釣り糸用ガイド及び釣り竿
【課題】釣り竿全体としての軽量化を達成しながら、強度的にも優れた釣り糸用ガイドを提供する。
【解決手段】釣糸挿通用の挿通孔6Aを形成しているガイドリング6と、そのガイドリング6を保持するガイド本体7とで構成し、ガイド本体7を、プリプレグ製の外装部7Aと、その外装部7Aを被着する金属製のガイド芯材部7Bとで構成する。ガイド芯材部7Bでガイドリング6を保持し、ガイド芯材部7Bを覆った状態より外装部7Aの一端を更に延出してその延出部分を足部7cに形成し、足部7cを取付用の糸aによって竿素材の外周面に取付固定している。
【解決手段】釣糸挿通用の挿通孔6Aを形成しているガイドリング6と、そのガイドリング6を保持するガイド本体7とで構成し、ガイド本体7を、プリプレグ製の外装部7Aと、その外装部7Aを被着する金属製のガイド芯材部7Bとで構成する。ガイド芯材部7Bでガイドリング6を保持し、ガイド芯材部7Bを覆った状態より外装部7Aの一端を更に延出してその延出部分を足部7cに形成し、足部7cを取付用の糸aによって竿素材の外周面に取付固定している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールから繰り出された釣り糸をガイドする釣り糸用ガイド及び釣り竿に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り糸用ガイドは、例えば、チタンやアルミ等の金属板にプレス加工成形を施して、作られていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−273443号公報(段落番号〔0017〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
釣り竿に要求される性能として、竿調子を整える等の課題があるが、竿捌きを向上させる観点から、軽量化ということが常に課題として挙げられている。
ただし、釣り糸用ガイドについては、釣り竿の全体に占める重量割合が小さなものであるから、軽量化の対象として考慮されて来なかった面もある。
しかし、近年軽量化が限界に近づきつつある現在では、釣り糸用ガイドの存在にも目を向けなければならない状況にある。
一方、釣り糸用ガイドには、巻き上げ繰り出しされる釣り糸との摩擦により複雑な荷重を受けるところから、それらに対応できるだけの機械的強度を備える必要があり、上記したように、金属製を採用することを断念することができない状況にあった。
ただし、金属製のガイドにおいて、軽量化だけを目的にガイド本体を形成する金属の板厚等を薄くして軽量化を図ることにすると、ガイド自体の機械的強度の低下を来たし、ガイドとしての機能を十分果たし切れない虞もあった。
【0005】
本発明の目的は、釣り竿全体としての軽量化を達成しながら、強度的にも優れた釣り糸用ガイド及び釣り竿を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、釣糸挿通用の挿通孔を形成しているガイドリングと、そのガイドリングを保持するガイド本体とで構成し、前記ガイド本体を、繊維強化樹脂製の外装部と、その外装部を被着する金属製のガイド芯材部とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
釣り糸用ガイドとして、繊維強化樹脂製の外装部を備えたものとした。これによって、金属のみで形成していた従来の釣り糸用ガイドに比較して、金属が占める体積を小さくでき、軽量化を達成することができた。
ただし、釣り糸用ガイド全体を繊維強化樹脂で構成した場合には、剛性が高くなり過ぎて、強靭性に欠ける面がある。
そこで、繊維強化樹脂製の外装部と金属製のガイド芯材部とを組み合わせて、両者でガイド本体を構成した。
このような構成によって、金属製の釣り糸用ガイドを単に薄くして軽量化を図った場合に比べて機械的強度も十分確保できた。
【0008】
〔効果〕
金属製ガイド芯材部と繊維強化樹脂製の外装部とのハイブリッド構成を採ることによって、ガイド本体を構成したので、金属のみで形成した場合に比べて軽量化が達成でき、かつ、強度的にも安定した釣り糸用ガイドを提供できるに至った。
【0009】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記金属製のガイド芯材部で前記ガイドリングを保持し、前記ガイド芯材部を覆った状態より前記繊維強化樹脂製の外装部の一端を更に延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用効果〕
ガイドリングに対しては、金属製のガイド芯材部で保持することとした。これによって、ガイドリングに作用する釣り糸との摺動荷重を、金属製であるガイド芯材部が受け止めて、ガイドリングを安定して保持する。
また、ガイドリングの周りに配置される繊維強化樹脂製の外装部に対して、金属製であるガイド芯材部によって靭性を付与でき、繊維強化樹脂製の外装部だけでガイドリングを保持する場合に比べてそのガイドリングの保持を強固なものにできる。
しかも、足部を繊維強化樹脂製の外装部の一部で形成しているので、足部と竿素材外周面との馴染みがよく、釣り糸用ガイドが釣り糸を通して曲げ力等を受けたり、釣り竿が曲がりを生じた場合にも、釣り糸用ガイドの足部が竿素材の外周面への追従性がよい。
【0011】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記金属製のガイド芯材部を前記繊維強化樹脂製の外装部における前記ガイドリングと前記足部との間に装入している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
金属製のガイド芯材部を前記繊維強化樹脂製の外装部における前記ガイドリングと前記足部との間に装入しているので、釣り糸と摺動することによって、曲げ荷重が大きな足部と外装部との接続部位近傍に金属製のガイド芯材部を配置して、曲げ強度や強靭性を確保することができた。
【0013】
〔構成〕
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記足部は金属製のガイド芯材部を繊維強化樹脂で被覆し、かつ、その足部の一部において前記繊維強化樹脂で覆われない状態で金属製のガイド芯材部が露出している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】
〔作用効果〕
竿素材に取付固定される足部を、繊維強化樹脂で形成しているので、足部と竿素材外周面との馴染みがよく、釣り糸用ガイドが釣り糸を通して曲げ力等を受けたり、釣り竿が曲がりを生じた場合にも、釣り糸用ガイドの足部が竿素材の外周面への追従性がよい。
一方では、繊維強化樹脂製の外装部から金属製のガイド芯材部が一部表出しているので、繊維強化樹脂だけで足部を形成する場合に比べて剛性が高くなり過ぎず、足部の割れ等の損傷を抑制できる。
しかも、繊維強化樹脂製の外装部から金属製のガイド芯材部が一部表出しているので、表出するガイド芯材部の金属部分が繊維強化樹脂製の外装部におけるアクセントとなって、釣り人に強い印象を与え、釣り竿としての価値を高めることになる。
【0015】
〔構成〕
請求項5に係る発明の特徴構成は、前記繊維強化樹脂製の外装部の一端よりその外装部に被覆されている金属製のガイド芯材部の一端を延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0016】
〔作用効果〕
竿素材に取付固定される足部を、ガイド芯材部を延出して構成しているので、足部を繊維強化樹脂製の外装部で構成する場合に比べて強靭さを強化することができ、釣り糸用ガイドを安定して取付固定できる。
一方では、繊維強化樹脂製の外装部から金属製のガイド芯材が表出して足部を形成しているので、従来の金属製釣り糸用ガイドと同様の取付固定状態を釣り人に印象付けることができ、安定感を醸し出すことができる。
【0017】
〔構成〕
請求項6に係る発明の特徴構成は、前記繊維強化樹脂がプリプレグである点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0018】
〔作用効果〕
これによって、釣り糸用ガイドが竿素材と同様の材料で構成されることとなり、材料の兼用化が可能になり、製造上も効果は大である。
