説明

開閉装置並びに小型電子機器

【課題】 第1の筐体と第2の筐体をスライド機構を用いてスライド動作させて開成状態とさせた後、第2の筐体を第1の筐体に対してさらにリフトダウンさせて、第2の筐体を第1の筐体に対して同一平面上に並置させることができるように成した開閉装置を提供せんとする。
【解決手段】 第1の筐体に取り付けられたヒンジ手段と、このヒンジ手段の可動部に取り付けられたスライドベース部材を有するスライド機構とから成り、前記ヒンジ手段は前記スライドベース部材を水平状態で上下方向へ旋回させてリフトダウン及びリフトアップ動作させるリンク機構を備えており、前記スライド機構は前記第2の筐体側へ取り付けられ前記スライドベース部材に対してスライド可能に係合させたスライドプレートと、このスライドプレートと前記スライドベース部材との間に弾設した弾性手段とをさらに有するように構成することで解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体を互いに重なり合った状態から、スライドさせて開閉するのに用いて好適な開閉装置並びにこの開閉装置を用いた小型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、とくにポケット型コンピュータ、PDA、電子辞書及び、携帯電話機といったような小型電子機器であって、上面にキーボード部を設けた略矩形状の第1の筐体と同じく上面にディスプレイ部を設けた略矩形状の第2の筐体とを、互いに重なり合わせた閉成状態から、長手方向へ相対的にスライドさせて第1の筐体の上面を露出させる開成状態を作り出すスライド機構を用いた開閉装置が、下記する特許文献1により公知である。そして、この特許文献1に記載の開閉装置は、開成動作終了時に第2の筐体の先端側を第1の筐体に対して引き起こして傾斜させるためのヒンジ手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−113067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の開閉装置によれば、スライド機構による第1の筐体に対する第2の筐体の開成動作の終了時において、第2の筐体の先端側をヒンジ手段により引き起こして第1の筐体に対して傾斜させることができることから、第2の筐体のディスプレイ部に表示された画面が見易いといった利点があった。しかしながら、この状態で第1の筐体上のキーボード部を操作し続ける場合には、第1の筐体と第2の筐体の重量バランスを図らないと、状態が不安定となって、第2の筐体が後方へ倒れ込んでしまうという問題があり、第2の筐体の表面に操作キー等を設けたものの場合には、より一層開成状態が不安定となって操作キーを操作しにくいという問題があった。このことは、単にスライド機構のみによる開閉装置の場合においても、同様のことが言えた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述した第1の筐体と第2の筐体をスライド機構を用いてスライド動作させて開成状態とさせた後、第2の筐体を第1の筐体に対してさらにリフトダウンさせて、第2の筐体を第1の筐体に対して同一平面上に並置させることができるように成した開閉装置を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を達成するために本発明は、第1の筐体と第2の筐体を相対的に開閉させるものであって、前記第1の筐体に取り付けられたヒンジ手段と、このヒンジ手段の可動部に取り付けられたスライドベース部材を有するスライド機構とから成り、前記ヒンジ手段は前記スライドベース部材を水平状態で上下方向へ旋回させてリフトダウン及びリフトアップ動作させるリンク機構を備えており、前記スライド機構は前記第2の筐体側へ取り付けられ前記スライドベース部材に対してスライド可能に係合させたスライドプレートと、このスライドプレートと前記スライドベース部材との間に弾設した弾性手段とをさらに有することを特徴とする。
【0007】
その際に本発明は、前記ヒンジ手段を、前記リンク機構を備えた第1ヒンジ手段と、この第1ヒンジ手段の動作に追随する動作を行う第2ヒンジ手段とで構成することができる。
【0008】
本発明はまた、第1の筐体と第2の筐体を相対的に開閉させるものであって、前記第1の筐体と第2の筐体との間に設けられ、前記第2の筐体が前記第1の筐体に対して重なり合った閉成状態と前記第1の筐体の上面を露出させる開成状態を作り出すスライド機構と、第1リンク機構を有し、前記スライド機構による開成動作の終了時に操作可能となって前記第2の筐体を前記第1の筐体に対してリフトダウンさせる第1ヒンジ手段と、この第1ヒンジ手段の動作に追随する動作を行う第2ヒンジ手段とからなり、前記第1ヒンジ手段と第2ヒンジ手段は、前記第2の筐体を前記スライド機構による開成動作の終了時に前記第1の筐体に対して水平状態のままで旋回させて当該第1の筐体と並置するように構成したことを特徴とする。
【0009】
その際に本発明は、前記第2の筐体の下面両側部に、前記第1ヒンジ手段と第2ヒンジ手段の上部側を逃がすためのガイド溝を設け、これらのガイド溝には前記第1ヒンジ手段と第2ヒンジ手段の回動を許容する凹部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明は、前記リンク機構を、第2ヒンジ手段に設けることを特徴とする。
【0011】
また、本発明によれば、前記スライド機構を、前記第1の筐体側に取り付けた前記第1ヒンジ手段と第2ヒンジ手段の第1ベースプレートと第2ベースプレートへ固着したスライドベース部材と、前記第2の筐体の側に取り付けられ、前記スライドベース部材に対してスライド可能に係合させたスライドプレートと、このスライドプレートと前記スライドベース部材との間に弾設された弾性手段とで構成したことを特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、前記第1ヒンジ手段に、前記第2の筐体の前記第1の筐体に対するリフトダウン動作時に動作する回転制御手段を設けたものである。
【0013】
