説明

金型、デバイス製造装置、並びにデバイス製造方法

【課題】一対のデバイスにおけるリードが互い違いとなった状態を解消できるデバイス製造装置を提供する。
【解決手段】第一の本体W11から第一のリードW15が突出する第一のデバイスW10と、第二の本体W21から第二のリードW25が延びる第二のデバイスW20と、両リードを接続する連結部W30とを有し、第一のリードと第二のリードとが第一のリードの幅方向に互い違いに配置されたデバイス連結体Wから第一のデバイスと第二のデバイスとを分離するデバイス製造装置1であって、デバイス連結体のうち第一のデバイスの重心位置W16よりも突出方向X1側を下方から支持する下部金型11と、下部金型の上方に配置され、下方に移動することで下部金型と協働して連結部を切断する上部金型12と、連結部を切断されて自重で移動した第一のデバイスを、幅方向に第一のリードと第二のリードとが重ならないように支持可能なシュート20Aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスを製造するための金型、デバイス製造装置、並びにデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、SIP(Single Inline Package)などのように、本体の側面から突出する複数のリードが互いに間隔を空けて配置されたデバイスが用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
このようなデバイスを製造するデバイス製造装置では、銅などの導電体で形成された板状部材から金型によりリードを打ち抜くときに捨てられる材料が少なくなるようにデバイスの配置を工夫している。すなわち、一対のデバイスが、一方の本体に設けられたリードの突出方向先端側に他方の本体が配置されるとともに、リード同士がリードの幅方向に互い違いとなる状態で製造されるようにリードフレームを構成している。デバイスをこのように配置して製造することで、一方のデバイスの隣り合うリード間の板状部材を、他方のデバイスのリードとして利用することができる。
【0003】
金型でリードフレームからリードを切り離すと、完成した一対のデバイスは、それぞれのリードが互い違いとなった状態で対向して配置される。
一般的に、デバイスは、リードの幅方向に搬送されてマガジンに収容される。上記のデバイス製造装置の場合、対向配置された一対のデバイスをリードの幅方向に搬送すると、それぞれのリードが干渉してしまうため、デバイスの搬送が困難となる。リードが互い違いとなった一対のデバイスを引き離すために、ハンドラーなどで一方のデバイスを吸着して上昇させ、デバイスの向きを反転させたうえで他方のデバイスに並べた位置に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−103436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一対のデバイスを引き離すためにこのように操作すると、デバイスを吸着したり上下移動したりする機構が必要となり、デバイス製造装置が大型化する問題が生じている。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、切り離された一対のデバイスにおけるリードが互い違いとなった状態を容易に解消することができる金型、デバイス製造装置、並びにデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のデバイス製造装置は、第一の本体から第一のリードが突出する第一のデバイスと、第二の本体から第二のリードが延びる第二のデバイスと、前記第一のリードおよび前記第二のリードを接続する連結部とを有し、前記第二の本体が前記第一のリードの突出方向側に配置されるとともに前記第一のリードと前記第二のリードとが前記第一のリードの幅方向に互い違いに配置されたデバイス連結体から、前記連結部を切断して前記第一のデバイスと前記第二のデバイスとを分離するデバイス製造装置であって、前記デバイス連結体のうち前記第一のデバイスの重心位置よりも前記突出方向側を下方から支持する下部金型と、前記下部金型の上方に配置され、下方に移動することで前記下部金型と協働して前記連結部を切断する上部金型と、前記連結部を切断されて自重で移動した前記第一のデバイスを、前記幅方向に前記第一のリードと前記第二のリードとが重ならないように支持可能なシュートと、を備えることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の金型は、第一の本体から