説明

鋼材定着金物及び屋根構造体

【課題】 古レールからなる既存梁に容易に取り付け可能な鋼材定着金物を用いて既存梁上にフレームを構築し、フレームに支持された膜屋根構造体を構築する。
【解決手段】 定着対象となる古レールRの外形に沿って所定のクリアランスを有し、その一部を押圧可能な押圧支持面16が形成された鋼材保持部15を有する略同形の第1の定着金物11と第2の定着金物12とからなる鋼材定着金物10を用いて古レールRを堅固に挟持する。その上に、フレームを支持する束柱を構築して、フレームに膜材を展張してなる膜屋根構造体を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋼材定着金物と、この鋼材定着金物を膜屋根構造の束柱の支持構造として利用して構築した屋根構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
旅客駅のホーム上家(上屋)としては、かつて軌道として使用されていた鉄道用レール(以下、古レールと呼ぶ。)を加工して柱、梁等の骨組部材とし、それらを所定形状に組み立てて構築された施工例が多く見られる。たとえば、旅客駅のホーム上家の構造体50として、図9に示したように、2本のレール51の頭部を付け合わせて接合し、プラットホーム60の幅方向の中央に立設した柱52と、柱52の頂部を所定の曲率で曲げ加工したりして、その上に載せる梁受け部53と、所定の屋根勾配を想定して古レールを曲げ加工して製作された梁54が、梁受け部53上に接合された骨組構造がある。この骨組構造の長手方向に隣接する各梁54間に古レールや鋼棒ブレース等のつなぎ材(図示せず)を掛け渡してホーム上家としての全体構造を安定させた状態で、梁間に屋根受け材55を架設し、その上にスレートや折板屋根56等が敷設されている。
【0003】
近年、これらの施設において、老朽化した屋根部分をリニューアル(更新)する場合、ホーム部分の採光や屋根の意匠を考慮して、曲面形状を導入可能な膜屋根構造に変更したいという要望もある。膜屋根は屋根材が軽量であるため、設計上は既存の屋根部分を撤去した状態で、古レールからなる既存梁上に構築することができる。
【0004】
しかし、膜屋根に利用される膜材は、展張した状態で所定の張力を保持するため、膜縁辺を固定する膜材定着部材を必要とする。このため、膜屋根を既存梁上にそのまま施工することはできず、膜屋根の端部を定着するためのフレーム等を既存梁の上に設置する必要がある。この場合、膜屋根と定着用フレームとは比較的軽量なものとすることができるため、既存梁を支持部として、必要な数の束柱等の支持部材を既存梁上に立設してフレームを設置することができる。
【0005】
束柱の支持部を既存梁に固定する方法としては、溶接、ボルト固定等が考えられるが、既存梁に使用されている古レールの材質は、建築用構造材として使用されている鋼材の材質とは異なるため、溶接が困難な場合が多い。また、ボルト固定するためには、古レールの腹部(ウェブ)にボルト取付孔を開けることになるが、材料に孔開けして断面欠損させることができない可能性がある。
【0006】
一方、従来、形鋼からなるベース部材上に別部材を簡易かつ堅固に取り付けるための固定金物等が提案されている(特許文献1)。特許文献1にはフリーアクセスフロアを構築するために、床スラブ上にH形鋼を架設し、そのH形鋼の上フランジ上に、床板を支持する支持脚のベースプレートを載置し、H形鋼の上フランジとベースプレートとを断面形状が略コ字形をなす固定金具で把持してさらにボルトの固定金具に螺着されたボルトを締め付けることで、支持脚のベースプレートとH形鋼の上フランジとの間の摩擦抵抗を増大させることで両者を密着させて、床板の支持脚をH形鋼上に固定する床板の支持脚の固定構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−81638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された固定構造では、支持脚のベースプレートは、規格寸法に加工された新品のH形鋼の上フランジ面に密着して載置され、その密着面での摩擦力をボルトの締め付けにより増加させて、脚部の安定を図っている。ところが、上述したようなホーム上家の既存梁は、古レールを加工して製作されたものである。たとえば30kgレールは底面幅が約110mm程度しかなく、新たなフレームの脚部に相当する束柱の支持ベース部材等を載置する面積が十分確保できない。また、丸みを帯びたレール頭部側が梁上面側に位置している場合もある。この場合には梁上面に支持ベース等を載置することは不可能である。このため、特許文献1に開示されたような固定金具等を利用して部材同士を連結する固定構造は採用できない。
