間仕切家具
【課題】
病室の大部屋や介護・養護施設の多床室のベッド間に設置する間仕切家具において、間仕切家具とは別に椅子を用意せずとも、テーブルを使用でき、かつ、面会者も使用できる椅子を備え、スペースが限られた部屋に設置できる間仕切家具の提供を課題とする。
【解決手段】
仕切壁の端部から所定の間隔を有した位置に椅子を設け、椅子の前記所定の間隔を有した側の端部側の近傍の仕切壁にテーブルを設け、テーブルの設置高さは、椅子の上面よりも高い位置とし、テーブルは前端が、椅子の前端より前方に突出し、テーブルの椅子側端部下面と、椅子の天板側端部上面の間を開放状態とし、天板下方部には足を入れることができる着座空間を設ける。
病室の大部屋や介護・養護施設の多床室のベッド間に設置する間仕切家具において、間仕切家具とは別に椅子を用意せずとも、テーブルを使用でき、かつ、面会者も使用できる椅子を備え、スペースが限られた部屋に設置できる間仕切家具の提供を課題とする。
【解決手段】
仕切壁の端部から所定の間隔を有した位置に椅子を設け、椅子の前記所定の間隔を有した側の端部側の近傍の仕切壁にテーブルを設け、テーブルの設置高さは、椅子の上面よりも高い位置とし、テーブルは前端が、椅子の前端より前方に突出し、テーブルの椅子側端部下面と、椅子の天板側端部上面の間を開放状態とし、天板下方部には足を入れることができる着座空間を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病室の大部屋や介護・養護施設の多床室のベッド間に設置する間仕切家具に関する。
【背景技術】
【0002】
病室などの大部屋に収容された患者のプライバシー空間を形成するため、大部屋に複数配置されたベッドの間に、間仕切家具を設置する方法が知られている。
【0003】
通常、大部屋は、平面視略四角形を成した部屋であって、部屋の一壁面が、病院内の廊下側に面して形成され、該壁面の略中央に引戸式出入口扉が設けられ、該壁面の対向側の壁面に建屋外を臨む窓が設置される。
【0004】
そして、この部屋は、出入口扉から窓側に向って設定された通路により二分され、二分された病室の一方の廊下側に、廊下側壁面と平行にベッドが配置され、窓側に、窓側壁面と平行にベッドが配置され、通路を挟む対向側にも、同様な方向でベッドが配置され、合計で4台のベッドが配置され4床室とされる。
【0005】
そして、窓側に配置されたベッドと廊下側に配置されたベッドとの間に、ベッドと平行に間仕切家具が設置され、各々のベッド空間のプライバシーが確保されている。
このような、ベッド間に設置される間仕切家具は、一般的に、仕切壁の他、テーブル用天や椅子などを備えている。
【0006】
しかしながら、このような間仕切家具で大部屋が仕切られ、患者のプライバシー空間が形成された場合、施設によっては間仕切家具の設置平面積によって、1床当たりの床面積が削られ、患者の使用できる空間が狭くなり過ぎる場合がある。そのため、間仕切家具を小型化してベッド間のスペースを確保するようにしたものがある。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−11641公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のように小型化された間仕切家具であっても、テーブルを使用するためには椅子が別途必要となり、間仕切家具の小型化によって生み出されたスペースが椅子によって犠牲になる。
通常、椅子の設置スペースが限られているので、別途用意される椅子は、椅子の使用者が間仕切家具の方向に向き、テーブルの下に足を入れて使用する方向に置かれることが多く、面会者が使用するといったことはほとんど想定されていない。また、不使用時の椅子が、通行やベッドの出し入れの妨げになる問題がある。
【0009】
本願発明は、このような問題に鑑み、間仕切家具とは別に椅子を用意せずとも、テーブルを使用でき、かつ、面会者も使用できる椅子を備え、スペースが限られた部屋に設置できる間仕切家具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として構成したところは、室内に複数台配設されたベッド間に設置し、ベッド間を仕切る方向に立設する仕切壁を備え、仕切壁は、仕切る方向を左右方向とし、仕切壁の少なくとも左右いずれかの端部から所定の間隔を有した位置に椅子を設け、椅子は、仕切壁面から前方を向く座板を備え、前記所定の間隔を有した側の椅子の端部側の近傍の仕切壁にテーブルを設け、テーブルは、仕切壁面から前方を向く天板を備え、天板の設置高さは、座板の上面よりも高い位置であって、天板は、天板の前端が、前記座板の前端より前方に突出し、天板の椅子側端部下面と、座板の天板側端部上面の間は、開放状態を成し、天板下方部には足を入れることができる着座空間を設けた間仕切家具である。
【0011】
次に上記課題を解決する為、本発明が第2の手段として構成したところは、第1の手段に加え、天板の椅子側端部の前方側は、椅子側に突出しているものである。
【0012】
次に上記課題を解決する為、本発明が第3の手段として構成したところは第2の手段に加え、座板は、垂直方向を向いて収納可能なものである。
【0013】
次に上記課題を解決する為、本発明が第4の手段として構成したところは第3の手段に加え、天板は、垂直方向を向いて収納可能なものである。
【発明の効果】
【0014】
第1手段として構成したところによると、椅子は、座板が仕切壁から前方に向かって設けられているので、ベッド方向に向かって椅子に座ることができるので、面会者に対して、使い勝手のいい椅子が提供できる。
また、椅子の端部側近傍にテーブルが設置され、天板下面と座板上面は開放状態とされており、天板の下方に、足を入れるスペースが設けられているので、患者や面会者が、椅子の天板側にテーブル側を向いて着座し、テーブルを使用することができる。そのため、別途椅子を用意する必要がない。
【0015】
