説明

鋳造金型用冷却水マニホールド

【課題】 小型化することにより金型ないしその近傍に設置することを可能とし、鋳造時は勿論のこと金型整備時においても各金型冷却パイプから排出される戻り冷却水の流通状況を、格別目視せずとも自動的に確認することが可能な鋳造金型用冷却水マニホールドを提供すること。
【解決手段】 イン側接続ブロック3とアウト側接続ブロック4にわたって並列に配置される複数個のフロースイッチ2a〜2dの内、1つおきにその冷却水イン側接続口23bと23dをイン側接続ブロック3に螺合接続し冷却水アウト側接続口24bと24dをアウト側接続ブロック4に挿し込み接続せしめ、残りのフロースイッチの冷却水アウト側接続口24aと24cをアウト側接続ブロック4に螺合接続し冷却水イン側接続口23aと23cをイン側接続ブロック3に挿し込み接続せしめて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカスト鋳造等に用いられる金型を冷却する場合に、当該金型に複数個の冷却穴を開穿し、各冷却穴にそれぞれ金型冷却パイプを装着して冷却水を供給した時に、各金型冷却パイプ(の冷却水復路側)から排出される戻り冷却水を通すための鋳造金型用冷却水マニホールドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
金型に複数開穿された各冷却穴にそれぞれ金型冷却パイプから冷却水を供給して金型を冷却する場合、冷却穴内を通過して熱交換された冷却水(これを戻り冷却水と称する。)が各金型冷却パイプの冷却水復路側から所定量排出されているかどうかを監視することは、金型の温度を管理する上で大変重要なことである。何故なら、各金型冷却パイプの冷却水復路側から冷却水が所定量排出されて来ないということは、その途中で何らかの目詰まりが発生しており、放置すると焼き付き等の不具合が発生するからである。
その為に、従来からいろいろな工夫がなされている。
【0003】
一例として、流入口と流出口を備えた複数の室内にそれぞれ回転羽を設置すると共に、各室に上記回転羽が外部から見えるように透視窓を形成し、金型の冷却穴内を通過してきた戻り冷却水が、対応する室の流入口から流出口へと流通する過程で上記回転羽を回転させるので、各室内の回転羽が回転しているのを目視することにより、冷却水の流通状況を確認することができる冷却水マニホールドがある(特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−291010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来例のものは、各室内に設置された回転羽が回転しているのを意識して目視しなければ、冷却水の流通状況を確認することができない。すなわち、回転羽が回転しているか否かの観察を怠ると、冷却水の流通状況を確認することができないことになる。
【0006】
本発明は、小型化することにより金型ないしその近傍に設置することを可能とし、鋳造時は勿論のこと金型の整備時においても各金型冷却パイプを通して排出される戻り冷却水の流通状況を、格別目視せずとも自動的に確認することが可能な鋳造金型用冷却水マニホールドを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明の請求項1に係る鋳造金型用冷却水マニホールドは、外形が略筒形状に形成されその外側上部にスイッチ電極が設けられた複数個のフロースイッチをイン側接続ブロックとアウト側接続ブロックにわたって並列に配置し、各フロースイッチ毎にそれぞれ金型冷却パイプが接続される鋳造金型用冷却水マニホールドであって、前記並列に配置される複数個のフロースイッチの内、1つおきにその冷却水イン側接続口を前記イン側接続ブロックに螺合接続し冷却水アウト側接続口を前記アウト側接続ブロックに挿し込み接続せしめ、残りのフロースイッチの冷却水アウト側接続口を前記アウト側接続ブロックに螺合接続し冷却水イン側接続口を前記イン側接続ブロックに挿し込み接続せしめて構成したことを特徴としたものである。
また、本発明の請求項2に係る鋳造金型用冷却水マニホールドは、前記各フロースイッチの冷却水イン側接続口及び冷却水アウト側接続口を前記イン側接続ブロック及びアウト側接続ブロックにそれぞれ挿し込み接続せしめて構成したことを特徴としたものである。
この場合、前記イン側接続ブロックとアウト側接続ブロック及び複数個のフロースイッチを、開閉自在な蓋を備えた保護ケース内に収容せしめることが好ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る鋳造金型用冷却水マニホールドによれば、各金型冷却パイプ毎に接続される複数個のフロースイッチを並列に配置して構成したので、各金型冷却パイプから排出される戻り冷却水の流通状況はフロースイッチにより常時自動的に監視されることとなる。よって、各金型冷却パイプから排出される戻り冷却水の流通状況を格別に注意して目視せずともフロースイッチから得られる電気信号を処理することにより、自動的に確認することが可能となる。
