釣糸ガイド
【課題】ガイドリングを保持するフレームの環状の保持部で負荷を緩やかに緩和し、かつ環状の保持部に形成した切欠部の両側が塑性変形し難い構造の釣糸ガイドを提供する。
【解決手段】本発明の釣糸ガイド１は、環状の保持部２ａと該保持部２ａの左右両側に支脚部２ｂを有するフレーム２と、保持部２ａ内に取り付けたガイドリング１０とからなり、保持部２ａに切欠部４を形成している。そして、フレーム２には、保持部２ａから左右両側の支脚部２ｂに移行する範囲において、切欠部４が形成される部分に連なる拡張部２Ａが形成されていることを特徴とする。
【解決手段】本発明の釣糸ガイド１は、環状の保持部２ａと該保持部２ａの左右両側に支脚部２ｂを有するフレーム２と、保持部２ａ内に取り付けたガイドリング１０とからなり、保持部２ａに切欠部４を形成している。そして、フレーム２には、保持部２ａから左右両側の支脚部２ｂに移行する範囲において、切欠部４が形成される部分に連なる拡張部２Ａが形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、釣竿に取り付けて、リールから繰り出される釣糸を挿通案内する釣糸ガイドに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、外ガイド方式と称される釣竿の外周面には、軸方向に所定間隔をおいて、リールから繰り出される釣糸を絡まないように挿通案内する釣糸ガイドが装着されている。通常、釣糸ガイドは、環状の保持部と支脚部を有するフレームと、前記環状の保持部に取り付けたガイドリングによって構成されている。
【０００３】
例えば、特許文献１には、ガイドリングを溝付き金具にカシメ込み、これをはめ輪（支脚部を有するフレーム）に取り付けた構造の釣糸ガイドが開示されている。前記はめ輪は針金によって構成されており、このはめ輪の下部に切欠部が形成され、この部分ではめ輪を広げてガイドリング（溝付き金具）を取り付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】実開平１−９９１５２号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上記した公知のガイドリングは、切欠部に向かって同じ幅のフレーム端部が突出しているため、挿通した釣糸に張力が掛かって負荷が作用すると、切欠部の両側が塑性変形して歪むことがあり、これにより切欠部の部分が一度に開いてガイドリング（溝付き金具）が抜け落ちてしまう可能性がある。また、切欠部の両側が塑性変形してしまうと、その部分に釣糸が絡まったり糸切れする可能性も生じる。
【０００６】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、ガイドリングを保持するフレームの環状の保持部で負荷を緩やかに緩和し、かつ環状の保持部に形成した切欠部の両側が塑性変形し難い構造の釣糸ガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記した目的を達成するために、本発明は、環状の保持部と該保持部の左右両側に支脚部を有するフレームと、前記保持部内に取り付けたガイドリングとからなり、前記保持部に切欠部を形成した釣糸ガイドにおいて、前記フレームには、前記保持部から左右両側の支脚部に移行する範囲において、前記切欠部が形成される部分に連なる拡張部が形成されていることを特徴とする。
【０００８】
上記した構成の釣糸ガイドでは、切欠部を有する環状の保持部に対してガイドリングが装着される。前記フレームは、保持部から左右両側の支脚部に移行する範囲において、前記切欠部が形成される部分に連なる拡張部が形成されていることから、その部分が効果的に補強され、切欠部を形成する環状の保持部の両端部が歪んで破損することが抑制される。したがって、ガイドリングの抜け落ち、糸絡みを効果的に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、ガイドリングを保持するフレームの環状の保持部で負荷を緩やかに緩和することが可能となり、環状の保持部に形成した切欠部の両側が塑性変形し難い構造の釣糸ガイドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】本発明に係る釣糸ガイドの第１の実施形態を示す正面図。
