除雪機
【課題】 シュータとシュータガイドとの間に復帰のための引張りばねを掛ける作業が困難な点を解決することで、組立作業の容易にするとともに、シュータとシュータガイドとの間に渡した引張りばねが共振する点を解決することで、静粛性に優れるようにすることを可能にする。
【解決手段】 除雪した雪を遠方に排出するシュータ43と、このシュータ43の先端に折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定する第1・第2のシュータガイド61,62と、これらのシュータガイド61,62を初期位置に復帰させる復帰手段と、を備えた除雪機10において、復帰手段が、一端をシュータ43側に掛渡すとともに他端を第1のシュータガイド61側に掛渡した捩りばね64であり、この捩りばね64の巻線部93に、捩りばね64の振動を低減させるカラー(振動低減部材)71,71を設けた。
【解決手段】 除雪した雪を遠方に排出するシュータ43と、このシュータ43の先端に折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定する第1・第2のシュータガイド61,62と、これらのシュータガイド61,62を初期位置に復帰させる復帰手段と、を備えた除雪機10において、復帰手段が、一端をシュータ43側に掛渡すとともに他端を第1のシュータガイド61側に掛渡した捩りばね64であり、この捩りばね64の巻線部93に、捩りばね64の振動を低減させるカラー(振動低減部材)71,71を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュータの先端にシュータガイドを折曲げ可能に取付けることで除雪した雪を任意の方向に排出することができる除雪機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
除雪機として、除雪した雪を任意の方向に排出するために、シュータの先端に一段のシュータガイドを折曲げ可能に取付けたもの、又はシュータの先端に2段のシュータガイドを折曲げ可能に取付けたものが実用に供されている。
実用の除雪機は、シュータの先端にシュータガイドを折曲げ可能に取付け、これらのシュータとシュータガイドとの間にシュータガイドを初期状態に復帰させる弾発手段を設けるようにすれば実用上十分であった。
【0003】
このような除雪機として、弾発手段に引張りばね(コイルスプリング)を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実公昭56−40898号公報(第5頁、第1図)
【0004】
図13は従来の基本構成を説明する図であり、除雪機200は、シュータ201の先端に第1のシュータガイド202を折曲げ可能に取付け、この第1のシュータガイド202に第2のシュータガイド203を折曲げ可能に取付け、シュータ201と第1のシュータガイド201との間に復帰のための引張りばね204を渡し、第1のシュータガイド202から操作ワイヤ205を延ばし、この操作ワイヤ205を引くことで第1・第2のシュータガイド202,203を折曲げ、操作ワイヤ205を弛めることで第1・第2のシュータガイド202,203を初期状態に復帰させるものである。
【0005】
しかし、除雪機200では、復帰手段に引張りばね(コイルスプリング)204を用いたものなので、シュータ201と第1のシュータガイド202との間に引張りばね204を掛けるという組立作業が困難であるという問題があった。
また、除雪機200では、シュータ201と第1のシュータガイド202との間に復帰のための引張りばね204を渡したものなので、この引張りばね204が共振し除雪機200の騒音が増大することがあった。
【0006】
すなわち、除雪機の組立作業の作業性を改善することができるとともに、除雪機の静粛性の向上を図ることができる技術が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、シュータとシュータガイドとの間に復帰のための引張りばねを掛ける作業が困難な点を解決し、組立作業の容易な除雪機を提供するとともに、
シュータとシュータガイドとの間に渡した引張りばねが共振する点を解決し、静粛性に優れた除雪機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、除雪した雪を遠方に排出するシュータと、このシュータの先端に折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定するシュータガイドと、このシュータガイドを初期位置に復帰させる復帰手段と、を備えた除雪機において、復帰手段が、一端をシュータ側に掛渡すとともに他端をシュータガイド側に掛渡した捩りばねであり、この捩りばねの巻線部に、捩りばねの振動を低減させる振動低減部材を設けたことを特徴とする。
【0009】
例えば、復帰手段が共振することを防止できるとすれば、除雪機の静粛性の向上を図ることができるので好ましいことである。
【0010】
そこで、復帰手段に、一端をシュータ側に掛渡すとともに他端をシュータガイド側に掛渡した捩りばねを用い、この捩りばねの巻線部に、捩りばねの振動を低減させる振動低減部材を設けることで、捩りばねの振動を防止することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、シュータの先端にブラケットを設け、このブラケットに一端を回転自在に取付けるとともに他端をシュータガイドに回転可能に取付ける連結アームを設け、ブラケットに捩りばねの一方を掛渡すとともに連結アームに捩りばねの他方を掛渡したことを特徴とする。
【0012】
例えば、シュータとシュータガイドとの間に復帰のための復帰手段を設置しやすくできるとすれば、除雪機の組立作業の作業性の向上を図ることができるので好ましいことである。
【0013】
そこで、シュータの先端にブラケットを設け、このブラケットに一端を回転自在に取付けるとともに他端をシュータガイドに回転可能に取付ける連結アームを設け、ブラケットに捩りばねの一方を掛渡すとともに連結アームに捩りばねの他方を掛渡すことで、ブラケットと連結アームとの間に無負荷状態の捩りばねを掛渡してから、連結アームを回転させてシュータガイドに取付けることができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、ブラケットが、底部及び左右の側面部から構成する略コ字形状のブラケットであり、左右の側面部で捩りばねの巻線部を挟み込み、左右の側面部に振動低減部材を貫通させて、捩りばねをブラケットに取付けたことを特徴とする。
【0015】
ブラケットを、底部及び左右の側面部から構成する略コ字形状に構成し、左右の側面部で捩りばねの巻線部を挟み込み、左右の側面部に振動低減部材を貫通させ、捩りばねをブラケットに取付けることで、捩りばねの巻線部をシュータから浮かすことができ、捩りばねの振動の防止を図ることができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、連結アームを、板状部材で構成し、シュータ及びシュータガイドの側面に配置したことを特徴とする。
連結アームを、板状部材で構成し、シュータ及びシュータガイドの側面に配置することで、シュータ廻りを簡便に構成することができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、捩りばねの無負荷状態のときの一方及び他方がなす角度を無負荷状態ばね角度とするときに、ブラケットと連結アームとを略無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパを連結アームに形成したことを特徴とする。
【0018】
ブラケットと連結アームとを略無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパを形成することで、ブラケットと連結アームとを略無負荷状態の捩りばねを掛けるときに連結アームが停止した状態にできる。この結果、連結アームが動くことがないのでさらなるばね掛け性の向上を図ることができるという利点がある。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明では、復帰手段に、一端をシュータ側に掛渡すとともに他端をシュータガイド側に掛渡した捩りばねを用い、この捩りばねの巻線部に、捩りばねの振動を低減させる振動低減部材を設けたので、捩りばねの振動を防止することができる。この結果、静粛性に優れた除雪機の実現を図ることができるという利点がある。
【0020】
請求項2に係る発明では、シュータの先端にブラケットを設け、このブラケットに一端を回転自在に取付けるとともに他端をシュータガイドに回転可能に取付ける連結アームを設け、ブラケットに捩りばねの一端を掛渡すとともに連結アームに捩りばねの他端を掛渡すようにしたので、ブラケットと連結アームとの間に無負荷状態の捩りばねを掛渡してから、連結アームを回転させてシュータガイドに取付けることができる。これにより、復帰手段の取付け性の改善をすることができる。この結果、除雪機の組立性の向上を図ることができるという利点がある。
