長尺ウレタン切り離し装置及び長尺ウレタン切り離し方法
【課題】長尺ウレタン材料から複数個の長尺ウレタン製品を切断して切り離す場合に、確実に切り離しを行い吸着搬送が可能な長尺ウレタン切り離し装置を提供する。
【解決手段】長尺ウレタン材料Aを幅方向に切断して、所定長さのブレードBを複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し装置であって、切断装置により切断箇所に切れ目が形成された長尺ウレタン材料Aを載置する載置台1と、この載置台1に載置されている長尺ウレタン材料Aの各ブレードB部分を個別に吸着するための吸着パッド51と、吸着パッド51により長尺ウレタン材料Aを押圧した状態で、切れ目もしくはその近傍を材料面に垂直な方向に突き出させる棒状部材36と、突き出し動作が行われた各ブレードBを吸着パッド51に吸着した状態でトレイ61に搬送させる吸着搬送装置50と、を備えている。
【解決手段】長尺ウレタン材料Aを幅方向に切断して、所定長さのブレードBを複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し装置であって、切断装置により切断箇所に切れ目が形成された長尺ウレタン材料Aを載置する載置台1と、この載置台1に載置されている長尺ウレタン材料Aの各ブレードB部分を個別に吸着するための吸着パッド51と、吸着パッド51により長尺ウレタン材料Aを押圧した状態で、切れ目もしくはその近傍を材料面に垂直な方向に突き出させる棒状部材36と、突き出し動作が行われた各ブレードBを吸着パッド51に吸着した状態でトレイ61に搬送させる吸着搬送装置50と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺ウレタン材料を幅方向に切断して、所定長さの長尺ウレタン製品を複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し装置及び長尺ウレタン切り離し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる長尺ウレタン製品の一例として、普通紙複写機、普通紙ファクシミリ、レーザービームプリンター等の静電方式の画像形成装置において、感光体や転写ベルト等のトナーを担持し或いはトナー担持面と接触する部材表面の残存トナーを除去するクリーニングブレードがあげられる(例えば、下記特許文献1,2を参照)。
【0003】
このような長尺ウレタン製品を製作する場合、図14に示すような長尺ウレタン材料Aをいったん製作する。この長尺ウレタン材料Aは、例えば、幅12mmで長さ1000mm程度の細長い矩形形状を呈しており、この長尺ウレタン材料Aを例えば4箇所の切断位置L1,L2,L3,L4で切断し、図示のように同じ長さの3つ長尺ウレタン製品B1,B2,B3を製作するようにしている。また、切断位置L1,L4の外側に位置する部分C1,C2は廃棄処分される。
【0004】
ただし実際には、長尺ウレタン材料Aには切れ目が入れられるだけであり、切断直後に切断位置L2,L3にて製品同士を切り離すのではなく、切れ目が入れられた状態のままで長尺ウレタン材料Aが次の工程に搬送される。次工程において、吸着パッドにより3つの長尺ウレタン製品B1,B2,B3を個別に吸着し、夫々トレイに収容される。トレイには、長尺ウレタン製品を収容するための凹部が形成されており、この凹部に長尺ウレタン製品B1,B2,B3が収容される。上記図14の構成例では、3つの長尺ウレタン製品B1,B2,B3を製作しているため、これに対応してトレイも3つが長尺ウレタン材料の長手方向に沿って配置され、3つの長尺ウレタン製品B1,B2,B3は、夫々の対応するトレイに移送される。従って、真空パッドで吸着してからトレイに収容するまでの間に、各長尺ウレタン製品B1,B2,B3が切り離されることになる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−345633号公報
【特許文献2】特開平8−262950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記構成においては、次のような課題が存在する。すなわち、切断箇所には切れ目を入れているだけであるから、吸着工程へ搬送されるまでの間に、切断箇所にズレが生じるなどの原因により、切断箇所が再粘着する場合がある。このような再粘着により切り離しがスムーズに行かない場合が生じる。そのため、真空パッドで吸着搬送している途中で真空破壊を起こし、吸着していた長尺ウレタン製品を落下させてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、長尺ウレタン材料から複数個の長尺ウレタン製品を切断して切り離す場合に、確実に切り離しを行い吸着搬送が可能な長尺ウレタン切り離し装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る長尺ウレタン切り離し装置は、
長尺ウレタン材料を幅方向に切断して、所定長さの長尺ウレタン製品を複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し装置であって、
切断装置により切断箇所に切れ目が形成された長尺ウレタン材料を載置する載置台と、
この載置台に載置されている長尺ウレタン材料の各長尺ウレタン製品部分を個別に吸着するための吸着機構と、
吸着機構により長尺ウレタン材料を押圧した状態で、前記切れ目もしくはその近傍を材料面に垂直な方向に突き出させる突き出し機構と、
突き出し動作が行われた各長尺ウレタン製品を吸着機構に吸着した状態でトレイに搬送させる搬送機構と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
かかる構成による長尺ウレタン切り離し装置の作用・効果を説明する。切断装置により切れ目が形成された長尺ウレタン材料は、載置台の上に載置される。載置台に置いた状態で、吸着機構により押圧動作を行ない、切れ目もしくはその近傍を材料面に垂直な方向に突き出し動作を行なう。この突き出し動作により、たとえ、再粘着が生じていたとしても、切れ目が完全に分離される。従って、各長尺ウレタン製品を確実に切り離した状態にすることができる。従って、搬送機構により搬送する場合に、真空破壊等により製品を落下させてしまう問題をなくすことができる。その結果、長尺ウレタン材料から複数個の長尺ウレタン製品を切断して切り離す場合に、確実に切り離しを行い吸着搬送が可能な長尺ウレタン切り離し装置を提供することができる。
【0010】
本発明において、前記突き出し機構は、突き出し動作用として先端が球面状の棒状部材を備えていることが好ましい。
【0011】
突き出し動作をする部分を球面状とすることで、長尺ウレタン製品に対してキズなどの損傷を与えることなく突き出すことができる。球面状の棒状部材とすることで、これを上下動させることで、突き出し動作を行なうことができる。
【0012】
本発明において、前記棒状部材が長尺ウレタン材料の長手方向に沿って多数配置されており、いずれの棒状部材を選択するかを制御する制御部を備えていることが好ましい。
【0013】
長尺ウレタン材料から長尺ウレタン製品を切断する場合、材料や製品の長さは仕様などにより異なる。これらの長さが代わることにより、突き出し動作をすべき場所も異なってくる。そこで、長尺ウレタン材料の長手方向に沿って多数の棒状部材を配置させ、これらの中から適切なものを選択して動作するようにすることで、種々の長尺ウレタン製品に対して対応することができる。
【0014】
上記課題を解決するため本発明に係る長尺ウレタン切り離し方法は、
長尺ウレタン材料を幅方向に切断して、所定長さの長尺ウレタン製品を複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し方法であって、
切断装置により切断箇所に切れ目が形成された長尺ウレタン材料を載置台に載置するステップと、
載置台に載置されている長尺ウレタン材料の各長尺ウレタン製品部分を個別に吸着機構により吸着するステップと、
吸着装置により長尺ウレタン材料を吸着した状態で、前記切れ目もしくはその近傍を突き出し機構により材料面に垂直な方向に突き出させるステップと、
突き出し動作が行われた各長尺ウレタン製品を吸着機構に吸着した状態で、搬送機構によりトレイに搬送させるステップと、を有することを特徴とするものである。
【0015】
かかる構成による長尺ウレタン切り離し方法の作用・効果は、既に述べた通りであり、長尺ウレタン材料から複数個の長尺ウレタン製品を切断して切り離す場合に、確実に切り離しを行い吸着搬送が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る長尺ウレタン切り離し装置(以下、単に切り離し装置という)及び切り離し方法の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図14で説明したような長尺ウレタン製品を切断してからトレイに収容するまでの一連の工程を順番に説明する。一連の工程は、長尺ウレタン材料の切断(切れ目を入れる)、切り離し工程への搬送、切り離し、吸着搬送、トレイ収容の順番に行なわれる。最初に切断装置の構成から説明し、図1は、切断装置の正面図を示し、図2は、切断装置の側面図を示す。
