釣り糸用ガイド及び釣り竿
【課題】 ガイドリングが傷ついた場合にも迅速に対応でき、及び、ガイドリングを軽量な物と交換する事により軽量な釣り竿として使用できる釣り糸用ガイド及び釣り竿を提供する。
【解決手段】 釣糸挿通用の挿通孔6Aを形成しているガイドリング6と、ガイドリング6に対する取付用孔7Fを形成したガイド本体7とで構成し、取付用孔7Fの縁部とガイドリング6の外周面とに亘って着脱機構を形成し、着脱機構が、取付用孔7Fの縁部に形成された雌ネジ部と、ガイドリング6の外周面に形成された雄ネジ部とで構成して、ガイドリング6を3ガイド本体に対して着脱自在に構成してある。
【解決手段】 釣糸挿通用の挿通孔6Aを形成しているガイドリング6と、ガイドリング6に対する取付用孔7Fを形成したガイド本体7とで構成し、取付用孔7Fの縁部とガイドリング6の外周面とに亘って着脱機構を形成し、着脱機構が、取付用孔7Fの縁部に形成された雌ネジ部と、ガイドリング6の外周面に形成された雄ネジ部とで構成して、ガイドリング6を3ガイド本体に対して着脱自在に構成してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールから繰り出された釣り糸をガイドする釣り糸用ガイド及び釣り竿に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り糸用ガイドは、ガイド本体に形成された保持環内にガイドリングを装着して構成されている。ガイドリングは炭化ケイ素等のセラミックを材料として形成され、保持環は、ガイド本体と同様の金属で構成されていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−273443号公報(段落番号〔0017〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガイドリングと保持環との関係は、一旦、ガイドリングを保持環に装着した後には、ガイドリングを取り外すことは考えてはなかった。寧ろ、ガイドリングが釣りの途中で保持環より外れることを抑制する為にキツク装着することに主眼を置いていた。
しかし、ガイドリングとして硬質のセラミック等を材料としていても、長年の使用の間にはガイドリングの同じ部位を釣り糸が摺接通過する為に、その部位に通過跡が形成され、その部分が深くなると通過跡によって摺接する釣り糸が切断されるといった事態も起こり得ることともなっていた。
また、釣り糸との摺接以外の原因として、磯等での置き竿によってガイドリングが他物に接触等することによって傷つくこともあり、ガイドリングを取り替える必要があるが、従来構成では取り替えられるようには、なっていなかった。
そこで、従来では、釣り糸ガイドを釣り竿より取り外して、釣り糸ガイドそのものを取り替えることとしていた。
【0005】
本発明の目的は、ガイドリングが傷ついた場合にも迅速に対応でき、かつ、軽量なガイドリングに適時交換することにより釣り人は軽量な竿を気軽に使用することができる釣り糸用ガイド及び釣り竿を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、釣糸挿通用の挿通孔を形成しているガイドリングと、前記ガイドリングに対する取付用孔を形成したガイド本体とで構成し、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面とに亘って着脱機構を形成し、前記ガイドリングを前記ガイド本体に対して着脱自在に構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用効果〕
つまり、ガイドリングが何らかの理由で傷ついた場合にも、着脱機構の機能を利用して傷ついたガイドリングを取り外すことができ、新しいガイドリングを新たに装着できる。
しかも、新しいガイドリングを取り付ける際に、ガイド本体を竿体より取り外す必要はなく、釣り場で取付替えが行え、釣り人に採っても使い易いものとなる。
しかも、ガイドリング自体についても軽量なものと取り替えることができ、それによって、釣り竿が軽量化し、釣り人は軽量化された釣り竿を気軽に使用できるものである。
【0008】
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部に形成された雌ネジ部と、前記ガイドリングの外周面に形成された雄ネジ部とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0009】
〔作用効果〕
つまり、請求項1に記載した作用効果に加えて、ガイドリングはネジ部を介してガイド本体に取付られているので、ガイドリングを適当な治具を利用して緩め操作するだけで取り外すことができ、締め込み操作するだけで新たなガイドリングを取り付けることができる。
【0010】
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との一方に形成された係合突起と、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との他方に形成された係合凹部とで構成され、前記係合突起の外径を前記係合凹部の両側端縁の内径より大きく、かつ、前記係合凹部の底径より小さく形成し、前記係合突起を前記係合凹部内に前記両側端縁に抗して押入して係合させ前記ガイドリングを前記ガイド本体に取り付けた状態で、前記ガイドリングを前記ガイド本体に対して相対回転自在な緩係合状態に構成してある請求項1記載の釣り用ガイド。
【0011】
〔作用効果〕
係合突起の外径を前記係合凹部の両側端縁の内径より大きくしてあるが、ガイドリングを取付用孔に装着する為に、そのガイドリングを押し込み操作すると、取付用孔の側端縁がその押し込み力によって弾性的にやや拡径し、ガイドリングを係合凹部内に誘導できる。係合突起の外径は係合凹部の底径より小であるので、ガイドリングはガイド本体に対して相対回転可能な状態になっている。
そうすると、ガイドリングは相対回転するので、常に釣り糸がガイドリングの特定部位に接触することは回避でき、その特定部位に摺接跡が付くといったことを回避できる。
【0012】
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との一方に形成された係合ピン部と、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との他方に形成された凹入装着座とで構成され、前記凹入装着座に、前記係合ピン部を開口から奥方向に誘導する導入空間部と、その導入空間部の奥端から直交する方向に前記係合ピン部を導入する装着空間部とからなる凹入空間部を形成し、前記装着空間部における前記係合ピン部を挟み込む壁面の間隔を、前記係合ピン部の外径と同一か又は小さい間隔に徐々に縮小する状態に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0013】
〔作用効果〕
つまり、係合ピン部を開口から導入空間部内に挿入し、その導入空間内に挿入した係合ピン部を装着空間部内に移動させるように、ガイドリングを相対回転させると、係合ピン部は装着空間内に入って最終的には両壁面によって挟み込まれて止まり、それによって、ガイドリングがガイド本体に装着される。
【0014】
請求項5に係る発明の特徴構成は、前記ガイド本体が、繊維強化樹脂で構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0015】
〔作用効果〕
つまり、従来のように、ガイド本体が金属で形成されていた場合に比べて樹脂製であるので軽量化が達成できるとともに、単なる樹脂ではなく繊維で強化されているので、金属に相当する強度は発揮できないまでも、釣り糸ガイドとして十分機能するものを提供できた。
【0016】
請求項6に係る発明の特徴構成は、前記ガイド本体を繊維強化樹脂製の外装部とその外装部内に装入される金属製のガイド芯材部とで構成してある構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0017】
〔作用効果〕
釣り糸用ガイドとして、繊維強化樹脂製の外装部を備えたものとした。これによって、金属のみで形成していた従来の釣り糸用ガイドに比較して、金属が占める体積を小さくでき、軽量化を達成することができた。
ただし、釣り糸用ガイド全体を繊維強化樹脂で構成した場合には、剛性が高くなり過ぎて、強靭性に欠ける面がある。
そこで、繊維強化樹脂製の外装部と金属製のガイド芯材部とを組み合わせて、両者でガイド本体を構成した。
このような構成によって、金属製の釣り糸用ガイドを単に薄くして軽量化を図った場合に比べて機械的強度も十分確保できた。
金属製ガイド芯材部と繊維強化樹脂製の外装部とのハイブリッド構成を採ることによって、ガイド本体を構成したので、金属のみで形成した場合に比べて軽量化が達成でき、かつ、強度的にも安定した釣り糸用ガイドを提供できるに至った。
【0018】
〔構成〕
請求項7に係る発明の特徴構成は、前記ガイド本体に繊維強化樹脂製の外装部を備え、前記外装部における前記ガイドリングを保持する部分の外周面に、前記繊維強化樹脂より硬質の硬質体を設け、前記外周面と面一か又は突出する状態に前記硬質体を装着している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0019】
〔作用効果〕
釣り糸用ガイドとして、繊維強化樹脂製の外装部を備えたものとした。これによって、金属のみで形成していた従来の釣り糸用ガイドに比較して、金属が占める体積を小さくでき、軽量化を達成することができた。
しかも、前記外装部における前記ガイドリングを保持する部分の外周面に、前記繊維強化樹脂より硬質の硬質体を配置した。このことによって、繊維強化樹脂部分が表出する前記ガイドリングを保持する部分において、硬質体によって外周面が保護されることとなり、釣り場等において地面に釣り竿を載置した場合にも、その外周面部分が直接他物と接触したり衝突したりすることを回避でき、外周面表面での繊維のササクレ等を回避できる。
繊維強化樹脂製の外装部によって、ガイド本体を構成したので、金属のみで形成した場合に比べて軽量化が達成できながら、繊維強化樹脂製の外装部の外周面が表出して他物と接触することによって繊維のササクレ等の不都合が発生するのを、その繊維強化樹脂よりも硬質の硬質体を外周面に設けることによって、効果的にそのような事象を抑制した釣り糸用ガイドを提供できるに至った。
【0020】
〔構成〕
請求項8に係る発明の特徴構成は、前記硬質体が、前記外装部における前記ガイドリングを保持する部分の外周面を被覆する金属製のカバー体である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0021】
〔作用効果〕
金属製のカバー体によって外周面が保護されることとなり、釣り場等において地面に釣り竿を載置した場合にも、その外周面部分が直接他物と接触したり衝突したりすることを回避でき、外周面表面での繊維のササクレ等を回避できる。
しかも、繊維強化樹脂のみでガイド本体を構成する場合よりも、ガイドリングを保持する部分を金属カバー体で強化できるので、釣り用ガイドに強靭性を付与して、剛性が大きくなり過ぎることを抑制でき、釣り竿への取付状態が安定する釣り糸用ガイドを提供できる。
【0022】
〔構成〕
請求項9に係る発明の特徴構成は、前記ガイド本体を繊維強化樹脂製の外装部とその外装部内に装入される金属製のガイド芯材部とで構成し、前記硬質体を金属製のガイド芯材部の一部で構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0023】
〔作用効果〕
ガイド本体を繊維強化樹脂のみで構成すると剛性が勝ち過ぎて脆さが強調されるが、ガイド本体の内部に金属製のガイド芯材部を装入することによって、釣り糸用ガイドに強靭性をも付与でき、釣り用ガイドの釣り竿に対する取付姿勢が安定する。
しかも、金属製のガイド芯材部の一部を前記繊維強化樹脂製の外装部を貫通させて前記外周面より表出させてあるので、釣り場等において地面に釣り竿を載置した場合にも、その外周面部分が直接他物と接触したり衝突したりすることを回避でき、外周面表面での繊維のササクレ等を回避できる。
さらに、金属製のガイド芯材の一部を突出させて硬質体に形成しているので、硬質体として別個の部材を採りいれる必要はなく、部品の兼用化が可能である。
【0024】
〔構成〕
請求項10に係る発明の特徴構成は、前記繊維強化樹脂製の外装部の一端よりその外装部に被覆されている金属製のガイド芯材部の一端を延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0025】
〔作用効果〕
竿素材に取付固定される足部を、ガイド芯材部を延出して構成しているので、足部を繊維強化樹脂製の外装部で構成する場合に比べて強靭さを強化することができ、釣り糸用ガイドを安定して取付固定できる。
一方では、繊維強化樹脂製の外装部から金属製のガイド芯材が表出して足部を形成しているので、従来の金属製釣り糸用ガイドと同様の取付固定状態を釣り人に印象付けることができ、安定感を醸し出すことができる。
【0026】
〔構成〕
請求項11に係る発明の特徴構成は、前記繊維強化樹脂がプリプレグである点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0027】
〔作用効果〕
これによって、釣り糸用ガイドが竿素材と同様の材料で構成されることとなり、材料の兼用化が可能になり、製造上も効果は大である。
【0028】
〔構成〕
請求項12に係る発明の特徴構成は、前記プリプレグ製の外装部における前記ガイドリングを保持する部分と前記足部との間に中間接続部を形成し、前記中間接続部を複数枚のプリプレグを重ね合わせて形成し、前記複数枚のプリプレグにおける少なくとも一枚については、前記中間接続部におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記足部から前記ガイドリングに向かう方向に合せ、かつ、前記ガイドリングを保持する部分におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記ガイドリングの外周に沿った状態に合わせてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0029】