第一のリードが突出する第一のデバイスと、第二の本体から第二のリードが延びる第二のデバイスと、前記第一のリードおよび前記第二のリードを接続する連結部とを有し、前記第二の本体が前記第一のリードの突出方向側に配置されるとともに前記第一のリードと前記第二のリードとが前記第一のリードの幅方向に互い違いに配置されたデバイス連結体から、前記連結部を切断して前記第一のデバイスと前記第二のデバイスとを分離する金型であって、前記デバイス連結体のうち前記第一のデバイスの重心位置よりも前記突出方向側を下方から支持する下部金型と、前記下部金型の上方に配置され、下方に移動することで前記下部金型と協働して前記連結部を切断する上部金型と、を備え、前記連結部を切断された前記第一のデバイスは、前記幅方向に前記第一のリードと前記第二のリードとが重ならない位置に自重で移動することを特徴としている。
【0008】
また、本発明のデバイス製造方法は、第一の本体から第一のリードが突出する第一のデバイスと、第二の本体から第二のリードが延びる第二のデバイスと、前記第一のリードおよび前記第二のリードを接続する連結部とを有し、前記第二の本体が前記第一のリードの突出方向側に配置されるとともに前記第一のリードと前記第二のリードとが前記第一のリードの幅方向に互い違いに配置されたデバイス連結体から、前記連結部を切断して前記第一のデバイスと前記第二のデバイスとを分離するデバイス製造方法であって、前記デバイス連結体のうち前記第一のデバイスの重心位置よりも前記突出方向側を下方から支持し、前記連結部を切断し、前記連結部を切断されて自重で移動した前記第一のデバイスを、前記幅方向に前記第一のリードと前記第二のリードとが重ならないように支持することを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、デバイス連結体のうち第一のデバイスの重心位置よりも突出方向側を下方から支持した状態でデバイス連結体の連結部を切断すると、第一のデバイスと第二のデバイスとが分離する。分離された第一のデバイスは、自重により第一の本体側から移動して、幅方向に第一のリードと第二のリードとが重ならないよう支持される。
したがって、互い違いとなったリードをリードの自重だけで容易に分離し、リードが幅方向に重ならない位置に第一のデバイスを支持することができる。
【0010】
また、上記のデバイス製造装置において、前記シュートにおける前記第一のデバイスを支持する支持面は、前記下部金型から水平面に沿って離間するにしたがって下方に向かうように傾斜していることがより好ましい。
この発明によれば、第一のデバイスが自重により落下したときに、第一のデバイスを支持面上の下方の位置に位置決めすることができる。
【0011】
また、上記のデバイス製造装置において、前記支持面における下方の端部には、前記支持面から凹んだ凹部が形成されていることがより好ましい。
この発明によれば、連結部を切断したときに生じたバリなどが、自重により凹部に収容される。このため、バリなどが支持面上に付着して、シュートに収容された第一のデバイスが支持面上を移動する際に、バリなどにより引っ掛かるのを低減させることができる。
【0012】
また、上記のデバイス製造装置において、前記シュートに対する前記幅方向側に設けられ、前記第一のデバイスを収容するマガジンと、前記シュートに支持された前記第一のデバイスを前記幅方向に移動させて前記マガジンに収容させる押出し機構と、を備えることがより好ましい。
この発明によれば、押出し機構によりシュート上の第一のデバイスを幅方向に移動させることで、第一のデバイスをマガジンに収容させることができる。
【0013】
また、上記のデバイス製造装置において、前記シュートにおける前記第一のデバイスを支持する支持面を水平面に略平行となるように移動させる移動機構を備えることがより好ましい。
この発明によれば、例えば、幅方向に湾曲した斜面上に第一のデバイスを送り出すときに、第一のデバイスの底面と斜面とが突出方向においてほぼ平行になる。したがって、斜面上における第一のデバイスの突出方向の動きを安定させ、第一のデバイスをより確実にマガジンに収容することができる。
【0014】
また、上記のデバイス製造装置において、前記下部金型は、前記デバイス連結体のうち前記第二のデバイスの重心位置よりも前記突出方向の反対側を下方から支持し、前記連結部を切断されて自重で移動した前記第二のデバイスを支持可能な第二のシュートをさらに備えることがより好ましい。
