説明

鋼殻エレメントの継手構造及びそれを用いたトンネルの施工方法

【課題】鋼殻エレメントの応力材部同士の連結を容易かつ確実にしてダイレクトに伝達することで、構造を簡易化することができる鋼殻エレメントの継手構造を提供する。
【解決手段】鋼殻エレメント16を推進して隣接位置に複数のトンネルを構築する際に、隣接する一方の鋼殻エレメントの端部に形成した雄継手部18と、他方の鋼殻エレメントの端部に形成した雌継手部20とを嵌合しつつ推進するための継手構造において、雄継手部は、鋼殻エレメントの応力材部28の厚さに施工クリアランス相当分を加えた段差を有して隣接する鋼殻エレメントの応力材部28、34の外面を覆う突部32を有し、雌継手部は、応力材部の端面28a、34aを雄継手部側の応力材部の端面28aとの間に隙間36を残して対向させるとともに、雄継手部の突部32を覆う被覆部38を有し、鋼殻エレメントの推進施工後、隙間を残して対向する応力材部の端面同士を溶接して連結可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼殻エレメントを推進して隣接位置に連結した複数のトンネルを構築するための鋼殻エレメントの継手構造及びそれを用いたトンネルの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、推進工法により鋼殻エレメントを推進して隣接位置に複数のトンネルを構築して連続した外殻を構築した後、この外殻に囲まれた地山を掘削して地下空間を形成することが行われている。
【0003】
この場合、先行のトンネルを構築した後、後行のトンネルを構築する際に、先行のトンネルの鋼殻エレメントに対し後行のトンネルの鋼殻エレメントを係合させて後行のトンネルの鋼殻エレメントの推進施工を行うようにしている。
【0004】
この先行及び後行のトンネルの鋼殻エレメント同士の係合は、特許文献1に示すような雄雌構造の継手部材を用いている。
【特許文献1】特開昭63−171994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような特許文献1に示される継手構造において、地下水位下での施工を行う場合は、継手部材間にグラウト材や止水材を予め充填し、止水性を確保することが考えられるが、この場合、推進施工中は止水性を保ちかつ継手の推進が可能な比較的柔らかい材料を必要とする。
【0006】
一方、推進完了後は、継手間の力の伝達材として比較的硬い材料を注入充填する必要があり、これらの材料を止水性を確保したまま入れ代えることは困難を極める。
【0007】
また、継手部周辺の地盤に止水注入を行い、止水機能を持たせる方法もあるが、工期的にも工費的にも問題がある。
【0008】
さらに、前記継手構造では、継手耐力により設計が決まり、鋼殻エレメントの鋼材の厚さを部材耐力として有効に活用することができない。
【0009】
本発明の目的は、鋼殻エレメントの応力部材同士の連結を容易かつ確実にしてダイレクトに連結することで、構造を簡易化することのできる鋼殻エレメントの継手構造及びそれを用いたトンネルの施工方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、確実な止水性を確保することのできる鋼殻エレメントの継手構造及びそれを用いたトンネルの施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明の鋼殻エレメントの継手構造は、鋼殻エレメントを推進して隣接位置に複数のトンネルを構築する際に、隣接する一方のトンネルの鋼殻エレメントの端部に形成した雄継手部と、他方のトンネルの鋼殻エレメントの端部に形成した雌継手部とを嵌合しつつ推進するための鋼殻エレメントの継手構造であって、
前記雄継手部は、前記鋼殻エレメントの応力材部の厚さに略相当する段差を有して隣接する前記鋼殻エレメントの応力材部の外面を覆う突部を有し、
前記雌継手部は、前記応力材部端面を前記雄継手部側の応力材部端面との間に隙間を残して対向させると共に、前記雄継手部の突部を覆う被覆部を有し、
前記鋼殻エレメントの推進施工後、前記隙間を残して対向する応力材部の端面同士を溶接して連結可能としたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、掘進時には雄継手部の突部を雌継手部の被覆部にて被覆した状態で、隣接する鋼殻エレメント同士の連結を保ちながら推進を行い、推進終了後に、隙間を残して対向する応力材部の端面同士を溶接して連結することで、応力材部を直線的に確実に連結して、ダイレクトにスムーズな応力の伝達を行うことができ、理想的な構造形式とすることができる。
【0013】
また、雄継手部及び雌継手部は、それぞれ応力材部の外側に突部及び被覆部を形成しているため、鋼殻エレメントの内部からの溶接を容易に行うことができる。