【図２】図１に示す釣糸ガイドの側面図。
【図３】図１に示す釣糸ガイドのフレーム構造を示す正面図。
【図４】図１に示す釣糸ガイドの側面図、及び主要部の拡大図。
【図５】本発明に係る釣糸ガイドの第１の実施形態を示す正面図。
【図６】図５に示す釣糸ガイドのフレーム構造を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【００１１】
以下、本発明に係る釣糸ガイドの実施形態について具体的に説明する。
図１から図４は、本発明に係る釣糸ガイドの第１の実施形態を示す図であり、図１は正面図、図２は図１に示す釣糸ガイドの側面図、図３は図１に示す釣糸ガイドのフレーム構造を示す正面図、そして、図４は、図１に示す釣糸ガイドの側面図、及び主要部の拡大図である。
【００１２】
釣糸ガイド１は、環状の保持部２ａと支脚部２ｂを有するフレーム２と、保持部２ａ内に取り付けたガイドリング１０とによって構成されている。
【００１３】
前記フレーム２は、例えば、チタン（純Ｔｉ）や、公知の種々のチタン系合金、ステンレス等の金属で一体形成することが可能であり、上記のように、環状の保持部２ａと、この環状の保持部２ａの左右両側から下方に延びる支脚部２ｂとを有している。ここで、左右両側とは、釣糸ガイドの釣竿装着状態において釣糸挿通方向（紙面と垂直方向）に対する環状の保持部２ａの中央からそれぞれ左右方向を意味する。
【００１４】
前記支脚部２ｂは、前記環状の保持部２ａを径方向両側で支持しており、それぞれの側部で下方に向けて互いに接近するように延設された一対の脚部２ｄと、一対の脚部２ｄの下端部において略水平方向に屈曲された足部２ｅとを有している。この足部２ｅは、その裏面側に釣竿に対する載置面２ｆが形成されており、この足部が、釣竿Ｒの外周面に糸巻き７等によって固定されるようになっている。なお、糸巻き７をした後、糸止め用の樹脂８が被着される。
【００１５】
前記フレーム２の環状の保持部２ａは、その厚みＬ２よりも大きな幅Ｌ１を有しており、内側にガイドリング１０を取り付ける円形の孔３を有している。また、環状の保持部２ａは、任意の位置（本実施形態では、図１に示すように下端位置とされる）で、所定の間隙を生じさせて切断されており、これにより外側から孔３に通じる切欠部４が形成されている。なお、切断された環状の保持部２ａの端部（爪状の突起部）のそれぞれを符号４ａで示しており、切欠部４は、両端部４ａの先端面４ｂが所定の間隙をおいて向かい合うことで形成されている。なお、フレーム２の保持部２ａの厚みＬ２は、釣糸ガイド１を釣竿に取り付けて釣糸が挿通される前後方向の厚み（長さ）であり、幅Ｌ１は環状の保持部２ａの径方向の幅（長さ）とする。
【００１６】
前記フレーム２には、保持部２ａから左右両側の支脚部２ｂに移行する範囲において、切欠部４が形成される部分に連なる保持部２ａの幅Ｌ１が大きく形成された拡張部２Ａが形成されている。本実施形態では、上記のように、切欠部４が保持部２ａの下端位置とされていることから、拡張部２Ａは、図３に示すように、保持部２ａの左右両側の位置（保持部２ａの中心位置を通った水平方向の両側位置；符号Ｐで示す）から、切欠部４が形成される下方位置に向けて、次第に幅広に形成されており、図においてこのような拡張部を網掛け部分で示し、拡張部２Ａと隣接する保持部２ａを一定の幅Ｌ１にて延長した領域２ａ´として斜線模様部分で示し、拡張部２Ａとの仮想境界を二点鎖線で示している。なお、拡張部２Ａの下端側は、前記一対の脚部２ｄとの境界位置Ｐ１となる。すなわち、符号ＰからＰ１の範囲内が拡張部２Ａとして定義され、この拡張部２Ａによって、切欠部４を形成する両端部４ａを補強する機能を有する。
【００１７】