〔作用効果〕
このような強化繊維の配置構成を採ることにより、引張力が作用する部分の補強効果を図ることができ、プリプレグ製の釣り糸用ガイドとして安定して釣り糸ガイド機能を発揮するものを提供することができた。
【0030】
〔構成〕
請求項13に係る発明の特徴構成は、前記ガイドリングが炭化ケイ素製である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0031】
〔作用効果〕
ガイドリングが炭化ケイ素製の、摩耗に強いセラミック等を使用しているので、釣り糸から摺動作用を受けて、摩耗磨滅が少ない。
【0032】
〔構成〕
請求項14に係る発明の特徴構成は、請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイドを備えた釣り竿である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0033】
〔作用効果〕
釣り糸用ガイドは、プリプレグで製作されることによって金属製に比べて軽量化が達成でき、かつ、プリプレグと金属との複合化によって、スムースな曲がりを呈する、捌き易い釣り竿とできた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】トラウトロッドを示す側面図である。
【図2】第1実施形態の釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す側面図である。
【図4】第1実施形態の釣り糸用ガイドを示す正面図である。
【図5】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、プリプレグ製の外装部を示す平面図である。
【図6】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、図5或いは図5の外装部と図16に示す金属製のガイド芯材部に使用するチタンバネ材とを重ね合わせたものを、真空型内に設置して接着一体化する加工を施している状態を示す側面図である。
【図7】第4実施形態の釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す側面図である。
【図8】(a)第4実施形態の釣り糸用ガイドを示す正面図、(b)ガイド芯材を示す正面図である。
【図9】(a)第4実施形態の第1別実施形態の釣り糸用ガイドを示す正面図、(b)第4実施形態の第1別実施形態の釣り糸用ガイドのガイド芯材を示す正面図、(c)第4実施形態の第1別実施形態の釣り糸用ガイドを穂先竿に取り付けた状態を示す縦断側面図である。
【図10】金属製のガイド芯材部がプリプレグ製の外装部に被覆されていない構造のものを示し、(a)金属製のガイド芯材部に、竿尻側から釣り糸挿通用孔の近辺に重ね合わせるように、板状のプリプレグ製外装部を装着している状態を示す縦断側面図、(b)板状のプリプレグ製外装部に金属製のガイド芯材部を竿尻側から重ね合わせ装着している状態を示す縦断側面図である。
【図11】金属製のガイド芯材部を略完全に被覆する状態に、プリプレグ製の外装部を施してある釣り糸用ガイドを示す縦断側面図である。
【図12】第4実施形態の釣り糸用ガイドにカバー体を装着する前の状態を示す斜視図である。
【図13】(a)第4実施形態の釣り糸用ガイドを示す正面図、(b)ガイド芯材を示す正面図である。
【図14】第2実施形態の釣り糸用ガイドを示し、(a)ガイドリングをガイド本体に装着する前の状態を示す縦断側面図、(b)ガイドリングをガイド本体に装着した状態を示す縦断側面図、(c)図14(a)におけるc−c断面図である。
【図15】第3実施形態の釣り糸用ガイドを示し、(a)ガイドリングをガイド本体に装着する前の状態を示す斜視図、(b)ガイドリングをガイド本体に装着する前の状態を示し、ガイド本体に凹入装着座を形成した状態を示す斜視図、(c)ガイド本体の凹入装着座の別実施構造を示す斜視図である。
【図16】図15に示すガイドリングの別実施形態を示す斜視図である。
【図17】釣り糸用ガイドの製造工程を示すもので、ガイド芯材部を示す平面図である。
【図18】足部が二股になっている釣り用ガイドの別実施構造を示す縦断側面図である。
【図19】(a)カバー体の別実施構造を示す斜視図、(b)カバー体を外装部に取付た状態を示す縦断側面図である。
【図20】(a)ガイドリングを第1、第2ガイドリング部分から構成したもので、組み付ける前の状態を示す別実施構造の縦断側面図、(b)第1、第2ガイドリング部分をガイド本体に組み付けた状態を示す縦断側面図、(c)第2ガイドリング部分を取り外す際にドライバー等の工具を差し込む溝を形成してある状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔第1実施形態〕
ヤマメや岩魚等を釣る際に使用される釣り竿Aについて説明する。図1に示すように、釣り竿Aは、穂先竿1の先端にトップガイド2を取り付けるとともに、穂先竿1の中間位置に釣り糸用ガイド3を取付固定し、竿元側に並継式に継合された元竿4を配置し、元竿4にスピンニングリールBを装着するリールシート5を取り付けて、構成してある。
【0036】
尚、釣り竿Aを構成する穂先竿及び元竿は次のように製作される。つまり、炭素繊維等の強化繊維を一方向に引き揃え、その引き揃え強化繊維群にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(又は熱可塑性樹脂)を含浸させて、プリプレグシートを形成する。このプリプレグシートを所定の形状に裁断したものをマンドレルに巻回し、複数層に形成したものをマンドレルに巻回した状態で炉に入れて焼成し、焼成後マンドレルを脱芯して円筒状の竿素材を取り出しその竿素材を所定長に裁断して、仕上加工を施し竿体とする。
プリプレグを構成する強化繊維としては、具体的には、炭素繊維以外にガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維等が使用でき、樹脂としては、エポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂やPV(E)等の熱可塑性樹脂が使用できる。また、プリプレグとしては、織り物に樹脂を含浸させて構成したものであってもよい。
【0037】
釣り糸用ガイド3について説明する。図2〜図4に示すように、釣り糸用ガイド3は、釣糸挿通用の挿通孔6Aを形成しているガイドリング6と、そのガイドリング6を保持するガイド本体7とで構成してある。
ガイド本体7は繊維強化樹脂の一例であるプリプレグ製であり、前記した竿素材を形成するプリプレグと同様のものである。前記した炭素繊維等の強化繊維cを繊維の長手方向に沿って配置し、その炭素繊維群にエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて、プリプレグシートを形成する。このプリプレグシートを積層することによりガイド本体7を形成する。
【0038】
ガイド本体7は、ガイドリング6の周囲に配置されてそのガイドリング6を保持する円盤状部分7aと、円盤状部分7aから細幅の状態に延出される中間接続部7bと、中間接続部7bと同じ横幅で延出される足部7cとで構成される。
穂先竿1の外周面に載置される足部7cに対して、図3に示すように、略100°〜110°の角度(鈍角)αで中間接続部7bと円盤状部分7aが折り曲げ形成されており、竿素材より外向きに突出される中間接続部7bと円盤状部分7aとを、釣り糸が絡み付き難く、かつ、絡み付いても摺り抜け易い角度に設定してある。
中間接続部7bに形成されているのは、軽量化等を目的として抜き孔7Eであり、円盤状部分7aには、ガイドリング6の取付用孔7Fが形成されており、取付用孔7Fには、ガイドリング取付用の雌ネジが形成してある。
【0039】
ガイドリング6は、外形として円形を呈するフランジ部6Bとそのフランジ部6Bより小径で軸線方向に沿って延出された筒状ボス部6Cとを備えている。筒状ボス部6Cの外周面には雄ねじが形成され、その雄ネジをガイド本体7の取付用孔7Fの雌ネジに螺着することによって、ガイドリング6をガイド本体7に対して着脱自在な構成とすることができる。なお、ネジ形状は、筒状ボス部6Cの先端に向けてやや細径化するテーパネジに形成してある。ただし、一定の径を維持する通常のネジ形態を採ってもよい。
このようにガイドリング6はネジを介して着脱自在に構成されているが、図3(b)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける先端面6eには、細い切り込み溝6dが形成してあり、この切り込み溝6dは、ガイドリング6を締め込む際にドライバー等の治具の先端を差し込む補助機構の機能を果たしている。
【0040】
ガイドリング6としては、セラミックが主として使用され、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア等が材料として選定され、サーメット等の金属とセラミックの合成物も使用される。耐摩耗性の高い材料であれば使用可能である。
サーメットは、金属炭化物や金属窒化物などの硬質化合物の粉末を金属の結合材と混合して焼結した複合材料であり、耐熱性や耐摩耗性が高い。これらに対するネジの刻設作業は、機械加工、型成形等によって行われる。
上記したセラミック以外に、アルミニュウムやチタン等の軽量金属も使用できる。それらを使用する場合には、炭化ケイ素等に比べて軽量となり、交換も容易であるので、釣り人は軽量な竿を気軽に使用することができる。ただし、アルミニュウム等に対しては、耐摩耗性を高める為に、釣り糸を誘導する挿通用孔の表面等にアルマイト処理等を施すことが好ましい。
【0041】
次に、釣り糸用ガイド3の製造について説明する。
(1)図5に示すように、複数枚の半硬化状態のプリプレグシート9をガイド本体7の形状に裁断する。
(2)複数枚のガイド本体7の形状に裁断した半硬化状態のプリプレグシート9を重ね合せる。
(3)次に、重ね合わせたプリプレグシート9の積層体3Cを図6に示す第1型11Aと第2型11Bとからなる真空型11内に装入し、プリプレグシート9同士の密着強度を向上させる一次成形を施す。この際に、空気を巻き込まないように、ポンプPによって真空引きを行う。
(4)図6に示すように、一次成形を施す第1型11Aと第2型11Bとに挟み込まれた状態で硬化炉10内に投入して、加熱硬化する。この場合にも、真空引きは継続する。
(5)所定時間経過後で十分に冷却して成形品を取り出す。成形後は研削研磨加工等を行うことができる。
(6)ただし、図示していないが、真空型11内で真空成型した後に、型成形したガイド本体7の原形を取り出して、硬化炉10内に投入して加熱硬化させる構成を採ってもよい。
【0042】
以上のように成形された釣り糸用ガイド3においては、図4に示すように、プリプレグによる強化繊維cの向きが、ガイドリング6の周りを巡るような状態に配向されており、引張応力に対抗する状態に配向されている。この場合には、図示してはいないが、強化繊維cの向きが、六角形を描くように配向されていてもよい。
【0043】
釣り糸用ガイド3は、足部7cを所定位置に載置して、取付具としての取付用の糸aによって、竿素材に取付固定される。取付用の糸aの上から樹脂塗料(図示してはいない)を塗布して、取付状態が固定される。
【0044】
〔第1実施形態の別実施形態〕
ネジの形態としては、三角ネジ、角ネジ等の各種のネジを使用することができ、或いは、通常のネジではなく、ピッチの比較的大きな螺旋状の突条を円周方向の60°〜140°の範位に形成し、ガイド本体側に形成し、ガイドリング側にその突条に係合する螺旋溝を形成する方法を取ってもよい。
【0045】
〔第2実施形態〕
ここでは、ガイドリング6をガイド本体7に対して、圧入によって押込み装着する構成を説明する。図14に示すように、ガイドリング6をフランジ部6Bと、そのフランジ部6Bの先端側に形成してある筒状ボス部6Cとで構成してある。図中6Aは釣り糸挿通用の孔である。
ここでは、第1実施形態のように、ネジ部を形成するのではなく、筒状ボス部6Cの先端近くに環状鍔部6fを突出させてある。この環状鍔部6fが請求項3に記載する係合突起である。
一方、ガイド本体7にはガイドリング6を取付る取付用孔7Fが形成してあり、その取付用孔7Fの軸線方向の一部に、取付用孔7Fの内径より大径の環状凹入部7Gが形成してある。この環状凹入部7Gが請求項3に記載する係合凹部である。
このような構成のものにおいて、ガイドリング6を取付用孔7F内に圧入すると、ガイドリング6の環状鍔部6fが取付用孔7Fの環状凹入部7G内に嵌入して、ガイドリング6が取付用孔7Fに装着される。
【0046】
係合突起としての環状鍔部6fの外径D1を係合凹部として環状凹入部7Gの両側方に位置する両側端縁の内径D2より大きく、かつ、環状凹入部7Gの底径より小さく形成し、環状鍔部6fを環状凹入部7G内に前記両側端縁に抗して押入しようとすると、両側端縁が弾性的に変形して拡径して環状鍔部6fの嵌入を許容し、環状凹入部7Gに係合させることができる。環状鍔部6fを環状凹入部7Gに嵌合させてガイドリング6をガイド本体7に取り付けた状態で、前記ガイドリングを前記ガイド本体7に対して相対回転自在な緩係合状態に構成してある。
【0047】
つまり、ガイドリング6が取付用孔7Fに装着された状態で、ガイドリング6と取付用孔7Fとの間には、図14(b)に示すように、筒状ボス部6Cの外周面と取付用孔7Fの内周面との間に僅かに隙間hが生じ、ガイドリング6の環状鍔部6fと取付用孔7Fの環状凹入部7Gとの間にも僅かに隙間hが生ずるように、各部の寸法を設定してある。
【0048】