【0009】
また、今回対象となる古レールからなる既存梁は、屋根勾配を考慮した傾斜梁形状になっている。このため、特許文献1に開示された発明のように、支持部材に固定する対象部材を載置し、両者をボルトで締め付けることで面接触部分の摩擦力を確保するような固定方式は一層不利である。そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、古レールの腹部(ウェブ)を両側面から強く挟み込むようにして、その部位に発生する摩擦力を利用して固定支持部材を、古レールからなる既存梁に定着させ、その固定支持部材に新たなフレームの束柱(支持柱)を立設させるようにした鋼材定着金物と、鋼材定着金物で支持されたフレームに膜材を展張するようにした膜屋根を有する屋根構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は定着対象となる鋼材の外形に沿って所定のクリアランスを有する鋼材保持部が形成され、前記鋼材保持部が略同形の第1の部材と第2部材とからなり、該第1の部材と第2部材の内面側を対向させて前記鋼材保持部で前記鋼材を挟持して定着する鋼材定着金物であって、前記鋼材保持部は、前記鋼材の一部を押圧可能な押圧支持部が形成され、前記第1の部材と第2部材とを前記鋼材に密着させるために導入される把持力により、前記押圧支持部の端面が前記鋼材の一部に押圧され、前記押圧支持部が前記鋼材に固定されることを特徴とする。
【0011】
前記鋼材は、レール材からなり、該レール材のレール腹部に対向した位置に前記押圧支持部が形成され、前記第1の部材と第2部材とを貫通して設けられたボルトの締付けにより前記把持力が導入され、前記押圧支持部が前記レール腹部に押圧され、前記レール材に固定されることが好ましい。
【0012】
前記第1の部材と第2の部材とは、上端または下端の一端に両部材を連結する連結係止部が形成され、他端に両部材を貫通するボルト孔が形成されることが好ましい。
【0013】
前記レール材を用いて構築された骨組構造物の梁部材の所定位置に、前記鋼材定着金物を固定定着して束柱支持体とし、該束柱支持体上に立設された束柱で屋根フレームを支持し、該屋根フレームに屋根材を展張して、屋根部を構築することが好ましい。
【0014】
前記梁部材は、前記骨組構造物の長手方向に沿って所定間隔をあけて構築され、長手方向に隣接する梁部材間につなぎ部材が架設され、該つなぎ部材の支持端部が前記鋼材定着金物の外面に形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、鋼材定着金物を固定支持部材として機能させ、その固定支持部材に新たなフレームの束柱を立設させることで、既存梁上に膜屋根を有する屋根構造体を容易に構築できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の鋼材定着金物を対象鋼材(レール材)に定着する態様を示した斜視説明図。
【図2】図1に用いた鋼材定着金物の正面図、定着状態図。
【図3】鋼材定着金物の他の実施形態を示した正面図、定着状態図。
【図4】鋼材定着金物を既存ホーム上家の屋根構造体の構築に用いた例を示した全体構造図。
【図5】鋼材定着金物を屋根構造体の構築に用いる場合の支持部材の組立状態を構成を示した斜視説明図。
【図6】図5に示した支持部位での鋼材定着金物の古レールの定着状態、支持脚の支持状態を示した部分拡大図。
【図7】図4に示した屋根構造体の支持脚の支持構造例を示した部分拡大図。
【図8】図4に示した屋根構造体の定着部の定着構造を示した部分拡大図。
【図9】従来例として、古レールを用いて構築されたホーム上家の一例を示した全体構造図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の鋼材定着金物の実施するための形態として、以下の実施例について添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、第1の部材としての第1の定着金物11と第2の部材としての第2の定着金物12とからなる鋼材定着金物10を、本発明において、定着対象となる古レールRに組み付ける状態を示している。今回の発明の鋼材定着金物の固定対象となる古レールRとしては、過去に軌道として使用されていたレールが多く使われている。
【0019】