第2手段として構成したところによると、座板の奥行寸法が短い場合、テーブルの使用者が、椅子の端部付近で真横に向かって着座すると、仕切壁に肩をぶつけて窮屈な姿勢を強いられることがあるため、必然的に座板の奥行寸法を長くとる必要があるが、本願発明は、天板の前方側が椅子の方向に突出しているので、テーブルの使用者は、仕切壁にやや背を向けて斜め方向を向き肩口スペースに余裕を設けた状態の着座姿勢であっても、テーブルが遠くなることなくテーブルが使用できるので、座板の奥行寸法を短く設定でき、間仕切家具を小型化することができる。
【0016】
第3手段として構成したところによると、座板を、垂直方向に向けて収納できるので、椅子の不使用時に、通行の邪魔にならないようにすることができる。
【0017】
第4手段として構成したところによると、天板を垂直方向に向けて収納できるので、テーブルの不使用時に、通行やベッドの出し入れの邪魔にならないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の間仕切家具の使用例を示す斜視図。
【図2】本発明の間仕切家具を示す斜視図。
【図3】本発明の間仕切家具の椅子が使用状態の時を示す正面図。
【図4】本発明の間仕切家具の椅子が使用状態の時を示す背面図。
【図5】本発明の間仕切家具の椅子が収納状態の時を示す正面図。
【図6】図3のA−A線断面図。
【図7】使用者が着座したイメージを示す概略平面図。
【図8】本発明の第1実施例の椅子が収納状態の時を示す概略正面図。
【図9】本発明の第1実施例の椅子が使用状態の時を示す概略右側面図。
【図10】本発明の第1実施例の支持脚が使用状態のままで座板が収納状態にされた時を示す右側面概略図。
【図11】本発明の第1実施例の椅子が収納状態の時を示す概略右側面図。
【図12】本発明の第1実施例の椅子が収納状態の時で座板の回動が阻止された時を示す概略右側面図。
【図13】本発明の副仕切体を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、室内に複数台配設されたベッド間に設置され、ベッド間を仕切る方向に立設する仕切壁が備えられ、仕切壁は、仕切る方向を左右方向とされ、仕切壁の少なくとも左右いずれかの端部から所定の間隔を有した位置に、仕切壁を挟み前後一対の椅子が設けられ、椅子には、仕切壁面から前方に向けられた座板が備えられ、座板は、回動収納が可能に施され、前記所定の間隔を有した側の椅子の端部側の近傍の仕切壁にテーブルが設けられ、
テーブルには、仕切壁面から前方に向けられた天板が備えられ、天板は、回動収納が可能に施され、天板の使用時の高さは、座板の上面よりも高い位置とされ、天板は、天板の前端が、前記座板の前端より前方に突出するともに、天板の椅子側端部の前方側は、椅子側に突出して形成され、天板の椅子側端部下面と、座板の天板側端部上面の間は、開放された状態とされ、天板下方部には足を入れることができる着座空間が設けられた間仕切家具である。
【実施例1】
【0020】
このように構成された本件間仕切家具における第1実施例を、添付図面に基づいて詳述する。
【0021】
本発明に係る間仕切家具1は、図1に示すように、病室の大部屋や介護・養護施設の多床室のベッドの間に設置し、患者のプライバシー空間を形成するものである。
【0022】
間仕切家具1は、廊下側壁面(図示せず。)と建屋外を臨む窓S側壁面と、廊下側壁面と窓S側壁面の端部をつなぐ壁面Wで形成された病室で使用されるものであって、壁面W側を枕元側にして、廊下側壁面に平行に設置されるベッドB1と、窓S側壁面に平行に設置されるベッドB2との間に、ベッドの長尺方向と平行に配設されるものである。
【0023】
間仕切家具1は、ベッド間を仕切る方向、すなわちベッドB1、B2の長尺方向を左右方向とし、左右方向に延び、所定の高さを有する仕切壁10と、該仕切壁10の左右両端部のそれぞれに取付けられる板状のベッド足元側の脚体11、ベッド枕元側の脚体12と、仕切壁10のベッドの枕元側に、仕切壁10を挟む前後一対の収納装置13、13とを備えており、
仕切壁10のベッドの足元側の端部から所定の間隔101をあけた仕切壁10には、仕切壁10を挟む前後一対の椅子14、14が備えられ、椅子14は、座板15と座板15を支持する支持脚16で構成されている。
そして前記、所定の間隔101の仕切壁10には、仕切壁10を挟む前後一対のテーブル17、17備えられている。
【0024】
椅子14の上方側の仕切壁10の所定の位置に、半透明の樹脂製の採光板102が嵌め込まれ、採光性が保たれている。採光板102は病室のレイアウトや照明器具の配置に応じて、半透明、不透明を使い分けてよい。
また、仕切壁10ベッドの足元側の上方側には、液晶テレビなどのモニター103を設置することもできる。
【0025】
仕切壁10の上部には、天井方向に向かって光を照射する照明ユニット104が設けられ、照明ユニット104は左右方向に延び、仕切壁10の前後方向に張り出すように構成され、照明ユニット104の前記張り出した下面にカーテンレール105が設けられ、カーテンレール105にはカーテン106が吊り下げられている。
尚、実施例において照明ユニット104は、仕切壁の一面側に傾けられ取り付けられているが、照明ユニット104は、間仕切家具によって仕切られた空間において、窓からの採光が届かず光が不足する場合に光を補うためのものであり、通常、このような間仕切家具で仕切られた部屋は、窓側に面した空間と窓のない空間とに分けられるため、窓側は採光性がよく、照明ユニットによる光の照射が不要なためである。したがって照明ユニット104は、光の採光状況によっては仕切壁10の両面側に照射できるように設けてもよい。
【0026】
カーテン106は、採光板102からの採光を遮るものであって、不使用時には、一部が収納装置13上部に設置されるカーテンボックス107に収納される。
【0027】