【0017】
<切断装置の構成>
【0018】
長尺ウレタン材料を切断して得られる長尺ウレタン製品として、普通紙複写機、普通紙ファクシミリ、レーザービームプリンター等の静電方式の画像形成装置において、感光体や転写ベルト等のトナーを担持し或いはトナー担持面と接触する部材表面の残存トナーを除去するクリーニングブレードが例としてあげられる。以下、クリーニングブレード(以下、単に「ブレード」という)を切断するための装置として説明する。
【0019】
ブレードを製作するための長尺ウレタン材料Aは、図1、図2に示すように細長い矩形形状を有している。図1の左右方向が材料の長手方向に相当し、その長さは1000mm程度である。また、図2の左右方向が材料の幅方向に相当し、その幅長さは12mm程度である。また、材料の厚みは2,3mm程度である。この数値は一例であり、ブレードが使用される機種等に応じて数値は適宜変更されるものである。
【0020】
加工対象となる長尺ウレタン材料A(以下、「材料A」という)は、載置台1の上に搭載される。最初に載置されるのは、図2に示す載置位置P1であり、切断を行なう時には載置位置P1から切断位置P2へと平行移動させられる。材料Aを移動させるための移動機構2が、長手方向の両側に夫々配置されている。一対配置される移動機構2は、同じ構成を備えているので片方のみを説明する。
【0021】
移動機構2は、移送部材20を備えている。この移送部材20は、先端に爪部20aを有しており、材料Aの幅方向一端面A1(図14参照)を押すことで材料Aを移動させる。すなわち、材料Aを背後から押していくような態様で材料Aを移動させる。移送部材20は、フレーム22の所定箇所に軸芯20b周りに回転可能に軸支されている。この移送部材20の機能は、載置位置P1にある材料Aを切断位置P2に移動させ、切断位置P2にある切断処理後の材料Aを切断位置P2から更に下流側の工程(切り離し工程及び収容工程)へと移送させることである。
【0022】
フレーム22は、ガイド体24に連結されており、このガイド体24は、ガイドレール25に沿って図2の左右方向に移動可能に支持されている。従って、移送部材20は、図2の左右方向に移動可能に支持されている。
【0023】
次に、切断ユニットの構成について説明する。図1に示すように、材料Aの長手方向に沿って、左側から順に基準切断ユニットU1,第2調整用切断ユニットU2,U3,第1調整用切断ユニットU4の合計4つのユニットが配置されている。図7に示すように、基準切断ユニットU1による切断箇所は幅方向に沿った切断ラインL1で示され、同様に、2つの第2調整用切断ユニットU2,U3による切断箇所は切断ラインL2,L3で示され、第1調整用切断ユニットU4による切断箇所は切断ラインL4により示される。従って、1つの材料Aから3つのブレードBが得られるように材料Aを切断する。切断ラインL1,L4の外側の部分C1,C2は、廃棄処理される部分である。
【0024】
なお、本発明として、1つの材料Aから獲得されるブレードBの数は、特に限定されるものではなく、2つもしくは4つ以上であってもよい。ブレードBの数によって必要な切断ユニットの設置台数が決められる。
【0025】
切断ユニットUのうち、材料Aの長手方向一端部に位置するものは基準切断ユニットU1であり、他の調整用切断ユニットU2〜U4の位置調整を行う時の基準となるものである。従って、基準切断ユニットU1は図1の左右方向には移動しない状態で設置される。他の調整用切断ユニットU2〜U4は、材料Aや得られるブレードBの長手方向の長さに応じて位置調整が行われる。
【0026】
図2に示すように調整用切断ユニットU2〜U4は、プレート状のユニット支持体4に支持されており、このユニット支持体4には上下一対のガイド体5が取り付けられ、LMガイド6(リニアガイド機構及び切断ユニット移動機構に相当)により案内される。図1に示すようにLMガイド6は、材料Aの長手方向に沿って平行に延びる2本のレールで構成されており、各調整用切断ユニットU2〜U4をLMガイド6に沿って移動可能に構成している。
【0027】
各調整用切断ユニットU2〜U4を駆動するためにボールネジ機構7(切断ユニット移動機構に相当)が設けられている。従来は1つのボールネジにより、3つの切断ユニットUを移動させていたが、本発明では、調整用切断ユニットU2〜U4に対して、個別にボールネジ機構7が設けられる。図2に示すように、ボールネジ機構7は、ボールネジ7aとボールネジナット7bにより構成され、ボールネジナット7bがユニット支持体4に連結される。
【0028】
各調整用切断ユニットU2〜U4は、独立して位置調整可能にボールネジ機構7により駆動される。従って、各ボールネジ機構7を制御することで、各切断ユニットU2〜U4の位置を精度よく制御することができる。また、基準切断ユニットU1を基準として位置制御を行うことができ、基準吸着ユニットU1に対する各調整用切断ユニットU2〜U4の位置を精度よく決めることができる。
【0029】
次に、各切断ユニットUの構成を簡単に説明する。調整用切断ユニットU1はボールネジ機構7により駆動されない点を除いては、他の各調整用切断ユニットU2〜U4と同じ構成である。従って、いずれか1つの切断ユニットUについて説明を行い、他の切断ユニットUについては説明を省略する。
【0030】
各切断ユニットUの最下部には一対の押圧部10が設けられている。押圧部10は、材料Aの表面を押圧するための押圧面10aを備えている。一対の押圧部10は、切断ラインLの両側を押圧するように作用する。また、一対の押圧部10の間に切断刃11が設けられており、その先端部は押圧面10aよりも上方に位置している。切断刃11としてはギロチン式のカッターを使用することができる。また、押圧部10には不図示の押圧バネ(付勢手段に相当)が作用しており、下方に突出する方向にバネ付勢されている。押圧バネは、例えば、圧縮コイルスプリングなどにより構成することができる。なお、切断刃11による切断では、材料Aの切断位置に切れ目を入れるだけであり、この切断工程においては、材料Aを各製品に完全に切り離すことは行なわない。
【0031】
押圧部10及び切断刃11は、シリンダー12(ユニット駆動部に相当)により駆動され、シリンダー12を駆動することで、押圧部10と切断刃11が一体的に下降し、材料Aに対する切断作用を行うことができる。
【0032】
<切断装置の制御機能>
次に、切断装置の制御機能について図3のブロック図により説明する。制御部40は、切断装置の動作を統括的に制御する機能を有する。ボールネジ機構駆動部41は、制御部40からの指令に基づき、各調整用切断ユニットU2〜U4を駆動し、所定の位置に調整する。なお、一度調整を行った場合、同じ材料Aから同じ長さのブレードを切断する間は、その調整位置が保持される。
【0033】
切断ユニット駆動部42は、材料Aを切断する時に、制御部40からの指令に基づいて各切断ユニットUを駆動する。なお、4つの切断ユニットUは同時に駆動され、4箇所の切断も同時に行われる。制御プログラム格納部43には、各切断ユニットUなどを動作させるためのプログラムが格納されており、制御部40は、このプログラムにしたがって、各部に指令を出す。従って、制御部40は、切断ユニット制御部として機能する。
【0034】
入力部44は、製品であるブレードBの長手方向の寸法データを入力するためのものである。寸法データは、データ変換部45においてデータ変換され、基準切断ユニットU1を基準として、各調整用切断ユニットU2〜U4の調整すべき位置データに変換する。例えば、基準切断ユニットU1の位置を原点として、各調整用切断ユニットU2〜U4の調整位置座標を演算する。この変換されたデータや、その他製品ブレードBに関するデータは、データ記憶部46に記憶される。制御部40は、入力部44から入力された寸法データに基づいて、各調整用切断ユニットU2〜U4に対する位置制御を行うことができる。
【0035】
移動機構駆動部47は、制御部40からの指令に基づいて、移送部材20の駆動を行なう。
【0036】
<切断動作>
次に、以上説明してきた切断装置により材料Aの切断を行う場合の動作を説明する。図4は、動作内容を示す簡単なフローチャートである。図5及び図6は、移動機構2及び切断ユニットUの動作を説明する図である。
【0037】
まず、新たにブレードの切断を行おうとする場合には、寸法データの入力を入力部44から入力する(S1)。制御部40は、この入力された寸法データに基づいて、ボールネジ機構駆動部41に指令を与え、各調整用切断ユニットU2〜U4の位置調整を行う(S2)。調整が終了した後、切断動作開始指令を出す(S3)。これは、入力部44からの特定のキー入力操作などにより行なうことができる。
【0038】