このような構成によって、ガイドリング6はガイド本体7に対して圧入、押出操作によって着脱自在でありながら、図14(b)に示すように、取付用孔7Fに装着した状態で、前記した隙間hによって、ガイドリング6はガイド本体7に対して自己の軸線Yを中心にして遊転することができる。そうすると、ガイドリング6は釣り糸をガイドする際に釣り糸の移動に連れて回転し、常に異なる部分が釣り糸に接触して案内することができる。これによって、ガイドリング6が常に同じ部分で釣り糸を案内することが少なくなり、ガイドリング6の案内面(内周面)が傷つくことが少なくなる。
図14(c)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける背面側には、細い切り込み溝6jが形成してあり、ガイドリング6を交換する場合には、この切り込み溝6jにドライバー等の適当な工具を差し入れてガイドリング6を取り外すことができる。
【0049】
〔第2実施形態の別実施形態〕
(1)環状鍔部6fと環状凹入部7Gとの形成対象を入れ替えてもよい。つまり、環状鍔部に相当する環状突条を取付用孔7Fに形成し、環状凹入部に相当するものをガイドリング6のボス部6Bに形成してもよい。
(2)環状鍔部6fの周方向における何箇所かの部分を切り離して、環状であることの代わりに、円周方向の複数箇所に、切り離された部分を係合突起として立設してもよい。
【0050】
〔第3実施形態〕
ここでは、ガイドリング6を押し込んで回転させると強く係合されて装着状態が固定される構造について説明する。図15に示すように、前記したガイドリング6では、フランジ部6Bとボス部6Cとを有する構造のものに形成したが、ここでは、ガイドリング6としては、文字通りリング体として構成する。そして、リング状のガイドリング6における180°対角位置に外向きに突出する係合ピン部6gを突設する。係合ピン部6gは円柱状のものである。ただし、係合ピン部6gは円筒状のものであってもよい。ガイドリング6の本体に係合ピン部6gを形成するには、係合ピン部6gとガイドリング本体とを別個に形成し、接着剤等の適当な接着手段によって取り付ける。ガイドリング本体側には、図示してはいないが、係合ピン部6gの基端部を埋め込み固定する凹入取付座を形成してあってもよい。
【0051】
一方、ガイド本体7には、図15(a)に示すように、ガイドリング6の取付用孔7Fにおける内周面側で軸線Yを挟んで180°対角位置に、係合用の凹入装着座7Hが形成してある。図15(b)に示すように、凹入装着座7Hには、取付用孔7Fにおける内周面から外周側に向けて一定の深さで入り込む凹入空間部Eが形成してある。凹入空間部Eは、ガイド本体7の厚み方向(図面上では下向き)に沿って立設されている第1壁7tと第1壁7tの奥側端から取付用孔7Fの内周面に沿って(図面上では右側に向けて)設けてある奥壁7uと、奥壁7uにおける第1壁7tとの接続部位とは反対側(図面上では右側端)において形成された円弧壁7x、円弧壁7xを延長した(図面上ではやや斜め上向きでかつ第1壁7t側に向けて近付くように延設した)内向き壁7yとで囲んで形成してある。内向き壁7yと第1壁7tとの間に、ガイドリング6の係合ピン部6gを導入する開口7zが形成してある。
【0052】
第1壁7tに沿って係合ピン部6gを開口7zから奥方向に誘導する導入空間部E1が形成されており、導入空間部E1と直交する状態で内向き壁7yと奥壁7uとで囲まれる装着空間部E2が形成されている。この導入区間部E1と装着空間部E2とで係合ピン部6gを誘導する凹入空間部Eを形成する。
装着空間部E2においては、円弧壁7xに近づく程内向き壁7yが奥壁7uに近づく幅の狭いものになっており、係合ピン部6gの外径に等しいかやや外径より小さな間隔に設定されている。
【0053】
以上のような構造によって、係合ピン部6gを開口7zより導入空間部E1内に挿入し、係合ピン部6gが奥壁7uに当接した状態で軸線Yを中心に右向きにガイドリング6を回転させると係合ピン部6gが内向き壁7yと奥壁7uとに案内されて装着空間部E2を円弧壁7xに対向する位置まで移動する。この状態で更に右向きに回転させると、係合ピン部6gが狭い空間をやや押し広げるように入って止まる。そうすると、係合ピン部6gは、奥壁7yと内向き壁7yとにきつく締付けられて、ガイドリング6の取付状態が固定される。
【0054】
図15(c)において示すように、内向き壁7yにおける円弧壁7xとの接続部位近くに、円弧状の凹入溝7vを形成してもよい。一方、係合ピン部6gに円弧状の突起部6hを設け、係合ピン部6gを円弧壁7x近くまで押し込んだ際に、突起部6hが凹入溝7vに係合して抜け止め力を向上させる。
【0055】
〔第3実施形態の別実施形態〕
(1)前記した第3実施形態においては、ガイドリング6に係合ピン部6gを形成し、ガイド本体7に凹入装着座7Hを形成したが、形成対象を入れ替えて、ガイドリング6に凹入装着座7Hを形成し、ガイド本体7に係合ピン部6gを形成してもよい。
(2)なお、ガイドリング6の形状としては、図16に示すように、第1、第2実施形態で示したフランジ部6Bとボス部6Cとを有する形状のものを採用し、ボス部6Cの外周面に二つの係合ピン部6gを形成してもよい。
また、ガイドリング6のフランジ部6Bの先端面6eに取付取り外し時に回転操作を容易にする為の細い切り込み溝6dが形成してある。この細い切り込み溝6dにドライバー等の適当な工具を差し込んで交換することができる。
【0056】
〔第4実施形態〕
前記第1実施形態から第3実施形態において記載した実施形態において、金属製のガイド芯材部7Bを内部に備えた釣り糸用ガイド3について説明する。ただし、図面上では第1実施形態に対応した状態でしか、記載していない。
図7及び図8(a)(b)に示すように、釣り糸用ガイド3は、釣糸挿通用の挿通孔6Aを形成しているガイドリング6と、そのガイドリング6を保持するガイド本体7とで構成し、ガイド本体7を、繊維強化樹脂製の外装部7Aと、その外装部7Aを被着する金属製のガイド芯材部7Bとで構成してある。
【0057】
外装部7Aは第1実施形態で記載したように、繊維強化樹脂の一例であるプリプレグ製であり、このプリプレグシートを積層することにより外装部7Aを形成する。
外装部7Aは、ガイドリング6の周囲に配置されてそのガイドリング6を保持する円盤状部分7aと、円盤状部分7aから細幅の状態に延出される中間接続部7bと、中間接続部7bと同じ横幅で延出される足部7cとで構成される点も、第1実施形態と同様である。
【0058】
円盤状部分7aには、図8(a)に示すように、ガイドリング6の釣糸挿通用の挿通孔6Aと同芯状に形成される取付用孔7Fが形成してある。
穂先竿1の外周面に載置される足部7cに対して、図7に示すように、略100°〜110°の角度(鈍角)αで中間接続部7bと円盤状部分7aが折り曲げ形成されており、竿素材より外向きに突出される中間接続部7bと円盤状部分7aとを、釣り糸が絡み付き難く、かつ、絡み付いても摺り抜け易い角度に設定してある点も、第1実施形態と同様である。ただし、必ずしも、前記した角度に限定されるものではない。
【0059】
外装部7Aによって被覆される金属製のガイド芯材部7Bは、円盤状部分7aから中間接続部7b内に位置しており、チタンバネ材をプレス等で打ち抜き加工して製造される。図8(b)に示すように、ガイド芯材部7Bは、円形状を呈しており、この円形状部分に釣り糸用挿通孔7hを形成している。
図8(a)においても、図示が省略されているが、図3(b)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける先端面6eに、工具差し込み用の細い切り込み溝6dが形成してあってもよい。
【0060】
ガイド芯材部7Bの構成としては、次のようなものであってもよい。図13(a)(b)に示すように、ガイド芯材部7Bの一部は外装部7Aを貫通して外部に表出している。つまり、ガイドリング6の中心を基準として、外装部7Aにおける中間接続部7bの存在側とは反対側において、ガイド芯材部7Bの一部に外装部7Aの外周面から表出する突起部7rが形成してあり、請求項7に記載する硬質体を構成する。硬質体としての突起部7rは外装部7Aの外周面と面一となる状態に形成してあり、釣り場等において地面に釣り竿を載置した場合にも、その外周面部分が直接他物と接触したり衝突したりすることを回避でき、外周面表面での繊維のササクレ等を回避できる、という効果を奏するものである。突起部7rは、外装部7Aの外周面と面一状態である必要はなく、突出していてもよい。
この突起部7rは、後記するカバー体7Cに相当する機能を有するものである。
【0061】
なお、チタンバネ材は、耐食性に優れ、かつ、環境に優しい金属である。機械的強度としては、JIS2種基準で、引っ張り強さが340〜510N/mm2であり、曲げ強度にも優れる。ただし、鉄鋼のように明確な降伏点を持ってはいないので、0.2%耐力を測定すると215N/mm2以上あるので、弾性限度が十分高いものであり、釣り糸用ガイドとして、大きな荷重を受けても元の姿勢に復帰する弾性力が大きい。
一方、ガイド芯材部7Bに使用される金属は、チタンバネ板以外に、アルミニュウム、ステンレスであってもよい。アルミニュウムの場合には、表面処理を施す。アルマイト加工、メッキ加工で表面処理を行い、塗装を施してもよい。
ガイドリング6は、第1実施形態で示したものと同様の構成である。
図13(a)においても、図示が省略されているが、図3(b)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける先端面6eに、工具差し込み用の細い切り込み溝6dが形成してあってもよい。
【0062】
ガイド芯材部7Bを導入した場合のガイド本体7の製造方法も第1実施形態で示したものと同様であり、次のようなものである。
(1)図17に示すように、チタンバネ材12でガイド芯材部7Bを形成する。
(2)図5に示すように、複数枚の半硬化状態のプリプレグシート9を外装部7Aの形状に裁断する。
(3)複数枚の外装部形状に裁断した半硬化状態のプリプレグシート9を重ね合せ、その内部にガイド芯材部用のチタンバネ材12を挟み込み、成形前の釣り用ガイド体3Cを形成する。
(4)図6に示すように、チタンバネ材を挟み込んだ成形前の釣り用ガイド体3Cを第1型11Aと第2型11Bとからなる真空型11内に装入し、プリプレグシートとチタンバネ材との密着強度を向上させる一次成形を施す。この際に、空気を巻き込まないように、ポンプPによって真空引きを行う。
(5)図6に示すように、一次成形を施された釣り用ガイド体3Cを真空型11とともに硬化炉10内に投入して、加熱硬化する。この場合にも、真空引きは継続する。この場合に、真空型から取り出した釣り用ガイド体3Cを単独で硬化炉10内に投入して、釣り用ガイド体3Cを成形加工してもよい。
(6)所定時間経過後で十分に冷却して成形品を取り出す。成形後は研削研磨加工等を行うことができる。
【0063】
〔第4実施形態の第1別実施形態〕
第4実施形態では、プリプレグ製の外装部7Aの一端を、ガイド芯材部7Bの一端より更に延出し、その延出部分を足部7cに構成していた。しかし、この第4実施形態の別実施形態においては、図9(a)(b)(c)に示すように、ガイド芯材部7Bの一端を、プリプレグ製の外装部7Aの一端より更に延出し、その延出部分を足部7cに構成する。
【0064】
ガイド芯材部7Bの足部7c部分とは反対側においてはガイドリング6を装着する円弧状部分7aが形成してある。なお、前記したように、ガイド芯材部7Bに使用される金属は、アルミニュウム、ステンレスであってもよい。アルミニュウムの場合には、表面処理を施す。アルマイト加工、メッキ加工で表面処理を行い、塗装を施してもよい。
【0065】
上記したようにチタンバネ板製のガイド芯材部7Bを延出して足部7cとしているので、第1実施形態のように、プリプレグ製の外装部7Aを延出して足部7cとしている場合に比べて、靭性が高く安定した取付状態を維持できる。
なお、足部7cの表面側に凹入部7fが形成してあり、この凹入部7fに取付用の糸aが嵌り込んで、取付用の糸aの位置ズレが少なくなるとともに、足部7cが凹入部7fを設けることによって変形しやすくなり、足部7cを竿素材の外周面に載置した際に、その外周面に馴染みやすい。
ただし、この凹入部7fについては特に設けなくともよい。足部7cを一定の厚みで形成してもよい。
また、図9(a)においても、図示が省略されているが、図3(b)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける先端面6eに、工具差し込み用の細い切り込み溝6dが形成してあってもよい。
【0066】
〔第4実施形態の第2別実施形態〕
プリプレグ製の外装部7Aと、その外装部7Aを被着する金属製のガイド芯材部7Bとで構成するに、外装部7Aをガイド芯材部7Bの竿先側及び竿尻側の両面に被覆する状態で施す形態について説明してきたが、竿先側か竿尻側の一方の面だけに施してもよい。
【0067】
つまり、図10(a)及び図17に示すように、金属製のガイド芯材部7Bで、円形状部分7e、中間接続部7b、足部7cに相当する部分を形成し、円形状部分7eの釣り糸用挿通孔にガイドリング6を装着し、釣り糸用挿通孔の周縁部に竿尻側から重ね合わせるように、板状のプリプレグ製外装部7Aを装着している。
このプリプレグ製外装部7Aは、前記した円形状部分7eに相当する範囲に限定された大きさで設けられている。
【0068】
また、図10(b)に示すように、プリプレグ製の外装部7Aと金属製のガイド芯材部7Bを、共に、円盤状部分7a(円形状部分7e)、中間接続部7b、足部7cを形成して同一形状を呈するものにして、竿先側に位置するプリプレグ製の外装部7Aと竿尻側に位置する金属製のガイド芯材部7Bとを重ね合わせて、釣り用ガイド3を形成してもよい。
このように、金属製のガイド芯材部7Bを外装部7Aで竿先側と竿尻側との両面で被覆する構成を採っていないので、重量増を招くことなく、剛性の高いプリプレグ製の外装部7Aと強靭な金属製のガイド芯材部7Bとの機能を併せ持った釣り糸用ガイド3を形成できた。
【0069】