【0009】
また、特に請求項1に記載の鋳造金型用冷却水マニホールドによれば、並列に配置される複数個のフロースイッチの内、1つおきにイン側接続ブロックとアウト側接続ブロックにそれぞれ螺合接続せしめ、螺合されてない接続口側を互いに他方の接続ブロックに差し込んで接続する構成としたので、並列に配置されたフロースイッチ同士の間隔を極限まで接近させて設置することが出来る。
すなわち、外形が略筒形状に形成された複数個のフロースイッチをイン側接続ブロックとアウト側接続ブロックにわたって並列に接続するのに、1つおきに選択されたフロースイッチの一方の接続口を一方の接続ブロックに螺合接続させ他方の接続口を他方の接続ブロックに挿し込み接続させるようにしたので、フロースイッチの外側上部にスイッチ電極が突出して設けられていることにより全体的にフロースイッチの外形(胴回り)が大きな場合でも、そのフロースイッチを接続ブロックに余裕を持って回転螺合接続することができ、螺合接続しない反対側の接続口は接続ブロックに挿し込み接続するのに当該フロースイッチの両サイドに組み付けに要するスペースを必要としないため、並列に配置されたフロースイッチ同士の間隔を極限まで接近させて設置することが可能となる。
従って、冷却水マニホールドとして小型化を図ることが出来、金型ないしその近傍に簡便に設置することが可能となる。
【0010】
更に、請求項2に記載の鋳造金型用冷却水マニホールドによれば、前記各フロースイッチの冷却水イン側接続口及び冷却水アウト側接続口をイン側接続ブロック及びアウト側接続ブロックにそれぞれ接続継手を介して挿し込み接続せしめて構成したので、請求項1に記載の鋳造金型用冷却水マニホールドと同様に、フロースイッチの外側上部にスイッチ電極が突出して設けられていても、並列に配置されたフロースイッチ同士の間隔を極限まで接近させて設置することが可能となり、冷却水マニホールドとして小型化を図ることが出来る。
【0011】
また、請求項3に記載の鋳造金型用冷却水マニホールドによれば、前記イン側接続ブロックとアウト側接続ブロック及び複数個のフロースイッチを、開閉自在な蓋を備えた保護ケース内に収容せしめたので、鋳バリや離型剤を被って故障する心配がなく、冷却水マニホールドとして小型化を図ったことと相俟って、金型ないしその近傍に安心して設置することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な好適実施例を、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図示した実施例のものに限定されるものではない。
【0013】
本発明に係る鋳造金型用冷却水マニホールドは、保護ケース1内に、外形が略筒形状に形成されその外側上部にスイッチ電極が設けられた複数個のフロースイッチ2a,2b,2c,2dをイン側接続ブロック3とアウト側接続ブロック4にわたって並列に配置し、各フロースイッチ2a,2b,2c,2d毎にそれぞれ金型冷却パイプ(図示せず)が接続される。
【0014】
保護ケース1は、金型の熱や鋳バリ或いは離型剤等を被っても悪影響を受けず且つ堅牢なアルミニウムやステンレスなどの金属製板材を用いて、上部を開放し左右に取付けフランジ11を備えた箱形状又は断面略凹字形状に形成し、その開放した上部を蓋板12でもって開閉自在に被蓋される。ちなみに、図示実施例の保護ケース1は、アルミニウム板を用いて断面略凹字形状に形成されている。
【0015】
なお、保護ケース1は、イン側接続ブロック3とアウト側接続ブロック4及び複数個のフロースイッチ2a,2b,2c,2dを保護すると同時に、フロースイッチ2a,2b,2c,2dを接続しているイン側接続ブロック3及びアウト側接続ブロック4を保持するためのものであり、この保護ケース1を使用せずに、イン側接続ブロック3とアウト側接続ブロック4を例えば連結バー等で連結保持するようにしても良い。
【0016】
そして、保護ケース1の内部には、イン側接続ブロック3及びアウト側接続ブロック4が設置され、両接続ブロック3,4にわたって複数個のフロースイッチ2a,2b,2c,2dが並列に配列接続される。
【0017】
イン側接続ブロック3及びアウト側接続ブロック4には、それぞれ複数個、図示実施例にあっては4個の接続口3a,3b,3c,3d、4a,4b,4c,4dが形成され、イン側接続ブロック3の各接続口3a,3b,3c,3dにそれぞれ、金型冷却パイプの冷却水復路側に接続されたホース(図示せず)が着脱自在に連通接続され、アウト側接続ブロック4の各接続口4a,4b,4c,4dに排水用ホース(図示せず)が着脱自在に連通接続される。
【0018】