上述したように、本発明の屋根構造体1では、古レールRからなる梁54が架設された従来のホーム上家の構造体50の屋根部分のリニューアルとして膜屋根2を用いることを想定している。この屋根構造体1は、古レールRを加工して用いられていた既存梁を、新たな屋根構造体2の支持柱(建築構造上、束柱に相当)の支持体30として採用している(図4,図9参照)。したがって、本明細書では、鋼材定着金物10の定着対象を古レールRとした説明をするが、構築される構造体の観点から、その構造体の対象部位である既存梁54と記して説明する場合もある。なお、定着対象はリサイクルされた古レールRに限られず、たとえば新品のレールやH形鋼や、定着が可能な部位を有する断面形状に加工された鋼材でもよいことはいうまでもない。
【0020】
ここで、鋼材定着金物10について説明する。図1,図2各図にその全体形状が明確に示された本実施例の鋼材定着金物10は、図2(a)に示したように、第1の定着金物11と、第2の定着金物12とが一対をなして構成されている。第1の定着金物11と第2の定着金物12の形状の相違点は、両部材を一体化させる下端嵌合部13の形状である。第1の定着金物11の下端には幅方向に延在する断面が略円形の円柱体凸部13aと円柱体凸部13aを支持する首部13bとが形成されている。一方、第2の定着金物12の下端には、第1の定着金物11の円柱体凸部13aと首部13bと嵌合可能な凹状部13cが形成されている。さらに第1の定着金物11と第2の定着金物12の内面側(定着対象に対向した面)には、古レールRの外径形状よりわずかに大きなくり抜き部14a,14bが上下に位置するように、略同形の鋼材保持部15が形成され、その先端に押圧支持面16が形成されている。さらに、第1の定着金物11と第2の定着金物12の外面上端には、締め付けボルト20を収容可能な凹所17が形成され、その凹所17の立面にボルト貫通孔18が形成され、図1,図2(b)のようにワッシャ23を介して締め付けボルト20とナット22で締着するようになっている。締め付けボルト20には、本実施例では高張力ボルト(HTB)が使用されており、締め付けはトルクレンチを用いて所定トルクを導入することで、押圧支持面16での古レールRの腹部Wへの把持力が加えられ、密着状態が制御される。
【0021】
第1の定着金物11と第2の定着金物12との押圧支持面16は本実施例においては、図1に示したように、横長の長方形形状をなしている。第1の定着金物11と第2の定着金物12とが、図2(b)に示したように、古レールRを挟んで下端嵌合部13で連結され、押圧支持面16が古レールRの腹部Wに軽く当接した状態で、締め付けボルト20、ナット22による上端の締め付けが行われる。これにより、第1の定着金物11の押圧支持面16と第2の定着金物12の押圧支持面16とが古レールRの腹部W(ウェブ)に両側から密着するような把持力が導入され、鋼材定着金物10全体は、第1の定着金物11の押圧支持面16と第2の定着金物12の押圧支持面16とで古レールRの腹部Wに押圧され堅固に固定される。
【0022】
なお、鋼材定着金物10の詳細形状として、第2の定着金物12の下端嵌合部13の首部13bが嵌合される、第1の定着金物11の凹状部13cの口元には、円柱体凸部13aが凹状部13cに嵌合された状態で、第2の定着金物12の首部13bがわずかに揺動できる程度の遊び13dが設けられている。これにより鋼材定着金物10の下端嵌合部13が嵌合された状態で、この部位は古レールRを挟み込む際の蝶番としての役割を果たすことができる。
【0023】
本発明の鋼材定着金物10には鋼鋳物が用いられている。材質としてはJIS規格に合致した溶接構造用鋳鋼品を想定している。なお、建築材料規格品としての仕様が求められる場合には、空間構造用鋳鋼品を代替利用することも可能である。なお、他の製造方法として、溶接構造用鋼材あるいは一般構造用鋼材を用いた削り出し加工による製造も可能である。
【0024】
図3各図は、押圧支持面16で鋼材(古レールR、H形鋼H等)を定着するために、第1の定着金物11と第2の定着金物12とを一体化させる締め付け手段の他の実施例を示した正面図である。図3(a)は、金物11の上下端に締め付けボルト20(図3(b))を挿通させる貫通ねじ孔18を凹所17に設けた構造からなる。この鋼材定着金物10では、嵌合部を構成する異なった形状の部材を製造する必要がなく、同一形状の一対の部材を用いることができるため、製作コストを下げることができる。古レールRに取り付ける際も、下側の締め付けボルト20、ナット22をゆるく仮締めしておけば、古レールRの腹部Wを押圧支持面16の所定位置にセットできる。また、上下の締め付けボルト20のトルク調整も均等に設定すればよいので、2カ所の締め付け部があっても作業性はそれほど低下しない。