図11に示すように、金属製のガイド芯材部7Bを略完全に被覆する状態に、プリプレグ製の外装部7Aを施してある。プリプレグ製の外装部7Aは、図10(b)に示すように、円盤状部分7a、中間接続部7b、足部7cを備えた形状に形成してあり、金属製のガイド芯材部7Bもプリプレグ製の外装部に沿った形状に形成してある。そして、足部7cにおいて、外装部7Aの竿素材に接する面とは反対側(図面上では下側)において、外装部7Aの一部を切り欠いてガイド芯材部7Bの金属部分が露出するように構成してもよい。これによって、足部7cでの剛性が緩和され、足部7cの竿素材への密着性が向上する。
【0070】
〔第5実施形態〕
次に、前記第1実施形態から第4実施形態において記載した実施形態において、硬質体としてのカバー体7Cを備えたものについて説明する。図12に示すように、カバー体7Cは半円弧状(略円周190°)を呈する金属製の部材であり、断面がチャンネル状を呈している。このチャンネル状の開口部分を外装部7Aの円盤状部分7aの外周面に被せてその外周面を被覆してある。図12に示すように、円盤状部分7aの外周面には、カバー体7Cのチャンネル状断面を被せる為の取付座7Dが形成してある。取付座7Dは、円盤状部分7aの竿先側面7mと竿元側面7nの外周縁部に段差部7kを形成したものである。このような取付座に対して、カバー体7Cにおけるチャンネル断面を囲む竿先側壁部分7pと,竿元側壁部分7qを、取付座7Dの段差部7kに載置することによって、カバー体7Cはガイド本体7の外装部7Aに装着される。カバー体7Cを取付座7Dに取り付けた状態で、カバー体7Cと竿先側面7m、竿元側面7nを含む円盤状部分7aの外面とが面一状態となるように構成されている。
【0071】
カバー体7Cの材料としては、チタン材が使用される。チタン材以外に、アルミニュウム、ステンレスであってもよい。アルミニュウムの場合には、表面処理を施す。アルマイト加工、メッキ加工で表面処理を行い、塗装を施してもよい。
なお、カバー体7Cとしては、前記した繊維強化樹脂よりも硬質の硬質体であればよいので、金属に限定されず、外装部7Aに使用されるマトリックス樹脂よりも硬質のものであれば、金属以外の硬質樹脂あるいはサーメット等の金属とセラミックとを混合した混合物であってもよい。
このカバー体7Cによって、請求項7記載の硬質体を形成し、釣り場等において置竿状態にしても釣り糸用ガイド3の外装部7Aが他物と接触しても保護できるような構成を採ることができる。
図12においても、図示が省略されているが、図3(b)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける先端面6eに、工具差し込み用の細い切り込み溝6dが形成してあってもよい。
【0072】
〔第5実施形態の第1別実施形態〕
(1)カバー体7Cの構造としては、次のようなものでもよい。前記カバー体7Cは、断面チャンネル形状を呈していたが、ここでは、アングル型の断面を有するものを提案する。図19を参考にして説明する。カバー体7Cは半円弧状(略円周190°)を呈する金属製の部材であり、断面がアングル状を呈している。このアングル状の開口部分を、外装部7Aの円盤状部分7aの外周面に竿先側面7mより被せてその外周面を被覆する。円盤状部分7aの外周面には、カバー体7Cのアングル状断面を被せる為の取付座7Dが形成してある。取付座7Dは、円盤状部分7aの竿先側面7mの外周縁部に段差部7kを形成したものである。このような取付座7Dに対して、カバー体7Cにおけるアングル断面を囲む竿先側壁部分7pと,先端側壁部分7sを、取付座7Dの段差部7kに載置することによって、カバー体7Cはガイド本体7の外装部7Aに装着される。カバー体7Cを取付座7Dに取り付けた状態で、カバー体7Cと竿先側面7m、竿元側面7nを含む円盤状部分7aの外面とが面一状態となるように構成されている。
図示してはいないが、円盤状部分7aにおける竿元側面7nの外周縁部に段差部7kを形成し、その段差部7kに前記カバー体7Cを装着してもよい。前記カバー体7Cの構成は、竿元側壁部分7qと先端側壁部分7sでなるアングル状のものである。つまり、竿元側壁部分7qを竿元側面7n側に装着することとなる。
【0073】
〔第6実施形態〕
第1実施形態から第5実施形態までは、足部7cは外装部7Aから一方側にのみ延出されて形成されていたが、ここでは、図18に示すように、二方向、つまり、竿先側と竿元側とに張り出す二股式の足部7cを備えた釣り糸用ガイド3を形成する。このように足部7cを二股状とすることによって、竿素材への取付状態が安定する。
【0074】
竿先側と竿尻側とに延出された足部7cにおける中間位置に設けた凹入部7iは、足部7cが竿素材表面に密着しやすくする為に設けたものであり、竿先側と竿尻側とに延出された足部7cの全面を竿素材表面に載置するように形成するよりも、足部7cが変形しやすく密着しやすい。
勿論、このように凹入部7iを形成することなく、足部7cの全面を竿素材表面に載置する構成を採ってもよい。
【0075】
この別実施形態においては、ガイドリング6をガイド本体7に対して着脱自在に構成する際に、第1実施形態で取り付けるもののように、ネジ式に取り付けるもの、第2実施形態のように、押込み圧入方式で取り付けるもの、或いは、第3実施形態で示すように、係合ピン方式で取り付けるものを採用してもよい。
また、ガイド本体7の構成にしても、第4実施形態で示すように、プリプレグ製の外装部7A内に、金属製のガイド芯材3Cを配置したものであってもよい。
【0076】
〔別実施形態〕
(1)ガイドリング6の材料としてセラミック等を使用することについて説明したが、チタンやアルミ等の金属を使用してもよい。
【0077】
(2)ガイド芯材部7Bの材料として、チタンバネ材やアルミ材等を挙げたが、形状記憶合金を使用してもよい。釣り糸用ガイド3に想定以上の荷重が掛かった場合に、ガイド芯材部7Bが変形してその荷重を吸収し、荷重が取り除かれた状態では元の姿勢に復帰するので、芯材として適切である。
【0078】
(3)外装部7Aを構成するプリプレグにおける強化繊維の配向方向としては、強度的に弱い部分を補強するように配向すべきであり、前記したようにガイドリング6の周りを巡るような配向方法に限定されない。
【0079】
(4)取付具として取付用の糸aで行っているが、取付用の糸aの代わりに樹脂テープを利用してもよい。更に、取付固定力を強力にするには、強化繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグをテープ状に形成したプリプレグテープを使用してもよい。
【0080】
(5)足部7cに対して中間接続部7b、及び、円盤状部分7aが、角度αで斜め前方に傾斜する姿勢に形成してあるが、足部7cに対して垂直な姿勢であってもよい。
【0081】
(6)外装部7Aを構成するプリプレグにおける強化繊維の配向方向としては、強度的に弱い部分を補強するように配向すべきであり、前記したようにガイドリング6の周りを巡るような配向方法に限定されない。
【0082】
(7)ガイドリング6の別実施形態について説明する。図20に示すように、ガイドリング6を、第1ガイドリング部分6Dと第2ガイドリング部分6Fとを組み合わせて構成する。
図20(a)に示すように、第1ガイドリング部分6Dを、フランジ部6Bとそのフランジ部6Bに一体形成されたボス部6Cとで構成する点は第1実施形態と同様である。ただし、ここでは、軸線位置に沿って形成した貫通孔6Eの内周面にテーパ雌ネジを刻設してある点が異なる。一方、第2ガイドリング部分6Fを、フランジ部6Bとそのフランジ部6Bに一体形成されたボス部6Cとで構成し、そのボス部6Cの外周面にテーパ雄ネジを形成する点は第1実施形態と同様である。そして、第2ガイドリング部分6Fのテーパ雄ネジを第1ガイドリング部分6Dのテーパ雌ネジに内嵌合させることによって、第1ガイドリング部分6Dと第2ガイドリング部分6Fを組み付けることができる。
以上のような構成になる第1ガイドリング部分6Dのボス部6Cを、図20(b)に示すように、ガイド本体7の取付用孔7F内に圧入して、ガイド本体7に第2ガイドリング部分6Dを固着する。この第1ガイドリング部分6Dに対して前記したように、第2ガイドリング部分6Fを螺着して、両ガイドリング部分6D、6Fのフランジ部6Aによって、ガイド本体7を挟み込む状態で取り付ける。
したがって、第2ガイドリング部分6Fの釣り糸挿通用の挿通孔6Gが損傷した場合には、第2ガイドリング部分6Fを取り替えることができる。
図20(c)に示すように、第2ガイドリング部分6Fのフランジ部6Bの先端面6eに取付取り外し時に回転操作を容易にする為の細い切り込み溝6dが形成してある。この細い切り込み溝6dにドライバー等の適当な工具を差し込んで交換することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本願発明は、ヤマメ釣り等に使用される、所謂、トラウトロッドと呼ばれているものについて説明したが、ルアー竿、及び、磯竿、その他釣り糸用ガイド3を必要とするすべての竿等にも適用でき、また、ガイド本体はプリプレグ製に限定することなく、ガイドリングのみ交換式とする釣り竿にも適用できる。
【符号の説明】
【0084】
3 釣り糸用ガイド
6 ガイドリング
6A 釣り糸挿通用の挿通孔
6f 環状鍔部(係合突起)
6g 係合ピン部
7 ガイド本体
7A 外装部
7B ガイド芯材部
7C カバー体(硬質体)
7F 取付用孔
7G 環状凹入部(係合凹部)
7H 凹入装着座
7b 中間接続部
7c 足部
7z 開口
D1 係合突起の外径
D2 係合凹部の両側端縁の内径
D3 係合凹部の底径
E 凹入空間部
E1 導入空間部
E2 装着空間部
a 取付具
c 強化繊維
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールから繰り出された釣り糸をガイドする釣り糸用ガイド及び釣り竿に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り糸用ガイドは、ガイド本体に形成された保持環内にガイドリングを装着して構成されている。ガイドリングは炭化ケイ素等のセラミックを材料として形成され、保持環は、ガイド本体と同様の金属で構成されていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−273443号公報(段落番号〔0017〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガイドリングと保持環との関係は、一旦、ガイドリングを保持環に装着した後には、ガイドリングを取り外すことは考えてはなかった。寧ろ、ガイドリングが釣りの途中で保持環より外れることを抑制する為にキツク装着することに主眼を置いていた。
しかし、ガイドリングとして硬質のセラミック等を材料としていても、長年の使用の間にはガイドリングの同じ部位を釣り糸が摺接通過する為に、その部位に通過跡が形成され、その部分が深くなると通過跡によって摺接する釣り糸が切断されるといった事態も起こり得ることともなっていた。
また、釣り糸との摺接以外の原因として、磯等での置き竿によってガイドリングが他物に接触等することによって傷つくこともあり、ガイドリングを取り替える必要があるが、従来構成では取り替えられるようには、なっていなかった。
そこで、従来では、釣り糸ガイドを釣り竿より取り外して、釣り糸ガイドそのものを取り替えることとしていた。
【0005】
本発明の目的は、ガイドリングが傷ついた場合にも迅速に対応でき、かつ、軽量なガイドリングに適時交換することにより釣り人は軽量な竿を気軽に使用することができる釣り糸用ガイド及び釣り竿を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、釣糸挿通用の挿通孔を形成しているガイドリングと、前記ガイドリングに対する取付用孔を形成したガイド本体とで構成し、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面とに亘って着脱機構を形成し、前記ガイドリングを前記ガイド本体に対して着脱自在に構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用効果〕
つまり、ガイドリングが何らかの理由で傷ついた場合にも、着脱機構の機能を利用して傷ついたガイドリングを取り外すことができ、新しいガイドリングを新たに装着できる。
しかも、新しいガイドリングを取り付ける際に、ガイド本体を竿体より取り外す必要はなく、釣り場で取付替えが行え、釣り人に採っても使い易いものとなる。
しかも、ガイドリング自体についても軽量なものと取り替えることができ、それによって、釣り竿が軽量化し、釣り人は軽量化された釣り竿を気軽に使用できるものである。
【0008】
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部に形成された雌ネジ部と、前記ガイドリングの外周面に形成された雄ネジ部とで構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0009】
〔作用効果〕
つまり、請求項1に記載した作用効果に加えて、ガイドリングはネジ部を介してガイド本体に取付られているので、ガイドリングを適当な治具を利用して緩め操作するだけで取り外すことができ、締め込み操作するだけで新たなガイドリングを取り付けることができる。
【0010】
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との一方に形成された係合突起と、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との他方に形成された係合凹部とで構成され、前記係合突起の外径を前記係合凹部の両側端縁の内径より大きく、かつ、前記係合凹部の底径より小さく形成し、前記係合突起を前記係合凹部内に前記両側端縁に抗して押入して係合させ前記ガイドリングを前記ガイド本体に取り付けた状態で、前記ガイドリングを前記ガイド本体に対して相対回転自在な緩係合状態に構成してある請求項1記載の釣り用ガイド。
【0011】
〔作用効果〕
