説明

防虫具及び防虫方法

【課題】薬剤に誤って触れることが少なく、携帯しやすく、携帯可能な大きさで防虫効果の持続が可能であり、さらに、防虫効果の調節が容易にできる防虫具の提供。
【解決手段】防虫具1は、携帯可能な大きさとされ、内部に薬剤22を有する容器8に、容器8内部とつながる薬剤放出部25と開閉可能な密閉部が設けられ、前記薬剤22には防虫効果を有して常温で揮発する有効成分を有している。また、薬剤塗布部31が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人などに対して有害な昆虫などの害虫を、殺虫又は昆虫忌避することを目的とする防虫具に関するものである。特に、火や電気等を用いなくても使用できる防虫具に関するものである。さらに、防虫具を用いて行う防虫方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、害虫などの有害生物を殺虫または昆虫忌避して防除する目的のため、蚊取り線香や電気蚊取りマットなどの防虫具が用いられている。
【0003】
また、火や電気を用いることなく使用できる防虫具として、様々な構造の防虫具が提案されている。
【0004】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−289855号公報
【特許文献2】特開平09−308421号公報
【特許文献3】特開平11−255604号公報
【0006】
特許文献1に示されている防虫具は、円筒の濾紙等を束ねて、常温揮発性の防虫性化合物が保持されているものである。また同文献には、隙間を有した状態としながら紙等を巻いた形状や紙片を折り曲げた形状によって、常温揮発性の防虫性化合物が保持された構成も開示されている。
【0007】
また、特許文献2に示されている防虫具は、折り畳み可能な紙製の穴を多数有した紙製の部材に常温揮発性の殺虫性化合物が保持されているものである。
【0008】
さらに、特許文献3に示されている防虫具は、常温揮発性防虫成分がゴムなどの風船基材に保持されているものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記した従来技術の防虫具は、使いにくく、また、製造しにくいものであった。
すなわち、上記の従来技術の防虫具は、常温揮発性防虫成分が紙やゴムなどに保持され、使用の際には紙やゴムを外気に触れる状態として防虫成分を揮発させるものである。従って、使用者が、常温揮発性防虫成分を保持している紙やゴムなどの部分に誤って触れることが多かった。
また、特許文献1に記載の防虫具では、その形状が、円筒の束ねた形状、隙間を有した状態として巻いた形状、紙片を折り曲げた形状等である。そのため、特許文献1に記載の防虫具は、嵩張って、携帯するには不便であった。
また、特許文献2に記載の防虫具についても同様であり、使用する際に折り畳まれている状態を広げて使用するものであるが、相当に嵩張って、携帯するには不便であった。
【0010】
また上記の従来技術の防虫具は、防虫効果の持続及び調節は困難であった。すなわち、上記の従来技術の防虫具は、常温揮発性防虫成分が紙やゴムなどに保持されているので、同じ大きさでは防虫成分を保持する量に限界がある。そのため、携帯可能な大きさでは防虫効果の持続が難しい。また、揮発部分の調節は揮発部分の面積を変えることが容易でなく、防虫効果の調節は難しい。
【0011】
そこで本発明は、常温揮発性防虫成分に誤って触れることが少なく、携帯しやすく、携帯可能な大きさで防虫効果の持続が可能である防虫具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そして上記した目的を達成するための請求項1の発明は、携行可能であって内部に薬剤を内蔵した容器を有し、当該容器には内部の薬剤を外部に露出させる薬剤露出部と、薬剤露出部を遮蔽する密閉手段が設けられ、前記薬剤には防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されていることを特徴とする防虫具である。
ここで、薬剤とは、有効成分自体、又は、有効成分を溶剤などで分散させた液体状、ゲル状、固体状のものである。また、防虫効果を有する有効成分とは、揮発することにより有害な昆虫に対して殺虫又は昆虫忌避の効果を有する薬品のことである。
【0013】
請求項1の発明によれば、内部に薬剤を内蔵した容器を有し、当該容器には内部の薬剤を外部に露出させる薬剤露出部と、薬剤露出部を遮蔽する密閉手段が設けられ、前記薬剤には防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されているので、薬剤露出部から防虫効果を有する有効成分を揮発させることにより、有害な昆虫に対して殺虫又は昆虫忌避することができる。
また本発明の防虫具は、携行可能であるので、防虫具を携帯して使用することができる。
また本発明の防虫具では、薬剤は容器の中に内蔵されているので使用者が誤って触れることが少ない。
さらに揮発を調節するための薬剤放出部の大きさを可変できるようにした構成を付加すれば、防虫効果を調節することもできる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、密閉手段を開放状態にしたとき、薬剤露出部においては薬剤が外気と接触可能であり、薬剤は薬剤露出部から外気に放出されることを特徴とする請求項1に記載の防虫具である。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、密閉手段を開放状態にしたとき、薬剤露出部においては薬剤が外気と接触可能であり、薬剤は薬剤露出部から揮発して外気に放出される。一方、本発明では、薬剤露出部を遮蔽すると有効成分は揮発せず、不使用時に有効成分が無駄に揮発することはない。
【0016】
請求項3に記載の発明は、薬剤露出部には塗布部材が設けられ、塗布部材によって他部に薬剤を塗布可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防虫具である。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、薬剤露出部に塗布部材が設けられ、塗布部材によって他部に薬剤を塗布可能であるので、防虫具の薬剤塗布部から、薬剤を塗布することができ、さらに、塗布された部分から防虫効果を有する有効成分が放出されて、有害な昆虫に対して殺虫又は昆虫忌避をすることができる。
また薬剤を広い面積に塗布すれば、当該広い面積から薬剤が揮発し、周辺部の薬剤濃度を高めることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、薬剤露出部は、多孔質体又は繊維束又は貫通孔を有する部材によって構成され、その表面に薬剤を露出させるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の防虫具である。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、薬剤露出部は、多孔質体又は繊維束又は貫通孔を有する部材によって構成され、その表面に薬剤を露出させるものであるので、液状の有効成分を用いた場合等には、外部に飛散することなく、有効成分の揮発が容易となる。
また薬剤を塗布する構成に本発明を採用することも推奨され、薬剤露出部に露出した薬剤を他の部材に容易に塗布することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、薬剤露出部は回転可能なボール或いはローラによって構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の防虫具である。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、薬剤露出部は回転可能なボール或いはローラによって構成されているので、薬剤の塗布が容易である。
【0022】
請求項6に記載の発明は、薬剤は、容器内部に直接的に保持されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫具である。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、薬剤は、薬剤保持部材を有さず、容器内部に直接的に保持されているので、薬剤の容器への充填が容易であり、また、大量の薬剤を充填することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、容器には薬剤貯留部が設けられ、薬剤は流動性を有し、薬剤貯留部と薬剤露出部の間に薬剤導出部材が設けられ、薬剤導出部材を介して薬剤貯留部の薬剤が薬剤露出部に導かれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の防虫具である。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、容器には薬剤貯留部が設けられ、薬剤は流動性を有し、薬剤貯留部と薬剤露出部の間に薬剤導出部材が設けられ、薬剤導出部材を介して薬剤貯留部の薬剤が薬剤露出部に導かれるので、薬剤貯留部から薬剤露出部への導出が容易に行うことができる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、容器内部には薬剤保持部材を有し、さらに薬剤は流動可能であって、薬剤保持部材に保持されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の防虫具である。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、容器内部には薬剤保持部材を有し、さらに薬剤は流動可能であって、薬剤保持部材に保持されているので、防虫具を携行する際に、容器内で薬剤が移動することがない。また薬剤保持部材を容器とは別部材にすることにより薬剤保持部材をカートリッジ式に交換可能とすることもできる。
【0028】
請求項9に記載の発明は、薬剤保持部材は繊維により構成されていることを特徴とする請求項8に記載の防虫具である。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、薬剤保持部材は繊維により構成されているので、薬剤保持部材は多くの薬剤を保持することができる。
【0030】
請求項10に記載の発明は、容器には、貯留タンク部と一時的薬剤溜め部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の防虫具である。
【0031】
請求項10に記載の発明によれば、容器には、貯留タンク部と一時的薬剤溜め部が設けられているので、容器内の圧力変化に応じ、圧力が高くなると一時的薬剤溜め部に薬剤が貯まって、余分な薬剤の揮発や薬剤の洩れを押さえることができる。
【0032】
請求項11に記載の発明は、容器は筒状体であり、薬剤露出部は、筒状体の端部にあることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の防虫具である。
【0033】
請求項11に記載の発明によれば、容器は筒状体であり、薬剤露出部は、筒状体の端部にあるので、容器の製造が容易であり、携行もしやすい。
【0034】
請求項12に記載の発明は、容器は、内部に薬剤を内蔵する容器本体を有し、容器本体の内部に薬剤を含浸可能な薬剤保持部材が内蔵され、薬剤は、前記薬剤保持部材に含浸されて保持され、容器本体には薬剤を導出可能な薬剤導出部材が装着されており、当該薬剤導出部材の一部は前記薬剤保持部材と接し、薬剤導出部材の他の一部は容器本体から露出していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の防虫具である。
【0035】
請求項12に記載の発明によれば、当該薬剤導出部材の一部は前記薬剤保持部材と接し、薬剤導出部材の他の一部は容器本体から露出しているので、薬剤導出部材を介して、薬剤の揮発が可能である。
【0036】
請求項13に記載の発明は、薬剤露出部は、薬剤の露出面積を調節することが可能であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の防虫具である。
【0037】
請求項13に記載の発明によれば、薬剤露出部は、薬剤の露出面積を調節することが可能であるので、薬剤の揮発量の調整が容易にすることができる。
【0038】
請求項14に記載の発明は、薬剤露出部は、窓部を有し、当該窓部の開口面積が可変であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の防虫具である。
【0039】
請求項14に記載の発明によれば、薬剤露出部は、窓部を有し、当該窓部の開口面積が可変であるので、薬剤の蒸散量を容易に可変することができる。
【0040】
請求項15に記載の発明は、容器は、内部に薬剤を内蔵する容器本体を有し、容器内には液状の薬剤が流動性を有する状態で内蔵され、容器本体には薬剤を導出可能な薬剤導出部材と弁機構が設けられ、所定の動作に応じて弁機構が開き、内部の薬剤が薬剤導出部材を経て漏出し、容器本体から露出することを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の防虫具である。
【0041】
請求項15に記載の発明によれば、弁機構が設けられており、所定の動作に応じて弁機構が開き、内部の薬剤が薬剤導出部材を経て漏出し、容器本体から露出するので、弁機構の動作により、薬剤を供給することができる。また本発明では、弁機構を採用するため、薬剤の過度の漏出が少ない。すなわち本発明によると、必要な時に適切な量の薬剤を漏出させることができる。
【0042】