【0021】
請求項3に係る発明では、ブラケットを、底部及び左右の側面部から構成する略コ字形状に構成し、左右の側面部で捩りばねの巻線部を挟み込み、左右の側面部に振動低減部材を貫通させ、捩りばねをブラケットに取付けたので、捩りばねの巻線部をシュータから浮かすことができ、捩りばねの振動の防止を図ることができる。この結果、除雪機のさらなる静粛性の向上を図ることができるという利点がある。
【0022】
請求項4に係る発明では、連結アームを、板状部材で構成し、シュータ及びシュータガイドの側面に配置したので、シュータ廻りを簡便に構成することができる。この結果、シュータ廻りの意匠性の向上を図ることができるという利点がある。
【0023】
請求項5に係る発明では、ブラケットと連結アームとを略無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパを形成したので、ブラケットと連結アームとを略無負荷状態の捩りばねを掛けるときに連結アームが停止した状態にできる。この結果、連結アームが動くことがないのでさらなるばね掛け性の向上を図ることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る除雪機の斜視図であり、除雪機10は、機体11の下方に走行ユニット12を設け、この走行ユニット12の駆動源となるエンジン13を機体11に搭載し、この機体11の上方にエンジン13を保護するエンジンカバー14を設け、このエンジンカバー14の前方に、雪を除去するロータリ除雪部(除雪部)15を機体11に対して左右方向に傾動可能に配置し、ロータリ除雪部15で除雪した雪を排出するシュータ43を設け、機体11の上部から後上方へ左右の操作ハンドル35,36を延ばし、これら左右の操作ハンドル35,36間に操作盤37を取り付け、作業者が左右の操作ハンドル35,36のグリップ部47,48を握った状態で操作盤37の後から連れ歩く、自走式の歩行型除雪機である。
【0025】
左の操作ハンドル35は、握ることで走行準備を完了し、且つ離すことで走行を停止させる走行準備レバー39と、左電動モータ24を操作する左の旋回レバー51と、を備え、右の操作ハンドル36は、右電動モータ26(図2参照)を操作する右の旋回レバー52を備える。
【0026】
図2は本発明に係る除雪機の側面図である。
エンジン13は、本体13aの上部に燃料タンク18a、エアクリーナ18bおよびマフラー18cを備える。このエンジン13は、エンジンカバー14で保護される。
エンジンカバー14は、機体11の上方に設けられ、前端部14aが機体11の前部まで延び、中央部に開口14bが形成されている。
開口14bから燃料タンク18a、エアクリーナ18bおよびマフラー18cを突出する。
このエンジンカバー14は、前端部14aでロータリ除雪部15の傾きを検知する傾動検知手段20を覆う。
【0027】
走行ユニット12は、左右の走行部22,23を備え、左の走行部22の回転速度を調整する左電動モータ24および左減速部25を備え、右の走行部23の回転速度を調整する右電動モータ26および右減速部27を備える。
左・右電動モータ24,26を駆動する発電機28をエンジン13に備える。エンジン13で発電機28を駆動することにより電圧を発生し、発生した電圧で左・右電動モータ24,26を駆動する。
すなわち、エンジン13は、左右の走行部22,23の駆動源となるものである。
【0028】
左の走行部22は、前部の遊動輪22aと後部の駆動輪22bとにクローラベルト22cを巻き掛け、駆動輪22bを左電動モータ24で正逆転させるクローラ式の走行部である。
右の走行部23は、左の走行部22と左右対称の部材であり、それぞれの構成部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
ロータリ除雪部15は、エンジン13の出力軸29を電磁クラッチ部32などを介して駆動軸34に連結し、駆動軸34をオーガハウジング38内に延ばしてブロア41およびオーガ42に連結し、オーガハウジング38の上部にシュータ43を旋回自在に備える。
【0030】
また、除雪機10は、オーガ42の高さを調整するために高さ調整シリンダ44を備え、ロータリ除雪部15を傾動するために傾動シリンダ46を備える。
高さ調整シリンダ44を作動することで、機体11を支持軸45を中心にして上下方向にスイング移動する。機体11の前部にロータリ除雪部15が設けられているので、機体11を上下方向にスイング移動することで、ロータリ除雪部15の高さを調整することが可能になる。
さらに、傾動シリンダ46を作動することで、ロータリ除雪部15を、機体11に対して左右方向に傾動する。
高さ調整シリンダ44や傾動シリンダ46は、一例として、電動油圧シリンダが用いられる。
【0031】
この除雪機10で除雪作業をおこなう際には、作業者が左右のグリップ部47,48をそれぞれ左右の手で握り、機体11を前進させる。
機体11を前進させながらオーガ42で雪を機体中央に掻き集め、掻き集めた雪をブロア41で跳ね上げ、跳ね上げた雪をシュータ43で投雪する。
【0032】
図3は本発明に係る除雪機のシュータ装置の側面図であり、シュータ装置60は、オーガハウジング38(図2参照)左方上面にシュータ43を取付け、このシュータ43に投雪の方向を変化させるシュータガイドとしての第1のシュータガイド61を折畳み自在に取付け、この第1のシュータガイド61にシュータガイドとしての第2のシュータガイド62折畳み自在に取付け、この第2のシュータガイド62とシュータ43との間に板状部材の連結アーム(連結部材)63を渡し、この連結アーム63と第1のシュータガイド61との間に復帰手段としての捩りばね64を介在させ、第1・第2のシュータガイド61,62を操作する操作ワイヤ65を第1のシュータガイドから延出した装置である。
【0033】
図4は本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面図であり、シュータ装置60は、シュータ43の背面側方にブラケット77を設け、連結アーム63をシュータ43及び第1・第2のシュータガイド61,62の側方に設け、このブラケット77及び連結アーム63介在させる捩りばね64をシュータの側方に寄せて配置し、操作ワイヤ65をシュータ43及び第1のシュータガイド61の側方に設けたことを示す。
【0034】
すなわち、除雪機10(図1参照)は、連結アーム63を、板状部材で構成し、シュータ43及び第1のシュータガイド61の側面に配置したものと言える。
連結アーム63を、板状部材で構成し、シュータ43及び第1のシュータガイド61の側面に配置することで、シュータ43廻りを簡便に構成することができる。この結果、シュータ43廻りの意匠性の向上を図ることができる。
次図にてシュータ装置60の詳細を説明する。
【0035】
図5は本発明に係る除雪機のシュータ装置分解斜視図である。
シュータ装置60は、シュータ(シュータ本体)43と、シュータ43に回転自在に連結するシュータガイドとしての第1のシュータガイド61と、これらのシュータ43及び第1のシュータガイド61を連結するピン部材66と、このピン部材の両端にセットすることでピン部材66の抜け止め作用をなす係止部材68と、第1のシュータガイド61に回転自在に連結するシュータガイドとしての第2のシュータガイド62と、これらの第1・第2のシュータガイド61,62を連結するピン部材67と、このピン部材67の両端にセットすることでピン部材67の抜け止め作用をなす係止部材69と、シュータ43及び第2のシュータガイド62の間に渡す連結アーム63と、この連結アーム63及びシュータ43の間に掛渡した捩りばね64と、この捩りばね64の巻線部93に介在させた振動低減部材としてのカラー71,71と、これらのカラー71,71に貫通させるとともに、ワッシャ73及びスペーサ74を介して連結アーム63の一端を回転自在にシュータ43側に支持するボルト75と、このボルト75にねじ込むナット75aと、連結アーム63の他端を第2のシュータガイド62側に回転自在に支持するナット76と、第1のシュータガイド61に先端を止めるとともに、シュータ43を経由させて機体11(図2参照)側に延出することで第1・第2のシュータガイド61,62を操作する操作ワイヤ65と、からなる。
【0036】
シュータ43は、連結アーム63の一端を支持するとともに、捩りばね64の巻線部93を支持するブラケット77と、操作ワイヤ65を支持するために側方に形成したステー部78と、先端に且つ中央に第1のシュータガイド61に向けて形成したシュータ側ヒンジ半体79と、を備える。
【0037】
