説明

防災設備およびその通信管理装置ならびに防災設備の遠隔管理装置

【課題】通信を用いて防災設備が正常であることを判定して表示する。
【解決手段】通信管理装置140の送信機152は管理対象機構の状態を示す状態信号を外部通信網により送信し、遠隔管理装置170は管理対象機構の状態が予め記憶装置180に記憶されている正常な値であるかを判定する。通信管理装置140は、送信部154によって遠隔管理装置によって管理対象機構が正常な状態にあると判定されたことを示す確認済信号を外部通信網を通じて受信し、表示器によって管理対象機構が正常な状態にあることが遠隔管理装置によって判定されたことを示す遠隔管理中表示を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災設備およびその通信管理装置ならびに防災設備の遠隔管理装置に関する。さらに詳細には、本発明は、消火設備などの防災設備が正常に遠隔監視されている状態を、その防災設備の設置場所にて表示するための、防災設備およびその通信管理装置ならびに防災設備の遠隔管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学校、病院または工場などの一定以上の規模の施設や建物(防火対象物)には、例えば法令に基づいて防災設備または消防用設備が設置される。この防災設備に含まれる典型的なものには、警報設備、消火設備および避難設備がある。
【0003】
警報設備は人員の避難を目的として設置される。このうち、自動火災報知設備(自火報設備)は、火災を感知する火災感知器から火災検知信号を受け、警報音(ベル音)を発する地区音響装置などを起動するように構成される。また、消火設備は、火災の消火または延焼の防止のために設置される。この消火設備にも、手動のもののほか、自動で消火動作を実行するもの(自動消火設備)が用いられる。自動消火設備には、閉鎖型スプリンクラー消火設備など、例えば電気系統による制御を用いずに、いわば自律的に火災に応じて消火動作を実行するものから、火災感知器からの信号(火災検知信号)に連動させて使用される予作動式スプリンクラー消火設備や、開放式スプリンクラー消火設備、不活性ガス消火設備、および泡消火設備など各種のものがある。
【0004】
以上の自動火災報知設備および自動消火設備において火災を感知するために用いられる火災感知器は、火災の際に生じる物理現象を感知するように作製されている。火災報知器は、火災の際の熱、煙または光(紫外線、赤外線を含む)といった現象を種々の原理に基づいて検知するタイプのものが用いられている。いずれのタイプのものであっても、火災感知器は防火対象物の室内などに設置され、その設置位置(区画)において検知対象の現象の発生を感知することによって電気的にその感知結果を伝達する。
【0005】
自動火災報知設備、または、火災感知器と連動されるような自動消火設備は、平常時にはいつでも報知動作または消火動作といった動作を行いうる状態を保って待機している。これらが火災感知器からの災検知信号の発報を受けると、適切なタイミングで、人員に避難を促すために地区音響装置を起動し、あるいは、発生した火災に対応した消火手段を起動する。このような待機動作および必要時の適切な動作を実現するため、自動火災報知設備や自動消火設備には火災検知信号に応じて地区音響装置や消火手段を制御する装置(以下、「制御装置」という)が用いられる。自動火災報知設備の制御装置は通常、自動火災報知受信機(または単に受信機)と呼ばれる。これに対し、自動消火設備の制御装置は制御盤と呼ばれる。
【0006】
ここで、特許文献1(特開2005−209030号公報)には、火災感知器がインターネットのような情報通信ネットワークに接続され、発報の履歴情報や故障情報など火災感知器自体の動作状態に関わる機器個別情報を情報通信ネットワークを介して管理サーバへ送信することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−209030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動火災報知設備や自動消火設備などの防災設備においては、火災感知器の発報、地区音響装置の鳴動および消火手段の動作といった各機能が、必要時に各機能の所期の目的どおりに間違いなく動作することが求められている。
【0009】
実際、例えば消火設備においては、火災感知器、制御盤を含めて法定点検作業が義務づけられており、正常に動作しうる状態に維持・管理されているかどうかが定期的に確認される。しかしながら、その点検の頻度は、通常は6月に一度程度に過ぎない。したがって最悪の場合、最大6ヶ月近くもの長期間にわたって不具合が放置されかねない。
【0010】
また、防災設備の本来的な管理のありようとしては、その防火対象物を管理しまたは使用する者が自主的に点検することにより、自身のもしくは防火対象物使用者の身体または財産の安全を確保するべきといえる。しかし実態としては、必ずしもそのような運用までは手が行き届くとは限らない。
【0011】
これらの運用上の問題点が生じる潜在的な理由として、何ら火災の兆候がないような安全な施設では、各設備や装置の動作する頻度が著しく低いことが挙げられる。他の理由としては、正常な状態と正常ではない状態との間での判断を行うために、例えば計器による確認が必要な場合など、専門技術者あるいは有資格者の関与を必要とすることも挙げられる。このような理由があったとしても、理想的には点検周期を短くすることにより、長期間の不具合の放置は防げる。しかしながら、その一方で点検周期を短くすることに伴うコストの増加を甘受しなければならなくなる。
【0012】
従って、コストの上昇を抑制しつつ防災設備の管理のレベルを高めることにより、従来の点検を補完して防災設備の機能を正常な状態に維持すること、そして防災設備がそのような管理下に置かれていることを施設の管理者や使用者が容易に認識できるようにすることが求められている。
【0013】
ところで、特許文献1に開示されるような情報通信ネットワークを用いても、防災設備が設置された施設を管理する管理者は、火災感知器が適切に管理されていることを必ずしも常時認識できるわけではない。しかも、特許文献1の開示にしたがって火災感知器が仮に適切に管理されていたとしても、防火対象物の管理者が消火設備の構造や動作原理の細部に精通しているとは必ずしもいえない。したがって、自動火災報知設備の地区音響装置が正常に動作しうるように維持されているか、自動消火設備の消火手段が正常に動作しうるように維持されているかといった各機能に対しては、施設の管理者自身や施設の利用者が不安感を抱くことがある。特に、避難を促したり、消火を行ったりする積極的機能が正常であるかどうかに対する不安感は、防災設備などの機器そのものへの信頼感のみならず、防火対象物やその管理体制に対する信頼をも揺るがすものである。したがって、このような不安感を解消する方策が求められている。
【0014】
本発明は、上述の技術課題のうちの少なくともいくつかを解決することを課題とする。これにより、本発明は、消火設備などの防災設備の維持管理状態に対する不安感を解消するような防災業務の高度化や防災業務の省力化に大きく寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は防災設備として実施することができる。すなわち、本発明のある態様においては、状態を取得可能な管理対象機構と、前記管理対象機構の状態を示す状態信号を外部通信網を通じて送信する送信機と、前記状態信号によって示される前記管理対象機構の状態に関する値が、当該管理対象機構に対応させて予め記憶装置に記憶されている正常な状態を示す値または値の範囲にあるかどうかを判定することにより前記管理対象機構の状態を判定するための遠隔管理装置から、遠隔管理装置によって管理対象機構が正常な状態にあると判定されたことを示す確認済信号を外部通信網を通じて受信する受信機と、確認済信号に基づいて、管理対象機構が正常な状態にあることが遠隔管理装置によって判定されたことを示す遠隔管理中表示を表示する表示器とを備える防災設備が提供される。
【0016】
また、本発明のある態様においては、状態を取得可能な管理対象機構と、前記管理対象機構の状態が正常であるかどうかを判定する判定部と、前記判定部から、管理対象機構の状態が正常であることを示す信号を受けて、管理対象機構が正常である正常信号として外部通信網を通じて送信する送信機と、前記管理対象機構の状態が正常であることを遠隔管理装置が前記正常信号に従って管理していることを示す遠隔通信済表示を表示する表示器とを備える防災設備が提供される。
【0017】
防災設備としての態様に加えて、本発明は、防災設備の通信管理装置としても実施することができる。すなわち、本発明のある態様においては、防災設備から管理対象機構の状態を示す信号を受信する入出力部と、前記管理対象機構の状態を示す状態信号を外部通信網を通じて送信する送信機と、前記状態信号によって示される前記管理対象機構の状態に関する値が、当該管理対象機構に対応させて予め記憶装置に記憶されている正常な状態を示す値または値の範囲にあるかどうかを判定することにより前記管理対象機構の状態を判定するための遠隔管理装置から、遠隔管理装置によって管理対象機構が正常な状態にあると判定されたことを示す確認済信号を外部通信網を通じて受信する受信機と、確認済信号に基づいて、管理対象機構が正常な状態にあることが遠隔管理装置によって判定されたことを示す遠隔管理中表示を表示する表示器とを備える防災設備の通信管理装置が提供される。