拡張部２Ａは、保持部２ａから支脚部２ｂに向けて、その両側が絞り込まれるように細くなって支脚部２ｂに変位する（または、支脚部２ｂが保持部２ａに向かって広がる）。拡張部２Ａは、支脚部２ｂに向かう中央側が最も幅Ｌ１が大きく形成され、その一側は、端部４ａに連なり、端部４ａから支脚部２ｂに向けて徐々に幅Ｌ１が大きくなる。
【００１８】
前記切欠部４を形成する両端部４ａは、先細り形状に形成しておくことが好ましい。ここで、先細り形状とは、図３で示すように、正面視で先端に移行するにしたがって幅が小さくなるもの、先端に移行するにしたがって厚みが小さくなるもの等、先端に移行するに連れて剛性が小さくなるように構成されたものであれば良く、本実施形態では、図３に示すように、それぞれの端部４ａを構成する下縁４ｃは、拡張部２Ａの端面として形成されており、互いに略水平方向に延出し、その上縁が孔３を規定する円弧として構成されることで、先細り形状となっている。
【００１９】
なお、本実施形態では、両端部４ａにおける上面４ｄ及び下面４ｅも、先端に移行するにしたがって互いに接近して厚みが小さくなっており、これにより、両端部４ａの先端がより弾性変形し易い先細り形状となっている（図４の拡大図参照）。
【００２０】
前記環状の保持部２ａ及び支脚部２ｂを有するフレーム２は、金属板を所定の形状にプレス加工で打ち抜き、所定の部分を湾曲することで形成されている。したがって、フレーム２の各部は、プレス加工する金属板の上下面によって形成される部分と、切断面によって形成される部分があり、フレーム２の前後面（穂先側の面と手元側の面であり、例えば前記上面４ａ及び下面４ｅも該当する）は、金属板の上下面によって形成され、フレーム２の側面の厚み部分は、金属板の切断面によって形成されている。
【００２１】
前記ガイドリング１０は、金属、セラミック等の硬質材料で形成された円形のリングであり、外周に沿って一対のフランジ１０ａ，１０ｂが形成され、これらのフランジ間に円周溝１０ｃを有する構造となっている。なお、本実施形態では、前記一対のフランジの内、一方（フランジ１０ｂ）は高く形成されている。
【００２２】
前記ガイドリング１０を保持部２ａに装着する場合、前記環状の保持部２ａに対し、図２の矢印で示すように、高さの低いフランジ１０ａ側からガイドリング１０を圧入する。この際、保持部２ａは、上記したように、先細り形状に形成された両端部４ａによって、多少ゆがむことができ、一対のフランジ１０ａ,１０ｂ間に形成された円周溝１０ｃを保持部２ａに対して容易に嵌合させることができる。この際、図４に示すように、円周溝１０ｃの内面側に保持部が差し込まれて嵌合がなされるが、前記保持部２ａの両端部４ａは、先細り形状に形成されて弾性変形可能な構造であるため、他の部分よりも変形し易くなり圧入作業が容易に行えるようになる。また、この圧入時には、円周溝又は保持部２ａの孔３の内面に接着剤を塗布しておき、これにより、ガイドリング１０を、保持部２ａに対して強固に固定することができる。
【００２３】
また、上記した構成の釣糸ガイドでは、フレーム２が、保持部２ａから左右両側の支脚部２ｂに移行する範囲において、切欠部４が形成される部分に連なる拡張部２Ａが形成されているため、この部分（保持部２ａの先細り形状になった両端部４ａ）で補強作用が得られるようになる。そして、この補強作用を有する拡張部２Ａは、切欠部４が形成される位置に連なっていることから、保持部２ａの両端部４ａを効果的に補強しており、これにより、釣糸の負荷が作用しても、環状の保持部２ａが破損したり、塑性変形することが抑制される。また、保持部２ａに掛かった負荷は、両端部４ａに集中することはなく、支脚部（脚部）に伝わって効果的に緩和されるため、ガイドリング１０の抜け落ち、糸切れ、糸絡みを効果的に抑制することが可能となる。
【００２４】
なお、拡張部２Ａの一側は、端部４ａに連なり、他側は、端部４ａより上方で保持部２ａに連なって、その両側にて支脚部２ｂに向けて幅Ｌ１が大きくなって保持部２ａを補強しているが、上記他側は、徐々に幅Ｌ１を大きくすることなく支脚部２ｂに変位するように形成しても良い。
【００２５】