【0014】
さらに、溶接時には、応力材部間の隙間からのぞく雄継手部の突部内面を溶接時のあて板として兼用することができる。
【0015】
本発明においては、前記被覆部は、前記雄継手部の突部との間に施工クリアランスを残して覆い、推進施工時には前記施工クリアランス内に止水材を充填可能とすることができる。
【0016】
このような構成とすることにより、被覆部が雄継手部の突部との間に施工クリアランスを残して覆うことで、鋼殻エレメントの推進時には、隣接鋼殻エレメントとの連結を保ちながら円滑な推進を行うことができる。
【0017】
また、推進施工時に、施工クリアランス内に止水材を充填することで、止水性を確保することができる。
【0018】
特に、雌継手部内に予め止水材を充填した状態で、雄継手部を嵌合させていくことで、容易に止水性の確保が行えることとなる。
【0019】
本発明においては、前記対向する応力材部の端面同士は、前記鋼殻エレメントの内方に向かって開く状態で傾斜した状態とすることができる。
【0020】
このような構成とすることにより、応力材部の対向する端面同士が溶接用の開先形状をなすため、確実な溶接を行うことができる。
【0021】
また、このような継手構造で、応力材部同士を溶接することにより、対向する応力材部にダイレクトに力が伝達するため、雄継手部の突部と雌継手部の被覆部は、単に推進時のガイドかつ止水材の充填スペースの役割を担うだけであり、雄継手部の突部と雌継手部の被覆部の構造は、簡単な構造にすることができるほか、止水材を硬い材料に入れ替える必要はない。
【0022】
本発明の鋼殻エレメントの継手構造を用いたトンネルの施工方法は、前述の鋼殻エレメントの継手構造を用いたトンネルの施工方法であって、
鋼殻エレメントを推進して先行のトンネルを構築する工程と、
この先行のトンネルの鋼殻エレメントに形成された雄継手部または雌継手部に後行のトンネル用の鋼殻エレメントの雌継手部または雄継手部を嵌合させ、かつ、雌継手部の被覆部と雄継手部の突部との間の施工クリアランスに止水材を充填した状態で後行の鋼殻エレメントを推進して後行のトンネルを構築する工程と、
前記トンネルの推進施工終了後、前記先行及び後行の鋼殻エレメントの対向する応力材部の端面同士を溶接して連結する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、先行のトンネルの鋼殻エレメントと後行のトンネル用の鋼殻エレメントとを雄継手部及び雌継手部にて連結し、かつ、継手部同士を施工クリアランスに止水材を充填した状態で推進することで、止水性を確保した状態で先行のトンネルをガイドとして後行のトンネルの施工を行うことができ、トンネルの推進施工終了後、先行及び後行の鋼殻エレメントの対向する応力材部の端面同士を溶接することで、応力材部同士をダイレクトに連結してスムーズな応力の伝達を行うことができ、しかも、応力材部同士の溶接を鋼殻エレメント内部から容易に行うことができる。
【0024】
本発明においては、前記鋼殻エレメントは、前記雄継手部または雌継手部付近に設けられた側板取り付け板に対して側板が脱着可能にされ、
前記トンネルの推進施工時には、前記側板取り付け板に側板を取り付けた状態で施工を行い、
前記応力材部の溶接工程では、前記側板取り付け板から前記側板を取り外し、前記側板取り付け板に自動溶接台車の走行レールを取り付け、この走行レールに沿って前記自動溶接台車を走行させて自動溶接を行うことができる。
【0025】
このような構成とすることにより、側板を取り外した状態で側板取り付け板を自動溶接台車の走行レール取り付け部材として用い、この側板取り付け板に走行レールを設置して自動溶接台車をこの走行レールに沿って走行させて短時間で容易かつ確実な溶接を行うことができる。
【0026】
この場合、前記応力材部の溶接工程終了後、前記走行レールに対し前記自動溶接台車を取り外して溶接部検査台車に付け替え、前記走行レールに沿って前記溶接部検査台車を走行させて溶接部検査を行うことができる。
【0027】
このような構成とすることにより、自動溶接終了後に走行レールに対し溶接部検査台車を付け替えて、短時間で容易かつ確実に溶接検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1〜図7は、本発明の一実施の形態に係る鋼殻エレメントの継手構造を示す図である。
【0030】
図7には、複数のトンネル10を用いて大断面トンネル12を構築する状態を示している。
【0031】
このトンネル10は、ほぼ矩形状をなすもので、複数のトンネル10を上下方向及び左右方向に隣接して複数構築し、この複数のトンネル10を大断面のほぼ矩形の外殻14として、この外殻14によって囲まれた内部の土砂(地山)を掘削してほぼ矩形の大断面トンネル12を構築するようにしている。
【0032】