【0018】
加えて、本発明のある態様では、防災設備から管理対象機構の状態を示す信号を受信する入出力部と、前記管理対象機構が正常であるかどうかを判定する判定部と、前記判定部から、防災設備の管理対象機構の状態が正常であることを示す信号を受けて、管理対象機構が正常である正常信号として外部通信網を通じて送信する送信機と、前記管理対象機構の状態が正常であることを遠隔管理装置が前記正常信号に従って管理していることを示す遠隔通信済表示を表示する表示器とを備える防災設備の通信管理装置が提供される。
【0019】
上述の各態様に加えて、本発明は、防災設備の遠隔管理装置としても実施することができる。すなわち、本発明のある態様においては、防災設備の管理対象機構の状態を示す状態信号を、防災設備側の送信機から外部通信網を通じて受信する遠隔受信機と、管理対象機構の状態が正常な状態であることを示す管理対象機構の状態に関する値または値の範囲を、管理対象機構に対応させて記憶している記憶装置と、前記記憶装置から呼び出した前記値または前記値の範囲と、前記遠隔受信機が受信した状態信号とを比較することにより、該状態信号によって示される管理対象機構の状態が正常な状態であるかどうかを判定する判定部と、管理対象機構が正常な状態にあると前記判定部によって判定されたときに、当該判定結果を示す遠隔管理中表示を防災設備の表示器に表示するために用いられる確認済信号を、前記防災設備側の受信機に外部通信網を通じて送信する遠隔送信機とを備える防災設備の遠隔管理装置が提供される
【0020】
本発明の各態様において、火災に関連する現象の伝達のために発報される電気信号を火災検知信号と呼ぶ。この火災検知信号は、例えば、火災感知器から出力される。なお、火災検知信号とは、火災に伴う現象を感知することによって明示的にアサートされる信号に加え、平常時にアサートされていた信号が火災に伴う現象を感知することによってネゲートされるような信号も含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の各態様においては、防火対象物の施設を管理する者が必ずしも高い頻度で消火設備を点検しない場合や消火設備等の防災設備の細部に精通した知識を有していない場合であっても、消火設備の状態が正常であることが遠隔地から適切に管理されていることを認識することができるような防災設備が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のある実施形態の防災設備の遠隔管理システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2A】本発明のある実施形態における遠隔管理システムにおいて実行される処理の概略を示すフローチャートである。
【図2B】本発明のある実施形態における遠隔管理システムにおいて実行される処理うちの一部(判定処理)の詳細を示すフローチャートである。
【図3】本発明のある実施形態の遠隔管理中表示の表示態様を例示する説明図である。
【図4】本発明のある実施形態の防災設備の遠隔管理システムの構成を示すシステム構成図である。
【図5】本発明のある実施形態における遠隔管理システムにおいて実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施態様について説明する。以下の説明に際し、全図にわたり特に言及がない限り共通する部分または要素には共通する参照符号が付されている。また、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されてはいない。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態の防災設備を遠隔管理する防災設備の遠隔管理システム10の構成を示すシステム構成図である。本実施形態の遠隔管理システム10は、概して、防災設備12と、無線通信網190と、遠隔管理装置170とからなる。また、防災設備12は、自動火災報知設備110、閉鎖型スプリンクラー消火設備120(以下「スプリンクラー消火設備120」)、および通信管理装置140を備える。防災設備12は防火対象物(図示しない)に設置され、遠隔管理装置170は防火対象物の一部またはその防火対象物から離れた別の施設に置かれる。
【0025】
自動火災報知設備110は、例えばR型またはP型の各等級の受信機などのような自動火災報知受信機112を備え、その自動火災報知受信機112には、火災感知器114、発信器116(押ボタン)、および地区音響装置(ベル)118が電気的に接続されている。この自動火災報知設備110は、火災感知器114によって火災を感知した場合、または、例えば火災を発見した人が発信器116のボタンを押した場合に、地区音響装置118を鳴動させて、防火対象物の適切な範囲にいる人員に火災の発生を報知し、避難を促す。
【0026】
スプリンクラー消火設備120は、典型的には、防火対象物の室内などに適切な配置および数になるよう設置されるスプリンクラーヘッド122を備えており、そのスプリンクラーヘッド122には水管を通じて消火用水が導かれている。各スプリンクラーヘッド122には、熱によって融解する物質や揮発する物質などを利用して火災の際に自動的に開放されるような弁(図示しない)が備えられている。このような弁は火災が起きると開放されるため、スプリンクラーヘッド122からは火災が発生した場合に非常に高い確度で散水が行われて消火動作が行われる。
【0027】
このような万一の場合の散水に備えて、消火用水は水タンク124からスプリンクラーヘッド122に導かれるとともにポンプ126によって加圧されている。この水圧を検知するために水圧センサー128が設けられ、また、水タンク124内の水量を検知するため水量センサー124aが用いられる。このうち、水圧センサー128の位置は、ポンプ126とスプリンクラーヘッド122との間の水管であり、この水圧センサー128からポンプ126に対して、水圧センサーポンプ起動出力128aが出力される。このため、火災の熱などによってスプリンクラーヘッド122の弁が開放されるなどの水圧が低下した場合には、水圧センサー128が水圧の低下を検知し、ポンプ126を起動させる。
【0028】
同様に、水量センサー124aの位置は、水タンク124内とされ、水タンク124内の水量が低下しないように、水タンク124に給水するための給水設備(図示しない)によって一定の水量に維持される。こうして、火災が発生した場合に備えて、消火に必要な時間、スプリンクラーヘッド122から水タンク124内の消火用水を散布しうる状態が維持される。
【0029】
火災が発生した場合のスプリンクラー消火設備120の起動動作は、制御盤130に出力される水圧センサー出力128bによって検知することができる。すなわち、水圧センサー出力128bが継続的な水圧低下を示すときには、スプリンクラーヘッド122の弁が開放してスプリンクラー消火設備120が起動していると判断される。
【0030】
通信管理装置140は、例えばコンピュータやPLC(programmable logic controller)などのコントローラ装置と、入出力装置と、必要な記憶装置と、通信モジュールやアンテナなどの通信手段とを備えている。これらの装置を用いることによって、本実施形態の通信管理装置140は種々のハードウエア構成によって実現される。このため、ここでは通信管理装置140の具体的なハードウエア構成ではなくその果たすべき処理機能に注目して説明する。通信管理装置140には、コントローラ装置として、バス148によって互いに接続された制御部144、入出力部142、および記憶部150が含まれている。通信管理装置140のバス148には、さらに、表示制御部156が接続され、その表示制御部156の表示される内容は表示部158が制御している。そして、バス148には、無線通信網190を通じて送受信を行うための送信部152と受信部154も接続されている。なお、表示制御部156や表示部158、送信部152、受信部154は、例えば適当な独立したモジュールにされていてバス148に接続された入出力装置(図示しない)を通じて制御部144に接続されているように構成することもできる。また、通信管理装置140は、たとえばRTC(Real Time Clock)160などのような適当な計時手段を用いており、制御部144と連携することによってタイマー(図示しない)を構成することができる。
【0031】
以上のような自動火災報知設備110、スプリンクラー消火設備120、および通信管理装置140は、互いに電気的な信号をやりとりしている。自動火災報知設備110は、火災感知器114からの火災検知信号または発信器116のボタンの操作による信号に応じて起動信号112aおよび起動信号112bを出力する。このうち、起動信号112aはスプリンクラー消火設備120の制御盤130に入力され、他方の起動信号112bは通信管理装置140の入出力部142に入力される。
【0032】
また、スプリンクラー消火設備120の制御盤130からは、スプリンクラー起動出力130aおよびスプリンクラー付随出力130bが出力される。スプリンクラー起動出力130aは、起動信号112bとともに通信管理装置140の入出力部142に入力される。したがって、自動火災報知設備110からの起動信号112bおよびスプリンクラー消火設備120からのスプリンクラー起動出力130aは管理対象機構の状態信号の例である。そして、このように構成されることによって、本実施形態の自動火災報知設備110やスプリンクラー消火設備120は、その状態が取得可能なものとなる。このため、本実施形態の自動火災報知設備110やスプリンクラー消火設備120は本発明に規定する管理対象機構の例といえる。