また、挿通した釣糸に張力が作用しても、保持部２ａの両端部４ａは、上述したように、先細り形状に形成されていることから、多少、弾性変形することができ、これにより、釣糸に対する張力を緩和して糸切れが防止されると共に、ガイドリング１０の脱落も効果的に抑制することが可能となる。
【００２６】
また、上記したガイドリングの固定状態では、図１に示すように、保持部２ａの両端部４ａの先端は、フランジの周縁（高さが高いフランジ１０ｂ）の径方向内側に位置しており、フランジの外側に突出しないため、釣糸が引っ掛かることが防止され、糸切れが生じることが防止される。
【００２７】
また、ガイドリング１０に、外周に沿ってフランジを形成しておき、保持部２ａの先細り形状になった両端部４ａを、フランジに係合させているため、保持部２ａからのガイドリング１０の脱落が防止され、ガイドリング１０に対する負荷でフランジによって確実に両端部４ａが挿圧されて弾性変形して釣糸に対する張力を緩和することとなる。
【００２８】
さらに、本実施形態では、切欠部４は、保持部２ａの下側に形成され、保持部２ａの上下中間位置より下側から延びる一対の支脚部２ｂの保持部２ａとの接合部の間に位置するため、この部分の保持部２ａが補強され、両端部４ａの弾性変形による保持部４ａの他の部分（上側）の変形を防止している。
【００２９】
図５及び図６は、本発明に係る釣糸ガイドの第２の実施形態を示すであり、図５は正面図、図６は図５に示す釣糸ガイドのフレーム構造を示す正面図である。
【００３０】
本実施形態における切欠部４を形成する両端部４ａを補強する拡張部２Ａ´は、前記実施形態と同様、保持部２ａから左右両側の支脚部２ｂに移行する範囲において、切欠部４が形成される部分に連なるように形成されている。この場合、拡張部２Ａ´の下縁（両端部４ａを構成する下縁）４ｃ´は、切欠部４から外方に移行するに連れて、拡張部２Ａ´が幅広となるように傾斜状に形成されており、これにより、第１実施形態と比較して補強効果を高めている。
【００３１】
このように、拡張部の形状については、切欠部４が形成される保持部２ａの両端部４ａを補強する効果が得られれば、適宜変形することが可能である。また、本実施形態においても、両端部４ａは、先端に移行するに連れて剛性が小さくなるように構成しても良い。
【００３２】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。例えば、釣糸ガイドを構成するフレームの構成材料や、フレーム部分の形状、大きさ等の構成については、それが用いられる釣竿や節部分（元竿、中竿、穂先竿）に応じて適宜変形することが可能である。
【００３３】
また、上記した実施形態のガイドリング１０は、２つのフランジ１０ａ，１０ｂを形成したが、片方のみにフランジを形成した構成であっても良く、ガイドリングの保持部２ａに対する固定方法についても適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【００３４】
１ 釣糸ガイド
２ フレーム
２ａ 保持部
２ｂ 支脚部
２Ａ，２Ａ´ 拡張部
４ 切欠部
４ａ 端部
１０ ガイドリング
１０ａ，１０ｂ フランジ
Ｒ 釣竿
【技術分野】
【０００１】
本発明は、釣竿に取り付けて、リールから繰り出される釣糸を挿通案内する釣糸ガイドに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、外ガイド方式と称される釣竿の外周面には、軸方向に所定間隔をおいて、リールから繰り出される釣糸を絡まないように挿通案内する釣糸ガイドが装着されている。通常、釣糸ガイドは、環状の保持部と支脚部を有するフレームと、前記環状の保持部に取り付けたガイドリングによって構成されている。
【０００３】