この発明によれば、第一のリードと第二のリードとをより確実に分離するとともに、分離した各デバイスをそれぞれのシュートで支持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の金型、デバイス製造装置、並びにデバイス製造方法によれば、切り離された一対のデバイスにおけるリードが互い違いとなった状態を容易に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態のデバイス製造装置の正面図である。
【図2】同デバイス製造装置で用いられるデバイス連結体の平面図である。
【図3】同デバイス製造装置の一部を省略した平面図である。
【図4】同デバイス製造装置の一部を省略した側面図である。
【図5】同デバイス製造装置の動作を説明する正面図である。
【図6】同デバイス製造装置の動作を説明する正面図である。
【図7】本発明の変形例における金型の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るデバイス製造装置(以下、「製造装置」とも称する。)の一実施形態を、図1から図6を参照しながら説明する。
図1に示すように、本製造装置1は、第一のデバイスW10と第二のデバイスW20とが連結部W30により接続されたデバイス連結体Wから連結部W30を切断して、第一のデバイスW10と第二のデバイスW20とを分離する装置である。
以下では、まず、デバイス連結体Wについて説明する。
【0018】
図2に示すように、デバイス連結体Wは、第一のデバイスW10と、第二のデバイスW20と、第一のデバイスW10および第二のデバイスW20を一体に接続する連結部W30を備えている。本実施形態では、第一のデバイスW10および第二のデバイスW20は、SIP型の同一のデバイスである。
第一のデバイスW10は、略箱状の第一の本体W11と、第一の本体W11の側面W12から互いに平行となるように突出する3つの第一のリードW13、W14、W15とを有している。第一の本体W11は、不図示の半導体チップなどを樹脂封止したものである。第一のリードW13、W14、W15の一端は、半導体チップに電気的に接続されている。同様に、第二のデバイスW20は、略箱状の第二の本体W21と、第二の本体W21の側面W22から互いに平行となるように延びる3つの第二のリードW23、W24、W25とを有している。
【0019】
第二の本体W21は、第一のリードW13の突出方向X1側に配置されている。第一のリードW13、W14、W15と第二のリードW23、W24、W25とは、第一のリードW13の幅方向Yに互い違いに配置されている。
すなわち、第一の本体W11の側面W12と第二の本体W21の側面W22とが対向するように配置されているとともに、第一のリードW13、W14の間に第二のリードW24が、第一のリードW14、W15の間に第二のリードW25がそれぞれ配置されている。第二のリードW23、W24、W25が延びる方向は、突出方向X1とは逆方向となる延出方向X2となる。
【0020】
連結部W30は、第一のリードW13、W14、W15と第二のリードW23、W24、W25とを接続している。第一のリードW13、W14、W15、第二のリードW23、W24、W25、および連結部W30は、リードフレームを構成している。
デバイス連結体Wから連結部W30を切断することで、第一のリードW13、W14、W15と第二のリードW23、W24、W25とが分かれ、第一のデバイスW10と第二のデバイスW20とが分離される。
【0021】
図1および図3に示すように、製造装置1は、デバイス連結体Wを切断する金型10と、分離された第一のデバイスW10を支持可能な第一のシュート(シュート)20Aと、分離された第二のデバイスW20を支持可能な第二のシュート20Bと、デバイスW10、W20を収容する第一のマガジン(マガジン)40A、第二のマガジン40Bとを備えている。
【0022】
図1に示すように、金型10は、デバイス連結体Wのうち、第一のデバイスW10の重心位置W16よりも突出方向X1側であって第二のデバイスW20の重心位置W26よりも延出方向X2側を下方から支持する下部金型11と、下部金型11の上方に配置された上部金型12とを有している。
本実施形態では、下部金型11におけるデバイス連結体Wを支持する部分の突出方向X1の幅Lは、デバイス連結体Wにおける重心位置W16と重心位置W26との間隔より狭く設定されている。下部金型11の上面11aには、不図示の刃部が設けられている。下部金型11の上面11aにデバイス連結体Wを配置したときに、第一のリードW13が突出する突出方向X1は水平面にほぼ平行になる。
上部金型12の下面12aには、下部金型11の刃部に対向する刃部12bが設けられている。上部金型12は不図示の金型移動機構が接続されていて、金型移動機構は上部金型12を下方および上方に移動させることができる。