【0033】
スプリンクラー消火設備120からのスプリンクラー付随出力130bは、例えば水圧センサー128の水圧センサー出力128b等のように、スプリンクラー消火設備120が起動に至らない場合にも変動しうる信号を含むことができる。この場合には、スプリンクラー消火設備120のより詳細な状態を取得して管理に反映させることが可能となる。すなわち、スプリンクラー消火設備120の水圧センサー128は状態を取得可能な管理対象機構となり、その状態を取得可能な管理対象機構を示す状態信号となるのはスプリンクラー付随出力130bである。
【0034】
次に遠隔管理装置170の構成について説明する。この遠隔管理装置170も種々のコンピュータやコントローラに実装して実現されるため、以下の説明においてその機能手段の構成の一例を示す。遠隔管理装置170には、制御部172、遠隔受信部176、遠隔送信部178、および、記憶部180が備えられている。これらは、互いにバス174によって接続されて通信可能にされている。記憶部180には、管理テーブル182が格納されている。遠隔管理装置170の制御部172には、コンピュータプログラムにより実装される判定部172aが動作している。バス174にはRTC184が接続されているため、制御部172によってタイマー(図示しない)が構成されるようになっている。
【0035】
管理テーブル182の典型的な構成は、管理対象機構ごとのレコード182a、182bおよび182cが論理的に区別可能な態様にて設けられるものである。各レコード182a、182bおよび182cは、識別フィールドと値フィールドとを有しており、識別フィールドには、機器IDが格納され、値フィールドには、その管理対象機構の状態が平常な場合にとるべき値が格納されている。このため識別フィールドおよび値フィールドを、それぞれ、機器IDフィールドおよび正常値フィールドとも呼ぶ。機器IDフィールドには、管理対象機構に対して必要に応じて設定される識別子を格納している。なお、図1においては、説明のために識別子ではなく管理対象機構の名称を明示している。正常値フィールドには、実際に用いる管理対象機構の性質や、それらから得られる状態信号の値の範囲を反映させて、正常の場合に管理対象機構の状態信号が示すべき値またはその範囲を保持している。ここで、正常値フィールドに範囲を格納するための態様は任意であり、上限値と下限値、または、中心値と適正幅といった値の組を格納しているようにすることもできる。そして、上述の管理テーブル182は一例であり、他の実装態様によって実施することも可能である。すなわち、遠隔管理システム10に防災設備12が複数含まれていてそれらが一つの遠隔管理装置170よって管理される場合も含めて、管理テーブル182は、各レコードと各防災設備の各管理対象機構とのあいだの対応付けが可能なように構成されていれば、その実装の具体的態様は任意に決定することができる。
【0036】
管理テーブル182をより詳細に説明すれば、例えば、自動火災報知設備110は、平常な状態においては、火災感知器114によって火災が感知されるように、かつ発信器116を用いていつでも火災が通報されるように待機しているべきである。このため、自動火災報知設備110の状態を示すレコード182aはそれに応じた値(OFF)を格納している。
【0037】
同様に、スプリンクラー消火設備120は、平常な状態においてスプリンクラーヘッド122からの散水がいつでも行えるように、スプリンクラーヘッド122までの水管の水圧は一定以上に保たれているとともに、水タンク124の水量も一定以上に保たれているべきである。これを反映して、スプリンクラー消火設備120の水圧センサー128に対応するレコード182bは、正常に動作している場合に水圧がとるべき平常時の値また値の範囲を決定できるような数値、たとえば水圧の最小値や、必要であれば最大値を格納している。なお、水圧センサー128が水圧低下を検知したときのみ信号を発し、正常時には何らの信号も発しないようなタイプであれば、平常時にとるべき状態は信号を発していない状態であるため、それに応じた値(例えばOFF等)が格納される。また、水圧センサー128が水圧を値として出力するようなものであれば、その値をスプリンクラー付随出力130bによって取得できるようにすることも可能である。したがって、水量センサー124aに対応するレコード182cも、平常時にとるべき水量の最小値や、必要であれば平常時の最大値を格納している。水量センサー124aが水量を値として出力するときにその値がスプリンクラー付随出力130bによって取得することができるのも同様である。
【0038】
通信管理装置140と遠隔管理装置170は、無線通信網190を通じて互いに通信を行うことができる。このために、通信管理装置140の送信部152および受信部154、ならびに、遠隔管理装置170の遠隔受信部176および遠隔送信部178には、無線通信網190に適合するアンテナが備えられている。このように、無線通信網190は、通信管理装置140と遠隔管理装置170との間における双方向の通信を可能にする外部通信網となっている。
【0039】
次に、防災設備の遠隔管理システム10において実行される処理についてその詳細を説明する。図2Aはこの処理の概略を示すフローチャートである。また、図2Bはその処理のうちの一部(判定処理)の詳細を示すフローチャートである。
【0040】
通信管理装置140は、自動火災報知設備110およびスプリンクラー消火設備120から状態を取得する(S202)。この状態の取得は、起動信号112bやスプリンクラー起動出力130aやスプリンクラー付随出力130bからの信号を新たに取得することが典型的な構成である。これに加え、これらの出力の示す値を通信管理装置140が記憶部150などの適当な記憶部に常時書き込んでおくようにしておき、その記憶部150の値が状態の取得のタイミングに応じて読み出されるような構成としてもよい。取得した状態は、送信部152によって遠隔管理装置170に向けて状態信号として送信される(S204)。この状態信号は、自動火災報知設備110およびスプリンクラー消火設備120の状態を示している。
【0041】
送信された状態信号は、無線通信網190を通じて伝送された後、遠隔管理装置170の遠隔受信部176によって受信される(S206)。無線通信網190を通じて伝送されうるように、状態信号は、適当な数値フォーマットのデジタル信号等に変換されて送信される。なお、この送信を可能とする無線通信網190を通じた通信チャネルは、送信部152と遠隔受信部176との間で確立されている。そして、遠隔管理装置170の判定部172aは、その受信した状態信号によって示されている自動火災報知設備110の状態やスプリンクラー消火設備120の状態が正常な状態であるかどうかを判定する(S208)。
【0042】
ここで、判定処理(S208)について図2Bを用いて説明する。この判定処理は制御部172において動作する判定部172a(図1)によって行われる。まず、判定部172aは、記憶装置180の管理テーブル182を検索して、管理テーブル182のレコード182a、182bおよび182cから、判定対象の自動火災報知設備110およびスプリンクラー消火設備120の状態に関して対応させて記憶されている値または値の範囲(値等)を呼び出す(S232)。そして、その呼び出した値等と、遠隔受信部176によって受信した状態信号とを比較する(S234)。そして、その比較によって、状態信号の示す値が、管理テーブル182から呼び出した値または値の範囲と等しいかどうか(正常値フィールドが値を格納するとき)または含まれるかどうか(正常値フィールドが値の範囲を格納するとき)が判定される。その判定結果に応じて、判定部172aの判定結果を示す信号である確認済信号を生成する(S236AまたはS236B)。以上のようにして判定処理S208(図2A)は実行される。なお、このような判定処理は、管理対象機構が複数あるときには個別の管理対象機構に対して順次行うことができる。その場合、確認済信号の実装態様については、管理対象機構別の複数の信号としたり、単一の信号によって複数の管理解消機構のそれぞれの状態を示すようにすることができる。さらには、管理対象機構を群または集合として扱うよう構成することによって、確認済信号によって示される管理対象機構の状態を、例えば、その集合に含まれるすべての管理対象機構が正常と判定された状態と、その集合に含まれるいずれか一つの管理対象機構が正常ではないと判定された状態との組み合わせにすることもできる。
【0043】
