説明

金属製部材の接合方法および金属製部材接合体の製造方法

【課題】金属粒子のクラックのない加熱焼結物により強固に接合する方法、強固に接合した金属製部材接合体の製造方法を提供する。
【解決手段】(A)平均粒径が0.1μmより大きく50μm以下である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状金属粒子組成物2を、複数の金属製部材1、3間に介在させ、不活性ガス中で40℃以上200℃以下での加熱により、該組成物中の揮発性分散媒(B)の10%以上100%未満の量を揮散させた後、酸化性ガス中または還元性ガス中で70℃以上400℃以下での加熱により、該組成物中に残存する揮発性分散媒(B)を完全に揮散させ、加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結して複数の該金属製部材同士を接合させる、金属製部材の接合方法および金属製部材接合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱焼結性金属粒子と揮発性分散媒とからなるペースト状金属粒子組成物を使用する金属製部材の接合方法、および、該ペースト状金属粒子組成物を使用する金属製部材接合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀、銅、ニッケルなどの金属粉末を液状熱硬化性樹脂組成物中に分散させてなる導電性・熱伝導性ペーストは、加熱により硬化して導電性・熱伝導性被膜が形成される。したがって、プリント回路基板上の導電性回路の形成、抵抗器やコンデンサ等の各種電子部品及び各種表示素子の電極の形成、電磁波シールド用導電性被膜の形成、コンデンサ、抵抗、ダイオード、メモリ、演算素子(CPU)等のチップ部品の基板への接着、太陽電池の電極の形成、特に、アモルファスシリコン半導体を用いているために、高温処理のできない太陽電池の電極の形成、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、積層セラミックアクチュエータ等のチップ型セラミック電子部品の外部電極の形成等に使用されている。
【0003】
近年、チップ部品の高性能化により、チップ部品からの発熱量が増え、電気伝導性はもとより、熱伝導性の向上が要求される。したがって、金属粒子の含有率を可能な限り増加することにより電気伝導性、熱伝導性を向上しようとする。ところが、そうすると、ペーストの粘度が上昇し、作業性が著しく低下するという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するため、本発明者らは、銀粉末と揮発性分散媒とからなるペースト状銀粒子組成物は、加熱すると当該揮発性分散媒が揮発し銀粒子が焼結して、極めて高い導電性と熱伝導性を有する固形状銀となること、および、金属製部材の接合や、導電回路の形成に有用なことを見出して国際出願した(WO2006/126614、WO2007/034833)。また、ペースト状金属粒子組成物、例えばペースト状銀粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、加熱により,加圧しつつ超音波振動印加により,または,加圧および加熱しつつ超音波振動印加により、揮発性分散媒を揮散させ,金属粒子、例えば銀粒子(A)同士を焼結させると、複数の金属製部材同士を強固に接合できることを見出して、国際出願した(WO2008/062548)。
【0005】
しかしながら、このようなペースト状銀粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、銀粒子の焼結のため大気など酸素ガスを含む酸化性ガス中において加熱した場合、銀粒子の焼結が早いため、場所によっては硬化が不均一となり、また場所によって揮発性分散媒の揮発が均一でなく、その結果、銀粒子が均一に焼結しないため焼結した固体状銀にクラック(亀裂)が生じる問題があることに本発明者らは気づいた。
【0006】
【特許文献1】WO2006/126614
【特許文献2】WO2007/034833
【特許文献3】WO2008/062548
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは上記の問題点を解決するため鋭意研究した結果、ペースト状金属粒子組成物を複数の金属製部材間の接合剤に用いた場合でも、クラックを発生することなく金属粒子が均一な焼結物となり、金属粒子が十分に焼結して強固に接合する方法を見出した。本発明の目的は、ペースト状金属粒子組成物の焼結による金属製部材の接合において、金属粒子の焼結物がクラックを有することなく、金属製部材を強固に接合する接合方法と、そのような金属製部材接合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、
「[1] (A)平均粒径が0.1μmより大きく50μm以下である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状金属粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、不活性ガス中で40℃以上200℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物中の揮発性分散媒(B)の10重量%以上100重量%未満の量を揮散させた後、酸化性ガス中または還元性ガス中で70℃以上400℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物中に残存する揮発性分散媒(B)を揮散させ、加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結して複数の該金属製部材同士を接合させることを特徴とする、金属製部材の接合方法。
[1-1] 揮発性分散媒(B)の揮散量が20重量%以上98重量%以下であることを特徴とする、[1]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[2] 加熱焼結性金属粒子(A)が還元法で製造された銀粒子または銅粒子であり、揮発性分散媒(B)が親水性溶剤または脂肪族炭化水素系溶剤であり、金属製部材が金、銀、銅、パラジウム、白金、またはそれら各金属の合金であることを特徴とする、[1]に記載の金属製部材の接合方法。
[3] 酸化性ガスが0.1体積%以上40体積%以下の酸素ガスと99.9体積%以下60体積%以上の窒素ガスの混合ガスであり、還元性ガスが1体積%以上40体積%以下の水素ガスと99体積%以下60体積%以上の窒素ガスの混合ガスであることを特徴とする、[1]、[1-1]または[2]に記載の金属製部材の接合方法。
[4] 接合された金属製部材のせん断接着強さが5MPa以上であり、かつ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士の焼結物の体積抵抗率が1×10-1Ω・cm以下であることを特徴とする、[1]、[1-1]、[2] または[3]に記載の金属製部材の接合方法。
」により達成される。
【0009】
この目的は、さらには、