さらに、本発明によれば、前記第1ヒンジ手段は、前記第1の筐体側に取り付けた第1取付部材に固定した第2ヒンジピンと、この第2ヒンジピンに対し離間対向させて回転可能に連結した第1リンクアーム及び第2リンクアームと、前記第1リンクアーム及び第2リンクアームの各自由端側に回転可能に取り付けられた第1ヒンジピンとで構成し、この第1ヒンジピンは、前記スライドベース部材に取り付けた第1ベースプレートに固定されていることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明は、前記第2ヒンジ手段は、前記第1の筐体側に取り付けた第2取付部材に固定した第4ヒンジピンと、この第4ヒンジピンに対し離間対向させて回転可能に連結した第3リンクアーム及び第4リンクアームと、前記第3リンクアーム及び第4リンクアームの各自由端側に回転可能に取り付けられた第3ヒンジピンとで構成し、この第3ヒンジピンは、前記スライドベース部材に取り付けた第2ベースプレートに固定されていることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明は、前記第1リンク機構を、前記第2リンクアームの中央部に回転可能に取り付けられた第1リンク円盤と、前記第1ヒンジピンと第2ヒンジピンに回転を拘束されて取り付けられた一対の第1リンクベースと、この各第1リンクベースと前記第1リンク円盤に連結された一対の第1ストッパーアームとで構成したことを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明によれば、前記第2ヒンジ手段に設けられる第2リンク機構を、前記第4リンクアームの中央部に回転可能に取り付けられた第2リンク円盤と、前記第3ヒンジピンと第4ヒンジピンに回転を拘束されて取り付けられた一対の第2リンクベースと、この各第2リンクベースと前記第2リンク円盤に連結された一対の第2ストッパーアームとで構成したことを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明によれば、前記回転制御手段を、前記第1ヒンジピンと第2ヒンジピンをそれぞれ回転可能に挿通させ、前記第1リンクアームと第2リンクアームに固定された一対の第1カム部材と、この各第1カム部材と対向して前記第1ヒンジピンと第2ヒンジピンに回転を拘束されて取り付けられた一対の第2カム部材と、この各第2カム部材を前記各第1カム部材の側へ押圧させる一対の弾性手段とで構成したことを特徴とする。
【0018】
そして、本発明は、以上に記載した開閉装置を、前記第1の筐体と第2の筐体の間に取り付けたことを特徴とする小型電子機器とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第2の筐体を第1の筐体に対してスライド機構を介して相対的に水平方向へスライドさせて開閉することができた上で、開成動作終了時に第2の筐体を第1の筐体に対して水平状態を維持したままでリフトダウンさせて第1の筐体に対して並置させることができるので、第1の筐体や第2の筐体のキー操作等を行ない易いという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る開閉装置を用いた小型電子機器の斜視図である。
【図2】本発明に係る開閉装置の動作を説明する斜視図である。
【図3】本発明に係る開閉装置の動作を説明する斜視図である。
【図4】本発明に係る開閉装置の動作を説明する斜視図である。
【図5】本発明に係る開閉装置の動作を説明する側面図であり、(a)図はその第2の筐体のスライド動作前の状態、(b)図は第2の筐体のスライド動作終了時の状態、(c)図は第2の筐体のリフトダウン動作開始時の状態、(d)図は第2の筐体のリフトダウン動作終了時の状態をそれぞれ示している。
【図6】本発明に係る開閉装置のスライド機構を説明する斜視図である。
【図7】本発明に係る開閉装置のスライド機構の動作を説明する斜視図である。
【図8】本発明に係る開閉装置のスライド機構の動作を説明する斜視図である。
【図9】本発明に係る開閉装置の第1の筐体の斜視図である。
【図10】本発明に係る開閉装置の第2の筐体を裏側から見た斜視図である。
【図11】本発明に係る開閉装置のスライドベース部材の斜視図である。
【図12】本発明に係る開閉装置のスライド機構の部分の縦断面図である。
【図13】本発明に係る開閉装置の図6の左側に位置する第1ヒンジ手段の縦断面図である。
【図14】本発明に係る開閉装置の図6の右側に位置する第2ヒンジ手段の縦断面図である。
【図15】図13に示した第1ヒンジ手段の分解斜視図である。
【図16】図14に示した第2ヒンジ手段の分解斜視図である。
【図17】図13に示した第1ヒンジ手段のリフトダウン動作を説明するもので、(a)図はスライド機構によるスライド動作開始前の状態、(b)図はスライド動作終了時の状態、(c)図はリフトダウン動作開始時の状態、(d)図はリフトダウン動作終了時の状態を各々示している。
【図18】図14に示した第2ヒンジ手段のリフトダウン動作を説明するもので、(a)図はスライド機構によるスライド動作開始前の状態、(b)図はスライド動作終了時の状態、(c)図はリフトダウン動作開始時の状態、(d)図はリフトダウン動作終了時の状態を各々示している。
【図19】本発明に係る開閉装置の第1及び第2ヒンジピンの斜視図である。
【図20】本発明に係る開閉装置の第2及び第4ヒンジピンの斜視図である。
【図21】本発明に係る開閉装置の第1カム部材の斜視図である。
【図22】本発明に係る開閉装置の第2カム部材の斜視図である。
【図23】本発明に係る開閉装置の第1及び第2取付シャフトの斜視図である。
【図24】本発明に係る開閉装置の第1及び第2ストッパー円盤の斜視図である。
【図25】本発明に係る開閉装置の第1及び第2リンク円盤の斜視図である。
【図26】本発明に係る開閉装置の第1及び第2スペーサーの斜視図である。
【図27】本発明に係る開閉装置の第1及び第2ストッパーアームの斜視図である。