再び図2Aに基づいてその後の処理を説明する。判定部172aによって生成された確認済信号は、遠隔送信部178から通信管理装置140の受信部154に向けて無線通信網190を通じて送信される(S210)。確認済信号は自動火災報知設備110やスプリンクラー消火設備120が正常な状態であるか正常な状態にないかが判定部172aによって判定されたことを示しているので、通信管理装置140がその確認信号を受信すると(S212)、表示部158において遠隔管理中表示のために用いられる(S214)。その遠隔管理中表示は、遠隔管理装置170によって管理対象機構が正常であることを示すものであるため、表示部158の表示を見ることによって、遠隔管理装置170によって管理対象機構が正常であること、および、遠隔管理装置170によって管理対象機構が管理されていることが把握される。以上のような状態の取得(S202)から確認信号の受信(S212)までの処理は、典型的には1日1回、または、1時間に一回といった一定の周期で実行される。その周期は、種々の条件に応じて決定され、例えば、管理対象機構が必要とするメンテナンスの頻度、防火対象物の使用頻度、通信回線の容量等が考慮される。このため、次の実行のためにたとえばタイマーを利用したウエイト処理(S216)が適宜実行される。なお、表示部158における表示はステップS212の受信直後にのみ表示されるような態様とすることもでき、また、次回の受信まで同様の表示態様によって表示されることができる。したがって、表示部158において遠隔管理中表示を表示することには、実際にはその時点までに行われている表示を変更する処理(S218)も含む。
【0044】
図2AおよびBによって説明した一連の処理においては、各動作は、あらかじめ通信管理装置140または遠隔管理装置170に実装されたプログラムに従って実行されるように構成することができる。したがって、その一連の処理の動作には、そのプログラムの具体的な内容によって、どの装置が動作主体となって実行されるかが定まるものがある。たとえば、状態を取得する処理(S202)およびウエイトの処理(S216)を、通信管理装置140がそれ自体のプログラムの記述に従ってタイミングを計って行うこともできるし、また、通信管理装置140が遠隔管理装置170からの命令に応じる形のイベントドリブン型のプログラムを有していて、タイミングを決定する処理を遠隔管理装置170が行うこともできる。このイベントドリブン型のプログラムを有している場合には、例えばウエイト処理中に待機動作をしている通信管理装置140は遠隔管理装置170からの要求に応じて自動火災報知設備110およびスプリンクラー消火設備120から状態を取得し(S202)、またその状態を送信する(S204)、というように遠隔管理システム10の動作を行わせることができる。
【0045】
通信管理装置140と遠隔管理装置170とのうちのいずれの装置が動作主体となっている場合であっても、遠隔管理による結果の表示(S214)は、施設の管理者や使用者に安心感を与えるために表示される。つまり、遠隔管理による結果の表示(S214)は、通信管理装置140側、すなわち、無線通信網190からみて管理対象機構側に表示される。
【0046】
次に本実施形態における遠隔管理中表示の具体的態様について図3を用いて説明する。本実施形態の遠隔管理中表示は種々の態様・タイミング・場所において提示することができる。また、その提示の対象として想定される人、すなわち、遠隔管理中表示を視認する対象者も、防火対象物の管理者をはじめ、使用者など任意の人を含み特に限定されない。
【0047】
図3は、遠隔管理中表示の表示態様を例示する説明図である。まず、ある表示態様として、「遠隔管理」の文字列302のように表示の意味を明示する固定された表示を必要に応じて採用し、そのような文字列に対応させてランプ304によって遠隔管理中表示を行うことができる(図3(a))。別の表示態様として、キャラクタ表示装置312に文字列を提示するものとしても良い(図3(b))。さらに別の表示態様としては、グラフィック表示装置322の一部または全部にアイコンや文字列などによって動作状態を表示することができる(図3(c))。遠隔管理中表示の内容は、管理対象機構が正常であることを示す様に構成されるため、まず、最初に、自動火災報知設備110とスプリンクラー消火設備120との両者が平常時の待機動作を正常に実行している場合について説明する。次に、そのいずれかが平常時の待機動作を正常に実行しているとはいえない場合について説明する。
【0048】
図3(a)に示したランプ304を用いる表示態様では、そのランプの発光の具体的態様は、積極的に管理が行われていることがそれを見た人によって意識され、結果としてその人に安心感を与えるような表示であるかどうかを念頭にして選択されることができる。ランプの発光色としては、例えば防火を示す赤、安全を示す緑、用心を示す青などの安全色から採用することができる。また、ランプを点滅または明滅させるようにして遠隔管理中表示を行うこともできる。この場合、点灯している期間の時間割合(デューティー比)が小さく、ゆっくりした周期の点滅、例えば、3秒周期で各周期に0.3秒間だけ点灯するような周期的な点滅動作をさせることができる。また、点滅させる明度を点灯と非点灯という2値の強度での点灯ではなく、徐々に明るくなって最大の強度になり、その後、徐々に暗くなって最小の強度または消灯となる、という動作を繰り返すようにすることもできる。また、文字列302として「遠隔管理」の文字列を示したが、他の文字列を用いることや、その意味を図形化して示すようにすることもできる。
【0049】
図3(b)に示したキャラクタ表示装置312を用いる表示態様を採用する場合には、文字列によってその時点での動作内容を提示することができる。その文字列の例としては、「遠隔確認中」、「遠隔管理中」、「管理実施中」といった安心感を与える様々な表現を採用することができる。また、より端的に、「センター見守中」といったものとしても良い。これらの文字列も、主として、その文字列を見た人に対して、意識してまたは無意識下での安心感を与えるような観点が加味されて選ばれる。この表示態様では、例えば、表示の文字列が時間とともに移動する、いわゆるテロップのような表示とすることができる。
【0050】
そして、図3(c)に示したグラフィック表示装置322の一部または全部にアイコンや文字列などによって遠隔管理中表示を表示することができる。この場合の遠隔管理中表示の表示態様には、管理対象機構のステータス表示324を含めることができる。管理対象機構が複数含まれる場合には、図3(c)の文字列324aや文字列324bとして示すように、管理対象機構別にステータスを表示することができる。また、遠隔管理中表示に加える付随情報として、通信処理を最後に実行した時刻の表示326a、326bや、次回に通信処理を行う時刻の表示328a、328b、そして、最後の通信処理を最後に実行した後の経過時間の表示330a、330bを含めて表示することができる。このような付随的な情報は、それ自体が伝達する意味内容による具体的な状況の把握を可能とするばかりではない。そのような詳細な情報が表示されていることは、消火設備などの防災設備が高い頻度で念入りに管理されていることの証拠となる。そのため、付随的な情報も表示を見る人に強い安心感を呼び起こす効果を奏する。
【0051】
次に本実施形態における遠隔管理中表示を提示するタイミングについて説明する。本実施態様においては、任意の態様によって遠隔管理中表示を表示または提示することができる。図2Aのウエイト処理に関連して上述したように、例えば1時間に一度、または、1日に一回など、定期的に通信を行って正常動作を確認するような構成をとることが本実施形態の一態様である。したがって、遠隔管理中表示は、通信を実行するごとに実施したり、または、通信のある実行の段階から次回の実行までの間継続するようにして実施することができる。
【0052】
そして、遠隔管理中表示を提示する場所についても任意の場所とすることができる。通信管理装置140が管理者の監視のために用いる表示装置を有する場合には、表示部158をその表示装置に設けても良い。このように遠隔管理中表示を行うことによって、実際の検知対象である例えば火災などの生起する確率または頻度が低くても、防災設備が正常に待機動作していることを高い頻度で確認することができるとともに、そのための人的なコストを抑制することができる。このため、本実施形態の遠隔管理を用いてしかもその結果を遠隔管理中として表示していることは、防災設備の恩恵を受ける防火対象物の管理者やその使用者にとって、大きな安心感を与えることにつながる。
【0053】
以上の説明は、確認済信号によって管理対象機構が正常である場合の態様を説明したものである。次に、管理対象機構が正常でないことが確認済信号によって示される場合について説明する。この場合には、典型的には、管理対象機構が正常でないことに応じて、表示部158に提示される表示内容自体が、管理対象機構が正常でない状態にあることが確認できるようなものとされ、同時に、その表示の態様を正常な状態を示す場合に比べて大幅に異なる態様としたり、タイミングを変更することができる。
【0054】
より具体的に遠隔管理中表示の表示態様についてみると、図3(a)のようにランプ304を用いる場合には、そのランプの発光色を例えば赤にして点滅などさせることによって、防災設備に何らかの点検が必要であることを示すようにしても良い。図3(b)のようにキャラクタ表示装置312を用いる場合にも、表示の文字列をフラッシュすなわち1秒間に数回の割合で高輝度で点滅させながら「点検せよ」と表示するようにしたり、その際に所定の整備員によって対応することが手順化されている場合には、「サービスマン出動中」と繰り返し表示しても良い。図3(c)のようにグラフィック表示による場合には、その表示態様は、例えばいずれの管理対象機構が異常であるかを表示したり、どのように異常であるかを表示することができる。この場合をスプリンクラー消火設備120の水管内の水圧の低下が継続している場合を例にして説明すれば、給水系統の異常を知らせるために「水圧低下」あるいは「スプリンクラー給水確認」などと表示し、あるいは、水槽内の水量が異常に低下している場合には、「スプリンクラー貯水異常」などと表示する。この場合に、図示しない警報装置によって警報を発するようにすることもできる。