請求項16に記載の発明は、容器には、流動性を有する薬剤が液密状態で内蔵される薬剤保持部を有し、当該薬剤保持部にはフォロア部材が設けられ、薬剤の消耗に応じてフォロア部材が移動することを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の防虫具である。
【0043】
請求項17に記載の発明は、フォロア部材は、ゲル状であることを特徴とする請求項16に記載の防虫具である。
【0044】
請求項16及び17に記載の発明によれば、フォロア部材によって、薬剤保持部から流出しにくく、また、薬剤は空気に触れることがないので、薬剤の劣化が少ない。
【0045】
請求項18に記載の発明は、容器は、内部に薬剤を内蔵する容器本体を有し、容器内には液状の薬剤が流動性を有する状態で内蔵され、容器本体には薬剤を導出可能な薬剤導出部材が設けられ、さらに薬剤導出部材には別途用意の薬剤放散部材が装着可能であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の防虫具である。
【0046】
請求項18に記載の発明によれば、薬剤導出部材に薬剤放散部材が装着可能であるので、より大きな面積から薬剤を揮発させることが可能である。
【0047】
請求項19に記載の発明は、容器は、内部に薬剤を内蔵する容器本体と、容器本体と分離可能であって少なくとも2通りの装着状態をもって容器本体に装着可能な装着部材を有し、容器内には液状の薬剤が流動性を有する状態で内蔵され、容器本体には薬剤を導出可能な薬剤導出部材が設けられ、前記装着部材には薬剤導出部を遮蔽する遮蔽部と薬剤の放散を助ける薬剤放散部材が設けられ、装着部材を特定の姿勢で容器本体に装着することによって薬剤導出部が遮蔽され、他の特定の姿勢で容器本体に装着した際には薬剤放散部材に薬剤導出部から薬剤が供給されることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の防虫具である。
【0048】
請求項19に記載の発明によれば、容器本体と分離可能であって少なくとも2通りの装着状態をもって容器本体に装着可能な装着部材を有し、装着部材を特定の姿勢で容器本体に装着すると薬剤導出部が遮蔽され、他の特定の姿勢で容器本体に装着した際には薬剤放散部材に薬剤導出部から薬剤が供給されるので、装着部材の姿勢により、薬剤の蒸散・密閉が可能となる。また本発明によると、薬剤は、薬剤放散部材から揮発することとなり、より大きな揮発面積を確保することができる。
【0049】
請求項20に記載の発明は、容器は、変形可能な変形部を有し、当該変形部を押圧することによって容器内部の薬剤を導出可能であることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の防虫具である。
【0050】
請求項20に記載の発明によれば、容器は、変形可能な変形部を有し、当該変形部を押圧することによって容器内部の薬剤を導出可能であるので、簡単な操作で薬液の導出ができる。
【0051】
請求項21に記載の発明は、容器は、加圧手段を有し、当該加圧手段によって容器内部が加圧されて薬剤が導出されることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の防虫具である。
【0052】
請求項21に記載の発明によれば、容器は、加圧手段を有し、当該加圧手段によって容器内部が加圧されて薬剤が導出されてより確実に薬剤を導出することができる。
【0053】
請求項22に記載の発明は、内部に柱状の薬剤を有した容器を備え、当該容器には、容器内部と連通する開口と、前記開口を外部と遮断する密閉部が設けられており、密閉部は開閉可能であり、前記薬剤は、前記開口から容器外部に繰り出し可能であり、前記薬剤には防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されていることを特徴とする防虫具である。
【0054】
請求項22に記載の発明によれば、開口から容器外部に繰り出し可能な柱状の薬剤を有しているので、繰り出し操作により薬剤を開口から突出させることができる。そして開口から突出した薬剤を他の部材に塗り付けたり、突出した薬剤から直接的に有効成分を揮発させて防虫することが可能である。突出した薬剤から直接的に有効成分を揮発させて防虫する場合、容器外部に引き出す長さを変えることにより、防虫効果を調節することもできる。
【0055】
請求項23に記載の発明は、容器は、容器本体と、容器本体に対して回転可能な操作部と、容器本体内に位置するネジ部材を有し、操作部の回転に応じてネジ部材が回転し、当該ネジ部材が発生する推力によって薬剤が容器本体から繰り出されることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の防虫具である。
【0056】
請求項23に記載の発明によれば、薬剤は、操作部の回転に応じてネジ部材が回転し、当該ネジ部材が発生する推力によって容器本体から繰り出されるので、簡単な構造により繰り出しが可能である。
【0057】
請求項24に記載の発明は、防虫効果を有して常温で揮発する有効成分を含有し、固形形状に成形された薬剤を有し、当該薬剤の表面に所定量づつ剥離可能な被覆が設けられてなる防虫具である。
【0058】
請求項24に記載の発明によれば、防虫効果を有して常温で揮発する有効成分を含有し、固形形状に成形された薬剤を有し、当該薬剤の表面に所定量づつ剥離可能な被覆が設けられているので、薬剤の消耗により露出部分が少なくなった場合には、被覆を剥離することにより露出部分を増やすことができる。
【0059】
請求項25に記載の発明は、棒状に成形された薬剤が内蔵された容器を有し、前記薬剤は、防虫効果を有して常温で揮発する有効成分を含有し、前記容器には前記薬剤を押圧する押圧手段と、薬剤の保持及び開放が可能なチャック手段を有し、押圧手段によって薬剤を押圧して薬剤を繰り出し、チャック手段が薬剤を保持して薬剤の後退を阻止することを特徴とする防虫具である。
【0060】
請求項25に記載の発明によれば、チャック手段を有し、押圧手段によって薬剤を押圧して薬剤を繰り出し、チャック手段が薬剤を保持して薬剤の後退を阻止するので、繰り出しが確実となり、また、防虫具の使用時には後退を阻止するので、塗布などの際にも、作業しやすい。
【0061】
請求項26に記載の発明は、薬剤を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする請求項1乃至25のいずれかに記載の防虫具である。
【0062】
請求項26に記載の発明によれば、薬剤を加熱する加熱手段を備えているので、より多くの薬剤の蒸散が可能である。
【0063】
請求項27に記載の発明は、容器は、内部に薬剤を内蔵する容器本体と、容器本体と分離可能であって、容器本体に装着されて密閉手段を構成するキャップにより構成されることを特徴とする請求項1乃至26のいずれかに記載の防虫具である。
【0064】
請求項27に記載の発明によれば、容器本体に装着されて密閉手段を構成するキャップを有しているので、簡単な構造により、密閉手段を設けることができる。
【0065】
請求項28に記載の発明は、容器には、他のものに取り付けるための係止具が設けられていることを特徴とする請求項1乃至27のいずれかに記載の防虫具である。
【0066】
請求項28に記載の発明によれば、容器には係止具を有するので、防虫具を携帯して使用する場合には、引っかけて携帯することができる。
【0067】
請求項29に記載の発明は、容器は板状の容器であり、薬剤露出部は面状に設けられていることを特徴とする請求項1乃至28のいずれかに記載の防虫具である。
【0068】
請求項29に記載の発明によれば、容器は板状の容器であり、薬剤露出部は面状に設けられているので、防虫具を小さくしつつ、広い面積の薬剤露出部を設けることが可能である。
【0069】
請求項30に記載の発明は、薬剤露出部を遮蔽する密閉手段は、変形可能なシート部材により行われるものであり、前記シート部材は引きはがし可能であり、引き剥がすことにより、薬剤露出部の遮蔽を解除することを特徴とする請求項1乃至29のいずれかに記載の防虫具である。
【0070】
請求項30に記載の発明によれば、薬剤露出部を遮蔽する密閉手段を、変形可能なシート部材により行って、前記シート部材は引きはがし可能として、シート部材を引き剥がすことにより、薬剤露出部の遮蔽を解除することができるので、シート部材の引き剥がし程度をかえることにより薬剤の蒸散を調節することができる。
【0071】
請求項31に記載の発明は、容器は、直接的に装着、又は被服の上から装着することが可能であることを特徴とする請求項1乃至30のいずれかに記載の防虫具である。
【0072】
請求項31に記載の発明によれば、容器は、直接的に装着、又は被服の上から装着することが可能であるので、防虫具の携帯を容易に行うことができる。
【0073】
請求項32に記載の発明は、容器には、他の部材に対して着脱可能な着脱部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至31のいずれかに記載の防虫具である。
【0074】
請求項32に記載の発明によれば、容器に、他の部材に対して着脱可能な着脱部材が設けられているので、防虫具を被服の上からの装着を容易に行うことができる。なお、着脱する対象は被服などでも良く、防虫する場所にあるもの、例えば、野外のテントなどでもよい。
【0075】
請求項33に記載の発明は、容器の一部又は全部は、生分解性樹脂を素材とするものであることを特徴とする請求項1乃至32のいずれかに記載の防虫具である。
【0076】
請求項33に記載の発明によれば、容器の一部又は全部は、生分解性樹脂を素材とするものであるので、使用後の防虫具の廃棄の際、生分解によって処理することができる。
【0077】
請求項34に記載の発明は、携行可能であると共に身体又は被服に装着可能な本体部材を有し、当該本体部材には薬剤を外部に露出させる薬剤露出部が設けられ、前記薬剤には防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有され、薬剤は薬剤露出部から外気に放出されることを特徴とする防虫具である。
【0078】
請求項34の発明によれば、薬剤露出部が設けられ、携行可能であると共に身体又は被服に装着可能な本体部材を有して、薬剤は薬剤露出部から外気に放出されることができるので、薬剤露出部から防虫効果を有する有効成分を揮発させることにより、有害な昆虫に対して殺虫又は昆虫忌避することができる。また本発明の防虫具は携行可能であるので、防虫具を携帯して使用することができる。
【0079】
請求項35に記載の発明は、薬剤露出部を遮蔽する密閉手段を有し、当該密閉手段は、変形可能なシート部材により行われるものであり、前記シート部材は引きはがし可能であり、引き剥がすことにより、薬剤露出部の遮蔽を解除することを特徴とする請求項1乃至34のいずれかに記載の防虫具である。
【0080】
請求項35に記載の発明によれば、薬剤露出部の遮蔽をする密閉手段を、変形可能なシート部材により行って、前記シート部材を引き剥がして薬剤露出部の遮蔽を解除することができるので、薬剤露出部の遮蔽を解除して、簡単に防虫具を使用することができる。
【0081】
請求項36に記載の発明は、携行可能であり且つ気密性を有する袋体を有し、当該袋体は、気密性を解除して密閉状態を解除することができ、当該袋体には繊維に含浸された薬剤が内蔵され、当該薬剤には、人体に有害な虫に対する防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されていることを特徴とする防虫具である。
【0082】
請求項36に記載の発明によれば、気密性を解除して密閉状態を解除することができ、携行可能であり且つ気密性を有する袋体を有しているので、袋体の密閉状態を解除するだけで防虫具の使用ができる。
【0083】
請求項37に記載の発明は、携行可能であり且つ通気性を有する袋体を有し、当該袋体には薬剤が内蔵され、当該薬剤には、人体に有害な虫に対する防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されていることを特徴とする防虫具である。
【0084】
請求項37に記載の発明によれば、携行可能であり且つ通気性を有する袋体を有し、当該袋体には薬剤が内蔵され、当該薬剤には、人体に有害な虫に対する防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されているので、袋体を携行することにより防虫が可能となる。
【0085】
請求項38に記載の発明は、袋体内部には薬剤含浸部材が設けられ、薬剤は、液状であり、薬剤含浸部材に含浸されていることを特徴とする請求項37に記載の防虫具である。
【0086】
請求項38に記載の発明によれば、袋体内部に薬剤含浸部材を設け、液状の薬剤を薬剤含浸部材に含浸しているので、液体の薬剤であっても、通気性を有する袋体に薬剤を内蔵することができる。
【0087】
請求項39に記載の発明は、袋体には、着脱可能な着脱部材が設けられていることを特徴とする請求項37又は38に記載の防虫具である。
【0088】
請求項39に記載の発明によれば、袋体に着脱部材を設けられ、着脱することができるので、防虫具を被服などに容易に固定することができる。
【0089】
請求項40に記載の発明は、有効成分は、Donovan法による25℃における蒸気圧が1×10-5〜5×10-3mmHgであることを特徴とする請求項1乃至39のいずれかに記載の防虫具である。
【0090】
請求項40に記載の発明によれば、有効成分は、Donovan法による25℃における蒸気圧が1×10-5〜5×10-3mmHgであるので、揮発しやすく、また、薬剤放出部を大きくすることなく防虫効果を高めることができる。
【0091】
請求項41に記載の発明は、有効成分は、ピレスロイド系化合物であることを特徴とする請求項1乃至40のいずれかに記載の防虫具である。
【0092】
