説明

除雪機

【課題】 クラッチ操作レバーの操作性を好適に保つことができ、かつ、耐久性を良好に保つことができる除雪機を提供する。
【解決手段】 除雪機10のクラッチ連結手段30は、クラッチ操作レバー25に連結され、下方に延びる連結ロッド74と、連結ロッド74の下端部74b近傍に、頂部81を回動自在に設け、頂部81から後アーム部83を延ばすとともに、前アーム部84を延ばすことで逆V字状を形成し、後アーム部83に連結ロッド74の下端部74bを連結した逆V字状の連結部材75と、連結部材75の前アーム部84に、一端部76aを連結するとともに、他端部76bをクラッチ部16に連結したクラッチケーブル76とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機と走行装置との間に、原動機の動力を断接するクラッチ部を介在させ、このクラッチ部をクラッチ連結手段を介してクラッチ操作レバーに連結した除雪機に関する。
【背景技術】
【0002】
除雪機は、エンジンと走行装置との間にクラッチ部を介在させ、このクラッチ部を断・接状態に切り換えるクラッチ操作レバーを備える(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−105728号公報
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図9は従来の基本構成を説明する図である。
除雪機200は、機体201の後部に操向ハンドル202を設け、操向ハンドル202に取付ブラケット203を設け、取付ブラケット203に支持ピン204を介してクラッチ操作レバー205をスイング自在に設け、クラッチ操作レバー205にばね部材206を介してインナーケーブル207の後端部207aを連結し、インナーケーブル207の前端部をクラッチ部(図示せず)に連結したものである。
【0004】
インナーケーブル207をアウターケーブル208に移動自在に収納し、アウターケーブル208の後端部208aを後取付ブラケット209を介して機体201の後部に取り付け、アウターケーブル208の前端部を前取付ブラケット(図示せず)を介して機体201に取り付ける。
【0005】
アウターケーブル208の後端部208aからインナーケーブル207の後端部207aを突出させ、突出させた後端部207aをばね部材206を介してクラッチ操作レバー25に連結する。
また、アウターケーブル208の前端部からインナーケーブル207の前端部を突出させ、突出させた前端部をクラッチ部(図示せず)に連結する。
【0006】
除雪機200によれば、クラッチ操作レバー205をオフ位置(実線で示す位置)に配置した際に、前記クラッチ部がクラッチオフ状態(すなわち、「断」状態)になり、エンジン(図示せず)の動力を走行装置(図示せず)に伝えないようにする。
【0007】
一方、クラッチ操作レバー205を、オン位置からオフ位置(想像線で示す位置)に矢印の如く移動した際に、インナーケーブル207を引っ張り上げて前記クラッチ部をクラッチオン状態(すなわち、「接」状態)にする。
クラッチ部をクラッチオン状態にすることで、エンジンの動力をクラッチ部を介して走行装置に伝える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、ばね部材206、インナーケーブル207およびアウターケーブル208は、機体前方に向けて下り勾配になっている。
このため、ばね部材206やインナーケーブル207の後端部207aに雨水や雪が付着した場合、付着した雨水や雪が矢印の如くばね部材206やインナーケーブル207の後端部207aに沿って下降し、下降した雨水や雪がアウターケーブル208の後端部開口208bからアウターケーブル208内に矢印の如く侵入することが考えられる。
【0009】
雨水や雪がアウターケーブル208内に侵入した場合、例えば、侵入した雨水や雪が凍結して、インナーケーブル207が円滑に移動することを妨げる虞がある。
インナーケーブル207が円滑に移動しないと、クラッチ操作レバー205の操作性を好適に保つことは難しい。
加えて、雨水や雪がアウターケーブル208内に侵入すると、インナーケーブル207の耐久性を良好に保つことが難しい。
【0010】
