説明

金属検出機

【課題】銃砲刀剣、電子記録媒体等に関わらず、また検査員の手を介することなく、金属物品を高い精度で検出することのできる金属検出機を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するための金属検出機は、検査領域内に発生させた磁界の変化に基づいて被検者または被検体の保有する金属を検出する金属検出機であって、前記被検者または前記被検体の周囲を鉛直線と交差する方向に囲繞する検出コイルにより構成される検出領域を有する検出ヘッド28と、前記検出ヘッド28を昇降させる昇降機構13とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入出管理を行っている施設の出入口等に配置される金属検出機に係り、特に被検者または被検体が金属製物品を所持していた場合の所持部位の特定に優れた金属検出機に関する。
【背景技術】
【0002】
入出管理を行っている施設、例えば空港などの保安検査場に配備されている金属検出機としては、載置型(例えば門型)のものや、携帯型(例えば棒型)のものが知られている。門型の金属検出機は、門の通過領域を検出領域とする検出コイルが、門を構成する壁部、天井部、及び床部等に配置されるという構成が採られている。このため、被検者が金属検出機を構成する門内を通過することにより、被検者が金属物品を所持しているか否かを検出することができるのである。一方、棒型の金属検出機は、検出コイルが検査部を成す容器の内部に収容されているため、検査員が金属検出機を所持して被検者の被服近傍をなぞることにより、被検者がどこに金属物品を所持しているのかを検出することが可能となるのである。
【0003】
上記のような金属検出機のうち、門型のものには、特許文献1に開示されているものや、特許文献2に開示されているようなものがある。こうした門型の金属検出機のうち、例えば特許文献1に記載の金属検出機には、門の壁部に対向させて配置する送信コイルと受信コイルに付随した複数の位置検出コイルを設け、この位置検出コイルによって検出される信号(誘導起電力)の強弱から被検者が金属物品を所持している部位の特定を容易にするという特徴を有する。
【0004】
また、棒型のものには特許文献3に開示されているようなものが知られている。特許文献3に開示されている金属検出機では、棒状を成す容器内に配置する検出コイル、検出回路、及び電源の配置形態に工夫を凝らすことにより、無用な磁場の変動を抑制し、検出感度を向上させることを特徴としている。
【0005】
上記のような各特徴を有する金属検出機のうち、門型の金属検出機は、棒型の金属検出機に比べて検査を迅速に行うことができる。このため、短時間で多くの被検者、あるいは被検体の検査を行うことが可能である。これに対して棒型の金属検出機では、金属物品を所持している部位の特定、及び検出精度の高さという点で優位性を持つ。
【特許文献1】特開平11−38151号公報
【特許文献2】特開2001−296371号公報
【特許文献3】特開平9−288187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような金属検出機における検査目的は従来、銃砲刀剣といった危険物の持ち込みを防止するといったことであった。ところが近年では電子機器の発達により、フレキシブルディスクやCD−ROM(RAM)、DVD−ROM(RAM)等の記録媒体よりも小型なフラッシュメモリ(半導体メモリ)等の小型電子記録媒体が開発されており、この電子記録媒体による機密情報の持ち出しを防止するという需要が高まってきている。
【0007】
このような電子記録媒体の検出を目的とした場合、上記門型、棒型の各金属検出機には、それぞれ次のような問題点が生ずることとなる。まず、門型の金属検出機の場合には、広い検査領域に対して固定された検査コイルによる検査が行われるため、検査領域の中心部付近では検出精度が低下してしまうということがある。ここで、電子記録媒体に付随する金属は、従来検出対象としていた危険物に比べて非常に小さなものとなる。このため、被検者の体格や向き、金属物品の所持位置等により、検出が困難となる場合がある。また、門型の金属検出機では金属物品の所持位置を限定的に特定することが困難であるという問題点もある。
【0008】
一方、棒型の金属検出機では、検査員が被検者の被服に沿って金属検出機を移動させて検査を行うため、検出対象が電子記録媒体となった場合であっても検出が可能であると考えられる。また、同様の理由から、電子記録媒体(金属物品)の所持位置の特定も容易に行うことができる。しかしながら、検査員による検査は被検者一人に要する検査時間が長いという問題点や、検査結果が検査員の経験や性格に左右されることがあるといった問題点がある。