【図28】本発明に係る開閉装置の第1及び第2リンクベースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施する開閉装置としての最良の実施形態は、小型電子機器の第1の筐体と第2の筐体を相対的に開閉させるものであって、前記第1の筐体に取り付けられたヒンジ手段と、このヒンジ手段の可動部に取り付けられたスライドベース部材を有するスライド機構とから成り、前記ヒンジ手段は前記スライドベース部材を水平状態で上下方向へ旋回させてリフトダウン及びリフトアップ動作させるリンク機構を備えており、前記スライド機構は前記第2の筐体側へ取り付けられ前記スライドベース部材に対してスライド可能に係合させたスライドプレートと、このスライドプレートと前記スライドベース部材との間に弾設した弾性手段とをさらに有するものとすることであり、また、このような構成の開閉装置を第1の筐体と第2の筐体の間に取り付けた小型電子機器である。
【0022】
以下に本発明を小型電子機器の1例としてのポケット型コンピュータに実施した場合について説明するが、本発明に係る開閉装置は、ポケット型コンピュータ以外のPDA、電子辞書、携帯電話機等の小型電子機器に用いることができる。
【実施例1】
【0023】
図面によれば図1乃至図4において、指示記号1は、例えばポケット型コンピュータを概略的に示すものであり、このポケット型コンピュータ1は、上面にキーボード部2aを有する第1の筐体2と、上面にディスプレイ部3aを有する第2の筐体3と、第1の筐体2と第2の筐体3の間に取り付けられた開閉装置4とで構成されており、開閉装置4はさらに、スライド機構5と、第1ヒンジ手段6と、第2ヒンジ手段7とで構成されている。そして、各第1ヒンジ手段6と第2ヒンジ手段7は、図12〜図14に示したように、半ケース6b、6cから成る第1ヒンジケース6aと半ケース7b、7cから成る第2ヒンジケース7a内に収容されている。尚、この第1ヒンジ手段6と第2ヒンジ手段7は、これを一つのヒンジ手段にまとめることが出来、この場合にはこの一つのヒンジ手段は、第1ヒンジ手段6の構成とすることが望ましい。尚、指示記号6e、6eと7f、7fはワッシャー23、23と46、46を挿通させるための挿通孔である。
【0024】
第1の筐体2の後端部両側には、とくに図9に示したように、第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aの下部側を収容する収容凹部2b、2bが設けられている。第2の筐体3の下面両側部には、とくに図5(a)図〜(d)図と図10に示したように、前後(短手)方向に渡って第1ヒンジ手段6と第2ヒンジ手段7のヒンジケース収容溝3b、3bが設けられ、図12乃至図14に示したように、内部に第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aの各上側が収容されている。また、ヒンジケース収容溝3b、3bの前端部には、第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aの回転を許容する凹部3c、3cが設けられている。この第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aは、とくに図5と図15及び図16に示したように、ヒンジケース収容溝3b、3bの平坦な天井部3d、3dと接するストッパー部6d、7dを有している。また、図1乃至図4に示したように、指示記号3eは第2の筐体3側に設けられた操作キー或は操作ボタンである。
【0025】
スライド機構5は、とくに図6〜図8及び図11と図12に示したように、基板8aと、この基板8aの両側部に設けられた断面略横U字形状の取付溝8b、8bを有し、第1ヒンジ手段6と第2ヒンジ手段7の各第1ベースプレート9と第2ベースプレート10上に固着されることによって、第1の筐体2側に取り付けられたスライドベース部材8と、このスライドベース部材8の取付溝8b、8bに取り付けた断面略横U字形状の摺動促進部材8c、8cに設けたガイド溝8f、8fにその両側部のレール部11a、11aをスライド可能に挿通させて、第2の筐体3の下面に設けた取付凸部3g、3gへ取り付けられた平面略矩形状を呈したスライドプレート11と、このスライドプレート11とスライドベース部材8の両側部との間に弾接された、例えばスネークスプリング等から成る一対の弾性手段12、12とで構成されている。尚、スライドベース部材8に指示記号8eで示したものはケーブル挿通孔である。弾性手段12、12の一端部は、スライドプレート11に取付ピン11b、11bを介して旋回可能に取り付けられ、他端部はスライドベース部材8の両側部に設けた取付片8d、8dに回転可能に取り付けたスプリングホルダー13、13に旋回可能に取り付けられている。
【0026】
左側の第1ヒンジ手段6は、回転制御手段14と第1リンク機構15を有し、上述したように第2の筐体3側にスライドプレート11を介して取り付けられる、第1ベースプレート9の側板9aに固定して設けた第1ヒンジピン16と、第1の筐体2の左後部上端に下向きに取り付けた断面略L字形状の第1取付部材17と、この第1取付部材17の側板17aに取り付けた第2ヒンジピン18と、第1ヒンジピン16と第2ヒンジピン18の第1取付部材17側を連結する第1リンクアーム19と、第1ヒンジピン16と第2ヒンジピン18の各自由端側を連結する第2リンクアーム20とで構成されている。
【0027】
第1ヒンジ手段6の第1ヒンジピン16には、とくに図15と図19に示したように、第1ベースプレート9の側板9aに非回転に固定される第1変形軸部16aと、この第1変形軸部16aに続いて設けられた第1円形軸部16bと、この第1円形軸部16bに続いて設けられた第2変形軸部16cと、この第2変形軸部16cに続いて設けられた第1周溝16dと、この第1周溝16dに続いて設けられた第3変形軸部16eと、この第3変形軸部16eに続いて設けられた第2周溝16fと、この第2周溝16fに続いて設けられた第4変形軸部16gと、この第4変形軸部16gに続いて設けられた第2円形軸部16hとがそれぞれ軸方向に隣接して設けられている。
【0028】