【0055】
また、遠隔管理中表示を提示するタイミングは、管理者の注意を惹く必要性の程度に応じて種々のタイミングとすることができる。典型的には、防災設備の管理者に点検を促すために、可能な限り即座に遠隔管理中表示を提示する。
【0056】
ちなみに、管理対象機構が正常でないことが確認済信号によって示される場合であっても、管理対象機構は正常である場合があり得る。その典型例は、火災が実際に発生していて、火災感知器114(図1)が発報して地区音響装置118が鳴動している、といった防火対象物の状況が平常でない場合である。この場合、管理対象機構としての自動火災報知設備110はむしろ正常に動作している。しかし、このような緊急の場合には、防災設備12に含まれる自動火災報知設備110の動作は平常の場合とは異なる動作であるため、確認済信号が正常な状態を示すとは限らない。このような緊急時のために、制御盤130からの適当な出力を移報して例えば地域の消防当局に遠隔通報するような公知の構成と組み合わせることは、本発明の各実施形態において排除されているものではない。
【0057】
上述の実施形態は、種々の変形によってさらに好適な実施形態とすることができる。具体的には、手動によって通信処理を含む判定処理を起動させるような態様とすることができる。次にそのような手動によって通信処理を行う変形例を説明する。
【0058】
<第1実施形態:変形例1>
図1に示した通信管理装置140には、通信起動ボタン162が備えられている。この通信起動ボタン162が手動によって操作されることによって、図2Aに関連した一連の処理が起動される。すなわち、例えばステップS216にてウエイト処理の待機動作にある通信管理装置140が、通信起動ボタン162の操作に基づいてそのウエイト処理を中止して、ステップS202〜ステップS214の処理を実行する。このような通信起動ボタン162を装備することにより、何らかの原因で自動火災報知設備110やスプリンクラー消火設備120の状態の確認を意図した管理者が、遠隔管理装置170による判定処理を明示的に指示することができる。このような構成は、使用者の安心感を大いに高める効果を奏するものといえる。例えば、1日に1回の定期的な通信を行って遠隔管理装置170が判定を実行する場合を想定する。その場合、管理者が、防災設備12の管理対象機構の状態を示す遠隔管理中表示が正常でないことを示していなかったり、または、何らかの理由により点検を行った方がよいと判断したりした場合には、管理者は、自らの意思に基づいて、次回の定期的な通信を待たずに即座に通信を開始させて判定処理の実行を求めることができるからである。
【0059】
<第1実施形態:変形例2>
上述の変形例1に類似する変形例2として通信起動ボタン186が遠隔管理装置170に備えられている構成について説明する。そのような構成によれば、遠隔管理装置170に何らかの表示装置や警報装置が備えられていて、その遠隔管理装置170を動作させる人員(監視員)が自らの意思によって防災設備12の状態を遠隔管理装置170に判定させることができる。
【0060】
ここで、図2Aに関連して、イベントドリブン型のプログラムによって通信管理装置140を実現しうることを説明した。本変形例においても、そのようなプログラムを通信管理装置140に実装しておくことは有用である。この場合には、通信起動ボタン186を監視員が操作すると、遠隔管理装置170は手動の通信処理の起動命令として受け取ることができる。遠隔管理装置170は、その起動命令に応じて通信管理装置140に対して図2AのステップS202の状態の取得の処理を開始させる命令を送信する。その後は、イベントドリブン型プログラムが実装されている通信管理装置140は、ステップS204の送信処理を行い、遠隔管理装置170が状態信号を受信する(S206)。
【0061】
こうして、監視員は、自らの意思によって管理対象機構についての状態を遠隔管理装置170に取得させ、その後の処理を行わせることができる。このため、通信起動ボタン186を操作して得られる手動の通信処理の起動命令を得る動作は、本発明の通信確立入力の一例となる。また、上記のイベントドリブン型プログラムの処理を通信管理装置140に起動させる命令は、本発明の送信要求信号の一例となる。この変型例2では、特に、遠隔管理装置170と多数の防災設備12とが含まれる遠隔管理システム10において管理対象機構が正常であるかを判定するような場合に、少ない人数の監視員によって遠隔管理装置170を通じた遠隔管理が可能となる利点を有する。監視員は、遠隔管理システム10に含まれる各管理対象機構からの状態信号の数値を判定する必要が無く、その判定は遠隔管理装置170に行わせることができるためである。また、例えば、監視員による手動の通信起動にともなう判定処理が行われた際には、確認済信号に手動で開始された処理である情報を明示しておくことにより、遠隔管理中表示にも手動で開始された処理であることを反映させるような構成とすることも好適である。
【0062】
<第1実施形態:変形例3>
次に、本実施形態においてタイマーを用いる変形例3について説明する。変形例3に用いる通信管理装置140は、遠隔管理装置170とともに、図2と同様の動作を実行している。この動作に加え、変型例3においては、遠隔管理装置170の判断部172aによる判定処理がある期間中断しているかどうかを判定するために、制御部144によって実現される管理中断判定手段(図示しない)を利用する。その際、制御部144はRTC160を用いるタイマー(図示しない)を動作させる。制御部144は、制御部144自体を管理中断判定手段賭して動作させるための判定プログラム(図示しない)を起動し、自動火災報知設備110やスプリンクラー消火設備120の管理に一定以上の中断が生じていないか判定する。
【0063】
具体的には、この処理を行うために、通信管理装置140の制御部144は、判定プログラムによって、図3のステップS212の受信処理を行った時刻を記憶部150に格納する。その結果、記憶部150には確認済信号が受信された最終の時刻が格納される。制御部144によって実現するタイマーは、確認済信号の最終の受信時刻からの経過時間を、RTC160の示す現在時刻データを利用して算出する。
【0064】
記憶部150には、別途、確認済信号の受信が中断しているかどうかを判断するための時間データ(第1中断判定時間データ)が格納されている。例えば、図3のウエイト処理S216によって、通信確立、判定処理、および確認済信号の受信が1日一回実行されるようにされているとする。このような場合に、3日間確認済信号の受信ができないような状況を受信の中断とするなら、第1中断判定時間データとして72時間の時間データを格納する。
【0065】
判定プログラムによって制御部144に実現される管理中断判定手段は、タイマーによって得られる経過時間とその第1中断判定時間データとを比較する。そして、経過時間が第1中断判定時間データを上回っている場合には、管理中断判定手段は、警告表示を表示するかまたは警告音響を鳴動させる。なお、通信管理装置140には、図示しないが必要に応じてそのための警告音響を鳴動させる手段が装備されている。
【0066】
変型例3の比較の処理を実行する管理中断判定手段は、種々のプログラムの実装態様によって実施することができる。例えば、確認済信号が通信管理装置140によって最後に受信された時刻が記憶部150に格納されている場合には、最終受信の時刻の値と第1中断判定時間データの値とを加算して、その結果がRTC160からの現在時刻より将来となっているかどうかによって判断処理が中断していないかどうかを判定することができる。
【0067】
<第1実施形態:好適な無線通信網>
本実施形態においては、無線通信網190を利用している。この無線通信網190としては、無線アクセスの任意の手法を適用することができる。例えば、無線通信網190として例えばW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access) などの第3世代または第3.5世代などの携帯電話網や他の携帯電話網を用いることができる。このような携帯電話網は、サービスエリアとして防火対象物が設置される可能性の高い場所を通常カバーしている。このため、防災設備の遠隔監視を実施するための通信基盤として好適である。
【0068】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態として、判断処理を通信管理装置によって行うとともに、他の態様の防災設備を装備する例を説明する。図4は、本実施形態の防災設備の遠隔管理システム40の構成を示すシステム構成図である。遠隔管理システム40も、概して、防災設備42と、無線通信網190と、遠隔管理装置470とからなる。そして、防災設備42には、不活性ガス消火設備410(以下「消火設備410」)、および通信管理装置440を備える。防災設備42は防火対象物に設置され、遠隔管理装置470は防火対象物の一部またはその防火対象物から離れた別の施設に置かれる。
【0069】