そこで本発明では、上記問題点を解決し、銃砲刀剣、電子記録媒体等に関わらず、また検査員の手を介することなく、金属物品を高い精度で検出することのできる金属検出機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためには、検査結果が経験や性格に依存されないように、検査形態を自動化する必要がある。また、金属物質を検出するための検出コイルと被検者表面または被検体表面との距離(平均距離)を近付ける必要がある。そこで、本発明に係る金属検出機は、検査領域内に発生させた磁界の変化に基づいて被検者または被検体の保有する金属を検出する金属検出機であって、前記被検者または前記被検体の周囲を鉛直線と交差する方向に囲繞する検出コイルにより構成される検出領域を有する検出ヘッドと、前記検出ヘッドを昇降させる昇降機構と、を備えることを特徴とした。
【0010】
また、上記のような構成の金属検出機では、前記検出ヘッドに複数の位置検出コイルを備えるようにしても良い。
また、上記金属検出機において前記検出ヘッドは、前記被検者または被検体の形状に応じた検出領域の形状を有する検出ヘッドに切り替えることを可能とする着脱手段を有する構成とすると良い。
また、上記構成の金属検出機では、前記支持部に対して前記検出ヘッドを複数取り付ける構成としても良い。
【0011】
また、上記構成の金属検出機には床板部を設け、当該床板部に検出コイルを備えるようにすると良い。
また、上記構成の金属検出機には天板部を設け、当該天板部に検出コイルを備える構成としても良い。
さらに、上記構成の金属検出機では、前記検出ヘッドの表面に緩衝部材を被覆することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の金属検出機によれば、銃砲刀剣、電子記録媒体等に関わらず、また検査員の手を介することなく、金属物品を高い精度で検出することができる。また、高さ方向において金属物品を保有している位置の特定を容易に行うことができる。
【0013】
また、検出ヘッドに複数の位置検出コイルを備える構成とした場合には、被検者または被検体が、前後左右のどの部位に金属物品を保有しているのかを検知することが可能となる。また、被検者または被検体の体型や形状に応じて検出領域の形状を切り替えるようにすることで、被検者や被検体と、検出コイルとの距離を近付けることができるようになり、金属物品の検出精度を向上させることができる。また、検出ヘッドを複数備えるようにした場合、被検者または被検体の検査に要する時間を短縮することも可能となる。また、床板部を設けて検出コイルを配置した場合には、昇降式の検出ヘッドの死角となる被検者の足元、被検体の接地部分等の検査を行うことが可能となる。また、天井部を設けて検出コイルを配置した場合には、被検者や被検体の上面部分の検査を行うことが可能となる。さらに、検出ヘッドの表面を緩衝材で被覆した場合には、検出ヘッドと被検者または被検体とが接触した場合であっても、被検者または被検体に与えるダメージを軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の金属探知機に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明に係る一部の実施形態であり、本発明の技術的範囲は以下の実施形態のみに拘束されるものでは無い。
【0015】
図1は、本実施形態に係る金属探知機の側面構造を示す図であり、図2は本実施形態に係る金属探知機の正面構造を示す図である。
本実施形態に係る金属探知機10は、ベース12と昇降機構13、及び検出ヘッド28とを基本構成とする。
【0016】
ベース12は、前記昇降機構13、及び検出ヘッド28等を搭載するための基部である。本実施形態の場合、ベース12は板状を成し、ベース12上面には垂直に立設された鉛直板14が設けられ、当該鉛直板14によってベース12上面の領域は検査領域と支持領域とに隔てられる。前記検査領域は、詳細を後述する検出ヘッド28を備え、被検者や被検体が金属物質を保有しているか否かを検査するための領域である。一方、支持領域は、昇降する検出ヘッド28を支持する鉛直板14が鉛直状態を保持するように配置した支持部材15を配置する領域である。なお、以下の説明では、検査対象を被検者として説明する。
【0017】
前記昇降機構13は本実施形態の場合、検査領域に備えられる。昇降機構13の基本的な構成は、上部ブロック16、下部ブロック18、昇降ブロック26、及び昇降スクリュー20である。前記上部ブロック16は、前記昇降ブロック26を上昇させる際の上死点を定めるための固定板であり、下部ブロック18は前記昇降ブロック26を下降させる際の下死点を定めるための固定板である。前記昇降ブロック26は上部ブロック16と下部ブロック18との間を昇降させられるブロックであり、前記昇降スクリュー20は上部ブロック16と下部ブロック18との間に配置されて前記昇降ブロック26を昇降させるボールネジ等の機構である。このため、前記昇降ブロック26には、前記昇降スクリュー20と螺合する雌ネジ孔26a(図3参照)が備えられている。昇降スクリュー20の駆動には、駆動モータ38を用いれば良く、図示しないギアボックス等を介して昇降スクリュー20の回転トルクや速度を調整するようにしても良い。
【0018】