【0019】
〔構成〕
請求項7に係る発明の特徴構成は、前記プリプレグ製の外装部における前記ガイドリングを保持する部分と前記足部との間に中間接続部を形成し、前記中間接続部を複数枚のプリプレグを重ね合わせて形成し、前記複数枚のプリプレグにおける少なくとも一枚については、前記中間接続部におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記足部から前記ガイドリングに向かう方向に合せ、かつ、前記ガイドリングを保持する部分におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記ガイドリングの外周に沿った状態に合わせてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0020】
〔作用効果〕
このような強化繊維の配置構成を採ることにより、引張力が作用する部分の補強効果を図ることができ、プリプレグ製の釣り糸用ガイドとして安定して釣り糸ガイド機能を発揮するものを提供することができた。
【0021】
〔構成〕
請求項8に係る発明の特徴構成は、前記ガイドリングが炭化ケイ素製である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0022】
〔作用効果〕
ガイドリングが炭化ケイ素製の、摩耗に強いセラミック等を使用しているので、釣り糸から摺動作用を受けて、摩耗磨滅が少ない。
【0023】
〔構成〕
請求項9に係る発明の特徴構成は、前記金属製のガイド芯材部に釣り糸挿通用の挿通孔を形成するとともに前記挿通孔を囲む縁部に硬質加工を施して、前記ガイドリングを形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0024】
〔作用効果〕
通常は、ガイドリングとしては、摩耗に強いセラミック等を使用しているが、これらは重量的に重くなりがちである。
そこで、本願発明では、ガイド芯材部に釣り糸用挿通孔を形成する一方、その挿通孔の縁部に耐摩耗性を向上させる硬質加工を施している。このような構成によって、ガイドリングとしてセラミック等を使用する場合に比べて一層の軽量化を図ることができた。
【0025】
〔構成〕
請求項10に係る発明の特徴構成は、請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイドを備えた釣り竿である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0026】
〔作用効果〕
釣り糸用ガイドは、プリプレグで製作されることによって金属製に比べて軽量化が達成でき、かつ、プリプレグと金属との複合化によって、スムースな曲がりを呈する、捌き易い釣り竿とできた。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】トラウトロッドを示す側面図である。
【図2】釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す側面図である。
【図3】釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す斜視図である。
【図4】(a)釣り糸用ガイドを示す正面図、(b)金属製のガイド芯材部を示す正面図、(c)釣り糸用ガイドであって、釣り糸用挿通孔の周縁に配置される強化繊維の配向状態を六角形に設定した状態を示す正面図である。
【図5】(a)釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す縦断側面図、(b)ガイドリング、プリプレグ製の外装部、金属製のガイド芯材部を示す分解縦断側面図である。
【図6】釣り糸用ガイドを構成する金属製のガイド芯材部が第1実施形態のものとは異なる第2実施形態に記載した釣り糸用ガイドを示し、(a)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す正面図、(b)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す縦断側面図である。
【図7】釣り糸用ガイドを構成する金属製のガイド芯材部が第1、第2実施形態のものとは異なる第3実施形態に記載した釣り糸用ガイドを示し、(a)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す正面図、(b)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す縦断側面図である。
【図8】足部が二股になっている釣り用ガイドの別実施構造を示し、(a)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す正面図、(b)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す縦断側面図、(c)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す斜視図である。
【図9】金属製のガイド芯材部がプリプレグ製の外装部に被覆されていない構造のものを示し、(a)金属製のガイド芯材部に、竿尻側から釣り糸挿通用孔の近辺に重ね合わせるように、板状のプリプレグ製外装部を装着している状態を示す縦断側面図、(b) 板状のプリプレグ製外装部を竿先側から金属製のガイド芯材部を竿尻側から重ね合わせ装着している状態を示す縦断側面図である。
【図10】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、(a)釣り糸用ガイドに使用するチタンバネ材を成形して金属製のガイド芯材部を形成した状態を示す平面図、(b)金属製のガイド芯材部の一部切り欠き側面図である。
【図11】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、(a)図10に示す金属製のガイド芯材部にガイドリングを装着した状態を示す平面図、(b)図10に示すガイド芯材部にガイドリングを装着した状態を示す一部切り欠き側面図である。
【図12】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、プリプレグ製の外装部を示す平面図である。
【図13】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、(a)図11に示す金属製のガイド芯材部と図12に示す外装部とを重ね合わせる前の状態を示す一部切り欠き側面図、(b)図11に示す金属製のガイド芯材部と図12に示す外装部とを重ね合わせた状態を示す縦断側面図である。
【図14】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、図13(b)に示す金属製のガイド芯材部に使用するチタンバネ材と外装部を形成するプリプレグシートとを重ね合わせたものを、真空型内に設置して接着一体化する加工を施している状態を示す側面図である。
【図15】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、図14に示す真空成型した加工物を硬化炉において加熱焼成する状態を示す横断平面図である。
【図16】足部において、竿素材に接する面とは反対側(図面上では下側)において、外装部の一部を切り欠いてガイド芯材部の金属部分が露出する状態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1実施形態〕
ヤマメや岩魚等を釣る際に使用される釣り竿Aについて説明する。図1に示すように、釣り竿Aは、穂先竿1の先端にトップガイド2を取り付けるとともに、穂先竿1の中間位置に釣り糸用ガイド3を取付固定し、竿元側に並継式に継合された元竿4を配置し、元竿4にスピンニングリールBを装着するリールシート5を取り付けて、構成してある。
【0029】