係合突起の外径を前記係合凹部の両側端縁の内径より大きくしてあるが、ガイドリングを取付用孔に装着する為に、そのガイドリングを押し込み操作すると、取付用孔の側端縁がその押し込み力によって弾性的にやや拡径し、ガイドリングを係合凹部内に誘導できる。係合突起の外径は係合凹部の底径より小であるので、ガイドリングはガイド本体に対して相対回転可能な状態になっている。
そうすると、ガイドリングは相対回転するので、常に釣り糸がガイドリングの特定部位に接触することは回避でき、その特定部位に摺接跡が付くといったことを回避できる。
【0012】
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との一方に形成された係合ピン部と、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との他方に形成された凹入装着座とで構成され、前記凹入装着座に、前記係合ピン部を開口から奥方向に誘導する導入空間部と、その導入空間部の奥端から直交する方向に前記係合ピン部を導入する装着空間部とからなる凹入空間部を形成し、前記装着空間部における前記係合ピン部を挟み込む壁面の間隔を、前記係合ピン部の外径と同一か又は小さい間隔に徐々に縮小する状態に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0013】
〔作用効果〕
つまり、係合ピン部を開口から導入空間部内に挿入し、その導入空間内に挿入した係合ピン部を装着空間部内に移動させるように、ガイドリングを相対回転させると、係合ピン部は装着空間内に入って最終的には両壁面によって挟み込まれて止まり、それによって、ガイドリングがガイド本体に装着される。
【0014】
請求項5に係る発明の特徴構成は、前記ガイド本体が、繊維強化樹脂で構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0015】
〔作用効果〕
つまり、従来のように、ガイド本体が金属で形成されていた場合に比べて樹脂製であるので軽量化が達成できるとともに、単なる樹脂ではなく繊維で強化されているので、金属に相当する強度は発揮できないまでも、釣り糸ガイドとして十分機能するものを提供できた。
【0016】
請求項6に係る発明の特徴構成は、前記ガイド本体を繊維強化樹脂製の外装部とその外装部内に装入される金属製のガイド芯材部とで構成してある構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0017】
〔作用効果〕
釣り糸用ガイドとして、繊維強化樹脂製の外装部を備えたものとした。これによって、金属のみで形成していた従来の釣り糸用ガイドに比較して、金属が占める体積を小さくでき、軽量化を達成することができた。
ただし、釣り糸用ガイド全体を繊維強化樹脂で構成した場合には、剛性が高くなり過ぎて、強靭性に欠ける面がある。
そこで、繊維強化樹脂製の外装部と金属製のガイド芯材部とを組み合わせて、両者でガイド本体を構成した。
このような構成によって、金属製の釣り糸用ガイドを単に薄くして軽量化を図った場合に比べて機械的強度も十分確保できた。
金属製ガイド芯材部と繊維強化樹脂製の外装部とのハイブリッド構成を採ることによって、ガイド本体を構成したので、金属のみで形成した場合に比べて軽量化が達成でき、かつ、強度的にも安定した釣り糸用ガイドを提供できるに至った。
【0018】
〔構成〕
請求項7に係る発明の特徴構成は、前記ガイド本体に繊維強化樹脂製の外装部を備え、前記外装部における前記ガイドリングを保持する部分の外周面に、前記繊維強化樹脂より硬質の硬質体を設け、前記外周面と面一か又は突出する状態に前記硬質体を装着している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0019】
〔作用効果〕
釣り糸用ガイドとして、繊維強化樹脂製の外装部を備えたものとした。これによって、金属のみで形成していた従来の釣り糸用ガイドに比較して、金属が占める体積を小さくでき、軽量化を達成することができた。
しかも、前記外装部における前記ガイドリングを保持する部分の外周面に、前記繊維強化樹脂より硬質の硬質体を配置した。このことによって、繊維強化樹脂部分が表出する前記ガイドリングを保持する部分において、硬質体によって外周面が保護されることとなり、釣り場等において地面に釣り竿を載置した場合にも、その外周面部分が直接他物と接触したり衝突したりすることを回避でき、外周面表面での繊維のササクレ等を回避できる。
繊維強化樹脂製の外装部によって、ガイド本体を構成したので、金属のみで形成した場合に比べて軽量化が達成できながら、繊維強化樹脂製の外装部の外周面が表出して他物と接触することによって繊維のササクレ等の不都合が発生するのを、その繊維強化樹脂よりも硬質の硬質体を外周面に設けることによって、効果的にそのような事象を抑制した釣り糸用ガイドを提供できるに至った。
【0020】
〔構成〕
請求項8に係る発明の特徴構成は、前記硬質体が、前記外装部における前記ガイドリングを保持する部分の外周面を被覆する金属製のカバー体である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0021】
〔作用効果〕
金属製のカバー体によって外周面が保護されることとなり、釣り場等において地面に釣り竿を載置した場合にも、その外周面部分が直接他物と接触したり衝突したりすることを回避でき、外周面表面での繊維のササクレ等を回避できる。
しかも、繊維強化樹脂のみでガイド本体を構成する場合よりも、ガイドリングを保持する部分を金属カバー体で強化できるので、釣り用ガイドに強靭性を付与して、剛性が大きくなり過ぎることを抑制でき、釣り竿への取付状態が安定する釣り糸用ガイドを提供できる。
【0022】
〔構成〕
請求項9に係る発明の特徴構成は、前記ガイド本体を繊維強化樹脂製の外装部とその外装部内に装入される金属製のガイド芯材部とで構成し、前記硬質体を金属製のガイド芯材部の一部で構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0023】
〔作用効果〕
ガイド本体を繊維強化樹脂のみで構成すると剛性が勝ち過ぎて脆さが強調されるが、ガイド本体の内部に金属製のガイド芯材部を装入することによって、釣り糸用ガイドに強靭性をも付与でき、釣り用ガイドの釣り竿に対する取付姿勢が安定する。
しかも、金属製のガイド芯材部の一部を前記繊維強化樹脂製の外装部を貫通させて前記外周面より表出させてあるので、釣り場等において地面に釣り竿を載置した場合にも、その外周面部分が直接他物と接触したり衝突したりすることを回避でき、外周面表面での繊維のササクレ等を回避できる。
さらに、金属製のガイド芯材の一部を突出させて硬質体に形成しているので、硬質体として別個の部材を採りいれる必要はなく、部品の兼用化が可能である。
【0024】
〔構成〕
請求項10に係る発明の特徴構成は、前記繊維強化樹脂製の外装部の一端よりその外装部に被覆されている金属製のガイド芯材部の一端を延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0025】
〔作用効果〕
竿素材に取付固定される足部を、ガイド芯材部を延出して構成しているので、足部を繊維強化樹脂製の外装部で構成する場合に比べて強靭さを強化することができ、釣り糸用ガイドを安定して取付固定できる。
一方では、繊維強化樹脂製の外装部から金属製のガイド芯材が表出して足部を形成しているので、従来の金属製釣り糸用ガイドと同様の取付固定状態を釣り人に印象付けることができ、安定感を醸し出すことができる。
【0026】
〔構成〕
請求項11に係る発明の特徴構成は、前記繊維強化樹脂がプリプレグである点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0027】
〔作用効果〕
これによって、釣り糸用ガイドが竿素材と同様の材料で構成されることとなり、材料の兼用化が可能になり、製造上も効果は大である。
【0028】
〔構成〕
請求項12に係る発明の特徴構成は、前記プリプレグ製の外装部における前記ガイドリングを保持する部分と前記足部との間に中間接続部を形成し、前記中間接続部を複数枚のプリプレグを重ね合わせて形成し、前記複数枚のプリプレグにおける少なくとも一枚については、前記中間接続部におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記足部から前記ガイドリングに向かう方向に合せ、かつ、前記ガイドリングを保持する部分におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記ガイドリングの外周に沿った状態に合わせてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0029】
〔作用効果〕
このような強化繊維の配置構成を採ることにより、引張力が作用する部分の補強効果を図ることができ、プリプレグ製の釣り糸用ガイドとして安定して釣り糸ガイド機能を発揮するものを提供することができた。
【0030】
〔構成〕
請求項13に係る発明の特徴構成は、前記ガイドリングが炭化ケイ素製である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0031】
〔作用効果〕
ガイドリングが炭化ケイ素製の、摩耗に強いセラミック等を使用しているので、釣り糸から摺動作用を受けて、摩耗磨滅が少ない。
【0032】
〔構成〕
請求項14に係る発明の特徴構成は、請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイドを備えた釣り竿である点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0033】
〔作用効果〕
釣り糸用ガイドは、プリプレグで製作されることによって金属製に比べて軽量化が達成でき、かつ、プリプレグと金属との複合化によって、スムースな曲がりを呈する、捌き易い釣り竿とできた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】トラウトロッドを示す側面図である。
【図2】第1実施形態の釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す側面図である。
【図4】第1実施形態の釣り糸用ガイドを示す正面図である。
【図5】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、プリプレグ製の外装部を示す平面図である。
【図6】釣り糸用ガイドの製造工程を示し、図5或いは図5の外装部と図16に示す金属製のガイド芯材部に使用するチタンバネ材とを重ね合わせたものを、真空型内に設置して接着一体化する加工を施している状態を示す側面図である。
【図7】第4実施形態の釣り糸用ガイドを穂先竿に取付た状態を示す側面図である。
【図8】(a)第4実施形態の釣り糸用ガイドを示す正面図、(b)ガイド芯材を示す正面図である。
【図9】(a)第4実施形態の第1別実施形態の釣り糸用ガイドを示す正面図、(b)第4実施形態の第1別実施形態の釣り糸用ガイドのガイド芯材を示す正面図、(c)第4実施形態の第1別実施形態の釣り糸用ガイドを穂先竿に取り付けた状態を示す縦断側面図である。
【図10】金属製のガイド芯材部がプリプレグ製の外装部に被覆されていない構造のものを示し、(a)金属製のガイド芯材部に、竿尻側から釣り糸挿通用孔の近辺に重ね合わせるように、板状のプリプレグ製外装部を装着している状態を示す縦断側面図、(b)板状のプリプレグ製外装部に金属製のガイド芯材部を竿尻側から重ね合わせ装着している状態を示す縦断側面図である。
【図11】金属製のガイド芯材部を略完全に被覆する状態に、プリプレグ製の外装部を施してある釣り糸用ガイドを示す縦断側面図である。
【図12】第4実施形態の釣り糸用ガイドにカバー体を装着する前の状態を示す斜視図である。
【図13】(a)第4実施形態の釣り糸用ガイドを示す正面図、(b)ガイド芯材を示す正面図である。
【図14】第2実施形態の釣り糸用ガイドを示し、(a)ガイドリングをガイド本体に装着する前の状態を示す縦断側面図、(b)ガイドリングをガイド本体に装着した状態を示す縦断側面図、(c)図14(a)におけるc−c断面図である。
【図15】第3実施形態の釣り糸用ガイドを示し、(a)ガイドリングをガイド本体に装着する前の状態を示す斜視図、(b)ガイドリングをガイド本体に装着する前の状態を示し、ガイド本体に凹入装着座を形成した状態を示す斜視図、(c)ガイド本体の凹入装着座の別実施構造を示す斜視図である。
【図16】図15に示すガイドリングの別実施形態を示す斜視図である。
【図17】釣り糸用ガイドの製造工程を示すもので、ガイド芯材部を示す平面図である。
【図18】足部が二股になっている釣り用ガイドの別実施構造を示す縦断側面図である。
【図19】(a)カバー体の別実施構造を示す斜視図、(b)カバー体を外装部に取付た状態を示す縦断側面図である。
【図20】(a)ガイドリングを第1、第2ガイドリング部分から構成したもので、組み付ける前の状態を示す別実施構造の縦断側面図、(b)第1、第2ガイドリング部分をガイド本体に組み付けた状態を示す縦断側面図、(c)第2ガイドリング部分を取り外す際にドライバー等の工具を差し込む溝を形成してある状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔第1実施形態〕
ヤマメや岩魚等を釣る際に使用される釣り竿Aについて説明する。図1に示すように、釣り竿Aは、穂先竿1の先端にトップガイド2を取り付けるとともに、穂先竿1の中間位置に釣り糸用ガイド3を取付固定し、竿元側に並継式に継合された元竿4を配置し、元竿4にスピンニングリールBを装着するリールシート5を取り付けて、構成してある。
【0036】