本実施形態の場合、前記上部ブロック16と前記下部ブロック18は、前記鉛直板14の検査領域側主面に取り付ける構成とした。そして、上部ブロック16と下部ブロック18との間には、前記昇降ブロック26の姿勢を保持するための支柱22,24を備える構成とした。このため、昇降ブロック26には、前記支柱22,24を挿通させるための貫通孔26b,26cを設ける構成とした。
【0019】
前記検出ヘッド28は、被検者が金属物質を保有するか否かを検出するための検出領域30を有する。検出領域30は、検出コイル32,34,36によって囲繞された領域である。検出コイル32,34,36は、少なくとも1つの送信コイル32と、前記送信コイル32を挟み込むようにして配置された対を成す受信コイル34,36とから構成される。そして、送信コイル32には交流電源を接続し、対を成す受信コイル34,36は起電力を差動的に検出することができるように検出回路(不図示)に接続する。このように配置した検出コイル32,34,36のうち、前記送信コイル32に交流電流を流すと、送信コイル32の周囲には、送信コイル32を基準とする対称な磁界が形成される。磁界が対称な場合、対を成す受信コイル34,36内に発生する起電力の差分は零となるために打ち消され、受信コイル34,36からの出力電流は零となる。一方、検出領域30内に金属物質を通過させると、送信コイル32の周囲に形成された磁界に乱れが生じ、磁界の対称性が崩れる。磁界の対称性が崩れた場合には、受信コイル34内に発生する起電力の値と受信コイル36内に発生する起電力の値とが異なるため、その差分が受信コイル34,36の出力信号として検出され、検出領域30内に金属物質が存在することを知らせる。なお一般に、前記出力信号はアラームや警告灯といった警告手段(不図示)を介した音や光、あるいはその両方として検査員等が知覚することができるようにされている。
【0020】
本実施形態の場合図3に示すように、検出ヘッド28は、円管状に構成した外殻内部に検出コイル32,34,36を配置する構成を採っており、検出領域30は前記外殻に形成された内部開口部となる。前記外殻は樹脂等の非金属性材料によって構成している。また、前記外殻の表面、特に検出領域30を構成する内部開口部側表面には、ゴムや発泡ウレタン、発泡スチロール(スチレン)等の緩衝部材を被覆し、被検者と検出ヘッド28とが接触した場合であっても、被検者に与えるダメージを軽減することができるようにすることが望ましい。
【0021】
このような構成の検出ヘッド28は、検出領域30が鉛直線と交わるように、好適には検出領域30が水平となるようにして、前記昇降ブロック26に接続されている。
なお、上記構成を有する金属検出機10では、ベース12における検査領域に、図1、図2に示すような踏み台40を載置することにより、死角となる被検者の足元まで検査を行うことが可能となる。
【0022】
このような構成の金属検出機10では、検出ヘッド28を上死点または下死点に移動させ、検出ヘッド28の開口部、すなわち検出領域30内に検査対象とする被検者を移動させる。被検者の移動が終了したことを確認した後、検出ヘッド28内の送信コイル32に通電し、検出ヘッド28を上昇、または下降させる。検出ヘッド28が被検者の背丈を越える範囲まで、または上死点、または下死点まで移動した時点、あるいは当該範囲を往復した時点で被検者に対する金属物質の検出工程は終了する。
【0023】
金属物質の検出工程において、被検者が金属物質を保有していた場合には、前記検出ヘッド28が金属物質保有箇所を通過する時点でアラームや警告灯といった図示しない警告手段が発動する。一方、被検者が金属物質を保有していない場合には、検出ヘッド28の通過に伴うアラームや警告灯等の警告手段が発動するといった事態は生じ無い。
【0024】
上記のように、円管状とした検出領域30内に被検者を移動させ、検出ヘッド28を昇降させて、被検者を高さ方向に検査する構成としたことにより、検出コイル32,34,36と被検者との距離や、検出コイル32,34,36と被検者の中心までの距離を近付けることが可能となるため、検出感度を極端に高めることをしなくとも、電子記憶媒体等の微小金属片を検出することが可能となる。
【0025】
また、検出ヘッド28を上下に昇降させて被検者が金属物質を保有しているか否かの検出を行うため、高さ方向での金属物質保有部位の特定を容易に行うことができるようになる。また、門型等の金属検出機に比べて検出領域が小さくなり、検出範囲が狭まるため、検査対象を生体(被検者)とした場合であっても、当該被検者の発する生体磁場の影響を少なくすることができる。
【0026】
また、昇降機構13における昇降ブロック26の昇降をボールネジにより行う構成とすることで、昇降時に検出ヘッド28に生じる機械的な振動の抑制効果を高めることができる。さらに、振動の抑制により、振動に伴って発生する電気的ノイズも抑制することができ、金属物質検出時における検出精度を向上させることができる。
【0027】