尚、釣り竿Aを構成する穂先竿及び元竿は次のように製作される。つまり、炭素繊維等の強化繊維を一方向に引き揃え、その引き揃え強化繊維群にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(又は熱可塑性樹脂)を含浸させて、プリプレグシートを形成する。このプリプレグシートを所定の形状に裁断したものをマンドレルに巻回し、複数層に形成したものをマンドレルに巻回した状態で炉に入れて焼成し、焼成後マンドレルを脱芯して円筒状の竿素材を取り出しその竿素材を所定長に裁断して、仕上加工を施し竿体とする。
プリプレグを構成する強化繊維としては、具体的には、炭素繊維以外にガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維等が使用でき、樹脂としては、エポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂やPV(E)等の熱可塑性樹脂が使用できる。また、プリプレグとしては、織り物に樹脂を含浸させて構成したものであってもよい。
【0030】
釣り糸用ガイド3について説明する。図2〜図5に示すように、釣り糸用ガイド3は、釣糸挿通用の挿通孔6Aを形成しているガイドリング6と、そのガイドリング6を保持するガイド本体7とで構成し、ガイド本体7を、繊維強化樹脂製の外装部7Aと、その外装部7Aを被着する金属製のガイド芯材部7Bとで構成してある。
【0031】
外装部7Aは繊維強化樹脂の一例であるプリプレグ製であり、前記した竿素材を形成するプリプレグと同様のものである。前記した炭素繊維等の強化繊維cを繊維の長手方向に沿って配置し、その炭素繊維群にエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて、プリプレグシートを形成する。このプリプレグシートを積層することにより外装部7Aを形成する。
【0032】
外装部7Aは、ガイドリング6の周囲に配置されてそのガイドリング6を保持する円盤状部分7aと、円盤状部分7aから細幅の状態に延出される中間接続部7bと、中間接続部7bと同じ横幅で延出される足部7cとで構成される。
円盤状部分7aには、図5(b)に示すように、ガイドリング6の釣糸挿通用の挿通孔6Aと同芯状に形成される挿通孔7dが形成してある。
【0033】
穂先竿1の外周面に載置される足部7cに対して、図2に示すように、略100°〜110°の角度(鈍角)αで中間接続部7bと円盤状部分7aが折り曲げ形成されており、竿素材より外向きに突出される中間接続部7bと円盤状部分7aとを、釣り糸が絡み付き難く、かつ、絡み付いても摺り抜け易い角度に設定してある。
【0034】
外装部7Aによって被覆される金属製のガイド芯材部7Bは、円盤状部分7aから中間接続部7b内に位置しており、チタンバネ材をプレス等で打ち抜き加工して製造される。図4(b)に示すように、ガイド芯材部7Bは、円形状部分7eを備えており、この円形状部分7eに釣り糸用挿通孔7hを形成し、釣り糸用挿通孔7hの縁部にガイドリング6を樹脂製の接着剤やカシメ処理を施して固着している。
なお、チタンバネ材は、耐食性に優れ、かつ、環境に優しい金属である。機械的強度としては、JIS2種基準で、引っ張り強さが340〜510N/mm2であり、曲げ強度にも優れる。ただし、鉄鋼のように明確な降伏点を持ってはいないので、0.2%耐力を測定すると215N/mm2以上あるので、弾性限度が十分高いものであり、釣り糸用ガイドとして、大きな荷重を受けても元の姿勢に復帰する弾性力が大きい。
一方、ガイド芯材部7Bに使用される金属は、チタンバネ板以外に、アルミニュウム、ステンレスであってもよい。アルミニュウムの場合には、表面処理を施す。アルマイト加工、メッキ加工で表面処理を行い、塗装を施してもよい。
【0035】
ガイドリング6は、外形として円形のものが使用されるが、楕円形のものであってもよい。セラミックが主として使用され、炭化ケイ素、アルミナ等が材料として選定され、サーメット等の金属とセラミックも使用される。耐摩耗性の高い材料であれば使用可能である。前記したようにガイド芯材部7Bだけでなく、外装部7Aの挿通孔7dの縁部で支持する形態にしてもよい。
サーメットは、金属炭化物や金属窒化物などの硬質化合物の粉末を金属の結合材と混合して焼結した複合材料であり、耐熱性や耐摩耗性が高い。
【0036】
次に、釣り糸用ガイド3の製造について説明する。
(1)図10(a),(b)に示すように、チタンバネ材12でガイド芯材部7Bを形成する。
(2)図11(a),(b)に示すように、ガイド芯材部7Bにガイドリング6を前記した方法によって装着する。
(3)図12に示すように、複数枚の半硬化状態のプリプレグシート9を外装部7Aの形状に裁断する。
(4)図13(a),(b)に示すように、複数枚の外装部形状に裁断した半硬化状態のプリプレグシート9を重ね合せ、その内部にガイド芯材部用のチタンバネ材12を挟み込み、成形前の釣り用ガイド体3Cを形成する。図14に示すように、チタンバネ材12を挟み込んだ成形前の釣り用ガイド体3Cを第1型11Aと第2型11Bとからなる真空型11内に装入し、プリプレグシート9とチタンバネ材12との密着強度を向上させる一次成形を施す。この際に、空気を巻き込まないように、ポンプPによって真空引きを行う。
(5)図15に示すように、一次成形を施された釣り用ガイド体3Cを硬化炉10内に投入して、加熱硬化する。この場合にも、真空引きは継続する。
(6)所定時間経過後で十分に冷却して成形品を取り出す。成形後は研削研磨加工等を行うことができる。
【0037】
以上のように成形された釣り糸用ガイド3においては、図4(a)に示すように、プリプレグによる強化繊維cの向きが、ガイドリング6の周りを巡るような状態に配向されており、引張応力に対抗する状態に配向されている。この場合には、図4(c)に示すように、強化繊維cの向きが、六角形を描くように配向されていてもよい。
【0038】
釣り糸用ガイド3は、足部7cを所定位置に載置して、取付具としての取付用の糸aによって、竿素材に取付固定される。取付用の糸aの上から樹脂塗料(図示してはいない)を塗布して、取付状態が固定される。
【0039】
〔第2実施形態〕
ここでは、ガイド芯材部7Bの構成について説明する。図6(a)(b)に示すように、ガイド芯材部7Bとしては、ガイドリング6の半円周分を保持するように形成されて、円弧状部分7aの半分領域と中間接続部7bに亘って位置する大きさに形成されている。
このように、ガイド芯材部7Bの取付位置が円弧状部分7aの半分領域と中間接続部7bに限定される大きさに形成されているので、第1実施形態のものに比べて小さくなっており、軽量化に寄与できるとともに、釣り糸用ガイド3に作用する曲げ応力等が大きくなる部分に配置されることとなり、プリプレグのみで構成する場合に比べて曲げ応力等に対する対抗力を高めている。
【0040】
上記実施形態においては、ガイド芯材部7Bはガイドリング6の半周分を保持する形態を採っているが、ガイドリング6に接触しない形状であってもよい。
【0041】
〔第3実施形態〕
第1実施形態では、プリプレグ製の外装部7Aの一端を、ガイド芯材部7Bの一端より更に延出し、その延出部分を足部7cに構成していた。しかし、この第3実施形態においては、図7(a)(b)に示すように、ガイド芯材部7Bの一端を、プリプレグ製の外装部7Aの一端より更に延出し、その延出部分を足部7cに構成する。
【0042】
ガイド芯材部7Bの足部7c部分とは反対側においてはガイドリング6を装着する円弧状部分7aが形成してある。なお、前記したように、ガイド芯材部7Bに使用される金属は、アルミニュウム、ステンレスであってもよい。アルミニュウムの場合には、表面処理を施す。アルマイト加工、メッキ加工で表面処理を行い、塗装を施してもよい。
ただし、第2実施形態のように、ガイド芯材部7Bの形状としては、ガイドリング6の半周分を保持する小形のものでもよい。
【0043】
上記したようにチタンバネ板製のガイド芯材部7Bを延出して足部7cとしているので、第1実施形態のように、プリプレグ製の外装部7Aを延出して足部7cとしている場合に比べて、靭性が高く安定した取付状態を維持できる。
なお、足部7cの表面側に凹入部7fが形成してあり、この凹入部7fに取付用の糸aが嵌り込んで、取付用の糸aの位置ズレが少なくなるとともに、足部7cが凹入部7fを設けることによって変形しやすくなり、足部7cを竿素材の外周面に載置した際に、その外周面に馴染みやすい。
ただし、この凹入部7fについては特に設けなくともよい。足部7cを一定の厚みで形成してもよい。