第1ヒンジ手段6の第2ヒンジピン18は、第1ヒンジピン16と同じ構造を有し、とくに図15と図20に示したように、第1取付部材17の側板17aに設けた変形取付孔17bへ非回転に固定するための第1変形軸部18aと、この第1変形軸部18aに続いて設けられた第1円形軸部18bと、この第1円形軸部18bに続いて設けられた第2変形軸部18cと、この第2変形軸部18cに続いて設けられた第1周溝18dと、この第1周溝18dに続いて設けられた第3変形軸部18eと、この第3変形軸部18eに続いて設けられた第2周溝18fと、この第2周溝18fに続いて設けられた第4変形軸部18gと、この第4変形軸部18gに続いて設けられた第2円形軸部18hとが軸方向に隣接して設けられている。
【0029】
第1ヒンジ手段6の回転制御手段14は、とくに図13と図15に示したように、第1ヒンジピン16と第2ヒンジピン18の各々の第1円形軸部16bと18bにその中心部軸方向に設けた挿通孔23a、23aを挿通させて取り付けたワッシャー23、23と、離間対向させて設けた挿通孔19a、19aへ第1円形軸部16bと18bを回転可能に挿通させて成る第1リンクアーム19と、第1円形軸部16bから第2変形軸部16cにかけてと、第1円形軸部18bと第2変形軸部18cにかけて、それぞれに設けた円形挿通孔24a、24aを挿通させて取り付けたところの、一端部にカム凹部24b、24bを有し、各縁部に設けた突起24c、24cを第1リンクアーム19に設けた係合凹部19b、19bへ係合させた第1カム部材24、24(その詳細図は図21に示してある。)と、この第1カム部材24、24のカム凹部24b、24bの対向面にカム凸部25a、25aを有し、その中心部軸方向に設けた変形挿通孔25b、25bを第1ヒンジピン16と第2ヒンジピン18の第2変形軸部16cと第2変形軸部18cに軸方向へスライド可能かつ非回転に取り付けて成る第2カム部材25、25(その詳細図は図22に示してある。)と、その中心部軸方向に設けた変形挿通孔26a、26aを第2変形軸部16cと第2変形軸部18cへ挿通させて設けた例えばウエーブワッシャーのような弾性手段26、26と、第1周溝16d、18dに係止させたEリング27、27とで構成されている。
【0030】
第1ヒンジ手段6の第1リンク機構15は、とくに図13と図15に示したように、第1ヒンジピン16と第2ヒンジピン18の各々の第1円形軸部16bと18bにその中心部軸方向に設けた挿通孔23a、23aを挿通させて取り付けたワッシャー23、23と、離間対向させて設けた挿通孔19a、19aへ第1円形軸部16bと18bを挿通させて成る第1リンクアーム19と、第1ヒンジピン16と第2ヒンジピン18の各自由端側の第2円形軸部16hと18hを離間対向して設けた取付孔20a、20aをワッシャー28、28を介して回転可能に挿通させた第2リンクアーム20と、この第2リンクアーム20の中心部に設けた取付孔20bに、フランジ部29aと大径部29bと小径部29cとを有する第1取付シャフト29(その詳細図は図23に示してある。)及び中心部軸方向に取付孔30aを有する第1ストッパー円盤30(その詳細図は図24に示してある。)を介して回転可能に取り付けたところの、その中心部軸方向に挿通孔31aを有し、外周部に対向させて連結孔31b、31bを有する第1リンク円盤31(その詳細図は図25に示してある。)と、第2リンクアーム20に隣接して、第4変形軸部16gと18gをその挿通孔32a、32aへ挿通させたフランジ部32b、32bと筒部32c、32cを有する第1スペーサー32、32(その詳細図は図26に示してある。)と、平面弓状を呈し一端部に突起33a、33aと他端部に連結孔33b、33bを有し、内側に半円形状を呈したところの第1ストッパー円盤30を収容させる収容部33c、33cとを有する第1ストッパーアーム33、33(その詳細図は図27に示してある。)と、その中心部軸方向へ設けた変形挿通孔34a、34aへ第1ヒンジピン16と第2ヒンジピン18の第4変形軸部16gと18gを挿通させ、回転を規制されて取り付けられた各端部に取付ピン部34b、34bを有する第1リンクベース34、34(その詳細図は図28に示してある。)と、第2周溝16fと18fに取り付けたEリング35、35とで構成されている。
【0031】
この第1リンク機構15の要部についてさらに詳しく説明すると、第1リンク円盤31は第1取付シャフト29に回転可能に取り付けられて第1スペーサー32、32のフランジ部32b、32bの上にその外周を当接させており、第1リンクベース34、34は第1スペーサー32、32の筒部32c、32cに当接している。第1ストッパーアーム33、33は、その連結孔33b、33bを第1リンクベース34、34の取付ピン部34b、34bに挿入連結させ、突起33a、33aを第1リンク円盤31の連結孔31b、31bへ挿入連結させている。この第1リンク機構15は、後述する第2リンク機構45と協働して、第2の筐体3が第1の筐体2に対して回転してしまうことなくリフトダウンさせることを可能とするものである。
【0032】
次に、右側の第2ヒンジ手段7は、上述したように第2の筐体3側にスライドプレート11を介して取り付けられる第2ベースプレート10の側板10aに固定して設けた第3ヒンジピン40と、第1の筐体2の右後部上端に下向きに取り付けた断面略L字形状の第2取付部材41と、この第2取付部材41に取り付けた第4ヒンジピン42と、第3ヒンジピン40と第4ヒンジピン42の第2取付部材41側を連結する第3リンクアーム43と、第3ヒンジピン40と第4ヒンジピン42の各自由端側を連結する第4リンクアーム44とで構成され、左側の第1ヒンジ手段6のように回転制御手段14を有してはいないが、第2リンク機構45が設けられている。
【0033】
第3ヒンジピン40には、とくに図16と図20に示したように、第2ベースプレート10の側板10aへ固着するための第1変形軸部40aと、第1円形軸部40bと、第1周溝40cと、第2円形軸部40dと、第2周溝40eと、第2変形軸部40fと、小径の第3円形軸部40gが軸方向に隣接させて設けられている。
【0034】
第4ヒンジピン42は、第3ヒンジピン40と同じ構造であり、同じく図16と図20に示したように、第2取付部材41の側板41aに設けた変形取付孔41bへ挿入固定させるための第1変形軸部42aと、第1円形軸部42bと、第1周溝42cと、第2円形軸部42dと、第2周溝42eと、第2変形軸部42fと、小径の第3円形軸部42gが軸方向に隣接して設けられている。
【0035】