ブラケット77は、別ピースにて形成した略コ字形状のブラケットであって、シュータ43側にスポット溶接する底部81と、この底部81から両端を立ち上げた左右の側面部82,82と、これらの側面部82,82にそれぞれ形成することでボルト75を貫通させる貫通孔83,83と、からなる。
【0038】
シュータ側ヒンジ半体79は、別ピースにて制作した部材であって、シュータ43側にスポット溶接する接合板部85と、この接合板部85から上部両端をカール曲げ形成することで、ピン部材66を貫通させるとともに係止部材を保持する外側筒部86,86と、を形成した部材である。86aは外側筒部86のエッジを示す。
【0039】
第1のシュータガイド61は、シュータガイド側ヒンジ半体としての背板部88と、この背板部の側方を折曲げた左右の側板87a,87bと、から構成する断面視コ字状の部材である。
【0040】
背板部88は、シュータ43側に且つ中央にカール曲げ形成した中央筒部88aと、第2のシュータシュータガイド62側に、且つ両端にカール曲げ形成した外側筒部89,89と、を形成した部材である。
【0041】
左の側板87aは、操作ワイヤ65の先端を取付けるために側方に形成した取付部87cを備える。
連結アーム63は、シュータ43側に一端を回転自在に取付けるボルト貫通孔91を形成し、第2のシュータガイド62側に他端を回転自在に取付けるスタッド貫通孔92を形成した部材である。
【0042】
捩りばね64は、カラー71,71を介してボルト75で支持する巻線部(コイル部)93と、シュータ43のブラケット77に掛ける一方としてのブラケット側掛け部94と、連結アーム63の一端に掛ける他方としてのアーム側掛け部95と、を備える。
【0043】
第2のシュータガイド62は、断面視コ字状の部材であり、第1のシュータガイド側に且つ中央に溶接したカール曲げ部材96と、連結アームの他端を回転自在にに支持するために側方に立てたスタッドボルト97、とを備える。なお、カール曲げ部材96は、第2のシュータガイド62にスポット溶接する接合板部98と、この接合板部98からカール曲げ形成した中央筒部99と、を形成した部材である。
【0044】
カラー71は、樹脂若しくはゴム系の材料にて形成した部材であり、巻線部93の端部を覆うフランジ部101と、巻線部93の内周を支持する筒体部102と、からなる。
ピン部材66及びピン部材67は、共通部材であり、66a,66aはピン部材66の端部、67a,67aはピン部材67の端部を示す。また、係止部材68及び係止部材69も共通部材である。
【0045】
なお、シュータ装置60は、シュータ側ヒンジ半体79、中央筒部88aを備える背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88、ピン部材66、係止部材68で、ヒンジ部としての第1のヒンジ部111を構成するとともに、外側筒部89,89を備える背面板88、カール曲げ部材96、ピン部材67及び係止部材69で、第2のヒンジ112を構成したものである。
【0046】
図6は本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材の平面図であり、係止部材(ばね押え)68は、ばね性を有する線材にて形成した部材であり、シュータ43側若しくは第1のシュータガイド61側に位置させる直線部105と、この直線部105の両端に形成したコイル部106,106と、これらのコイル部106,106から内方に向けて延出するとともに略U字形に折曲げ形成することで、ピン部材66の両端部66a,66aを押圧する押圧部107,107と、これらの押圧部107,107からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部108,108と、これらの当接部108,108に装着した隙間充填体としてのチューブ109,109と、を備える。なお、押圧部107,107は、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に係合させたことを示す。
【0047】
ピン部材66は、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88の中央筒部88aを加えた長さよりも短く形成したものと言える。
【0048】
すなわち、ピン部材66を、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88の中央筒部88aを加えた長さよりも短く形成することで、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に係止部材68の押圧部107,107を潜り込ませるようにすることができる。この結果、係止部材68をシュータ側ヒンジ半体79に圧入することができ、ピン部材66のずれの防止を図るとともに係止部材68を強固にシュータ側ヒンジ半体79側に支持させることができる。
【0049】
図7は本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材部分の側面断面図であり、係止部材68は、押圧部107からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部108を設け、この当接部108でシュータ43及び第1のシュータガイド61の合わせ面113に発生する隙間Sを覆うようにしたものと言える。
【0050】
係止部材68は、押圧部107からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部108を設け、この当接部108でシュータ43及び第1のシュータガイド61の合わせ面113に発生する隙間Sを覆うことで、シュータ側ヒンジ半体79及び背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88の間に形成する隙間Sから除雪した雪が漏れることを防止することができる。この結果、除雪作業の作業性の向上を図ることができる。
【0051】
さらに、当接部108に、合わせ面113を覆うチューブ(隙間充填体)109を装着することで、ヒンジ半体同士(シュータ側ヒンジ半体79及び背板部88)形成する隙間Sから除雪した雪が漏れることの防止効果を増大させた。この結果、さらなる除雪作業の作業性の向上を図ることができる。
【0052】
図8は本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面拡大図であり、シュータ装置60は、除雪した雪を遠方に排出するシュータ43と、このシュータ43の先端に折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定する第1・第2のシュータガイド61,62と、これらのシュータガイド61,62を初期位置に復帰させる復帰手段と、を備えた除雪機10において、復帰手段が、一端をシュータ43側に掛渡すとともに他端を第1のシュータガイド61側に掛渡した捩りばね64であり、この捩りばね64の巻線部93に、捩りばね64の振動を低減させるカラー(振動低減部材)71,71を設けたものと言える。
【0053】
復帰手段に、一端をシュータ43側に掛渡すとともに他端を第1のシュータガイド61側に掛渡した捩りばね64を用い、この捩りばね64の巻線部93に、捩りばね64の振動を低減させるカラー(振動低減部材)71,71を設けることで、捩りばね64の振動を防止することができる。この結果、静粛性に優れた除雪機10(図1参照)の実現を図ることができる。
【0054】
また、シュータ装置60は、シュータガイドを第1・第2のシュータガイド61,62で構成し、シュータ43の先端にブラケット77を設け、このブラケット77に一端を回転自在に取付けるとともに他端を第2のシュータガイド61に回転可能に取付ける連結アーム63を設け、ブラケット77に捩りばね64のブラケット側掛け部(一方)94を掛渡すとともに連結アーム63に捩りばね64のアーム側掛け部(他方)95を掛渡したものと言える。
【0055】
シュータガイドを第1・第2のシュータガイド61,62で構成し、シュータ43の先端にブラケット77を設け、このブラケット77に一端を回転自在に取付けるとともに他端を第2のシュータガイド61に回転可能に取付ける連結アーム63を設け、ブラケット77に捩りばね64のブラケット側掛け部(一方)94を掛渡すとともに連結アーム63に捩りばね64のアーム側掛け部(他方)95を掛渡すことで、ブラケット77と連結アーム63との間に無負荷状態の捩りばね64を掛渡してから、連結アーム63を回転させて第2のシュータガイド62に取付けることができる。これにより、復帰手段(捩りばね)64の取付け性の改善をすることができる。この結果、除雪機10(図い参照)の組立性の向上を図ることができる。
【0056】
シュータ装置60は、ブラケット77が、底部81及び左右の側面部82,82から構成する略コ字形状のブラケットであり、左右の側面部82,82で捩りばね64の巻線部93を挟み込み、左右の側面部82,82にカラー(振動低減部材)71,71を貫通させて、捩りばね64をブラケット77に取付けたことを特徴とする。