下部金型11および上部金型12は、それぞれの刃部により協働してデバイス連結体Wの連結部W30を切断する。
【0023】
本実施形態では、第一のシュート20Aおよび第二のシュート20B、第一のマガジン40Aおよび第二のマガジン40Bは、図1および図3に示す、鉛直方向に延びる下部金型11の中心軸線Cに対して180°の回転対称となるように形成されている。すなわち、第一のシュート20Aを中心軸線C回りに180°回転させると第二のシュート20Bに一致する。後述する支持台22Aおよび支持台22B、第一の移動機構(移動機構)28Aおよび第二の移動機構28B、案内面31Aおよび案内面31B、第一の押出し機構(押出し機構)46Aおよび第二の押出し機構46Bについても同様に、中心軸線Cに対して180°の回転対称となるように形成されている。
以下では、第一のシュート20A、第一のマガジン40A、支持台22A、第一の移動機構28A、案内面31A、および第一の押出し機構46Aについて説明する。そして、これらに対して回転対称となる構成については、符号の数字の部分を共通にし、符号に付加する英字を「A」、「B」と変えることで示し、重複する説明を省略する。
【0024】
下部金型11の延出方向X2側には、上面にV状溝21Aが形成された支持台22Aが配置されている。
第一のシュート20Aは、V状溝21A内で位置決めされている。このV状溝21A内で位置決めされた第一のシュート20Aの位置を、以下では「下端位置P1」と称する。第一のシュート20Aは、下端位置P1において、下部金型11の上面11aに配置されたデバイス連結体Wの第一のリードW13の幅方向Yに延びている。以下では、デバイスW10、W20の搬送経路について説明する場合には、この幅方向Yを搬送方向Yとも称する。
第一のシュート20Aは、略平板状に形成された基台24Aと、基台24Aの延出方向X2側の縁部から立設する壁部25Aとを有している。第一のシュート20Aが下端位置P1に配置されているときに、基台24Aの上面となる支持面26Aは、下部金型11の上面11aよりも下方に配置されるとともに、下部金型11から延出方向X2に離間するにしたがって下方に向かうように傾斜している。支持面26Aにおける下方の端部には、支持面26Aから凹んだ凹部27Aが形成されている。
【0025】
第一のシュート20Aには、第一の移動機構28Aが設けられていて、第一のシュート20Aを上下方向に移動させるとともに、第一のシュート20Aを支持面26Aが水平面に略平行となるように移動させることができる。第一の移動機構28Aにより、上方に移動されるとともに支持面26Aが水平面に略平行となったときの第一のシュート20Aの位置を、以下では「上端位置P2」と称する(図4参照。)。
【0026】
図3および図4に示すように、第一のシュート20Aの搬送方向Yの一方側Y1には、前述の第一のマガジン40Aが配置されている。第一のマガジン40Aは、上端位置P2に配置されたときの第一のシュート20Aの支持面26Aよりも下方に自身の開口42Aが位置するとともに、開口42Aが上方かつ搬送方向Yの他方側Y2を向くように斜めに取り付けられている。
図4に示すように、上端位置P2に配置されたときの第一のシュート20Aと第一のマガジン40Aとの間には、案内面31Aが設けられている。案内面31Aにおける他方側Y2は、水平面に平行であって、上端位置P2に配置されたときの第一のシュート20Aの支持面26Aに連なるように形成されている。案内面31Aにおける一方側Y1は、斜め下方を向くように湾曲し、開口42Aを介してマガジン40Aの内部空間41Aに連なっている。案内面31Aは、突出方向X1には平行な斜面となっている。
【0027】
図3に示すように、第一のシュート20Aの他方側Y2には、第一の押出し機構(押出し機構)46Aが設けられている。第一の押出し機構46Aは、搬送方向Yに延びるロッド47Aと、ロッド47Aを搬送方向Yに移動させる本体48Aとを有している。
ロッド47Aは、第一のシュート20Aが上端位置P2に配置されているときに、第一のシュート20Aに支持された第一のデバイスW10を一方側Y1に移動させ、案内面31Aまで押し出すことができる。
【0028】
次に、以上のように構成された製造装置1を用いた本実施形態のデバイス製造方法について説明する。第一のシュート20Aおよび第二のシュート20Bは、予め下端位置P1に配置されている。
まず、配置工程において、図1に示すように、下部金型11の上面11a上にデバイス連結体Wを配置する。このとき、下部金型11が、デバイス連結体Wのうち、第一のデバイスW10の重心位置W16よりも突出方向X1側であって第二のデバイスW20の重心位置W26よりも延出方向X2側を下方から支持するように、デバイス連結体Wを配置する。