【0025】
図3(c)は、鋼材定着金物10の上部に嵌合部13を、下部に締め付けボルト取付孔18を設けた構造からなる。この構造の鋼材定着金物10の機能は、図2(a)に示したタイプと同等であるが、作業性において、古レールRが既存梁54として利用されている場合には、既存梁54の下側に締め付けボルト(図示せず)が位置するため、ボルト、ナットの取り付け、締め付け作業を梁の下方から行うことができ、定着対象の既存梁54等への取り付けの作業性が優れている。
【0026】
図3(d)は、定着対象部材としてH形鋼Hを用いた場合の鋼材定着金物10の形状例を示している。同図に示したように、H形鋼Hの場合、図2(b)等に示した古レールRに比べ、内面側に形成される鋼材保持部15の周囲のくり抜き部14a,14bが大きくなる。しかし、鋼材保持部15は締め付け時に所定の押圧力を押圧支持面16に伝達するとともに、定着対象を支持する際に生じるせん断力に抵抗する必要がある。そのため、鋼材定着金物10として所定の断面積が確保されるような形状に設計することが必要である。なお、図示しないが、下端嵌合部13または上端嵌合部13は別途ピン部材を用いて第1の定着金物11と第2の定着金物12とを嵌合するものであってもよい。
【0027】
[屋根構造体の構成]
以下、上述した鋼材定着金物10を用いて、図9に示した既存のホーム上家の構造体50上に構築された新たな屋根構造体1、膜屋根2、支持体30他の構成について、図4〜図8を参照して説明する。
図4は、図9に示した既存のホーム上家の構造体50のうち、既存梁54を構成している古レールRの所定位置に、新たな膜屋根2(2A,2B)が展張された屋根構造体1が構築された状態を示した全体構造図である。同図に示したように新たな屋根構造体1は、既存梁54に立設された束柱3(支持柱)上に支持されたフレーム41上に展張されている。この束柱3の下端部を既存梁54に定着させるために上述した鋼材定着金物10が使用されている。本実施例では、膜屋根2は両側に位置する片勾配屋根2Bと、中央部の両勾配屋根2Aとから構成され、それぞれの膜屋根2のフレーム41は上方に凸形状をなすゆるい曲線状をなし、2本の束柱3で既存梁54上に支持されている。これら束柱3を、鋼材定着金物10を用いて既存梁54で支持する束柱支持体30の構成について、図5〜図7を参照して説明する。
【0028】
図5は、鋼材定着金物10を用いて束柱3を支持する束柱支持体30の各部材の組立状態を構成を示している。鋼材定着金物10を既存梁54(古レールR)の一部に定着する手順、定着状態は、図1、図2(b)と同様であるが、この鋼材定着金物10を束柱3の支持体として利用するために、鋼材定着金物10の第2の定着金物12の上面12aに金物側ベースプレート4が溶接されている。この金物側ベースプレート4は鋼材定着金物10を組み立てて既存梁54に固定した状態(図6参照)で、上面が古レールRとほぼ平行になるように取り付けられている。さらにこの上面に束柱ベースプレート5が載置され、2枚のベースプレート4,5が4個の連結孔4a,5aを介してボルト固定された束柱支持体30を介して束柱ベースプレート5、すなわち束柱3が既存梁54に固定支持される。
【0029】
さらに各鋼材定着金物10の外側面には、つなぎ材定着片6が溶接されている。このつなぎ材定着片6は、ホーム上家を構成するために長手方向に所定間隔をあけて設置された骨組構造(柱、梁)のうち、隣接する既存梁54間を連結するつなぎ材8(図6参照)の端部が固定される部材である。このように、鋼材定着金物10は十分な連結強度で既存梁54に定着されているので、この既存梁54と梁間のつなぎ材8との力学的な応力の伝達も果たす部材として機能することができる。なお、つなぎ材としては、図示したような鋼管の他、鋼棒、形鋼等の部材を、適宜選択することができる。
【0030】
図7は、図4に示したホーム上家の束柱3の支持支持体30(VII)を拡大して示している。同図に示したように、既存梁54(仮想線で表示)は屋根勾配に沿って傾いて架設されているので、この既存梁54の傾斜に対して、金物側ベースプレート4がはほぼ平行(同じ傾斜)になるように鋼材定着金物10が既存梁54に定着されている。そして、その上部に束柱ベースプレート5が載置されている。束柱ベースプレート5は、梁の傾斜分だけ束柱3に対して傾いて取り付けられている。これにより、束柱3は傾斜した既存梁54に対して2枚のベースプレート4,5を介して鉛直に立設することができる。このとき、2枚のベースプレート4,5を連結するボルト7には所定のせん断力が作用するが、ベースプレート4,5間の摩擦力が十分確保できるように締め付け力を設定し、あるいはボルト7がそのせん断力に対して十分な強度を保有するようにボルト径あるいは材質を選定することが好ましい。