消火設備410はいわゆる窒息消火の原理によって消火動作を行う消火設備である。その消火設備410が消火の対象としている区画(防護区画)には放出ノズル422が装備される。その放出ノズル422からは、二酸化炭素ガスなどの不活性ガスを噴射することによって酸素濃度を低下させ、消火動作が実行される。このため、放出ノズル422には、二酸化炭素が充填されたボンベ424が配管を通じて接続されており、そのボンベ424には、そのバルブの開閉のために用いる起動用ボンベ426からの起動用ガスライン430が接続されている。起動用ガスライン430には、起動用ボンベ426からの起動用ガスを制御するための電磁バルブ428が接続されている。電磁バルブ428は制御盤412からの起動信号によって動作するようになっている。その制御板412には、感知器414、放出表示416、警報装置418、および、手動起動装置420が接続される。
【0070】
次に消火設備410の動作を説明する。火災の発生が感知器414によって感知されると、制御盤412には感知器414からの火災検知信号が入力される。すると、すぐに制御盤412によって警報装置418が鳴動され、これによって防護区画内および外部に火災の発生が通報される。この段階では、必ずしも不活性ガスは噴射されない。防護区画内に人員がいるまま不活性ガスを噴射すると窒息のおそれがあるためである。そして、通常は、手動起動装置420が操作されて、手動起動装置420からの起動信号が制御盤412に入力される。
【0071】
起動信号を受けた制御盤412は、人員の避難の時間を確保するため、所定の時間が経過するのを待って電磁バルブ428に起動信号を送る。その起動信号に応じて電磁バルブ428は、起動用ボンベ426からの起動用ガスをボンベ424に送り、ボンベ424の弁を開放させる。こうして放出ノズル422から不活性ガスが噴射され、防護区画内の火炎に供給される雰囲気の酸素濃度は低下することとなり消火が行われる。防護区画内に二酸化炭素ガスが放出される際には放出表示416が点灯され、それによって、防護区画内にて不活性ガス消火設備が動作していることが防護区画の外部に通知される。
【0072】
このような消火動作を適切に行いうる状態を維持するため、消火設備410は、いくつかの機能要素の状態が信号として得られるようにされている。まず、消火設備410には、不活性ガスのガス圧を検知するために圧力センサー434が設けられている。圧力センサー434の位置は、ボンベ424のガス圧を検出しうる位置であり、典型的には起動用ガスライン430によって開放される開放弁よりもボンベ424側の配管である。圧力センサー434は、圧力センサー出力434aを制御盤412に出力する。そして、制御盤412からは、起動出力信号412aと圧力センサー出力412bとが出力される。起動出力信号412aは電磁バルブ428を動作させる起動信号に対応している信号であり、圧力センサー出力412bは、圧力センサー出力434aをそのまま、あるいは適宜処理した出力である。
【0073】
以上のような消火設備410に組み合わせて使用される通信管理装置440は、第1実施形態の通信管理装置140に類似の構成を有している。通信管理装置440を通信管理装置140と比較した場合に相違する部分は、上述の制御盤412からの出力である起動出力信号412aおよび圧力センサー出力412bに適合した処理を行う点と、制御部444に判断部444aが含まれる点と、そのような処理を可能にするためのプログラムおよびデータが記憶部450に備えられる点と、そして、表示部458とそれを制御する表示制御部456の動作とである。それ以外の物理的な構成や、機能手段の構成は、通信管理装置140と同様である。
【0074】
本実施形態の通信管理装置440は、それ自体が管理対象機構が正常であるかどうかについての判定処理を実行し、その判定結果を送信部152を通じて遠隔管理装置470に送信する。判定結果として送信されるのは、管理対象機能が正常であると判定された場合にそれを示す信号(正常信号)である。通信管理装置440のバス148に接続された表示制御部456は、表示部458によって遠隔通信済表示を提示する。通信管理装置440は、遠隔管理装置470からの管理確認信号を送信部154から受信する。
【0075】
通信管理装置440の構成についてさらに詳述する。起動出力信号412aおよび圧力センサー出力412bに適合した処理機能は、入出力142に起動出力信号412aと圧力センサー出力412bとが入力されて消火設備410に適合した機能として実現される。第2実施形態の遠隔管理システム40においては、通信管理装置440の制御部444の判断部444aによって判断の処理が行われる。このため、起動出力信号412aと圧力センサー出力412bとが組み合わせて使用される。そして、その判断結果が、送信部152から送信される。記憶部450には、その処理を行うための管理テーブル452が格納されている。
【0076】
管理テーブル452の論理的な構成は、遠隔管理システム10に関連して説明した管理テーブル182と同様の構成にされている。すなわち、管理対象機構ごとのレコード452a、452bが設けられ、各レコードには、管理対象機構を区別するための機構IDフィールドと、それに対応付けされた正常値フィールドとに分けて値が格納されている。第2実施形態における管理対象機構は、起動出力信号412aと圧力センサー出力412bから取得される状態、すなわち、消火設備410が起動されたかどうかと、圧力センサー434の数値である。このため、レコード452a、452bには、これらが区別されて正常値フィールドに正常な状態に対応する値または値の範囲が格納されている。
【0077】
特に、消火設備410は、平常な状態において正常である場合には、起動されることなく、放出ノズル422からの二酸化炭素ガスの放出がいつでも行えるように圧力センサー434が検知する圧力は一定以上に保たれているべきである。これを反映して、正常時の値または値の範囲として、消火設備410の起動に対応するレコード452aおよび圧力センサー434に対応するレコード452bには、それぞれ、OFF、および、適正なガス圧としてとるべき最小値が格納されている。圧力センサー434がガス圧が低下したときにのみ信号を発し、正常時には何らの信号も発しないようなタイプであれば、平常時にとるべき状態は信号を発していない状態である。また、範囲を指定するための数値、すなわち、上限値と下限値、または、中心値と適正幅といった値の組を格納しているようにすることもできる。
【0078】
次に、本実施形態の防災設備の遠隔管理システム40において実行される処理についてその詳細を説明する。図5はこの処理を示すフローチャートである。
【0079】
遠隔管理システム40の処理は、上述の第1実施形態の遠隔管理システム10の処理に類似している。両者で相違するのは、遠隔管理システム10において判定処理を実行する主体が遠隔管理装置170であったのに対し、遠隔管理システム40では通信管理装置440が判定処理を行う点である。すなわち、通信管理装置440は、消火設備410から状態を取得する(S502)。この状態の取得は、起動出力信号412aや圧力センサー出力412bから取得する。取得した状態は、制御部444の判断部444aによって判定処理に利用される(S504)。この判定処理は、図2Bによって説明した遠隔管理装置170の判断部172aにおける判定処理とほぼ同様であり、相違するのは、処理の実行主体が異なる以外には、判定の結果生成される信号を確認済信号ではなく正常信号と呼ぶ点である。正常信号は、典型的には、管理対象機構が正常であることを示す信号である。その正常信号は、送信部152によって遠隔管理装置470に向けて送信される(S506)。
【0080】
送信された正常信号は、無線通信網190を通じて伝送された後、遠隔管理装置470の遠隔受信部176によって受信される(S508)。正常信号も、遠隔管理システム10における状態信号と同様に適当な数値フォーマットのデジタル信号等に変換されて送信される。そして、遠隔管理装置470の管理部472aは、受信した正常信号によって示されている管理対象機構、すなわち、ここでは消火設備410が正常な状態であることを記憶部480の遠隔管理テーブル482に格納する。遠隔管理テーブル482には、管理対象機構ごとのレコードに分けて、その状態が格納される(S208)。
【0081】
次いで、管理部472aは通信管理装置440に向けて管理確認信号を送信する(S512)。管理確認信号は、遠隔管理装置470によって管理対象機構が管理されていることを示す信号である。その信号は、送信部154によって受信される(S514)。その後、通信管理装置440は遠隔通信済表示を表示し(S516)、次回の処理までウエイト処理を実行する(S518)。遠隔通信済表示は、遠隔管理装置470によって管理対象機構が管理されていることを示す表示であり、表示部458に表示される。
【0082】
なお、第1実施形態の遠隔管理システム10に関連して説明したのと同様に、状態を取得する処理(S502)およびウエイトの処理(S518)は、通信管理装置440がそれ自体のプログラムの記述に従ってタイミングを計って行うこともできるし、また、通信管理装置440が遠隔管理装置470からの命令に応じる形のイベントドリブン型のプログラムを有していて、タイミングを決定する処理を遠隔管理装置170が行うこともできる。通信管理装置140と遠隔管理装置170とのうちのいずれの装置が動作主体となっている場合であっても、遠隔通信済表示(S516)は、施設の管理者や使用者に安心感を与えるために表示される。また、遠隔通信済表示が前回の遠隔通信済表示と異なる場合には、遠隔通信済表示は変更される(S520)。
【0083】