第一のデバイスW10の第一のリードW15と第二のデバイスW20の第二のリードW25とは、幅方向Yに平行に見て重なっている。
【0029】
次に、切断工程において、デバイス連結体Wを切断する。すなわち、金型移動機構により上部金型12を下方に移動させ、金型11、12の刃部によりデバイス連結体Wの連結部W30を切断する。デバイス連結体Wを切断したときに、切断した部分にバリなどが生じる。
このとき、デバイス連結体Wから第一のデバイスW10および第二のデバイスW20が分離される。分離された第一のデバイスW10は、下部金型11により第一のデバイスW10の重心位置W16よりも突出方向X1側しか支持されていないため、図5に示すように、自重により第一のリードW15に対する第一の本体W11側から落下することで移動し、第一のデバイスW10は、第一のシュート20Aの支持面26Aに支持される。前述のバリの一部は、第一のデバイスW10とともに第一のシュート20A内に落ちるが、支持面26Aの下方の端部に形成された凹部27Aに収容される。第二のデバイスW20も同様に自重により落下し、第二のシュート20Bの支持面26Bに支持される。
第一のシュート20Aに支持された第一のデバイスW10と第二のシュート20Bに支持された第二のデバイスW20とは、幅方向Yに平行に見て第一のリードW15と第二のリードW25とが重ならないように構成されている。
この後で、金型移動機構により上部金型12を上方に移動させておく。
【0030】
続いて、収容工程において、第一のデバイスW10を第一のマガジン40Aに収容するとともに、第二のデバイスW20を第二のマガジン40Bに収容する。
具体的には、図6に示すように、第一の移動機構28Aにより第一のシュート20Aを上端位置P2に移動させ、第一のシュート20Aの支持面26Aを水平面に略平行にする。そして、第一の押出し機構46Aの本体48Aによりロッド47Aを一方側Y1に移動させる。これにより、第一のデバイスW10は、第一のシュート20A内を搬送方向Yの一方側Y1にスライドし、さらに、案内面31Aの他方側Y2の部分を一方側Y1にスライドする。そして、案内面31Aの一方側Y1において、自重により一方側Y1に移動し、開口42Aを介して第一のマガジン40Aの内部空間41Aに収容される。
同様に、第二のデバイスW20は、第二の移動機構28B、第二の押出し機構46Bにより移動され、第二のマガジン40Bに収容される。
この後で、移動機構28A、28Bによりシュート20A、20Bを下端位置P1に移動させ、本体48Aによりロッド47Aを他方側Y2に、本体48Bによりロッド47Bを一方側Y1にそれぞれ移動させておく。
【0031】
これまで説明した配置工程、切断工程、および収容工程を繰り返して行うことで、多数のデバイスW10、W20を製造し、第一のデバイスW10を第一のマガジン40Aに、第二のデバイスW20を第二のマガジン40Bにそれぞれ収容することができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の製造装置1およびデバイス製造方法によれば、上部金型12を下方に移動させて、上部金型12および下部金型11によりデバイス連結体Wから連結部W30を切断することで、第一のデバイスW10と第二のデバイスW20とを分離する。分離された第一のデバイスW10は、自重により第一の本体W11側から移動して第一のシュート20Aに支持されるが、このときの第一のデバイスW10の位置は、幅方向Yに平行に見て第一のリードW15と第二のリードW25とが重ならないようになっている。したがって、互い違いとなったリードW15、W25を重力の作用だけで容易に分離し、幅方向Yに重ならない位置に保持することができる。
従来の製造装置に比べてデバイスを吸着したり移動したりする機構が不要になるため、製造装置1を小型にすることができる。
【0033】
第一のシュート20Aの支持面26Aは、下部金型11から延出方向X2に沿って離間するにしたがって下方に向かうように傾斜している。このため、第一のデバイスW10が自重により落下したときに、第一のデバイスW10を支持面26A上の下方の位置に位置決めすることができる。
支持面26Aにおける下方の端部には、凹部27Aが形成されている。これにより、連結部W30を切断したときに生じたバリなどが、自重により凹部27Aに収容される。このため、バリなどが支持面27A上に付着して、第一のシュート20Aに収容された第一のデバイスW10が支持面27A上を移動する際に、バリなどにより引っ掛かるのを低減させることができる。