【0057】
ブラケットを、底部81及び左右の側面部82,82から構成する略コ字形状のブラケットであり、左右の側面部82,82で捩りばね64の巻線部93を挟み込み、左右の側面部82,82にカラー(振動低減部材)71,71を貫通させ、捩りばね64をブラケット77に取付けることで、捩りばね64の巻線部93をシュータ43から浮かすことができ、捩りばね64の振動の防止を図ることができる。この結果、除雪機10(図1参照)のさらなる静粛性の向上を図ることができる。
【0058】
以上に述べた除雪機10の作用を説明する。
図9(a),(b)は本発明に係る除雪機の捩りばねの組立手順の前半を示す作用説明図である。
(a)において、シュータ43に第1のシュータガイド61を取付け、この第1のシュータガイド61に第2のシュータガイド62を取付け、シュータ43のブラケット77に捩りばね64及び連結アーム63の一端を取付けた状態まで組立てる。
【0059】
(b)において、連結アーム63を矢印a1の如く回転させることで、捩りばね64のブラケット側掛け部94をブラケット77にセットするとともに、アーム側掛け部95を連結アーム63にセットする。
【0060】
図10(a),(b)は本発明に係る除雪機の捩りばねの組立手順の後半を示す作用説明図である。
(a)において、連結アーム63を矢印a2の如く回転させ、捩りばね64に所定の撓みを加え、連結アーム63のスタッド貫通孔92(図5参照)を第2のシュータガイド62のスタッドボルト97に嵌合させる。
【0061】
すなわち、ブラケット77と連結アーム63との間に無負荷状態の捩りばね64を掛渡してから、連結アーム63を回転させて第2のシュータガイド62に取付けることができる。これにより、復帰手段(捩りばね)64の取付け性の改善をすることができる。この結果、除雪機10(図い参照)の組立性の向上を図ることができる。
【0062】
(b)において、矢印a3の如くスタッドボルト97にナット76をねじ込み、シュータ装置60の組立を完了させる。
【0063】
図11は本発明に係る別実施形態の除雪機のシュータ装置の側面図であり、シュータ装置60(図3参照)に使用した部品と同一部品は同一符号を用い詳細な説明は省略する。
シュータ装置130は、オーガハウジング38(図2参照)左方上面にシュータ43を取付け、このシュータ43に投雪の方向を変化させるシュータガイドとしての第1のシュータガイド61を折畳み自在に取付け、この第1のシュータガイド61にシュータガイドとしての第2のシュータガイド62折畳み自在に取付け、この第2のシュータガイド62とシュータ43との間に板状部材の連結アーム(連結部材)133を渡し、この連結アーム63と第1のシュータガイド61との間に復帰手段としての捩りばね64を介在させたものであり、捩りばね64の無負荷状態のときのブラケット側掛け部(一方)94及びアーム側掛け部(他方)95がなす角度を無負荷状態ばね角度とするときに、ブラケット77と連結アーム133とを略無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパ134を連結アーム133に形成したものである。
【0064】
ブラケット77と連結アーム133とを略無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパ134を連結アーム133に形成することで、ブラケット77と連結アーム133とを略無負荷状態の捩りばねを掛けるときに連結アーム133が停止した状態にできる。この結果、連結アーム133が動くことがないのでさらなるばね掛け性の向上を図ることができる。
【0065】
図12は本発明に係るさらなる別実施形態の除雪機のシュータ装置の背面拡大図であり、シュータ装置60(図3参照)に使用した部品と同一部品は同一符号を用い詳細な説明は省略する。
図中、43はシュータ、61,62は第1・第2のシュータガイド、63は連結アーム、64は捩りばね、65は操作ワイヤ、66,67はピン部材、68,69は係止部材、74はスペーサ、75a,76はナット、77はブラケット、79はシュータ側ヒンジ半体、81は底部、82は側面部、85は接合板部、86,86は外側筒部、87a,87bは左右の側板、87cは取付部、88aは中央筒部、89は外側筒部、93は巻線部、94はブラケット側掛け部、95はアーム側掛け部、96はカール曲げ部材、97はスタッドボルト、98は接合板部、99は中央筒部、105は直線部、106はコイル部、107は押圧部、108は当接部、109はチューブ、111,112は第1・第2のヒンジ部、143はワッシャ、145は低振動部材としてのボルト、146はボルトの段部であり、シュータ装置140は、捩りばね64の巻線部93に振動低減部材としてのボルト145を直接的に貫通させ、振動低減を図ろうとしたものである。
【0066】
尚、本発明に係る除雪機は、図12に示すように、ボルト145に段部146を形成し、この段部146を捩りばね64の巻線部93に貫通させ、捩りばね64の振動低減を図ったが、これに限るものではなく、段部の無い一般的なボルトを用いることを妨げるものではない。
【0067】
また、本発明に係る除雪機は、図12に示すように、ボルト145に段部146を形成し、この段部146を捩りばね64の巻線部93に貫通させ、捩りばね64の振動低減を図ったが、これに限るものではなく、段部の無い一般的なボルトに樹脂若しくはゴムなどを被せて形成したものを被せ、これらの樹脂若しくはゴムなどで段部を形成し、この段部で振動低減を図るものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る除雪機に採用したシュータ装置は、自走式の歩行型除雪機のシュータに採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る除雪機の斜視図である。
【図2】本発明に係る除雪機の側面図である。
【図3】本発明に係る除雪機のシュータ装置の側面図である。
【図4】本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面図である。
【図5】本発明に係る除雪機のシュータ装置分解斜視図である。
【図6】本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材の平面図である。
【図7】本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材部分の側面断面図である。
【図8】本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面拡大図である。
【図9】本発明に係る除雪機の捩りばねの組立手順の前半を示す作用説明図である。
【図10】本発明に係る除雪機の捩りばねの組立手順の後半を示す作用説明図である。
【図11】本発明に係る別実施形態の除雪機のシュータ装置の側面図である。
【図12】本発明に係るさらなる別実施形態の除雪機のシュータ装置の背面拡大図である。
【図13】従来の基本構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0070】
10…除雪機、43…シュータ、61,62…シュータガイド(第1・第2のシュータガイド、63…連結アーム、64…復帰手段(捩りばね)、71…振動低減部材(カラー)、77…ブラケット、93…巻線部、81…底部、82…側面部、94…一方(ブラケット側掛け部)、95…他方(アーム側掛け部)、134…ストッパ)、145…振動低減部材(ボルト)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュータの先端にシュータガイドを折曲げ可能に取付けることで除雪した雪を任意の方向に排出することができる除雪機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
除雪機として、除雪した雪を任意の方向に排出するために、シュータの先端に一段のシュータガイドを折曲げ可能に取付けたもの、又はシュータの先端に2段のシュータガイドを折曲げ可能に取付けたものが実用に供されている。
実用の除雪機は、シュータの先端にシュータガイドを折曲げ可能に取付け、これらのシュータとシュータガイドとの間にシュータガイドを初期状態に復帰させる弾発手段を設けるようにすれば実用上十分であった。
【0003】
このような除雪機として、弾発手段に引張りばね(コイルスプリング)を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実公昭56−40898号公報(第5頁、第1図)
【0004】