本発明は、クラッチ操作レバーの操作性を好適に保つことができ、かつ、耐久性を良好に保つことができる除雪機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、機体に原動機を設け、この原動機の動力で駆動する走行装置を機体の下部に設け、原動機と走行装置との間に、原動機の動力を断接するクラッチ部を介在させ、このクラッチ部をクラッチ連結手段を介してクラッチ操作レバーに連結し、このクラッチ操作レバーをオフ位置に配置することで、前記クラッチ連結手段を介して前記クラッチ部を断状態にし、クラッチ操作レバーをオン位置に配置することで、前記クラッチ連結手段を介して前記クラッチ部を接状態に切り換える除雪機において、前記クラッチ連結手段は、前記クラッチ操作レバーに連結され、下方に延びる連結ロッドと、この連結ロッドの下端部近傍に、頂部を回動自在に設け、この頂部から機体後方に下り勾配に後アーム部を延ばすとともに、機体前方に下り勾配に前アーム部を延ばすことで逆V字状を形成し、前記後アーム部に前記連結ロッドの下端部を連結した逆V字状の連結部材と、この連結部材の前アーム部に、一端部を連結するとともに、他端部を前記クラッチ部に連結したクラッチケーブルと、を備えたことを特徴とする。
【0012】
連結部材の頂部から後アーム部および前アーム部を延ばして、連結部材を逆V字状に形成することで、後アーム部と前アーム部とを離した状態に形成する。
後アーム部に連結ロッドを連結するとともに、前アーム部にクラッチケーブルを連結することで、クラッチケーブルを連結ロッドから離すことが可能になる。
【0013】
よって、連結ロッドに雨水や雪が付着して、付着した雨水や雪が連結ロッドを介して後アーム部まで伝わった場合でも、後アーム部まで伝わった雨水や雪は、後アーム部から下方に滴下する。
これにより、連結ロッドに付着した雨水や雪が、クラッチケーブルに伝わることを防ぎ、クラッチケーブルのアウターケーブル内に雨水や雪が侵入することを防止できる。
【0014】
請求項2において、クラッチケーブルは、前記一端部および前記他端部を有するインナーケーブルと、このインナーケーブルをスライド自在に収納し、かつ前記一端部および前記他端部を両端部からそれぞれ突出させたアウターケーブルとからなり、このアウターケーブルの両端部のうち、前記一端部側の端部を、前記一端部を連結した部位より高い位置に設けたことを特徴とする。
【0015】
アウターケーブルの両端部のうち、インナーケーブルの一端部側の端部を、前アーム部下端部より高位に配置した。
これにより、一端部側の端部の開口が下向きになり、この端部の開口からアウターケーブル内に雨水や雪が侵入することを一層確実に防止できる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、クラッチケーブルのアウターケーブル内に雨水や雪が侵入することを防ぐことで、アウターケーブル内の凍結を防止し、クラッチ操作レバーの操作性を好適に保つことができるという利点がある。
【0017】
加えて、請求項1に係る発明では、クラッチケーブルのアウターケーブル内に雨水や雪が侵入することを防ぐことで、インナーケーブルの耐久性を良好に保つことができるという利点がある。
【0018】
請求項2に係る発明では、アウターケーブルの端部の開口を下向きにすることで、この端部の開口からアウターケーブル内に雨水や雪が侵入することを一層確実に防止できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側を示す。
【0020】
図1は本発明に係る除雪機の側面図である。
除雪機10は、機体11にエンジン(原動機)12を設け、このエンジン12の動力で駆動する走行装置13を機体11の下部に備えるとともに、エンジン11の動力で駆動する除雪部14を機体11の前部に備える。
【0021】
この除雪機10は、エンジン12と走行装置13との間にクラッチ部16および変速部17を介在させ、変速部17にリンク機構18(図2参照)を介して前後進レバー20を連結し、この前後進レバー20を機体11後部の操作パネル22に設け、この操作パネル22の後部22a(図2参照)に操向ハンドル23を設け、操作パネル22の後部22aに左右の取付ブラケット24,24を設け、左右の取付ブラケット24,24にクラッチ操作レバー25を設け、このクラッチ操作レバー25にクラッチ部16をクラッチ連結手段30(図2参照)を介して連結したものである。
【0022】