【0034】
製造装置1は、第一のマガジン40Aおよび第一の押出し機構46Aを備えている。したがって、第一の押出し機構46Aにより第一のシュート20A上の第一のデバイスW10を搬送方向Yに移動させることで、第一のデバイスW10を第一のマガジン40Aに収容させることができる。
製造装置1が第一の移動機構28Aを備えることで、第一のシュート20Aが上端位置P2に配置されたときに、第一のデバイスW10の底面と案内面31Aとが突出方向X1においてほぼ平行になる。したがって、案内面31A上における第一のデバイスW10の突出方向X1の動きを安定させ、第一のデバイスW10をより確実に第一のマガジン40Aに収容することができる。
【0035】
第二のシュート20Bを備えるため、デバイス連結体Wから分離したデバイスW10、W20をそれぞれのシュート20A、20Bで別々に支持することができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。
たとえば、前記実施形態では、デバイス連結体Wは、1つの第一のデバイスW10と1つの第二のデバイスW20が連結部W30で接続された構成とした。しかし、デバイス連結体において連結部W30で接続されるデバイスW10、W20の数に制限はなく、3つ以上のデバイスを接続した構成としてもよい。
また、前記実施形態では、デバイスW10、W20におけるリードの数を3つとしたが、デバイスに設けられるリードの数に制限はなく、1つ、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0037】
前記実施形態では、連結部W30を切断することで第一のデバイスW10、第二のデバイスW20が、自重により第一のシュート21、第二のシュート22にそれぞれ移動して支持されるとした。しかし、連結部W30を切断したときに第二のデバイスW20を移動させる必要がない場合には、下部金型11が第二のデバイスW20の重心位置W26よりも突出方向X1側を支持するように構成してもよい。
この場合には、製造装置1に第二のシュート22、案内面31B、第二の押出し機構46B、および第二のマガジン40Bは、備えられなくてもよい。
【0038】
前記実施形態では、製造装置1に代えて、図7に示すように金型10のみを用いてもよい。
この場合、上記実施形態と同様に下部金型11の上面11a上にデバイス連結体Wを配置し、上部金型12を下方に移動させてデバイス連結体Wの連結部W30を切断する。このとき、第一のデバイスW10は、自重により下部金型11の延出方向X2側に移動し、第二のデバイスW20は下部金型11の突出方向X1側に移動する。
このように、幅方向Yに見たときに、第一のリードW15と第二のリードW25とが重ならないように第一のデバイスW10および第二のデバイスW20が移動するため、切り離された一対のデバイスW10、W20におけるリードW15、W25が互い違いとなった状態を容易に解消することができる。
【0039】
前記実施形態では、凹部27Aは必須の構成ではない。デバイス連結体Wを切断するときに生じるバリが無視できるほど少ない場合があるからである。
また、案内面31Aが下端位置P1に配置された第一のシュート20Aの支持面26Aに連なるように突出方向X1に対して斜めに形成され、かつ、第一のマガジン40Aがこの案内面31Aに連なるように斜めに配置されている場合などには、第一の移動機構28Aは備えられなくてもよい。
前記実施形態では、デバイスW10、W20は、SIP型の同一のデバイスであるとした。ただし、デバイスW10、W20は、ともにSIP型であっても寸法やリードの数が互いに異なるデバイスであってもよいし、ZIP(Zigzag Inline Package)などのような他の規格のデバイスでもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 製造装置(デバイス製造装置)
10 金型
11 下部金型
12 上部金型
20A 第一のシュート(シュート)
20B 第二のシュート
26A、26B 支持面
27A、27B 凹部
28A 第一の移動機構(移動機構)
40A 第一のマガジン(マガジン)
46A 第一の押出し機構(押出し機構)
W デバイス連結体
W10 第一のデバイス
W11 第一の本体
W12、W13、W14 第一のリード
W16、W26 重心位置
W20 第二のデバイス
W21 第二の本体
W22、W23、W24 第二のリード
W30 連結部
X1 突出方向