なお、第1実施形態の遠隔管理システム10に関連して説明した処理と同様に、状態を取得する処理(S502)およびウエイトの処理(S518)は、通信管理装置440がそれ自体のプログラムの記述に従ってタイミングを計って行うこともできるし、また、通信管理装置440が遠隔管理装置470からの命令に応じる形のイベントドリブン型のプログラムを有していて、タイミングを決定する処理を遠隔管理装置470が行うこともできる。通信管理装置440と遠隔管理装置470とのうちのいずれの装置が動作主体となっている場合であっても、遠隔通信済表示(S516)は、施設の管理者や使用者に安心感を与えるために表示される。また、遠隔通信済表示が前回の遠隔通信済表示と異なる場合には、遠隔通信済表示は変更される(S520)。
【0084】
以上のような第2実施形態においては、管理対象機構が正常であることか遠隔管理装置470に伝達されている。そして、遠隔通信済表示によって、防災設備が正常であることが遠隔管理装置470に伝達済みとなっていることを知ることができるため、防災設備の管理に対する安心感を防火対象物の管理者に呼び起こすことができる。その際、例えばステップS502の判定処理の結果が、例えば記憶部450に格納されていれば、防火対象物の管理者は、必要に応じて、どのような判定結果であるかを例えば表示部458の表示によって確認することができる。また、通信管理装置440と遠隔管理装置470との間でやりとりされる通信情報が、正常信号と管理確認済信号となって過大な通信容量を必要としないため、例えば、無線通信網190として携帯電話通信網を採用した場合であっても、通信路の確立のための呼制御を行わずに、例えば送信部152および送信部154を備える無線移動局としての位置登録のための信号によって伝達することも可能となる。
【0085】
<第2実施形態:変形例1>
次に第2実施形態の変形例1について説明する。第2実施形態は、変形例として、通信管理装置440の制御部444がRTC160を用いることによりタイマー(図示しない)を動作させているように実施することもできる。制御部444は、そのタイマーにしたがって判断部444aを動作させ、消火設備410の状態の判定とその後の通信管理装置440への送信を定期的に実行する。管理テーブル452には、この定期的な判定および送信が中断しているかどうかを判定するために、管理対象機構ごとのレコード452a、452bに最終送信時刻フィールドと送信中断判定時間フィールドも設けられている(いずれも図示しない)。最終送時刻フィールドには、典型的には、正常信号が遠隔管理装置470に最後に送信された時刻が書き込まれる。また、送信中断判定時間フィールドには、典型的には、その時間の間通信が行われていないときに送信が中断したと判定するための時間データが書き込まれる。
【0086】
制御部444によって実現されるタイマーは、各管理対象機構の最終送時刻フィールドからの値とRTC160からの現在時刻とを比較して、正常信号を最後に送信してからの経過時間を経過時間データ信号として出力する。そして、制御部444では、その経過時間データ信号を送信中断判定時間フィールドの値と比較して、送信が中断しているかどうかを判定するための送信中断判定手段(図示しない)が実現されている。経過時間データ信号が送信中断判定時間フィールドの値を超えていると判断すると、送信中断判定手段は、警告表示を表示するかまたは警告音響を鳴動させる。なお、通信管理装置440には、図示しないが必要に応じてそのための警告音響を鳴動させる手段が装備されている。ここでの比較の処理を実行する送信中断判定手段は、種々のプログラムの実装態様によって実施することができる。例えば、正常信号が遠隔管理装置470に最後に送信された時刻が最終送時刻フィールドに書き込まれている場合には、最終送時刻フィールドの値と送信中断判定時間フィールドとの値とを加算して、その結果がRTC160からの現在時刻より将来となっているかどうかによって送信が中断していないかどうかを判定することができる。
【0087】
<第2実施形態:変形例2>
上述の第2実施形態の変形例1に類似の他の変形例として変形例2を説明する。変形例2における通信管理装置440は、タイマーにより判定プログラム(図示しない)を起動して送信を実行するため、その予定時刻を記憶しておくこともできる。その予定時刻は、管理テーブル452に管理対象機構ごとのレコード452a、452bに各管理対象機構と対応づけて記憶されていてもよく、また、管理対象機構の一部または全部と対応させるようにして記憶されていることもできる。その場合、現在時刻が記憶されている送信予定時刻を過ぎると、予定が経過したことを知らせるために予定経過信号が出力され、それに応じて警告表示が提示されるかまたは警告音響が鳴動される。
【0088】
<第2実施形態:変形例3>
第2実施形態の他の変形例は、表示部458における表示の態様は、図3に示した遠隔管理システム10の場合の表示部158とほぼ同様である。このような遠隔管理中表示は種々の態様・タイミング・場所において提示することができる。また、その提示の対象として想定される人も、施設(防火対象物)の管理者をはじめ、使用者などを含み特に限定されない。
【0089】
<第2実施形態:変形例4>
本実施形態においても、手動の起動信号に基づいて判定処理や通信処理を開始することができるように構成することもできる。このためには、通信管理装置440に通信起動ボタン462が備えられるか、遠隔管理装置470に通信起動ボタン486が備えられていることができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態の遠隔管理システムの構成およびその動作について述べた。これらの実施形態の開示は説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。本発明は、添付の特許請求の範囲の各請求項の記載によってのみ規定される。加えて、上述の各実施形態の他の組み合わせを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、防災設備の状態が正常であることが表示によって確認される遠隔管理システムの実現を可能とする。
【符号の説明】
【0092】
10,40 遠隔管理システム
12,42 防災設備
110 自動火災報知設備
112 自動火災報知受信機
114 火災感知器
116 発信器
118 地区音響装置
120 スプリンクラー消火設備
140,440 通信管理装置
150,180,450,480 記憶部
144,444 制御部
410 消火設備
412 制御盤
170,470 遠隔管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態を取得可能な管理対象機構と、
前記管理対象機構の状態を示す状態信号を外部通信網を通じて送信する送信機と、
前記状態信号によって示される前記管理対象機構の状態に関する値が、当該管理対象機構に対応させて予め記憶装置に記憶されている正常な状態を示す値または値の範囲にあるかどうかを判定することにより前記管理対象機構の状態を判定するための遠隔管理装置から、遠隔管理装置によって管理対象機構が正常な状態にあると判定されたことを示す確認済信号を外部通信網を通じて受信する受信機と、
確認済信号に基づいて、管理対象機構が正常な状態にあることが遠隔管理装置によって判定されたことを示す遠隔管理中表示を表示する表示器と
を備える防災設備。
【請求項2】
状態を取得可能な管理対象機構と、
前記管理対象機構の状態が正常であるかどうかを判定する判定部と、
前記判定部から、管理対象機構の状態が正常であることを示す信号を受けて、管理対象機構が正常である正常信号として外部通信網を通じて送信する送信機と、
前記管理対象機構の状態が正常であることを遠隔管理装置が前記正常信号に従って管理していることを示す遠隔通信済表示を表示する表示器と
を備える防災設備。
【請求項3】
前記防災設備がスプリンクラー消火設備または水消火設備であって、
配管内の水圧を検知して水圧関連信号を出力する第1のセンサーを有しており、
前記管理対象機構の状態が、前記第1のセンサーによって検知されるスプリンクラー消火設備または水消火設備の配管内の水圧である
請求項1または請求項2に記載の防災設備。
【請求項4】
前記防災設備がスプリンクラー消火設備または水消火設備であって、
貯水槽の水量または送水機構の正常動作を検知する第2のセンサーを有しており、
前記管理対象機構の状態が、前記第2のセンサーによって検知されるスプリンクラー消火設備または水消火設備の水量である
請求項1または請求項2に記載の防災設備。
【請求項5】
前記防災設備が、
火災に伴う現象を検知して火災検知信号を出力するための火災感知器と、
前記火災検知信号を受けて起動信号を出力する制御部と、
前記起動信号に基づいて起動するようにされる消火手段と
をさらに備えており、
前記管理対象機構の状態が、火災感知器の状態、または、消火手段の状態である
請求項1または請求項2に記載の防災設備。
【請求項6】
手動の起動入力を受け付けて起動するようにされる消火手段と、
消火手段が起動したことを示す信号出力端子と
を備える消火設備であり、
前記管理対象機構の状態が、前記信号出力端子から出力される消火手段の状態である
請求項1または請求項2に記載の防災設備。
【請求項7】
前記受信機によって確認済信号が最後に受信された時刻からの経過時間を計り、当該経過時間を示す経過時間データを出力するタイマーと、
予め設定された第1の中断判定時間を示す第1中断判定時間データを記憶する記憶部と、
前記タイマーからの前記経過時間データを前記記憶部からの前記第1中断判定時間データと比較することにより、確認済信号を最後に受信してからの経過時間が前記第1の中断判定時間を超えているときに遠隔管理中断信号を出力する管理中断判定手段と
