説明

鉄道車両用主幹制御器

【課題】運転者の手首とグリップに取り付けたデッドマンスイッチの位置関係を主ハンドルの回転角度とは関係なく一定にすることで運転者の疲労を防止する。
【解決手段】グリップ2に、主ハンドルの回転角度に等しくなる角度の切欠きを設け、枕木方向の軸に対して一定の範囲内で回転自由になるよう接続し、グリップ内部にバランスウェイト3を設けて、グリップ2から手を離すとバランスウェイト3の自重で特定位置に戻る機構とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用主幹制御器の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄道車両用主幹制御器は、主ハンドルとグリップが固定されており、主ハンドルの回転操作を行うと、グリップも主ハンドルと一体となって回転するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−89013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の鉄道車両用主幹制御器では、グリップに運転者が操作可能である状況であることを検出するデッドマンスイッチが取り付けられ、通常はこのスイッチを握り込みながら操作を行う。
【0005】
グリップは主ハンドルに固定されているため、長時間にわたり操作を繰り返すと、運転者の手首が頻繁に動かされることにより疲労するという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、運転者の手首とグリップに取り付けたデッドマンスイッチの位置関係を主ハンドルの回転角度とは関係なく一定にすることで、快適に操作を行うことができるという点にある。
【0007】
特許文献1に記載されているように、主ハンドルとグリップを枕木方向の軸について回転自由に接続し、ねじりコイルばねおよび回転ストッパを設けるという手法がある。
【0008】
また、停車中や操作を行なわない状態では、グリップを速やかに初期位置に戻すことで、次に操作を行う際に操作性を向上させる必要がある。
【0009】
しかし、特許文献1に記載されている方法では、戻しばねのばね力が弱いとグリップが特定位置に戻らず、ばね力が強いと逆に操作中に運転者の手首に負担がかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、請求項1の発明によれば、操作位置切替え用の主ハンドルの回転操作角に関係なく、該主ハンドルと回転自由に接続するグリップを有する電気鉄道車両用の主幹制御器において、操作より解放された該グリップを特定位置に回動して戻すバランスウェイトを前記グリップ内に具備することを特徴とする。
【0011】
すなわち、グリップ内部に主ハンドルの回転角度に等しくなる角度の切欠きを設け、枕木方向の軸に対して一定の範囲内で回転自由になるよう接続する。グリップ内部にバランスウェイトを設け、グリップから手を離すと、バランスウェイトの自重によりグリップが特定位置に戻る機構にする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、常にグリップとデッドマンスイッチを握りながら、主ハンドルの操作角度とは関係なく運転者の手首の角度を一定に保つことが可能になり、運転者の疲労を軽減し、操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明実施例の主幹制御器外観図である。
【図2】本発明実施例の主幹制御器主ハンドルの平面図である。
【図3】本発明実施例の主幹制御器主ハンドルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明を実施した主幹制御器の例の外観図である。主ハンドル1の一端は、操作盤内に設置されたポテンショメータやロータリエンコーダのような回転検出器6に接続されている。
【実施例1】
【0015】
キー7を挿入し回転させると、逆転器8が操作可能となる。キー7の抜き挿しは主ハンドル1が「非常ブレーキ」の位置、逆転器8が「中立」の位置において可能である。
【0016】
主ハンドル1の他端に取り付けられたグリップ2を握り、回転操作させることにより、回転部に取り付けられた回転検出器6を通じて、制御装置から主ハンドル1の回転角度に応じた信号が出力される。
【0017】
主ハンドル1は逆転器8が「前進」および「後退」のときのみ操作可能である。
【0018】
図2のように、グリップ2にはデッドマンスイッチ4が取り付けられており、グリップ2と共にスイッチを握ることにより、スピンドル9を介して、内部スイッチ10が投入され、操作可能であることを検出する。
【0019】
デッドマンスイッチ4を解放すると、戻しばね5の力でスイッチとスピンドル9が戻され、内部スイッチ10が切れ、何らかの理由により運転者が操作できない状況であることを検出し、緊急ブレーキが動作する。
【0020】
図3のように、グリップ2は主ハンドル1の回転範囲内で自由に回転することができる機構となっており、主ハンドル1の回転角度とは関係なく、デッドマンスイッチ4と運転者の間の位置関係は一定となる。
【0021】
また、グリップ2が回転可能な範囲において、運転者の任意の位置で操作することが可能である。
【0022】
車両の運転操作は、停車状態からの操作を基本とするので、グリップ2の基準位置を、主ハンドル1が「非常ブレーキ」または「最大ブレーキ」の位置に定める。
【0023】
主ハンドル1がグリップ2の基準位置以外にある場合からの操作においても、グリップの回転は妨げられることなく操作することができる。
【0024】
グリップ2を解放すると、バランスウェイト3の自重により、グリップ2は速やかに基準位置に戻る。
【符号の説明】
【0025】
1 主ハンドル
2 グリップ
3 バランスウェイト
4 デッドマンスイッチ
5 戻しばね
6 回転検出器
7 キー
8 逆転器
9 スピンドル
10 内部スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作位置切替え用の主ハンドルの回転操作角に関係なく、該主ハンドルと回転自由に接続するグリップを有する鉄道車両用の主幹制御器において、操作より解放された該グリップを特定位置に回動して戻すバランスウェイトを前記グリップ内に具備することを特徴とする鉄道車両用主幹制御器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−186886(P2012−186886A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46665(P2011−46665)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】