【0044】
〔第4実施形態〕
第1実施形態から第3実施形態までは、足部7cは外装部7Aから一方側にのみ延出されて形成されていたが、ここでは、図8(a)(b)(c)に示すように、二方向、つまり、竿先側と竿元側とに張り出す二股式の足部7cを備えた釣り糸用ガイド3を形成する。このように足部7cを二股状とすることによって、竿素材への取付状態が一層安定する。
【0045】
上記した構成においては、ガイド芯材部7Bを第1実施形態と同様の形態に形成しているが、第2実施形態に示したように、ガイドリング6の半円周分を保持するように形成してもよく、または、第3実施形態のように、外装部7Aからガイド芯材部7Bの先端部を突出させて、その突出部で足部7cを形成してもよい。
【0046】
竿先側と竿尻側とに延出された足部7cにおける中間位置に設けた凹入部7jは、足部7cが竿素材表面に密着しやすくする為に設けたものであり、竿先側と竿尻側とに延出された足部7cの全面を竿素材表面に載置するように形成するよりも、足部7cが変形しやすく密着しやすい。
勿論、このように凹入部7jを形成することなく、足部7cの全面を竿素材表面に載置する構成を採ってもよい。
【0047】
〔別実施形態〕
(1)ガイドリング6の材料としてセラミック等を使用することについて説明したが、チタンやアルミ等の金属を使用してもよい。一方、ガイドリング6をガイド芯材部7Bと別個に形成するのではなく、一体で形成するものであってもよい。具体的には、図4及び図7に示すように、金属製のガイド芯材部7Bに釣り糸用挿通孔を形成し、その釣り糸用挿通孔の縁部に耐摩耗性処理を施して、ガイドリング6としての機能を持たせるように構成してもよい。これによって、セラミック等のガイドリング6を別個に装着する場合に比べて、金属による軽量化を図ることができる。
耐摩耗性を付与する製法としては、金属、セラミック、サーメット等を溶射、又は、PVD、CVDによる薄膜成形技術が推奨される。または、薄膜を形成するのではなく、直接、釣り糸用挿通孔7gの縁部に耐摩耗性処理を施す方法でもよい。例えば、窒化処理等を施すことが可能である。
【0048】
(2) ガイド芯材部7Bの材料として、チタンバネ材やアルミ材等を挙げたが、形状記憶合金を使用してもよい。釣り糸用ガイド3に想定以上の荷重が掛かった場合に、ガイド芯材部7Bが変形してその荷重を吸収し、荷重が取り除かれた状態では元の姿勢に復帰するので、芯材として適切である。
【0049】
(3) 外装部7Aを構成するプリプレグにおける強化繊維の配向方向としては、強度的に弱い部分を補強するように配向すべきであり、前記したようにガイドリング6の周りを巡るような配向方法に限定されない。
【0050】
(4)取付具として取付用の糸aで行っているが、取付用の糸aの代わりに樹脂テープを利用してもよい。更に、取付固定力を強力にするには、強化繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグをテープ状に形成したプリプレグテープを使用してもよい。
【0051】
(5)足部7cに対して中間接続部7b、及び、円盤状部分7aが、角度αで斜め前方に傾斜する姿勢に形成してあるが、足部7cに対して垂直な姿勢であってもよい。
【0052】
(6)プリプレグ製の外装部7Aと、その外装部7Aを被着する金属製のガイド芯材部7Bとで構成するに、外装部7Aをガイド芯材部7Bの竿先側及び竿尻側の両面に被覆する状態で施す形態について説明してきたが、竿先側か竿尻側の一方の面だけに施してもよい。
【0053】
つまり、図9(a)に示すように、金属製のガイド芯材部7Bで、円形状部分7e、中間接続部7b、足部7cに相当する部分を形成し、円形状部分7eの釣り糸用挿通孔にガイドリング6を装着し、釣り糸用挿通孔の周縁部に竿尻側から重ね合わせるように、板状のプリプレグ製外装部7Aを装着している。
このプリプレグ製外装部7Aは、前記した円形状部分7eに相当する範囲に限定された大きさで設けられている。
【0054】
また、図9(b)に示すように、プリプレグ製の外装部7Aと金属製のガイド芯材部7Bを、共に、円盤状部分7a(円形状部分7e)、中間接続部7b、足部7cを形成して同一形状を呈するものにして、竿先側に位置するプリプレグ製の外装部7Aと竿尻側に位置する金属製のガイド芯材部7Bとを重ね合わせて、釣り用ガイド3を形成してもよい。
このように、金属製のガイド芯材部7Bを外装部7Aで竿先側と竿尻側との両面で被覆する構成を採っていないので、重量増を招くことなく、剛性の高いプリプレグ製の外装部7Aと強靭な金属製のガイド芯材部7Bとの機能を併せ持った釣り糸用ガイド3を形成できた。
【0055】
(7)図16に示すように、金属製のガイド芯材部7Bを略完全に被覆する状態に、プリプレグ製の外装部7Aを施してある。プリプレグ製の外装部7Aは、円盤状部分7a、中間接続部7b、足部7cを備えた形状に形成してあり、金属製のガイド芯材部7Bもプリプレグ製の外装部に沿った形状に形成してある。そして、足部7cにおいて、外装部7Aの竿素材に接する面とは反対側(図面上では下側)において、外装部7Aの一部7jを切り欠いてガイド芯材部7Bの金属部分が露出するように構成してもよい。これによって、足部7cでの剛性が緩和され、足部7cの竿素材への密着性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明は、ヤマメ釣り等に使用される、所謂、トラウトロッドと呼ばれているものについて説明したが、ルアー竿、及び、磯竿、その他釣り糸用ガイド3を必要とするすべての竿等にも適用できる。
【符号の説明】
【0057】
3 釣り糸用ガイド
6 ガイドリング
6A 釣り糸挿通用の挿通孔
7 ガイド本体
7A 外装部
7B ガイド芯材部
7b 中間接続部
7c 足部
a 取付具
c 強化繊維
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールから繰り出された釣り糸をガイドする釣り糸用ガイド及び釣り竿に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り糸用ガイドは、例えば、チタンやアルミ等の金属板にプレス加工成形を施して、作られていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−273443号公報(段落番号〔0017〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
釣り竿に要求される性能として、竿調子を整える等の課題があるが、竿捌きを向上させる観点から、軽量化ということが常に課題として挙げられている。
ただし、釣り糸用ガイドについては、釣り竿の全体に占める重量割合が小さなものであるから、軽量化の対象として考慮されて来なかった面もある。
しかし、近年軽量化が限界に近づきつつある現在では、釣り糸用ガイドの存在にも目を向けなければならない状況にある。
一方、釣り糸用ガイドには、巻き上げ繰り出しされる釣り糸との摩擦により複雑な荷重を受けるところから、それらに対応できるだけの機械的強度を備える必要があり、上記したように、金属製を採用することを断念することができない状況にあった。
ただし、金属製のガイドにおいて、軽量化だけを目的にガイド本体を形成する金属の板厚等を薄くして軽量化を図ることにすると、ガイド自体の機械的強度の低下を来たし、ガイドとしての機能を十分果たし切れない虞もあった。
【0005】
本発明の目的は、釣り竿全体としての軽量化を達成しながら、強度的にも優れた釣り糸用ガイド及び釣り竿を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、釣糸挿通用の挿通孔を形成しているガイドリングと、そのガイドリングを保持するガイド本体とで構成し、前記ガイド本体を、繊維強化樹脂製の外装部と、その外装部を被着する金属製のガイド芯材部とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
釣り糸用ガイドとして、繊維強化樹脂製の外装部を備えたものとした。これによって、金属のみで形成していた従来の釣り糸用ガイドに比較して、金属が占める体積を小さくでき、軽量化を達成することができた。