請求項41に記載の発明によれば、有効成分は、ピレスロイド系化合物であるので、防虫具に使用した際には、昆虫等に対しては微量で防虫効果が優れるものであり、人に対しては、安全性が高い。
【0093】
請求項42に記載の発明は、ピレスロイド系化合物が、Donovan法による25℃における蒸気圧が1×10-5〜5×10-3mmHgであることを特徴とする請求項41に記載の防虫具である。
【0094】
請求項42に記載の発明によれば、有効成分は、Donovan法による25℃における蒸気圧が1×10-5〜5×10-3mmHgであるので、揮発しやすく、また、薬剤放出部を大きくすることなく防虫効果を高めることができる。
【0095】
請求項43に記載の発明は、薬剤には昇華性染料が配合されていることを特徴とする請求項1乃至42のいずれかに記載の防虫具である。
【0096】
請求項43に記載の発明によれば、薬剤の有効成分と共に昇華性染料が昇華するので、薬剤の有効期間を知ることができる。
【0097】
請求項44に記載の発明は、請求項1乃至43のいずれかに記載の防虫具を用い、防虫を行う場所で、前記防虫具の密閉部を開けて薬剤放出部から有効成分を有する薬剤を大気中に揮発させることにより有害生物を防除することを特徴とする防虫方法である。
【0098】
請求項45に記載の発明は、請求項1乃至43のいずれかに記載の防虫具を用い、防虫を行う場所に薬剤塗布部を接触させて薬剤を塗布し、有効成分を有する薬剤を大気中に揮発させることにより有害生物を防除することを特徴とする防虫方法である。
【0099】
請求項44及び45に記載の防虫方法によれば、上記の防虫具を用いて有害生物を防除することができる。
【発明の効果】
【0100】
本発明は、上述の通り構成されており、常温揮発性防虫成分に誤って触れることが少なく、携帯しやすく、携帯可能な大きさで防虫効果の持続が可能であり、さらに、防虫効果の調節が容易にできる防虫具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】(a)、(b)は本発明の第1の実施形態における防虫具の平面図及び正面図である。
【図2】(a)は、A−A断面における本発明の第1の実施形態における防虫具の断面図であり、(b)は、(a)の部分拡大断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態の防虫具の斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態の防虫具の断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態の防虫具の断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態の防虫具の断面図である。
【図7】(a)、(b)は本発明の第2の実施形態における防虫具の平面図及び正面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における防虫具のBーB面における断面図である。
【図9】図8に示す防虫具の、薬剤を繰り出した状態での断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における防虫具の分解図であり、(a)はキャップの断面図であり、(b)は薬剤の断面図であり、(c)は容器の断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図12】本発明の第3の実施形態における防虫具の薬剤放散部材と保持部を示している斜視図である。
【図13】本発明の第4の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図14】本発明の第4の実施形態における防虫具の不使用状態の部分断面図である。
【図15】本発明の第4の実施形態における防虫具の使用状態における斜視図である。
【図16】本発明の第4の実施形態における防虫具の使用状態の部分断面図である。
【図17】本発明の第5の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図18】本発明の第6の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図19】本発明の第7の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図20】本発明の第8の実施形態における防虫具の断面図である。
【図21】本発明の第9の実施形態における防虫具の断面図である。
【図22】本発明の第9の実施形態の変形例における防虫具の断面図である。
【図23】本発明の第10の実施形態における防虫具の断面図である。
【図24】本発明の第11の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図25】本発明の第12の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図26】本発明の第13の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図27】本発明の第13の実施形態における防虫具の部分断面図である。
【図28】本発明の試験例1及び試験例2に用いるカップの斜視図である。
【図29】本発明の試験例1の状態を示した防虫具及びカップの斜視図である。
【図30】本発明の試験例2の状態を示した濾紙及びカップの斜視図である。
【図31】(a)及び(b)は、本発明の第14の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図32】本発明の第15の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図33】本発明の第15の実施形態における防虫具の変形例を示した斜視図である。
【図34】本発明の第16の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図35】本発明の第17の実施形態における防虫具の正面図である。
【図36】本発明の第18の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図37】本発明の第19の実施形態における防虫具の正面図である。
【図38】本発明の第20の実施形態における防虫具の側面図である。
【図39】本発明の第21の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図40】本発明の第22の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図41】本発明の第23の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図42】本発明の第24の実施形態における防虫具の正面図である。
【図43】本発明の第25の実施形態における防虫具の正面図である。
【図44】本発明の第26の実施形態における防虫具の斜視図である。
【図45】本発明の第26の実施形態における防虫具の袋体を示した斜視図である。
【図46】図45の内部を示した斜視図である。
【図47】本発明の第27の実施形態における防虫具の断面斜視図である。
【図48】本発明の第28の実施形態における防虫具の正面図である。
【図49】本発明の第28の実施形態における防虫具の使用状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0102】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。
以下に説明する防虫具は、いずれも携行可能である。防虫具の大きさは、ポケットに入る程度のものが推奨される。より具体的には、全長が150mm以下程度であって重量が50グラム以下が望ましく、より推奨される大きさは、全長が120mm以下程度であって重量が20グラム以下が望ましい。
【0103】
図1(a)、(b)は本発明の第1の実施形態における防虫具の平面図及び正面図である。図2(a)は、A−A断面における本発明の第1の実施形態における防虫具の断面図であり、(b)は、(a)の部分拡大断面図である。図3は、本発明の他の実施形態の防虫具の斜視図である。図4は、本発明の他の実施形態の防虫具の断面図である。図5は、本発明の他の実施形態の防虫具の断面図である。図6は、本発明の他の実施形態の防虫具の断面図である。
【0104】
本発明の第1の実施形態である防虫具1は、図1に示される構造である。防虫具1は、ラインマーカに似た構造をしている。
そして、防虫具1は容器8を有している。また、容器8は、円筒状の容器である容器本体11と、容器本体11の先端側に取り付けられるキャップ10から成る。容器8の長さは約150mm程度である。そして、容器本体11は、クリップ12を備えている。
【0105】
クリップ12は、他のものに取り付けるための係止具であり、容器本体11の胴部に位置している。そして、クリップ12と容器本体11の胴部との間に被服のポケットなどの布地を挟むことが可能である。そして防虫具1を被服に固定することができるので、被服を着用した者が携帯する際に、落としにくい。
【0106】
なお、容器8及びキャップ10の材質は、後述する薬剤22が接触しても、影響のない材質が望ましい。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの樹脂や、アルミニウム、ステンレス等の金属が使用でき、特にポリアミド系樹脂が望ましい。
【0107】
さらに、容器8及びキャップ10の材質を生分解性プラスチックを用いることにより、容器8及びキャップ10がバクテリアなどにより分解するので環境に優しい。生分解プラスチックスとしては、でんぷんが添加されているでんぷん系、微生物が生成するポリエステルなどを成分とする微生物系、化学合成により製造される化学合成系などがある。なお、本発明の他の実施形態においても、同様な材質を用いることができる。
【0108】
防虫具1の内部の構造について、図2を用いて詳しく説明する。
容器本体11は、先端側(図2において上側)に開口部15を有する円筒状の筒型の容器であり、さらに、先端側の胴部は縮径部16を有して、縮径部16は後端側より外径が小さい。そして、縮径部16には、本体側突起17を有している。本体側突起17は周状に設けられ、キャップ10を容器本体11に取り付けた際にはキャップ10の内側に密着する。
【0109】
そして、図2のように、容器本体11には内側に内部空間19を有しており、内部空間19には、中芯部材18を有している。中芯部材18は、円柱状をしており、中芯覆い部20と繊維部21からなる。中芯覆い部20は樹脂製のフィルムであり円筒状しており、繊維部21を覆っている。中芯部材18は、薬液貯留部となる。
また、繊維部21はポリエステル繊維、ポリアクリル繊維、綿などの繊維を円柱状にしたものであり、後述する有効成分を分散させた薬剤22をしみこませている。すなわち繊維部21には薬剤が含浸され、繊維部21は薬剤保持部材として機能する。
【0110】
薬剤22は液体状である。薬剤22には防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含まれている。そして、防虫効果を有して常温で揮発する有効成分の具体例として、エンペントリン、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(以下、化合物(A)と記すこともある。)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル 3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクリプロパン−1−カルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、1−エチニル−2−フルオロ−2−ペンテニル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、トランスフルスリン、テラレトリン、フラメトリン、テフルスリン、プラレトリン、アレスリン等のピレスロイド系化合物、フェニトロチオン、ジクロロボス等の有機リン系化合物、BPMC,メトキサジアゾン等のカーバメート系化合物、メソプレン、ハイドロプレン等の幼若ホルモン様化合物、3,4−カランジオール、N,N−ジエチル−m−トルアミド、p−メンタン−3,8−ジオール、ヒソップ油の植物精油等がある。
これらの有効成分の多くは常温で液体であり、そのまま薬剤としても使用可能である。
また、本発明に使用する有効成分は、Donovan法による25℃における蒸気圧が1×10-5〜5×10-3mmHgであることが望ましい。
ここで、Donovan法とは、New method for estimating vapor pressure by the use of gas chromatography : Journal of Chromatography A. 749 (1996) 123-129 にてStephen F.Donovan 氏によって報告された方法である。
【0111】
通常、常温で液体の有効成分はそのまま後述のような有効成分を保持するための容器に充填して用いることができるが、当該有効成分をエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコール類、イソペンタン、軽質イソパラフィンや軽質流動イソパラフィン(出光石油化学:IPソルベント1620、2028、2835 エクソンモービル:アイソパーE、G、H、L、M)、JIS1号灯油や2号灯油、アルキルベンゼンなどの炭化水素系溶剤、酢酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、クエン酸トリブチルアセテートなどのエステル類、のうちから選択したいずれか、又は、それらの混合物で適宜希釈して得られる薬液を前記容器8に充填して用いることもできる。