また、各トンネル10は、掘進機及び鋼殻エレメント16を用いて、推進工法により構築されるようになっている。
【0033】
掘進機は、図示せぬが、ほぼ矩形の掘進機本体の先端部にカッターを備えるとともに、後方の鋼殻エレメントの雄及び雌継手部が推進に際して大きな抵抗力とならないように、後方の鋼殻エレメントの継手部に対応した位置に小型のカッターを備えている。
【0034】
鋼殻エレメント16は、図1に示すように、掘進機本体と同様にほぼ矩形状に形成され、掘進機本体の雄継手部及び雌継手部に対応する外面に軸方向全体に沿って雄継手部18及び雌継手部20を突出させた状態となっている。
【0035】
そして、掘進機及び鋼殻エレメント16を用いて掘進を行い、先行するトンネル10を構築した後、先行するトンネル10の鋼殻エレメント16の例えば雌継手部20と、掘進機本体の雄継手部及び後行する鋼殻エレメント16の雄継手部18とを係合させて先行するトンネル10の隣接位置に順次トンネル10を構築するようにしている。
【0036】
また、各鋼殻エレメント16は、図1に示すように、一方の側板22が例えば、雄継手部18付近の上下部に設けられた側板取り付け板24に対し脱着可能にされており、トンネル10の推進施工時には、側板取り付け板24に側板22を取り付けた状態で施工を行い、推進施工終了後に側板取り付け板24より側板22を取り外して、隣接するトンネル10の他方の側板26と一方の側板22との間に存在する土砂を掘削して取り除くことができるようになっている。
【0037】
次に、この鋼殻エレメント16の継手構造について図2及び図3を参照して説明する。
【0038】
雄継手部18は、鋼殻エレメント16の応力材部28の厚さtに施工クリアランス相当分を加えた段差30を有して隣接する鋼殻エレメント16の応力材部28の外面を覆う突部32を有している。
【0039】
雌継手部20は、応力材部34の端面34aを雄継手部18側の応力材部28の端面28aとの間に隙間36を残して対向させるとともに、雄継手部18の突部32を覆う被覆部38を有している。
【0040】
この被覆部38は、断面ほぼ台形状に形成され、突部32の先端は被覆部28の台形状の傾斜に相応した傾斜とされるとともに、雄継手部18の突部32との間に施工クリアランス40を残して覆い、突部32の基部側は垂直に立ち上げ、被覆部38の先端との間にグラウト充填スペース42を確保するようにしている。
【0041】
そして、推進施工時には、雌継手部20内に粘土等の止水材50を充填し、施工クリアランス40内を止水材50で満たし、グラウト充填スペース42内にグラウト材52を注入孔48を利用して内部より充填し、バックアップを行った状態で施工を行えるようにしてある。
【0042】
また、対向する応力材部28、34の端面28a、34a同士は、鋼殻エレメント16の内方に向かって開く状態で傾斜した開先形状として形成され、鋼殻エレメント16の推進施工後、図3に示すように、隙間36を残して対向する応力材部28、34の端面28a、34a同士を溶接して、溶接部44にて直線的に確実に連結することにより、ダイレクトにスムーズな力の伝達を可能とし、理想的な構造形式となるようにしている。
【0043】
この溶接に際しては、応力材部28、34間の隙間36からのぞく雄継手部18の突部32内面を溶接時のあて板として兼用することができ、しかも、応力材部28、34の端面28a、34aが開先形状となっているため、鋼殻エレメント16の内部からの溶接を容易かつ確実に行うことができる。
【0044】
このように、本実施の形態における継手構造による場合には、応力材部28、34を溶接にてダイレクトに連結するため、継手部分には直接力を伝達する機能が必要なく、継手構造を簡易化することができ、比較的廉価な継手となり経済的である。
【0045】
また、溶接継手部は鋼殻エレメント16と同等の耐力が見込めるため、設計上鋼殻エレメント16の鋼材量はすべて応力材としてカウントできる。
【0046】
それゆえ、トンネルの断面力に合わせて鋼殻エレメントの板厚を任意に選択し、合理的な設計を行うことができる。
【0047】
さらに、この継手構造は、止水機能を有するので、地下水位下の施工においても止水注入等の地盤改良を不要とすることができる。
【0048】
次に、このような鋼殻エレメント16の継手構造を用いたトンネルの施工方法について説明する。
【0049】
まず、図1に示すように、鋼殻エレメント16の側板取り付け板24に側板22を取り付けた状態で、掘進機に鋼殻エレメント16を連結し鋼殻エレメント16の推進を開始して先行のトンネル10aを構築する。
【0050】
次に、先行のトンネル10aの鋼殻エレメント16と、後行のトンネル10b用の鋼殻エレメント16等を嵌合させ、先行のトンネル10aをガイドにして後行のトンネル10b用の鋼殻エレメント16を推進して後行のトンネル10bを構築する。
【0051】