尚、釣り竿Aを構成する穂先竿及び元竿は次のように製作される。つまり、炭素繊維等の強化繊維を一方向に引き揃え、その引き揃え強化繊維群にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(又は熱可塑性樹脂)を含浸させて、プリプレグシートを形成する。このプリプレグシートを所定の形状に裁断したものをマンドレルに巻回し、複数層に形成したものをマンドレルに巻回した状態で炉に入れて焼成し、焼成後マンドレルを脱芯して円筒状の竿素材を取り出しその竿素材を所定長に裁断して、仕上加工を施し竿体とする。
プリプレグを構成する強化繊維としては、具体的には、炭素繊維以外にガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維等が使用でき、樹脂としては、エポキシ樹脂の他に、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂やPV(E)等の熱可塑性樹脂が使用できる。また、プリプレグとしては、織り物に樹脂を含浸させて構成したものであってもよい。
【0037】
釣り糸用ガイド3について説明する。図2〜図4に示すように、釣り糸用ガイド3は、釣糸挿通用の挿通孔6Aを形成しているガイドリング6と、そのガイドリング6を保持するガイド本体7とで構成してある。
ガイド本体7は繊維強化樹脂の一例であるプリプレグ製であり、前記した竿素材を形成するプリプレグと同様のものである。前記した炭素繊維等の強化繊維cを繊維の長手方向に沿って配置し、その炭素繊維群にエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて、プリプレグシートを形成する。このプリプレグシートを積層することによりガイド本体7を形成する。
【0038】
ガイド本体7は、ガイドリング6の周囲に配置されてそのガイドリング6を保持する円盤状部分7aと、円盤状部分7aから細幅の状態に延出される中間接続部7bと、中間接続部7bと同じ横幅で延出される足部7cとで構成される。
穂先竿1の外周面に載置される足部7cに対して、図3に示すように、略100°〜110°の角度(鈍角)αで中間接続部7bと円盤状部分7aが折り曲げ形成されており、竿素材より外向きに突出される中間接続部7bと円盤状部分7aとを、釣り糸が絡み付き難く、かつ、絡み付いても摺り抜け易い角度に設定してある。
中間接続部7bに形成されているのは、軽量化等を目的として抜き孔7Eであり、円盤状部分7aには、ガイドリング6の取付用孔7Fが形成されており、取付用孔7Fには、ガイドリング取付用の雌ネジが形成してある。
【0039】
ガイドリング6は、外形として円形を呈するフランジ部6Bとそのフランジ部6Bより小径で軸線方向に沿って延出された筒状ボス部6Cとを備えている。筒状ボス部6Cの外周面には雄ねじが形成され、その雄ネジをガイド本体7の取付用孔7Fの雌ネジに螺着することによって、ガイドリング6をガイド本体7に対して着脱自在な構成とすることができる。なお、ネジ形状は、筒状ボス部6Cの先端に向けてやや細径化するテーパネジに形成してある。ただし、一定の径を維持する通常のネジ形態を採ってもよい。
このようにガイドリング6はネジを介して着脱自在に構成されているが、図3(b)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける先端面6eには、細い切り込み溝6dが形成してあり、この切り込み溝6dは、ガイドリング6を締め込む際にドライバー等の治具の先端を差し込む補助機構の機能を果たしている。
【0040】
ガイドリング6としては、セラミックが主として使用され、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア等が材料として選定され、サーメット等の金属とセラミックの合成物も使用される。耐摩耗性の高い材料であれば使用可能である。
サーメットは、金属炭化物や金属窒化物などの硬質化合物の粉末を金属の結合材と混合して焼結した複合材料であり、耐熱性や耐摩耗性が高い。これらに対するネジの刻設作業は、機械加工、型成形等によって行われる。
上記したセラミック以外に、アルミニュウムやチタン等の軽量金属も使用できる。それらを使用する場合には、炭化ケイ素等に比べて軽量となり、交換も容易であるので、釣り人は軽量な竿を気軽に使用することができる。ただし、アルミニュウム等に対しては、耐摩耗性を高める為に、釣り糸を誘導する挿通用孔の表面等にアルマイト処理等を施すことが好ましい。
【0041】
次に、釣り糸用ガイド3の製造について説明する。
(1)図5に示すように、複数枚の半硬化状態のプリプレグシート9をガイド本体7の形状に裁断する。
(2)複数枚のガイド本体7の形状に裁断した半硬化状態のプリプレグシート9を重ね合せる。
(3)次に、重ね合わせたプリプレグシート9の積層体3Cを図6に示す第1型11Aと第2型11Bとからなる真空型11内に装入し、プリプレグシート9同士の密着強度を向上させる一次成形を施す。この際に、空気を巻き込まないように、ポンプPによって真空引きを行う。
(4)図6に示すように、一次成形を施す第1型11Aと第2型11Bとに挟み込まれた状態で硬化炉10内に投入して、加熱硬化する。この場合にも、真空引きは継続する。
(5)所定時間経過後で十分に冷却して成形品を取り出す。成形後は研削研磨加工等を行うことができる。
(6)ただし、図示していないが、真空型11内で真空成型した後に、型成形したガイド本体7の原形を取り出して、硬化炉10内に投入して加熱硬化させる構成を採ってもよい。
【0042】
以上のように成形された釣り糸用ガイド3においては、図4に示すように、プリプレグによる強化繊維cの向きが、ガイドリング6の周りを巡るような状態に配向されており、引張応力に対抗する状態に配向されている。この場合には、図示してはいないが、強化繊維cの向きが、六角形を描くように配向されていてもよい。
【0043】
釣り糸用ガイド3は、足部7cを所定位置に載置して、取付具としての取付用の糸aによって、竿素材に取付固定される。取付用の糸aの上から樹脂塗料(図示してはいない)を塗布して、取付状態が固定される。
【0044】
〔第1実施形態の別実施形態〕
ネジの形態としては、三角ネジ、角ネジ等の各種のネジを使用することができ、或いは、通常のネジではなく、ピッチの比較的大きな螺旋状の突条を円周方向の60°〜140°の範位に形成し、ガイド本体側に形成し、ガイドリング側にその突条に係合する螺旋溝を形成する方法を取ってもよい。
【0045】
〔第2実施形態〕
ここでは、ガイドリング6をガイド本体7に対して、圧入によって押込み装着する構成を説明する。図14に示すように、ガイドリング6をフランジ部6Bと、そのフランジ部6Bの先端側に形成してある筒状ボス部6Cとで構成してある。図中6Aは釣り糸挿通用の孔である。
ここでは、第1実施形態のように、ネジ部を形成するのではなく、筒状ボス部6Cの先端近くに環状鍔部6fを突出させてある。この環状鍔部6fが請求項3に記載する係合突起である。
一方、ガイド本体7にはガイドリング6を取付る取付用孔7Fが形成してあり、その取付用孔7Fの軸線方向の一部に、取付用孔7Fの内径より大径の環状凹入部7Gが形成してある。この環状凹入部7Gが請求項3に記載する係合凹部である。
このような構成のものにおいて、ガイドリング6を取付用孔7F内に圧入すると、ガイドリング6の環状鍔部6fが取付用孔7Fの環状凹入部7G内に嵌入して、ガイドリング6が取付用孔7Fに装着される。
【0046】
係合突起としての環状鍔部6fの外径D1を係合凹部として環状凹入部7Gの両側方に位置する両側端縁の内径D2より大きく、かつ、環状凹入部7Gの底径より小さく形成し、環状鍔部6fを環状凹入部7G内に前記両側端縁に抗して押入しようとすると、両側端縁が弾性的に変形して拡径して環状鍔部6fの嵌入を許容し、環状凹入部7Gに係合させることができる。環状鍔部6fを環状凹入部7Gに嵌合させてガイドリング6をガイド本体7に取り付けた状態で、前記ガイドリングを前記ガイド本体7に対して相対回転自在な緩係合状態に構成してある。
【0047】
つまり、ガイドリング6が取付用孔7Fに装着された状態で、ガイドリング6と取付用孔7Fとの間には、図14(b)に示すように、筒状ボス部6Cの外周面と取付用孔7Fの内周面との間に僅かに隙間hが生じ、ガイドリング6の環状鍔部6fと取付用孔7Fの環状凹入部7Gとの間にも僅かに隙間hが生ずるように、各部の寸法を設定してある。
【0048】
このような構成によって、ガイドリング6はガイド本体7に対して圧入、押出操作によって着脱自在でありながら、図14(b)に示すように、取付用孔7Fに装着した状態で、前記した隙間hによって、ガイドリング6はガイド本体7に対して自己の軸線Yを中心にして遊転することができる。そうすると、ガイドリング6は釣り糸をガイドする際に釣り糸の移動に連れて回転し、常に異なる部分が釣り糸に接触して案内することができる。これによって、ガイドリング6が常に同じ部分で釣り糸を案内することが少なくなり、ガイドリング6の案内面(内周面)が傷つくことが少なくなる。
図14(c)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける背面側には、細い切り込み溝6jが形成してあり、ガイドリング6を交換する場合には、この切り込み溝6jにドライバー等の適当な工具を差し入れてガイドリング6を取り外すことができる。
【0049】
〔第2実施形態の別実施形態〕
(1)環状鍔部6fと環状凹入部7Gとの形成対象を入れ替えてもよい。つまり、環状鍔部に相当する環状突条を取付用孔7Fに形成し、環状凹入部に相当するものをガイドリング6のボス部6Bに形成してもよい。
(2)環状鍔部6fの周方向における何箇所かの部分を切り離して、環状であることの代わりに、円周方向の複数箇所に、切り離された部分を係合突起として立設してもよい。
【0050】
〔第3実施形態〕
ここでは、ガイドリング6を押し込んで回転させると強く係合されて装着状態が固定される構造について説明する。図15に示すように、前記したガイドリング6では、フランジ部6Bとボス部6Cとを有する構造のものに形成したが、ここでは、ガイドリング6としては、文字通りリング体として構成する。そして、リング状のガイドリング6における180°対角位置に外向きに突出する係合ピン部6gを突設する。係合ピン部6gは円柱状のものである。ただし、係合ピン部6gは円筒状のものであってもよい。ガイドリング6の本体に係合ピン部6gを形成するには、係合ピン部6gとガイドリング本体とを別個に形成し、接着剤等の適当な接着手段によって取り付ける。ガイドリング本体側には、図示してはいないが、係合ピン部6gの基端部を埋め込み固定する凹入取付座を形成してあってもよい。
【0051】
一方、ガイド本体7には、図15(a)に示すように、ガイドリング6の取付用孔7Fにおける内周面側で軸線Yを挟んで180°対角位置に、係合用の凹入装着座7Hが形成してある。図15(b)に示すように、凹入装着座7Hには、取付用孔7Fにおける内周面から外周側に向けて一定の深さで入り込む凹入空間部Eが形成してある。凹入空間部Eは、ガイド本体7の厚み方向(図面上では下向き)に沿って立設されている第1壁7tと第1壁7tの奥側端から取付用孔7Fの内周面に沿って(図面上では右側に向けて)設けてある奥壁7uと、奥壁7uにおける第1壁7tとの接続部位とは反対側(図面上では右側端)において形成された円弧壁7x、円弧壁7xを延長した(図面上ではやや斜め上向きでかつ第1壁7t側に向けて近付くように延設した)内向き壁7yとで囲んで形成してある。内向き壁7yと第1壁7tとの間に、ガイドリング6の係合ピン部6gを導入する開口7zが形成してある。
【0052】
第1壁7tに沿って係合ピン部6gを開口7zから奥方向に誘導する導入空間部E1が形成されており、導入空間部E1と直交する状態で内向き壁7yと奥壁7uとで囲まれる装着空間部E2が形成されている。この導入区間部E1と装着空間部E2とで係合ピン部6gを誘導する凹入空間部Eを形成する。
装着空間部E2においては、円弧壁7xに近づく程内向き壁7yが奥壁7uに近づく幅の狭いものになっており、係合ピン部6gの外径に等しいかやや外径より小さな間隔に設定されている。
【0053】
以上のような構造によって、係合ピン部6gを開口7zより導入空間部E1内に挿入し、係合ピン部6gが奥壁7uに当接した状態で軸線Yを中心に右向きにガイドリング6を回転させると係合ピン部6gが内向き壁7yと奥壁7uとに案内されて装着空間部E2を円弧壁7xに対向する位置まで移動する。この状態で更に右向きに回転させると、係合ピン部6gが狭い空間をやや押し広げるように入って止まる。そうすると、係合ピン部6gは、奥壁7yと内向き壁7yとにきつく締付けられて、ガイドリング6の取付状態が固定される。
【0054】
図15(c)において示すように、内向き壁7yにおける円弧壁7xとの接続部位近くに、円弧状の凹入溝7vを形成してもよい。一方、係合ピン部6gに円弧状の突起部6hを設け、係合ピン部6gを円弧壁7x近くまで押し込んだ際に、突起部6hが凹入溝7vに係合して抜け止め力を向上させる。
【0055】
〔第3実施形態の別実施形態〕
(1)前記した第3実施形態においては、ガイドリング6に係合ピン部6gを形成し、ガイド本体7に凹入装着座7Hを形成したが、形成対象を入れ替えて、ガイドリング6に凹入装着座7Hを形成し、ガイド本体7に係合ピン部6gを形成してもよい。
(2)なお、ガイドリング6の形状としては、図16に示すように、第1、第2実施形態で示したフランジ部6Bとボス部6Cとを有する形状のものを採用し、ボス部6Cの外周面に二つの係合ピン部6gを形成してもよい。
また、ガイドリング6のフランジ部6Bの先端面6eに取付取り外し時に回転操作を容易にする為の細い切り込み溝6dが形成してある。この細い切り込み溝6dにドライバー等の適当な工具を差し込んで交換することができる。
【0056】
〔第4実施形態〕
前記第1実施形態から第3実施形態において記載した実施形態において、金属製のガイド芯材部7Bを内部に備えた釣り糸用ガイド3について説明する。ただし、図面上では第1実施形態に対応した状態でしか、記載していない。