走行装置13は左右の走行部35,36からなる。左走行部35は、機体11の左側後部に走行用の駆動輪37を備えるとともに、駆動輪37を左減速部38を介して変速部17に連結し、駆動輪37の前方に配置したクローラフレーム39を、機体11の左側にピボット軸41を介して設け、クローラフレーム39の前端部に遊転輪42を設け、クローラフレーム39の下部に3個の下部転輪44a,44b,44cを設け、クローラフレーム39の上部に1個の上部転輪44dを設け、駆動輪37、遊転輪42、下部転輪44a,44b,44cおよび上部転輪44dにクローラベルト43を巻き掛けたクローラ式の走行部である。
【0023】
なお、右走行部36は、左走行部35と同一構成であり、同一類似部材に同じ符号を付して説明を省略する。
【0024】
除雪部14は、機体11の前部にハウジング55を設け、ハウジング55内に機体11側から前方に向けてブロア56、オーガ57の順に配置し、ハウジング55の上部にシュータ58を設けたものである。
【0025】
この除雪部14は、エンジン12の出力軸45の前端部45bに前駆動プーリ62を連結し、この前駆動プーリ62と前従動プーリ63とに前ベルト64を掛け、前従動プーリ63を駆動軸65に連結し、駆動軸65の途中にブロア56を連結し、さらに駆動軸65の先端部をギヤケース66を介してオーガ軸67に連結し、オーガ軸67にオーガ57を備える。
【0026】
なお、クローラフレーム39および機体11に、油圧シリンダ68を連結する。
油圧シリンダ68を伸縮することで、ピボット軸41を中心にして機体11を上下方向にスイングする。
機体11を上下方向にスイングすることで、オーガ57を昇降させて、除雪作業を良好におこなう。
【0027】
除雪機10によれば、エンジン12を駆動した状態において、クラッチ部16をクラッチオンの状態にすることで、エンジン12の動力を、クラッチ部16、変速部17、左右の減速部38,38(右減速部38は図示せず)および走行装置13の左右の駆動輪37,37に伝える。
これにより、走行装置13の、左右のクローラベルト43,43を回転させて除雪機10が路面69上を走行する。
【0028】
同時に、エンジン12の動力を、前駆動プーリ62、前ベルト64、前従動プーリ63を介して駆動軸65に伝える。この駆動軸65の回転をブロア56に伝える。
さらに、駆動軸65の回転をギヤケース66およびオーガ軸67を介してオーガ57に伝える。
オーガ57が回転することで、路面69上の雪(図示せず)を機体幅方向中央に掻き集め、掻き集めた雪をブロア56に送り込む。ブロア56に送り込んだ雪を、ブロア56の遠心力でシュータ58を介して雪を投雪する。
【0029】
図2は本発明に係る除雪機の要部を示す側面図、図3は図2の3−3線断面図である。
変速部17は、前進最高速から後進最高速までを無段階に変速可能な無段変速機である。
すなわち、変速部17は、操作レバー19をリンク機構18を介して前後進レバー20に連結されている。
【0030】
この変速部17は、前後進レバー20を前進最高速位置P2から中立位置P1まで矢印の如くスライド移動させることにより、リンク機構18を介して操作レバー19が作動する。
これにより、変速部17は、出力軸(図示せず)の前進方向の回転数が無段階に徐々に減速し、前後進レバー20が中立位置P1に到達したとき、出力軸の回転が停止する。
【0031】
さらに、変速部17は、前後進レバー20を中立位置P1から後進最高速位置P3まで矢印の如くスライド移動させることにより、リンク機構18を介して操作レバー19が作動する。
これにより、変速部17は、出力軸(図示せず)の回転が停止した状態から出力軸の回転数が後進方向に無段階に徐々に増速し、前後進レバー20が後進最高速位置P3に到達したとき、出力軸の回転数が後進方向で最大になる。
【0032】
クラッチ部16は、図1に示すエンジン12の出力軸45の後端部45aに、ファン46を介して後駆動プーリ47を設け、後駆動プーリ47と後従動プーリ48とに後ベルト49を掛け、後従動プーリ48を変速部17の駆動軸17aに連結し、図3に示すように後ベルト49の近傍に支持軸51を介してレバー部材52を回動自在に支持し、レバー部材52の下端部にピン53を介してテンションローラ50を回転自在に取り付け、テンションローラ50と支持軸51との間に第1リターンスプリング54の一端部54aを掛け、第1リターンスプリング54の他端部54bを支持プレート71に掛け、支持プレート71を機体11に取り付け、レバー部材52の上端部にピン72を介してクラッチ連結手段30を連結し、クラッチ連結手段30をクラッチ操作レバー25に連結したものである。
【0033】
クラッチ操作レバー25は、左右の取付ブラケット24,24に支持軸26を介して機体前後方向にスイング自在に支持されている。