【0031】
図8(a)は、図4に示した端部膜屋根2Bと中央部膜屋根2Aとの間の膜材定着部40Aの詳細構造を示した拡大図、図8(b)は、図4に示した端部膜屋根2の膜材定着部40Bの詳細構造を示した拡大図である。これらの膜材定着部40A,40Bは、従来の膜屋根2で使用されている構造と同等の構造からなる。たとえば図8(a)において、膜屋根2の端部に位置するパイプフレーム41の端部に膜材48の展張方向に倣った角度でクランプベース42が位置するようにパイプフレーム41にベース部材43が取り付けられている。クランプベース42上において、膜端のエッジロープ44が膜定着プレート45とクランプベース42との間の外側に位置するようにして膜材48に所定の張力が加えられた状態で、膜定着プレート45を定着ボルト46によって締め付けることで、膜材48が定着部に固定される。図8(a)に示した両側の膜材定着部の施工が完了した後、雨水処理のために、両側の膜屋根2の端部位置に角溝状の谷樋47が取り付けられる。図8(b)は、片勾配である端部膜屋根2Bの上端側の膜材定着部を示している。ベース部材43の構造はシンプルであるが、その他の膜材定着部の使用部材は、図8(a)と同等品が使用されている。
【0032】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1 屋根構造体
2 膜屋根
3 束柱
4,5 ベースプレート
6 つなぎ材定着片
10 鋼材定着金物
11 第1の定着金物
12 第2の定着金物
13 嵌合部
15 鋼材保持部
16 押圧支持面
20 締め付けボルト
22 ナット
30 束柱支持体
40A,40B 膜端定着部
50 ホーム上家構造体
54 既存梁
R 古レール
W 腹部(ウェブ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着対象となる鋼材の外形に沿って所定のクリアランスを有する鋼材保持部が形成され、前記鋼材保持部が略同形の第1の部材と第2部材とからなり、該第1の部材と第2部材の内面側を対向させて前記鋼材保持部で前記鋼材を挟持して定着する鋼材定着金物であって、
前記鋼材保持部は、前記鋼材の一部を押圧可能な押圧支持部が形成され、前記第1の部材と第2部材とを前記鋼材に密着させるために導入される把持力により、前記押圧支持部の端面が前記鋼材の一部に押圧され、前記押圧支持部が前記鋼材に固定されることを特徴とする鋼材定着金物。
【請求項2】
前記鋼材は、レール材からなり、該レール材のレール腹部に対向した位置に前記押圧支持部が形成され、前記第1の部材と第2部材とを貫通して設けられたボルトの締付けにより前記把持力が導入され、前記押圧支持部が前記レール腹部に押圧され、前記レール材に固定されることを特徴とする請求項1に記載の鋼材定着金物。
【請求項3】
前記第1の部材と第2の部材とは、上端または下端の一端に両部材を連結する連結係止部が形成され、他端に両部材を貫通するボルト孔が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鋼材定着金物。
【請求項4】
前記レール材を用いて構築された骨組構造物の梁部材の所定位置に、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の鋼材定着金物を固定定着して束柱支持体とし、該束柱支持体上に立設された束柱で屋根フレームを支持し、該屋根フレームに屋根材を展張して、屋根部を構築するようにしたことを特徴とする屋根構造体。
【請求項5】
前記梁部材は、前記骨組構造物の長手方向に沿って所定間隔をあけて構築され、長手方向に隣接する梁部材間につなぎ部材が架設され、該つなぎ部材の支持端部が前記鋼材定着金物の外面に形成されたことを特徴とする請求項4に記載の屋根構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−102598(P2012−102598A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254335(P2010−254335)
【出願日】平成22年11月13日(2010.11.13)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】