例えば、先行のトンネル10aの鋼殻エレメント16の上下両側端部から突出させた雌継手部20内に後行のトンネル10b用の鋼殻エレメント16の上下側端部より突出させた雄継手部18を嵌合させ、この嵌合状態を維持しながら後行のトンネル10b用の鋼殻エレメント16を推進移動させるようにしている。
【0052】
この場合、雄継手部18の突部32と雌継手部20の被覆部38との間には施工クリアランスが設けられているため、嵌合状態を維持しながら容易に推進移動を行うことが可能となる。
【0053】
また、地下水位下で推進施工を行う場合には、雌継手部20内に予め推進時に粘土等の止水材50を充填しておき、後行のトンネル10b用の鋼殻エレメント16の推進時には、粘土が充填された雌継手部20内を雄継手部18が嵌合しながら移動することにより止水性を確保するとともに、そのバックアップとして、グラウト充填スペース42に注入孔48を利用して内部よりグラウト材52を注入し、止水を確実なものとすることができる。
【0054】
従って、継手構造自体に止水性の機能を持たせることができるため、地下水位下での施工においても、経済性に優れ、構造的に堅固で信頼性のあるものとすることができる。
【0055】
さらに、地下水がない条件下での推進施工に際しては、側板取り付け板24から側板22を取り除いたコ字形の鋼殻エレメント16の状態で推進を行い、かつ、雌継手部20内への止水材50の充填及び充填スペース42内へのグラウト材52の充填を省略するようにしてもよい。
【0056】
そして、順次後行のトンネル10bをさらに先行のトンネルとして隣接位置に後行のトンネル10bを構築して、図7に示すようなボックス状の外殻14を仮設状態で構築する。
【0057】
なお、外殻14の隅部における鋼殻エレメント16は、隣接する側辺に雄継手部18及び雌継手部20が設けられるようになっている。
【0058】
また、外殻14の縦辺では、鋼殻エレメント16は上下方向に連結されるようになっている。
【0059】
次に、トンネル10の推進施工終了後、隣接する鋼殻エレメント16の対向する応力材部28、34の端面28a、34a同士を溶接して連結する。
【0060】
この応力材部28、34の溶接工程では、側板22が取り付けられている場合、図4に示すように、側板取り付け板24から側板22を取り外し、側板22、26間に存在する土砂を掘削して取り除き、図5に示すように、側板取り付け板24に自動溶接用の走行レール56を取り付け、この走行レール56に自動溶接台車46を取り付けて走行させることで自動溶接台車46に搭載された自動溶接トーチ54による溶接を行うようにしている。
【0061】
このように、溶接により応力材部28、34同士の力の伝達がなされるため、部材耐力が均一化され合理的な設計が可能となる。
【0062】
また、自動溶接による溶接によって、省力化がなされるだけでなく、継手部品質の均一化を図ることが可能となる。
【0063】
このようにして、順次応力材部28、34同士の溶接を行うことにより、短時間で、容易かつ確実に強度の高い継手構造が得られることとなる。
【0064】
次いで、応力材部28、34の溶接工程終了後、走行レール56に対し自動溶接台車46を取り外して、図6に示すように、溶接部検査台車58に付け替え、走行レール56に沿って走行させて溶接部検査台車58による溶接部検査を行うようにしている。
【0065】
この溶接部検査台車58は、超音波探触子60を搭載し、超音波検査を行うものとなっている。
【0066】
このように、溶接部検査により溶接部44の検査を行うことにより、品質保証を確保することが可能となる。
【0067】
そして、この溶接部検査による溶接部44の検査を順次行っていけば容易かつ確実な溶接部44の検査を短時間で行うことが可能となる。
【0068】
また、溶接部44は、鋼殻エレメント16内に露出した状態となっているため、目視による検査を行うことも可能である。
【0069】
そして、この溶接によって外殻14の本設施工が終了することとなり、溶接部分を介して応力材部28、34の力の伝達がダイレクトになされ、継手部には大きな力を伝達する構造とする必要がなく、その結果、継手製作を簡易に行うことができ、従来継手より廉価に製作できることとなる。
【0070】
そして、この状態で、図7に示すように、各トンネル10内にコンクリートを打設し、外殻14に囲まれた地山の掘削を行うことで、外殻14に囲まれた地下空間62を形成することができる。
【0071】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の形態に変形可能である。
【0072】
例えば、前記実施の形態では、溶接部検査を超音波を用いたものとしているが、この例に限らず、自動で溶接部の検査を行うことができるものであれば種々のものが採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施の形態に係る鋼殻エレメントの継手構造を示す断面図である。