左右の取付ブラケット24,24は操向ハンドル23の左右側部に取り付けられている。
【0034】
クラッチ連結手段30は、クラッチ操作レバー25に連結ロッド74を連結し、連結ロッド74に連結部材75を介してクラッチケーブル76を連結し、クラッチケーブル76をレバー部材52の上端部にピン72を介して連結したものである。
【0035】
クラッチ操作レバー25をクラッチオフ位置(オフ位置)P4に配置することにより、図3に示す第1リターンスプリング54のばね力で、テンションローラ50を後ベルト49から離した位置(実線で示す位置)に配置する。
テンションローラ50を後ベルト49から離すことで、クラッチ部16がクラッチオフの状態になり、後駆動プーリ47の回転は後従動プーリ48に伝わらない。
【0036】
この状態から、クラッチ操作レバー25を支持軸26を中心にして、クラッチオン位置(オン位置)P5まで機体後方に矢印Aの如くスイング移動することにより、クラッチ連結手段30のクラッチケーブル76を機体後方に引っ張る。
【0037】
クラッチケーブル76を機体後方に引っ張ることで、クラッチケーブル76でレバー部材52の上端部を第1リターンスプリング54のばね力に抗して機体後方側に引っ張る。
これにより、レバー部材52が支持軸51を軸して矢印B方向にスイング移動し、テンションローラ50を後ベルト49に押し付ける位置(想像線で示す位置)まで移動する。
テンションローラ50を後ベルト49に押し付けることで、クラッチ部16がクラッチオンの状態になり、後駆動プーリ47の回転が後従動プーリ48に伝わる。
【0038】
図4は本発明に係る除雪機のクラッチ連結手段を示す側面図である。
クラッチ連結手段30は、上端部74aがピン78を介してクラッチ操作レバー25に連結され、機体前方でかつ下方に延びる連結ロッド74と、連結ロッド74の下端部74b近傍に、頂部81を支持ピン82を介して回動自在に設け、頂部81から機体後方に下り勾配に後アーム部83を延ばすとともに、機体前方に下り勾配に前アーム部84を延ばすことで逆V字状を形成し、後アーム部83に連結ロッド74の下端部74bを連結する逆V字状の連結部材75と、連結部材75の前アーム部84に、一端部76aを連結するとともに、図3に示す他端部76bをクラッチ部16のレバー部材52に連結したクラッチケーブル76とを備える。
【0039】
支持ピン82は、支持ブラケット31から手前側に突出したピンである。支持ブラケット31は、操作パネル22内に配置し、後端部31aを操作パネル22の後部22aに当て、後部22aにボルト32…およびナット33…で操向ハンドル23と一体に取り付けた部材である。
【0040】
クラッチケーブル76は、一端部76aおよび他端部76b(図3参照)を有するインナーケーブル86と、インナーケーブル86をスライド自在に収納し、かつ一端部76aおよび他端部76bを両端部87a,87b(両端部の他方の端部87bは図3参照)からそれぞれ突出させたアウターケーブル87とからなる。
【0041】
アウターケーブル87の両端部87a,87bのうち、一端部76a側の端部87a(両端部の一方の端部))を、一端部76aを連結した部位(すなわち、前アーム部84の下端部)84aの位置H1より高い位置H2に配置する。
アウターケーブル87の端部87aをH2に配置した状態で、端部87aを固定片34で固定する。
【0042】
固定片34は、支持ブラケット31の前端部を折り曲げて手前側に突出させた突出片である。この固定片34の貫通孔(図示せず)にアウターケーブル87の端部87aを差し込む。
差し込んだ端部87aにねじ結合した一対のナット91,91で固定片34を挟持し、アウターケーブル87の端部87aを固定片34に固定する。
【0043】
支持ブラケット31を操作パネル22内に配置し、この支持ブラケット31の下端部に連結部材75およびアウターケーブル87の端部87aを設けることで、連結部材75、アウターケーブル87の端部87aおよびインナーケーブル86の一端部76aを操作パネル22の下方に配置する。
【0044】
よって、連結部材75、アウターケーブル87の端部87aおよびインナーケーブル86の一端部76aの上方を操作パネル22で覆う。
これにより、連結部材75、アウターケーブル87の端部87aおよびインナーケーブル86の一端部76aに、雨水や雪が直接かかることを操作パネル22で防ぐ。
【0045】
図5は本発明に係る除雪機のクラッチ連結手段を示す分解斜視図である。