ただし、釣り糸用ガイド全体を繊維強化樹脂で構成した場合には、剛性が高くなり過ぎて、強靭性に欠ける面がある。
そこで、繊維強化樹脂製の外装部と金属製のガイド芯材部とを組み合わせて、両者でガイド本体を構成した。
このような構成によって、金属製の釣り糸用ガイドを単に薄くして軽量化を図った場合に比べて機械的強度も十分確保できた。
【0008】
〔効果〕
金属製ガイド芯材部と繊維強化樹脂製の外装部とのハイブリッド構成を採ることによって、ガイド本体を構成したので、金属のみで形成した場合に比べて軽量化が達成でき、かつ、強度的にも安定した釣り糸用ガイドを提供できるに至った。
【0009】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記金属製のガイド芯材部で前記ガイドリングを保持し、前記ガイド芯材部を覆った状態より前記繊維強化樹脂製の外装部の一端を更に延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用効果〕
ガイドリングに対しては、金属製のガイド芯材部で保持することとした。これによって、ガイドリングに作用する釣り糸との摺動荷重を、金属製であるガイド芯材部が受け止めて、ガイドリングを安定して保持する。
また、ガイドリングの周りに配置される繊維強化樹脂製の外装部に対して、金属製であるガイド芯材部によって靭性を付与でき、繊維強化樹脂製の外装部だけでガイドリングを保持する場合に比べてそのガイドリングの保持を強固なものにできる。
しかも、足部を繊維強化樹脂製の外装部の一部で形成しているので、足部と竿素材外周面との馴染みがよく、釣り糸用ガイドが釣り糸を通して曲げ力等を受けたり、釣り竿が曲がりを生じた場合にも、釣り糸用ガイドの足部が竿素材の外周面への追従性がよい。
【0011】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記金属製のガイド芯材部を前記繊維強化樹脂製の外装部における前記ガイドリングと前記足部との間に装入している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
金属製のガイド芯材部を前記繊維強化樹脂製の外装部における前記ガイドリングと前記足部との間に装入しているので、釣り糸と摺動することによって、曲げ荷重が大きな足部と外装部との接続部位近傍に金属製のガイド芯材部を配置して、曲げ強度や強靭性を確保することができた。
【0013】
〔構成〕
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記足部は金属製のガイド芯材部を繊維強化樹脂で被覆し、かつ、その足部の一部において前記繊維強化樹脂で覆われない状態で金属製のガイド芯材部が露出している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】
〔作用効果〕
竿素材に取付固定される足部を、繊維強化樹脂で形成しているので、足部と竿素材外周面との馴染みがよく、釣り糸用ガイドが釣り糸を通して曲げ力等を受けたり、釣り竿が曲がりを生じた場合にも、釣り糸用ガイドの足部が竿素材の外周面への追従性がよい。
一方では、繊維強化樹脂製の外装部から金属製のガイド芯材部が一部表出しているので、繊維強化樹脂だけで足部を形成する場合に比べて剛性が高くなり過ぎず、足部の割れ等の損傷を抑制できる。
しかも、繊維強化樹脂製の外装部から金属製のガイド芯材部が一部表出しているので、表出するガイド芯材部の金属部分が繊維強化樹脂製の外装部におけるアクセントとなって、釣り人に強い印象を与え、釣り竿としての価値を高めることになる。
【0015】
〔構成〕
請求項5に係る発明の特徴構成は、前記繊維強化樹脂製の外装部の一端よりその外装部に被覆されている金属製のガイド芯材部の一端を延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0016】
〔作用効果〕
竿素材に取付固定される足部を、ガイド芯材部を延出して構成しているので、足部を繊維強化樹脂製の外装部で構成する場合に比べて強靭さを強化することができ、釣り糸用ガイドを安定して取付固定できる。
一方では、繊維強化樹脂製の外装部から金属製のガイド芯材が表出して足部を形成しているので、従来の金属製釣り糸用ガイドと同様の取付固定状態を釣り人に印象付けることができ、安定感を醸し出すことができる。
【0017】
〔構成〕
請求項6に係る発明の特徴構成は、前記繊維強化樹脂がプリプレグである点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0018】
〔作用効果〕
これによって、釣り糸用ガイドが竿素材と同様の材料で構成されることとなり、材料の兼用化が可能になり、製造上も効果は大である。
【0019】
〔構成〕
請求項7に係る発明の特徴構成は、前記プリプレグ製の外装部における前記ガイドリングを保持する部分と前記足部との間に中間接続部を形成し、前記中間接続部を複数枚のプリプレグを重ね合わせて形成し、前記複数枚のプリプレグにおける少なくとも一枚については、前記中間接続部におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記足部から前記ガイドリングに向かう方向に合せ、かつ、前記ガイドリングを保持する部分におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記ガイドリングの外周に沿った状態に合わせてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0020】
〔作用効果〕
このような強化繊維の配置構成を採ることにより、引張力が作用する部分の補強効果を図ることができ、プリプレグ製の釣り糸用ガイドとして安定して釣り糸ガイド機能を発揮するものを提供することができた。
【0021】
〔構成〕
請求項8に係る発明の特徴構成は、前記ガイドリングが炭化ケイ素製である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0022】
〔作用効果〕
ガイドリングが炭化ケイ素製の、摩耗に強いセラミック等を使用しているので、釣り糸から摺動作用を受けて、摩耗磨滅が少ない。
【0023】
〔構成〕
請求項9に係る発明の特徴構成は、前記金属製のガイド芯材部に釣り糸挿通用の挿通孔を形成するとともに前記挿通孔を囲む縁部に硬質加工を施して、前記ガイドリングを形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0024】
〔作用効果〕
通常は、ガイドリングとしては、摩耗に強いセラミック等を使用しているが、これらは重量的に重くなりがちである。
そこで、本願発明では、ガイド芯材部に釣り糸用挿通孔を形成する一方、その挿通孔の縁部に耐摩耗性を向上させる硬質加工を施している。このような構成によって、ガイドリングとしてセラミック等を使用する場合に比べて一層の軽量化を図ることができた。
【0025】
〔構成〕
請求項10に係る発明の特徴構成は、請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイドを備えた釣り竿である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0026】
〔作用効果〕
釣り糸用ガイドは、プリプレグで製作されることによって金属製に比べて軽量化が達成でき、かつ、プリプレグと金属との複合化によって、スムースな曲がりを呈する、捌き易い釣り竿とできた。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】トラウトロッドを示す側面図である。
【図2】釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す側面図である。
【図3】釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す斜視図である。
【図4】(a)釣り糸用ガイドを示す正面図、(b)金属製のガイド芯材部を示す正面図、(c)釣り糸用ガイドであって、釣り糸用挿通孔の周縁に配置される強化繊維の配向状態を六角形に設定した状態を示す正面図である。