なお、切断処理対象となる材料Aは、上流側の工程から不図示の搬送機構により載置台1の上に順番に搬送されてくる。材料Aが載置台1の上の所定箇所に載置された後、移動機構2を駆動し図2に示す位置から前進させる(S4)。これにより、後側の移送部材20の爪部20aが材料Aを切断ユニットUの方向に押していく(S5)。
【0039】
図5Aは、材料Aが載置位置P1から切断位置P2へと移動した状態を示す。切断動作が開始されると、材料Aが載置位置P1から切断位置P2へと移動され、切断された材料Aが切断位置P2から受け渡し位置P3へと移動される。受け渡し位置P3に移動された切断済みの材料Aは、図7に示す別の移動機構30により下流側へと搬送される。なお、下流側の工程では、材料Aから切断されたブレードBを仕分ける工程が行われる。
【0040】
材料Aの移送が完了すると、移動機構2を図2に示す初期位置に復帰させる(S6)。あるいは、切断ユニットUと干渉しない位置まで後退させる。
【0041】
次に、4つの切断ユニットUを動作させる。そのためシリンダー12を駆動し、押圧部10と切断刃11を下降させる(S7)。これにより、図6A及び図5Cに示すように、まず押圧部10が切断箇所の両側を押圧する。押圧部10が押圧した直後では、まだ切断刃11の先端は材料Aの位置に到達していない。引き続く下降動作により、押圧部10はこれ以上下降しないが、押圧バネが徐々に作用して行き、材料Aに対する押圧作用が行われる。これにより、材料Aが不用意に移動しないように押えることができ、切断動作を確実に行なうことができる。なお、この切断動作において、切断ラインが材料Aに形成されるが、この時点で製品のブレードBに分離されるのではなく、後工程においてブレードB毎に分離されて仕分けされる。従って、切断ラインが入れられた状態で、材料Aは後工程である切り離し工程及び収容工程に移送されることになる。材料Aは、切れ目が入れられた状態であるが、切り離しはされない状態で、次工程に搬送される。
【0042】
図6Bは、切断刃11により材料Aが切断される状態を示している(S8)。4つの切断ユニットUを同時に動作させて、同時に4箇所の切断が行われる。切断動作が終了すると、押圧部10及び切断刃11は上昇し、各切断ユニットUは図2に示す初期位置に復帰する(S9)。全ての材料Aの切断処理が終了していなければ、S4に戻り同様に処理を繰り返す。
【0043】
以上のような構成を有する切断装置によれば、入力部44から入力される寸法データに基づいて、各調整用切断ユニットU2〜U4の位置を調整することができ、作業者の手を煩わすことなく、簡単かつ精度の高い位置調整を行うことができる。
【0044】
<切り離し装置及び吸着搬送装置>
次に、切り離し装置と吸着搬送装置(吸着機構に相当)の構成を図7〜図9により説明する。図7は、吸着搬送装置の構成を示す側面図である。図8は、切り離し装置及び吸着搬送装置の構成を示す正面図である。図9は、吸着搬送装置及び収容部の構成を示す平面図である。
【0045】
図7に示す移送部材30は、図2で示すものと同じである。移送部材30は、フレーム32に支持されており、その構成は既に説明した通りであるので省略する。切断位置Pにおいて切れ目を入れられた材料Aは、受け渡し位置P3において移送部材30へ受け渡され、さらに、切り離し位置P4へと搬送される。材料Aには4箇所に切れ目が入れられているが、個々のブレードB(長尺ウレタン製品)への分離は行なわれていない。
【0046】
切り離し位置P4へ搬送された材料Aは、個々の3つのブレードBに切り離され、収容装置60に収容される。収容装置60として、3つのトレイ61が図9に示すように材料Aの長手方向に沿って並べて配置される。トレイ61には、ブレードBを収容するための収容溝61aが形成されている。収容溝61aは、収容されるブレードBの長手方向の長さに対応した溝長さを有する。トレイ61は、同じものが上下方向に積層される形で載置されている。トレイ61には、所定数の収容溝61aが形成されており、全ての収容溝61aにブレードBが収容されると、そのトレイ61は取り除き、次のトレイ61が一番上に来るようにする。なおトレイ61の除去については、不図示の機構により自動的に行なうようにする。
【0047】
トレイ61に収容されるまでの間に、各ブレードBを切れ目から切り離す必要がある。しかし、材料Aの切断箇所には切れ目を入れているだけであるから、切り離し位置P4へ搬送されるまでの間に、切断箇所にズレが生じるなどの原因により、切断箇所が再粘着する場合がある。このような再粘着により切り離しがスムーズに行かない場合が生じる。そのため、本発明においては、切り離し装置を設けており、その構成を図8に示す。
【0048】
材料Aが載置される載置台1の下方向に突き出しシリンダー35が多数配置されている。突き出しシリンダー35は、垂直姿勢に設定された棒状部材36を上下駆動するものであり、棒状部材36の先端には先端形状が球面に形成されたキャップ36aが嵌め込まれている。キャップ36aは、先端が球面であると共に、フッ素樹脂で形成されており、材料Aを突き上げるときに材料Aに対して損傷を与えないようにしている。棒状部材36を載置台1の表面に突出可能にするために、多数の開口孔1aが形成されている。
【0049】
多数設けられている棒状部材36のうち、どれを使用するかについては、材料Aの切れ目の位置により決まるものであり、最も適切な位置にある棒状部材36が選択される。突き上げる位置は、ちょうど切れ目のある位置か、切れ目の近傍とすることが好ましい。あるいは、切れ目の位置と近傍の両方を突き上げるようにしてもよい。突き上げ動作に使用される棒状部材36は、切れ目の数と同じ4つとなっている。
【0050】
次に、吸着搬送装置50(ブレードBをトレイ61に搬送させる搬送機構)の構成を説明する。吸着搬送装置50は、材料Aから得られたブレードBを吸着して、トレイ61の位置まで搬送する。図8に示すように、3つの吸着ユニットW1,W2,W3が、材料Aの長手方向に沿って配置されている。各吸着ユニットW1,W2,W3は、夫々独立して動作することが可能である。3つ設けられているのは、1つの材料Aから製作されるブレードBが3つであり、夫々を個別に吸着して搬送するためである。
【0051】
図8において一番左側にある吸着ユニットW1は、4つの吸着パッド51を備えており、左側の2つの吸着パッド51は第1フレーム52に取り付けられ、右側の2つの吸着パッド51は、第2フレーム53に取り付けられている。第1フレーム52は固定されており、従って、これに取り付けられる2つの吸着パッド51も材料Aの長手方向(図8の左右方向)に沿って動くことはできない。一方、第2フレーム53は、長手方向に沿って移動可能であり、これに取り付けられる2つの吸着パッド51もこれに伴い移動可能である。
【0052】
真ん中に位置する吸着ユニットW2の吸着パッド51も2つのフレーム54に取り付けられているが、4つの吸着パッド51の長手方向における相対的な位置関係は変わらないように構成されている。右側に位置する吸着ユニットW3の吸着パッド51も2つのフレーム55に取り付けられているが、吸着ユニットW2と同じく吸引パッド51どうしの相対的な位置関係は変わらない。もちろん、本発明の構成としては、同じ吸着ユニット内における4つの吸着パッド51の相対的な位置関係を変更自在に構成してもかまわない。
【0053】
図7に示すように、各吸着パッド51は連結部材56を介して真空ポンプ(不図示)に連結されている。各吸着ユニットW1,W2,W3に対応して、3つのエアシリンダー57が設けられており、吸着パッド51を上下駆動させることができる。エアシリンダー57の駆動軸57aに、フレーム52などが取り付けられており、フレームごとに吸着パッド51を上下駆動させる。
【0054】
各吸着ユニットW1,W2,W3は、ボールネジ機構58により長手方向に沿って個別に移動させることができる。ただし、一番左側の吸着ユニットW1については、前述のように、2つの吸着パッド51のみが移動可能である。ボールネジ機構58は、ボールネジ58aとボールネジナット58bにより構成され、ボールネジナット58bがユニット支持体58cに連結される。
【0055】
図10は、材料Aの長さが長い場合と短い場合の吸着パッド51による吸着位置の比較を示す図である。長さが長くなると(a)から(b)のように、吸着ユニットW2,W3が移動する。従って、4つの吸着パッド51は互いの間隔を保持したまま、平行移動するように移動する。吸着位置は、長手方向のちょうど真ん中をバランスよく(左右対称に)吸着できるように、各吸着位置が決められる。また、吸着ユニットW1については、右側の2つの吸着位置のみが変動されるが、全体としてバランスよく左右対称になるように吸着位置が決められる。
【0056】
ボールネジ機構58により各吸着ユニットW1,W2,W3の位置を制御できるようにしたので、精度よく吸着位置を設定することができ、トレイ61への挿入も精度よく行なうことができる。従って、材料AやブレードBの長さの変更などに対して容易に対応することができる。
【0057】
図7に示すように、吸着搬送装置50の全体は支持体65により支持されており、この支持体65がガイドレール66に沿って不図示の駆動源により移動可能に構成されている。これにより、吸着搬送装置50により切り離しされたブレードBを吸着して、トレイ61の中に収容させることができる。