「[5] (A)平均粒径が0.1μmより大きく50μm以下である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状金属粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、不活性ガス中で40℃以上200℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物中の揮発性分散媒(B)の10重量%以上100重量%未満の量を揮散させた後、酸化性ガス中または還元性ガス中で70℃以上400℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物中に残存する揮発性分散媒(B)を揮散させ、加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結して複数の該金属製部材同士を接合させることを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法。
[5-1] 揮発性分散媒(B)の揮散量が20重量%以上98重量%以下であることを特徴とする、[5]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[6] 加熱焼結性金属粒子(A)が還元法で製造された銀粒子または銅粒子であり、揮発性分散媒(B)が親水性溶剤または脂肪族炭化水素系溶剤であり、金属製部材が金、銀、銅、パラジウム、白金、またはそれら各金属の合金であることを特徴とする、[5]または[5-1]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[7] 酸化性ガスが0.1体積%以上40体積%以下の酸素ガスと99.9体積%以下60体積%以上の窒素ガスの混合ガスであり、還元性ガスが1体積%以上40体積%以下の水素ガスと99体積%以下60体積%以上の窒素ガスの混合ガスであることを特徴とする、[5]、[5-1]または[6]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[8] 金属製部材接合体のせん断接着強さが5MPa以上であり、かつ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士の焼結物の体積抵抗率が1×10-1Ω・cm以下であることを特徴とする、[5]、[5-1]、[6] または[7]に記載の金属製部材接合体の製造方法。
[9] 金属製部材が金属系基板または金属部分を有する電子部品であることを特徴とする、[5]、[6]または[7]に記載の金属製部材接合体の製造方法。」により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の接合方法によると、金属製部材間の接合において、ペースト状金属粒子組成物の加熱により該組成物中の揮発性分散媒(B)が揮散し加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結して固体状となる際に、焼結物にクラックを生じることなく緻密な焼結物となるので、金属製部材を強固に接合させることができる。また酸化して腐食や変色がしやすい金属製部材間の接合であっても、該ペースト状金属粒子組成物の加熱により該組成物中の揮発性分散媒が揮散し、加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結して固体状となる際に、焼結物にクラックを生じることなく、しかも金属製部材が腐食や変色することなく強固に接合させることができる。
【0011】
本発明の金属製部材接合体の製造方法によると、ペースト状金属粒子組成物の加熱により該組成物中の揮発性分散媒(B)が揮散し加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結して固体状となる際に、焼結物にクラックを生じることなく緻密な焼結物となるので、強固に接合した金属製部材接合体を製造することができる。また酸化して腐食や変色がしやすい金属製部材間の接合であっても、該ペースト状金属粒子組成物の加熱により該組成物中の揮発性分散媒が揮散し、加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結して固体状となる際に、焼結物にクラックを生じることなく、しかも金属製部材が腐食や変色することがなく、強固に接合した金属製部材接合体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の金属製部材の接合方法は、(A) 平均粒径が0.1μmより大きく50μm以下である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状金属粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、不活性ガス中で、40℃以上200℃以下での加熱により該組成物中に含有される揮発性分散媒(B)の10%以上重量%以上100重量%未満の量を揮散させた後、酸化性ガス中または還元性ガス中で70℃以上400℃以下での加熱により、該組成物中に残存する揮発性分散媒(B)を揮散させ、加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結して複数の金属製部材同士を接合させることを特徴とする。
【0013】
加熱焼結性金属粒子(A)の平均粒径は0.1μmより大きく50μm以下である。この平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により得られる一次粒子の平均粒径である。平均粒径が50μmを越えると、加熱焼結性金属粒子の焼結性が低下するため平均粒子径は小さい方が好ましい。このため20μm以下であることが好ましく、特には10μm以下であることが好ましい。しかし、平均粒径が0.1μm以下であると表面活性が強すぎて、ペースト状金属粒子組成物の保存安定性が低下し、加熱焼結時の接合強度が不均一になるため、平均粒径は0.1μmより大きい。この観点から平均粒径は0.2μm以上であることが好ましい。すなわち、加熱焼結性金属粒子(A)の平均粒径範囲は0.2〜10μmが好ましい。
【0014】
加熱焼結性金属粒子の材質は、常温で固体であり、加熱により焼結しやすければよく、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、スズ、アルミニウム、および、これら各金属の合金が例示され、さらには金属化合物が例示される。
これらの材質のうちでは、加熱焼結性、焼結物の熱伝導性および導電性の点で、銀、銀合金、銅、銅合金が好ましく、銀または銅が特に好ましい。銀粒子は、表面または内部の一部が酸化銀または過酸化銀であってもよく、表面の全部が酸化銀または過酸化銀であってもよい。銅粒子は、表面または内部の一部が酸化銅であってもよく、表面の全部が酸化銅であってもよい。
【0015】
また加熱焼結性金属粒子は、通常、単独の材質からなるが、複数の材質の粒子の混合物であってもよい。
加熱焼結性金属粒子は、それら加熱焼結性金属(例えば銀)により表面がメッキされた金属(例えば、銅、ニッケルまたはアルミニウム)粒子、それら加熱焼結性金属(例えば、銀)により表面がメッキされた樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂)粒子であってもよい。
【0016】
加熱焼結性金属粒子の形状は、特に限定されず、球状、楕円球状、紡錘状、粒状、略立方体状、フレーク状、不定形状が例示される。その形状は、保存安定性の点で球状、粒状、球状またはフレーク状が好ましい。好ましい加熱焼結性金属粒子は、還元法で作られた銀粒子、ならびに、還元法で作られた銅粒子である。