例えば、特許文献１には、ガイドリングを溝付き金具にカシメ込み、これをはめ輪（支脚部を有するフレーム）に取り付けた構造の釣糸ガイドが開示されている。前記はめ輪は針金によって構成されており、このはめ輪の下部に切欠部が形成され、この部分ではめ輪を広げてガイドリング（溝付き金具）を取り付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】実開平１−９９１５２号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上記した公知のガイドリングは、切欠部に向かって同じ幅のフレーム端部が突出しているため、挿通した釣糸に張力が掛かって負荷が作用すると、切欠部の両側が塑性変形して歪むことがあり、これにより切欠部の部分が一度に開いてガイドリング（溝付き金具）が抜け落ちてしまう可能性がある。また、切欠部の両側が塑性変形してしまうと、その部分に釣糸が絡まったり糸切れする可能性も生じる。
【０００６】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、ガイドリングを保持するフレームの環状の保持部で負荷を緩やかに緩和し、かつ環状の保持部に形成した切欠部の両側が塑性変形し難い構造の釣糸ガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記した目的を達成するために、本発明は、環状の保持部と該保持部の左右両側に支脚部を有するフレームと、前記保持部内に取り付けたガイドリングとからなり、前記保持部に切欠部を形成した釣糸ガイドにおいて、前記フレームには、前記保持部から左右両側の支脚部に移行する範囲において、前記切欠部が形成される部分に連なる拡張部が形成されていることを特徴とする。
【０００８】
上記した構成の釣糸ガイドでは、切欠部を有する環状の保持部に対してガイドリングが装着される。前記フレームは、保持部から左右両側の支脚部に移行する範囲において、前記切欠部が形成される部分に連なる拡張部が形成されていることから、その部分が効果的に補強され、切欠部を形成する環状の保持部の両端部が歪んで破損することが抑制される。したがって、ガイドリングの抜け落ち、糸絡みを効果的に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、ガイドリングを保持するフレームの環状の保持部で負荷を緩やかに緩和することが可能となり、環状の保持部に形成した切欠部の両側が塑性変形し難い構造の釣糸ガイドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】本発明に係る釣糸ガイドの第１の実施形態を示す正面図。
【図２】図１に示す釣糸ガイドの側面図。
【図３】図１に示す釣糸ガイドのフレーム構造を示す正面図。
【図４】図１に示す釣糸ガイドの側面図、及び主要部の拡大図。
【図５】本発明に係る釣糸ガイドの第１の実施形態を示す正面図。
【図６】図５に示す釣糸ガイドのフレーム構造を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【００１１】
以下、本発明に係る釣糸ガイドの実施形態について具体的に説明する。
図１から図４は、本発明に係る釣糸ガイドの第１の実施形態を示す図であり、図１は正面図、図２は図１に示す釣糸ガイドの側面図、図３は図１に示す釣糸ガイドのフレーム構造を示す正面図、そして、図４は、図１に示す釣糸ガイドの側面図、及び主要部の拡大図である。
【００１２】
釣糸ガイド１は、環状の保持部２ａと支脚部２ｂを有するフレーム２と、保持部２ａ内に取り付けたガイドリング１０とによって構成されている。
【００１３】
前記フレーム２は、例えば、チタン（純Ｔｉ）や、公知の種々のチタン系合金、ステンレス等の金属で一体形成することが可能であり、上記のように、環状の保持部２ａと、この環状の保持部２ａの左右両側から下方に延びる支脚部２ｂとを有している。ここで、左右両側とは、釣糸ガイドの釣竿装着状態において釣糸挿通方向（紙面と垂直方向）に対する環状の保持部２ａの中央からそれぞれ左右方向を意味する。
【００１４】
前記支脚部２ｂは、前記環状の保持部２ａを径方向両側で支持しており、それぞれの側部で下方に向けて互いに接近するように延設された一対の脚部２ｄと、一対の脚部２ｄの下端部において略水平方向に屈曲された足部２ｅとを有している。この足部２ｅは、その裏面側に釣竿に対する載置面２ｆが形成されており、この足部が、釣竿Ｒの外周面に糸巻き７等によって固定されるようになっている。なお、糸巻き７をした後、糸止め用の樹脂８が被着される。