【0058】
<切り離し装置および吸着搬送装置の制御機能>
次に、切り離し装置および吸着搬送装置の制御機能について図11のブロック図により説明する。制御部40は、図3に示すものと同じであり、切り離し装置および吸着搬送装置の動作を統括的に制御する機能を有する。ボールネジ機構駆動部48は、制御部40からの指令に基づき、各吸着ユニットW1〜W3を駆動し、所定の位置に調整する。なお、一度調整を行った場合、同じ材料Aから同じ長さのブレードBを切断する間は、その調整位置が保持される。
【0059】
制御部40は、エアシリンダー57に指令を与え、材料Aの切り離しを行なうときにエアシリンダー57を下降させて、トレイ61内に収容するまで吸着を保持するようにする。なお、エアシリンダー57による吸着パッド51の下降動作は同時に行なわれ、吸着動作も同時に行われる。制御プログラム格納部43には、各吸着ユニットW1〜W3などを動作させるためのプログラムが格納されており、制御部40は、このプログラムにしたがって、各部に指令を出す。
【0060】
入力部44、データ変換部45、データ記憶部46については、既に図3において説明した通りである。制御部40は、入力部44から入力された寸法データに基づいて、各吸着ユニットW1〜W3に対する位置制御や切り離しされたブレードBをトレイに収容するときの位置制御を行うことができる。
【0061】
移動機構駆動部47は、図3においても説明したが、制御部40からの指令に基づいて、移送部材30の駆動を行なう。すなわち、移送部材30により、切断処理がされた材料Aを受け渡し位置P3から切り離し位置P4へと移送できるように制御する。切り離し位置P4へ材料Aを停止させる制御は、移送部材30の駆動量や材料Aを検出するセンサーなどの適宜の方法で行なうことができる。
【0062】
制御部40は、複数の切り離しシリンダー49に対する駆動指令を出す。どの切り離しシリンダー49を選択して駆動させるかは、前述の入力部44から入力された寸法データに基づいて制御することができる。
【0063】
制御部40は、吸着搬送装置駆動部62に対して指令を与えて、吸着搬送装置50に対する駆動制御を行なう。吸着搬送装置駆動部62は、前述の支持体65、ガイドレール66、駆動源などにより構成される。従って、吸着パッド51によりブレードBを吸着して、予め決められたトレイ61の収容溝61a内に収容される。従って、切り離し位置P4と各トレイ61までの距離情報、各収容溝61aの位置情報などは、データ記憶部46に記憶されており、これに基づいて、吸着搬送装置50の移動量と、各吸着ユニットW1〜W3の移動量を決めることができる。
【0064】
制御部40は、真空ポンプ63に対する駆動制御を行い、吸着パッド51による材料A(ブレードB)の吸着及び吸着解除の動作を行なわせる。
【0065】
<切り離し動作>
次に、図12により、材料Aから各ブレードBに切り離し、トレイ61に収容するまでの工程を図12のフローチャートにより説明する。まず、切断工程において切断された(切れ目が入れられた)材料Aは、受け渡し位置P3から切り離し位置P4まで移送部材30により搬送される(S21)。切り離し位置P4の所定の位置に搬送されてきたことが検出されると、吸着パッド51が下降し、材料Aの表面に接触する位置に到達する(S22)。次に、真空ポンプ63を駆動させて、材料Aを吸着する(S23)。
【0066】
次に、切り離しシリンダー35を動作させて、棒状部材36を上昇させ切れ目部分の切り離し動作を行なう(S24)。これを図13に示すが、棒状部材36のキャップ36aで切れ目の中心位置を押し上げて、ブレードB同士の切り離しを行なう。キャップ36aの上昇量は、キャップ36aの先端が、材料Aの表面よりも少し突出する程度でよい。
【0067】
切り離しが終了した後、吸着パッド51により各ブレードBを吸着したまま上昇させる(S25)。次に、吸着搬送装置駆動部62により吸着搬送装置50全体を移動させることで、ブレードBをトレイ61の位置まで移送させる(S26)。トレイ61の位置へブレードBを搬送するまでの間に、各吸着ユニットW1〜W3の間隔をトレイ61の間隔に対応させるために、ボールネジ機構58により変更させる。トレイ61の所定の収容溝61aにブレードBが搬送されると、吸着を解除し、これにより、収容溝61a内にブレードBが収容される。
【0068】
<別実施形態>
【0069】
切断ユニットUの切断刃11は、ギロチン式カッターに限定されるものではなく、例えば、回転刃などの移動刃により切断するようなカッターを用いてもよい。
【0070】
棒状部材30の駆動はシリンダーにより行なっているが、これに限定されるものではなく、例えば、モーターなどの駆動源により駆動してもよい。棒状部材30の形状・材質などについては、適宜変更可能であり、例えば、キャップ36aを備えていなくてもよい。また、本実施形態では、多数の棒状部材30を配置しているが、棒状部材30を材料Aの長手方向に沿って移動させる機構を設けることもできる。この場合は、棒状部材30の数を減らすことができる。また、棒状部材30による突き上げ動作を行なう場合は、吸着パッド51により材料Aを押圧しているが、このとき、吸着パッド51による吸着動作をしていてもよいし、突き上げ動作を行なった後に吸着動作を行なってもよい。
【0071】
入力部44から入力するデータは寸法データではなく、製品を特定するIDや製品番号などを入力あるいは指定するような構成でもよい。この場合、予め、製品に関するデータを入力してデータベース化しておき、入力された製品番号等からブレードの長手方向の寸法データを読み出し、これに基づいて、各調整用切断ユニットU2〜U4の位置調整を行ってもよい。
【0072】
本発明に係る長尺ウレタン材料の具体的な材料については、例えば、特開2005−345633号公報に開示されるポリウレタン弾性体があげられるが、これに限定されるものではない。また、長尺ウレタン材料は、クリーニングブレードを製作するものだけでなく、例えば、電子写真複写機のマグネットローラーにトナーを摩擦帯電させトナーを薄層形成させるトナーブレードについても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】長尺ウレタン切断装置の正面図
【図2】長尺ウレタン切断装置の側面図
【図3】切断装置の制御機能を示すブロック図
【図4】切断装置の動作を示すフローチャート
【図5A】移動機構の動作を説明する図
【図5B】移動機構の動作を説明する図
【図6A】切断ユニットの動作を説明する図
【図6B】切断ユニットの動作を説明する図
【図7】吸着搬送装置の構成を示す側面図
【図8】切り離し装置及び吸着搬送装置の構成を示す正面図
【図9】吸着搬送装置及び収容部の構成を示す平面図
【図10】材料の長さが長い場合と短い場合の吸着パッド51による吸着位置の比較を示す図
【図11】切り離し装置および吸着搬送装置の制御機能を示すブロック図
【図12】切り離しから収容までの動作を示すフローチャート
【図13】棒状部材による突き上げ動作を示す図
【図14】長尺ウレタン材料と製品ブレードの関係を示す図
【符号の説明】
【0074】
A 長尺ウレタン材料
B ブレード(長尺ウレタン製品)
P3 受け渡し位置
P4 切り離し位置
W1,W2.W3 吸着ユニット
1 載置台
30 移送部材
35 切り離しシリンダー
36 棒状部材
36a キャップ
40 制御部
50 吸着搬送装置
51 吸着パッド
58 ボールネジ機構
61 トレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺ウレタン材料を幅方向に切断して、所定長さの長尺ウレタン製品を複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し装置及び長尺ウレタン切り離し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる長尺ウレタン製品の一例として、普通紙複写機、普通紙ファクシミリ、レーザービームプリンター等の静電方式の画像形成装置において、感光体や転写ベルト等のトナーを担持し或いはトナー担持面と接触する部材表面の残存トナーを除去するクリーニングブレードがあげられる(例えば、下記特許文献1,2を参照)。
【0003】
このような長尺ウレタン製品を製作する場合、図14に示すような長尺ウレタン材料Aをいったん製作する。この長尺ウレタン材料Aは、例えば、幅12mmで長さ1000mm程度の細長い矩形形状を呈しており、この長尺ウレタン材料Aを例えば4箇所の切断位置L1,L2,L3,L4で切断し、図示のように同じ長さの3つ長尺ウレタン製品B1,B2,B3を製作するようにしている。また、切断位置L1,L4の外側に位置する部分C1,C2は廃棄処分される。
【0004】