をさらに備えており、
遠隔管理中断信号に応じ、警告表示を表示するかまたは警告音響を鳴動させる
請求項1に記載の防災設備。
【請求項8】
前記送信機によって正常信号が最後に送信された時刻からの経過時間を計り、当該経過時間データ信号を出力するタイマーと、
予め設定された第2の中断判定時間を示す第2中断判定時間データを記憶する記憶部と、
前記タイマーからの前記経過時間データを前記記憶部からの前記第2中断判定時間データと比較することにより、正常信号を最後に送信してからの経過時間が前記第2の中断判定時間を超えているときに送信中断信号を出力する送信中断判定手段と
をさらに備えており、
送信中断信号に応じ、警告表示を表示するかまたは警告音響を鳴動させる
請求項2に記載の防災設備。
【請求項9】
送信予定時刻データを記憶する予定時刻記憶部と、
現在時刻データを出力する時刻出力部と、
前記時刻出力部からの現在時刻データを前記予定時刻記憶部からの送信予定時刻データと比較して、現在時刻が送信予定時刻を経過しているときに予定経過信号を出力する予定経過判定手段と
をさらに備えており、
予定経過信号に応じ、警告表示を提示するかまたは警告音響を鳴動させる
請求項1または請求項2に記載の防災設備。
【請求項10】
遠隔管理装置との通信処理を最後に実行した日時もしくは時刻、または、遠隔管理装置との通信処理を最後に実行してからの経過時間のいずれかを表示する
請求項1または請求項2に記載の防災設備。
【請求項11】
手動の通信確立入力を受け付け、前記遠隔管理装置との間での通信確立処理を前記送信機と前記受信機とに実行させる
請求項1または請求項2に記載の防災設備。
【請求項12】
前記外部通信網が無線通信網である
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の防災設備。
【請求項13】
防災設備から管理対象機構の状態を示す信号を受信する入出力部と、
前記管理対象機構の状態を示す状態信号を外部通信網を通じて送信する送信機と、
前記状態信号によって示される前記管理対象機構の状態に関する値が、当該管理対象機構に対応させて予め記憶装置に記憶されている正常な状態を示す値または値の範囲にあるかどうかを判定することにより前記管理対象機構の状態を判定するための遠隔管理装置から、遠隔管理装置によって管理対象機構が正常な状態にあると判定されたことを示す確認済信号を外部通信網を通じて受信する受信機と、
確認済信号に基づいて、管理対象機構が正常な状態にあることが遠隔管理装置によって判定されたことを示す遠隔管理中表示を表示する表示器と
を備える防災設備の通信管理装置。
【請求項14】
防災設備から管理対象機構の状態を示す信号を受信する入出力部と、
前記管理対象機構が正常であるかどうかを判定する判定部と、
前記判定部から、防災設備の管理対象機構の状態が正常であることを示す信号を受けて、管理対象機構が正常である正常信号として外部通信網を通じて送信する送信機と、
前記管理対象機構の状態が正常であることを遠隔管理装置が前記正常信号に従って管理していることを示す遠隔通信済表示を表示する表示器と
を備える防災設備の通信管理装置。
【請求項15】
前記受信機によって確認済信号が最後に受信された時刻からの経過時間を計り、当該経過時間を示す経過時間データを出力するタイマーと、
予め設定された第1の中断判定時間を示す第1中断判定時間データを記憶する記憶部と、
前記タイマーからの前記経過時間データを前記記憶部からの前記第1中断判定時間データと比較することにより、確認済信号を最後に受信してからの経過時間が前記第1の中断判定時間を超えているときに遠隔管理中断信号を出力する管理中断判定手段と
をさらに備えており、
遠隔管理中断信号に応じ、警告表示を表示するかまたは警告音響を鳴動させる
請求項12に記載の防災設備の通信管理装置。
【請求項16】
前記送信機によって正常信号が最後に送信された時刻からの経過時間を計り、当該経過時間データ信号を出力するタイマーと、
予め設定された第2の中断判定時間を示す第2中断判定時間データを記憶する記憶部と、
前記タイマーからの前記経過時間データを前記記憶部からの前記第2中断判定時間データと比較することにより、正常信号を最後に送信してからの経過時間が前記第2の中断判定時間を超えているときに送信中断信号を出力する送信中断判定手段と
をさらに備えており、
送信中断信号に応じ、警告表示を表示するかまたは警告音響を鳴動させる
請求項13に記載の防災設備の通信管理装置。
【請求項17】
送信予定時刻データを記憶する予定時刻記憶部と、
現在時刻データを出力する時刻出力部と、
前記時刻出力部からの現在時刻データを前記予定時刻記憶部からの送信予定時刻データと比較して、現在時刻が送信予定時刻を経過しているときに予定経過信号を出力する予定経過判定手段と
をさらに備えており、
予定経過信号に応じ、警告表示を提示するかまたは警告音響を鳴動させる
請求項12または請求項13に記載の防災設備の通信管理装置。
【請求項18】
遠隔管理装置との通信処理を最後に実行した日時もしくは時刻、または、遠隔管理装置との通信処理を最後に実行してからの経過時間のいずれかを表示する
請求項12または請求項13に記載の防災設備の通信管理装置。
【請求項19】
手動の通信確立入力を受け付け、前記遠隔管理装置との間での通信確立処理を前記送信機と前記受信機とに実行させる
請求項12または請求項13に記載の防災設備の通信管理装置。
【請求項20】
前記外部通信網が無線通信網である
請求項12または請求項13に記載の防災設備の通信管理装置。
【請求項21】
防災設備の管理対象機構の状態を示す状態信号を、防災設備側の送信機から外部通信網を通じて受信する遠隔受信機と、
管理対象機構の状態が正常な状態であることを示す管理対象機構の状態に関する値または値の範囲を、管理対象機構に対応させて記憶している記憶装置と、
前記記憶装置から呼び出した前記値または前記値の範囲と、前記遠隔受信機が受信した状態信号とを比較することにより、該状態信号によって示される管理対象機構の状態が正常な状態であるかどうかを判定する判定部と、
管理対象機構が正常な状態にあると前記判定部によって判定されたときに、当該判定結果を示す遠隔管理中表示を防災設備の表示器に表示するために用いられる確認済信号を、前記防災設備側の受信機に外部通信網を通じて送信する遠隔送信機と
を備える防災設備の遠隔管理装置。
【請求項22】
ある防災設備との間での通信確立処理を前記遠隔送信機と前記遠隔受信機とに実行させる命令を、手動の通信確立入力に基づいて、または、所定の判定条件が成立したことに基づいて実行し、
通信が確立された防災設備側の受信機に向けて、当該防災設備の管理対象機構の状態を示す状態信号を送信させる送信要求信号を前記遠隔送信機から外部通信網を通じて送信する
請求項21に記載の防災設備の遠隔管理装置。
【請求項23】
ある防災設備との間での通信確立処理を前記遠隔送信機と前記遠隔受信機とに実行させる命令を、手動の通信確立入力に基づいて、または、所定の判定条件が成立したことに基づいて実行し、
通信が確立された防災設備側の受信機に向けて、当該防災設備の管理対象機構が正常であることを示すかどうかを判定処理する防災設備の判定部に当該判定処理を実行させる判定要求信号を、外部通信網を通じて前記遠隔送信機から送信する
請求項21に記載の防災設備の遠隔管理装置。
【請求項24】
前記防災設備がスプリンクラー消火設備であって、
前記スプリンクラー消火設備が配管内の水圧を検知して水圧関連信号を出力する第1のセンサーを有しており、
前記管理対象機構の状態が、前記第1のセンサーによって検知されるスプリンクラー消火設備の配管内の水圧である
請求項21乃至請求項23のいずれか1項に記載の防災設備の遠隔管理装置。
【請求項25】
前記防災設備がスプリンクラー消火設備であって、
前記スプリンクラー消火設備が、貯水槽の水量または送水機構の正常動作を検知する第2のセンサーを有しており、
前記管理対象機構の状態が、前記第2のセンサーによって検知されるスプリンクラー消火設備への給水状態である
請求項21乃至請求項23のいずれか1項に記載の防災設備の遠隔管理装置。
【請求項26】
前記防災設備が、
火災に伴う現象を検知して火災検知信号を出力するための火災感知器と、
前記火災検知信号を受けて起動信号を出力する制御部と、
前記起動信号に基づいて起動するようにされる消火手段と
を備える自動消火設備であり、
前記管理対象機構の状態が、火災感知器の状態、または、消火手段の状態である
請求項21乃至請求項23のいずれか1項に記載の防災設備の遠隔管理装置。
【請求項27】
前記防災設備が、
手動の起動入力を受け付けて起動するようにされる消火手段と、
消火手段が起動したことを示す信号出力端子と
を備える消火設備であり、
前記管理対象機構の状態が、前記信号出力端子から出力される消火手段の状態である
請求項21乃至請求項23のいずれか1項に記載の防災設備の遠隔管理装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−69029(P2012−69029A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214765(P2010−214765)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(391008320)株式会社初田製作所 (78)
【Fターム(参考)】