図13は従来の基本構成を説明する図であり、除雪機200は、シュータ201の先端に第1のシュータガイド202を折曲げ可能に取付け、この第1のシュータガイド202に第2のシュータガイド203を折曲げ可能に取付け、シュータ201と第1のシュータガイド201との間に復帰のための引張りばね204を渡し、第1のシュータガイド202から操作ワイヤ205を延ばし、この操作ワイヤ205を引くことで第1・第2のシュータガイド202,203を折曲げ、操作ワイヤ205を弛めることで第1・第2のシュータガイド202,203を初期状態に復帰させるものである。
【0005】
しかし、除雪機200では、復帰手段に引張りばね(コイルスプリング)204を用いたものなので、シュータ201と第1のシュータガイド202との間に引張りばね204を掛けるという組立作業が困難であるという問題があった。
また、除雪機200では、シュータ201と第1のシュータガイド202との間に復帰のための引張りばね204を渡したものなので、この引張りばね204が共振し除雪機200の騒音が増大することがあった。
【0006】
すなわち、除雪機の組立作業の作業性を改善することができるとともに、除雪機の静粛性の向上を図ることができる技術が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、シュータとシュータガイドとの間に復帰のための引張りばねを掛ける作業が困難な点を解決し、組立作業の容易な除雪機を提供するとともに、
シュータとシュータガイドとの間に渡した引張りばねが共振する点を解決し、静粛性に優れた除雪機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、除雪した雪を遠方に排出するシュータと、このシュータの先端に折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定するシュータガイドと、このシュータガイドを初期位置に復帰させる復帰手段と、を備えた除雪機において、復帰手段が、一端をシュータ側に掛渡すとともに他端をシュータガイド側に掛渡した捩りばねであり、この捩りばねの巻線部に、捩りばねの振動を低減させる振動低減部材を設けたことを特徴とする。
【0009】
例えば、復帰手段が共振することを防止できるとすれば、除雪機の静粛性の向上を図ることができるので好ましいことである。
【0010】
そこで、復帰手段に、一端をシュータ側に掛渡すとともに他端をシュータガイド側に掛渡した捩りばねを用い、この捩りばねの巻線部に、捩りばねの振動を低減させる振動低減部材を設けることで、捩りばねの振動を防止することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、シュータの先端にブラケットを設け、このブラケットに一端を回転自在に取付けるとともに他端をシュータガイドに回転可能に取付ける連結アームを設け、ブラケットに捩りばねの一方を掛渡すとともに連結アームに捩りばねの他方を掛渡したことを特徴とする。
【0012】
例えば、シュータとシュータガイドとの間に復帰のための復帰手段を設置しやすくできるとすれば、除雪機の組立作業の作業性の向上を図ることができるので好ましいことである。
【0013】
そこで、シュータの先端にブラケットを設け、このブラケットに一端を回転自在に取付けるとともに他端をシュータガイドに回転可能に取付ける連結アームを設け、ブラケットに捩りばねの一方を掛渡すとともに連結アームに捩りばねの他方を掛渡すことで、ブラケットと連結アームとの間に無負荷状態の捩りばねを掛渡してから、連結アームを回転させてシュータガイドに取付けることができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、ブラケットが、底部及び左右の側面部から構成する略コ字形状のブラケットであり、左右の側面部で捩りばねの巻線部を挟み込み、左右の側面部に振動低減部材を貫通させて、捩りばねをブラケットに取付けたことを特徴とする。
【0015】
ブラケットを、底部及び左右の側面部から構成する略コ字形状に構成し、左右の側面部で捩りばねの巻線部を挟み込み、左右の側面部に振動低減部材を貫通させ、捩りばねをブラケットに取付けることで、捩りばねの巻線部をシュータから浮かすことができ、捩りばねの振動の防止を図ることができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、連結アームを、板状部材で構成し、シュータ及びシュータガイドの側面に配置したことを特徴とする。
連結アームを、板状部材で構成し、シュータ及びシュータガイドの側面に配置することで、シュータ廻りを簡便に構成することができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、捩りばねの無負荷状態のときの一方及び他方がなす角度を無負荷状態ばね角度とするときに、ブラケットと連結アームとを略無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパを連結アームに形成したことを特徴とする。
【0018】
ブラケットと連結アームとを略無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパを形成することで、ブラケットと連結アームとを略無負荷状態の捩りばねを掛けるときに連結アームが停止した状態にできる。この結果、連結アームが動くことがないのでさらなるばね掛け性の向上を図ることができるという利点がある。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明では、復帰手段に、一端をシュータ側に掛渡すとともに他端をシュータガイド側に掛渡した捩りばねを用い、この捩りばねの巻線部に、捩りばねの振動を低減させる振動低減部材を設けたので、捩りばねの振動を防止することができる。この結果、静粛性に優れた除雪機の実現を図ることができるという利点がある。
【0020】
請求項2に係る発明では、シュータの先端にブラケットを設け、このブラケットに一端を回転自在に取付けるとともに他端をシュータガイドに回転可能に取付ける連結アームを設け、ブラケットに捩りばねの一端を掛渡すとともに連結アームに捩りばねの他端を掛渡すようにしたので、ブラケットと連結アームとの間に無負荷状態の捩りばねを掛渡してから、連結アームを回転させてシュータガイドに取付けることができる。これにより、復帰手段の取付け性の改善をすることができる。この結果、除雪機の組立性の向上を図ることができるという利点がある。
【0021】
請求項3に係る発明では、ブラケットを、底部及び左右の側面部から構成する略コ字形状に構成し、左右の側面部で捩りばねの巻線部を挟み込み、左右の側面部に振動低減部材を貫通させ、捩りばねをブラケットに取付けたので、捩りばねの巻線部をシュータから浮かすことができ、捩りばねの振動の防止を図ることができる。この結果、除雪機のさらなる静粛性の向上を図ることができるという利点がある。
【0022】
請求項4に係る発明では、連結アームを、板状部材で構成し、シュータ及びシュータガイドの側面に配置したので、シュータ廻りを簡便に構成することができる。この結果、シュータ廻りの意匠性の向上を図ることができるという利点がある。
【0023】
請求項5に係る発明では、ブラケットと連結アームとを略無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパを形成したので、ブラケットと連結アームとを略無負荷状態の捩りばねを掛けるときに連結アームが停止した状態にできる。この結果、連結アームが動くことがないのでさらなるばね掛け性の向上を図ることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る除雪機の斜視図であり、除雪機10は、機体11の下方に走行ユニット12を設け、この走行ユニット12の駆動源となるエンジン13を機体11に搭載し、この機体11の上方にエンジン13を保護するエンジンカバー14を設け、このエンジンカバー14の前方に、雪を除去するロータリ除雪部(除雪部)15を機体11に対して左右方向に傾動可能に配置し、ロータリ除雪部15で除雪した雪を排出するシュータ43を設け、機体11の上部から後上方へ左右の操作ハンドル35,36を延ばし、これら左右の操作ハンドル35,36間に操作盤37を取り付け、作業者が左右の操作ハンドル35,36のグリップ部47,48を握った状態で操作盤37の後から連れ歩く、自走式の歩行型除雪機である。
【0025】
左の操作ハンドル35は、握ることで走行準備を完了し、且つ離すことで走行を停止させる走行準備レバー39と、左電動モータ24を操作する左の旋回レバー51と、を備え、右の操作ハンドル36は、右電動モータ26(図2参照)を操作する右の旋回レバー52を備える。
【0026】
図2は本発明に係る除雪機の側面図である。
エンジン13は、本体13aの上部に燃料タンク18a、エアクリーナ18bおよびマフラー18cを備える。このエンジン13は、エンジンカバー14で保護される。