【0112】
また、薬剤22に、染料などの着色剤を添加しても良い。かかる場合には、透明な容器を用いて、使用時に薬剤22の残量が容易に判断することができる。特に、薬剤22を塗布して用いる防虫具の着色剤として昇華性染料を用いた場合には都合がよい。すなわち、薬剤22の使用と共に着色剤が昇華するため、塗布した部分の色を確認することにより防虫効果の指標とすることができ、また、使用後に着色剤が残ることはなく、塗布した場所を汚すことはない。
【0113】
さらに、容器本体11の開口部15付近には、繊維束23を有している。
繊維束23は略柱状であり、先端側の端部は斜状となっており、軸方向に垂直な面に対して角度を有している。繊維束23の外径は、開口部15の内径に略等しい。そして、繊維束23は、開口部15に密着した状態で貫通している。さらに、繊維束23は、容器本体11の内部側では、中芯部材18の繊維部21と中芯接触部23aで接触し、容器本体11の外部側では、開口部15より外に露出し、露出部23bを有している。
本実施形態では、繊維束23と中芯部材18が別部材であるが、一体であっても良い。
【0114】
また、キャップ10は、容器本体11と着脱することができ、キャップ10を付けると露出部23bは密閉されて、キャップ10は密閉手段となって露出部23bを遮蔽する。また、キャップ10を外すと露出部23bは開放される。
キャップ10は、容器本体11の先端側に取り付けられるものであり、外径は容器本体11の外径と略同一である。そして、内部は、内径が2段になっており、後端側の後端側内部27の内径は、容器本体11の縮径部16の外径と略同一である。さらに、図2(b)のように、後端側内部27には、キャップ10をかぶせた状態で、容器本体11の本体側突起17に対応する位置よりも後端側の位置にキャップ側突起29を有し、また、本体側突起17に対応する位置よりも先端側には、シール突起30を有している。そして、キャップ10が容器本体11にかぶせられると、本体側突起17がキャップ側突起29を乗り越えて固定され、さらに、容器本体11の縮径部16とシール突起30が密着する。
【0115】
次に、防虫具1を使用する方法について説明する。
防虫具1を使用する際には、防虫を行う場所でキャップ10を外す。すると、露出部23bが密閉状態から開放される。
一方、繊維束23は中芯接触部23aで中芯部材18に繊維部21と接触しているので、毛細管現象により薬剤22が吸い上げられ、さらに、露出部23bまで吸い上げられ、薬剤は露出部23bの表面に露出する。すなわち本実施形態では、繊維束23は露出部23bに薬剤を導出する薬剤導出部材としての機能と、薬剤を表面に露出させる薬剤露出部としての機能を兼ね備える。
したがって、キャップ10を外すと、薬剤22は外気と接触可能となり、薬剤22は揮発し始めることとなる。そして、防虫効果を有する有効成分であるエンペントリンが揮発して防虫効果を発揮する。このとき、前記した様に露出部23bは、薬剤放出部25として機能する。
【0116】
また、露出部23bから薬剤22が放出されると、さらに毛細管現象によって露出部に薬剤22が移動する。薬剤22が減少しても容器本体11の内部の薬剤22が無くなるまでは、中芯部材18及び繊維束23の毛細管現象により、露出部23から薬剤22が揮発するので、最後まで使用可能である。
【0117】
そして、防虫具1は、容器8の大きさが約150mmであり、クリップ12を有しているので、洋服のポケットなどに容易に引っかけることができるので、携帯に便利である。
【0118】
防虫具1は、上記したように、キャップ10を外して、薬剤22を放出させて、エンペントリンにより防虫具として使用するほかに、薬剤22を作業着などに塗布することによっても使用することができる。すなわち、繊維束23の先端部23cは薬剤塗布部31としても機能するものである。薬剤塗布部31により作業着など薬剤22を塗布する。そして、薬剤22を塗布された部分から有効成分であるエンペントリンが揮発し、防虫効果を発揮する。
作業着等の被服に限らず、布や紙等に薬剤22を塗布し、防虫を行う場所に置くことも有効である。さらに例えば紙や布等に円や囲みを描き、その中に防虫すべきものを置けば、囲み内は、防虫雰囲気となり、囲み内に害虫が進入しない。
【0119】
第1の実施形態における防虫具1は、容器本体11の内部空間19に、中芯部材18を介して薬剤22を入れた構成であったが、容器本体11の内部空間19に、中芯部材18の中芯覆い部20を略して繊維と薬剤だけの構成とすることもでき、また、薬剤のみの構成とすることもできる。さらに、中芯覆い部20の一部に貫通孔を有する構成として揮発させることもできる。そして、中芯部材18を樹脂等で固めることもできる。
また、これらの防虫具を使用して、薬剤22が無くなった後に、薬剤22を再び充填して再び使用することも可能である。かかる場合には、容器本体11を何回でも使用することができ経済的である。また中芯部材18をカートリッジ式に取り替える構成も推奨される。
【0120】
上記の実施形態では、薬剤放出部25である露出部23bや、薬剤塗布部31である先端部23cは繊維であったが、薬剤が通過可能な部材であれば良く、露出部23bや先端部23cの材質として、多孔質体や中空の貫通穴を有する樹脂成形品を用いることもできる。
【0121】
また、図3に示されるような構造を有する容器9を用いることができる。すなわち、容器9は、容器本体70とキャップ71からなる。そして、容器本体70の縮径部16には、軸方向にやや長く、内部と外部を貫通している側面孔72が設けられている。また、キャップ71には、軸方向にやや長く、内部と外部を貫通している側面孔73が設けられ、また、キャップ71の内径は、容器本体70の縮径部16の外径にほぼ等しい。そして、容器本体70とキャップ71はネジ部75によって回転しながら着脱するような構造になっている。また、容器本体70の先端には、容器本体70の内部の薬剤22がしみこんでいる繊維束23が露出している。
【0122】
図3に示される容器9を用いた防虫具を使用する場合には、薬剤22の揮発量の調節が容易となる。すなわち、容器本体70とキャップ71の角度を変えると、容器本体70の側面孔72とキャップ71の側面孔73の相対的な位置関係が変わる。
そして、側面孔72と側面孔73との位置が一致すると容器9の内部と外部を貫通する孔の面積が大きくなるので揮発性が高まり、また、逆に一致しないと面積が小さくなり揮発性が減少する。そして、この調節は無段階にできる。
すなわち本実施形態では、容器9の先端部分に側面孔72と側面孔73によって構成される窓があり、当該窓の開口面積が変化させることができる。
なお、本発明の第1の実施形態の防虫具1と同様に、キャップ71を外しても使用でき、また、薬剤22を塗布することによっても使用することができる。
【0123】
さらに、本発明においては、図4〜図6に示されるような、薬剤保持部材を有さない容器本体を用いることができる。
【0124】
すなわち、図4に示される容器本体11aは、薬剤保持部材を有さずに、薬剤22が容器本体11aの内部空間19に直接的に充填されている。なお薬剤22は、液状である。そして、容器本体11aの先端側の開口部15には、第1の実施形態の防虫具1の容器本体11と同様に、繊維束23を有している。さらに繊維束23の後端側と、薬剤22の間には弁機構50が設けられ、通常は弁機構50は閉じており、繊維束23を後端側に押すと弁機構50が開いて、内部空間19の薬剤22は繊維束23を通じて揮発可能となる。
【0125】
すなわち弁機構50は、弁室50aの中に弁体50bが移動可能に配されたものであり、弁体50bは、バネ50cによって弁座50d側に押圧されている。そして繊維束23を後端側に押すと、これに当接する弁体50bがバネ50cに抗して後方に移動し、弁座50dから離れて弁が開く。
【0126】
本実施形態の防虫具では、使用の際には繊維束23を押して、弁機構50を開き、容器本体11aの内部空間19に充填された薬剤22を排出させる。そうすると、弁機構50が開き内部空間19の薬剤22が繊維束23を通じて、繊維束23の先端側に移動して外部に揮発する。
容器本体11aを用いた防虫具では薬剤保持部材が不要のため、多くの薬剤22を保持することができ、長期間使用できる。また弁機構50を押し開くことにより必要量の薬剤22を薬剤露出部たる繊維束23の先端側に導くことができ、所望量の薬剤を揮発させることができる。
【0127】
さらに容器本体の変形例を説明する。
図5に示される容器本体11bは、前記した容器本体11aと同様に薬剤保持部材を有さずに、薬剤22が容器本体11bの内部空間19に直接保持されている。容器本体11bは、ホルダー53と円筒容器54からなる。
ホルダー53は略円筒状であり、先端側に開口部15があり、内部には開口部15につながって軸方向に向いている貫通孔56を有して、内部に中継芯56aが設けられている。なお中継芯56aは、薬剤導出部材として機能する。
そしてさらに、ホルダー53の外側は断面櫛歯状の段部55を有している。段部55には、外部に通じる外部圧力調整部57aと、円筒容器54の内部に通じる内部圧力調整部57bを有している。そして、ホルダー53は円筒容器54の先端側に挿入されて固定部材53aにより固定されている。
【0128】
内部圧力調整部57bは、一時的薬剤溜め部として機能するものであり、容器内の圧力変化に応じ、圧力が高くなると一時的薬剤溜め部に薬剤が貯まって、余分な薬剤の揮発を押さえることができる。
【0129】
また、開口部15には、多孔質体である樹脂成形部材51を有している。樹脂成形部材51の空隙により、容器の内部と外部を貫通して、薬剤22は樹脂成形部材51を通過することができる。
【0130】
そして、使用の際には先端側を下向きにするなどして、樹脂成形部材51に薬剤22をしみこませると、樹脂成形部材51の多孔質構造によって薬剤22が吸い出され、樹脂成形部材51の先端部分に薬剤22が露出する。そして当該部分の薬剤22が空気に触れて揮発される。容器本体11bを用いた防虫具では薬剤保持部材が不要のため、多くの薬剤22を保持することができ、長期間使用できる。また、段部55を有しているので、内部空間19の温度が変化して、内部空間19内部の薬剤22や空気が膨張しても、段部55に薬剤22が移動して、溜めることができ、また、徐々に外部圧力調整部57a及び内部圧力調整部57bから空気が抜けて内部の圧力が低下するので、開口部15から多量に漏れ出すことがない。
【0131】
さらに容器本体の他の変形例を説明する。
図6に示される容器本体11cは、容器本体11aと同様に薬剤保持部材を有さずに、薬剤22が容器本体11cの内部空間19に直接保持されている。そして、容器本体11cの先端側の開口部15には、第1の実施形態の防虫具1の容器本体11と同様に、繊維束23を有している。繊維束23の後端側と、薬剤22の間にはボール60及び付勢部材61からなる弁機構50が設けられている。ボール60は付勢部材61によって先端側に付勢されており、弁機構50の先端側に有する開口64を閉鎖し、通常は弁機構50は閉じた状態となっている。そして、弁機構50は閉じた状態では、容器本体11内部の薬剤22が外部に漏れることはない。
繊維束23を後端側に押すと弁機構50が開いて、内部空間19の薬剤22は繊維束23を通じて揮発可能となる。具体的には、付勢部材61の付勢力より大きい力を繊維束23に加えると、ボール60を後端側に移動させることにより、弁機構50を開放することができる。また、容器本体11cの後端側には尾栓62を有し、さらに、尾栓62と薬剤22との間にはフォロア63を有している。フォロア63は樹脂を素材とするものであり、薬剤22の後端側に位置している。
そして、使用の際には繊維束23を押して、薬剤22を揮発させる。容器本体11cを用いた防虫具では薬剤保持部材が不要のため、多くの薬剤22を保持することができ、長期間使用できる。また、容器本体11cでは薬剤22が減るとそれに伴ってフォロア63が先端側に移動するので、薬剤22は空気に触れることがなく、薬剤22の劣化が少ない。
【0132】
つぎに、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7は(a)、(b)は本発明の第2の実施形態における防虫具の平面図及び正面図である。図8は、本発明の第2の実施形態における防虫具のB−B面における断面図である。図9は、図8に示す防虫具の、薬剤を繰り出した状態での断面図である。図10は、本発明の第2の実施形態における防虫具の分解図であり、(a)はキャップの断面図であり、(b)は薬剤の断面図であり、(c)は容器の断面図である。
【0133】
本発明の第2の実施形態における防虫具4は、固体状の薬剤41を有するものであり、図7に示されるものである。そして、防虫具4は、容器34を有しており、容器34は容器本体36とキャップ35から成る。
【0134】
防虫具4の内部の構造について、図7〜10を用いて詳しく説明する。
容器本体36は、図10のように、先端側に開口部15を有する円筒状の筒型の容器であり、さらに、先端側の胴部は縮径部16を有して、縮径部16は後端側より外径が小さい。また、容器本体36の内部には図10(c)に示されるように軸方向にリブ44を有している。
そして、後端側には、繰り出し部37を有している。繰り出し部37は、円盤の中央にネジ付きの棒を有する形状であり、回転可能な状態で容器本体36の後端側に接続している。
【0135】
繰り出し部37は、操作部38とネジ棒部39から成る。操作部38は、外部に露出しており、容器本体36と相対的に回転運動が可能である。また、ネジ棒部39は、スパイラル状に突起を有するものであり、ネジ棒部39の長さは、容器本体36よりやや短い。
【0136】
容器本体36の内部には、薬剤41を有している。図10(b)に示されるように、薬剤41は円柱状であり、内部には空洞を有している。薬剤41は、第1の実施形態における防虫具1に使用される有効成分と同様のものが用いられる。さらに、薬剤41は半固形〜固形状の一定の形状を有するものであり、液体の有効成分を用いる場合には、ゲル化剤や固体添加剤などを用いて、一定の形状とする。