【００１５】
前記フレーム２の環状の保持部２ａは、その厚みＬ２よりも大きな幅Ｌ１を有しており、内側にガイドリング１０を取り付ける円形の孔３を有している。また、環状の保持部２ａは、任意の位置（本実施形態では、図１に示すように下端位置とされる）で、所定の間隙を生じさせて切断されており、これにより外側から孔３に通じる切欠部４が形成されている。なお、切断された環状の保持部２ａの端部（爪状の突起部）のそれぞれを符号４ａで示しており、切欠部４は、両端部４ａの先端面４ｂが所定の間隙をおいて向かい合うことで形成されている。なお、フレーム２の保持部２ａの厚みＬ２は、釣糸ガイド１を釣竿に取り付けて釣糸が挿通される前後方向の厚み（長さ）であり、幅Ｌ１は環状の保持部２ａの径方向の幅（長さ）とする。
【００１６】
前記フレーム２には、保持部２ａから左右両側の支脚部２ｂに移行する範囲において、切欠部４が形成される部分に連なる保持部２ａの幅Ｌ１が大きく形成された拡張部２Ａが形成されている。本実施形態では、上記のように、切欠部４が保持部２ａの下端位置とされていることから、拡張部２Ａは、図３に示すように、保持部２ａの左右両側の位置（保持部２ａの中心位置を通った水平方向の両側位置；符号Ｐで示す）から、切欠部４が形成される下方位置に向けて、次第に幅広に形成されており、図においてこのような拡張部を網掛け部分で示し、拡張部２Ａと隣接する保持部２ａを一定の幅Ｌ１にて延長した領域２ａ´として斜線模様部分で示し、拡張部２Ａとの仮想境界を二点鎖線で示している。なお、拡張部２Ａの下端側は、前記一対の脚部２ｄとの境界位置Ｐ１となる。すなわち、符号ＰからＰ１の範囲内が拡張部２Ａとして定義され、この拡張部２Ａによって、切欠部４を形成する両端部４ａを補強する機能を有する。
【００１７】
拡張部２Ａは、保持部２ａから支脚部２ｂに向けて、その両側が絞り込まれるように細くなって支脚部２ｂに変位する（または、支脚部２ｂが保持部２ａに向かって広がる）。拡張部２Ａは、支脚部２ｂに向かう中央側が最も幅Ｌ１が大きく形成され、その一側は、端部４ａに連なり、端部４ａから支脚部２ｂに向けて徐々に幅Ｌ１が大きくなる。
【００１８】
前記切欠部４を形成する両端部４ａは、先細り形状に形成しておくことが好ましい。ここで、先細り形状とは、図３で示すように、正面視で先端に移行するにしたがって幅が小さくなるもの、先端に移行するにしたがって厚みが小さくなるもの等、先端に移行するに連れて剛性が小さくなるように構成されたものであれば良く、本実施形態では、図３に示すように、それぞれの端部４ａを構成する下縁４ｃは、拡張部２Ａの端面として形成されており、互いに略水平方向に延出し、その上縁が孔３を規定する円弧として構成されることで、先細り形状となっている。
【００１９】
なお、本実施形態では、両端部４ａにおける上面４ｄ及び下面４ｅも、先端に移行するにしたがって互いに接近して厚みが小さくなっており、これにより、両端部４ａの先端がより弾性変形し易い先細り形状となっている（図４の拡大図参照）。
【００２０】
前記環状の保持部２ａ及び支脚部２ｂを有するフレーム２は、金属板を所定の形状にプレス加工で打ち抜き、所定の部分を湾曲することで形成されている。したがって、フレーム２の各部は、プレス加工する金属板の上下面によって形成される部分と、切断面によって形成される部分があり、フレーム２の前後面（穂先側の面と手元側の面であり、例えば前記上面４ａ及び下面４ｅも該当する）は、金属板の上下面によって形成され、フレーム２の側面の厚み部分は、金属板の切断面によって形成されている。
【００２１】
前記ガイドリング１０は、金属、セラミック等の硬質材料で形成された円形のリングであり、外周に沿って一対のフランジ１０ａ，１０ｂが形成され、これらのフランジ間に円周溝１０ｃを有する構造となっている。なお、本実施形態では、前記一対のフランジの内、一方（フランジ１０ｂ）は高く形成されている。
【００２２】