そして、第3ヒンジピン40と第4ヒンジピン42の各第1円形軸部40b、42bには、その中心部軸方向に設けた挿通孔46a、46aを挿通させてワッシャー46、46が取り付けられ、さらに第3リンクアーム43がその両端に設けた挿通孔43a、43aへ各第1円形軸部40bと42bを回転可能に挿通させ、各第1周溝40cと42cには、Eリング53、53が取り付けられて第3リンクアーム43の軸方向摺動を防止している。
【0036】
第2ヒンジ手段7の第2リンク機構45は、第3ヒンジピン40と第4ヒンジピン42の第2取付部材41側を回転可能に挿通させた第3リンクアーム43と、第3ヒンジピン40と第4ヒンジピン42の第3円形軸部40gと42gをその両端部に設けた挿通孔44a、44aへ回転可能に挿通させ、第2ワッシャー55、55で抜け止めすることにより、回転可能に取り付けられた第4リンクアーム44と、この第4リンクアーム44の中心部に設けた取付孔44bに、フランジ部47aと大径部47bと小径部47cとを有する第2取付シャフト47(その詳細図は図23に示してある。)と中心部軸方向に取付孔48aを有する第2ストッパー円盤48(その詳細図は図24に示してある。)を介して回転可能に取り付けたところの、同じくその中心部軸方向に挿通孔49aを、さらに外周に対向させて連結孔49b、49bを有する第2リンク円盤49(その詳細図は図25に示してある。)と、第4リンクアーム44に隣接して、第2変形軸部40fと第2変形軸部42fをその挿通孔50a、50aへ挿通させたフランジ部50b、50bと筒部50c、50cを有する第2スペーサー50、50(その詳細図は図26に示してある。)と、平面弓状を呈し一端部に突起51a、51aと他端部に連結孔51b、51bを有し、内側に半円形状を呈したところの第2ストッパー円盤48を収容させる収容部51c、51cとを有する第2ストッパーアーム51、51(その詳細図は図27に示してある。)と、その中心部軸方向へ設けた変形挿通孔52a、52aへ第3ヒンジピン40と第4ヒンジピン42の第2変形軸部40fと第2変形軸部42fを挿通させ、回転を規制されて取り付けられた各端部に取付ピン部52b、52bを有する第2リンクベース52、52(その詳細図は図28に示してある。)と、第2周溝40eと42eに取り付けたEリング54、54とで構成されている。
【0037】
この第2リンク機構45の要部についてさらに詳しく説明すると、第2リンク円盤49は、第2取付シャフト47に回転可能に取り付けられて第2スペーサー50、50のフランジ部50b、50bの上にその外周を当接させており、第2リンクベース52、52は、第2スペーサー50、50の筒部50c、50cに当接している。第2ストッパーアーム51、51は、その連結孔51b、51bを第2リンクベース52、52の取付ピン部52b、52bに挿入連結させ、突起51a、51aを第2リンク円盤49の連結孔49b、49bへ挿入連結させている。この第2リンク機構45は、第1リンク機構15と協働して、第2の筐体3が第1の筐体2に対して回転してしまうことなくリフトダウンさせることが可能となるものである。
【0038】
尚、この第2リンク機構45は、これがあると第2の筐体3のリフトダウン動作が誤動作が生じることなくより確実なものとなるが、この第2リンク機構45を省略しても、第1リンク機構15のみでリフトダウン動作は十分に可能である。この場合には、右側の第2ヒンジ手段7の構成は、第2ベースプレート10の側板10aに固定して設けた第3ヒンジピン40と、第1の筐体2の右後部上端に取り付けた断面略L字形状の第2取付部材41と、この第2取付部材41に取り付けた第4ヒンジピン42と、第3ヒンジピン40と第4ヒンジピン42の第2取付部材41側を回転可能に連結する第3リンクアーム43と、第3ヒンジピン40と第4ヒンジピン42の各自由端側を回転可能に連結する第4リンクアーム44とで構成されることになる。
【0039】
また、第1カム部材24、24は、第1リンクアーム19に対して拘束されており共に回転し、第2カム部材25、25は第1ヒンジピン16と第2ヒンジピン18に対して回転を拘束されている。第1ヒンジピン16、第2ヒンジピン18、第3ヒンジピン40、及び第4ヒンジピン42は、それぞれ第1ベースプレート9及び第2ベースプレート10と第1取付部材17及び第2取付部材41に対して固定されており、第1リンクアーム19及び第2リンクアーム20と第3リンクアーム43及び第4リンクアーム44は、各第1ヒンジピン16及び第2ヒンジピン18と第3ヒンジピン40及び第4ヒンジピン42に対して回転を拘束されていない。さらに、第1リンク円盤31と第2リンク円盤49は、第1取付シャフト29と第2取付シャフト47を支点に回転可能であり、第1リンクベース34、34と第2リンクベース52、52は、各第1ヒンジピン16及び第2ヒンジピン18と第3ヒンジピン40及び第4ヒンジピン42に対して回転を拘束されている。
【0040】
よって、第2の筐体3のリフトダウン動作時には、第1リンクアーム19及び第2リンクアーム20と第3リンクアーム43及び第4リンクアーム44は、第2ヒンジピン18と第4ヒンジピン42を支点に回転し、この第1リンクアーム19及び第2リンクアーム20と第3リンクアーム43及び第4リンクアーム44の回転動作に伴なって、第1ヒンジピン16と第3ヒンジピン40は、第2ヒンジピン18と第4ヒンジピン42を支点に旋回することになる。そして、第2の筐体3のリフトダウン動作に伴なう第1リンクアーム19及び第2リンクアーム20と第3リンクアーム43及び第4リンクアーム44の回転動作に伴なう第1ストッパーアーム33、33及び第2ストッパーアーム51、51の動きは、第1リンクアーム19及び第3リンクアーム43の回転動作により、この第1リンクアーム19及び第3リンクアーム43に固定されている第1リンクベース34、34と第2リンクベース52、52がそれぞれ逆方向へ回転することになり、この回転動作によって、一方の第1ストッパーアーム33と第2ストッパーアーム51が押されて第1及び第2リンク円盤31と49が回転することにより、他方の第1ストッパーアーム33と第2ストッパーアーム51も揺動し、互いに動作がリンクされる。
【0041】