カーテンボックス107は、仕切壁10の前方に、仕切壁10と所定の間隔をあけ、板状のカバー体108を設置したものであって、カバー体108は、開閉自在に設置される。カバー体108を開放することにより、カーテンボックス内の清掃ができる。また、開放したところから臨む仕切壁のエンド部分から、壁面Wに対して螺子を打ち、間仕切家具1と壁面Wを固定し、間仕切家具1の転倒を防止することができる。(図示せず)
【0028】
脚体11、12は、板状であって、仕切壁10の前後方向に向かって張り出すように設けられ、高さは、テーブル17の下面よりやや高い位置までであって、脚体11、12と仕切壁10とで平面視H型を成すように構成されている。
【0029】
収納装置13は、前方側が開口とされた筐体であって、前後方向に引き出す引出し131、131、131が備えられ、下部はオープン棚132とされている
当然ながら、収納装置13には、引出しの代わりに開き扉を設けることもでき、筐体の大きさも用途に合わせて適宜設定することができる。
【0030】
テーブル17は、天板18と脚体11に設けられた天板受け111とで構成され、天板18は、使用状態において、座板16の前端部より前方まで突出した前後方向に長尺な板状であって、天板の椅子14側の端面側の前方側には、椅子の方向に隆起するように突出した突出部18aが形成される。
尚、天板18の前後方向の寸法18bは、病院等で提供される食事の配膳トレーを載せることができる400〜500ミリメートルほどの寸法が望ましい。
天板18の床からの高さは、一般的な机と同じく650〜750ミリメートルの高さが望ましい。
【0031】
また、突出部18aの突出量18cは、テーブル17の使用者が、椅子の端部付近で真横に向かってテーブル17と正対し着座するのではなく、仕切壁にやや背を向けて斜め方向の状態に着座し、テーブル17が使用できる姿勢がとれる程度が望ましい。したがって、平面視における突出部18aの椅子側に面する端部の形状は、仕切壁10と平行を成さずに、天板側から椅子側に向かって斜め前方に傾斜した形態が望ましく、意匠的には、座板15のテーブル側端部の形状と略平行を成すように形成されるのが望ましい。
さらに、後述する天板18と座板15の収納状態において、互いに干渉しないような形状とされている。
【0032】
そして、天板18の仕切壁10側がヒンジ181、181を介して、仕切壁10に支持されている。
天板18は、ヒンジ181、181によって、上下方向に回動自在とされているので、天板18は、使用状態から前記ヒンジ181を水平回動軸として上方にむかって回動し、使用状態から約90度回動した位置で、仕切壁10に備えられたマグネットキャッチ10aで支持され収納状態とすることができる。
【0033】
当然ながら、天板18は、上方ではなく下方に回動させてもよい。
その場合、天板18は、使用状態において、天板受け111の代わりに、公知技術である折り畳み式の棚受けなどで支持されることになる。
しかしながら、下方に回動させると、天板18の収納時に天板18の使用面が、間仕切家具の下方部の表面側に露出することになり、座板の使用面に人の靴などが当ることになるため、衛生面、特に院内感染防止の上において好ましいとはいえないので、天板の前後寸法を短く、あるいは、設置高さを高くするなどの配慮が必要である。
【0034】
座板15は、平面視において、左右方向に長い長方形を成した板状であって、座板15のベッドの枕側の下面が、収納装置13に設けられた座板受け133に支持され、座板15の仕切壁10側がヒンジ151、151を介して、仕切壁10に支持されている。そして、座板15のベッドの足元側の下面が、支持脚16によって支持されている。
【0035】
座板15は、ヒンジ151、151によって、上下方向に回動自在とされているので、座板16は、使用状態から前記ヒンジ151を水平回動軸として上方にむかって回動し、使用状態から約90度回動した位置で、仕切壁10に備えられたマグネットキャッチ10bに支持され収納状態とすることができる。
【0036】
尚、座板15は、平面視、左右方向に長い長方形を成しているが、これは複数人が座板に着座できるように配慮したものであり、間仕切家具1の左右の長さ、天板18の大きさ、収納装置13によって変動し、平面視、略正方形を成した一人掛け用の座板としてもよい。
また、平面視において、座板15の前端部とテーブル側の端部とで形成されるコーナー部15bは、テーブルの使用者が、テーブル側にやや斜めを向いて着座するため、角部がない形態が望ましく、実施例では円弧状に形成されている。他にも面取りの状の形状なども考えられる。
【0037】
そして、座板15の前後方向の寸法15cは、面会者が、ベッド側にむかって着座することができ、かつ、使用状態においても通行の妨げになりにくい280〜400ミリメートルほどの寸法が望ましい。
座板15の床からの高さは、一般的な椅子と同じく350〜450ミリメートルの高さが望ましい。
【0038】
当然のごとく、座板15は、上方ではなく下方に回動させてもよいが、下方に回動させた場合、座板15の着座面が、座板15の収納時に間仕切家具の表面下方部に位置し、かつ、表面側に露出することになり、座板の着座面に人の靴などが当ることになるため、衛生面、特に院内感染防止の上において好ましいとはいえないので、別途収納時用のカバーを設けるなど配慮が必要である。
【0039】
支持脚16は、板状であって、椅子14の使用時に仕切壁10と平行に立設し、上部側がヒンジ161を介して、座板15の使用時の下面15aの前端部寄りに支持されている。
そして、支持脚16は、ヒンジ161によって、水平方向に回動自在とされており、椅子14の使用状態から、座板15が上方に回動され収納状態とされると、支持脚16は、前方に向かって突出した状態となる。
次に、支持脚16を、ヒンジ161を水平回動軸として下向きに約90度回動し、座板15に沿った状態で収納することができる。
尚、ヒンジ161は、ヒンジ161の回動方向に抵抗が付与されたものや、折りたたみテーブルなどで広く知られている、ロック機構がついたものなどを適宜使用すればよい。
【0040】
次に、座板15と支持脚16の収納状態において、支持脚16の下端面16aの下方部の仕切壁10には、当接片10cが設けられ、当接片10cの上面は当接面10dとされる。