前記ガイドリング１０を保持部２ａに装着する場合、前記環状の保持部２ａに対し、図２の矢印で示すように、高さの低いフランジ１０ａ側からガイドリング１０を圧入する。この際、保持部２ａは、上記したように、先細り形状に形成された両端部４ａによって、多少ゆがむことができ、一対のフランジ１０ａ,１０ｂ間に形成された円周溝１０ｃを保持部２ａに対して容易に嵌合させることができる。この際、図４に示すように、円周溝１０ｃの内面側に保持部が差し込まれて嵌合がなされるが、前記保持部２ａの両端部４ａは、先細り形状に形成されて弾性変形可能な構造であるため、他の部分よりも変形し易くなり圧入作業が容易に行えるようになる。また、この圧入時には、円周溝又は保持部２ａの孔３の内面に接着剤を塗布しておき、これにより、ガイドリング１０を、保持部２ａに対して強固に固定することができる。
【００２３】
また、上記した構成の釣糸ガイドでは、フレーム２が、保持部２ａから左右両側の支脚部２ｂに移行する範囲において、切欠部４が形成される部分に連なる拡張部２Ａが形成されているため、この部分（保持部２ａの先細り形状になった両端部４ａ）で補強作用が得られるようになる。そして、この補強作用を有する拡張部２Ａは、切欠部４が形成される位置に連なっていることから、保持部２ａの両端部４ａを効果的に補強しており、これにより、釣糸の負荷が作用しても、環状の保持部２ａが破損したり、塑性変形することが抑制される。また、保持部２ａに掛かった負荷は、両端部４ａに集中することはなく、支脚部（脚部）に伝わって効果的に緩和されるため、ガイドリング１０の抜け落ち、糸切れ、糸絡みを効果的に抑制することが可能となる。
【００２４】
なお、拡張部２Ａの一側は、端部４ａに連なり、他側は、端部４ａより上方で保持部２ａに連なって、その両側にて支脚部２ｂに向けて幅Ｌ１が大きくなって保持部２ａを補強しているが、上記他側は、徐々に幅Ｌ１を大きくすることなく支脚部２ｂに変位するように形成しても良い。
【００２５】
また、挿通した釣糸に張力が作用しても、保持部２ａの両端部４ａは、上述したように、先細り形状に形成されていることから、多少、弾性変形することができ、これにより、釣糸に対する張力を緩和して糸切れが防止されると共に、ガイドリング１０の脱落も効果的に抑制することが可能となる。
【００２６】
また、上記したガイドリングの固定状態では、図１に示すように、保持部２ａの両端部４ａの先端は、フランジの周縁（高さが高いフランジ１０ｂ）の径方向内側に位置しており、フランジの外側に突出しないため、釣糸が引っ掛かることが防止され、糸切れが生じることが防止される。
【００２７】
また、ガイドリング１０に、外周に沿ってフランジを形成しておき、保持部２ａの先細り形状になった両端部４ａを、フランジに係合させているため、保持部２ａからのガイドリング１０の脱落が防止され、ガイドリング１０に対する負荷でフランジによって確実に両端部４ａが挿圧されて弾性変形して釣糸に対する張力を緩和することとなる。
【００２８】
さらに、本実施形態では、切欠部４は、保持部２ａの下側に形成され、保持部２ａの上下中間位置より下側から延びる一対の支脚部２ｂの保持部２ａとの接合部の間に位置するため、この部分の保持部２ａが補強され、両端部４ａの弾性変形による保持部４ａの他の部分（上側）の変形を防止している。
【００２９】
図５及び図６は、本発明に係る釣糸ガイドの第２の実施形態を示すであり、図５は正面図、図６は図５に示す釣糸ガイドのフレーム構造を示す正面図である。
【００３０】
本実施形態における切欠部４を形成する両端部４ａを補強する拡張部２Ａ´は、前記実施形態と同様、保持部２ａから左右両側の支脚部２ｂに移行する範囲において、切欠部４が形成される部分に連なるように形成されている。この場合、拡張部２Ａ´の下縁（両端部４ａを構成する下縁）４ｃ´は、切欠部４から外方に移行するに連れて、拡張部２Ａ´が幅広となるように傾斜状に形成されており、これにより、第１実施形態と比較して補強効果を高めている。
【００３１】
このように、拡張部の形状については、切欠部４が形成される保持部２ａの両端部４ａを補強する効果が得られれば、適宜変形することが可能である。また、本実施形態においても、両端部４ａは、先端に移行するに連れて剛性が小さくなるように構成しても良い。