【図5】(a)釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す縦断側面図、(b)ガイドリング、プリプレグ製の外装部、金属製のガイド芯材部を示す分解縦断側面図である。
【図6】釣り糸用ガイドを構成する金属製のガイド芯材部が第1実施形態のものとは異なる第2実施形態に記載した釣り糸用ガイドを示し、(a)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す正面図、(b)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す縦断側面図である。
【図7】釣り糸用ガイドを構成する金属製のガイド芯材部が第1、第2実施形態のものとは異なる第3実施形態に記載した釣り糸用ガイドを示し、(a)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す正面図、(b)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す縦断側面図である。
【図8】足部が二股になっている釣り用ガイドの別実施構造を示し、(a)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す正面図、(b)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す縦断側面図、(c)釣り糸用ガイドの別実施構造を示す斜視図である。
【図9】金属製のガイド芯材部がプリプレグ製の外装部に被覆されていない構造のものを示し、(a)金属製のガイド芯材部に、竿尻側から釣り糸挿通用孔の近辺に重ね合わせるように、板状のプリプレグ製外装部を装着している状態を示す縦断側面図、(b) 板状のプリプレグ製外装部を竿先側から金属製のガイド芯材部を竿尻側から重ね合わせ装着している状態を示す縦断側面図である。
【図10】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、(a)釣り糸用ガイドに使用するチタンバネ材を成形して金属製のガイド芯材部を形成した状態を示す平面図、(b)金属製のガイド芯材部の一部切り欠き側面図である。
【図11】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、(a)図10に示す金属製のガイド芯材部にガイドリングを装着した状態を示す平面図、(b)図10に示すガイド芯材部にガイドリングを装着した状態を示す一部切り欠き側面図である。
【図12】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、プリプレグ製の外装部を示す平面図である。
【図13】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、(a)図11に示す金属製のガイド芯材部と図12に示す外装部とを重ね合わせる前の状態を示す一部切り欠き側面図、(b)図11に示す金属製のガイド芯材部と図12に示す外装部とを重ね合わせた状態を示す縦断側面図である。
【図14】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、図13(b)に示す金属製のガイド芯材部に使用するチタンバネ材と外装部を形成するプリプレグシートとを重ね合わせたものを、真空型内に設置して接着一体化する加工を施している状態を示す側面図である。
【図15】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、図14に示す真空成型した加工物を硬化炉において加熱焼成する状態を示す横断平面図である。
【図16】足部において、竿素材に接する面とは反対側(図面上では下側)において、外装部の一部を切り欠いてガイド芯材部の金属部分が露出する状態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1実施形態〕
ヤマメや岩魚等を釣る際に使用される釣り竿Aについて説明する。図1に示すように、釣り竿Aは、穂先竿1の先端にトップガイド2を取り付けるとともに、穂先竿1の中間位置に釣り糸用ガイド3を取付固定し、竿元側に並継式に継合された元竿4を配置し、元竿4にスピンニングリールBを装着するリールシート5を取り付けて、構成してある。
【0029】
尚、釣り竿Aを構成する穂先竿及び元竿は次のように製作される。つまり、炭素繊維等の強化繊維を一方向に引き揃え、その引き揃え強化繊維群にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(又は熱可塑性樹脂)を含浸させて、プリプレグシートを形成する。このプリプレグシートを所定の形状に裁断したものをマンドレルに巻回し、複数層に形成したものをマンドレルに巻回した状態で炉に入れて焼成し、焼成後マンドレルを脱芯して円筒状の竿素材を取り出しその竿素材を所定長に裁断して、仕上加工を施し竿体とする。
プリプレグを構成する強化繊維としては、具体的には、炭素繊維以外にガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維等が使用でき、樹脂としては、エポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂やPV(E)等の熱可塑性樹脂が使用できる。また、プリプレグとしては、織り物に樹脂を含浸させて構成したものであってもよい。
【0030】
釣り糸用ガイド3について説明する。図2〜図5に示すように、釣り糸用ガイド3は、釣糸挿通用の挿通孔6Aを形成しているガイドリング6と、そのガイドリング6を保持するガイド本体7とで構成し、ガイド本体7を、繊維強化樹脂製の外装部7Aと、その外装部7Aを被着する金属製のガイド芯材部7Bとで構成してある。
【0031】
外装部7Aは繊維強化樹脂の一例であるプリプレグ製であり、前記した竿素材を形成するプリプレグと同様のものである。前記した炭素繊維等の強化繊維cを繊維の長手方向に沿って配置し、その炭素繊維群にエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて、プリプレグシートを形成する。このプリプレグシートを積層することにより外装部7Aを形成する。
【0032】
外装部7Aは、ガイドリング6の周囲に配置されてそのガイドリング6を保持する円盤状部分7aと、円盤状部分7aから細幅の状態に延出される中間接続部7bと、中間接続部7bと同じ横幅で延出される足部7cとで構成される。
円盤状部分7aには、図5(b)に示すように、ガイドリング6の釣糸挿通用の挿通孔6Aと同芯状に形成される挿通孔7dが形成してある。
【0033】
穂先竿1の外周面に載置される足部7cに対して、図2に示すように、略100°〜110°の角度(鈍角)αで中間接続部7bと円盤状部分7aが折り曲げ形成されており、竿素材より外向きに突出される中間接続部7bと円盤状部分7aとを、釣り糸が絡み付き難く、かつ、絡み付いても摺り抜け易い角度に設定してある。
【0034】
外装部7Aによって被覆される金属製のガイド芯材部7Bは、円盤状部分7aから中間接続部7b内に位置しており、チタンバネ材をプレス等で打ち抜き加工して製造される。図4(b)に示すように、ガイド芯材部7Bは、円形状部分7eを備えており、この円形状部分7eに釣り糸用挿通孔7hを形成し、釣り糸用挿通孔7hの縁部にガイドリング6を樹脂製の接着剤やカシメ処理を施して固着している。
なお、チタンバネ材は、耐食性に優れ、かつ、環境に優しい金属である。機械的強度としては、JIS2種基準で、引っ張り強さが340〜510N/mm2であり、曲げ強度にも優れる。ただし、鉄鋼のように明確な降伏点を持ってはいないので、0.2%耐力を測定すると215N/mm2以上あるので、弾性限度が十分高いものであり、釣り糸用ガイドとして、大きな荷重を受けても元の姿勢に復帰する弾性力が大きい。
一方、ガイド芯材部7Bに使用される金属は、チタンバネ板以外に、アルミニュウム、ステンレスであってもよい。アルミニュウムの場合には、表面処理を施す。アルマイト加工、メッキ加工で表面処理を行い、塗装を施してもよい。
【0035】