ただし実際には、長尺ウレタン材料Aには切れ目が入れられるだけであり、切断直後に切断位置L2,L3にて製品同士を切り離すのではなく、切れ目が入れられた状態のままで長尺ウレタン材料Aが次の工程に搬送される。次工程において、吸着パッドにより3つの長尺ウレタン製品B1,B2,B3を個別に吸着し、夫々トレイに収容される。トレイには、長尺ウレタン製品を収容するための凹部が形成されており、この凹部に長尺ウレタン製品B1,B2,B3が収容される。上記図14の構成例では、3つの長尺ウレタン製品B1,B2,B3を製作しているため、これに対応してトレイも3つが長尺ウレタン材料の長手方向に沿って配置され、3つの長尺ウレタン製品B1,B2,B3は、夫々の対応するトレイに移送される。従って、真空パッドで吸着してからトレイに収容するまでの間に、各長尺ウレタン製品B1,B2,B3が切り離されることになる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−345633号公報
【特許文献2】特開平8−262950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記構成においては、次のような課題が存在する。すなわち、切断箇所には切れ目を入れているだけであるから、吸着工程へ搬送されるまでの間に、切断箇所にズレが生じるなどの原因により、切断箇所が再粘着する場合がある。このような再粘着により切り離しがスムーズに行かない場合が生じる。そのため、真空パッドで吸着搬送している途中で真空破壊を起こし、吸着していた長尺ウレタン製品を落下させてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、長尺ウレタン材料から複数個の長尺ウレタン製品を切断して切り離す場合に、確実に切り離しを行い吸着搬送が可能な長尺ウレタン切り離し装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る長尺ウレタン切り離し装置は、
長尺ウレタン材料を幅方向に切断して、所定長さの長尺ウレタン製品を複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し装置であって、
切断装置により切断箇所に切れ目が形成された長尺ウレタン材料を載置する載置台と、
この載置台に載置されている長尺ウレタン材料の各長尺ウレタン製品部分を個別に吸着するための吸着機構と、
吸着機構により長尺ウレタン材料を押圧した状態で、前記切れ目もしくはその近傍を材料面に垂直な方向に突き出させる突き出し機構と、
突き出し動作が行われた各長尺ウレタン製品を吸着機構に吸着した状態でトレイに搬送させる搬送機構と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
かかる構成による長尺ウレタン切り離し装置の作用・効果を説明する。切断装置により切れ目が形成された長尺ウレタン材料は、載置台の上に載置される。載置台に置いた状態で、吸着機構により押圧動作を行ない、切れ目もしくはその近傍を材料面に垂直な方向に突き出し動作を行なう。この突き出し動作により、たとえ、再粘着が生じていたとしても、切れ目が完全に分離される。従って、各長尺ウレタン製品を確実に切り離した状態にすることができる。従って、搬送機構により搬送する場合に、真空破壊等により製品を落下させてしまう問題をなくすことができる。その結果、長尺ウレタン材料から複数個の長尺ウレタン製品を切断して切り離す場合に、確実に切り離しを行い吸着搬送が可能な長尺ウレタン切り離し装置を提供することができる。
【0010】
本発明において、前記突き出し機構は、突き出し動作用として先端が球面状の棒状部材を備えていることが好ましい。
【0011】
突き出し動作をする部分を球面状とすることで、長尺ウレタン製品に対してキズなどの損傷を与えることなく突き出すことができる。球面状の棒状部材とすることで、これを上下動させることで、突き出し動作を行なうことができる。
【0012】
本発明において、前記棒状部材が長尺ウレタン材料の長手方向に沿って多数配置されており、いずれの棒状部材を選択するかを制御する制御部を備えていることが好ましい。
【0013】
長尺ウレタン材料から長尺ウレタン製品を切断する場合、材料や製品の長さは仕様などにより異なる。これらの長さが代わることにより、突き出し動作をすべき場所も異なってくる。そこで、長尺ウレタン材料の長手方向に沿って多数の棒状部材を配置させ、これらの中から適切なものを選択して動作するようにすることで、種々の長尺ウレタン製品に対して対応することができる。
【0014】
上記課題を解決するため本発明に係る長尺ウレタン切り離し方法は、
長尺ウレタン材料を幅方向に切断して、所定長さの長尺ウレタン製品を複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し方法であって、
切断装置により切断箇所に切れ目が形成された長尺ウレタン材料を載置台に載置するステップと、
載置台に載置されている長尺ウレタン材料の各長尺ウレタン製品部分を個別に吸着機構により吸着するステップと、
吸着装置により長尺ウレタン材料を吸着した状態で、前記切れ目もしくはその近傍を突き出し機構により材料面に垂直な方向に突き出させるステップと、
突き出し動作が行われた各長尺ウレタン製品を吸着機構に吸着した状態で、搬送機構によりトレイに搬送させるステップと、を有することを特徴とするものである。
【0015】
かかる構成による長尺ウレタン切り離し方法の作用・効果は、既に述べた通りであり、長尺ウレタン材料から複数個の長尺ウレタン製品を切断して切り離す場合に、確実に切り離しを行い吸着搬送が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る長尺ウレタン切り離し装置(以下、単に切り離し装置という)及び切り離し方法の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図14で説明したような長尺ウレタン製品を切断してからトレイに収容するまでの一連の工程を順番に説明する。一連の工程は、長尺ウレタン材料の切断(切れ目を入れる)、切り離し工程への搬送、切り離し、吸着搬送、トレイ収容の順番に行なわれる。最初に切断装置の構成から説明し、図1は、切断装置の正面図を示し、図2は、切断装置の側面図を示す。
【0017】
<切断装置の構成>
【0018】
長尺ウレタン材料を切断して得られる長尺ウレタン製品として、普通紙複写機、普通紙ファクシミリ、レーザービームプリンター等の静電方式の画像形成装置において、感光体や転写ベルト等のトナーを担持し或いはトナー担持面と接触する部材表面の残存トナーを除去するクリーニングブレードが例としてあげられる。以下、クリーニングブレード(以下、単に「ブレード」という)を切断するための装置として説明する。
【0019】
ブレードを製作するための長尺ウレタン材料Aは、図1、図2に示すように細長い矩形形状を有している。図1の左右方向が材料の長手方向に相当し、その長さは1000mm程度である。また、図2の左右方向が材料の幅方向に相当し、その幅長さは12mm程度である。また、材料の厚みは2,3mm程度である。この数値は一例であり、ブレードが使用される機種等に応じて数値は適宜変更されるものである。
【0020】
加工対象となる長尺ウレタン材料A(以下、「材料A」という)は、載置台1の上に搭載される。最初に載置されるのは、図2に示す載置位置P1であり、切断を行なう時には載置位置P1から切断位置P2へと平行移動させられる。材料Aを移動させるための移動機構2が、長手方向の両側に夫々配置されている。一対配置される移動機構2は、同じ構成を備えているので片方のみを説明する。
【0021】
移動機構2は、移送部材20を備えている。この移送部材20は、先端に爪部20aを有しており、材料Aの幅方向一端面A1(図14参照)を押すことで材料Aを移動させる。すなわち、材料Aを背後から押していくような態様で材料Aを移動させる。移送部材20は、フレーム22の所定箇所に軸芯20b周りに回転可能に軸支されている。この移送部材20の機能は、載置位置P1にある材料Aを切断位置P2に移動させ、切断位置P2にある切断処理後の材料Aを切断位置P2から更に下流側の工程(切り離し工程及び収容工程)へと移送させることである。
【0022】
フレーム22は、ガイド体24に連結されており、このガイド体24は、ガイドレール25に沿って図2の左右方向に移動可能に支持されている。従って、移送部材20は、図2の左右方向に移動可能に支持されている。
【0023】
次に、切断ユニットの構成について説明する。図1に示すように、材料Aの長手方向に沿って、左側から順に基準切断ユニットU1,第2調整用切断ユニットU2,U3,第1調整用切断ユニットU4の合計4つのユニットが配置されている。図7に示すように、基準切断ユニットU1による切断箇所は幅方向に沿った切断ラインL1で示され、同様に、2つの第2調整用切断ユニットU2,U3による切断箇所は切断ラインL2,L3で示され、第1調整用切断ユニットU4による切断箇所は切断ラインL4により示される。従って、1つの材料Aから3つのブレードBが得られるように材料Aを切断する。切断ラインL1,L4の外側の部分C1,C2は、廃棄処理される部分である。