連結部材75は、支持ピン82に筒体92を回転自在に嵌め込み、筒体92に一定間隔をおいて、一対の連結プレート93,93を固定したものである。
連結プレート93は、頂片94に嵌合孔95を形成し、頂片94から機体後方に下り勾配に後アーム片96を延ばすとともに、機体前方に下り勾配に前アーム片97を延ばすことで逆V字状に形成された板材である。
後アーム片96の下端部に後取付孔96aを形成するとともに、前アーム片97の下端部に前取付孔97aを形成する。頂片94から上方に向けて突片98を突出し、突片98に上取付孔98aを形成する。
【0046】
一対の連結プレート93,93の嵌合孔95,95をそれぞれ筒体92に嵌め込み、それぞれの連結プレート93,93を一定間隔をおいて筒体92に固定する。
この状態で、一対の連結プレート93,93の後取付孔96a,96aを同軸上に配置し、一対の連結プレート93,93の前取付孔97a,97a(手前側の97aのみを図示する)を同軸上に配置する。加えて、一対の連結プレート93,93の上取付孔98a,98aを同軸上に配置する。
ここで、一対の頂片94,94で頂部81を形成し、さらに、一対の後アーム片96,96で後アーム部83を形成し、加えて、一対の前アーム片97,97で前アーム部84を形成する。
【0047】
各々の後取付孔96a,96aに後支持ピン101を回動自在に差し込み、後支持ピン101の貫通孔101aを連結プレート93,93間に配置する。貫通孔101aは、後支持ピン101の中央に形成されている。
貫通孔101aに連結ロッド74の下端部74bを差し込み、貫通孔101aから突出した下端部74bのねじ部にナット部材103をねじ結合する。
後支持ピン101と、連結ロッド74のフランジ部104とで圧縮ばね105を圧縮することで、連結ロッド74の下端部74bを後アーム部83に連結する(図6も参照)。
【0048】
各々の前取付孔97a,97a(手前側の97aのみを図示する)に前支持ピン107を差し込むとともに、前支持ピン107にインナーケーブル86の一端部76aを連結する。
これにより、インナーケーブル86の一端部76aを、前支持ピン107を介して前アーム部84に連結する。
【0049】
各々の上取付孔98a,98aに上支持ピン108を差し込むとともに、前支持ピン108に第2リターンスプリング111の前端部111aを掛ける。この第2リターンスプリング111の後端部111bをフック片112の取付孔112aに掛ける。フック片112は、操作パネル22の後部22a(図4参照)に設けられている。
この第2リターンスプリング111は、連結部材75が支持ピン82を軸にして時計回り方向(クラッチオフの方向)に回動するように、連結部材75にばね力をかける。
【0050】
図6は本発明に係る除雪機の連結部材の拡大図である。
連結部材75を、頂部81から機体後方に下り勾配に後アーム部83を延ばすとともに、機体前方に下り勾配に前アーム部84を延ばすことで逆V字状を形成した。
これにより、後アーム部83と前アーム部84とを離した状態に形成した。
【0051】
そして、後アーム部83の下端部83aに、連結ロッド74の下端部74bを後支持ピン101を介して連結した。さらに、連結部材75の前アーム部84に、インナーケーブル86の一端部76aを前支持ピン107を介して連結した。
これにより、インナーケーブル86の一端部76aを、連結ロッド74の下端部74bから離した。
【0052】
よって、連結ロッド74に雨水や雪が付着して、付着した雨水や雪が連結ロッド74の下端部74bを介して後アーム部83まで矢印Cの如く伝わった場合でも、後アーム部83まで伝わった雨水や雪118の一部は、後アーム部83の下端部83aから下方に滴下する。
さらに、残りの雨水や雪118は、ナット部材103および連結ロッド74の下端部74bから下方に滴下する。
【0053】
したがって、連結ロッド74に付着した雨水や雪が、クラッチケーブル76の一端部76aに伝わることを防ぎ、クラッチケーブル76のアウターケーブル87内に雨水や雪が侵入することを防止できる。
【0054】
また、連結部材75は、前アーム部84の下縁84bを、後アーム部83の下縁83bよりH3だけ高く形成した。
さらに、連結部材75は、前アーム部84の下端部84aと、後アーム部83の下端部83aとの間に凹状の湾曲部77を形成し、湾曲部77の第1頂部77aを後アーム部83の下縁83bよりH4だけ高くした。
これにより、後アーム部83の下端部83aから湾曲部77の第1頂部77aまでを上り勾配とする。
【0055】