そして、薬剤41の後端側には、移動部材42を有している。移動部材42は、中央部にはネジ棒部39に合う貫通するネジ穴47を有し、外側には、前記したリブ44と合う凹部46が軸方向に有している。
【0137】
そして、容器本体36に薬剤41が挿入されると、繰り出し部37を回転することによって、薬剤41を繰り出しすることができる。すなわち、移動部材42のネジ穴47にネジ棒部39が入り、凹部46がリブ44が嵌った状態となっている。したがって、繰り出し部37の操作部38を回転させると、ネジ棒部39が回転する。そうすると、リブ44と凹部46によって、容器本体36と移動部材42は回転できず、ネジ棒部39のピッチの分だけ移動部材42が軸方向に移動する。すなわち本実施形態では、ネジ棒部39の発生する推力によって薬剤41が容器本体36から繰り出される。
【0138】
キャップ35は、図10(a)に示されるように、容器本体36の先端側に取り付けられるものであり、外径は容器本体36の外径と略同一である。そして、内部は、内径が2段になっており、後端側の後端側内部48の内径は、容器本体36の縮径部16の外径と略同一である。
また、キャップ35は、容器本体36と着脱することができ、キャップ35を付けた状態では容器本体36の縮径部16より先端側は密閉される。したがって、キャップ35を付けると開口部15は密閉され、外すと開口部15が開放され、薬剤41が露出する。すなわち薬剤41が空気と触れる状態となる。
【0139】
そして、防虫具4を使用する場合には、次のように行う。
まず、防虫を行う場所でキャップ35を外し、容器本体36の開口部15を、密閉状態から開放する。そして、繰り出し部37を回転させて、薬剤41の繰り出しを行う。そうすると、図9のように、薬剤41の先端側の面と側面が露出して、有効成分が揮発する。本実施例では、薬剤41の先端側の面と側面が薬剤放出部25となる。有効成分は防虫効果を有して常温で揮発する有効成分であるので、有効成分が揮発し、その結果防虫効果を発揮する。また、薬剤41の繰り出しの長さを変えることで、薬剤放出部の面積を変えることができ、防虫効果の強弱を容易に変えることができる。また、防虫具4の薬剤41の先端側の面と側面を薬剤塗布部31とすることもできる。
【0140】
本発明の繰り出し機構は、第2の実施形態における防虫具4に用いられている繰り出し機構以外の公知の繰り出し機構もでき、また回転式でなくても良い。
【0141】
つぎに、本発明の第3の実施形態について説明する。
図11は、本発明の第3の実施形態における防虫具の斜視図である。図12は、本発明の第3の実施形態における防虫具の薬剤放散部材と保持部を示している斜視図である。
【0142】
本発明の第3の実施形態における防虫具5は、図11,12に示されるものである。そして、防虫具5には、薬剤放散部材85が設けられ、また繊維束23の先端には、薬剤放散部材85を保持することが可能な保持部86が設けられている。なお、防虫具5は、繊維束23の先端の保持部86と薬剤放散部材85以外の構造については、図2に示される防虫具1と同様の構造を採用しており、以下の説明において、防虫具1で用いた同一の番号を用いて説明し、詳細な説明を省略する。
【0143】
薬剤放散部材85は板状であり、別途用意されるものである。薬剤放散部材85の材質は毛細管現象などにより液体を吸い上げることが容易であり、紙のように細い繊維により形成されたものや多数の小さな孔が設けられたもの等により構成されたものが望ましい。そして、薬剤放散部材85の広さや厚みは適宜選択することができ、厚みについては後述する保持部86に挟まれて保持することができる程度である。また、薬剤放散部材85には柔軟性があり、不使用時には巻き取りや折り畳むなどしてコンパクトな大きさとすることができ携帯しやすくできる。
保持部86は、具体的には切れ目であり、繊維束23の先端に位置している。そして切れ目の面は防虫具5の軸と平行である。
【0144】
そして、防虫具5を使用する際には、図12に示されるように、薬剤放散部材85を繊維束23の保持部86に取り付ける。そうすると、繊維束23の先端側に吸い上げられた薬剤22が、さらに、薬剤放散部材85にも浸透していく。そして、薬剤22は薬剤放散部材85からも蒸散していく。
【0145】
防虫具5は、上記のように構成されているので、薬剤放散部材85を広い面積にすることにより、より広い面から薬剤22を蒸散させることができる。なお、不使用時には、図11に示されるようにキャップ10を容器本体11に取付けて、薬剤22の蒸散を防止し、また、薬剤放散部材85は携帯できる大きさにすることができる。
【0146】
さらに、本発明の第4の実施形態について説明する。
図13は、本発明の第4の実施形態における防虫具の斜視図である。図14は、本発明の第4の実施形態における防虫具の不使用状態の部分断面図である。図15は、本発明の第4の実施形態における防虫具の使用状態における斜視図である。図16は、本発明の第4の実施形態における防虫具の使用状態の部分断面図である。
【0147】
本発明の第4の実施形態における防虫具6は、図13、14、15、16に示されるものである。そして、防虫具6には、容器本体11と着脱可能な装着部材87が設けられている。本実施形態では、装着部材87は、キャップ兼薬剤放出部として機能する。なお、装着部材87と、容器本体11の装着部材87との接続部分以外の防虫具6の構造については、図2に示される防虫具1と同様の構造を採用しており、以下の説明において、防虫具1で用いた同一の番号を用いて説明し、詳細な説明を省略する。
【0148】
キャップ兼薬剤放出部たる装着部材87は、筒状であって胴部に開口部88が設けられている。装着部材87の筒の両側の端部90a、90bは、いずれも開口状であり、容器本体11と脱着可能となっている。また、装着部材87には、仕切部89が設けられ、端部90aと端部90bとの間を遮断するように設けられている。
【0149】
そして、装着部材87の内部であって、仕切部89と、開口部88側の胴部と、端部90aとにより囲まれる空間には薬剤放散部材91が設けられている。薬剤放散部材91の材質は毛細管現象などにより液体を吸い上げることが容易なものであり、繊維により形成されたものや多数の小さな孔が設けられたものなど、毛細管現象が起こりやすいものが望ましい。また、薬剤放散部材91は弾力性を有している。装着部材87を端部90a側で容器本体11に取り付けると薬剤放散部材91が繊維束23の先端に押されて凹み、繊維束23の先端と薬剤放散部材91が接触するように構成されている。
薬剤放散部材91は、開口部88によって装着部材87の外部とつながり、吸い上げられて薬剤放散部材91にある薬剤22が外部に拡散できるようになっている。
【0150】
防虫具6を使用する際には、図15、図16に示されるように、装着部材87を端部90a側を容器本体11に取り付ける。このとき、繊維束23の先端と薬剤放散部材91とが接触するので、繊維束23の先端側に吸い上げられた薬剤22が、さらに、薬剤放散部材91にも浸透していく。そして、薬剤22は薬剤放散部材91に浸透した薬剤22は開口部88から蒸散する。
【0151】
また、防虫具6を使用しない場合には、図13、図14に示されるように、装着部材87の端部90b側を容器本体11に取り付ける。そうすると、繊維束23の先端は、装着部材87の胴部と仕切部89によって密閉されるので、薬剤22の蒸散を防ぐ。
防虫具6では、使用時及び不使用時において、装着部材87を容器本体11に取り付けた状態であるので携帯がしやすい。
【0152】
次に本発明の第5、第6の実施形態について説明する。
以下に示す本発明の第5及び第6の実施形態の防虫具7及び防虫具7aは、ボール92やロール93などの回転体により薬剤を塗布することができるものである。
【0153】
図17は、本発明の第5の実施形態における防虫具の斜視図である。図18は本発明の第6の実施形態における防虫具の斜視図である。
【0154】
本発明の第5の実施形態における防虫具7は、図17に示されるものである。そして、防虫具7は容器本体11に回転可能に保持されたボール92を有しており、また、容器本体11に設けられている薬剤22がボール92に付着するように構成されている。本実施形態では、ボール92が薬剤塗布部31となるものである。
そして、防虫具7を使用する際には、キャップ10を取り外し、防虫を行う場所にボール92を接触させながら移動させ、薬剤22を塗布する。具体的には、薬剤22がボール92に付着して回転するので、ボール92に接触した部分で薬剤22の塗布が行われる。その後、薬剤22が蒸散して防虫が行われる。
【0155】
本発明の第6の実施形態における防虫具7aは、図18に示されるものである。そして、防虫具7aは容器本体11に回転可能に保持されたロール93を有しており、また、容器本体11に設けられている薬剤22がロール93に付着するように構成されている。本実施形態では、ロール93が薬剤塗布部31となるものである。
そして、防虫具7aを使用する際には、キャップ10をとり、防虫を行う場所にロール93を接触させながら移動させ、薬剤22を塗布する。具体的には、薬剤22がロール93に付着して回転するので、ロール93に接触した部分で薬剤22の塗布が行われる。その後、薬剤22が蒸散して防虫が行われる。
【0156】
また、本発明の第7の実施形態における防虫具7bのように、薬剤放出部25付近を加熱して、使用時に、より蒸散しやすくすることもできる。
【0157】
図19は、本発明の第7の実施形態における防虫具の斜視図である。
【0158】
防虫具7bは、図19に示され、電気加熱器95、電池96、導線97及びスイッチ98が設けられている。電池96の両極が導線97を介して電気加熱器95と接続されている。なお、スイッチ98が導線97の中途部分に位置しているので、スイッチ98がONの時だけ、電気加熱器95の加熱が行われる。電気加熱器95は、繊維束23の先端付近に位置している。そして、防虫具7bの使用時にスイッチ98をONにすると、電気加熱器95により、繊維束23の先端付近が加熱されて、繊維束23からの薬剤22の蒸散が促進される。なお、薬剤放出部25を有する防虫具であれば、薬剤放出部25付近を加熱して揮発性の高い防虫具とすることができる。
【0159】
また、容器本体11の内部の薬剤22が保持されている部分を加圧することができるようにして、薬剤22の塗布や放出を容易とする構成とすることも可能である。すなわち、薬剤22が保持されている部分が加圧されており、大気圧との間に圧力差ができるので、薬剤22が出やすくなる。具体的な方法として、容器本体11を変形可能な容器として、握力等により薬剤22が保持されている部分の容積が小さくできるようにして加圧する方法や、或いは、薬剤22を保持する容器本体11自体や容器本体11の内部に設けられている薬剤22を保持しているカートリッジの圧力を充填の際に高圧にして、容器本体11の内部を加圧する方法などである。
【0160】
薬剤22が保持されている部分を加圧することが可能な防虫具として、防虫具100、101、106を用いることができる。
【0161】
図20は、本発明の第8の実施形態における防虫具の断面図である。図21は、本発明の第9の実施形態における防虫具の断面図である。図22は、本発明の第9の実施形態の変形例における防虫具の断面図である。
【0162】
第8の実施形態における防虫具100は、図20に示されており、容器本体111に直接薬剤22が保持されている。容器本体111は軟質の樹脂によって成形され、変形可能であり、外部から圧縮することにより変形させることができる。そして、容器本体111の内部には、薬剤誘導管112が設けられている。薬剤誘導管112の先端側には弁機構113が設けられ、後端側は開放されており、容器本体111の薬剤22が流れ込むことが可能となっている。通常、弁機構113は閉じた状態であるが、薬剤誘導管112側の圧力が上がると、それに応じて開く構造となっている。弁機構113は閉じた状態では、容器本体111は気密性を有している。
また、繊維束23は弁機構113の先端側に位置している。そして、弁機構113が開くと、薬剤22は容器本体111の内部から薬剤誘導管112を経て繊維束23に移動し、薬剤22を繊維束23に供給することが可能である。
【0163】
防虫具100を使用する際には、防虫具100の繊維束23の先端側は、防虫具1と同様に、薬剤放出部25及び薬剤塗布部31として機能する。そして、防虫具100の使用者が、薬剤22を繊維束23に供給する場合には、防虫具100の先端側を上にした状態で、容器本体111を外部から圧縮して変形させる。そうすると、容器本体111の容積が減少して内部の圧力が高くなり、さらに、弁機構113の薬剤誘導管112側の圧力が上がって、弁機構113が開く。そして、容器本体111の薬剤22が繊維束23に供給されて、より多くの薬剤22が揮発可能となり、より多くの薬剤22を塗布することができる。
【0164】
また、第8の実施形態の防虫具100の変形例である、図21に示される防虫具101は、前記した防虫具100と比べて、薬剤誘導管112以外は同様であり、薬剤誘導管112の構造のみが異なる。具体的には、防虫具101の薬剤誘導管115の構造は図21に示されるように内管116と外管117とが設けられた2重管となっている。そして、外管117の先端側の端部には、薬剤導入孔118が設けられており、容器本体111の内部の薬剤22は薬剤誘導管115の外管117と内管116との間に流入することができる。
また、薬剤誘導管115の後端側には密栓120が設けられており、外管117の後端側を密閉している。なお、密栓120と内管116の間には隙間121を有しており、外管117と内管116との間から、内管116との間へ薬剤22が流れることができる。
【0165】