図7及び図8(a)(b)に示すように、釣り糸用ガイド3は、釣糸挿通用の挿通孔6Aを形成しているガイドリング6と、そのガイドリング6を保持するガイド本体7とで構成し、ガイド本体7を、繊維強化樹脂製の外装部7Aと、その外装部7Aを被着する金属製のガイド芯材部7Bとで構成してある。
【0057】
外装部7Aは第1実施形態で記載したように、繊維強化樹脂の一例であるプリプレグ製であり、このプリプレグシートを積層することにより外装部7Aを形成する。
外装部7Aは、ガイドリング6の周囲に配置されてそのガイドリング6を保持する円盤状部分7aと、円盤状部分7aから細幅の状態に延出される中間接続部7bと、中間接続部7bと同じ横幅で延出される足部7cとで構成される点も、第1実施形態と同様である。
【0058】
円盤状部分7aには、図8(a)に示すように、ガイドリング6の釣糸挿通用の挿通孔6Aと同芯状に形成される取付用孔7Fが形成してある。
穂先竿1の外周面に載置される足部7cに対して、図7に示すように、略100°〜110°の角度(鈍角)αで中間接続部7bと円盤状部分7aが折り曲げ形成されており、竿素材より外向きに突出される中間接続部7bと円盤状部分7aとを、釣り糸が絡み付き難く、かつ、絡み付いても摺り抜け易い角度に設定してある点も、第1実施形態と同様である。ただし、必ずしも、前記した角度に限定されるものではない。
【0059】
外装部7Aによって被覆される金属製のガイド芯材部7Bは、円盤状部分7aから中間接続部7b内に位置しており、チタンバネ材をプレス等で打ち抜き加工して製造される。図8(b)に示すように、ガイド芯材部7Bは、円形状を呈しており、この円形状部分に釣り糸用挿通孔7hを形成している。
図8(a)においても、図示が省略されているが、図3(b)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける先端面6eに、工具差し込み用の細い切り込み溝6dが形成してあってもよい。
【0060】
ガイド芯材部7Bの構成としては、次のようなものであってもよい。図13(a)(b)に示すように、ガイド芯材部7Bの一部は外装部7Aを貫通して外部に表出している。つまり、ガイドリング6の中心を基準として、外装部7Aにおける中間接続部7bの存在側とは反対側において、ガイド芯材部7Bの一部に外装部7Aの外周面から表出する突起部7rが形成してあり、請求項7に記載する硬質体を構成する。硬質体としての突起部7rは外装部7Aの外周面と面一となる状態に形成してあり、釣り場等において地面に釣り竿を載置した場合にも、その外周面部分が直接他物と接触したり衝突したりすることを回避でき、外周面表面での繊維のササクレ等を回避できる、という効果を奏するものである。突起部7rは、外装部7Aの外周面と面一状態である必要はなく、突出していてもよい。
この突起部7rは、後記するカバー体7Cに相当する機能を有するものである。
【0061】
なお、チタンバネ材は、耐食性に優れ、かつ、環境に優しい金属である。機械的強度としては、JIS2種基準で、引っ張り強さが340〜510N/mm2であり、曲げ強度にも優れる。ただし、鉄鋼のように明確な降伏点を持ってはいないので、0.2%耐力を測定すると215N/mm2以上あるので、弾性限度が十分高いものであり、釣り糸用ガイドとして、大きな荷重を受けても元の姿勢に復帰する弾性力が大きい。
一方、ガイド芯材部7Bに使用される金属は、チタンバネ板以外に、アルミニュウム、ステンレスであってもよい。アルミニュウムの場合には、表面処理を施す。アルマイト加工、メッキ加工で表面処理を行い、塗装を施してもよい。
ガイドリング6は、第1実施形態で示したものと同様の構成である。
図13(a)においても、図示が省略されているが、図3(b)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける先端面6eに、工具差し込み用の細い切り込み溝6dが形成してあってもよい。
【0062】
ガイド芯材部7Bを導入した場合のガイド本体7の製造方法も第1実施形態で示したものと同様であり、次のようなものである。
(1)図17に示すように、チタンバネ材12でガイド芯材部7Bを形成する。
(2)図5に示すように、複数枚の半硬化状態のプリプレグシート9を外装部7Aの形状に裁断する。
(3)複数枚の外装部形状に裁断した半硬化状態のプリプレグシート9を重ね合せ、その内部にガイド芯材部用のチタンバネ材12を挟み込み、成形前の釣り用ガイド体3Cを形成する。
(4)図6に示すように、チタンバネ材を挟み込んだ成形前の釣り用ガイド体3Cを第1型11Aと第2型11Bとからなる真空型11内に装入し、プリプレグシートとチタンバネ材との密着強度を向上させる一次成形を施す。この際に、空気を巻き込まないように、ポンプPによって真空引きを行う。
(5)図6に示すように、一次成形を施された釣り用ガイド体3Cを真空型11とともに硬化炉10内に投入して、加熱硬化する。この場合にも、真空引きは継続する。この場合に、真空型から取り出した釣り用ガイド体3Cを単独で硬化炉10内に投入して、釣り用ガイド体3Cを成形加工してもよい。
(6)所定時間経過後で十分に冷却して成形品を取り出す。成形後は研削研磨加工等を行うことができる。
【0063】
〔第4実施形態の第1別実施形態〕
第4実施形態では、プリプレグ製の外装部7Aの一端を、ガイド芯材部7Bの一端より更に延出し、その延出部分を足部7cに構成していた。しかし、この第4実施形態の別実施形態においては、図9(a)(b)(c)に示すように、ガイド芯材部7Bの一端を、プリプレグ製の外装部7Aの一端より更に延出し、その延出部分を足部7cに構成する。
【0064】
ガイド芯材部7Bの足部7c部分とは反対側においてはガイドリング6を装着する円弧状部分7aが形成してある。なお、前記したように、ガイド芯材部7Bに使用される金属は、アルミニュウム、ステンレスであってもよい。アルミニュウムの場合には、表面処理を施す。アルマイト加工、メッキ加工で表面処理を行い、塗装を施してもよい。
【0065】
上記したようにチタンバネ板製のガイド芯材部7Bを延出して足部7cとしているので、第1実施形態のように、プリプレグ製の外装部7Aを延出して足部7cとしている場合に比べて、靭性が高く安定した取付状態を維持できる。
なお、足部7cの表面側に凹入部7fが形成してあり、この凹入部7fに取付用の糸aが嵌り込んで、取付用の糸aの位置ズレが少なくなるとともに、足部7cが凹入部7fを設けることによって変形しやすくなり、足部7cを竿素材の外周面に載置した際に、その外周面に馴染みやすい。
ただし、この凹入部7fについては特に設けなくともよい。足部7cを一定の厚みで形成してもよい。
また、図9(a)においても、図示が省略されているが、図3(b)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける先端面6eに、工具差し込み用の細い切り込み溝6dが形成してあってもよい。
【0066】
〔第4実施形態の第2別実施形態〕
プリプレグ製の外装部7Aと、その外装部7Aを被着する金属製のガイド芯材部7Bとで構成するに、外装部7Aをガイド芯材部7Bの竿先側及び竿尻側の両面に被覆する状態で施す形態について説明してきたが、竿先側か竿尻側の一方の面だけに施してもよい。
【0067】
つまり、図10(a)及び図17に示すように、金属製のガイド芯材部7Bで、円形状部分7e、中間接続部7b、足部7cに相当する部分を形成し、円形状部分7eの釣り糸用挿通孔にガイドリング6を装着し、釣り糸用挿通孔の周縁部に竿尻側から重ね合わせるように、板状のプリプレグ製外装部7Aを装着している。
このプリプレグ製外装部7Aは、前記した円形状部分7eに相当する範囲に限定された大きさで設けられている。
【0068】
また、図10(b)に示すように、プリプレグ製の外装部7Aと金属製のガイド芯材部7Bを、共に、円盤状部分7a(円形状部分7e)、中間接続部7b、足部7cを形成して同一形状を呈するものにして、竿先側に位置するプリプレグ製の外装部7Aと竿尻側に位置する金属製のガイド芯材部7Bとを重ね合わせて、釣り用ガイド3を形成してもよい。
このように、金属製のガイド芯材部7Bを外装部7Aで竿先側と竿尻側との両面で被覆する構成を採っていないので、重量増を招くことなく、剛性の高いプリプレグ製の外装部7Aと強靭な金属製のガイド芯材部7Bとの機能を併せ持った釣り糸用ガイド3を形成できた。
【0069】
図11に示すように、金属製のガイド芯材部7Bを略完全に被覆する状態に、プリプレグ製の外装部7Aを施してある。プリプレグ製の外装部7Aは、図10(b)に示すように、円盤状部分7a、中間接続部7b、足部7cを備えた形状に形成してあり、金属製のガイド芯材部7Bもプリプレグ製の外装部に沿った形状に形成してある。そして、足部7cにおいて、外装部7Aの竿素材に接する面とは反対側(図面上では下側)において、外装部7Aの一部を切り欠いてガイド芯材部7Bの金属部分が露出するように構成してもよい。これによって、足部7cでの剛性が緩和され、足部7cの竿素材への密着性が向上する。
【0070】
〔第5実施形態〕
次に、前記第1実施形態から第4実施形態において記載した実施形態において、硬質体としてのカバー体7Cを備えたものについて説明する。図12に示すように、カバー体7Cは半円弧状(略円周190°)を呈する金属製の部材であり、断面がチャンネル状を呈している。このチャンネル状の開口部分を外装部7Aの円盤状部分7aの外周面に被せてその外周面を被覆してある。図12に示すように、円盤状部分7aの外周面には、カバー体7Cのチャンネル状断面を被せる為の取付座7Dが形成してある。取付座7Dは、円盤状部分7aの竿先側面7mと竿元側面7nの外周縁部に段差部7kを形成したものである。このような取付座に対して、カバー体7Cにおけるチャンネル断面を囲む竿先側壁部分7pと,竿元側壁部分7qを、取付座7Dの段差部7kに載置することによって、カバー体7Cはガイド本体7の外装部7Aに装着される。カバー体7Cを取付座7Dに取り付けた状態で、カバー体7Cと竿先側面7m、竿元側面7nを含む円盤状部分7aの外面とが面一状態となるように構成されている。
【0071】
カバー体7Cの材料としては、チタン材が使用される。チタン材以外に、アルミニュウム、ステンレスであってもよい。アルミニュウムの場合には、表面処理を施す。アルマイト加工、メッキ加工で表面処理を行い、塗装を施してもよい。
なお、カバー体7Cとしては、前記した繊維強化樹脂よりも硬質の硬質体であればよいので、金属に限定されず、外装部7Aに使用されるマトリックス樹脂よりも硬質のものであれば、金属以外の硬質樹脂あるいはサーメット等の金属とセラミックとを混合した混合物であってもよい。
このカバー体7Cによって、請求項7記載の硬質体を形成し、釣り場等において置竿状態にしても釣り糸用ガイド3の外装部7Aが他物と接触しても保護できるような構成を採ることができる。
図12においても、図示が省略されているが、図3(b)に示すように、ガイドリング6のフランジ部6Bにおける先端面6eに、工具差し込み用の細い切り込み溝6dが形成してあってもよい。
【0072】
〔第5実施形態の第1別実施形態〕
(1)カバー体7Cの構造としては、次のようなものでもよい。前記カバー体7Cは、断面チャンネル形状を呈していたが、ここでは、アングル型の断面を有するものを提案する。図19を参考にして説明する。カバー体7Cは半円弧状(略円周190°)を呈する金属製の部材であり、断面がアングル状を呈している。このアングル状の開口部分を、外装部7Aの円盤状部分7aの外周面に竿先側面7mより被せてその外周面を被覆する。円盤状部分7aの外周面には、カバー体7Cのアングル状断面を被せる為の取付座7Dが形成してある。取付座7Dは、円盤状部分7aの竿先側面7mの外周縁部に段差部7kを形成したものである。このような取付座7Dに対して、カバー体7Cにおけるアングル断面を囲む竿先側壁部分7pと,先端側壁部分7sを、取付座7Dの段差部7kに載置することによって、カバー体7Cはガイド本体7の外装部7Aに装着される。カバー体7Cを取付座7Dに取り付けた状態で、カバー体7Cと竿先側面7m、竿元側面7nを含む円盤状部分7aの外面とが面一状態となるように構成されている。
図示してはいないが、円盤状部分7aにおける竿元側面7nの外周縁部に段差部7kを形成し、その段差部7kに前記カバー体7Cを装着してもよい。前記カバー体7Cの構成は、竿元側壁部分7qと先端側壁部分7sでなるアングル状のものである。つまり、竿元側壁部分7qを竿元側面7n側に装着することとなる。
【0073】
〔第6実施形態〕
第1実施形態から第5実施形態までは、足部7cは外装部7Aから一方側にのみ延出されて形成されていたが、ここでは、図18に示すように、二方向、つまり、竿先側と竿元側とに張り出す二股式の足部7cを備えた釣り糸用ガイド3を形成する。このように足部7cを二股状とすることによって、竿素材への取付状態が安定する。
【0074】
竿先側と竿尻側とに延出された足部7cにおける中間位置に設けた凹入部7iは、足部7cが竿素材表面に密着しやすくする為に設けたものであり、竿先側と竿尻側とに延出された足部7cの全面を竿素材表面に載置するように形成するよりも、足部7cが変形しやすく密着しやすい。
勿論、このように凹入部7iを形成することなく、足部7cの全面を竿素材表面に載置する構成を採ってもよい。
【0075】
この別実施形態においては、ガイドリング6をガイド本体7に対して着脱自在に構成する際に、第1実施形態で取り付けるもののように、ネジ式に取り付けるもの、第2実施形態のように、押込み圧入方式で取り付けるもの、或いは、第3実施形態で示すように、係合ピン方式で取り付けるものを採用してもよい。
また、ガイド本体7の構成にしても、第4実施形態で示すように、プリプレグ製の外装部7A内に、金属製のガイド芯材3Cを配置したものであってもよい。
【0076】
〔別実施形態〕
(1)ガイドリング6の材料としてセラミック等を使用することについて説明したが、チタンやアルミ等の金属を使用してもよい。
【0077】
(2)ガイド芯材部7Bの材料として、チタンバネ材やアルミ材等を挙げたが、形状記憶合金を使用してもよい。釣り糸用ガイド3に想定以上の荷重が掛かった場合に、ガイド芯材部7Bが変形してその荷重を吸収し、荷重が取り除かれた状態では元の姿勢に復帰するので、芯材として適切である。