【００３２】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。例えば、釣糸ガイドを構成するフレームの構成材料や、フレーム部分の形状、大きさ等の構成については、それが用いられる釣竿や節部分（元竿、中竿、穂先竿）に応じて適宜変形することが可能である。
【００３３】
また、上記した実施形態のガイドリング１０は、２つのフランジ１０ａ，１０ｂを形成したが、片方のみにフランジを形成した構成であっても良く、ガイドリングの保持部２ａに対する固定方法についても適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【００３４】
１ 釣糸ガイド
２ フレーム
２ａ 保持部
２ｂ 支脚部
２Ａ，２Ａ´ 拡張部
４ 切欠部
４ａ 端部
１０ ガイドリング
１０ａ，１０ｂ フランジ
Ｒ 釣竿
【特許請求の範囲】
【請求項１】
環状の保持部と該保持部の左右両側に支脚部を有するフレームと、前記保持部内に取り付けたガイドリングとからなり、前記保持部に切欠部を形成した釣糸ガイドにおいて、
前記フレームには、前記保持部から左右両側の支脚部に移行する範囲において、前記切欠部が形成される部分に連なる拡張部が形成されていることを特徴とする釣糸ガイド。
【請求項２】
前記切欠部は、前記保持部の下側に形成されており、
前記拡張部は、前記保持部の左右両側の位置から、前記切欠部が形成される下方位置に向けて次第に幅広に形成されていることを特徴とする請求項１に記載の釣糸ガイド。
【請求項３】
前記切欠部を形成する保持部の両端部は、先端に移行するに連れて幅が小さくなることを特徴とする請求項１又は２に記載の釣糸ガイド。
【請求項４】
前記保持部の両端部の先端は、先端に移行するに連れて厚みが小さくなることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の釣糸ガイド。
【請求項１】
環状の保持部と該保持部の左右両側に支脚部を有するフレームと、前記保持部内に取り付けたガイドリングとからなり、前記保持部に切欠部を形成した釣糸ガイドにおいて、
前記フレームには、前記保持部から左右両側の支脚部に移行する範囲において、前記切欠部が形成される部分に連なる拡張部が形成されていることを特徴とする釣糸ガイド。
【請求項２】
前記切欠部は、前記保持部の下側に形成されており、
前記拡張部は、前記保持部の左右両側の位置から、前記切欠部が形成される下方位置に向けて次第に幅広に形成されていることを特徴とする請求項１に記載の釣糸ガイド。
【請求項３】
前記切欠部を形成する保持部の両端部は、先端に移行するに連れて幅が小さくなることを特徴とする請求項１又は２に記載の釣糸ガイド。
【請求項４】
前記保持部の両端部の先端は、先端に移行するに連れて厚みが小さくなることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載の釣糸ガイド。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１１−６７１６６（Ｐ２０１１−６７１６６Ａ）
【公開日】平成２３年４月７日（２０１１．４．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２２２５９４（Ｐ２００９−２２２５９４）
【出願日】平成２１年９月２８日（２００９．９．２８）
【出願人】（０００００２４９５）グローブライド株式会社 (1,394)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年４月７日（２０１１．４．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年９月２８日（２００９．９．２８）
【出願人】（０００００２４９５）グローブライド株式会社 (1,394)
【Ｆターム（参考）】
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