防虫具101では、防虫具101の使用者が、薬剤22を繊維束23に供給する場合には、防虫具101の先端側を下にした状態で、容器本体111を外部から圧縮して変形させる。そうすると、容器本体111の容積が減少して内部の圧力が高くなり、さらに、弁機構113の薬剤誘導管115側の圧力が上がって、弁機構113が開く。そして、容器本体111の薬剤22が繊維束23に供給されて、より多くの薬剤22が揮発可能となり、より多くの薬剤22を塗布することができる。防虫具101では、防虫具101の先端側を下にしながら、薬剤22を繊維束23に供給することができるので、防虫具101の先端側を下に向けて薬剤22を塗布する場合には、薬剤22の量を調整しながら行うことができるので薬剤22を適量とすることが容易である。
【0166】
第9の実施形態における防虫具106は、図22に示されており、加圧手段150が設けられており、また、容器本体11aに直接薬剤22が保持されている。なお、防虫具106の容器本体106aは、前記した、図4に示されている容器本体11aと同じ構造であり、同一の番号を付して説明を省略する。
【0167】
加圧手段150は、加圧室151、弁部材152及び付勢手段153を有している。加圧室151は、外部に通じる貫通孔155が設けられており、貫通孔155の位置は、防虫具106の後端側の先に位置している。また、弁部材152は、加圧室151と容器本体11aの内部との間に位置している。弁部材152は、通常、付勢手段153によって加圧室151側に付勢され、容器本体11aの内部と加圧室151との間は気密状態を維持している。加圧室151側の圧力が容器本体11aの内部の圧力より高くなり、この気圧差による力が付勢部材153の付勢力より大きくなると、弁部材152は気密状態が解かれて、加圧室151から容器本体11aの内部へ加圧室151の気体が流入する。
加圧室151は弾性を有する材質であり、変形可能である。
【0168】
そして、防虫具106を使用する場合には、繊維束23を押して、薬剤22を揮発させるが、この量を多くしたい場合には、加圧手段によってより多くの薬剤22を供給することができる。
具体的には、貫通孔155を塞ぎながら、加圧室151を押す。加圧室151は弾性を有しているので、加圧室151が変形して加圧室151の容積が小さくなる。そして、加圧室151の圧力が上昇する。
加圧室151の圧力が上昇し、容器内部11aの圧力よりも大きくなって、弁部材152の気密状態が解かれて、加圧室151から容器本体11aの内部へ加圧室151の気体が流入する。そして、加圧室151を押すのを止めると、弁部材152は付勢部材153により戻り、再び気密状態を回復し、容器本体11aの内部の圧力が高くなる。
さらに容器内部11aの圧力が高くなった状態で、繊維束23を後端側に押すと弁機構50が開いて、内部空間19の薬剤22は繊維束23に移動するが、容器内部11aの圧力が高いので、より多くの薬剤22を繊維束23に供給することが可能である。なお、必要に応じて、加圧室151を押す操作を繰り返し、容器内部11aの圧力をより高くすることができる。
【0169】
また、図23に示される、本発明の第10の実施形態における防虫具102を用いることができる。
図23は、本発明の第10の実施形態における防虫具の断面図である。
第1の実施形態における防虫具1の中芯部材18とは異なり、防虫具102の中芯部材128は、薬剤22を管部材129によって直接保持している。そして、薬剤22の後端側には薬剤22の消耗に追随しながら移動可能なフォロア130が設けられており、後端側から漏れることを防止し、薬剤22が最後まで使用できるようにしている。なお、フォロア130は粘度の大きいゲル状である。
【0170】
以下、本発明の第11〜13の実施形態を説明する。これらの実施形態における防虫具103、104、105は、上記第2の実施形態における防虫具4と同様に、固形状の薬剤41を用いるものである。なお、防虫具103、104、105には、キャップ10が設けられているが、キャップを設けない構成とすることもできる。
【0171】
図24は、本発明の第11の実施形態における防虫具の斜視図である。図25は、本発明の第12の実施形態における防虫具の斜視図である。図26は、本発明の第13の実施形態における防虫具の斜視図である。図27(a),(b)は、本発明の第13の実施形態における防虫具の部分断面図である。
【0172】
本発明の第11の実施形態における防虫具103は、図24に示されており、薬剤41、キャップ10、巻紙131及び解除糸132が設けられている。そして、薬剤41は柱状であって、巻紙131により巻き付けられている。解除糸132は、巻き付けられた巻紙131の間に位置しており、解除糸132を引っ張ると巻紙131が徐々に外れる。
【0173】
そして、使用する際には、薬剤41の先端部を薬剤放出部25として用い、薬剤41の先端部から有効成分が蒸発させて防虫する。あるいは、薬剤41の先端部を薬剤塗布部31として用い、薬剤41の先端部を防虫する場所に接触させて薬剤41を塗布して、有効成分を揮発させて防虫する。
使用に伴って、薬剤41が減少し、露出する部分が小さくなると、有効成分の揮発量が小さくなり、また、薬剤41の塗布が行いにくくなる。防虫具103では解除糸132を引っ張ることにより、巻紙131を徐々に外し、露出する大きさを変えることができるので、薬剤41を必要とする露出量にすることができる。
【0174】
本発明の第12の実施形態における防虫具104は、図25に示されており、薬剤41、繰り出し部133、容器本体11及びキャップ10が設けられている。繰り出し部133は、ネジ棒部136と操作部135を有している。
操作部135は筒状であり、操作部135の内側でネジ棒部136と係合している。ネジ棒部136は棒状であり、スパイラル状に突起136aを有している。操作部135は容器本体11と相対的に回転でき、操作部135を回転させることにより、ネジ棒部136を突出・退入させることが可能である。
また、薬剤41はネジ棒部136の先端側に設けられており、ネジ棒部136を突出・退入の動きに応じて薬剤41が移動して、薬剤41の繰り出しが可能となっている。
【0175】
そして、防虫具104を使用する際には、第11の実施形態における防虫具103と同様に、薬剤41の先端部を薬剤放出部25や薬剤塗布部31として用い、有効成分を揮発させて防虫する。
使用に伴って、薬剤41が減少し、露出する部分が小さくなると、有効成分の揮発量が小さくなり、また、薬剤41の塗布が行いにくくなる。防虫具104では操作部135を回転させることにより、薬剤41の繰り出して、必要な薬剤41の露出する大きさとすることができる。
【0176】
本発明の第13の実施形態における防虫具105は、図26〜図27に示されており、薬剤41、繰り出し部139、付勢部材140、ノック部材143、容器本体11及びキャップ10が設けられている。
【0177】
繰り出し部139は、薬剤保持筒142とチャック手段144が設けられている。薬剤保持筒142は筒状であり、先端側の外周は、先端に向かって径大となるようにテーパー部142aが設けられている。そして、テーパー部142aの外周でチャック手段144と係合し、薬剤保持筒142を内側に押圧している。薬剤41は、薬剤保持筒142の内側に位置しており、容器本体11の開口145から露出している。
【0178】
付勢部材140によって、薬剤保持筒142は後端側に付勢されている。この状態は図27(a)に示されており、薬剤保持筒142のテーパー部142aでチャック手段144が係合されて押圧されている。薬剤41は薬剤保持筒142により保持されている。
ノック部材143を付勢部材140よりも大きい力で押すと、薬剤保持筒142は先端側に前進し、薬剤41も前進する。
【0179】
そして、ノック部材143をさらに前進させると、チャック手段144が容器本体11の内側突起141と接触して、薬剤保持筒142のみが前進し、テーパー部142aのチャック手段144との係合が解け、図27に示される状態となる。さらに、ノック部材143に加えていた力を抜くと、付勢部材140の力により後退するが、チャック手段144との係合が解けているので、薬剤41は後退しない。
なお、薬剤41を後退させて、容器本体11側に収納させる場合には、ノック部材143を押しながら、薬剤41を後端側に押す。テーパー部142aのチャック手段144との係合が解けて開放された状態になり、容易に収納できる。
防虫具143ではこのように構成されているので、薬剤41の繰り出し及び収納が可能である。
【0180】
そして、防虫具105を使用する際には、第11の実施形態における防虫具103と同様に、薬剤41の先端部を薬剤放出部25や薬剤塗布部31として用い、有効成分を揮発させて防虫する。
使用に伴って、薬剤41が減少し、露出する部分が小さくなると、有効成分の揮発量が小さくなり、また、薬剤41の塗布が行いにくくなる。防虫具105ではノック部材143を押すことにより、薬剤41を繰り出して、薬剤41が露出する大きさを適宜変更することができる。また、ノック部材143を押さない場合には、チャック手段144により、薬剤41の後退を阻止することが出来る。
【0181】
また、以下に示す防虫具のように、容器を直接的に装着、又は被服の上から装着することが可能となるように構成としても良い。容器に着脱部材を設けて、着脱部材によって防虫具を被服や、野外のテントなどに着脱可能する構成としてもよい。また、容器といえる概念の部材を持たず、単に薬剤露出部のみを有する構成であってもよい。
【0182】
図31(a)及び(b)は、本発明の第14の実施形態における防虫具の斜視図である。図32は、本発明の第15の実施形態における防虫具の斜視図である。図33は、本発明の第15の実施形態における防虫具の変形例を示した斜視図である。
【0183】
本発明の第14の実施形態における防虫具200は、図31に示されている。そして、防虫具200には、円盤状の容器本体201と、薬剤22を含んだ薬剤保持部材201を有している。容器本体201は、蓋部203と裏板204が設けられている。蓋部203と裏板204とはほぼ同じ大きさである。蓋部203と裏板204とを合わせることによって内側に密閉された空間が形成され、当該空間に薬剤保持部材201が位置する。
【0184】
そして、防虫具200では、薬剤保持部材201を薬剤露出部として機能させて使用する。具体的には、薬剤保持部材201を薬剤放出部25や薬剤塗布部31として用いることにより、薬剤22中の有効成分を揮発させて防虫する。また、表板203が薬剤露出部を遮蔽する遮蔽手段として機能する。
【0185】
また、防虫具200の本体容器202の裏側には、図31(b)に示されるように、着脱部材208が設けられている。着脱部材208は、防虫具200の使用者の被服等に防虫具200を着脱を可能とするものである。したがって、使用者は防虫具200を被服に着脱でき、容易に防虫具200を携帯することができる。なお、着脱部材208は、粘着剤、面ファスナー、安全ピン等、被服に着脱できるもので有れば良く、公知なものを用いることができる。なお、前記した着脱部材を他の実施形態の防虫具に用いることもできる。
【0186】
本発明の第15の実施形態における防虫具210は、図32に示されている。そして、防虫具210には、板面が円状である板状の形状をした容器本体211と、薬剤22含んだ薬剤保持部材211を有している。容器本体212は、容器本体212の板面側に位置する開口部215を有し、さらに開口部215を覆うように蓋部214が設けられている。そして、蓋部214は、変形可能なシート部材であり、粘着剤などをもちいることにより、開口部215を封鎖して、容器の内部を密閉している。
【0187】
そして、防虫具210を使用する際には、開口部215を封鎖を解いて、蓋部214を図32に示されるように引き剥がすようにめくり、開口部215を封鎖を解く。そして、容器本体212の内部に設けられている薬剤保持部材211に保持されている薬剤22を開口部215から蒸散させる。
【0188】
なお、蓋部213の大きさは容器本体212の大きさに比べて小さく、容器本体212の板面の一部のようであったが、図33に示される防虫具210'のように、蓋部213を容器本体212の板面の全てを覆うようにしてもよい。
【0189】
図33に示される防虫具210'は、全体形状が薄いワッペン状であって容器と言える部材を持たない。図33に示される防虫具210'では、本体部材190を持ち、その表面に薬剤が含浸されて薬剤が保持されると共に当該薬剤が露出している。そして本体部材の表面は薄いシート部材191で覆われており、当該シート部材191によって薬剤の露出面が覆われている。即ち本実施形態では、変形可能なシート部材191を密閉手段として使用し、粘着剤などをもちいることにより、シート部材191で薬剤露出部を封鎖している。そして、防虫具210'を使用する際には、シート部材191を引き剥がすようにめくり、薬剤露出部を露出させて、薬剤を外気に蒸散させる。
【0190】
また、防虫具210'には図示しない着脱部材を有しており、使用者の被服や野外のテントなどに装着することが可能である。
【0191】
さらに、図34〜図43に示されるような防虫具を用いることもできる。かかる防虫具によれば、防虫具の使用者が直接的に装着、又は、被服の上から装着することが容易となり、防虫具の使用者が防虫具を容易に携帯することが可能となる。さらに、図34〜図43に示される防虫具は、外観上は、装身具等の身につけるものであるので、防虫具を使用していても違和感無く使用することができる。また、装着する位置は、体の部分であればいずれの場所でも良く、頭、腕、指、胴体、足に装着することができる。
【0192】
なお、図34〜図43に示される防虫具には、内部に薬剤22を内蔵した容器が設けられており、薬剤露出部が密閉手段によって遮蔽され、防虫具を使用する際に、薬剤22中の有効成分を揮発させて防虫することができるものである。
【0193】