【0041】
下端面16aと当接面10dは近接した状態に設定され、椅子14の収納時、すなわち座板15と支持脚16の収納時に、座板15が回動操作をされると、座板15が一定角度回動したのち、支持脚16の下端面16aが、当接片10aの当接面10bに当接し、座板15の回動が阻止される。
【0042】
したがって、支持脚16が使用状態にないときに、座板15を展開し、使用者が誤って座板15に着座することによる破損、怪我などを防止することができる。
【0043】
そして、支持脚16の使用状態とした時、すなわち座板15が収納状態で、支持脚16が前方に突出した状態の時に、座板16が回動操作をされても、支持脚16の下端面16aは、どこにも当接しないので使用状態まで回動させることができる。
【0044】
当然のごとく、当接片10cがなくとも、支持脚16と座板15の収納状態から、座板15を回動させると、支持脚16の下面が仕切壁10に当接し、回動が阻止されるが、当接片10cを設けたほうが、座板15の回動を早期に阻止できるので、使用者が戸惑うことなく使い勝手がよい。
【0045】
尚、支持脚16の収納状態における下端面16aと、当接片10aの当接面10bとの間隔をより小さく設定することによって、座板の回動が阻止される時の座板の開き具合(角度)を小さく設定することができる。
【0046】
このように間仕切家具1は構成され、天板18の下方部には障害物がなく、足を入れることができる着座空間が設けられ、天板18の椅子側の下方と、座板15の天板18側の上部の間は障害物がなく開放状態とされ、座板15と天板18の床からの高さは、それぞれ一般的な椅子、机と同じ高さに設定されているので、椅子14に着座し、テーブル17の下に足を入れテーブル17に向かってテーブル17を使用することができる。
【0047】
そして、このように構成された間仕切家具1には、副仕切体2が装着され、延長することができる。
副仕切体2は、板状の底板201と底板201に立設する副仕切壁202とで構成される。
副仕切壁202は、上端が仕切壁10と同じ高さに設定され、仕切壁10の延長方向に立設し、底板201は、下面にキャスター203が装着され、副仕切体2が移動自在とされている。なお、副仕切体2には、必要に応じてベッドの足元側からの視線を遮るエンドパネル204や、収納装置205、コートフック206などが備えられる。
【0048】
間仕切家具1と副仕切体2は、間仕切家具1に設けられた突起片109に、副仕切体2に設けられた嵌合溝部207を挿入し、装着状態とされる。
そして、装着状態で副仕切体2に設けられた鈎208を操作し、鉤208に備えられたL字状の鈎片209を間仕切家具に設けられた鈎孔110に係合させることによって、副仕切体2を不動に連結することができる。
【0049】
嵌合溝207は、副仕切壁202の間仕切家具側端面に設けられ、前記端面の上下方向のほぼ中央部から上下方向に凹溝状に形成されている。
嵌合溝部207の所定の箇所に鈎208が設けられ、鈎を操作することで、鈎片209が嵌合溝207内に突出自在とされている。
【0050】
突起片105は、前記嵌合溝207に内包される形状を成し、仕切壁10のベッドの足元側端面と脚体11の側面とで形成される間仕切家具端部の上下方向のほぼ中央部から、上下方向に向かって延伸する方向で取り付けられている。
そして、突起片109には前記鈎片209に対応した鈎孔110が設けられている。
【0051】
嵌合溝207の幅、深さ、長さは適宜設定されるものであるが、幅、深さは、副仕切壁202の厚さの約半分相当の大きさで設定するのが副仕切壁202強度面から望ましい。長さは、副間仕切体の前後の揺れを防止するためにも300ミリ以上有したものが望ましいが、長さを短くした溝を、上下方向に複数設けることでも良い。
【0052】
通常、間仕切家具全体の長さを、ベッドの長尺方向と略同じ長さとし、個室風の空間を形成するが、この場合、ベッドを搬出させる際、ベッドは所定の位置から引き出され、出入口に向って直角に曲がる軌跡を辿りながら移動されるので、間仕切家具が障害となり、スムーズな搬出を行なうことが出来ない。副仕切体2は、副仕切体2を間仕切家具1に装着することによって、ベッドの長尺方向と略同じ長さとし、ベッドの搬出時には、副仕切体2を切り離し、移動させることによって障害にならないようするものである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明は、病室の大部屋や介護・養護施設の多床室のベッド間に設置し、患者のプライバシー空間を確保する間仕切家具にかかわるものであり、間仕切機能に加え、天板、椅子を備え、別途椅子を用意することなく、着座してテーブルを使用でき、かつ、テーブル、椅子が収納可能であるから、病室の床面積に左右されず、病室の大部屋や介護・養護施設の多床室の患者のプライバシー空間を確保する間仕切りとして広く利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
B1 廊下側ベッド
B2 窓側ベッド
W 壁面
S 窓
1 間仕切家具
14 椅子
15 座板
16 支持脚
17 テーブル
18 天板
18a 突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、病室の大部屋や介護・養護施設の多床室のベッド間に設置する間仕切家具に関する。
【背景技術】
【0002】
病室などの大部屋に収容された患者のプライバシー空間を形成するため、大部屋に複数配置されたベッドの間に、間仕切家具を設置する方法が知られている。
【0003】
通常、大部屋は、平面視略四角形を成した部屋であって、部屋の一壁面が、病院内の廊下側に面して形成され、該壁面の略中央に引戸式出入口扉が設けられ、該壁面の対向側の壁面に建屋外を臨む窓が設置される。
【0004】