なお、還元法による銀粒子の製造方法は多く提案されており、通常、硝酸銀水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて酸化銀を調製し、これにホルマリンのような還元剤の水溶液を加えることにより酸化銀を還元して銀粒子分散液とし、分散液をろ過し、ろ過残渣を水洗し、乾燥をおこなうことにより製造される。また、還元法による銅粒子は、通常、硫酸銅水溶液とヒドラジン水溶液を接触反応させて銅粉を還元析出させ、純水で洗浄した後、乾燥して調製される(例えば、特開昭59−11630)。
【0017】
加熱焼結性金属粒子(A)は、加熱焼結性金属粒子の表面が有機物で被覆ないし処理されていてもよい。特に有機物が撥水性有機物である場合は潤滑性が優れているため、本発明のペースト状金属粒子組成物中での分散性に優れており好ましい。このような撥水性有機物としては高・中級脂肪酸、高・中級脂肪酸金属塩(ただし、アルカリ金属塩を除く)、高・中級脂肪酸アミド、高・中脂肪酸アミンおよび高・中級脂肪酸エステルが例示される。被覆効果、処理効果の点で特には高・中級脂肪酸が好ましい。
【0018】
高級脂肪酸は、炭素原子数15以上の脂肪酸であり、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、12−ヒドロキシオクタデカン酸(12−ヒドロキシステアリン酸)、エイコサン酸(アラキン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)等の直鎖飽和脂肪酸;2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルドデカン酸、イソステアリン酸等の分枝飽和脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の不飽和脂肪酸が例示される。
【0019】
中級脂肪酸は、炭素原子数が6〜14の脂肪酸であり、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)等の直鎖飽和脂肪酸;イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、2−ブチルオクタン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸等の分枝飽和脂肪酸;10−ウンデセン酸等の不飽和脂肪酸が例示される。
【0020】
有機物の被覆量は、金属粒子の粒径、比表面積、形状などにより変わるが、加熱焼結性金属粒子(A)の0.01〜3重量%が好ましく、0.1〜2重量%がより好ましい。少なすぎると加熱焼結性金属粒子(A)が凝集しやすくなって保存安定性が低下し、ひいては加熱焼結時の接合強度が不均一になり、多すぎると加熱焼結性金属粒子(A)の加熱焼結性が低下するからである。
【0021】
有機物の付着量は通常の方法で測定できる。例えば、窒素ガス中で有機物を高温(例えば沸点以上)に加熱して重量減少を測定する方法、加熱焼結性金属粒子(A)を酸素気流中で加熱して加熱焼結性金属粒子(A)に付着していた有機物中の炭素を炭酸ガスに変え、赤外線吸収スペクトル法により定量分析する方法が例示される。
【0022】
有機物が付着したフレーク状加熱焼結性金属粒子は、例えば、ボールミル中に球状のような形状の金属粒子と有機物を投入して、ボールにより金属粒子を殴打することにより製造することができる(特公昭40−6971、特開2000−234107の[0004]参照)。
具体的には、粒状の加熱焼結性金属粒子と、高・中級脂肪酸、高・中級脂肪酸金属塩(ただし、アルカリ金属塩を除く)、高・中級脂肪酸エステル、高・中級脂肪酸アミド、高・中脂肪酸アミン系有機物等とを、セラミック製のボールとともに、回転式ドラム装置(例えばボールミル)に投入し、ボールで金属粒子を殴打することにより、有機物が付着したフレーク状加熱焼結性金属粒子を製造することができる。この際、高・中級脂肪酸、高・中級脂肪酸金属塩(ただし、アルカリ金属塩を除く)、高・中級脂肪酸エステル、高・中級脂肪酸アミド、高・中脂肪酸アミン等の有機物が、フレーク状加熱焼結性金属粒子表面に付着する。
【0023】
加熱焼結性金属粒子(A)表面は、このような高・中級脂肪酸等により半分以上が被覆されておればよいが、全部が被覆されていることが好ましい。このように金属粒子表面が撥水性有機物により被覆された場合には加熱焼結性金属粒子(A)は、撥水性を示す。
表面を有機物で被覆した加熱焼結性金属粒子(A)は、有機物の溶液中に加熱焼結性金属粒子を浸漬した後、該金属粒子を取り出して乾燥することにより製造することもできる。
【0024】
揮発性分散媒(B)は、粉状である金属粒子をペースト状にするために配合される。なお、ペースト状はクリーム状やスラリー状を含むものである。加熱時に加熱焼結性金属粒子が焼結可能とするため、あるいは、ペースト状金属粒子組成物を加熱による接合剤として使用可能にするためには、非揮発性ではなく、揮発性であることが必要である。特に、加熱焼結性金属粒子(A)が銀粒子や銅粒子の場合、焼結する際に分散媒が揮散すると、銀粒子や銅粒子が焼結しやすくなり、接合剤として利用しやすくなるからである。揮発性分散媒の沸点は、60℃〜300℃であることが好ましい。沸点が60℃未満であると、ペースト状金属粒子組成物を調製する作業中に溶媒が揮散しやすく、沸点が300℃より大であると、加熱後も揮発性分散媒(B)が残留しかねないからである。
【0025】
そのような揮発性分散媒(B)は、炭素原子および水素原子からなる揮発性炭化水素化合物、炭素原子、水素原子および酸素原子からなる揮発性有機化合物、炭素原子、水素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物、炭素原子、水素原子、酸素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物、前記揮発性有機化合物のうちの親水性揮発性有機化合物と水との混合物などから選択される。これらはいずれも常温において液状である。
水は純水が好ましく、その電気伝導度は100μS/cm以下が好ましく、10μS/cm以下がより好ましい。純水の製造方法は、通常の方法で良く、イオン交換法、逆浸透法、蒸留法が例示される。
【0026】
具体的には、炭素原子、水素原子および酸素原子からなる揮発性有機化合物として、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール等の揮発性一価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ、メチルカルビトール)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エメチルセロソルブ、エチルカルビトール)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(プロピルセロソルブ、プロピルカルビトール)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルメトキシブタノール等のエーテル結合を有する揮発性一価アルコール;ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコールなどの揮発性アラルキルアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの揮発性多価脂肪族アルコールが例示される。
【0027】
さらにはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイゾブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、2−オクタノン、イソホロン(3、5、5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン)、ジイブチルケトン(2、6−ジメチル−4−ヘプタノン)等の揮発性脂肪族ケトン;酢酸エチル(エチルアセテート)、酢酸ブチル、アセトキシエタン、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような揮発性脂肪族カルボン酸エステル;テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エトキシエチルエーテル等の揮発性脂肪族エーテルが例示される。
【0028】
炭素原子および水素原子からなる揮発性炭化水素化合物として、n−パラフィン、イソパラフィン等の揮発性脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の揮発性芳香族炭化水素が例示される。
【0029】
炭素原子、水素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物として、アセトニトリル、プロピオニトリルのような揮発性アルキルニトリルが例示される。
炭素原子、水素原子、酸素原子および窒素原子からなる揮発性有機化合物として、アセトアミド、N、N-ジメチルホルムアミドのような揮発性カルボン酸アミドが例示される。その他に、低分子量の揮発性シリコーンオイルおよび揮発性有機変成シリコーンオイルが例示される。
【0030】
揮発性分散媒(B)の配合量は、加熱焼結性金属粒子(A)を常温においてペースト状にするのに十分な量である。加熱焼結性金属粒子(A)の粒径、表面積、形状など、および、揮発性分散媒(B)の種類、粘度などにより、ペースト状にするのに十分な量は変動するが、具体的には、例えば、加熱焼結性金属粒子(A)100重量部当たり3〜30重量部である。
本発明の金属製部材の接合方法で使用するペースト状金属粒子組成物には、本発明の目的に反しない限り、加熱焼結性金属粒子(A)以外の非金属系の粉体、金属化合物、金属錯体、チクソ剤、安定剤、着色剤等の添加物を少量ないし微量配合しても良い。
【0031】
本発明の金属製部材の接合方法で使用するペースト状金属粒子組成物は、(A)平均粒径が0.1μmより大きく50μm以下である加熱焼結性金属粒子と、(B)揮発性分散媒を、ミキサーに投入し、均一なペースト状になるまで撹拌混合することにより、容易に製造することができる。
【0032】
本発明の金属製部材の接合方法で使用するペースト状金属粒子組成物は、加熱焼結性金属粒子(A)と揮発性分散媒(B)との混合物であり、常温でペースト状である。なお、ペースト状はクリーム状やスラリー状を含む。ペースト化することによりシリンダーやノズルから細い線状に吐出でき、また、メタルマスクによる印刷塗布が容易である。複数の金属製部材間に介在させるペースト状金属粒子組成物の厚さは、加熱焼結性金属粒子(A)の加熱焼結により必要な接合強度が発現する厚さであれば、特に限定されない。通常、5μm以上、1200μm以下である。
【0033】
本発明の金属製部材の接合方法で使用する金属製部材は、塗布されたペースト状金属粒子組成物が加熱により該組成物中の揮発性分散媒が揮発し、加熱焼結性金属粒子同士(A)が焼結して接合する被接合体である。金属製部材の材質としては、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、スズ、アルミニウム、および、これら各金属の合金が例示される。これらのうちでは導電性、接合性の点で、銅、銀、金、白金、パラジウムまたはこれら各金属の合金が好ましい。金属製部材は前記金属でメッキされたものであってもよい。金属製部材としては、全体または一部が金属で形成されたリードフレーム、プリント基板、半導体チップ、放熱板が例示される。
【0034】
本発明の金属製部材の接合方法は、上記ペースト状金属粒子組成物を複数の金属製部材間に介在させ、不活性ガス中で、40℃以上200℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物に含有されている揮発性分散媒(B)の10重量%以上100重量%未満の量を揮散させた後、酸化性ガスまたは還元性ガスのような活性ガス中で70℃以上400℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物中に残存する揮発性分散媒(B)を揮散し、加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結して複数の金属製部材同士を接合する方法である。この際、加熱焼結性金属粒子(A)の種類と活性ガスの種類は特に限定されないが、加熱焼結性金属粒子(A)が銀粒子の場合は酸化性ガスであることが好ましく、加熱焼結性金属粒子(A)が銅粒子の場合は還元性ガスであることが好ましい。
【0035】
ペースト状金属粒子組成物は不活性ガス中で加熱しても、加熱焼結性金属粒子(A)の焼結性は乏しい。一方、該ペースト状金属粒子組成物を酸化性ガスまたは還元性ガス中で加熱した場合は、加熱焼結性金属粒子(A)は焼結性に優れるため短時間で焼結するが、複数の金属製部材間で介在した状態では熱の加わり方が均一でないため焼結性にムラが出やすく、また同様に揮発性分散媒(B)の揮発も均一でないため、加熱焼結性金属粒子(A)が均一に焼結しにくく、その結果加熱焼結性金属粒子(A)の焼結物にはクラックが発生しやすい。
【0036】
本発明の金属製部材の接合方法は、上記のような該ペースト状金属粒子組成物中の加熱焼結性金属粒子(A)が不活性ガス中での加熱では焼結性が悪く、酸化性ガスや還元性ガス中での加熱では焼結性に優れる性質を利用して、クラックがない加熱焼結性金属粒子(A)の焼結物を得ている。すなわち加熱焼結性金属粒子(A)が焼結する前に、40℃以上200℃以下の温度で加熱することにより、クラックの原因となる該ペースト状金属粒子組成物中の揮発性分散媒(B)の量を低減させるものである。具体的には揮発性分散媒(B)の10%以上100重量%未満の量をこの加熱により揮散させることを特徴とする。
【0037】
加熱温度が40℃未満であると、揮発性分散媒(B)の揮散が起こりにくく、200℃を越えると加熱焼結性金属粒子(A)が不均一に焼結を始めるため、焼結物にクラックが発生しやすい。また揮発性分散媒(B)の揮発量が10%未満であるとこの加熱の効果がないので揮発量を10%以上とするが、好ましくは20重量%以上である。
一方、揮発性分散媒(B)を100%揮発させると、振動によりペースト状金属粒子組成物が金属製部材から取れやすいので揮発量を100%未満とするが、好ましくは98%以下である。
【0038】
本発明の金属製部材の接合方法では、加熱焼結性金属粒子(A)の不均一な焼結の原因となる揮発性分散媒(B)の10%以上100重量%未満の量を揮散させた後、加熱焼結性金属粒子(A)を酸化性ガス中または還元性ガス中で加熱するので、加熱焼結性金属粒子(A)は均一な焼結が可能となり、その結果、クラックの少ない焼結物を得ることができる。
【0039】
この際、加熱焼結性金属粒子(A)が銅粒子である場合には、酸化性ガス中で加熱すると銅粒子が酸化され焼結物の導電性が低下する問題があるため還元性ガス中で加熱することが好ましい。銅は還元性ガス中で加熱した場合は、金属製部材の酸化による腐食、変色等の問題がなく、十分に焼結して接合強度が優れている。また酸化銅は還元性ガス中で加熱した場合は、還元されて銅となるため、金属製部材の酸化による腐食、変色等の問題がなく、十分に焼結して導電性が優れている。
【0040】
同様の理由により金属製部材が銅の場合は加熱焼結性金属粒子(A)の材質によらず還元性ガス中で加熱することが好ましい。
【0041】