尚、ここのところで、第1リンク機構15と第2リンク機構45の各第1ストッパーアーム33、33と第2ストッパーアーム51、51の動きは、逆に設定されているが、同一方向へ動作するように構成しても良い。
【0042】
この第2の筐体3のリフトダウン動作時に、当該第2の筐体3が第1ヒンジピン16と第3ヒンジピン40を支点に回転しないのは、上記第1ストッパーアーム33、33と第2ストッパーアーム51、51のリンク動作により、回転動作が規制されるためである。
【0043】
尚、右側の第2ヒンジ手段7の第2リンク機構45を省略した場合には、左側の第1ヒンジ手段6の第1リンク機構15のみの動作により、上記リンク動作が支障なく行われる。
【0044】
次に、本発明に係る開閉装置並びにこの開閉装置を用いた小型電子機器の作用効果について説明する。
【0045】
まず、図1に示したように、第1の筐体2に対して第2の筐体3が閉じられた閉成状態においては、第1ヒンジ手段6と第2ヒンジ手段7の第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aの各側部が、第1の筐体2に設けた収容凹部2b、2bの前端部2c、2cに当接し、この状態でスライド機構5の弾性手段12、12がスライドベース部材8を介して第2の筐体3を閉成方向へ押しているので、第2の筐体3は閉成状態でロックされている。
【0046】
また、この閉成状態において、第2の筐体3を第1の筐体2に対して上下方向へ開こうとしても、図5の(a)図に示したように、第1ヒンジ手段6と第2ヒンジ手段7の各第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aのストッパー部6d、7dが、ヒンジケース収容溝3b、3bの天井部3d、3dに当ることと、第1リンク機構15と第2リンク機構45の持つ第2の筐体3に対する回転抑止機能から、第2の筐体3は上下方向へ開くことはできない。
【0047】
ポケット型コンピュータ1の使用に当り、第1の筐体2の上面を露出させるべく、第2の筐体3を後方へ押してやると、スライド機構5のスライドプレート11がスライドベース部材8に対し、最初は弾性手段12、12の弾力に抗してスライドすることにより開かれ、中間開成位置を越えると、圧縮された弾性手段12、12が伸長する際の弾力により第2の筐体3は開成方向へ押され、第1の筐体2に対して自動的に開かれることになる。
【0048】
この開閉動作の途中で第2の筐体3を第1の筐体2に対して上下方向へ開こうとしても、第1リンク機構15と第2リンク機構45の持つ第2の筐体3に対する回転抑止機能と、第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aのストッパー部6d、7dがヒンジケース収容溝3b、3bの天井部3d、3dに当接することにより、開くことはできない。
【0049】
図2と図5の(b)図に示したように、スライド機構5による第2の筐体3の第1の筐体2に対するスライド開成動作が終了すると、第1ヒンジ手段6と第2ヒンジ手段7の各第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aは、ヒンジケース収容溝3b、3bの凹部3c、3cの位置に来ているが、第2の筐体3を第1の筐体2に対して上下方向へ開こうとしても、第1ヒンジ手段6と第2ヒンジ手段7は、第1リンク機構15と第2リンク機構45付のものであるので、第2の筐体3が第1の筐体2に対して上下方向へ開くように動作しないので、上下方向へは開くことができない。
【0050】
第2の筐体3を第1の筐体2に対しリフトダウンさせる場合には、第2の筐体3を図3と図5の(c)図に示したように、さらに後方へ押すと、第1ヒンジ手段6と第2ヒンジ手段7の第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aのストッパー部6d、7dは、ヒンジケース収容溝3b、3bの凹部3c、3cに位置していることから、第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aが第2ヒンジピン18と第4ヒンジピン42を支点に回転し、第2の筐体3は後方へさらに水平状態で移動する。がしかし、図5の(c)図に示したように、第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aの上部前端部が凹部3c、3cの角部3f、3fに当ることから、所定の位置で停止する。この停止位置で第2の筐体3を上面から押すことにより、図3及び図4と図5の(c)図と(d)図に示したように、第2の筐体3は第1の筐体2に対して平行状態を保ったままリフトダウンし、第1の筐体2と共に、例えば机の上に並置させられることになる。
【0051】
このリフトダウン動作時に、第2の筐体3の左側の第1ヒンジ手段6に設けた回転制御手段14の第1カム部材24、24の各カム凹部24b、24b・24b、24bと第2カム部材25、25のカム凸部25a、25a・25a、25aによって、第2の筐体3のリフトダウン動作は制御され、自重で自然落下してしまうことはない。また、リフトダウン動作開始時の位置とリフトダウン動作終了時の位置でクリック停止させることが可能である。
【0052】
リフトダウン動作時には、第1リンク機構15と第2リンク機構45が動作して、第2の筐体3は第1の筐体2に対して水平かつ平行状態を維持したままリフトダウンして接地し、第1の筐体2と面一にすることができる。
【0053】
即ち、スライド機構5による第2の筐体3の第1の筐体2に対する開成方向に向けての動作終了状態から、リフトダウン動作に向けて第2の筐体3を第1の筐体2に対してさらに後方へ押すと、図5の(b)図に示したように、第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aの回転が凹部3c、3c内にあることによりリフトダウン動作が可能となる。すると、各第1ストッパーアーム33、33と第2ストッパーアーム51、51は、それぞれ反対方向へ動きつつ第1リンクアーム19及び第2リンクアーム20と第3リンクアーム43及び第4リンクアーム44の第2ヒンジピン18と第4ヒンジピン42を支点とする回転動作を許容し、第2の筐体3は水平状態を維持したままリフトダウンする。このリフトダウン動作は、第2の筐体3の接地状態で、図17と図18の各(d)図に示したように、第2の筐体3の先端部が第1の筐体2の後端部に当ることによって終了する。