また、本実施形態に係る金属検出機10のように、検出ヘッド28の移動(昇降)範囲が比較的狭く、限定されている場合には、検出ヘッド28を昇降させる際に生ずる振動のタイミング、及びこの振動に伴って検出される信号(ノイズ)を予め予測することができる。このため、検出ヘッド28の昇降に伴って発生するノイズを予めカットするように、検出回路(不図示)やプログラムを設定することもできる。このような構成とすることによれば、被検者の保有する金属物質の検出精度は格段に向上することとなる。
【0028】
また、上述した本実施形態に係る金属検出機10において、検出ヘッド28は、昇降ブロック26に対して着脱可能な構成とし、開口部である検出領域30の形状や大きさを検査対象とする被検者や被検体の体格や形状に合わせて切り替えるようにしても良い。このような構成とした場合、被検者や被検体と検出コイル32,34,36との距離を適宜近付けることができるため、被検者や被検体の保有する金属物質の検出精度を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態の金属検出機10には、ベース12の検査領域に検査コイル(不図示)を配置する構成としても良い。このような構成とすることにより、踏み台40を配置しなくとも、昇降式の検出ヘッド28の死角となる被検者の足元部分の検査を行うことができるようになる。検査領域に検査コイルを配置する場合、金属物質の検出は、検査領域へ被検者が移動(進入する際)、または検査領域から退出する際に行うようにすれば良い。
【0030】
さらに、本実施形態の金属検出機10には天井部(不図示)を設け、当該天井部に検査コイル(不図示)を配置するようにしても良い。このような構成とすることにより、被検者や被検体の上部に対する金属検出を実施することができるようになる。
【0031】
次に、図4を参照して本発明の金属検出機に係る第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る金属検出機の基本的構成は、上述した第1の実施形態に係る金属検出機と同様であり、相違点としては、検出ヘッドの内部構造である。よって本実施形態では、その機能を同一とする箇所には図面に100を足した符号を付し、相違点である検出ヘッドの内部構造のみを説明し、その他の構造及び作用効果については、上述した第1の実施形態に係る金属検出機の説明を援用することとする。なお、図4において図4(A)は検出ヘッドの平面形態を示す概略図であり、図4(B)は検出ヘッドの正面の形態を示す概略図である。
【0032】
本実施形態の検出ヘッド128には、送信コイル132と一対の受信コイル134,136の他に、複数(本実施形態では4つ)の位置検出コイル137a〜137dが配置されている。位置検出コイル137a〜137dの配置は例えば円管状を成す検出領域130を4分割した各領域毎に配置する構成とすると良い。具体的には、図4に示すように、開口部を矩形状に形成したコイルの開口部が、検出ヘッド128の検出領域130側を向くようにして、4つの位置検出コイル137a〜137dを近接させて配置している。つまり、送信コイル132及び受信コイル134,136と位置検出コイル137とは、その配置形態が交差(直交)するような状態となるのである。
【0033】
なお本実施形態では位置検出コイル137a〜137dの配置は、検出ヘッド128の前後左右にそれぞれ1つずつ配置しているが、さらに分割するようにしても良い。また、このような位置検出コイル137a〜137dについての詳細な回路構成については既知の技術(例えば特開平11−38151号公報参照)を参考とすれば良い。
【0034】
検出ヘッド128の構成をこのようなものとすることにより、金属物質が被検者または被検体のどの部位、例えば前後左右のどこに保有されているかということを特定することができる。つまり、本実施形態に係る金属検出機によれば、検出ヘッド128の昇降により高さ方向の金属保有箇所を特定し、位置検出コイル137a〜137dからの信号により水平方向での金属保有箇所を特定することができるのである。他の構成、作用、効果については第1の実施形態に係る金属検出機と同様である。
【0035】
次に、本発明の金属検出機に係る第3の実施形態について図5を参照して説明する。本実施形態に係る金属検出機の基本的構成も、上述した第1、第2の実施形態と同様、ベースと昇降機構、及び検出ヘッドである。本実施形態と第1、第2の実施形態との相違点は、検出ヘッドを昇降させるための昇降機構を複数(本実施形態では2つ)にし、検出ヘッドを複数の支点で支持する構成としたことである。
【0036】
図5に示す例では、ベース212に対して、検出ヘッド228の直径以上の間隔をあけて配置した2つの支柱225内に上部ブロック216と下部ブロック218を配置し、その間に昇降スクリュー220を配置している。昇降スクリュー220にはそれぞれ昇降ブロック226が備えられ、検出ヘッド228は前記2つの昇降ブロック226のそれぞれに接続されている。なお、図6に示すように、昇降ブロック226には、昇降スクリュー220と螺合するための雌ねじ孔226aが設けられている。
【0037】