なお、接合に使用するペースト状金属粒子組成物中の加熱焼結性金属粒子(A)と金属製部材の表面金属は、同一金属もしくは金属合金であっても良く、また合金を形成しやすい金属同士であっても良い。
【0042】
本発明の金属製部材の接合方法において、揮発性分散媒(B)を揮発させるときの不活性ガスとしては、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスが例示されるが、窒素ガスが好ましい。また、これらの不活性ガスの純度は99.99体積%以上であることが好ましい。
【0043】
酸化性ガスは酸素ガスを含有することが好ましい。酸素ガス以外の成分としてはヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスが例示されるが、経済性の点で窒素ガスであることが好ましい。酸素ガスと不活性ガスの比率は限定されないが、酸素ガスが0.1〜40体積%であり、残余が不活性ガスであることが好ましい。酸化性ガスは空気であってもよい。
【0044】
還元性ガスは、純品である必要はなく、不活性ガスとの混合物であってもよい。還元性ガスとして、水素ガス、一酸化炭素、アンモニア分解ガスが例示されるが、水素ガスが好ましい。還元性ガスにおける還元性ガス成分と不活性ガス成分の比率は限定されないが、還元性ガス成分が水素ガスである場合は1〜40体積%であり、残余が不活性ガスであることがより好ましい。水素ガスの比率が1体積%未満であると、銅、銅合金などの酸化されやすい金属製部材の表面の酸化物を還元する効果が乏しく、また、ペースト状金属粒子組成物中の加熱焼結性金属粒子(A)の加熱焼結性が十分でなく接合強度が低下し、水素ガスの比率が40体積%を越えると、可燃性ガスとして取り扱い上の危険性が増すためである。最も好ましくは、水素ガスが5〜25体積%と窒素ガス95〜75体積%とからなるフォーミングガスと称される還元性ガスである。
【0045】
還元性ガスは、酸素ガスを含有しないことが好ましいが、含有するとしても金属製部材の酸化防止と危険防止のため少ないほど好ましく、特に100ppm以下であることが好ましい。このような還元性ガス中でペースト状金属粒子組成物を金属製部材間で加熱することにより、金属製部材が酸化による腐食や変色することなく、かつ、ペースト状金属粒子組成物中の加熱焼結性金属粒子(A)が十分に焼結して金属製部材を強固に接合することができる。
【0046】
本発明で使用するペースト状金属粒子組成物は、加熱することにより揮発性分散媒が揮散する。この際、ペースト状金属粒子組成物は、不活性ガス雰囲気中においては加熱焼結性金属粒子(A)の焼結性が低いので焼結を抑えながら揮発性分散媒を揮発することができる。しかる後に、酸化性ガスまたは還元性ガス中で加熱焼結性金属粒子(A)の焼結温度以上の温度に加熱することにより、残存していた揮発性分散媒(B)が揮散して、金属粒子同士(A)が焼結し、クラックがない導電性の優れた固形状の金属となり、金属製部材同士を強固に接合する。接合体のせん断接着強さは5MPa以上であることが好ましい。また該焼結物の体積抵抗率は1×10−1Ω・cm以下であることが好ましい。なお酸化性ガスまたは還元性ガス中での加熱時にペースト状金属粒子組成物に圧力や超音波振動を加えても良い。
【0047】
酸化性ガスまたは還元性ガス中での加熱の際、残存している揮発性分散媒(B)が揮散し、ついで加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結してもよく、残存している揮発性分散媒(B)の揮散と共に加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結してもよい。特に加熱焼結性金属粒子(A)が銀粒子または銅粒子の場合は、銀または銅が本来大きな強度と極めて高い電気伝導性と熱伝導性を有するため、銀粒子または銅粒子同士の焼結物も、大きな強度ときわめて高い電気伝導性と熱伝導性を有する。
【0048】
酸化性ガスまたは還元性ガス中での加熱温度は、残存している揮発性分散媒(B)が揮散し、加熱焼結性金属粒子(A)が焼結できる温度であればよく、通常70℃以上であり、150℃以上がより好ましい。しかし、400℃を越えると残存している揮発性分散媒が突沸的に蒸発して、固形状金属の形状に悪影響が出る可能性があるため、400℃以下であることが必要であり、より好ましくは300℃以下である。
【0049】
本発明で使用するペースト状金属粒子組成物は、加熱により揮発性分散媒(B)が揮散し、加熱焼結性金属粒子(A)同士が焼結する。複数の金属製部材間の接合に用いた場合、接触していた金属製部材、例えば金メッキ基板、銀基板、銀メッキ金属基板、銅基板等の金属系基板へ強固に接着し、また電気絶縁性基板上の電極等金属部分へ強固に接着するので、本発明の金属製部材の接合方法は、金属系基板や金属部分を有する電子部品、電子装置、電気部品、電気装置等の接合に有用である。
【0050】
そのような接合として、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合、ダイオード、メモリ、IC、CPU等の半導体チップとリードフレームもしくは回路基板との接合、高発熱のCPUチップと冷却板との接合が例示される。
【0051】
本発明の金属製部材接合体の製造方法は、(A)平均粒径が0.1μmより大きく50μm以下である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状金属粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、不活性ガス中で40℃以上200℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物中の揮発性分散媒(B)の10重量%以上100重量%未満の量を揮散させた後、酸化性ガス中または還元性ガス中で70℃以上400℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物中に残存する揮発性分散媒(B)を揮散させ、加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結して複数の該金属製部材同士を接合させることを特徴とする。
【0052】
金属製部材、平均粒径が0.1μmより大きく50μm以下である加熱焼結性金属粒子(A) 、揮発性分散媒(B)、揮発性分散媒(B)の揮散条件、不活性ガス、酸化性ガス、還元性ガス、加熱焼結条件などについては、金属製部材の接合方法に関して説明したとおりである。複数の金属製部材間に介在している加熱焼結した金属層の厚さは、必要な接合強度が発現する厚さであればよく、特に限定されない。通常、3μm以上、1000μm以下である。かくして得られた金属製部材の接合体は接合強度が大きい。そのせん断接着強さは5MPa以上であることが好ましく、該焼結物の体積抵抗率は1×10−1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0053】
そのような金属製部材接合体として、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合体、ダイオード、メモリ、IC、CPU等の半導体チップとリードフレームもしくは回路基板との接合体、高発熱のCPUチップと冷却板との接合体が例示される。
【実施例】
【0054】
本発明の実施例と比較例を掲げる。実施例と比較例中、部と記載されているのは、重量部を意味する。ペースト状金属粒子組成物における揮発性分散媒の揮発量、金属製部材のせん断接着強さ、加熱焼結性金属粒子の焼結物の体積抵抗率、加熱焼結性金属粒子の焼結物中のクラックの数、接合後の金属製部材として銅の酸化、および、雰囲気ガス中の酸素ガス濃度は下記のとおり測定、評価した。なお、特に記載のない場合の温度は23℃である。