【0054】
リフトダウンした第2の筐体3を元に戻す際には、第2の筐体3を持ち上げると、第1リンク機構15と第2リンク機構45が動作して、第2の筐体3は上述したのと逆のリフトアップ動作をすることによりリフトダウン動作前の状態に戻り、各第1リンクアーム19と第2リンクアーム20及び第3リンクアーム43と第4リンクアーム44の回転動作が終了する。
【0055】
次いで、第2の筐体3を手前方向へ引くことにより第2の筐体3はスライド機構5によりスライドして元位置に戻ることになる。第2の筐体3がスライドして元位置に戻る際には、弾性手段12、12が一度圧縮されて伸長することになるので、その付勢力により第2の筐体3は第1の筐体2に対してスライド動作の途中から自動的に閉じられ、第1ヒンジケース6aと第2ヒンジケース7aが収容凹部2b、2bの前端部2c、2cへ当接することによる動作終了となり、この閉成状態を安定的に保つことになる。
【0056】
尚、第1取付部材17と第2取付部材41は、各側板17aと41aを下向きに取り付けてあるが、これらを上向きに取り付けることは任意にできることである。また、第2の筐体3を第1の筐体2に対してリフトダウンさせて第1の筐体2に対して並置させた場合に、第2の筐体3が第1の筐体2と共に接地するものを示したが、第2の筐体3の下面に隙間が生ずるように構成することはこれもまた任意である。さらに、第2の筐体3をリフトダウンさせた際に、第1の筐体2の上面と第2の筐体3の上面が面一となるようにすることが望ましいが、このものに限定されない。
【0057】
さらに、第2ヒンジ手段7のEリング53、53は、第3リンクアーム43の縁部が第2ヒンジケース7aの内周溝7eと嵌合している場合には省略しても良い.そして、回転制御手段14の第1カム部材24、24と第2カム部材25、25は、これらを単なるフリクションワッシャーとすることもまた可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は以上のように構成したので、第2の筐体を第1の筐体に対して水平方向へスライドさせて開閉できた上で、開成操作終了後第2の筐体を第1の筐体に対して水平状態を維持したままでリフトダウンさせて並置できることから、新しい動作を行なうものとしてポケット型コンピュータ、PDA、電子辞書及び、携帯電話機といったような小型電子機器の開閉装置として好適に用いることができるものであり、また、小型電子機器としても新しい動作を行う機器を提供することができるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 ポケット型コンピュータ
2 第1の筐体
2a キーボード部
2b 収容凹部
2c 前端部
3 第2の筐体
3a ディスプレイ部
3b ヒンジケース収容溝
3c 凹部
3d 天井部
3e 操作ボタン
4 開閉装置
5 スライド機構
6 第1ヒンジ手段
6a 第1ヒンジケース
6b、6c 半ケース
6d ストッパー部
6e 挿通孔
7 第2ヒンジ手段
7a 第2ヒンジケース
7b、7c 半ケース
7d ストッパー部
7e 内周溝
7f 挿通孔
8 スライドベース部材
8a 基板
8b 取付溝
8c 摺動促進部材
8d 取付片
8e ケーブル挿通孔
8f ガイド溝
9 第1ベースプレート
9a 側板
10 第2ベースプレート
10a 側板
11 スライドプレート
11a レール部
11b 取付ピン
12 弾性手段
13 スプリングホルダー
14 回転制御手段
15 第1リンク機構
16 第1ヒンジピン
16a 第1変形軸部
16b 第1円形軸部
16c 第2変形軸部
16d 第1周溝
16e 第3変形軸部
16f 第2周溝
16g 第4変形軸部
16h 第2円形軸部
17 第1取付部材
17a 側板
17b 変形取付孔
18 第2ヒンジピン
18a 第1変形軸部
18b 第1円形軸部
18c 第2変形軸部
18d 第1周溝
18e 第3変形軸部
18f 第2周溝
18g 第4変形軸部
18h 第2円形軸部
19 第1リンクアーム
19a 挿通孔
19b 係合凹部
20 第2リンクアーム
20a 取付孔
20b 取付孔
23 ワッシャー
23a 挿通孔
24 第1カム部材
24a 円形挿通孔
24b カム凹部
24c 突起
24d カム凹部
25 第2カム部材
25a カム凸部
25b 変形挿通孔
26a 変形挿通孔
26 弾性手段
27 Eリング
28 ワッシャー
29 第1取付シャフト
29a フランジ部
29b 大径部
29c 小径部
30 第1ストッパー円盤
30a 取付孔
31 第1リンク円盤
31a 挿通孔
31b 連結孔
32 第1スペーサー
32a 挿通孔
32b フランジ部
32c 筒部
33 第1ストッパーアーム
33a 突起
33b 連結孔
33c 収容部
34 第1リンクベース
34a 変形挿通孔
34b 取付ピン部
35 Eリング
40 第3ヒンジピン
40a 第1変形軸部
40b 第1円形軸部
40c 第1周溝
40d 第2円形軸部
40e 第2周溝
40f 第2変形軸部
40g 第3円形軸部
41 第2取付部材
41a 側板
41b 変形取付孔
42 第4ヒンジピン
42a 第1変形軸部
42b 第1円形軸部
42c 第1周溝
42d 第2円形軸部
42e 第2周溝
42f 第2変形軸部
42g 第3円形軸部
43 第3リンクアーム
43a 挿通孔
44 第4リンクアーム
44a 挿通孔
44b 取付孔
45 第2リンク機構
46 ワッシャー
47 第2取付シャフト
47a フランジ部
47b 大径部
47c 小径部
48 第2ストッパー円盤
48a 取付孔
49 第2リンク円盤
49a 挿通孔
49b 連結孔
50 第2スペーサー
50a 挿通孔
50b フランジ部
50c 筒部
51 第2ストッパーアーム
51a 突起
51b 連結孔
51c 収容部
52 第2リンクベース
52a 変形挿通孔
52b 取付ピン部
53 Eリング
54 Eリング