【0024】
なお、本発明として、1つの材料Aから獲得されるブレードBの数は、特に限定されるものではなく、2つもしくは4つ以上であってもよい。ブレードBの数によって必要な切断ユニットの設置台数が決められる。
【0025】
切断ユニットUのうち、材料Aの長手方向一端部に位置するものは基準切断ユニットU1であり、他の調整用切断ユニットU2〜U4の位置調整を行う時の基準となるものである。従って、基準切断ユニットU1は図1の左右方向には移動しない状態で設置される。他の調整用切断ユニットU2〜U4は、材料Aや得られるブレードBの長手方向の長さに応じて位置調整が行われる。
【0026】
図2に示すように調整用切断ユニットU2〜U4は、プレート状のユニット支持体4に支持されており、このユニット支持体4には上下一対のガイド体5が取り付けられ、LMガイド6(リニアガイド機構及び切断ユニット移動機構に相当)により案内される。図1に示すようにLMガイド6は、材料Aの長手方向に沿って平行に延びる2本のレールで構成されており、各調整用切断ユニットU2〜U4をLMガイド6に沿って移動可能に構成している。
【0027】
各調整用切断ユニットU2〜U4を駆動するためにボールネジ機構7(切断ユニット移動機構に相当)が設けられている。従来は1つのボールネジにより、3つの切断ユニットUを移動させていたが、本発明では、調整用切断ユニットU2〜U4に対して、個別にボールネジ機構7が設けられる。図2に示すように、ボールネジ機構7は、ボールネジ7aとボールネジナット7bにより構成され、ボールネジナット7bがユニット支持体4に連結される。
【0028】
各調整用切断ユニットU2〜U4は、独立して位置調整可能にボールネジ機構7により駆動される。従って、各ボールネジ機構7を制御することで、各切断ユニットU2〜U4の位置を精度よく制御することができる。また、基準切断ユニットU1を基準として位置制御を行うことができ、基準吸着ユニットU1に対する各調整用切断ユニットU2〜U4の位置を精度よく決めることができる。
【0029】
次に、各切断ユニットUの構成を簡単に説明する。調整用切断ユニットU1はボールネジ機構7により駆動されない点を除いては、他の各調整用切断ユニットU2〜U4と同じ構成である。従って、いずれか1つの切断ユニットUについて説明を行い、他の切断ユニットUについては説明を省略する。
【0030】
各切断ユニットUの最下部には一対の押圧部10が設けられている。押圧部10は、材料Aの表面を押圧するための押圧面10aを備えている。一対の押圧部10は、切断ラインLの両側を押圧するように作用する。また、一対の押圧部10の間に切断刃11が設けられており、その先端部は押圧面10aよりも上方に位置している。切断刃11としてはギロチン式のカッターを使用することができる。また、押圧部10には不図示の押圧バネ(付勢手段に相当)が作用しており、下方に突出する方向にバネ付勢されている。押圧バネは、例えば、圧縮コイルスプリングなどにより構成することができる。なお、切断刃11による切断では、材料Aの切断位置に切れ目を入れるだけであり、この切断工程においては、材料Aを各製品に完全に切り離すことは行なわない。
【0031】
押圧部10及び切断刃11は、シリンダー12(ユニット駆動部に相当)により駆動され、シリンダー12を駆動することで、押圧部10と切断刃11が一体的に下降し、材料Aに対する切断作用を行うことができる。
【0032】
<切断装置の制御機能>
次に、切断装置の制御機能について図3のブロック図により説明する。制御部40は、切断装置の動作を統括的に制御する機能を有する。ボールネジ機構駆動部41は、制御部40からの指令に基づき、各調整用切断ユニットU2〜U4を駆動し、所定の位置に調整する。なお、一度調整を行った場合、同じ材料Aから同じ長さのブレードを切断する間は、その調整位置が保持される。
【0033】
切断ユニット駆動部42は、材料Aを切断する時に、制御部40からの指令に基づいて各切断ユニットUを駆動する。なお、4つの切断ユニットUは同時に駆動され、4箇所の切断も同時に行われる。制御プログラム格納部43には、各切断ユニットUなどを動作させるためのプログラムが格納されており、制御部40は、このプログラムにしたがって、各部に指令を出す。従って、制御部40は、切断ユニット制御部として機能する。
【0034】
入力部44は、製品であるブレードBの長手方向の寸法データを入力するためのものである。寸法データは、データ変換部45においてデータ変換され、基準切断ユニットU1を基準として、各調整用切断ユニットU2〜U4の調整すべき位置データに変換する。例えば、基準切断ユニットU1の位置を原点として、各調整用切断ユニットU2〜U4の調整位置座標を演算する。この変換されたデータや、その他製品ブレードBに関するデータは、データ記憶部46に記憶される。制御部40は、入力部44から入力された寸法データに基づいて、各調整用切断ユニットU2〜U4に対する位置制御を行うことができる。
【0035】
移動機構駆動部47は、制御部40からの指令に基づいて、移送部材20の駆動を行なう。
【0036】
<切断動作>
次に、以上説明してきた切断装置により材料Aの切断を行う場合の動作を説明する。図4は、動作内容を示す簡単なフローチャートである。図5及び図6は、移動機構2及び切断ユニットUの動作を説明する図である。
【0037】
まず、新たにブレードの切断を行おうとする場合には、寸法データの入力を入力部44から入力する(S1)。制御部40は、この入力された寸法データに基づいて、ボールネジ機構駆動部41に指令を与え、各調整用切断ユニットU2〜U4の位置調整を行う(S2)。調整が終了した後、切断動作開始指令を出す(S3)。これは、入力部44からの特定のキー入力操作などにより行なうことができる。
【0038】
なお、切断処理対象となる材料Aは、上流側の工程から不図示の搬送機構により載置台1の上に順番に搬送されてくる。材料Aが載置台1の上の所定箇所に載置された後、移動機構2を駆動し図2に示す位置から前進させる(S4)。これにより、後側の移送部材20の爪部20aが材料Aを切断ユニットUの方向に押していく(S5)。
【0039】
図5Aは、材料Aが載置位置P1から切断位置P2へと移動した状態を示す。切断動作が開始されると、材料Aが載置位置P1から切断位置P2へと移動され、切断された材料Aが切断位置P2から受け渡し位置P3へと移動される。受け渡し位置P3に移動された切断済みの材料Aは、図7に示す別の移動機構30により下流側へと搬送される。なお、下流側の工程では、材料Aから切断されたブレードBを仕分ける工程が行われる。
【0040】
材料Aの移送が完了すると、移動機構2を図2に示す初期位置に復帰させる(S6)。あるいは、切断ユニットUと干渉しない位置まで後退させる。
【0041】
次に、4つの切断ユニットUを動作させる。そのためシリンダー12を駆動し、押圧部10と切断刃11を下降させる(S7)。これにより、図6A及び図5Cに示すように、まず押圧部10が切断箇所の両側を押圧する。押圧部10が押圧した直後では、まだ切断刃11の先端は材料Aの位置に到達していない。引き続く下降動作により、押圧部10はこれ以上下降しないが、押圧バネが徐々に作用して行き、材料Aに対する押圧作用が行われる。これにより、材料Aが不用意に移動しないように押えることができ、切断動作を確実に行なうことができる。なお、この切断動作において、切断ラインが材料Aに形成されるが、この時点で製品のブレードBに分離されるのではなく、後工程においてブレードB毎に分離されて仕分けされる。従って、切断ラインが入れられた状態で、材料Aは後工程である切り離し工程及び収容工程に移送されることになる。材料Aは、切れ目が入れられた状態であるが、切り離しはされない状態で、次工程に搬送される。
【0042】
図6Bは、切断刃11により材料Aが切断される状態を示している(S8)。4つの切断ユニットUを同時に動作させて、同時に4箇所の切断が行われる。切断動作が終了すると、押圧部10及び切断刃11は上昇し、各切断ユニットUは図2に示す初期位置に復帰する(S9)。全ての材料Aの切断処理が終了していなければ、S4に戻り同様に処理を繰り返す。
【0043】
以上のような構成を有する切断装置によれば、入力部44から入力される寸法データに基づいて、各調整用切断ユニットU2〜U4の位置を調整することができ、作業者の手を煩わすことなく、簡単かつ精度の高い位置調整を行うことができる。
【0044】
<切り離し装置及び吸着搬送装置>
次に、切り離し装置と吸着搬送装置(吸着機構に相当)の構成を図7〜図9により説明する。図7は、吸着搬送装置の構成を示す側面図である。図8は、切り離し装置及び吸着搬送装置の構成を示す正面図である。図9は、吸着搬送装置及び収容部の構成を示す平面図である。
【0045】
図7に示す移送部材30は、図2で示すものと同じである。移送部材30は、フレーム32に支持されており、その構成は既に説明した通りであるので省略する。切断位置Pにおいて切れ目を入れられた材料Aは、受け渡し位置P3において移送部材30へ受け渡され、さらに、切り離し位置P4へと搬送される。材料Aには4箇所に切れ目が入れられているが、個々のブレードB(長尺ウレタン製品)への分離は行なわれていない。