Y 幅方向(搬送方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の本体から第一のリードが突出する第一のデバイスと、第二の本体から第二のリードが延びる第二のデバイスと、前記第一のリードおよび前記第二のリードを接続する連結部とを有し、前記第二の本体が前記第一のリードの突出方向側に配置されるとともに前記第一のリードと前記第二のリードとが前記第一のリードの幅方向に互い違いに配置されたデバイス連結体から、前記連結部を切断して前記第一のデバイスと前記第二のデバイスとを分離するデバイス製造装置であって、
前記デバイス連結体のうち前記第一のデバイスの重心位置よりも前記突出方向側を下方から支持する下部金型と、
前記下部金型の上方に配置され、下方に移動することで前記下部金型と協働して前記連結部を切断する上部金型と、
前記連結部を切断されて自重で移動した前記第一のデバイスを、前記幅方向に前記第一のリードと前記第二のリードとが重ならないように支持可能なシュートと、
を備えることを特徴とするデバイス製造装置。
【請求項2】
前記シュートにおける前記第一のデバイスを支持する支持面は、前記下部金型から水平面に沿って離間するにしたがって下方に向かうように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のデバイス製造装置。
【請求項3】
前記支持面における下方の端部には、前記支持面から凹んだ凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のデバイス製造装置。
【請求項4】
前記シュートに対する前記幅方向側に設けられ、前記第一のデバイスを収容するマガジンと、
前記シュートに支持された前記第一のデバイスを前記幅方向に移動させて前記マガジンに収容させる押出し機構と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス製造装置。
【請求項5】
前記シュートにおける前記第一のデバイスを支持する支持面を水平面に略平行となるように移動させる移動機構を備えることを特徴とする請求項4に記載のデバイス製造装置。
【請求項6】
前記下部金型は、前記デバイス連結体のうち前記第二のデバイスの重心位置よりも前記突出方向の反対側を下方から支持し、
前記連結部を切断されて自重で移動した前記第二のデバイスを支持可能な第二のシュートをさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス製造装置。
【請求項7】
第一の本体から第一のリードが突出する第一のデバイスと、第二の本体から第二のリードが延びる第二のデバイスと、前記第一のリードおよび前記第二のリードを接続する連結部とを有し、前記第二の本体が前記第一のリードの突出方向側に配置されるとともに前記第一のリードと前記第二のリードとが前記第一のリードの幅方向に互い違いに配置されたデバイス連結体から、前記連結部を切断して前記第一のデバイスと前記第二のデバイスとを分離する金型であって、
前記デバイス連結体のうち前記第一のデバイスの重心位置よりも前記突出方向側を下方から支持する下部金型と、
前記下部金型の上方に配置され、下方に移動することで前記下部金型と協働して前記連結部を切断する上部金型と、
を備え、
前記連結部を切断された前記第一のデバイスは、前記幅方向に前記第一のリードと前記第二のリードとが重ならない位置に自重で移動することを特徴とする金型。
【請求項8】
第一の本体から第一のリードが突出する第一のデバイスと、第二の本体から第二のリードが延びる第二のデバイスと、前記第一のリードおよび前記第二のリードを接続する連結部とを有し、前記第二の本体が前記第一のリードの突出方向側に配置されるとともに前記第一のリードと前記第二のリードとが前記第一のリードの幅方向に互い違いに配置されたデバイス連結体から、前記連結部を切断して前記第一のデバイスと前記第二のデバイスとを分離するデバイス製造方法であって、
前記デバイス連結体のうち前記第一のデバイスの重心位置よりも前記突出方向側を下方から支持し、
前記連結部を切断し、
前記連結部を切断されて自重で移動した前記第一のデバイスを、前記幅方向に前記第一のリードと前記第二のリードとが重ならないように支持することを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−235011(P2012−235011A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103574(P2011−103574)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】