ガイドリング6は、外形として円形のものが使用されるが、楕円形のものであってもよい。セラミックが主として使用され、炭化ケイ素、アルミナ等が材料として選定され、サーメット等の金属とセラミックも使用される。耐摩耗性の高い材料であれば使用可能である。前記したようにガイド芯材部7Bだけでなく、外装部7Aの挿通孔7dの縁部で支持する形態にしてもよい。
サーメットは、金属炭化物や金属窒化物などの硬質化合物の粉末を金属の結合材と混合して焼結した複合材料であり、耐熱性や耐摩耗性が高い。
【0036】
次に、釣り糸用ガイド3の製造について説明する。
(1)図10(a),(b)に示すように、チタンバネ材12でガイド芯材部7Bを形成する。
(2)図11(a),(b)に示すように、ガイド芯材部7Bにガイドリング6を前記した方法によって装着する。
(3)図12に示すように、複数枚の半硬化状態のプリプレグシート9を外装部7Aの形状に裁断する。
(4)図13(a),(b)に示すように、複数枚の外装部形状に裁断した半硬化状態のプリプレグシート9を重ね合せ、その内部にガイド芯材部用のチタンバネ材12を挟み込み、成形前の釣り用ガイド体3Cを形成する。図14に示すように、チタンバネ材12を挟み込んだ成形前の釣り用ガイド体3Cを第1型11Aと第2型11Bとからなる真空型11内に装入し、プリプレグシート9とチタンバネ材12との密着強度を向上させる一次成形を施す。この際に、空気を巻き込まないように、ポンプPによって真空引きを行う。
(5)図15に示すように、一次成形を施された釣り用ガイド体3Cを硬化炉10内に投入して、加熱硬化する。この場合にも、真空引きは継続する。
(6)所定時間経過後で十分に冷却して成形品を取り出す。成形後は研削研磨加工等を行うことができる。
【0037】
以上のように成形された釣り糸用ガイド3においては、図4(a)に示すように、プリプレグによる強化繊維cの向きが、ガイドリング6の周りを巡るような状態に配向されており、引張応力に対抗する状態に配向されている。この場合には、図4(c)に示すように、強化繊維cの向きが、六角形を描くように配向されていてもよい。
【0038】
釣り糸用ガイド3は、足部7cを所定位置に載置して、取付具としての取付用の糸aによって、竿素材に取付固定される。取付用の糸aの上から樹脂塗料(図示してはいない)を塗布して、取付状態が固定される。
【0039】
〔第2実施形態〕
ここでは、ガイド芯材部7Bの構成について説明する。図6(a)(b)に示すように、ガイド芯材部7Bとしては、ガイドリング6の半円周分を保持するように形成されて、円弧状部分7aの半分領域と中間接続部7bに亘って位置する大きさに形成されている。
このように、ガイド芯材部7Bの取付位置が円弧状部分7aの半分領域と中間接続部7bに限定される大きさに形成されているので、第1実施形態のものに比べて小さくなっており、軽量化に寄与できるとともに、釣り糸用ガイド3に作用する曲げ応力等が大きくなる部分に配置されることとなり、プリプレグのみで構成する場合に比べて曲げ応力等に対する対抗力を高めている。
【0040】
上記実施形態においては、ガイド芯材部7Bはガイドリング6の半周分を保持する形態を採っているが、ガイドリング6に接触しない形状であってもよい。
【0041】
〔第3実施形態〕
第1実施形態では、プリプレグ製の外装部7Aの一端を、ガイド芯材部7Bの一端より更に延出し、その延出部分を足部7cに構成していた。しかし、この第3実施形態においては、図7(a)(b)に示すように、ガイド芯材部7Bの一端を、プリプレグ製の外装部7Aの一端より更に延出し、その延出部分を足部7cに構成する。
【0042】
ガイド芯材部7Bの足部7c部分とは反対側においてはガイドリング6を装着する円弧状部分7aが形成してある。なお、前記したように、ガイド芯材部7Bに使用される金属は、アルミニュウム、ステンレスであってもよい。アルミニュウムの場合には、表面処理を施す。アルマイト加工、メッキ加工で表面処理を行い、塗装を施してもよい。
ただし、第2実施形態のように、ガイド芯材部7Bの形状としては、ガイドリング6の半周分を保持する小形のものでもよい。
【0043】
上記したようにチタンバネ板製のガイド芯材部7Bを延出して足部7cとしているので、第1実施形態のように、プリプレグ製の外装部7Aを延出して足部7cとしている場合に比べて、靭性が高く安定した取付状態を維持できる。
なお、足部7cの表面側に凹入部7fが形成してあり、この凹入部7fに取付用の糸aが嵌り込んで、取付用の糸aの位置ズレが少なくなるとともに、足部7cが凹入部7fを設けることによって変形しやすくなり、足部7cを竿素材の外周面に載置した際に、その外周面に馴染みやすい。
ただし、この凹入部7fについては特に設けなくともよい。足部7cを一定の厚みで形成してもよい。
【0044】
〔第4実施形態〕
第1実施形態から第3実施形態までは、足部7cは外装部7Aから一方側にのみ延出されて形成されていたが、ここでは、図8(a)(b)(c)に示すように、二方向、つまり、竿先側と竿元側とに張り出す二股式の足部7cを備えた釣り糸用ガイド3を形成する。このように足部7cを二股状とすることによって、竿素材への取付状態が一層安定する。
【0045】
上記した構成においては、ガイド芯材部7Bを第1実施形態と同様の形態に形成しているが、第2実施形態に示したように、ガイドリング6の半円周分を保持するように形成してもよく、または、第3実施形態のように、外装部7Aからガイド芯材部7Bの先端部を突出させて、その突出部で足部7cを形成してもよい。
【0046】
竿先側と竿尻側とに延出された足部7cにおける中間位置に設けた凹入部7jは、足部7cが竿素材表面に密着しやすくする為に設けたものであり、竿先側と竿尻側とに延出された足部7cの全面を竿素材表面に載置するように形成するよりも、足部7cが変形しやすく密着しやすい。
勿論、このように凹入部7jを形成することなく、足部7cの全面を竿素材表面に載置する構成を採ってもよい。
【0047】
〔別実施形態〕
(1)ガイドリング6の材料としてセラミック等を使用することについて説明したが、チタンやアルミ等の金属を使用してもよい。一方、ガイドリング6をガイド芯材部7Bと別個に形成するのではなく、一体で形成するものであってもよい。具体的には、図4及び図7に示すように、金属製のガイド芯材部7Bに釣り糸用挿通孔を形成し、その釣り糸用挿通孔の縁部に耐摩耗性処理を施して、ガイドリング6としての機能を持たせるように構成してもよい。これによって、セラミック等のガイドリング6を別個に装着する場合に比べて、金属による軽量化を図ることができる。
耐摩耗性を付与する製法としては、金属、セラミック、サーメット等を溶射、又は、PVD、CVDによる薄膜成形技術が推奨される。または、薄膜を形成するのではなく、直接、釣り糸用挿通孔7gの縁部に耐摩耗性処理を施す方法でもよい。例えば、窒化処理等を施すことが可能である。
【0048】
(2) ガイド芯材部7Bの材料として、チタンバネ材やアルミ材等を挙げたが、形状記憶合金を使用してもよい。釣り糸用ガイド3に想定以上の荷重が掛かった場合に、ガイド芯材部7Bが変形してその荷重を吸収し、荷重が取り除かれた状態では元の姿勢に復帰するので、芯材として適切である。
【0049】
(3) 外装部7Aを構成するプリプレグにおける強化繊維の配向方向としては、強度的に弱い部分を補強するように配向すべきであり、前記したようにガイドリング6の周りを巡るような配向方法に限定されない。
【0050】
(4)取付具として取付用の糸aで行っているが、取付用の糸aの代わりに樹脂テープを利用してもよい。更に、取付固定力を強力にするには、強化繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグをテープ状に形成したプリプレグテープを使用してもよい。
【0051】
(5)足部7cに対して中間接続部7b、及び、円盤状部分7aが、角度αで斜め前方に傾斜する姿勢に形成してあるが、足部7cに対して垂直な姿勢であってもよい。
【0052】
(6)プリプレグ製の外装部7Aと、その外装部7Aを被着する金属製のガイド芯材部7Bとで構成するに、外装部7Aをガイド芯材部7Bの竿先側及び竿尻側の両面に被覆する状態で施す形態について説明してきたが、竿先側か竿尻側の一方の面だけに施してもよい。
【0053】