このように、前アーム部84の下縁84bを後アーム部83の下縁83bよりH3だけ高く形成し、かつ後アーム部83の下端部83aから湾曲部77の第1頂部77aまでを上り勾配とすることで、後アーム部83まで伝わった雨水や雪118を、後アーム部83の下端部83aから下方に一層確実に滴下させることができる。
【0056】
ここで、アウターケーブル87の端部87aには蛇腹状のシール材114が設けられている。このシール材114で開口87cを覆うことで、開口87cからアウターケーブル87内に雨水、雪や埃などが侵入することを防ぐ。
【0057】
しかし、蛇腹状のシール材114は、通常ゴム製であり、経年劣化により先端部の開口114aが開いてしまうことが考えられる。
シール材114の開口114aが開いてしまうと、この開口から雨水、雪や埃などが侵入する虞がある。
【0058】
そこで、アウターケーブル87の端部87aを、前アーム部84の下端部84aの位置H1より高い位置H2に固定した。
これにより、アウターケーブル87の端部87aの開口87cを下向きに配置することができる。
したがって、端部87aの開口87cからアウターケーブル87内に雨水、雪や埃などが侵入することを防ぐことができる。
【0059】
加えて、アウターケーブル87の端部87aの位置H2を、前アーム部84の下端部84aの位置H1より高くすることでインナーケーブル86の一端部76aの近傍76cを、アウターケーブル87の端部87aに向けて上り勾配に保つ。
したがって、万が一、インナーケーブル86の一端部76aに雨水や雪が付着した場合でも、付着した雨水や雪が、アウターケーブル87の端部87aの開口87cからアウターケーブル87内に侵入することを防ぐことができる。
【0060】
図7は本発明に係る除雪機のクラッチ操作レバーをクラッチオンに操作した状態を説明する図である。
クラッチ操作レバー25をクラッチオフ位置P4から支持軸26を中心にしてクラッチオン位置P5までスイング移動し、操向ハンドル23に当てる。
この状態で、操向ハンドル23のグリップ部23aを両手116で握るとともに、クラッチ操作レバー25のグリップ部25aを両手116で握る。
これにより、クラッチ操作レバー25をクラッチオン位置P5に保持する。
【0061】
クラッチ操作レバー25をクラッチオン位置P5に移動することで、連結ロッド74を上向きに引き上げる。連結ロッド74を上向きに引き上げることで、連結部材75が、第2リターンスプリング111のばね力に抗して支持ピン82を軸に反時計回り方向にスイング移動する。
これにより、クラッチケーブル76のインナーケーブル86を機体後方に引っ張る。
インナーケーブル86を機体後方に引っ張ることで、インナーケーブル86でレバー部材52の上端部を、第1リターンスプリング54のばね力に抗して機体後方側に引っ張る。
【0062】
レバー部材52が支持軸51を軸して反時計回り方向にスイング移動し、テンションローラ50を後ベルト49に押し付ける。
テンションローラ50を後ベルト49に押し付けることで、クラッチ部16がクラッチオンの状態になり、後駆動プーリ47の回転が後従動プーリ48に伝わる。
【0063】
図8は図7の8部拡大図である。
連結部材75をクラッチオンの位置に配置した状態において、湾曲部77の第2頂部77bを、後アーム部83の下縁83bよりH5だけ高くした。
これにより、後アーム部83の下端部83aから湾曲部77の第2頂部77bまでを上り勾配とする。
【0064】
よって、連結ロッド74の下端部74bを介して後アーム部83まで矢印Dの如く伝わった雨水や雪118の一部を、後アーム部83の下端部83aから下方に滴下する。
さらに、残りの雨水や雪118は、ナット部材103および連結ロッド74の下端部74bから下方に滴下する。
【0065】
ここで、後アーム部83まで伝わった雨水や雪の一部が、湾曲部77を経て前アーム部84に伝わることが考えられる。
そこで、連結部材をクラッチオンの位置に配置した状態においても、アウターケーブル87の端部87aの位置H2を、前アーム部84の下端部84aの位置H1より高くなるように設定した。
これにより、インナーケーブル86の一端部76aの近傍76cを、アウターケーブル87の端部87aに向けて上り勾配に保つことができる。
【0066】
したがって、万が一、後アーム部83まで伝わった雨水や雪の一部が、湾曲部77を経て前アーム部84に伝わった場合でも、伝わった雨水や雪を、後アーム部83の下端部83aから滴下させることができる。