【0055】
[揮発性分散媒の揮発量]
幅25mm×長さ70mm、厚さ1.0mmの銀基板または銅基板(無酸素銅製)上に、10mmの間隔をおいて4つの開口部(2.5mm×2.5mm)を有する100μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を印刷塗布し、その上にサイズが2.5mm×2.5mm×0.5mmの銀チップまたは銅チップ(無酸素銅製)を搭載した。この銀チップまたは銅チップを搭載した銀基板または銅基板を常温のガス流通炉に入れ、実施例で用いたガスにより雰囲気を置換後、流量1リットル/分で流しながら常温から昇温速度1℃/秒で80℃まで昇温し、80℃で実施例における所定の時間を保持後、常温まで冷却してペースト状金属粒子組成物中の揮発性分散媒量を低減させた。このとき加熱前のペースト状金属粒子組成物の正味重量に対する加熱後のペースト状金属粒子組成物の正味重量から、加熱により揮散した揮発性分散媒の重量比率を下記の式により算出した。
【0056】
揮発性分散媒の揮発量(%)=(S−T)×100/(S×U)
S=加熱前のペースト状金属粒子組成物の正味量(g)
T=加熱後のペースト状金属粒子組成物の正味量(g)
U=加熱前のペースト状金属粒子組成物中の揮発性分散媒の含有率
=揮発性分散媒重量/(加熱焼結性金属粒子重量+揮発性分散媒重量)
【0057】
[金属製部材のせん断接着強さ]
幅25mm×長さ70mm、厚さ1.0mmの銀基板または銅基板(無酸素銅製)上に、10mmの間隔をおいて4つの開口部(2.5mm×2.5mm)を有する100μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を印刷塗布した。印刷塗布したペースト状金属粒子組成物上に、サイズが2.5mm×2.5mm×0.5mmの銀チップまたは銅チップ(無酸素銅製)を搭載した。この銀チップまたは銅チップを搭載した銀基板または銅基板を常温のガス流通炉に入れ、実施例で用いたガスにより雰囲気を置換後、流量1リットル/分で流しながら常温から昇温速度1℃/秒で80℃まで昇温し、80℃で実施例における所定の時間を保持後、常温まで冷却してペースト状金属粒子組成物中の揮発性分散媒量を低減させた。
【0058】
次に、実施例で用いたガスにより雰囲気を置換後、流量1リットル/分で流しながら常温から昇温速度1℃/秒で250℃まで昇温し、250℃で1時間保持後、常温まで冷却した。その間に残存している揮発性分散媒が完全に揮発し、ペースト状金属粒子組成物中の加熱焼結性金属粒子同士が焼結して銀基板または銅基板(無酸素銅製)と銀チップまたは銅チップ(無酸素銅製)の接合体が形成された。加熱焼結性金属粒子同士の焼結物の厚さは70〜80μm程度であった。
【0059】
かくして得られた接合体、すなわち、試験体を接着強さ試験機の試験体取付け具にセットし、該銀チップまたは銅チップの側面を接着強さ試験機の押圧棒により押厚速度23mm/分で押圧し、接合部がせん断破壊したときの荷重をもってせん断接着強さ(単位;MPa)とした。
【0060】
[焼結物の体積抵抗率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ1.0mmのポリテトラフルオロエチレン樹脂板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する500μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状金属粒子組成物を塗布した。実施例で用いたガスにより雰囲気を置換後、流量1リットル/分で流しながら常温から昇温速度1℃/秒で80℃まで昇温し、80℃で実施例における所定の時間を保持後、常温まで冷却してペースト状金属粒子組成物の加熱焼結性金属粒子を焼結した。
【0061】
引き続き残存している揮発性分散媒を完全に揮散させ、ペースト状金属粒子組成物中の加熱焼結性金属粒子を焼結させるため、実施例で用いたガスにより雰囲気を置換後、流量1リットル/分で流しながら常温から昇温速度1℃/秒で250℃まで昇温し、250℃で1時間保持後、常温まで冷却した。
かくして得られた板状の銅についてJIS K 7194に準じた方法により体積抵抗率(単位;Ω・cm)を測定した。
【0062】
[焼結物中のクラックの数]
金属製部材のせん断接着強さ測定用試験体の接合部の焼結物を株式会社ソフテックス製のX線透過撮影装置(型番SJV−2000。出力60kV)により観察し、焼結体中のクラックを観察し、2.5mm×2.5mm当たりの、長さ0.1mm以上のクラックの数を計測した。
【0063】
[銅の酸化]
目視により、金属製部材のせん断接着強さ測定用試験体の銅基板と、試験体作成用の銅基板とを比較観察して、色の変化で評価した。
【0064】
[雰囲気ガス中の酸素ガス濃度]
加熱焼結時の雰囲気中の酸素ガス濃度を、酸素濃度計(東レエンジニアリング株式会社製、KF−400)により測定した。
【0065】
[実施例1]
市販の、還元法で製造され表面がステアリン酸で被覆された銀粒子(形状:粒状、1次粒子の平均粒径:1.1μm、ステアリン酸量:0.3重量%)100部に、揮発性分散媒として酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)8部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することによりペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0066】
このペースト状銀粒子組成物について揮発性分散媒である酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルを揮発させるため、不活性ガスである窒素ガス(純度99.99%)中で80℃で20分間加熱し、このときの揮発性分散媒の揮発量を測定した。次に酸化性ガスである空気中で加熱して残存している揮発性分散媒を完全に揮散させ、銀粒子を焼結させることにより、せん断接着強さ測定用の試験体および体積抵抗率測定用の試験体を作製した。
【0067】
これらの試験体について、使用した基板およびチップの材質、金属製部材のせん断接着強さ、焼結物の体積抵抗率、焼結物中のクラックの数および銅の酸化の測定をして、測定結果を表1にまとめて示した。以上の結果より、この接合方法が、ペースト状銀粒子組成物中の銀粒子の加熱焼結物にクラックがなく、金属製部材を強固に接合するのに有用なことがわかった。
【0068】
[実施例2]
市販の、還元法で製造され表面がステアリン酸で被覆された銀粒子(形状:粒状、1次粒子の平均粒径:1.1μm、ステアリン酸量:0.3重量%)100部に、揮発性分散媒として蒸留範囲が210℃から260℃で脂肪族炭化水素であるイソパラフィン(新日本石油化学株式会社製、商品名アイソゾール400)8部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することによりペースト状銀粒子組成物を調製した。
【0069】
このペースト状銀粒子組成物について揮発性分散媒であるイソパラフィンを揮発させるため、不活性ガスである窒素ガス(純度99.99%)中で80℃で20分間加熱し、このときの揮発性分散媒の揮発量を測定した。次に還元性ガスである水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガス中で加熱して残存している揮発性分散媒を完全に揮散させ、銀粒子を焼結させることにより、せん断接着強さ測定用の試験体および体積抵抗率測定用の試験体を作製した。