【0046】
切り離し位置P4へ搬送された材料Aは、個々の3つのブレードBに切り離され、収容装置60に収容される。収容装置60として、3つのトレイ61が図9に示すように材料Aの長手方向に沿って並べて配置される。トレイ61には、ブレードBを収容するための収容溝61aが形成されている。収容溝61aは、収容されるブレードBの長手方向の長さに対応した溝長さを有する。トレイ61は、同じものが上下方向に積層される形で載置されている。トレイ61には、所定数の収容溝61aが形成されており、全ての収容溝61aにブレードBが収容されると、そのトレイ61は取り除き、次のトレイ61が一番上に来るようにする。なおトレイ61の除去については、不図示の機構により自動的に行なうようにする。
【0047】
トレイ61に収容されるまでの間に、各ブレードBを切れ目から切り離す必要がある。しかし、材料Aの切断箇所には切れ目を入れているだけであるから、切り離し位置P4へ搬送されるまでの間に、切断箇所にズレが生じるなどの原因により、切断箇所が再粘着する場合がある。このような再粘着により切り離しがスムーズに行かない場合が生じる。そのため、本発明においては、切り離し装置を設けており、その構成を図8に示す。
【0048】
材料Aが載置される載置台1の下方向に突き出しシリンダー35が多数配置されている。突き出しシリンダー35は、垂直姿勢に設定された棒状部材36を上下駆動するものであり、棒状部材36の先端には先端形状が球面に形成されたキャップ36aが嵌め込まれている。キャップ36aは、先端が球面であると共に、フッ素樹脂で形成されており、材料Aを突き上げるときに材料Aに対して損傷を与えないようにしている。棒状部材36を載置台1の表面に突出可能にするために、多数の開口孔1aが形成されている。
【0049】
多数設けられている棒状部材36のうち、どれを使用するかについては、材料Aの切れ目の位置により決まるものであり、最も適切な位置にある棒状部材36が選択される。突き上げる位置は、ちょうど切れ目のある位置か、切れ目の近傍とすることが好ましい。あるいは、切れ目の位置と近傍の両方を突き上げるようにしてもよい。突き上げ動作に使用される棒状部材36は、切れ目の数と同じ4つとなっている。
【0050】
次に、吸着搬送装置50(ブレードBをトレイ61に搬送させる搬送機構)の構成を説明する。吸着搬送装置50は、材料Aから得られたブレードBを吸着して、トレイ61の位置まで搬送する。図8に示すように、3つの吸着ユニットW1,W2,W3が、材料Aの長手方向に沿って配置されている。各吸着ユニットW1,W2,W3は、夫々独立して動作することが可能である。3つ設けられているのは、1つの材料Aから製作されるブレードBが3つであり、夫々を個別に吸着して搬送するためである。
【0051】
図8において一番左側にある吸着ユニットW1は、4つの吸着パッド51を備えており、左側の2つの吸着パッド51は第1フレーム52に取り付けられ、右側の2つの吸着パッド51は、第2フレーム53に取り付けられている。第1フレーム52は固定されており、従って、これに取り付けられる2つの吸着パッド51も材料Aの長手方向(図8の左右方向)に沿って動くことはできない。一方、第2フレーム53は、長手方向に沿って移動可能であり、これに取り付けられる2つの吸着パッド51もこれに伴い移動可能である。
【0052】
真ん中に位置する吸着ユニットW2の吸着パッド51も2つのフレーム54に取り付けられているが、4つの吸着パッド51の長手方向における相対的な位置関係は変わらないように構成されている。右側に位置する吸着ユニットW3の吸着パッド51も2つのフレーム55に取り付けられているが、吸着ユニットW2と同じく吸引パッド51どうしの相対的な位置関係は変わらない。もちろん、本発明の構成としては、同じ吸着ユニット内における4つの吸着パッド51の相対的な位置関係を変更自在に構成してもかまわない。
【0053】
図7に示すように、各吸着パッド51は連結部材56を介して真空ポンプ(不図示)に連結されている。各吸着ユニットW1,W2,W3に対応して、3つのエアシリンダー57が設けられており、吸着パッド51を上下駆動させることができる。エアシリンダー57の駆動軸57aに、フレーム52などが取り付けられており、フレームごとに吸着パッド51を上下駆動させる。
【0054】
各吸着ユニットW1,W2,W3は、ボールネジ機構58により長手方向に沿って個別に移動させることができる。ただし、一番左側の吸着ユニットW1については、前述のように、2つの吸着パッド51のみが移動可能である。ボールネジ機構58は、ボールネジ58aとボールネジナット58bにより構成され、ボールネジナット58bがユニット支持体58cに連結される。
【0055】
図10は、材料Aの長さが長い場合と短い場合の吸着パッド51による吸着位置の比較を示す図である。長さが長くなると(a)から(b)のように、吸着ユニットW2,W3が移動する。従って、4つの吸着パッド51は互いの間隔を保持したまま、平行移動するように移動する。吸着位置は、長手方向のちょうど真ん中をバランスよく(左右対称に)吸着できるように、各吸着位置が決められる。また、吸着ユニットW1については、右側の2つの吸着位置のみが変動されるが、全体としてバランスよく左右対称になるように吸着位置が決められる。
【0056】
ボールネジ機構58により各吸着ユニットW1,W2,W3の位置を制御できるようにしたので、精度よく吸着位置を設定することができ、トレイ61への挿入も精度よく行なうことができる。従って、材料AやブレードBの長さの変更などに対して容易に対応することができる。
【0057】
図7に示すように、吸着搬送装置50の全体は支持体65により支持されており、この支持体65がガイドレール66に沿って不図示の駆動源により移動可能に構成されている。これにより、吸着搬送装置50により切り離しされたブレードBを吸着して、トレイ61の中に収容させることができる。
【0058】
<切り離し装置および吸着搬送装置の制御機能>
次に、切り離し装置および吸着搬送装置の制御機能について図11のブロック図により説明する。制御部40は、図3に示すものと同じであり、切り離し装置および吸着搬送装置の動作を統括的に制御する機能を有する。ボールネジ機構駆動部48は、制御部40からの指令に基づき、各吸着ユニットW1〜W3を駆動し、所定の位置に調整する。なお、一度調整を行った場合、同じ材料Aから同じ長さのブレードBを切断する間は、その調整位置が保持される。
【0059】
制御部40は、エアシリンダー57に指令を与え、材料Aの切り離しを行なうときにエアシリンダー57を下降させて、トレイ61内に収容するまで吸着を保持するようにする。なお、エアシリンダー57による吸着パッド51の下降動作は同時に行なわれ、吸着動作も同時に行われる。制御プログラム格納部43には、各吸着ユニットW1〜W3などを動作させるためのプログラムが格納されており、制御部40は、このプログラムにしたがって、各部に指令を出す。
【0060】
入力部44、データ変換部45、データ記憶部46については、既に図3において説明した通りである。制御部40は、入力部44から入力された寸法データに基づいて、各吸着ユニットW1〜W3に対する位置制御や切り離しされたブレードBをトレイに収容するときの位置制御を行うことができる。
【0061】
移動機構駆動部47は、図3においても説明したが、制御部40からの指令に基づいて、移送部材30の駆動を行なう。すなわち、移送部材30により、切断処理がされた材料Aを受け渡し位置P3から切り離し位置P4へと移送できるように制御する。切り離し位置P4へ材料Aを停止させる制御は、移送部材30の駆動量や材料Aを検出するセンサーなどの適宜の方法で行なうことができる。
【0062】
制御部40は、複数の切り離しシリンダー49に対する駆動指令を出す。どの切り離しシリンダー49を選択して駆動させるかは、前述の入力部44から入力された寸法データに基づいて制御することができる。
【0063】
制御部40は、吸着搬送装置駆動部62に対して指令を与えて、吸着搬送装置50に対する駆動制御を行なう。吸着搬送装置駆動部62は、前述の支持体65、ガイドレール66、駆動源などにより構成される。従って、吸着パッド51によりブレードBを吸着して、予め決められたトレイ61の収容溝61a内に収容される。従って、切り離し位置P4と各トレイ61までの距離情報、各収容溝61aの位置情報などは、データ記憶部46に記憶されており、これに基づいて、吸着搬送装置50の移動量と、各吸着ユニットW1〜W3の移動量を決めることができる。
【0064】
制御部40は、真空ポンプ63に対する駆動制御を行い、吸着パッド51による材料A(ブレードB)の吸着及び吸着解除の動作を行なわせる。
【0065】
<切り離し動作>