よって、伝わった雨水や雪が、アウターケーブル87の端部87aの開口87cからアウターケーブル87内に雨水、雪や埃などが侵入することを防ぐことができる。
【0067】
なお、前記実施の形態では、本発明をクローラ式の除雪機に適用させた例について説明したが、これに限らないで、例えば、車輪式の除雪機に適用することも可能である。
【0068】
また、前記実施の形態では、連結部材75、アウターケーブル87の端部87aおよびインナーケーブル86の一端部76aを、操作パネル22の下方に配置することで、各々の部材75,87a,76aを操作パネル22で覆った例について説明したが、上記各々の部材75,87a,76aを操作パネル22内に配置することも可能である。
これにより、各々の部材75,87a,76aを操作パネル22でより確実に覆い、各々の部材75,87a,76aに雨水や雪が直接かかることを操作パネル22でより一層確実に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、原動機の動力を断接するクラッチ部を、クラッチ連結手段を介してクラッチ操作レバーに連結する除雪機に好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る除雪機の側面図である。
【図2】本発明に係る除雪機の要部を示す側面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】本発明に係る除雪機のクラッチ連結手段を示す側面図である。
【図5】本発明に係る除雪機のクラッチ連結手段を示す分解斜視図である。
【図6】本発明に係る除雪機の連結部材の拡大図である。
【図7】本発明に係る除雪機のクラッチ操作レバーをクラッチオンに操作した状態を説明する図である。
【図8】図7の8部拡大図である。
【図9】従来の基本構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0071】
10…除雪機、11…機体、12…エンジン(原動機)、13…走行装置、16…クラッチ部、25…クラッチ操作レバー、30…クラッチ連結手段、74…連結ロッド、74b…連結ロッドの下端部、75…連結部材、76…クラッチケーブル、76a…一端部、76b…他端部、81…頂部、83…後アーム部、84…前アーム部、86…インナーケーブル、87…アウターケーブル、87a…両端部の一方(一端部側の端部)、87b…両端部の他方、P4…クラッチオフ位置(オフ位置)、P5…クラッチオン位置(オン位置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に原動機を設け、この原動機の動力で駆動する走行装置を機体の下部に設け、原動機と走行装置との間に、原動機の動力を断接するクラッチ部を介在させ、このクラッチ部をクラッチ連結手段を介してクラッチ操作レバーに連結し、
このクラッチ操作レバーをオフ位置に配置することで、前記クラッチ連結手段を介して前記クラッチ部を断状態にし、クラッチ操作レバーをオン位置に配置することで、前記クラッチ連結手段を介して前記クラッチ部を接状態に切り換える除雪機において、
前記クラッチ連結手段は、前記クラッチ操作レバーに連結され、下方に延びる連結ロッドと、
この連結ロッドの下端部近傍に、頂部を回動自在に設け、この頂部から機体後方に下り勾配に後アーム部を延ばすとともに、機体前方に下り勾配に前アーム部を延ばすことで逆V字状を形成し、前記後アーム部に前記連結ロッドの下端部を連結した逆V字状の連結部材と、
この連結部材の前アーム部に、一端部を連結するとともに、他端部を前記クラッチ部に連結したクラッチケーブルと、を備えたことを特徴とする除雪機。
【請求項2】
前記クラッチケーブルは、前記一端部および前記他端部を有するインナーケーブルと、このインナーケーブルをスライド自在に収納し、かつ前記一端部および前記他端部を両端部からそれぞれ突出させたアウターケーブルとからなり、
このアウターケーブルの両端部のうち、前記一端部側の端部を、前記一端部を連結した部位より高い位置に設けたことを特徴とする請求項1記載の除雪機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−118244(P2006−118244A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308129(P2004−308129)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】