エンジンカバー14は、機体11の上方に設けられ、前端部14aが機体11の前部まで延び、中央部に開口14bが形成されている。
開口14bから燃料タンク18a、エアクリーナ18bおよびマフラー18cを突出する。
このエンジンカバー14は、前端部14aでロータリ除雪部15の傾きを検知する傾動検知手段20を覆う。
【0027】
走行ユニット12は、左右の走行部22,23を備え、左の走行部22の回転速度を調整する左電動モータ24および左減速部25を備え、右の走行部23の回転速度を調整する右電動モータ26および右減速部27を備える。
左・右電動モータ24,26を駆動する発電機28をエンジン13に備える。エンジン13で発電機28を駆動することにより電圧を発生し、発生した電圧で左・右電動モータ24,26を駆動する。
すなわち、エンジン13は、左右の走行部22,23の駆動源となるものである。
【0028】
左の走行部22は、前部の遊動輪22aと後部の駆動輪22bとにクローラベルト22cを巻き掛け、駆動輪22bを左電動モータ24で正逆転させるクローラ式の走行部である。
右の走行部23は、左の走行部22と左右対称の部材であり、それぞれの構成部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
ロータリ除雪部15は、エンジン13の出力軸29を電磁クラッチ部32などを介して駆動軸34に連結し、駆動軸34をオーガハウジング38内に延ばしてブロア41およびオーガ42に連結し、オーガハウジング38の上部にシュータ43を旋回自在に備える。
【0030】
また、除雪機10は、オーガ42の高さを調整するために高さ調整シリンダ44を備え、ロータリ除雪部15を傾動するために傾動シリンダ46を備える。
高さ調整シリンダ44を作動することで、機体11を支持軸45を中心にして上下方向にスイング移動する。機体11の前部にロータリ除雪部15が設けられているので、機体11を上下方向にスイング移動することで、ロータリ除雪部15の高さを調整することが可能になる。
さらに、傾動シリンダ46を作動することで、ロータリ除雪部15を、機体11に対して左右方向に傾動する。
高さ調整シリンダ44や傾動シリンダ46は、一例として、電動油圧シリンダが用いられる。
【0031】
この除雪機10で除雪作業をおこなう際には、作業者が左右のグリップ部47,48をそれぞれ左右の手で握り、機体11を前進させる。
機体11を前進させながらオーガ42で雪を機体中央に掻き集め、掻き集めた雪をブロア41で跳ね上げ、跳ね上げた雪をシュータ43で投雪する。
【0032】
図3は本発明に係る除雪機のシュータ装置の側面図であり、シュータ装置60は、オーガハウジング38(図2参照)左方上面にシュータ43を取付け、このシュータ43に投雪の方向を変化させるシュータガイドとしての第1のシュータガイド61を折畳み自在に取付け、この第1のシュータガイド61にシュータガイドとしての第2のシュータガイド62折畳み自在に取付け、この第2のシュータガイド62とシュータ43との間に板状部材の連結アーム(連結部材)63を渡し、この連結アーム63と第1のシュータガイド61との間に復帰手段としての捩りばね64を介在させ、第1・第2のシュータガイド61,62を操作する操作ワイヤ65を第1のシュータガイドから延出した装置である。
【0033】
図4は本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面図であり、シュータ装置60は、シュータ43の背面側方にブラケット77を設け、連結アーム63をシュータ43及び第1・第2のシュータガイド61,62の側方に設け、このブラケット77及び連結アーム63介在させる捩りばね64をシュータの側方に寄せて配置し、操作ワイヤ65をシュータ43及び第1のシュータガイド61の側方に設けたことを示す。
【0034】
すなわち、除雪機10(図1参照)は、連結アーム63を、板状部材で構成し、シュータ43及び第1のシュータガイド61の側面に配置したものと言える。
連結アーム63を、板状部材で構成し、シュータ43及び第1のシュータガイド61の側面に配置することで、シュータ43廻りを簡便に構成することができる。この結果、シュータ43廻りの意匠性の向上を図ることができる。
次図にてシュータ装置60の詳細を説明する。
【0035】
図5は本発明に係る除雪機のシュータ装置分解斜視図である。
シュータ装置60は、シュータ(シュータ本体)43と、シュータ43に回転自在に連結するシュータガイドとしての第1のシュータガイド61と、これらのシュータ43及び第1のシュータガイド61を連結するピン部材66と、このピン部材の両端にセットすることでピン部材66の抜け止め作用をなす係止部材68と、第1のシュータガイド61に回転自在に連結するシュータガイドとしての第2のシュータガイド62と、これらの第1・第2のシュータガイド61,62を連結するピン部材67と、このピン部材67の両端にセットすることでピン部材67の抜け止め作用をなす係止部材69と、シュータ43及び第2のシュータガイド62の間に渡す連結アーム63と、この連結アーム63及びシュータ43の間に掛渡した捩りばね64と、この捩りばね64の巻線部93に介在させた振動低減部材としてのカラー71,71と、これらのカラー71,71に貫通させるとともに、ワッシャ73及びスペーサ74を介して連結アーム63の一端を回転自在にシュータ43側に支持するボルト75と、このボルト75にねじ込むナット75aと、連結アーム63の他端を第2のシュータガイド62側に回転自在に支持するナット76と、第1のシュータガイド61に先端を止めるとともに、シュータ43を経由させて機体11(図2参照)側に延出することで第1・第2のシュータガイド61,62を操作する操作ワイヤ65と、からなる。
【0036】
シュータ43は、連結アーム63の一端を支持するとともに、捩りばね64の巻線部93を支持するブラケット77と、操作ワイヤ65を支持するために側方に形成したステー部78と、先端に且つ中央に第1のシュータガイド61に向けて形成したシュータ側ヒンジ半体79と、を備える。
【0037】
ブラケット77は、別ピースにて形成した略コ字形状のブラケットであって、シュータ43側にスポット溶接する底部81と、この底部81から両端を立ち上げた左右の側面部82,82と、これらの側面部82,82にそれぞれ形成することでボルト75を貫通させる貫通孔83,83と、からなる。
【0038】
シュータ側ヒンジ半体79は、別ピースにて制作した部材であって、シュータ43側にスポット溶接する接合板部85と、この接合板部85から上部両端をカール曲げ形成することで、ピン部材66を貫通させるとともに係止部材を保持する外側筒部86,86と、を形成した部材である。86aは外側筒部86のエッジを示す。
【0039】
第1のシュータガイド61は、シュータガイド側ヒンジ半体としての背板部88と、この背板部の側方を折曲げた左右の側板87a,87bと、から構成する断面視コ字状の部材である。
【0040】
背板部88は、シュータ43側に且つ中央にカール曲げ形成した中央筒部88aと、第2のシュータシュータガイド62側に、且つ両端にカール曲げ形成した外側筒部89,89と、を形成した部材である。
【0041】
左の側板87aは、操作ワイヤ65の先端を取付けるために側方に形成した取付部87cを備える。
連結アーム63は、シュータ43側に一端を回転自在に取付けるボルト貫通孔91を形成し、第2のシュータガイド62側に他端を回転自在に取付けるスタッド貫通孔92を形成した部材である。
【0042】
捩りばね64は、カラー71,71を介してボルト75で支持する巻線部(コイル部)93と、シュータ43のブラケット77に掛ける一方としてのブラケット側掛け部94と、連結アーム63の一端に掛ける他方としてのアーム側掛け部95と、を備える。
【0043】
第2のシュータガイド62は、断面視コ字状の部材であり、第1のシュータガイド側に且つ中央に溶接したカール曲げ部材96と、連結アームの他端を回転自在にに支持するために側方に立てたスタッドボルト97、とを備える。なお、カール曲げ部材96は、第2のシュータガイド62にスポット溶接する接合板部98と、この接合板部98からカール曲げ形成した中央筒部99と、を形成した部材である。
【0044】
カラー71は、樹脂若しくはゴム系の材料にて形成した部材であり、巻線部93の端部を覆うフランジ部101と、巻線部93の内周を支持する筒体部102と、からなる。
ピン部材66及びピン部材67は、共通部材であり、66a,66aはピン部材66の端部、67a,67aはピン部材67の端部を示す。また、係止部材68及び係止部材69も共通部材である。
【0045】
なお、シュータ装置60は、シュータ側ヒンジ半体79、中央筒部88aを備える背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88、ピン部材66、係止部材68で、ヒンジ部としての第1のヒンジ部111を構成するとともに、外側筒部89,89を備える背面板88、カール曲げ部材96、ピン部材67及び係止部材69で、第2のヒンジ112を構成したものである。