【0070】
これらの試験体について、使用した基板およびチップの材質、金属製部材のせん断接着強さ、焼結物の体積抵抗率、焼結物中のクラックの数および銅の酸化の測定をして、測定結果を表1にまとめて示した。以上の結果より、この接合方法が、ペースト状銀粒子組成物中の銀粒子の加熱焼結物にはクラックがなく、金属製部材を強固に接合するのに有用なことがわかった。
【0071】
[実施例3]
実施例1において、ペースト状銀粒子組成物中の揮発性分散媒である酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルを揮発させるため、不活性ガスである窒素ガス(純度99.99%)中で80℃で40分間加熱し、このときの揮発性分散媒の揮発量を測定した。次に酸化性ガスである空気中で加熱して残存している揮発性分散媒を完全に揮散させ、銀粒子を焼結させることにより、せん断接着強さ測定用の試験体および体積抵抗率測定用の試験体を作製した。
【0072】
これらの試験体について、使用した基板およびチップの材質、金属製部材のせん断接着強さ、焼結物の体積抵抗率、焼結物中のクラックの数および銅の酸化の測定をして、測定結果を表1にまとめて示した。以上の結果より、この接合方法が、ペースト状銀粒子組成物中の銀粒子の加熱焼結物にはクラックがなく、金属製部材を強固に接合するのに有用なことがわかった。
【0073】
[実施例4]
市販の、還元法で製造され表面がステアリン酸で被覆された銅粒子(形状:粒状、1次粒子の平均粒径:1.0μm、ステアリン酸量:0.7重量%)100部に、揮発性分散媒として酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)10部を添加し、ヘラを用いて均一に混合することによりペースト状銅粒子組成物を調製した。
【0074】
このペースト状銅粒子組成物について揮発性分散媒である酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルを揮発させるため、不活性ガスである窒素ガス(純度99.99%)中で80℃で20分間加熱し、このときの揮発性分散媒の揮発量を測定した。次に還元性ガスである水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガス中で加熱して残存している揮発性分散媒を完全に揮散させ、銅粒子を焼結させることにより、せん断接着強さ測定用の試験体および体積抵抗率測定用の試験体を作製した。
【0075】
これらの試験体について、使用した基板およびチップの材質、金属製部材のせん断接着強さ、焼結物の体積抵抗率、焼結物中のクラックの数および銅の酸化の測定をして、測定結果を表1にまとめて示した。以上の結果より、この接合方法が、ペースト状銅粒子組成物中の銅粒子の加熱焼結物にはクラックがなく、金属製部材を強固に接合するのに有用なことがわかった。
【0076】
[比較例1]
実施例1において、ペースト状銀粒子組成物中の揮発性分散媒である酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルを揮発させるため、不活性ガスである窒素ガス(純度99.99%)中で80℃で2分間加熱し、このときの揮発性分散媒の揮発量を測定した。次に酸化性ガスである空気中で加熱して残存している揮発性分散媒を完全に揮散させ、銀粒子を焼結させることにより、せん断接着強さ測定用の試験体および体積抵抗率測定用の試験体を作製した。
【0077】
これらの試験体について、使用した基板およびチップの材質、金属製部材のせん断接着強さ、焼結物の体積抵抗率、焼結物中のクラックの数および銅の酸化の測定をして、測定結果を表2にまとめて示した。以上の結果より、ペースト状銀粒子組成物中の銀粒子の焼結物にはクラックが多く発生していることがわかった。
【0078】
[比較例2]
実施例1において、ペースト状銀粒子組成物中の揮発性分散媒である酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルを揮発させるため、酸化性ガスである空気中で80℃で20分間加熱し、このときの揮発性分散媒の揮発量を測定した。次に酸化性ガスである空気中で加熱して残存している揮発性分散媒を完全に揮散させ、銀粒子を焼結させることにより、せん断接着強さ測定用の試験体および体積抵抗率測定用の試験体を作製した。
【0079】
これらの試験体について、使用した基板およびチップの材質、金属製部材のせん断接着強さ、焼結物の体積抵抗率、焼結物中のクラックの数および銅の酸化の測定をして、測定結果を表2にまとめて示した。以上の結果より、ペースト状銀粒子組成物中の銀粒子の焼結物にはクラックが多く発生していることがわかった。
【0080】
[比較例3]
実施例1において、ペースト状銀粒子組成物中の揮発性分散媒である酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルを揮発させるため、不活性ガスである窒素ガス(純度99.99%)中で80℃で20分間加熱し、このときの揮発性分散媒の揮発量を測定した。次に不活性ガスである窒素ガス(純度99.99%)中で加熱して残存している揮発性分散媒を完全に揮散させ、銀粒子を焼結させることにより、せん断接着強さ測定用の試験体および体積抵抗率測定用の試験体を作製した。
【0081】
これらの試験体について、使用した基板およびチップの材質、金属製部材のせん断接着強さ、焼結物の体積抵抗率、焼結物中のクラックの数および銅の酸化の測定をして、測定結果を表2にまとめて示した。以上の結果より、ペースト状銀粒子組成物中のクラックの発生はなかったが、銀粒子の焼結性が低く、十分なせん断接着強さと体積抵抗率が得られないことがわかった。
【0082】
[比較例4]
実施例4において、ペースト状銅粒子組成物中の揮発性分散媒である酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルを揮発させるため、酸化性ガスである空気中で80℃で20分間加熱し、このときの揮発性分散媒の揮発量を測定した。次に還元性ガスである水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガス中で加熱して残存している揮発性分散媒を完全に揮散させ、銅粒子を焼結させることにより、せん断接着強さ測定用の試験体および体積抵抗率測定用の試験体を作製した。
これらの試験体について、使用した基板およびチップの材質、金属製部材のせん断接着強さ、焼結物の体積抵抗率、焼結物中のクラックの数および銅の酸化の測定をして、測定結果を表3にまとめて示した。以上の結果より、ペースト状銅粒子組成物中の銅粒子の焼結物にはクラックが多く発生していることがわかった。
【0083】
[比較例5]
実施例1において、ペースト状銀粒子組成物中の揮発性分散媒である酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルを揮発させるための不活性ガスである窒素ガス(純度99.99%)中での80℃で20分間加熱をしないで、直ちに雰囲気を空気で置換後、空気中で加熱して揮発性分散媒を完全に揮散させ、銀粒子を焼結させることにより、せん断接着強さ測定用の試験体および体積抵抗率測定用の試験体を作製した。
【0084】
これらの試験体について、使用した基板およびチップの材質、金属製部材のせん断接着強さ、焼結物の体積抵抗率、焼結物中のクラックの数および銅の酸化の測定をして、測定結果を表3にまとめて示した。以上の結果より、ペースト状銀粒子組成物中の銀粒子の焼結物にはクラックが多く発生していることがわかった。