図34は、本発明の第16の実施形態における防虫具の斜視図である。図35は、本発明の第17の実施形態における防虫具の正面図である。図36は、本発明の第18の実施形態における防虫具の斜視図である。図37は、本発明の第19の実施形態における防虫具の正面図である。図38は、本発明の第20の実施形態における防虫具の側面図である。図39は、本発明の第21の実施形態における防虫具の斜視図である。図40は、本発明の第22の実施形態における防虫具の斜視図である。図41は、本発明の第23の実施形態における防虫具の斜視図である。図42は、本発明の第24の実施形態における防虫具の正面図である。図43は、本発明の第25の実施形態における防虫具の正面図である。
【0194】
具体的には、図34に示される第16の防虫具220は、全体形状が指輪状であり、容器220aが設けられ、蓋部220bによって容器220a内部を遮蔽するものある。
【0195】
図35に示される防虫具221は、全体形状が腕輪状であり、腕輪として使用可能であり、筒状の容器221aが設けられ、蓋部221bによって容器221a内部を遮蔽するものである。
【0196】
図36に示される防虫具222は、全体形状がヘアバンド状であり、ヘアバンドとして使用可能であり、容器222aが設けられ、蓋部222bによって容器222a内部を遮蔽するものである。
【0197】
図37に示される防虫具223は、全体形状がネクタイピン状であり、ネクタイなどに取り付けることが可能であり、容器223aが設けられ、蓋部223bによって容器223a内部を遮蔽するものである。
【0198】
図38に示される防虫具224は、全体形状がイヤリング状であり、イヤリングとして使用可能であり、容器224aが設けられ、蓋部224bによって容器224a内部を遮蔽するものである。
【0199】
図39に示される防虫具225は、鎖部225cが設けられて、容器225aが鎖部225cと連結して、ロケットペンダント状のものである。そして、防虫具225はロケットペンダントとして使用可能であり、蓋部225bによって容器225a内部を遮蔽するものである。
【0200】
図40に示される防虫具226は、全体形状がピアス状であり、ピアスとして使用可能であり、容器226aが設けられ、蓋部226bによって容器226a内部を遮蔽するものである。
【0201】
図41に示される防虫具227は、全体形状がベルト状であり、ベルトとして使用可能であり、容器227aが設けられ、蓋部227bによって容器227a内部を遮蔽するものである。
【0202】
図42に示される防虫具228は、全体形状がブローチ状であり、ブローチとして使用可能であり、容器228aが設けられ、蓋部228bによって容器228a内部を遮蔽するものである。
【0203】
図43に示される防虫具229は、全体形状がブレスレット状であり、ブレスレットやアンクレットとして使用可能であり、容器229aが設けられ、蓋部229bによって容器229a内部を遮蔽するものである。
【0204】
さらに、図44〜図48に示されるような第26、第27、第28の実施形態における防虫具240、250、260を用いることもできる。防虫具240、250、260は、携行可能であって、人体に有害な虫に対する防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されている薬剤22が内蔵されている。
【0205】
図44は、本発明の第26の実施形態における防虫具の斜視図である。図45は、本発明の第26の実施形態における防虫具の袋体を示した斜視図である。図46は、図45の内部を示した斜視図である。図47は、本発明の第27の実施形態における防虫具の断面斜視図である。図48は、本発明の第28の実施形態における防虫具の正面図である。図49は、本発明の第28の実施形態における防虫具の使用状態を示した斜視図である。
【0206】
第26の実施形態における防虫具240は、図44に示されており、全体形状は、やや厚みのあるシート状である。そして、防虫具240は密閉袋241と、密閉袋241の内側に位置している通気性袋242によって構成されている。通気性袋242は、図45に示されている。
【0207】
密閉袋241は、薬剤22の外部への蒸散を防止することができる材質が用いられており、具体的には樹脂製の多層フィルムを用いて袋状としたものである。そして、通気性袋242を密閉袋241により覆って、気密性を保持している。
【0208】
通気性袋242は、通気性を有する材質であり、例えば不織布が用いられている。さらに、通気性袋242の内部に薬剤22が内蔵され、薬剤22は通気性袋242によって覆われている。したがって、薬剤22は、通気性袋242の外部に移動できる。具体的には、図46に示されるように、通気性袋242の内部に、液状の薬剤22を含浸することができる薬剤含浸部材243が設けられており、薬剤含浸部材243に薬剤22を含浸した状態で、通気性袋242の中に入っている。薬剤含浸部材243は、繊維材料や多孔質部材など、液体を含浸することができればどのようなものでも良い。薬剤22には、人体に有害な虫に対する防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されている。
【0209】
防虫具240は、このように構成されているので、薬剤含浸部材243に含浸されている薬剤22は、通気性袋242の外へは通過できる。ただし、通気性袋242が密閉袋241に入っている状態では、薬剤22の蒸気は密閉袋241で遮断され、外部に蒸散することはない。
【0210】
そして、防虫具240を使用する場合には、密閉袋241の一部を切断などして、内部の通気性袋242を取り出す。そうすると、通気性袋242の内部の薬剤22が外部に蒸散し、有効成分によって防虫を行う。ただし、薬剤22は、通気性袋242内に納められているので、液状の薬剤22が外部に飛散することはない。そのため、液状の薬剤22が身体等に直接触れることはない。
【0211】
第27の実施形態における防虫具250は、図47に示されている。そして、第26の実施形態における防虫具240に比べて、通気性袋252が異なるものである。
すなわち、通気性袋252の一部に粘着部材253が設けられている。
【0212】
さらに具体的には、シート状の通気性袋252の一方の面の全体に粘着部材253を有し、防虫具250は粘着部材253によって人体又は被服に固定可能であり、容易に携行することができ、野外のテントなどに固定して防虫することができる。
【0213】
第28の実施形態における防虫具260は、図48、図49に示されている。防虫具260の全体形状は棒状であって携帯可能な大きさである。そして、防虫具260は密閉袋261と、薬剤含浸部材243を有している。薬剤含浸部材243は、液状の薬剤22を含浸することができる繊維性のシート状の部材である。そして、薬剤含浸部材243に薬剤22を含浸して、シート状態から丸めることにより棒状にする。そして、棒状の状態の薬剤含浸部材243を密閉袋261の中に入れて密閉する。なお、薬剤22は、人体に有害な虫に対する防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されている。
【0214】
そして、防虫具260を使用する場合には、密閉袋261の一部を切断して、薬剤含浸部材243の密閉状態を解除して防虫を行う。例えば、密閉袋261の一部を切除した状態で、防虫具260を胸ポケット等に挿す。そうすると、通気性袋242の内部の薬剤22が外部に蒸散し、有効成分によって防虫を行うことが可能となる。ただし、防虫具260の胸ポケットに挿入された部位は、密閉袋261の一部で覆われているので、薬剤22が直接被服に触れることはない。
【0215】
本発明の薬剤22、41は、有効成分単独でも良いが、適当な溶剤や添加剤を用いても良い。また、有効成分をマイクロカプセルなどに封入して、薬剤を塗布する際に押しつぶして、使用時に揮発させることもできる。この場合には、キャップ10,35を用いなくても、有効成分の揮発を防止することができる。
【0216】
本発明の防虫具を用いて防除可能である有害生物としては、例えば、下記のものがあげられる。
半翅目害虫:ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等
鱗翅目害虫:ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメコクガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属害虫(Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属害虫(Helicoverpa spp.)ヘリオティス属害虫(Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等
双翅目害虫:アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、ヒメイエバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類等
鞘翅目害虫:ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属(Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等
網翅目害虫:チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等
総翅目害虫:ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等
膜翅目害虫:アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ等のハバチ類等
直翅目害虫:ケラ、バッタ等
隠翅目害虫:ヒトノミ、ネコノミ等
シラミ目害虫:ヒトジラミ、ケジラミ等
等翅目害虫:ヤマトシロアリ、イエシロアリ等
屋内塵性ダニ類:コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガクツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ハダニ類、フタトゲチマダニ等のマダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等
尚、上記の有害生物以外の有害性物であっても、防除が可能である。また、本発明の防虫具1の有効成分が有害生物に対して防虫効果を有していれば、抵抗性を有する有害生物であっても、有効に防除可能であることは言うまでもない。
【0217】
以下、試験例をあげて、本発明の防虫具1による防虫効果をさらに詳しく説明する。なお、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0218】
図28は、本発明の試験例1及び試験例2に用いるカップの斜視図である。図29は、本発明の試験例1の状態を示した防虫具及びカップの斜視図である。図30は、本発明の試験例2の状態を示した濾紙及びカップの斜視図である。
【0219】
試験例1(薬剤放出部25からの薬剤22の揮発による防虫効果)
図2に示した防虫具1に、有効成分として化合物(A)(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートであり、Donovan法による25℃における蒸気圧:1.4×10-5mmHg)を用いた薬剤22を用いて試験防虫具a及び試験防虫具bを作製した。
具体的には、試験防虫具aの薬剤22は化合物(A)2.0gに、色材のスミプラストブルーOA約10mgを混合溶解して液状としたものであり、これを中芯部材18に滴下により充填した。また、試験防虫具bの薬剤22は、化合物(A)をエタノールで重量比1:1で混合溶解し、色材のスミプラストブルーOA約5mgを混合溶解して液1.1gにしたものであり、これを中芯部材18に滴下により充填した。
【0220】
一方、供試虫として用いるアカイエカ雌成虫を炭酸ガスにより麻酔させ、一群10頭を図28に示されるようなPET製カップ80(底面φ8cm、蓋面φ9.5cm、高さ4.5cm)に入れた。PET製カップ80は中央部にφ3cmの穴81と、他に通気孔としての12個の小孔82を設けた蓋83が設けられている。そして、蓋83をカップに取り付け、1%蔗糖液を染みこませたカット綿でφ3cmの穴81を塞き、そのまま2時間静置して麻酔させた蚊を回復させた。
試験防虫具aおよび試験防具bは、薬剤放出部25である繊維束先端に色材が到達し充填液が先端部に到達したことを確認した。φ9cmの濾紙84の中央部にあけたφ6mmの穴にキャップをはずして突き刺し、繊維束23の先端が蓋面からカップ内に3cm進入した位置になるようカット綿と置換して設置した。この状態を示したのが図29である。設置後、直ちに蚊の落下仰天数(ノックダウン数)を一定時間毎に観察した。また、同じ試験を繰り返して2回行った。
なお、比較防虫具として、エタノールのみ約1gを滴下により中芯部材18に充填したものを準備し、上記と同様な方法により蚊の落下仰天数(ノックダウン数)を一定時間毎に観察した。その結果を表1に示す。
試験防虫具a、bともに、あきらかな即効性を示した。
【0221】
【表1】

【0222】
試験例2(防虫具1の薬剤塗布部31を使用して塗布された薬剤22の揮発による防虫効果)
試験例1にて調製した試験防虫具a及び試験防虫具bを用い、試験濾紙a'、試験濾紙b'を作製した。具体的には、φ9cmの濾紙84の中央部に鉛筆でφ3cmの円を描き、試験防虫具a及び試験防虫具bの薬剤塗布部31をφ3cmの円内に接触させて塗布した。なお、薬剤22には青色の色材を有しているので、上記円内を均一に塗りつぶすように行った。
【0223】
試験例1と同様に、供試虫として用いるアカイエカ雌成虫を炭酸ガスにより麻酔させ、一群10頭を図28に示されるようなPET製カップ80(底面φ8cm、蓋面φ9.5cm、高さ4.5cm)に入れた。PET製カップ80は中央部にφ3cmの穴81と、他に通気孔としての12個の小孔82を設けた蓋83が設けられている。そして蓋83をカップに取り付け、1%蔗糖液を染みこませたカット綿でφ3cmの穴81を塞き、そのまま2時間静置して麻酔させた蚊を回復させた。