つまり、図9(a)に示すように、金属製のガイド芯材部7Bで、円形状部分7e、中間接続部7b、足部7cに相当する部分を形成し、円形状部分7eの釣り糸用挿通孔にガイドリング6を装着し、釣り糸用挿通孔の周縁部に竿尻側から重ね合わせるように、板状のプリプレグ製外装部7Aを装着している。
このプリプレグ製外装部7Aは、前記した円形状部分7eに相当する範囲に限定された大きさで設けられている。
【0054】
また、図9(b)に示すように、プリプレグ製の外装部7Aと金属製のガイド芯材部7Bを、共に、円盤状部分7a(円形状部分7e)、中間接続部7b、足部7cを形成して同一形状を呈するものにして、竿先側に位置するプリプレグ製の外装部7Aと竿尻側に位置する金属製のガイド芯材部7Bとを重ね合わせて、釣り用ガイド3を形成してもよい。
このように、金属製のガイド芯材部7Bを外装部7Aで竿先側と竿尻側との両面で被覆する構成を採っていないので、重量増を招くことなく、剛性の高いプリプレグ製の外装部7Aと強靭な金属製のガイド芯材部7Bとの機能を併せ持った釣り糸用ガイド3を形成できた。
【0055】
(7)図16に示すように、金属製のガイド芯材部7Bを略完全に被覆する状態に、プリプレグ製の外装部7Aを施してある。プリプレグ製の外装部7Aは、円盤状部分7a、中間接続部7b、足部7cを備えた形状に形成してあり、金属製のガイド芯材部7Bもプリプレグ製の外装部に沿った形状に形成してある。そして、足部7cにおいて、外装部7Aの竿素材に接する面とは反対側(図面上では下側)において、外装部7Aの一部7jを切り欠いてガイド芯材部7Bの金属部分が露出するように構成してもよい。これによって、足部7cでの剛性が緩和され、足部7cの竿素材への密着性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明は、ヤマメ釣り等に使用される、所謂、トラウトロッドと呼ばれているものについて説明したが、ルアー竿、及び、磯竿、その他釣り糸用ガイド3を必要とするすべての竿等にも適用できる。
【符号の説明】
【0057】
3 釣り糸用ガイド
6 ガイドリング
6A 釣り糸挿通用の挿通孔
7 ガイド本体
7A 外装部
7B ガイド芯材部
7b 中間接続部
7c 足部
a 取付具
c 強化繊維
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸挿通用の挿通孔を形成しているガイドリングと、そのガイドリングを保持するガイド本体とで構成し、前記ガイド本体を、繊維強化樹脂製の外装部と、その外装部を被着する金属製のガイド芯材部とで構成してある釣り糸用ガイド。
【請求項2】
前記金属製のガイド芯材部で前記ガイドリングを保持し、前記ガイド芯材部を覆った状態より前記繊維強化樹脂製の外装部の一端を更に延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している請求項1記載の釣り糸用ガイド。
【請求項3】
前記金属製のガイド芯材部を、前記繊維強化樹脂製の外装部における前記ガイドリングと前記足部との間に装入している請求項1又は2記載の釣り糸用ガイド。
【請求項4】
前記足部は金属製のガイド芯材部を繊維強化樹脂で被覆し、かつ、その足部の一部において前記繊維強化樹脂で覆われない状態で金属製のガイド芯材部が露出している請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項5】
前記繊維強化樹脂製の外装部の一端よりその外装部に被覆されている金属製のガイド芯材部の一端を延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項6】
前記繊維強化樹脂がプリプレグである請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項7】
前記プリプレグ製の外装部における前記ガイドリングを保持する部分と前記足部との間に中間接続部を形成し、前記中間接続部を複数枚のプリプレグを重ね合わせて形成し、前記複数枚のプリプレグにおける少なくとも一枚については、前記中間接続部におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記足部から前記ガイドリングに向かう方向に合せ、かつ、前記ガイドリングを保持する部分におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記ガイドリングの外周に沿った状態に合わせてある請求項6記載の釣り糸用ガイド。
【請求項8】
前記ガイドリングは炭化ケイ素製である請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項9】
前記金属製のガイド芯材部に釣り糸挿通用の挿通孔を形成するとともに前記挿通孔を囲む縁部に硬質加工を施して、前記ガイドリングを形成している前記請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか一つに記載の釣り糸用ガイドを備えた釣り竿。
【請求項1】
釣糸挿通用の挿通孔を形成しているガイドリングと、そのガイドリングを保持するガイド本体とで構成し、前記ガイド本体を、繊維強化樹脂製の外装部と、その外装部を被着する金属製のガイド芯材部とで構成してある釣り糸用ガイド。
【請求項2】
前記金属製のガイド芯材部で前記ガイドリングを保持し、前記ガイド芯材部を覆った状態より前記繊維強化樹脂製の外装部の一端を更に延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している請求項1記載の釣り糸用ガイド。
【請求項3】
前記金属製のガイド芯材部を、前記繊維強化樹脂製の外装部における前記ガイドリングと前記足部との間に装入している請求項1又は2記載の釣り糸用ガイド。
【請求項4】
前記足部は金属製のガイド芯材部を繊維強化樹脂で被覆し、かつ、その足部の一部において前記繊維強化樹脂で覆われない状態で金属製のガイド芯材部が露出している請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項5】
前記繊維強化樹脂製の外装部の一端よりその外装部に被覆されている金属製のガイド芯材部の一端を延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項6】
前記繊維強化樹脂がプリプレグである請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項7】
前記プリプレグ製の外装部における前記ガイドリングを保持する部分と前記足部との間に中間接続部を形成し、前記中間接続部を複数枚のプリプレグを重ね合わせて形成し、前記複数枚のプリプレグにおける少なくとも一枚については、前記中間接続部におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記足部から前記ガイドリングに向かう方向に合せ、かつ、前記ガイドリングを保持する部分におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記ガイドリングの外周に沿った状態に合わせてある請求項6記載の釣り糸用ガイド。
【請求項8】
前記ガイドリングは炭化ケイ素製である請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項9】
前記金属製のガイド芯材部に釣り糸挿通用の挿通孔を形成するとともに前記挿通孔を囲む縁部に硬質加工を施して、前記ガイドリングを形成している前記請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか一つに記載の釣り糸用ガイドを備えた釣り竿。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−211947(P2011−211947A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82442(P2010−82442)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】
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