そして、この部屋は、出入口扉から窓側に向って設定された通路により二分され、二分された病室の一方の廊下側に、廊下側壁面と平行にベッドが配置され、窓側に、窓側壁面と平行にベッドが配置され、通路を挟む対向側にも、同様な方向でベッドが配置され、合計で4台のベッドが配置され4床室とされる。
【0005】
そして、窓側に配置されたベッドと廊下側に配置されたベッドとの間に、ベッドと平行に間仕切家具が設置され、各々のベッド空間のプライバシーが確保されている。
このような、ベッド間に設置される間仕切家具は、一般的に、仕切壁の他、テーブル用天や椅子などを備えている。
【0006】
しかしながら、このような間仕切家具で大部屋が仕切られ、患者のプライバシー空間が形成された場合、施設によっては間仕切家具の設置平面積によって、1床当たりの床面積が削られ、患者の使用できる空間が狭くなり過ぎる場合がある。そのため、間仕切家具を小型化してベッド間のスペースを確保するようにしたものがある。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−11641公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のように小型化された間仕切家具であっても、テーブルを使用するためには椅子が別途必要となり、間仕切家具の小型化によって生み出されたスペースが椅子によって犠牲になる。
通常、椅子の設置スペースが限られているので、別途用意される椅子は、椅子の使用者が間仕切家具の方向に向き、テーブルの下に足を入れて使用する方向に置かれることが多く、面会者が使用するといったことはほとんど想定されていない。また、不使用時の椅子が、通行やベッドの出し入れの妨げになる問題がある。
【0009】
本願発明は、このような問題に鑑み、間仕切家具とは別に椅子を用意せずとも、テーブルを使用でき、かつ、面会者も使用できる椅子を備え、スペースが限られた部屋に設置できる間仕切家具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、上記課題を解決する為、本発明が第1の手段として構成したところは、室内に複数台配設されたベッド間に設置し、ベッド間を仕切る方向に立設する仕切壁を備え、仕切壁は、仕切る方向を左右方向とし、仕切壁の少なくとも左右いずれかの端部から所定の間隔を有した位置に椅子を設け、椅子は、仕切壁面から前方を向く座板を備え、前記所定の間隔を有した側の椅子の端部側の近傍の仕切壁にテーブルを設け、テーブルは、仕切壁面から前方を向く天板を備え、天板の設置高さは、座板の上面よりも高い位置であって、天板は、天板の前端が、前記座板の前端より前方に突出し、天板の椅子側端部下面と、座板の天板側端部上面の間は、開放状態を成し、天板下方部には足を入れることができる着座空間を設けた間仕切家具である。
【0011】
次に上記課題を解決する為、本発明が第2の手段として構成したところは、第1の手段に加え、天板の椅子側端部の前方側は、椅子側に突出しているものである。
【0012】
次に上記課題を解決する為、本発明が第3の手段として構成したところは第2の手段に加え、座板は、垂直方向を向いて収納可能なものである。
【0013】
次に上記課題を解決する為、本発明が第4の手段として構成したところは第3の手段に加え、天板は、垂直方向を向いて収納可能なものである。
【発明の効果】
【0014】
第1手段として構成したところによると、椅子は、座板が仕切壁から前方に向かって設けられているので、ベッド方向に向かって椅子に座ることができるので、面会者に対して、使い勝手のいい椅子が提供できる。
また、椅子の端部側近傍にテーブルが設置され、天板下面と座板上面は開放状態とされており、天板の下方に、足を入れるスペースが設けられているので、患者や面会者が、椅子の天板側にテーブル側を向いて着座し、テーブルを使用することができる。そのため、別途椅子を用意する必要がない。
【0015】
第2手段として構成したところによると、座板の奥行寸法が短い場合、テーブルの使用者が、椅子の端部付近で真横に向かって着座すると、仕切壁に肩をぶつけて窮屈な姿勢を強いられることがあるため、必然的に座板の奥行寸法を長くとる必要があるが、本願発明は、天板の前方側が椅子の方向に突出しているので、テーブルの使用者は、仕切壁にやや背を向けて斜め方向を向き肩口スペースに余裕を設けた状態の着座姿勢であっても、テーブルが遠くなることなくテーブルが使用できるので、座板の奥行寸法を短く設定でき、間仕切家具を小型化することができる。
【0016】
第3手段として構成したところによると、座板を、垂直方向に向けて収納できるので、椅子の不使用時に、通行の邪魔にならないようにすることができる。
【0017】
第4手段として構成したところによると、天板を垂直方向に向けて収納できるので、テーブルの不使用時に、通行やベッドの出し入れの邪魔にならないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の間仕切家具の使用例を示す斜視図。
【図2】本発明の間仕切家具を示す斜視図。
【図3】本発明の間仕切家具の椅子が使用状態の時を示す正面図。
【図4】本発明の間仕切家具の椅子が使用状態の時を示す背面図。
【図5】本発明の間仕切家具の椅子が収納状態の時を示す正面図。
【図6】図3のA−A線断面図。
【図7】使用者が着座したイメージを示す概略平面図。
【図8】本発明の第1実施例の椅子が収納状態の時を示す概略正面図。
【図9】本発明の第1実施例の椅子が使用状態の時を示す概略右側面図。
【図10】本発明の第1実施例の支持脚が使用状態のままで座板が収納状態にされた時を示す右側面概略図。
【図11】本発明の第1実施例の椅子が収納状態の時を示す概略右側面図。
【図12】本発明の第1実施例の椅子が収納状態の時で座板の回動が阻止された時を示す概略右側面図。
