のいずれか1項の飲料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−65877(P2009−65877A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236000(P2007−236000)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)
【Fターム(参考)】