【0224】
カット綿を外して、蓋83のφ3cmの穴81と試験濾紙a'、試験濾紙b'の塗布部分が重なるようにしながら、試験濾紙a'、試験濾紙b'を蓋83の上にのせる。この状態を示したのが図30である。試験濾紙a'、b'を設置後、直ちに蚊の落下仰天数(ノックダウン数)を一定時間毎に観察した。また、同じ試験を繰り返して2回行った。
なお、比較濾紙として、エタノールのみを塗布した濾紙を準備し、上記と同様な方法により蚊の落下仰天数(ノックダウン数)を一定時間毎に観察した。その結果を表2に示す。
試験濾紙a'、b'ともに、あきらかな即効性を示した。
【0225】
【表2】

【符号の説明】
【0226】
1,4,5,6,7,7a,7b,100,101、102 防虫具
103、104,105、200、210、220、221 防虫具
222、223、224、225、226、227、228 防虫具
229、240、250、260 防虫具
8,9,34 容器
10,35,71 キャップ
11,36,70 容器本体
12 クリップ
15 開口部
18 中芯部材
21 繊維部
22 薬剤
23 繊維束
25 薬剤放出部
31 薬剤塗布部
37 繰り出し部
41 薬剤
85 薬剤放散部材
87 装着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行可能であって内部に薬剤を内蔵した容器を有し、当該容器には内部の薬剤を外部に露出させる薬剤露出部と、薬剤露出部を遮蔽する密閉手段が設けられ、前記薬剤には防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されていることを特徴とする防虫具。
【請求項2】
密閉手段を開放状態にしたとき、薬剤露出部においては薬剤が外気と接触可能であり、薬剤は薬剤露出部から外気に放出されることを特徴とする請求項1に記載の防虫具。
【請求項3】
薬剤露出部には塗布部材が設けられ、塗布部材によって他部に薬剤を塗布可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防虫具。
【請求項4】
薬剤露出部は、多孔質体又は繊維束又は貫通孔を有する部材によって構成され、その表面に薬剤を露出させるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の防虫具。
【請求項5】
薬剤露出部は回転可能なボール或いはローラによって構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の防虫具。
【請求項6】
薬剤は、容器内部に直接的に保持されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の防虫具。
【請求項7】
容器には薬剤貯留部が設けられ、薬剤は流動性を有し、薬剤貯留部と薬剤露出部の間に薬剤導出部材が設けられ、薬剤導出部材を介して薬剤貯留部の薬剤が薬剤露出部に導かれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の防虫具。
【請求項8】
容器内部には薬剤保持部材を有し、さらに薬剤は流動可能であって、薬剤保持部材に保持されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の防虫具。
【請求項9】
薬剤保持部材は繊維により構成されていることを特徴とする請求項8に記載の防虫具。
【請求項10】
容器には、貯留タンク部と一時的薬剤溜め部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の防虫具。
【請求項11】
容器は筒状体であり、薬剤露出部は、筒状体の端部にあることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の防虫具。
【請求項12】
容器は、内部に薬剤を内蔵する容器本体を有し、容器本体の内部に薬剤を含浸可能な薬剤保持部材が内蔵され、薬剤は、前記薬剤保持部材に含浸されて保持され、容器本体には薬剤を導出可能な薬剤導出部材が装着されており、当該薬剤導出部材の一部は前記薬剤保持部材と接し、薬剤導出部材の他の一部は容器本体から露出していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の防虫具。
【請求項13】
薬剤露出部は、薬剤の露出面積を調節することが可能であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の防虫具。
【請求項14】
薬剤露出部は、窓部を有し、当該窓部の開口面積が可変であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の防虫具。
【請求項15】
容器は、内部に薬剤を内蔵する容器本体を有し、容器内には液状の薬剤が流動性を有する状態で内蔵され、容器本体には薬剤を導出可能な薬剤導出部材と弁機構が設けられ、所定の動作に応じて弁機構が開き、内部の薬剤が薬剤導出部材を経て漏出し、容器本体から露出することを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の防虫具。
【請求項16】
容器には、流動性を有する薬剤が液密状態で内蔵される薬剤保持部を有し、当該薬剤保持部にはフォロア部材が設けられ、薬剤の消耗に応じてフォロア部材が移動することを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の防虫具。
【請求項17】
フォロア部材は、ゲル状であることを特徴とする請求項16に記載の防虫具。
【請求項18】
容器は、内部に薬剤を内蔵する容器本体を有し、容器内には液状の薬剤が流動性を有する状態で内蔵され、容器本体には薬剤を導出可能な薬剤導出部材が設けられ、さらに薬剤導出部材には別途用意の薬剤放散部材が装着可能であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の防虫具。
【請求項19】
容器は、内部に薬剤を内蔵する容器本体と、容器本体と分離可能であって少なくとも2通りの装着状態をもって容器本体に装着可能な装着部材を有し、容器内には液状の薬剤が流動性を有する状態で内蔵され、容器本体には薬剤を導出可能な薬剤導出部材が設けられ、前記装着部材には薬剤導出部を遮蔽する遮蔽部と薬剤の放散を助ける薬剤放散部材が設けられ、装着部材を特定の姿勢で容器本体に装着することによって薬剤導出部が遮蔽され、他の特定の姿勢で容器本体に装着した際には薬剤放散部材に薬剤導出部から薬剤が供給されることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の防虫具。
【請求項20】
容器は、変形可能な変形部を有し、当該変形部を押圧することによって容器内部の薬剤を導出可能であることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の防虫具。
【請求項21】
容器は、加圧手段を有し、当該加圧手段によって容器内部が加圧されて薬剤が導出されることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の防虫具。
【請求項22】
内部に柱状の薬剤を有した容器を備え、当該容器には、容器内部と連通する開口と、前記開口を外部と遮断する密閉部が設けられており、密閉部は開閉可能であり、前記薬剤は、前記開口から容器外部に繰り出し可能であり、前記薬剤には防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されていることを特徴とする防虫具。
【請求項23】
容器は、容器本体と、容器本体に対して回転可能な操作部と、容器本体内に位置するネジ部材を有し、操作部の回転に応じてネジ部材が回転し、当該ネジ部材が発生する推力によって薬剤が容器本体から繰り出されることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の防虫具。
【請求項24】
防虫効果を有して常温で揮発する有効成分を含有し、固形形状に成形された薬剤を有し、当該薬剤の表面に所定量づつ剥離可能な被覆が設けられてなる防虫具。
【請求項25】
棒状に成形された薬剤が内蔵された容器を有し、前記薬剤は、防虫効果を有して常温で揮発する有効成分を含有し、前記容器には前記薬剤を押圧する押圧手段と、薬剤の保持及び開放が可能なチャック手段を有し、押圧手段によって薬剤を押圧して薬剤を繰り出し、チャック手段が薬剤を保持して薬剤の後退を阻止することを特徴とする防虫具。
【請求項26】
薬剤を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする請求項1乃至25のいずれかに記載の防虫具。
【請求項27】
容器は、内部に薬剤を内蔵する容器本体と、容器本体と分離可能であって、容器本体に装着されて密閉手段を構成するキャップにより構成されることを特徴とする請求項1乃至26のいずれかに記載の防虫具。
【請求項28】
容器には、他のものに取り付けるための係止具が設けられていることを特徴とする請求項1乃至27のいずれかに記載の防虫具。
【請求項29】
容器は板状の容器であり、薬剤露出部は面状に設けられていることを特徴とする請求項1乃至28のいずれかに記載の防虫具。
【請求項30】
薬剤露出部を遮蔽する密閉手段は、変形可能なシート部材により行われるものであり、前記シート部材は引きはがし可能であり、引き剥がすことにより、薬剤露出部の遮蔽を解除することを特徴とする請求項1乃至29のいずれかに記載の防虫具。
【請求項31】
容器は、直接的に装着、又は被服の上から装着することが可能であることを特徴とする請求項1乃至30のいずれかに記載の防虫具。
【請求項32】
容器には、他の部材に対して着脱可能な着脱部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至31のいずれかに記載の防虫具。
【請求項33】
容器の一部又は全部は、生分解性樹脂を素材とするものであることを特徴とする請求項1乃至32のいずれかに記載の防虫具。
【請求項34】
携行可能であると共に身体又は被服に装着可能な本体部材を有し、当該本体部材には薬剤を外部に露出させる薬剤露出部が設けられ、前記薬剤には防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有され、薬剤は薬剤露出部から外気に放出されることを特徴とする防虫具。
【請求項35】
薬剤露出部を遮蔽する密閉手段を有し、当該密閉手段は、変形可能なシート部材により行われるものであり、前記シート部材は引きはがし可能であり、引き剥がすことにより、薬剤露出部の遮蔽を解除することを特徴とする請求項1乃至34のいずれかに記載の防虫具。
【請求項36】
携行可能であり且つ気密性を有する袋体を有し、当該袋体は、気密性を解除して密閉状態を解除することができ、当該袋体には繊維に含浸された薬剤が内蔵され、当該薬剤には、人体に有害な虫に対する防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されていることを特徴とする防虫具。
【請求項37】
携行可能であり且つ通気性を有する袋体を有し、当該袋体には薬剤が内蔵され、当該薬剤には、人体に有害な虫に対する防虫効果を有して常温で揮発する有効成分が含有されていることを特徴とする防虫具。
【請求項38】
袋体内部には薬剤含浸部材が設けられ、薬剤は、液状であり、薬剤含浸部材に含浸されていることを特徴とする請求項37に記載の防虫具。
【請求項39】
袋体には、着脱可能な着脱部材が設けられていることを特徴とする請求項37又は38に記載の防虫具。
【請求項40】
有効成分は、Donovan法による25℃における蒸気圧が1×10-5〜5×10-3mmHgであることを特徴とする請求項1乃至39のいずれかに記載の防虫具。
【請求項41】
有効成分は、ピレスロイド系化合物であることを特徴とする請求項1乃至40のいずれかに記載の防虫具。
【請求項42】
ピレスロイド系化合物が、Donovan法による25℃における蒸気圧が1×10-5〜5×10-3mmHgであることを特徴とする請求項41に記載の防虫具。
【請求項43】
薬剤には昇華性染料が配合されていることを特徴とする請求項1乃至42のいずれかに記載の防虫具。
【請求項44】
請求項1乃至43のいずれかに記載の防虫具を用い、防虫を行う場所で、前記防虫具の密閉部を開けて薬剤放出部から有効成分を有する薬剤を大気中に揮発させることにより有害生物を防除することを特徴とする防虫方法。
【請求項45】
請求項1乃至43のいずれかに記載の防虫具を用い、防虫を行う場所に薬剤塗布部を接触させて薬剤を塗布し、有効成分を有する薬剤を大気中に揮発させることにより有害生物を防除することを特徴とする防虫方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公開番号】特開2010−79(P2010−79A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184006(P2009−184006)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【分割の表示】特願2003−58828(P2003−58828)の分割
【原出願日】平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願人】(390039734)株式会社サクラクレパス (211)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】