【図13】本発明の副仕切体を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、室内に複数台配設されたベッド間に設置され、ベッド間を仕切る方向に立設する仕切壁が備えられ、仕切壁は、仕切る方向を左右方向とされ、仕切壁の少なくとも左右いずれかの端部から所定の間隔を有した位置に、仕切壁を挟み前後一対の椅子が設けられ、椅子には、仕切壁面から前方に向けられた座板が備えられ、座板は、回動収納が可能に施され、前記所定の間隔を有した側の椅子の端部側の近傍の仕切壁にテーブルが設けられ、
テーブルには、仕切壁面から前方に向けられた天板が備えられ、天板は、回動収納が可能に施され、天板の使用時の高さは、座板の上面よりも高い位置とされ、天板は、天板の前端が、前記座板の前端より前方に突出するともに、天板の椅子側端部の前方側は、椅子側に突出して形成され、天板の椅子側端部下面と、座板の天板側端部上面の間は、開放された状態とされ、天板下方部には足を入れることができる着座空間が設けられた間仕切家具である。
【実施例1】
【0020】
このように構成された本件間仕切家具における第1実施例を、添付図面に基づいて詳述する。
【0021】
本発明に係る間仕切家具1は、図1に示すように、病室の大部屋や介護・養護施設の多床室のベッドの間に設置し、患者のプライバシー空間を形成するものである。
【0022】
間仕切家具1は、廊下側壁面(図示せず。)と建屋外を臨む窓S側壁面と、廊下側壁面と窓S側壁面の端部をつなぐ壁面Wで形成された病室で使用されるものであって、壁面W側を枕元側にして、廊下側壁面に平行に設置されるベッドB1と、窓S側壁面に平行に設置されるベッドB2との間に、ベッドの長尺方向と平行に配設されるものである。
【0023】
間仕切家具1は、ベッド間を仕切る方向、すなわちベッドB1、B2の長尺方向を左右方向とし、左右方向に延び、所定の高さを有する仕切壁10と、該仕切壁10の左右両端部のそれぞれに取付けられる板状のベッド足元側の脚体11、ベッド枕元側の脚体12と、仕切壁10のベッドの枕元側に、仕切壁10を挟む前後一対の収納装置13、13とを備えており、
仕切壁10のベッドの足元側の端部から所定の間隔101をあけた仕切壁10には、仕切壁10を挟む前後一対の椅子14、14が備えられ、椅子14は、座板15と座板15を支持する支持脚16で構成されている。
そして前記、所定の間隔101の仕切壁10には、仕切壁10を挟む前後一対のテーブル17、17備えられている。
【0024】
椅子14の上方側の仕切壁10の所定の位置に、半透明の樹脂製の採光板102が嵌め込まれ、採光性が保たれている。採光板102は病室のレイアウトや照明器具の配置に応じて、半透明、不透明を使い分けてよい。
また、仕切壁10ベッドの足元側の上方側には、液晶テレビなどのモニター103を設置することもできる。
【0025】
仕切壁10の上部には、天井方向に向かって光を照射する照明ユニット104が設けられ、照明ユニット104は左右方向に延び、仕切壁10の前後方向に張り出すように構成され、照明ユニット104の前記張り出した下面にカーテンレール105が設けられ、カーテンレール105にはカーテン106が吊り下げられている。
尚、実施例において照明ユニット104は、仕切壁の一面側に傾けられ取り付けられているが、照明ユニット104は、間仕切家具によって仕切られた空間において、窓からの採光が届かず光が不足する場合に光を補うためのものであり、通常、このような間仕切家具で仕切られた部屋は、窓側に面した空間と窓のない空間とに分けられるため、窓側は採光性がよく、照明ユニットによる光の照射が不要なためである。したがって照明ユニット104は、光の採光状況によっては仕切壁10の両面側に照射できるように設けてもよい。
【0026】
カーテン106は、採光板102からの採光を遮るものであって、不使用時には、一部が収納装置13上部に設置されるカーテンボックス107に収納される。
【0027】
カーテンボックス107は、仕切壁10の前方に、仕切壁10と所定の間隔をあけ、板状のカバー体108を設置したものであって、カバー体108は、開閉自在に設置される。カバー体108を開放することにより、カーテンボックス内の清掃ができる。また、開放したところから臨む仕切壁のエンド部分から、壁面Wに対して螺子を打ち、間仕切家具1と壁面Wを固定し、間仕切家具1の転倒を防止することができる。(図示せず)
【0028】
脚体11、12は、板状であって、仕切壁10の前後方向に向かって張り出すように設けられ、高さは、テーブル17の下面よりやや高い位置までであって、脚体11、12と仕切壁10とで平面視H型を成すように構成されている。
【0029】
収納装置13は、前方側が開口とされた筐体であって、前後方向に引き出す引出し131、131、131が備えられ、下部はオープン棚132とされている
当然ながら、収納装置13には、引出しの代わりに開き扉を設けることもでき、筐体の大きさも用途に合わせて適宜設定することができる。
【0030】
テーブル17は、天板18と脚体11に設けられた天板受け111とで構成され、天板18は、使用状態において、座板16の前端部より前方まで突出した前後方向に長尺な板状であって、天板の椅子14側の端面側の前方側には、椅子の方向に隆起するように突出した突出部18aが形成される。
尚、天板18の前後方向の寸法18bは、病院等で提供される食事の配膳トレーを載せることができる400〜500ミリメートルほどの寸法が望ましい。
天板18の床からの高さは、一般的な机と同じく650〜750ミリメートルの高さが望ましい。
【0031】
また、突出部18aの突出量18cは、テーブル17の使用者が、椅子の端部付近で真横に向かってテーブル17と正対し着座するのではなく、仕切壁にやや背を向けて斜め方向の状態に着座し、テーブル17が使用できる姿勢がとれる程度が望ましい。したがって、平面視における突出部18aの椅子側に面する端部の形状は、仕切壁10と平行を成さずに、天板側から椅子側に向かって斜め前方に傾斜した形態が望ましく、意匠的には、座板15のテーブル側端部の形状と略平行を成すように形成されるのが望ましい。
さらに、後述する天板18と座板15の収納状態において、互いに干渉しないような形状とされている。
【0032】