【0046】
図6は本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材の平面図であり、係止部材(ばね押え)68は、ばね性を有する線材にて形成した部材であり、シュータ43側若しくは第1のシュータガイド61側に位置させる直線部105と、この直線部105の両端に形成したコイル部106,106と、これらのコイル部106,106から内方に向けて延出するとともに略U字形に折曲げ形成することで、ピン部材66の両端部66a,66aを押圧する押圧部107,107と、これらの押圧部107,107からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部108,108と、これらの当接部108,108に装着した隙間充填体としてのチューブ109,109と、を備える。なお、押圧部107,107は、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に係合させたことを示す。
【0047】
ピン部材66は、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88の中央筒部88aを加えた長さよりも短く形成したものと言える。
【0048】
すなわち、ピン部材66を、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88の中央筒部88aを加えた長さよりも短く形成することで、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に係止部材68の押圧部107,107を潜り込ませるようにすることができる。この結果、係止部材68をシュータ側ヒンジ半体79に圧入することができ、ピン部材66のずれの防止を図るとともに係止部材68を強固にシュータ側ヒンジ半体79側に支持させることができる。
【0049】
図7は本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材部分の側面断面図であり、係止部材68は、押圧部107からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部108を設け、この当接部108でシュータ43及び第1のシュータガイド61の合わせ面113に発生する隙間Sを覆うようにしたものと言える。
【0050】
係止部材68は、押圧部107からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部108を設け、この当接部108でシュータ43及び第1のシュータガイド61の合わせ面113に発生する隙間Sを覆うことで、シュータ側ヒンジ半体79及び背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88の間に形成する隙間Sから除雪した雪が漏れることを防止することができる。この結果、除雪作業の作業性の向上を図ることができる。
【0051】
さらに、当接部108に、合わせ面113を覆うチューブ(隙間充填体)109を装着することで、ヒンジ半体同士(シュータ側ヒンジ半体79及び背板部88)形成する隙間Sから除雪した雪が漏れることの防止効果を増大させた。この結果、さらなる除雪作業の作業性の向上を図ることができる。
【0052】
図8は本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面拡大図であり、シュータ装置60は、除雪した雪を遠方に排出するシュータ43と、このシュータ43の先端に折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定する第1・第2のシュータガイド61,62と、これらのシュータガイド61,62を初期位置に復帰させる復帰手段と、を備えた除雪機10において、復帰手段が、一端をシュータ43側に掛渡すとともに他端を第1のシュータガイド61側に掛渡した捩りばね64であり、この捩りばね64の巻線部93に、捩りばね64の振動を低減させるカラー(振動低減部材)71,71を設けたものと言える。
【0053】
復帰手段に、一端をシュータ43側に掛渡すとともに他端を第1のシュータガイド61側に掛渡した捩りばね64を用い、この捩りばね64の巻線部93に、捩りばね64の振動を低減させるカラー(振動低減部材)71,71を設けることで、捩りばね64の振動を防止することができる。この結果、静粛性に優れた除雪機10(図1参照)の実現を図ることができる。
【0054】
また、シュータ装置60は、シュータガイドを第1・第2のシュータガイド61,62で構成し、シュータ43の先端にブラケット77を設け、このブラケット77に一端を回転自在に取付けるとともに他端を第2のシュータガイド61に回転可能に取付ける連結アーム63を設け、ブラケット77に捩りばね64のブラケット側掛け部(一方)94を掛渡すとともに連結アーム63に捩りばね64のアーム側掛け部(他方)95を掛渡したものと言える。
【0055】
シュータガイドを第1・第2のシュータガイド61,62で構成し、シュータ43の先端にブラケット77を設け、このブラケット77に一端を回転自在に取付けるとともに他端を第2のシュータガイド61に回転可能に取付ける連結アーム63を設け、ブラケット77に捩りばね64のブラケット側掛け部(一方)94を掛渡すとともに連結アーム63に捩りばね64のアーム側掛け部(他方)95を掛渡すことで、ブラケット77と連結アーム63との間に無負荷状態の捩りばね64を掛渡してから、連結アーム63を回転させて第2のシュータガイド62に取付けることができる。これにより、復帰手段(捩りばね)64の取付け性の改善をすることができる。この結果、除雪機10(図い参照)の組立性の向上を図ることができる。
【0056】
シュータ装置60は、ブラケット77が、底部81及び左右の側面部82,82から構成する略コ字形状のブラケットであり、左右の側面部82,82で捩りばね64の巻線部93を挟み込み、左右の側面部82,82にカラー(振動低減部材)71,71を貫通させて、捩りばね64をブラケット77に取付けたことを特徴とする。
【0057】
ブラケットを、底部81及び左右の側面部82,82から構成する略コ字形状のブラケットであり、左右の側面部82,82で捩りばね64の巻線部93を挟み込み、左右の側面部82,82にカラー(振動低減部材)71,71を貫通させ、捩りばね64をブラケット77に取付けることで、捩りばね64の巻線部93をシュータ43から浮かすことができ、捩りばね64の振動の防止を図ることができる。この結果、除雪機10(図1参照)のさらなる静粛性の向上を図ることができる。
【0058】
以上に述べた除雪機10の作用を説明する。
図9(a),(b)は本発明に係る除雪機の捩りばねの組立手順の前半を示す作用説明図である。
(a)において、シュータ43に第1のシュータガイド61を取付け、この第1のシュータガイド61に第2のシュータガイド62を取付け、シュータ43のブラケット77に捩りばね64及び連結アーム63の一端を取付けた状態まで組立てる。
【0059】
(b)において、連結アーム63を矢印a1の如く回転させることで、捩りばね64のブラケット側掛け部94をブラケット77にセットするとともに、アーム側掛け部95を連結アーム63にセットする。
【0060】
図10(a),(b)は本発明に係る除雪機の捩りばねの組立手順の後半を示す作用説明図である。
(a)において、連結アーム63を矢印a2の如く回転させ、捩りばね64に所定の撓みを加え、連結アーム63のスタッド貫通孔92(図5参照)を第2のシュータガイド62のスタッドボルト97に嵌合させる。
【0061】
すなわち、ブラケット77と連結アーム63との間に無負荷状態の捩りばね64を掛渡してから、連結アーム63を回転させて第2のシュータガイド62に取付けることができる。これにより、復帰手段(捩りばね)64の取付け性の改善をすることができる。この結果、除雪機10(図い参照)の組立性の向上を図ることができる。
【0062】
(b)において、矢印a3の如くスタッドボルト97にナット76をねじ込み、シュータ装置60の組立を完了させる。
【0063】
図11は本発明に係る別実施形態の除雪機のシュータ装置の側面図であり、シュータ装置60(図3参照)に使用した部品と同一部品は同一符号を用い詳細な説明は省略する。