【0078】
(3)外装部7Aを構成するプリプレグにおける強化繊維の配向方向としては、強度的に弱い部分を補強するように配向すべきであり、前記したようにガイドリング6の周りを巡るような配向方法に限定されない。
【0079】
(4)取付具として取付用の糸aで行っているが、取付用の糸aの代わりに樹脂テープを利用してもよい。更に、取付固定力を強力にするには、強化繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグをテープ状に形成したプリプレグテープを使用してもよい。
【0080】
(5)足部7cに対して中間接続部7b、及び、円盤状部分7aが、角度αで斜め前方に傾斜する姿勢に形成してあるが、足部7cに対して垂直な姿勢であってもよい。
【0081】
(6)外装部7Aを構成するプリプレグにおける強化繊維の配向方向としては、強度的に弱い部分を補強するように配向すべきであり、前記したようにガイドリング6の周りを巡るような配向方法に限定されない。
【0082】
(7)ガイドリング6の別実施形態について説明する。図20に示すように、ガイドリング6を、第1ガイドリング部分6Dと第2ガイドリング部分6Fとを組み合わせて構成する。
図20(a)に示すように、第1ガイドリング部分6Dを、フランジ部6Bとそのフランジ部6Bに一体形成されたボス部6Cとで構成する点は第1実施形態と同様である。ただし、ここでは、軸線位置に沿って形成した貫通孔6Eの内周面にテーパ雌ネジを刻設してある点が異なる。一方、第2ガイドリング部分6Fを、フランジ部6Bとそのフランジ部6Bに一体形成されたボス部6Cとで構成し、そのボス部6Cの外周面にテーパ雄ネジを形成する点は第1実施形態と同様である。そして、第2ガイドリング部分6Fのテーパ雄ネジを第1ガイドリング部分6Dのテーパ雌ネジに内嵌合させることによって、第1ガイドリング部分6Dと第2ガイドリング部分6Fを組み付けることができる。
以上のような構成になる第1ガイドリング部分6Dのボス部6Cを、図20(b)に示すように、ガイド本体7の取付用孔7F内に圧入して、ガイド本体7に第2ガイドリング部分6Dを固着する。この第1ガイドリング部分6Dに対して前記したように、第2ガイドリング部分6Fを螺着して、両ガイドリング部分6D、6Fのフランジ部6Aによって、ガイド本体7を挟み込む状態で取り付ける。
したがって、第2ガイドリング部分6Fの釣り糸挿通用の挿通孔6Gが損傷した場合には、第2ガイドリング部分6Fを取り替えることができる。
図20(c)に示すように、第2ガイドリング部分6Fのフランジ部6Bの先端面6eに取付取り外し時に回転操作を容易にする為の細い切り込み溝6dが形成してある。この細い切り込み溝6dにドライバー等の適当な工具を差し込んで交換することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本願発明は、ヤマメ釣り等に使用される、所謂、トラウトロッドと呼ばれているものについて説明したが、ルアー竿、及び、磯竿、その他釣り糸用ガイド3を必要とするすべての竿等にも適用でき、また、ガイド本体はプリプレグ製に限定することなく、ガイドリングのみ交換式とする釣り竿にも適用できる。
【符号の説明】
【0084】
3 釣り糸用ガイド
6 ガイドリング
6A 釣り糸挿通用の挿通孔
6f 環状鍔部(係合突起)
6g 係合ピン部
7 ガイド本体
7A 外装部
7B ガイド芯材部
7C カバー体(硬質体)
7F 取付用孔
7G 環状凹入部(係合凹部)
7H 凹入装着座
7b 中間接続部
7c 足部
7z 開口
D1 係合突起の外径
D2 係合凹部の両側端縁の内径
D3 係合凹部の底径
E 凹入空間部
E1 導入空間部
E2 装着空間部
a 取付具
c 強化繊維
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸挿通用の挿通孔を形成しているガイドリングと、前記ガイドリングに対する取付用孔を形成したガイド本体とで構成し、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面とに亘って着脱機構を形成し、前記ガイドリングを前記ガイド本体に対して着脱自在に構成してある釣り用ガイド。
【請求項2】
前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部に形成された雌ネジ部と、前記ガイドリングの外周面に形成された雄ネジ部とで構成してある請求項1記載の釣り用ガイド。
【請求項3】
前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との一方に形成された係合突起と、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との他方に形成された係合凹部とで構成され、前記係合突起の外径を前記係合凹部の両側端縁の内径より大きく、かつ、前記係合凹部の底径より小さく形成し、前記係合突起を前記係合凹部内に前記両側端縁に抗して押入して係合させ前記ガイドリングを前記ガイド本体に取り付けた状態で、前記ガイドリングを前記ガイド本体に対して相対回転自在な緩係合状態に構成してある請求項1記載の釣り用ガイド。
【請求項4】
前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との一方に形成された係合ピン部と、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との他方に形成された凹入装着座とで構成され、前記凹入装着座に、前記係合ピン部を開口から奥方向に誘導する導入空間部と、その導入空間部の奥端から直交する方向に前記係合ピン部を導入する装着空間部とからなる凹入空間部を形成し、前記装着空間部における前記係合ピン部を挟み込む壁面の間隔を、前記係合ピン部の外径と同一か又は小さい間隔に徐々に縮小する状態に形成してある請求項1記載の釣り用ガイド。
【請求項5】
前記ガイド本体が、繊維強化樹脂で構成してある請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の釣り用ガイド。
【請求項6】
前記ガイド本体を繊維強化樹脂製の外装部とその外装部内に装入される金属製のガイド芯材部とで構成してある請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド
【請求項7】
前記ガイド本体に繊維強化樹脂製の外装部を備え、前記外装部における前記ガイドリングを保持する部分の外周面に、前記繊維強化樹脂より硬質の硬質体を設け、前記外周面と面一か又は突出する状態に前記硬質体を装着している請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項8】
前記硬質体が、前記外装部における前記ガイドリングを保持する部分の外周面を被覆する金属製のカバー体である請求項7記載の釣り糸用ガイド。
【請求項9】
前記ガイド本体を繊維強化樹脂製の外装部とその外装部内に装入される金属製のガイド芯材部とで構成し、前記硬質体を金属製のガイド芯材部の一部で構成してある請求項7又は6記載の釣り糸用ガイド
【請求項10】
前記繊維強化樹脂製の外装部の一端よりその外装部に被覆されている金属製のガイド芯材部の一端を延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している請求項6に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項11】
前記繊維強化樹脂がプリプレグである請求項5〜10のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項12】
前記プリプレグ製の外装部における前記ガイドリングを保持する部分と前記足部との間に中間接続部を形成し、前記中間接続部を複数枚のプリプレグを重ね合わせて形成し、前記複数枚のプリプレグにおける少なくとも一枚については、前記中間接続部におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記足部から前記ガイドリングに向かう方向に合せ、かつ、前記ガイドリングを保持する部分におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記ガイドリングの外周に沿った状態に合わせてある請求項11記載の釣り糸用ガイド。
【請求項13】
前記ガイドリングは炭化ケイ素製である請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項14】
請求項1〜13のうちのいずれか一つに記載の釣り糸用ガイドを備えた釣り竿。
【請求項1】
釣糸挿通用の挿通孔を形成しているガイドリングと、前記ガイドリングに対する取付用孔を形成したガイド本体とで構成し、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面とに亘って着脱機構を形成し、前記ガイドリングを前記ガイド本体に対して着脱自在に構成してある釣り用ガイド。
【請求項2】
前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部に形成された雌ネジ部と、前記ガイドリングの外周面に形成された雄ネジ部とで構成してある請求項1記載の釣り用ガイド。
【請求項3】
前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との一方に形成された係合突起と、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との他方に形成された係合凹部とで構成され、前記係合突起の外径を前記係合凹部の両側端縁の内径より大きく、かつ、前記係合凹部の底径より小さく形成し、前記係合突起を前記係合凹部内に前記両側端縁に抗して押入して係合させ前記ガイドリングを前記ガイド本体に取り付けた状態で、前記ガイドリングを前記ガイド本体に対して相対回転自在な緩係合状態に構成してある請求項1記載の釣り用ガイド。
【請求項4】
前記着脱機構が、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との一方に形成された係合ピン部と、前記取付用孔の縁部と前記ガイドリングの外周面との他方に形成された凹入装着座とで構成され、前記凹入装着座に、前記係合ピン部を開口から奥方向に誘導する導入空間部と、その導入空間部の奥端から直交する方向に前記係合ピン部を導入する装着空間部とからなる凹入空間部を形成し、前記装着空間部における前記係合ピン部を挟み込む壁面の間隔を、前記係合ピン部の外径と同一か又は小さい間隔に徐々に縮小する状態に形成してある請求項1記載の釣り用ガイド。
【請求項5】
前記ガイド本体が、繊維強化樹脂で構成してある請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の釣り用ガイド。
【請求項6】
前記ガイド本体を繊維強化樹脂製の外装部とその外装部内に装入される金属製のガイド芯材部とで構成してある請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド
【請求項7】
前記ガイド本体に繊維強化樹脂製の外装部を備え、前記外装部における前記ガイドリングを保持する部分の外周面に、前記繊維強化樹脂より硬質の硬質体を設け、前記外周面と面一か又は突出する状態に前記硬質体を装着している請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項8】
前記硬質体が、前記外装部における前記ガイドリングを保持する部分の外周面を被覆する金属製のカバー体である請求項7記載の釣り糸用ガイド。
【請求項9】
前記ガイド本体を繊維強化樹脂製の外装部とその外装部内に装入される金属製のガイド芯材部とで構成し、前記硬質体を金属製のガイド芯材部の一部で構成してある請求項7又は6記載の釣り糸用ガイド
【請求項10】
前記繊維強化樹脂製の外装部の一端よりその外装部に被覆されている金属製のガイド芯材部の一端を延出してその延出部分を竿素材に取り付けるべく足部に形成している請求項6に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項11】
前記繊維強化樹脂がプリプレグである請求項5〜10のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項12】
前記プリプレグ製の外装部における前記ガイドリングを保持する部分と前記足部との間に中間接続部を形成し、前記中間接続部を複数枚のプリプレグを重ね合わせて形成し、前記複数枚のプリプレグにおける少なくとも一枚については、前記中間接続部におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記足部から前記ガイドリングに向かう方向に合せ、かつ、前記ガイドリングを保持する部分におけるプリプレグの強化繊維の繊維長手方向を、前記ガイドリングの外周に沿った状態に合わせてある請求項11記載の釣り糸用ガイド。
【請求項13】
前記ガイドリングは炭化ケイ素製である請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の釣り糸用ガイド。
【請求項14】
請求項1〜13のうちのいずれか一つに記載の釣り糸用ガイドを備えた釣り竿。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−95628(P2012−95628A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248703(P2010−248703)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】
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