本実施形態のように、複数の昇降機構213によって検出ヘッド228を昇降させる構成とすることにより、検出ヘッド228の水平性を保つことが容易となると共に、昇降時に生ずる振動を抑制することができ、検出ヘッド228の昇降に伴うノイズを抑制することができるようになる。また、昇降機構213を構成する支柱225を検出ヘッド228の側方に配置することにより、検査終了後の被検者はそのまま金属検出機210を通り抜けることが可能となり、検査効率の向上を図ることが可能となる。
【0038】
また、検出ヘッド228には、上述した第1、第2の実施形態と同様に、送信コイル232と受信コイル234,236が配置されている。また、被検者の足元には、検査範囲の死角を無くすための踏み台240を配置するようにしても良い。なお、上記構成の他、各部の詳細な説明については第1の実施形態に関する記載を援用することとする。
【0039】
また、上記実施形態ではいずれも、検出ヘッドは、昇降機構に対して1つのみ配置する構成としている。しかしながら、昇降機構に対して複数の検出ヘッドを備えるようにしても良い。このような構成とすることにより、各検出ヘッドによって検査を行う範囲を狭めることができるため、検査時間の短縮化を図ることができる。なお、検出ヘッドを複数設ける場合には、検査時における各検出ヘッドの移動方向、及び昇降速度は、それぞれ同一方向とすると良い。検出ヘッドの移動方向及び昇降速度を同一とすることにより、隣接する検出ヘッドからの干渉を抑制することができるからである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
上記実施形態では、本発明に係る金属検出機は、単体で使用する場合のみを例として挙げている。しかしながら、本発明に係る金属検出機は、従来の門型や棒型、その他の金属検出機と組み合わせて使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の実施形態に係る金属検出機の側面構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る金属検出機の正面構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る金属検出機の検出ヘッドの構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態に係る金属検出機における検出ヘッドの構成を示すブロック図である。
【図5】第3の実施形態に係る金属検出機の正面構成を示すブロック図である。
【図6】第3の実施形態に係る金属検出機の検出ヘッドの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0042】
10………金属検出機、12………ベース、13………昇降機構、14………鉛直板、16………上部ブロック、18………下部ブロック、20………昇降スクリュー、26………昇降ブロック、28………検出ヘッド、30………検出領域、32………送信コイル(検出コイル)、34………受信コイル(検出コイル)、36………受信コイル(検出コイル)、38………駆動モータ、40………踏み台。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査領域内に発生させた磁界の変化に基づいて被検者または被検体の保有する金属を検出する金属検出機であって、
前記被検者または前記被検体の周囲を鉛直線と交差する方向に囲繞する検出コイルにより構成される検出領域を有する検出ヘッドと、
前記検出ヘッドを昇降させる昇降機構と、
を備えることを特徴とする金属検出機。
【請求項2】
前記検出ヘッドに複数の位置検出コイルを備えることを特徴とする請求項1に記載の金属検出機。
【請求項3】
前記検出ヘッドは、前記被検者または被検体の形状に応じた検出領域の形状を有する検出ヘッドに切り替えることを可能とする着脱手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属検出機。
【請求項4】
前記支持部に対して前記検出ヘッドを複数取り付けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載の金属検出機。
【請求項5】
床板部を設け、当該床板部に検出コイルを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載の金属検出機。
【請求項6】
天板部を設け、当該天板部に検出コイルを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載の金属検出機。
【請求項7】
前記検出ヘッドの表面に緩衝部材を被覆したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1に記載の金属検出機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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