【0085】
[比較例6]
実施例4において、ペースト状銀粒子組成物中の揮発性分散媒である酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルを揮発させるための不活性ガスである窒素ガス(純度99.99%)中での80℃で20分間加熱をしないで、直ちに還元性ガスである水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%の混合ガスで雰囲気を置換後、該混合ガス中で加熱して揮発性分散媒を完全に揮散させ銅粒子を焼結させることにより、せん断接着強さ測定用の試験体および体積抵抗率測定用の試験体を作製した。
【0086】
これらの試験体について、使用した基板およびチップの材質、金属製部材のせん断接着強さ、焼結物の体積抵抗率、焼結物中のクラックの数および銅の酸化の測定をして、測定結果を表3にまとめて示した。以上の結果より、ペースト状銀粒子組成物中の銀粒子の焼結物にはクラックが多く発生していることがわかった。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【表3】

【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の金属製部材の接合方法は、金属製部材同士をクラックのない金属粒子の焼結物で接合できるので、コンデンサ、抵抗、ダイオード、メモリ、演算素子(CPU)等のチップ部品の基板への接合、放熱用部材の接合などに有用である。
本発明の金属製部材接合体の製造方法は、金属製部材同士がクラックのない金属粒子の焼結物で接合された接合体を製造するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施例におけるせん断接着強さ測定用試験体Aの平面図である。銀基板または銅基板1と銀チップ3または銅チップ3とが、銀粒子または銅粒子の加熱焼結物である固体状銀または固体状銅2により接合されている。
【図2】図1におけるX−X線断面図である。
【図3】実施例1における接合部の銀焼結物を、株式会社ソフテックス製のX線透過撮影装置(型番SJV−2000。出力60kV)により撮影した写真である。白っぽい線が存在しない。
【図4】比較例2における接合部の銀焼結物を、株式会社ソフテックス製のX線透過撮影装置(型番SJV−2000。出力60kV)により撮影した写真である。白っぽい線がクラックである。
【符号の説明】
【0091】
A せん断接着強さ測定用試験体
1 銀基板または銅基板
2 ペースト状銀粒子組成物またはペースト状銅粒子組成物(加熱焼結後は固体状銀または固体状銅)
3 銀チップまたは銅チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)平均粒径が0.1μmより大きく50μm以下である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状金属粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、不活性ガス中で40℃以上200℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物中の揮発性分散媒(B)の10重量%以上100重量%未満の量を揮散させた後、酸化性ガス中または還元性ガス中で70℃以上400℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物中に残存する揮発性分散媒(B)を揮散させ、加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結して複数の該金属製部材同士を接合させることを特徴とする、金属製部材の接合方法。
【請求項2】
加熱焼結性金属粒子(A)が還元法で製造された銀粒子または銅粒子であり、揮発性分散媒(B)が親水性溶剤または脂肪族炭化水素系溶剤であり、金属製部材が金、銀、銅、パラジウム、白金、またはそれら各金属の合金であることを特徴とする請求項1に記載の金属製部材の接合方法。
【請求項3】
酸化性ガスが0.1体積%以上40体積%以下の酸素ガスと99.9体積%以下60体積%以上の窒素ガスの混合ガスであり、還元性ガスが1体積%以上40体積%以下の水素ガスと99体積%以下60体積%以上の窒素ガスの混合ガスであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属製部材の接合方法。
【請求項4】
接合された金属製部材のせん断接着強さが5MPa以上であり、かつ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士の焼結物の体積抵抗率が1×10-1Ω・cm以下であることを特徴とする、請求項1、請求項2または請求項3に記載の金属製部材の接合方法。
【請求項5】
(A)平均粒径が0.1μmより大きく50μm以下である加熱焼結性金属粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状金属粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、不活性ガス中で40℃以上200℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物中の揮発性分散媒(B)の10重量%以上100重量%未満の量を揮散させた後、酸化性ガス中または還元性ガス中で70℃以上400℃以下での加熱により、該ペースト状金属粒子組成物中に残存する揮発性分散媒(B)を揮散させ、加熱焼結性金属粒子(A)同士を焼結して複数の該金属製部材同士を接合させることを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法。
【請求項6】
加熱焼結性金属粒子(A)が還元法で製造された銀粒子または銅粒子であり、揮発性分散媒(B)が親水性溶剤または脂肪族炭化水素系溶剤であり、金属製部材が金、銀、銅、パラジウム、白金、またはそれら各金属の合金であることを特徴とする、請求項5に記載の金属製部材接合体の製造方法。
【請求項7】
酸化性ガスが0.1体積%以上40体積%以下の酸素ガスと99.9体積%以下60体積%以上の窒素ガスの混合ガスであり、還元性ガスが1体積%以上40体積%以下の水素ガスと99体積%以下60体積%以上の窒素ガスの混合ガスであることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の金属製部材接合体の製造方法。
【請求項8】
接合された金属製部材のせん断接着強さが5MPa以上であり、かつ、該加熱焼結性金属粒子(A)同士の焼結物の体積抵抗率が1×10-1Ω・cm以下であることを特徴とする、請求項5、請求項6または請求項7に記載の金属製部材接合体の製造方法。
【請求項9】
金属製部材が金属系基板または金属部分を有する電子部品であることを特徴とする、請求項5、請求項6または請求項7に記載の金属製部材接合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−53377(P2010−53377A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217291(P2008−217291)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000111199)ニホンハンダ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】