フロースイッチ2a,2b,2c,2dとしては、市販されている通常のフロースイッチを使用することができるが、鋳造金型の周辺に設置する関係上できるだけ小型で保護ケース1に収容しえるものが望ましい。具体的には、図示例のごとくその外形が略円筒形状に形成されその外側上部にスイッチ電極21が設けられ、内部にはフロースイッチの内部を流れる冷却水の流量変化によって動作するフラッパー22が具備され、冷却水の流量が設定値より増加または減少するとフラッパー22の動作によりスイッチ電極がオンして、電気信号(通水検知信号)を発信するタイプのものが好適に用いられる。
【0019】
而して、複数個のフロースイッチ2a,2b,2c,2dをそれぞれイン側接続ブロック3とアウト側接続ブロック4にわたって並列に配列接続する場合に、1つおきに選択されたフロースイッチ2b及び2dの冷却水イン側接続口23b,23dをイン側接続ブロック3の接続口3b,3dに螺合接続し、反対側の冷却水アウト側接続口24b,24dには接続継手5を介してアウト側接続ブロック4の接続口4b,4dに挿し込み接続せしめ、残りのフロースイッチ2a及び2cは冷却水アウト側接続口24a,24cをアウト側接続ブロック4の接続口4a,4cに螺合接続し、反対側の冷却水イン側接続口23a,23cをイン側接続ブロック3の接続口3a,3cに接続継手5を介して挿し込み接続せしめる。
【0020】
すなわち、イン側接続ブロック3の接続口3bと3dに予めフロースイッチ2bと2dをそれぞれ螺合接続させると共に、アウト側接続ブロック4の接続口4aと4cに予めフロースイッチ2a,2cをそれぞれ螺合接続させておき、然る後に、両接続ブロック3,4に螺合接続されていない方の接続口24b,24dと23a,23cを向き合わせて互いに他方の接続ブロック3,4に挿し込み接続するものである。
【0021】
なお、図中の符号6は防水用O-リングであり、符号7は漏れ防止用補強リング、符号8は各フロースイッチ2a,2b,2c,2dのスイッチ電極21に接続されたコード、そして符号9はコード8を電気的に接続するためのコネクタを示す。
【0022】
また、格別に図面では示さなかったが、各フロースイッチ2a,2b,2c,2dの冷却水イン側接続口23a,23b,23c,23d及びアウト側接続口24a,24b,24c,24dをそれぞれイン側接続ブロック3の接続口3a,3b,3c,3dとアウト側接続ブロック4の接続口4a,4b,4c,4dに挿し込み接続させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明実施の一例を示す一部切欠正面図。
【図2】図1の(X)-(X)線に沿う断面図。
【符号の説明】
【0024】
1:保護ケース
11:取付けフランジ
12:蓋板
2a,2b,2c,2d:フロースイッチ
21:スイッチ電極
22:フラッパー
23a,23b,23c,23d:冷却水イン側接続口
24a,24b,24c,24d:冷却水アウト側接続口
3:イン側接続ブロック
3a,3b,3c,3d:接続口
4:アウト側接続ブロック
4a,4b,4c,4d:接続口
5:接続継手
6:防水用O-リング
7:漏れ防止用補強リング
8:コード
9:コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が略筒形状に形成されその外側上部にスイッチ電極が設けられた複数個のフロースイッチをイン側接続ブロックとアウト側接続ブロックにわたって並列に配置し、各フロースイッチ毎にそれぞれ金型冷却パイプが接続される鋳造金型用冷却水マニホールドであって、
前記並列に配置される複数個のフロースイッチの内、1つおきにその冷却水イン側接続口を前記イン側接続ブロックに螺合接続し冷却水アウト側接続口を前記アウト側接続ブロックに挿し込み接続せしめ、残りのフロースイッチの冷却水アウト側接続口を前記アウト側接続ブロックに螺合接続し冷却水イン側接続口を前記イン側接続ブロックに挿し込み接続せしめて構成したことを特徴とする鋳造金型用冷却水マニホールド。
【請求項2】
外形が略筒形状に形成されその外側上部にスイッチ電極が設けられた複数個のフロースイッチをイン側接続ブロックとアウト側接続ブロックにわたって並列に配置し、各フロースイッチ毎にそれぞれ金型冷却パイプが接続される鋳造金型用冷却水マニホールドであって、
前記各フロースイッチの冷却水イン側接続口及び冷却水アウト側接続口を前記イン側接続ブロック及びアウト側接続ブロックにそれぞれ挿し込み接続せしめて構成したことを特徴とする鋳造金型用冷却水マニホールド。
【請求項3】
前記イン側接続ブロックとアウト側接続ブロック及び複数個のフロースイッチを、開閉自在な蓋を備えた保護ケース内に収容せしめたことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳造金型用冷却水マニホールド。

【図1】
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【図2】
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