【図2】図1の溶接部の拡大断面図である。
【図3】図2の状態から応力材部同士を溶接した状態を示す断面図である。
【図4】図1の状態から側板取り付け板より側板を取り外した状態を示す断面図である。
【図5】図4の状態から、側板取り付け板に走行レールを取り付けて自動溶接により応力材部同士の溶接を行う状態を示す断面図である。
【図6】図5の状態から走行レールに対し溶接部検査台車に付け替えて溶接部の検査を行う状態を示す断面図である。
【図7】本実施の形態に係る鋼殻エレメントの継手構造を用いて複数のトンネルを連結した外殻を構築した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0074】
10 トンネル
10a 先行のトンネル
10b 後行のトンネル
12 大断面トンネル
14 外殻
16 鋼殻エレメント
18 雄継手部
20 雌継手部
22、26 側板
24 側板取り付け板
28、34 応力材部
28a、34a 端面
30 段差
32 突部
36 隙間
38 被覆部
40 施工クリアランス
42 充填スペース
44 溶接部
46 自動溶接台車
48 注入孔
50 止水材
52 グラウト材
54 自動溶接トーチ
56 走行レール
58 溶接部検査台車
60 超音波探触子
62 地下空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼殻エレメントを推進して隣接位置に複数のトンネルを構築する際に、隣接する一方のトンネルの鋼殻エレメントの端部に形成した雄継手部と、他方のトンネルの鋼殻エレメントの端部に形成した雌継手部とを嵌合しつつ推進するための鋼殻エレメントの継手構造であって、
前記雄継手部は、前記鋼殻エレメントの応力材部の厚さに略相当する段差を有して隣接する前記鋼殻エレメントの応力材部の外面を覆う突部を有し、
前記雌継手部は、前記応力材部端面を前記雄継手部側の応力材部端面との間に隙間を残して対向させると共に、前記雄継手部の突部を覆う被覆部を有し、
前記鋼殻エレメントの推進施工後、前記隙間を残して対向する応力材部の端面同士を溶接して連結可能としたことを特徴とする鋼殻エレメントの継手構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記被覆部は、前記雄継手部の突部との間に施工クリアランスを残して覆い、推進施工時には前記施工クリアランス内に止水材を充填可能としたことを特徴とする鋼殻エレメントの継手構造。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記対向する応力材部の端面同士は、前記鋼殻エレメントの内方に向かって開く状態で傾斜していることを特徴とする鋼殻エレメントの継手構造。
【請求項4】
請求項2に記載の鋼殻エレメントの継手構造を用いたトンネルの施工方法であって、
鋼殻エレメントを推進して先行のトンネルを構築する工程と、
この先行のトンネルの鋼殻エレメントに形成された雄継手部または雌継手部に後行のトンネル用の鋼殻エレメントの雌継手部または雄継手部を嵌合させ、かつ、雌継手部の被覆部と雄継手部の突部との間の施工クリアランスに止水材を充填した状態で後行の鋼殻エレメントを推進して後行のトンネルを構築する工程と、
前記トンネルの推進施工終了後、前記先行及び後行の鋼殻エレメントの対向する応力材部の端面同士を溶接して連結する工程と、
を含むことを特徴とする鋼殻エレメントの継手構造を用いたトンネルの施工方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記鋼殻エレメントは、前記雄継手部または雌継手部付近に設けられた側板取り付け板に対して側板が脱着可能にされ、
前記トンネルの推進施工時には、前記側板取り付け板に側板を取り付けた状態で施工を行い、
前記応力材部の溶接工程では、前記側板取り付け板から前記側板を取り外し、前記側板取り付け板に自動溶接台車の走行レールを取り付け、この走行レールに沿って前記自動溶接台車を走行させて自動溶接を行うことを特徴とする鋼殻エレメントの継手構造を用いたトンネルの施工方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記応力材部の溶接工程終了後、前記走行レールに対し前記自動溶接台車を取り外して溶接部検査台車に付け替え、前記走行レールに沿って前記溶接部検査台車を走行させて溶接部検査を行うことを特徴とする鋼殻エレメントの継手構造を用いたトンネルの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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