55 ワッシャー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体を相対的に開閉させるものであって、前記第1の筐体に取り付けられたヒンジ手段と、このヒンジ手段の可動部に取り付けられたスライドベース部材を有するスライド機構とから成り、前記ヒンジ手段は前記スライドベース部材を水平状態で上下方向へ旋回させてリフトダウン及びリフトアップ動作させるリンク機構を備えており、前記スライド機構は前記第2の筐体側へ取り付けられ前記スライドベース部材に対してスライド可能に係合させたスライドプレートと、このスライドプレートと前記スライドベース部材との間に弾設した弾性手段とをさらに有することを特徴とする、開閉装置。
【請求項2】
前記ヒンジ手段は、前記リンク機構を備えた第1ヒンジ手段と、この第1ヒンジ手段の動作に追随する動作を行う第2ヒンジ手段とで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
第1の筐体と第2の筐体を相対的に開閉させるものであって、前記第1の筐体と第2の筐体との間に設けられ、前記第2の筐体が前記第1の筐体に対して重なり合った閉成状態と前記第1の筐体の上面を露出させる開成状態を作り出すスライド機構と、第1リンク機構を有し、前記スライド機構による開成動作の終了時に操作可能となって前記第2の筐体を前記第1の筐体に対してリフトダウンさせる第1ヒンジ手段と、この第1ヒンジ手段の動作に追随する動作を行なう第2ヒンジ手段とから成り、前記第1ヒンジ手段と第2ヒンジ手段は、前記第2の筐体を前記スライド機構による開成動作の終了時に前記第1の筐体に対して水平状態のままで旋回させて当該第1の筐体と並置するように構成したことを特徴とする、開閉装置。
【請求項4】
前記第2の筐体の下面両側部には、前記第1ヒンジ手段と第2ヒンジ手段の上部側を逃がすためのガイド溝が設けられ、これらのガイド溝には前記第1ヒンジ手段と第2ヒンジ手段の回動を許容する凹部が設けられていることを特徴とする、請求項2乃至3のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記リンク機構が、第2ヒンジ手段にも設けられていることを特徴とする、請求項2乃至3のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項6】
前記スライド機構は、前記第1の筐体側に取り付けた前記第1ヒンジ手段と第2ヒンジ手段の第1ベースプレートと第2ベースプレートへ固着したスライドベース部材と、前記第2の筐体の側に取り付けられ、前記スライドベース部材に対してスライド可能に係合させたスライドプレートと、このスライドプレートと前記スライドベース部材との間に弾設された弾性手段とで構成したことを特徴とする、請求項3に記載の開閉装置。
【請求項7】
前記第1ヒンジ手段はさらに、前記第2の筐体の前記第1の筐体に対するリフトダウン動作時に動作する回転制御手段を有することを特徴とする、請求項2乃至6のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項8】
前記第1ヒンジ手段は、前記第1の筐体側に取り付けた第1取付部材に固定した第2ヒンジピンと、この第2ヒンジピンに対し離間対向させて回転可能に連結した第1リンクアーム及び第2リンクアームと、前記第1リンクアーム及び第2リンクアームの各自由端側に回転可能に取り付けられた第1ヒンジピンとで構成し、この第1ヒンジピンは、前記スライドベース部材に取り付けた第1ベースプレートに固定されていることを特徴とする、請求項2乃至3のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項9】
前記第2ヒンジ手段は、前記第1の筐体側に取り付けた第2取付部材に固定した第4ヒンジピンと、この第4ヒンジピンに対し離間対向させて回転可能に連結した第3リンクアーム及び第4リンクアームと、前記第3リンクアーム及び第4リンクアームの各自由端側に回転可能に取り付けられた第3ヒンジピンとで構成し、この第3ヒンジピンは、前記スライドベース部材に取り付けた第2ベースプレートに固定されていることを特徴とする、請求項2乃至3のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項10】
前記第1リンク機構は、前記第2リンクアームの中央部に回転可能に取り付けられた第1リンク円盤と、前記第1ヒンジピンと第2ヒンジピンに回転を拘束されて取り付けられた一対の第1リンクベースと、この各第1リンクベースと前記第1リンク円盤に連結された一対の第1ストッパーアームとで構成したことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の開閉装置。
【請求項11】
前記第2ヒンジ手段に設けられる第2リンク機構は、前記第4リンクアームの中央部に回転可能に取り付けられた第2リンク円盤と、前記第3ヒンジピンと第4ヒンジピンに回転を拘束されて取り付けられた一対の第2リンクベースと、この各第2リンクベースと前記第2リンク円盤に連結された一対の第2ストッパーアームとで構成したことを特徴とする、請求項3に記載の開閉装置。
【請求項12】
前記回転制御手段は、前記第1ヒンジピンと第2ヒンジピンをそれぞれ回転可能に挿通させ、前記第1リンクアームと第2リンクアームに固定された一対の第1カム部材と、この各第1カム部材と対向して前記第1と第2ヒンジピンに回転を拘束されて取り付けられた一対の第2カム部材と、この各第2カム部材を前記各第1カム部材の側へ押圧させる一対の弾性手段とで構成したことを特徴とする、請求項7に記載の開閉装置。
【請求項13】
請求項1乃至12に各記載の開閉装置を、前記第1の筐体と第2の筐体の間に取り付けたことを特徴とする、小型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−96010(P2011−96010A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249375(P2009−249375)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000124085)加藤電機株式会社 (117)
【Fターム(参考)】