そして、天板18の仕切壁10側がヒンジ181、181を介して、仕切壁10に支持されている。
天板18は、ヒンジ181、181によって、上下方向に回動自在とされているので、天板18は、使用状態から前記ヒンジ181を水平回動軸として上方にむかって回動し、使用状態から約90度回動した位置で、仕切壁10に備えられたマグネットキャッチ10aで支持され収納状態とすることができる。
【0033】
当然ながら、天板18は、上方ではなく下方に回動させてもよい。
その場合、天板18は、使用状態において、天板受け111の代わりに、公知技術である折り畳み式の棚受けなどで支持されることになる。
しかしながら、下方に回動させると、天板18の収納時に天板18の使用面が、間仕切家具の下方部の表面側に露出することになり、座板の使用面に人の靴などが当ることになるため、衛生面、特に院内感染防止の上において好ましいとはいえないので、天板の前後寸法を短く、あるいは、設置高さを高くするなどの配慮が必要である。
【0034】
座板15は、平面視において、左右方向に長い長方形を成した板状であって、座板15のベッドの枕側の下面が、収納装置13に設けられた座板受け133に支持され、座板15の仕切壁10側がヒンジ151、151を介して、仕切壁10に支持されている。そして、座板15のベッドの足元側の下面が、支持脚16によって支持されている。
【0035】
座板15は、ヒンジ151、151によって、上下方向に回動自在とされているので、座板16は、使用状態から前記ヒンジ151を水平回動軸として上方にむかって回動し、使用状態から約90度回動した位置で、仕切壁10に備えられたマグネットキャッチ10bに支持され収納状態とすることができる。
【0036】
尚、座板15は、平面視、左右方向に長い長方形を成しているが、これは複数人が座板に着座できるように配慮したものであり、間仕切家具1の左右の長さ、天板18の大きさ、収納装置13によって変動し、平面視、略正方形を成した一人掛け用の座板としてもよい。
また、平面視において、座板15の前端部とテーブル側の端部とで形成されるコーナー部15bは、テーブルの使用者が、テーブル側にやや斜めを向いて着座するため、角部がない形態が望ましく、実施例では円弧状に形成されている。他にも面取りの状の形状なども考えられる。
【0037】
そして、座板15の前後方向の寸法15cは、面会者が、ベッド側にむかって着座することができ、かつ、使用状態においても通行の妨げになりにくい280〜400ミリメートルほどの寸法が望ましい。
座板15の床からの高さは、一般的な椅子と同じく350〜450ミリメートルの高さが望ましい。
【0038】
当然のごとく、座板15は、上方ではなく下方に回動させてもよいが、下方に回動させた場合、座板15の着座面が、座板15の収納時に間仕切家具の表面下方部に位置し、かつ、表面側に露出することになり、座板の着座面に人の靴などが当ることになるため、衛生面、特に院内感染防止の上において好ましいとはいえないので、別途収納時用のカバーを設けるなど配慮が必要である。
【0039】
支持脚16は、板状であって、椅子14の使用時に仕切壁10と平行に立設し、上部側がヒンジ161を介して、座板15の使用時の下面15aの前端部寄りに支持されている。
そして、支持脚16は、ヒンジ161によって、水平方向に回動自在とされており、椅子14の使用状態から、座板15が上方に回動され収納状態とされると、支持脚16は、前方に向かって突出した状態となる。
次に、支持脚16を、ヒンジ161を水平回動軸として下向きに約90度回動し、座板15に沿った状態で収納することができる。
尚、ヒンジ161は、ヒンジ161の回動方向に抵抗が付与されたものや、折りたたみテーブルなどで広く知られている、ロック機構がついたものなどを適宜使用すればよい。
【0040】
次に、座板15と支持脚16の収納状態において、支持脚16の下端面16aの下方部の仕切壁10には、当接片10cが設けられ、当接片10cの上面は当接面10dとされる。
【0041】
下端面16aと当接面10dは近接した状態に設定され、椅子14の収納時、すなわち座板15と支持脚16の収納時に、座板15が回動操作をされると、座板15が一定角度回動したのち、支持脚16の下端面16aが、当接片10aの当接面10bに当接し、座板15の回動が阻止される。
【0042】
したがって、支持脚16が使用状態にないときに、座板15を展開し、使用者が誤って座板15に着座することによる破損、怪我などを防止することができる。
【0043】
そして、支持脚16の使用状態とした時、すなわち座板15が収納状態で、支持脚16が前方に突出した状態の時に、座板16が回動操作をされても、支持脚16の下端面16aは、どこにも当接しないので使用状態まで回動させることができる。
【0044】
当然のごとく、当接片10cがなくとも、支持脚16と座板15の収納状態から、座板15を回動させると、支持脚16の下面が仕切壁10に当接し、回動が阻止されるが、当接片10cを設けたほうが、座板15の回動を早期に阻止できるので、使用者が戸惑うことなく使い勝手がよい。
【0045】
尚、支持脚16の収納状態における下端面16aと、当接片10aの当接面10bとの間隔をより小さく設定することによって、座板の回動が阻止される時の座板の開き具合(角度)を小さく設定することができる。
【0046】
このように間仕切家具1は構成され、天板18の下方部には障害物がなく、足を入れることができる着座空間が設けられ、天板18の椅子側の下方と、座板15の天板18側の上部の間は障害物がなく開放状態とされ、座板15と天板18の床からの高さは、それぞれ一般的な椅子、机と同じ高さに設定されているので、椅子14に着座し、テーブル17の下に足を入れテーブル17に向かってテーブル17を使用することができる。
【0047】
そして、このように構成された間仕切家具1には、副仕切体2が装着され、延長することができる。
副仕切体2は、板状の底板201と底板201に立設する副仕切壁202とで構成される。