シュータ装置130は、オーガハウジング38(図2参照)左方上面にシュータ43を取付け、このシュータ43に投雪の方向を変化させるシュータガイドとしての第1のシュータガイド61を折畳み自在に取付け、この第1のシュータガイド61にシュータガイドとしての第2のシュータガイド62折畳み自在に取付け、この第2のシュータガイド62とシュータ43との間に板状部材の連結アーム(連結部材)133を渡し、この連結アーム63と第1のシュータガイド61との間に復帰手段としての捩りばね64を介在させたものであり、捩りばね64の無負荷状態のときのブラケット側掛け部(一方)94及びアーム側掛け部(他方)95がなす角度を無負荷状態ばね角度とするときに、ブラケット77と連結アーム133とを略無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパ134を連結アーム133に形成したものである。
【0064】
ブラケット77と連結アーム133とを略無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパ134を連結アーム133に形成することで、ブラケット77と連結アーム133とを略無負荷状態の捩りばねを掛けるときに連結アーム133が停止した状態にできる。この結果、連結アーム133が動くことがないのでさらなるばね掛け性の向上を図ることができる。
【0065】
図12は本発明に係るさらなる別実施形態の除雪機のシュータ装置の背面拡大図であり、シュータ装置60(図3参照)に使用した部品と同一部品は同一符号を用い詳細な説明は省略する。
図中、43はシュータ、61,62は第1・第2のシュータガイド、63は連結アーム、64は捩りばね、65は操作ワイヤ、66,67はピン部材、68,69は係止部材、74はスペーサ、75a,76はナット、77はブラケット、79はシュータ側ヒンジ半体、81は底部、82は側面部、85は接合板部、86,86は外側筒部、87a,87bは左右の側板、87cは取付部、88aは中央筒部、89は外側筒部、93は巻線部、94はブラケット側掛け部、95はアーム側掛け部、96はカール曲げ部材、97はスタッドボルト、98は接合板部、99は中央筒部、105は直線部、106はコイル部、107は押圧部、108は当接部、109はチューブ、111,112は第1・第2のヒンジ部、143はワッシャ、145は低振動部材としてのボルト、146はボルトの段部であり、シュータ装置140は、捩りばね64の巻線部93に振動低減部材としてのボルト145を直接的に貫通させ、振動低減を図ろうとしたものである。
【0066】
尚、本発明に係る除雪機は、図12に示すように、ボルト145に段部146を形成し、この段部146を捩りばね64の巻線部93に貫通させ、捩りばね64の振動低減を図ったが、これに限るものではなく、段部の無い一般的なボルトを用いることを妨げるものではない。
【0067】
また、本発明に係る除雪機は、図12に示すように、ボルト145に段部146を形成し、この段部146を捩りばね64の巻線部93に貫通させ、捩りばね64の振動低減を図ったが、これに限るものではなく、段部の無い一般的なボルトに樹脂若しくはゴムなどを被せて形成したものを被せ、これらの樹脂若しくはゴムなどで段部を形成し、この段部で振動低減を図るものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る除雪機に採用したシュータ装置は、自走式の歩行型除雪機のシュータに採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る除雪機の斜視図である。
【図2】本発明に係る除雪機の側面図である。
【図3】本発明に係る除雪機のシュータ装置の側面図である。
【図4】本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面図である。
【図5】本発明に係る除雪機のシュータ装置分解斜視図である。
【図6】本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材の平面図である。
【図7】本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材部分の側面断面図である。
【図8】本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面拡大図である。
【図9】本発明に係る除雪機の捩りばねの組立手順の前半を示す作用説明図である。
【図10】本発明に係る除雪機の捩りばねの組立手順の後半を示す作用説明図である。
【図11】本発明に係る別実施形態の除雪機のシュータ装置の側面図である。
【図12】本発明に係るさらなる別実施形態の除雪機のシュータ装置の背面拡大図である。
【図13】従来の基本構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0070】
10…除雪機、43…シュータ、61,62…シュータガイド(第1・第2のシュータガイド、63…連結アーム、64…復帰手段(捩りばね)、71…振動低減部材(カラー)、77…ブラケット、93…巻線部、81…底部、82…側面部、94…一方(ブラケット側掛け部)、95…他方(アーム側掛け部)、134…ストッパ)、145…振動低減部材(ボルト)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除雪した雪を遠方に排出するシュータと、このシュータの先端に折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定するシュータガイドと、このシュータガイドを初期位置に復帰させる復帰手段と、を備えた除雪機において、
前記復帰手段は、一端を前記シュータ側に掛渡すとともに他端を前記シュータガイド側に掛渡した捩りばねであり、この捩りばねの巻線部に、捩りばねの振動を低減させる振動低減部材を設けたことを特徴とする除雪機。
【請求項2】
前記シュータの先端にブラケットを設け、このブラケットに一端を回転自在に取付けるとともに他端を前記シュータガイドに回転可能に取付ける連結アームを設け、前記ブラケットに前記捩りばねの一方を掛渡すとともに前記連結アームに前記捩りばねの他方を掛渡したことを特徴とする請求項1記載の除雪機。
【請求項3】
前記ブラケットは、底部及び左右の側面部から構成する略コ字形状のブラケットであり、前記左右の側面部で前記捩りばねの巻線部を挟み込み、前記左右の側面部に前記振動低減部材を貫通させて、前記捩りばねを前記ブラケットに取付けたことを特徴とする請求項1記載の除雪機。
【請求項4】
前記連結アームは、板状部材であり、前記シュータ及び前記シュータガイドの側面に配置したものであることを特徴とする請求項1記載の除雪機。
【請求項5】
前記捩りばねの無負荷状態のときの一方及び他方がなす角度を無負荷状態ばね角度とするときに、前記ブラケットと前記連結アームとを略前記無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパを前記連結アームに形成したことを特徴とする請求項1記載の除雪機。
【請求項1】
除雪した雪を遠方に排出するシュータと、このシュータの先端に折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定するシュータガイドと、このシュータガイドを初期位置に復帰させる復帰手段と、を備えた除雪機において、
前記復帰手段は、一端を前記シュータ側に掛渡すとともに他端を前記シュータガイド側に掛渡した捩りばねであり、この捩りばねの巻線部に、捩りばねの振動を低減させる振動低減部材を設けたことを特徴とする除雪機。
【請求項2】
前記シュータの先端にブラケットを設け、このブラケットに一端を回転自在に取付けるとともに他端を前記シュータガイドに回転可能に取付ける連結アームを設け、前記ブラケットに前記捩りばねの一方を掛渡すとともに前記連結アームに前記捩りばねの他方を掛渡したことを特徴とする請求項1記載の除雪機。
【請求項3】
前記ブラケットは、底部及び左右の側面部から構成する略コ字形状のブラケットであり、前記左右の側面部で前記捩りばねの巻線部を挟み込み、前記左右の側面部に前記振動低減部材を貫通させて、前記捩りばねを前記ブラケットに取付けたことを特徴とする請求項1記載の除雪機。
【請求項4】
前記連結アームは、板状部材であり、前記シュータ及び前記シュータガイドの側面に配置したものであることを特徴とする請求項1記載の除雪機。
【請求項5】
前記捩りばねの無負荷状態のときの一方及び他方がなす角度を無負荷状態ばね角度とするときに、前記ブラケットと前記連結アームとを略前記無負荷状態ばね角度に規制することができるストッパを前記連結アームに形成したことを特徴とする請求項1記載の除雪機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−32190(P2007−32190A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220354(P2005−220354)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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