次に、図12により、材料Aから各ブレードBに切り離し、トレイ61に収容するまでの工程を図12のフローチャートにより説明する。まず、切断工程において切断された(切れ目が入れられた)材料Aは、受け渡し位置P3から切り離し位置P4まで移送部材30により搬送される(S21)。切り離し位置P4の所定の位置に搬送されてきたことが検出されると、吸着パッド51が下降し、材料Aの表面に接触する位置に到達する(S22)。次に、真空ポンプ63を駆動させて、材料Aを吸着する(S23)。
【0066】
次に、切り離しシリンダー35を動作させて、棒状部材36を上昇させ切れ目部分の切り離し動作を行なう(S24)。これを図13に示すが、棒状部材36のキャップ36aで切れ目の中心位置を押し上げて、ブレードB同士の切り離しを行なう。キャップ36aの上昇量は、キャップ36aの先端が、材料Aの表面よりも少し突出する程度でよい。
【0067】
切り離しが終了した後、吸着パッド51により各ブレードBを吸着したまま上昇させる(S25)。次に、吸着搬送装置駆動部62により吸着搬送装置50全体を移動させることで、ブレードBをトレイ61の位置まで移送させる(S26)。トレイ61の位置へブレードBを搬送するまでの間に、各吸着ユニットW1〜W3の間隔をトレイ61の間隔に対応させるために、ボールネジ機構58により変更させる。トレイ61の所定の収容溝61aにブレードBが搬送されると、吸着を解除し、これにより、収容溝61a内にブレードBが収容される。
【0068】
<別実施形態>
【0069】
切断ユニットUの切断刃11は、ギロチン式カッターに限定されるものではなく、例えば、回転刃などの移動刃により切断するようなカッターを用いてもよい。
【0070】
棒状部材30の駆動はシリンダーにより行なっているが、これに限定されるものではなく、例えば、モーターなどの駆動源により駆動してもよい。棒状部材30の形状・材質などについては、適宜変更可能であり、例えば、キャップ36aを備えていなくてもよい。また、本実施形態では、多数の棒状部材30を配置しているが、棒状部材30を材料Aの長手方向に沿って移動させる機構を設けることもできる。この場合は、棒状部材30の数を減らすことができる。また、棒状部材30による突き上げ動作を行なう場合は、吸着パッド51により材料Aを押圧しているが、このとき、吸着パッド51による吸着動作をしていてもよいし、突き上げ動作を行なった後に吸着動作を行なってもよい。
【0071】
入力部44から入力するデータは寸法データではなく、製品を特定するIDや製品番号などを入力あるいは指定するような構成でもよい。この場合、予め、製品に関するデータを入力してデータベース化しておき、入力された製品番号等からブレードの長手方向の寸法データを読み出し、これに基づいて、各調整用切断ユニットU2〜U4の位置調整を行ってもよい。
【0072】
本発明に係る長尺ウレタン材料の具体的な材料については、例えば、特開2005−345633号公報に開示されるポリウレタン弾性体があげられるが、これに限定されるものではない。また、長尺ウレタン材料は、クリーニングブレードを製作するものだけでなく、例えば、電子写真複写機のマグネットローラーにトナーを摩擦帯電させトナーを薄層形成させるトナーブレードについても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】長尺ウレタン切断装置の正面図
【図2】長尺ウレタン切断装置の側面図
【図3】切断装置の制御機能を示すブロック図
【図4】切断装置の動作を示すフローチャート
【図5A】移動機構の動作を説明する図
【図5B】移動機構の動作を説明する図
【図6A】切断ユニットの動作を説明する図
【図6B】切断ユニットの動作を説明する図
【図7】吸着搬送装置の構成を示す側面図
【図8】切り離し装置及び吸着搬送装置の構成を示す正面図
【図9】吸着搬送装置及び収容部の構成を示す平面図
【図10】材料の長さが長い場合と短い場合の吸着パッド51による吸着位置の比較を示す図
【図11】切り離し装置および吸着搬送装置の制御機能を示すブロック図
【図12】切り離しから収容までの動作を示すフローチャート
【図13】棒状部材による突き上げ動作を示す図
【図14】長尺ウレタン材料と製品ブレードの関係を示す図
【符号の説明】
【0074】
A 長尺ウレタン材料
B ブレード(長尺ウレタン製品)
P3 受け渡し位置
P4 切り離し位置
W1,W2.W3 吸着ユニット
1 載置台
30 移送部材
35 切り離しシリンダー
36 棒状部材
36a キャップ
40 制御部
50 吸着搬送装置
51 吸着パッド
58 ボールネジ機構
61 トレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺ウレタン材料を幅方向に切断して、所定長さの長尺ウレタン製品を複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し装置であって、
切断装置により切断箇所に切れ目が形成された長尺ウレタン材料を載置する載置台と、
この載置台に載置されている長尺ウレタン材料の各長尺ウレタン製品部分を個別に吸着するための吸着機構と、
吸着機構により長尺ウレタン材料を押圧した状態で、前記切れ目もしくはその近傍を材料面に垂直な方向に突き出させる突き出し機構と、
突き出し動作が行われた各長尺ウレタン製品を吸着機構に吸着した状態でトレイに搬送させる搬送機構と、を備えていることを特徴とする長尺ウレタン切り離し装置。
【請求項2】
前記突き出し機構は、突き出し動作用として先端が球面状の棒状部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の長尺ウレタン切り離し装置。
【請求項3】
前記棒状部材が長尺ウレタン材料の長手方向に沿って多数配置されており、いずれの棒状部材を選択するかを制御する制御部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の長尺ウレタン切り離し装置。
【請求項4】
長尺ウレタン材料を幅方向に切断して、所定長さの長尺ウレタン製品を複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し方法であって、
切断装置により切断箇所に切れ目が形成された長尺ウレタン材料を載置台に載置するステップと、
載置台に載置されている長尺ウレタン材料の各長尺ウレタン製品部分を個別に吸着機構により吸着するステップと、
吸着装置により長尺ウレタン材料を吸着した状態で、前記切れ目もしくはその近傍を突き出し機構により材料面に垂直な方向に突き出させるステップと、
突き出し動作が行われた各長尺ウレタン製品を吸着機構に吸着した状態で、搬送機構によりトレイに搬送させるステップと、を有することを特徴とする長尺ウレタン切り離し方法。
【請求項1】
長尺ウレタン材料を幅方向に切断して、所定長さの長尺ウレタン製品を複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し装置であって、
切断装置により切断箇所に切れ目が形成された長尺ウレタン材料を載置する載置台と、
この載置台に載置されている長尺ウレタン材料の各長尺ウレタン製品部分を個別に吸着するための吸着機構と、
吸着機構により長尺ウレタン材料を押圧した状態で、前記切れ目もしくはその近傍を材料面に垂直な方向に突き出させる突き出し機構と、
突き出し動作が行われた各長尺ウレタン製品を吸着機構に吸着した状態でトレイに搬送させる搬送機構と、を備えていることを特徴とする長尺ウレタン切り離し装置。
【請求項2】
前記突き出し機構は、突き出し動作用として先端が球面状の棒状部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の長尺ウレタン切り離し装置。
【請求項3】
前記棒状部材が長尺ウレタン材料の長手方向に沿って多数配置されており、いずれの棒状部材を選択するかを制御する制御部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の長尺ウレタン切り離し装置。
【請求項4】
長尺ウレタン材料を幅方向に切断して、所定長さの長尺ウレタン製品を複数個製作するに際し、切断箇所を切り離すための長尺ウレタン切り離し方法であって、
切断装置により切断箇所に切れ目が形成された長尺ウレタン材料を載置台に載置するステップと、
載置台に載置されている長尺ウレタン材料の各長尺ウレタン製品部分を個別に吸着機構により吸着するステップと、
吸着装置により長尺ウレタン材料を吸着した状態で、前記切れ目もしくはその近傍を突き出し機構により材料面に垂直な方向に突き出させるステップと、
突き出し動作が行われた各長尺ウレタン製品を吸着機構に吸着した状態で、搬送機構によりトレイに搬送させるステップと、を有することを特徴とする長尺ウレタン切り離し方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−221366(P2008−221366A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60410(P2007−60410)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]