副仕切壁202は、上端が仕切壁10と同じ高さに設定され、仕切壁10の延長方向に立設し、底板201は、下面にキャスター203が装着され、副仕切体2が移動自在とされている。なお、副仕切体2には、必要に応じてベッドの足元側からの視線を遮るエンドパネル204や、収納装置205、コートフック206などが備えられる。
【0048】
間仕切家具1と副仕切体2は、間仕切家具1に設けられた突起片109に、副仕切体2に設けられた嵌合溝部207を挿入し、装着状態とされる。
そして、装着状態で副仕切体2に設けられた鈎208を操作し、鉤208に備えられたL字状の鈎片209を間仕切家具に設けられた鈎孔110に係合させることによって、副仕切体2を不動に連結することができる。
【0049】
嵌合溝207は、副仕切壁202の間仕切家具側端面に設けられ、前記端面の上下方向のほぼ中央部から上下方向に凹溝状に形成されている。
嵌合溝部207の所定の箇所に鈎208が設けられ、鈎を操作することで、鈎片209が嵌合溝207内に突出自在とされている。
【0050】
突起片105は、前記嵌合溝207に内包される形状を成し、仕切壁10のベッドの足元側端面と脚体11の側面とで形成される間仕切家具端部の上下方向のほぼ中央部から、上下方向に向かって延伸する方向で取り付けられている。
そして、突起片109には前記鈎片209に対応した鈎孔110が設けられている。
【0051】
嵌合溝207の幅、深さ、長さは適宜設定されるものであるが、幅、深さは、副仕切壁202の厚さの約半分相当の大きさで設定するのが副仕切壁202強度面から望ましい。長さは、副間仕切体の前後の揺れを防止するためにも300ミリ以上有したものが望ましいが、長さを短くした溝を、上下方向に複数設けることでも良い。
【0052】
通常、間仕切家具全体の長さを、ベッドの長尺方向と略同じ長さとし、個室風の空間を形成するが、この場合、ベッドを搬出させる際、ベッドは所定の位置から引き出され、出入口に向って直角に曲がる軌跡を辿りながら移動されるので、間仕切家具が障害となり、スムーズな搬出を行なうことが出来ない。副仕切体2は、副仕切体2を間仕切家具1に装着することによって、ベッドの長尺方向と略同じ長さとし、ベッドの搬出時には、副仕切体2を切り離し、移動させることによって障害にならないようするものである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明は、病室の大部屋や介護・養護施設の多床室のベッド間に設置し、患者のプライバシー空間を確保する間仕切家具にかかわるものであり、間仕切機能に加え、天板、椅子を備え、別途椅子を用意することなく、着座してテーブルを使用でき、かつ、テーブル、椅子が収納可能であるから、病室の床面積に左右されず、病室の大部屋や介護・養護施設の多床室の患者のプライバシー空間を確保する間仕切りとして広く利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
B1 廊下側ベッド
B2 窓側ベッド
W 壁面
S 窓
1 間仕切家具
14 椅子
15 座板
16 支持脚
17 テーブル
18 天板
18a 突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に複数台配設されたベッド間に設置し、ベッド間を仕切る方向に立設する仕切壁を備え、仕切壁は、仕切る方向を左右方向とし、仕切壁の少なくとも左右いずれかの端部から所定の間隔を有した位置に椅子を設け、椅子は、仕切壁面から前方を向く座板を備え、前記所定の間隔を有した側の椅子の端部側の近傍の仕切壁にテーブルを設け、テーブルは、仕切壁面から前方を向く天板を備え、天板の設置高さは、座板の上面よりも高い位置であって、天板は、天板の前端が、前記座板の前端より前方に突出し、天板の椅子側端部下面と、座板の天板側端部上面の間は、開放状態を成し、天板下方部には足を入れることができる着座空間を設けた事を特徴とする間仕切家具。
【請求項2】
天板の椅子側端部の前方側は、椅子側に突出している請求項1記載の間仕切家具。
【請求項3】
座板は、垂直方向を向いて収納可能な請求項2記載の間仕切家具。
【請求項4】
天板は、垂直方向を向いて収納可能な請求項3記載の間仕切家具。
【請求項1】
室内に複数台配設されたベッド間に設置し、ベッド間を仕切る方向に立設する仕切壁を備え、仕切壁は、仕切る方向を左右方向とし、仕切壁の少なくとも左右いずれかの端部から所定の間隔を有した位置に椅子を設け、椅子は、仕切壁面から前方を向く座板を備え、前記所定の間隔を有した側の椅子の端部側の近傍の仕切壁にテーブルを設け、テーブルは、仕切壁面から前方を向く天板を備え、天板の設置高さは、座板の上面よりも高い位置であって、天板は、天板の前端が、前記座板の前端より前方に突出し、天板の椅子側端部下面と、座板の天板側端部上面の間は、開放状態を成し、天板下方部には足を入れることができる着座空間を設けた事を特徴とする間仕切家具。
【請求項2】
天板の椅子側端部の前方側は、椅子側に突出している請求項1記載の間仕切家具。
【請求項3】
座板は、垂直方向を向いて収納可能な請求項2記載の間仕切家具。
【請求項4】
天板は、垂直方向を向いて収納可能な請求項3記載の間仕切家具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−94592(P2013−94592A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242856(P2011−242856)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000125990)株式会社くろがね工作所 (84)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000125990)株式会社くろがね工作所 (84)
【Fターム(参考)】
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